(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機等の内部には、投入硬貨の正偽を判別するとともに、正貨とみなされた投入硬貨を金種ごとに選別収容し、さらに選別収容された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨処理装置が搭載されている。硬貨処理装置は、投入硬貨の正偽を判別するとともに投入硬貨を金種別に振り分ける硬貨選別装置と、硬貨選別装置により振り分けられた投入硬貨を金種ごとに収納してそこから釣銭等の額に応じた硬貨を選択して払い出す硬貨払出装置とから構成される(例えば、特許文献1)。
【0003】
図13及び
図14を用いて従来の硬貨払出装置の構造を説明する。
図13は、従来の硬貨払出装置の構成を示す斜視図である。
図13には、硬貨の払い出しが開始されていない待機状態を示しており、
図14におけるコインチューブ106が省略されている。
図14は、従来の硬貨払出装置の手順を説明する要部断面図で、(a)は待機状態を示す図、(b)は払出状態において硬貨の払い出しを行っている状態を示す図、(c)は払出状態において硬貨の払い出しを阻止している状態を示す図である。なお、ここでの払出状態とは、
図14(b)及び(c)に示すように、後述のペイアウトスライド108の往復動作の途中、その硬貨保持孔Mがコインベース107の上方から外れた位置へ移動する状態をいう。
【0004】
図13に示すように、従来の硬貨払出装置103は、図示しないモータ等の駆動手段と、当該駆動手段の駆動力により一払出動作ごとに一方向(矢印A方向)へ一回転するペイアウトカム110と、ペイアウトカム110の下面に突設されたピン110aと係合する溝109aを有しペイアウトカム110が一回転すると図の初期位置から矢印Bの方向へ往復移動するペイアウトリンク109と、ペイアウトリンク109の往復運動に連動して矢印B方向へ往復移動するペイアウトスライド108とを有する。また、ペイアウトスライド108には、複数のコインチューブ106(硬貨収納部)に対応して、コインチューブ106の各最下面に収納された硬貨の周囲を保持する硬貨保持孔Mが形成されている。また、ペイアウトスライド108の下方にはコインベース107が配設され、待機状態(
図14(a)参照)における硬貨の底面を保持している。
【0005】
一方、ペイアウトリンク109には、複数のコインチューブ106の種類に対応して、複数のチェンジスライド111が挿抜自在に嵌挿している。チェンジスライド111は、先端がペイアウトスライド108の各硬貨保持孔Mの下方に位置し、各硬貨保持孔Mに一枚ずつ収容された硬貨の払い出しと非払い出しとを切り替える。チェンジスライド111は、ペイアウトリンク109に連動して移動するものであるが、チェンジスライド111の移動が規制されると、ペイアウトリンク109と連動しなくなる。
【0006】
各チェンジスライド111の後端部には、それぞれ、駆動手段により上下に移動するチェンジレバー112が当接可能に配設される。チェンジレバー112は、チェンジレバー用のソレノイド113のプランジャ先端に取り付けられている。ソレノイド113のプランジャは、復帰ばねによって突出方向に付勢されており、ソレノイド113への通電により、突出方向とは反対の方向へ吸引され、ソレノイド113への通電を停止すると、復帰ばねによる付勢により元の位置に戻る。チェンジレバー112は、ソレノイド113への通電を停止している時は、復帰ばねの付勢力によって下方の払出阻止位置をとり、チェンジスライド111の後端と係合してチェンジスライド111の移動を規制し、ソレノイド113への通電を行っている時は、上に移動して払出許容位置をとる。その結果、チェンジスライド111の後端との係合が解除され、チェンジスライド111の移動を規制しなくなる。このチェンジスライド111、チェンジレバー112及びソレノイド113からなる機構は、各硬貨保持孔Mに一対一に対応して設けられており、それぞれ個別に動作する。
【0007】
チェンジスライド111は、その後端が当該チェンジスライド111に対応するチェンジレバー112に当接していない状態においては、
図14(b)に示すように、ペイアウトリンク109及びペイアウトスライド108の往復移動に連動して往復運動し、対応する硬貨保持孔Mの下方を開放する。一方、その後端が当該チェンジスライド111に対応するチェンジレバー112に当接した状態においては、
図14(c)に示すように、チェンジスライド111は、ペイアウトリンク109及びペイアウトスライド108の往復移動に連動せずに、待機状態の位置(
図14(a)参照)を維持する。
【0008】
この構成により、従来の硬貨払出装置103は次のように動作する。まず、チェンジスライド111とチェンジレバー112との動作について説明する。払い出される硬貨の硬貨保持孔Mに対応するソレノイド113のみに通電を行ってそのチェンジレバー112を上に移動させる(切替動作)。これにより、そのチェンジレバー112とチェンジスライド111との当接が解除され、ペイアウトスライド108の往復移動に連動して払い出される硬貨の硬貨保持孔Mに対応するチェンジスライド111が往復移動することが可能となる。他方、払い出されない硬貨の硬貨収容孔に対応するソレノイド113へは通電が行われない。このため、そのチェンジレバー112とチェンジスライド111との係合は解除されず、払い出されない硬貨の硬貨保持孔Mに対応するチェンジスライド111の移動は規制される。
【0009】
次に、ペイアウトリンク109とペイアウトスライド108との動作について説明する。図示しないモータ等の駆動手段の駆動によりペイアウトカム110が矢印A方向に沿って一回転すると、ペイアウトリンク109及びペイアウトスライド108は、矢印B方向に沿って往復運動する。ここで、ペイアウトスライド108の各硬貨保持孔Mに収容された各硬貨も、ペイアウトスライド108とともにスライドする。
【0010】
このとき、
図14(b)に示すように、硬貨の払い出しを行う場合、払い出される硬貨に対応するチェンジレバー112は、チェンジスライド111と当接しない位置に移動している。すると、ペイアウトリンク109及びペイアウトスライド108の移動に連動してチェンジスライド111が後方へスライド移動することで、硬貨保持孔Mの下方が開放されることとなる。この場合、硬貨保持孔Mに保持された硬貨は、下方の支えを失い、落下して払い出される。他方、
図14(c)に示すように、硬貨の払い出しを行わない場合、払い出されない硬貨に対応するチェンジレバー112は、チェンジスライド111と当接する位置に移動している。すると、ペイアウトリンク109及びペイアウトスライド108の移動に連動してチェンジスライド111が移動せず、硬貨保持孔Mの下方は支持されることとなる。この場合、硬貨保持孔Mに保持された硬貨は、チェンジスライド111によって下方を支えられた状態にあるので、落下せずに払い出されない。
【0011】
上述のような硬貨払出装置のように複数のコインチューブ106を有し、その下方に複数の金種の硬貨保持孔Mを有するペイアウトスライド108を有する構成であると、原理的に、ペイアウトスライド108の一度の往復動で、複数の金種を同時に払い出すことが可能である。すなわち、
図13の例では、ペイアウトスライド108において5つの硬貨保持孔Mが設けられており、硬貨保持孔Mに対応して合計5個のコインチューブ106が設けられる。従って、複数のコインチューブ106からの選択的硬貨払出のために、ペイアウトスライド108は1個の駆動手段(ペイアウトカム110に関連する駆動手段)で共通に駆動する一方で、チェンジスライド111は各コインチューブ106に対応して個別に設けてチェンジレバー112によって個別に制御することにより、硬貨払出に使用するコインチューブ106(金種)の選択を行うように構成されている。なお、5つのコインチューブ106を用いて5金種の硬貨を同時に払い出す場合、電力不足を補うため、機械的に払出状態を維持するように構成した硬貨払出装置も知られている。これにより、より多くの金種を払い出すことが可能となっている。
【0012】
また、ペイアウトスライド108に形成される硬貨保持孔Mの厚さは、通常、一つの金種につき1枚分の厚みとされるが、そうすると、各金種につき1枚ずつしか払い出すことができない。この点に鑑みて、ペイアウトスライド108における所望の金種(コインチューブ106)に対応する硬貨保持孔Mの厚さを2枚分の厚さとすることで、当該所望の金種のみ2枚同時に払い出すことのできるように構成した硬貨払出装置も知られている。
【0013】
しかしながら、所望の金種(コインチューブ106)に対応する硬貨保持孔Mの厚さを2枚分とする構成では、2枚払出専用の構成となり、2枚払い出すか、若しくは、払い出さないか、のいずれかの選択のみしか行えない。このため、所望の金種について一度に1枚又は2枚払出すことを選択的に行えるようにするためには、当該金種に関して、1枚払出専用のコインチューブ106と2枚払出専用のコインチューブ106とを別々に設ける必要があった。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、硬貨払出装置を具備する硬貨処理装置の概略図である。
図1に示すように、自動販売機等の内部には、硬貨を収容し且つ払い出す硬貨処理装置1が搭載されている。硬貨処理装置1は、硬貨選別装置2と、硬貨払出装置3とから構成される。硬貨選別装置2は、投入硬貨の正偽を判別する硬貨識別部2Aと、正貨とみなされた投入硬貨を金種ごとに選別収容する硬貨振分部2Bからなる。また、硬貨払出装置3は、金種ごとに収納した硬貨から釣銭等の額に応じた硬貨Cを選択して払い出す。硬貨払出装置3には、金種ごとに異なるコインチューブ6(硬貨収納部)が配設される。
【0037】
本実施形態の硬貨払出装置3では、5本のコインチューブ6を具備するため、5つの金種の硬貨に対応することができる。本実施形態で例示する構成は、5箇所のコインチューブ6に対応する硬貨払出部のうち、本発明に従って選択的に1枚又は少なくとも2枚の硬貨を一度に払出すことが可能な選択的払出部Xが1箇所(
図2における最も手前側の1箇所)のコインチューブ6のみに対応して設けられている。残りの4箇所のコインチューブ6に対応する払出部(
図2における奥側の4箇所の払出部)の構成は、一度に1枚のみの払出しが可能な通常の払出部の構成である。
【0038】
次に、
図2乃至
図5を用いて本実施形態の硬貨払出装置3の全体の概略説明をする。
図2は、硬貨払出装置3の斜視図である。
図3は硬貨払出装置3の上面図(平面図)である。
図4は硬貨払出装置3の背面図、
図5は、
図4のA−A矢視断面を示す図である。
図2乃至
図4では、要部構造の説明のために、硬貨Cを収納するコインチューブ6と、ペイアウトリンク9を動作させるペイアウトカム10の図示を省略する。コインチューブ6には、
図5に示すように、硬貨を積載して収納し下端に硬貨払出用のペイアウトスライド8を挿抜可能なスリットSが設けられる。また、ペイアウトカム10の動作は、上述した従来技術のペイアウトカム110(
図13参照)と同様である。
【0039】
硬貨払出装置3は、コインチューブ6、ペイアウトカム10のほか、
図2乃至
図5に示すように、コインチューブ6の下方に設けられ、コインチューブ6に収納された硬貨を支持するコインベース7(硬貨支持部)と、コインチューブ6に収納された硬貨の周囲の形状及び硬貨の厚さに対応する硬貨保持孔Mを有しコインチューブ6の硬貨をスリットSから払い出すための払出摺動部材であるペイアウトスライド8(第1ペイアウトスライド8A及び第2ペイアウトスライド8Bを含む)と、ペイアウトスライド8に対して係合し、硬貨払出動作時に、ペイアウトスライド8を硬貨払出方向に引き出すためのペイアウトリンク9と、ペイアウトスライド8の硬貨払出方向に隣接して配設されペイアウトスライド8からの硬貨の払い出しを規制する払出規制部材であるチェンジスライド11(第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bを含む)と、チェンジスライド11に当接しその移動を操作しうるチェンジレバー12(規制操作部材)と、を有する。ここで、ペイアウトリンク9は、ペイアウトカム10に対して係合溝9aにて係合し、且つペイアウトスライド8(特に下側の第1ペイアウトスライド8Aが設けられたスライドプレート)に対して係合突起9bにて係合している(
図2及び
図3参照)。また、ペイアウトリンク9に形成されたスライド孔9c(
図4参照)において、チェンジスライド11を摺動可能に挿入配置している。ペイアウトリンク9、ペイアウトカム10及び図示しないペイアウトカム作動用モータ等は、硬貨払出のために第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)を駆動する駆動装置として機能する。
【0040】
各チェンジレバー12は、ソレノイド13への通電により移動する。チェンジレバー12は、チェンジレバー用のソレノイド13のプランジャ先端に取り付けられている。ソレノイド13のプランジャは、復帰ばねによって突出方向に付勢され、ソレノイド13への通電により、突出方向とは反対の方向へ吸引され、ソレノイド13への通電を停止すると、復帰ばねによる付勢により元の位置に戻る。チェンジレバー12は、ソレノイド13への通電を停止している時は、復帰ばねの付勢力によって下方の払出阻止位置をとり、チェンジスライド11の後端と係合してチェンジスライド11の移動を規制し、ソレノイド13への通電を行っている時は、上に移動して払出許容位置をとる。その結果、チェンジスライド11の後端との係合が解除され、チェンジスライド11の移動を規制しなくなる。このチェンジスライド11、チェンジレバー12及びソレノイド13からなる機構は、各硬貨保持孔Mに一対一に対応して設けられており、それぞれ個別に動作する。チェンジレバー用のソレノイド13は、後述のキープレバー15用のソレノイド14とともに、ソレノイドケースに一体的に保持されている。
【0041】
硬貨払出装置3の背面には、機械的に各チェンジレバー12の動作を阻止することで、チェンジレバー12の状態を維持するキープレバー15(移動阻止部材)を有する。具体的には、
図4に示すように、キープレバー15と、キープレバー15に係合しつつ操作するリンク部材16と、リンク部材16を駆動させてキープレバー15を操作するためのキープレバー用のソレノイド14とを具備する。キープレバー15は、各チェンジレバー12に形成されたキープ用突起12aに係止可能でキープ用突起12aの移動を阻止する櫛歯状の阻止体15a(本実施形態の特徴部分である阻止体15aXを含む)を複数有する。なお、選択的払出部Xにおけるキープレバー15の阻止体15aXの上端は、他の阻止体15aよりも高い位置になるように構成され、且つ阻止体15aXの上方のみならず下方も平らに構成される。
【0042】
この構成により、キープレバー用のソレノイド14へ通電を行うと、リンク部材16が矢印方向に回動し、リンク部材16と係合するキープレバー15が図中左方へ移動する。キープレバー15が図中左方に移動すると、キープレバー15の阻止体15aが各キープ用突起12aの上方又は下方の位置に来ることとなり、キープ用突起12aの上下動を規制する。この結果、キープレバー15は、チェンジレバー12の上下方向の移動を機械的に阻止又は保持することとなる。
【0043】
上記構成により、硬貨払出装置3の動作時は、まず、チェンジレバー用のソレノイド13と、キープレバー用のソレノイド14を後述の手順で動作させることで、チェンジレバー12の高さを調整する。次に、ペイアウトカム10を回転させると、ペイアウトカム10と係合溝9aで係合するペイアウトリンク9がペイアウトスライド8(特に第1ペイアウトスライド8Aが設けられたスライドプレート)を引き出しつつ、後方(チェンジレバー12の方向)に移動する。このとき、チェンジレバー12によりチェンジスライド11の後方への移動が規制されていると、チェンジスライド11が初期位置に留まり、ペイアウトスライド8の硬貨保持孔Mに保持される硬貨の落下を阻止する。一方、チェンジレバー12によりチェンジスライド11の後方への移動が規制されていないと、チェンジスライド11が初期位置から後方へ移動するため、ペイアウトスライド8の硬貨保持孔Mに保持される硬貨の落下はチェンジスライド11により阻止されず、硬貨が落下して払い出される。
【0044】
次に、本実施形態の特徴部分である、硬貨の枚数を選択的に払い出すことのできる選択的払出部Xについて詳細に説明する。選択的払出部Xでは、硬貨の払い出しを行わない払い出し無し状態、硬貨を1枚のみ払い出す1枚払い出し状態、硬貨を2枚同時に払い出す2枚払い出し状態など、複数の状態に選択的に切り替えることができる。まず、
図6を用いて、選択的払出部Xの詳細構造を説明する。
図6は、硬貨払出装置の待機状態を示す図であり、(a)が選択的払出部の斜視図、(b)が
図4におけるA−A断面図である。なお、
図6(b)では、
図2乃至
図4において省略したコインチューブ6とペイアウトカム10の概略構成を示している。ペイアウトカム10は下面に突設されたピン10aにおいてペイアウトリンク9の係合溝9aと係合している。
【0045】
選択的払出部Xにおけるペイアウトスライド8は、コインチューブ6の最下部の硬貨C1を払い出すための第1ペイアウトスライド8Aと、コインチューブ6の最下部の硬貨C1の直上の1枚の硬貨C2を払い出すための第2ペイアウトスライド8Bとを具備する。なお、第1ペイアウトスライド8Aは、すべてのコインチューブ6に共通のスライドプレートにおいて設けられている。すなわち、すべてのコインチューブ6に共通の1枚のスライドプレートにおいて各コインチューブ6に対応する金種の硬貨保持孔Mがそれぞれ設けられており、そのうち該選択的払出部Xのコインチューブ6に対応する金種の硬貨保持孔Mを形成している部分が第1ペイアウトスライド8Aとして機能する。第2ペイアウトスライド8Bは選択的払出部Xにおいてのみ設けられており、該第2ペイアウトスライド8Bにおいては、該選択的払出部Xのコインチューブ6に対応する金種の硬貨保持孔Mが、該金種の硬貨を1枚払い出せるような厚みで設けられている。なお、後述するように、変形例として、第2ペイアウトスライド8Bは、1枚に限らず2枚以上の硬貨C2を同時に払い出すような厚みでも構成し得る。第1ペイアウトスライド8Aは、コインチューブ6(硬貨収納部)内の最下部の硬貨C1を払い出すための第1払出摺動部材として機能し、第2ペイアウトスライド8Bは、コインチューブ6(硬貨収納部)内の前記最下部の硬貨C1の上の少なくとも1枚の硬貨C2を払い出すための第2払出摺動部材として機能する。
【0046】
第1ペイアウトスライド8Aの前端には、上方に突出する係止突起8A1が形成され、第2ペイアウトスライド8Bの前端には、下方に突出する係止突起8B1が形成される。これにより、第1ペイアウトスライド8Aと第2ペイアウトスライド8Bとは、前方で互いに係止される(緩く係合している)。これらの係止突起8A1,8B1が、第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)に第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)を係止する第1係止部として機能する。第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)の動きが規制されていない状態においては、ペイアウトリンク9及びペイアウトカム10(駆動装置)等による第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)の駆動に伴い係止突起8A1,8B1(第1係止部)を介して第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)が一緒に動き、他方、第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)の動きが規制された状態においては、ペイアウトリンク9及びペイアウトカム10(駆動装置)等による第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)の駆動に伴い、係止突起8A1,8B1(第1係止部)による第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)に対する第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)の係止が解除されて該第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)が非作動とされる。
【0047】
選択的払出部Xにおけるチェンジスライド11は、第1ペイアウトスライド8Aの硬貨払出方向に隣接して配設され第1ペイアウトスライド8Aからの硬貨C1の払い出しを規制する第1チェンジスライド11Aと、第2ペイアウトスライド8Bの硬貨払出方向に隣接して配設され第2ペイアウトスライド8Bからの硬貨C2の払い出しを規制する第2チェンジスライド11Bと、を具備する。第1チェンジスライド11Aはペイアウトリンク9のスライド孔9c内で摺動可能に配設され、第2チェンジスライド11Bはスライド孔9cよりも上方に空けられたスライド孔9d内で摺動可能に配設される。
【0048】
ここで、ペイアウトリンク9とチェンジスライド11との係止構造について
図7を用いて説明する。
図7は、選択的払出部Xにおけるチェンジスライド11とペイアウトリンク9との係止構造を示す拡大斜視図である。
図7では、ペイアウトリンク9を前方下方側から見ている。スライド孔9c,9dの前方端部には、それぞれ係止突起9c1,9d1が設けられており、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bには、それぞれ弾性を有する凸状の係止突起11A1,11B1が設けられている。これにより、ペイアウトリンク9と第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bとは、ペイアウトリンク9の前方(図中左方)で互いに係止されている(緩く係合している)。
【0049】
ここで、第1チェンジスライド11Aと第2チェンジスライド11Bは、いずれも硬貨の払い出しを規制するものであるが、規制方法が異なる。具体的には、第1チェンジスライド11Aは、硬貨払出動作時において、硬貨の下部を支持することで、第1ペイアウトスライド8Aからの硬貨C1の払い出しを規制する。一方、第2チェンジスライド11Bは、硬貨払出動作時において、第2ペイアウトスライド8Bの移動を規制することで、第2ペイアウトスライド8Bからの硬貨C2の払い出しを規制する。
【0050】
選択的払出部Xにおけるチェンジレバー12は、チェンジレバー用のソレノイド13の通電制御により、3段階の高さになるように調整することができる。具体的には、待機状態及び払い出し無し状態では、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bの双方の後端に当接しうる高さ(最下位置)となり、1枚払い出し状態では、第2チェンジスライド11Bのみの後端に当接しうる高さ(中間位置)となり、2枚払い出し状態では、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bのいずれの後端にも当接しない高さ(最上位置)となることができる。
【0051】
チェンジレバー12の当接によって第2チェンジスライド11Bの動きが規制されることに伴い、第2ペイアウトスライド8Bの動きが規制される。従って、チェンジレバー12(規制操作部材)は、1枚の硬貨を払い出すとき第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)の動きを規制する第1位置(前記中間位置)に位置し、他方、2枚の硬貨を一度に払い出すとき第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)の動きを規制しない第2位置(最上位置)に位置するように構成されている。詳しくは、チェンジレバー12(規制操作部材)は、前記第1位置(前記中間位置)のとき第1チェンジスライド11A(第1払出規制部材)の動きを規制することなく第2チェンジスライド11B(第2払出規制部材)の動きを規制することにより前記第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)を非作動とし、前記第2位置(最上位置)のとき第1及び第2チェンジスライド11A,11B(第1及び第2払出規制部材)の動きを規制しないことにより第1及び第2ペイアウトスライド8A,8B(第1及び第2払出摺動部材)の両方を作動可能とするように機能する。また、チェンジレバー12(規制操作部材)は、硬貨を払い出さないとき第1及び第2チェンジスライド11A,11B(第1及び第2払出規制部材)の両方の動きを規制する第3位置(前記最下位置)に位置するように構成されている。
【0052】
また、前記ペイアウトリンク9の係止突起9c1と第1チェンジスライド11Aの係止突起11A1との係止構造及びペイアウトリンク9の係止突起9d1と第2チェンジスライド11Bの係止突起11B1との係止構造は、ペイアウトリンク9(駆動装置)に第1及び第2チェンジスライド11A,11B(第1及び第2払出規制部材)をそれぞれ係止する第2係止部として機能する。すなわち、チェンジレバー12(規制操作部材)の位置に応じて第1及び/又は第2チェンジスライド11A,11B(第1及び/又は第2払出規制部材)の動きが規制されるとき、前記ペイアウトリンク9(駆動装置)の駆動に伴い前記第2係止部における第1及び/又は第2チェンジスライド11A,11B(第1及び/又は第2払出規制部材)の係止が解除され、それにより第1及び/又は第2ペイアウトスライド8A,8B(第1及び/又は第2払出摺動部材)が非作動とされる。
【0053】
具体的なチェンジレバー12の高さの調整方法を
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、キープレバーによるチェンジレバーの位置決めを示す図であり、(a)が待機状態、(b)が払い出無し状態を示す図である。
図9は、キープレバーによるチェンジレバーの位置決めを示す図であり、(a)が1枚払い出し状態、(b)が2枚払い出し状態を示す図である。まず、待機状態においては、チェンジレバー12を動作させるチェンジレバー用のソレノイド13にも、キープレバー15を動作させるキープレバー用のソレノイド14にも通電はなされておらず、チェンジレバー12は最下端の初期位置に位置し、キープレバー15は図中右方の初期位置に位置している(
図8(a)参照)。
【0054】
払い出し無し状態にする場合、チェンジレバー用のソレノイド13への通電がなされない。このため、チェンジレバー12は動作せず、元の最下端に位置したままである。その状態でキープレバー用のソレノイド14への通電がなされる。この場合、チェンジレバー12は最下端(最下位置)に位置したままの状態となる。(
図8(b)参照)。
【0055】
1枚払い出し状態にする場合、まず、キープレバー用のソレノイド14に対して通電がなされる。すると、キープレバー15が図中左方へ移動する。次に、チェンジレバー用のソレノイド13に対して通電がなされると、チェンジレバー12が上方に移動しようとする。ここで、キープレバー15はすでに左方に移動し、その阻止体15aXがキープ用突起12aの上方に位置しているため、阻止体15aXはキープ用突起12aの上方への移動を阻止する。これにより、チェンジレバー12は初期位置である最下位置よりは高く移動するものの、キープレバー15により移動を規制された位置(中間位置)で保持される。(
図9(a)参照)。
【0056】
2枚払い出し状態にする場合、まず、チェンジレバー用のソレノイド13に対して通電がなされる。すると、チェンジレバー12が最上端に移動する。次に、キープレバー用のソレノイド14に対して通電がなされる。すると、キープレバー15が図中左方へ移動する。ここで、チェンジレバー12のキープ用突起12aは、キープレバー15の阻止体15aXよりも高い位置へ移動しているため、チェンジレバー用のソレノイド13への通電がなくなっても、阻止体15aXはキープ用突起12aの下方への移動を阻止する。これにより、チェンジレバー12は最上端(最上位置)に位置したまま、キープレバー15により保持される。(
図9(b)参照)。
【0057】
この構成により、硬貨払出装置3が払出状態になった場合に選択的払出部Xにおいて硬貨を払い出す際の動作を
図10乃至
図12を用いて説明する。ここで、「払出状態」とは、「待機状態」に対する言葉であり、ペイアウトリンク9の後方への移動によりペイアウトスライド8が引き出され、ペイアウトスライド8からの硬貨の払い出しが可能となる状態をいう。なお、払出状態において、ペイアウトリンク9は、係合突起9bにより直接係合される第1ペイアウトスライド8Aのみを引き出すが、第1ペイアウトスライド8Aと第2ペイアウトスライド8Bとは、前方で係止突起8A1と弾性を有する凸状の係止突起8B1とにより軽く係止されているため、規制がない限り、一体となって動くこととなる。
【0058】
図10は、硬貨払出装置3の払い出し無し状態を示す図であり、(a)が選択的払出部Xの斜視図、(b)が
図8(b)におけるB−B断面図である。
図11は、硬貨払出装置の1枚払い出し状態を示す図であり、(a)が選択的払出部Xの斜視図、(b)が
図9(a)におけるC−C断面図である。
図12は、硬貨払出装置の2枚払い出し状態を示す図であり、(a)が選択的払出部Xの斜視図、(b)が
図9(b)におけるD−D断面図である。
図10乃至
図12の(a)図では、主要部分の説明のため、コインチューブ6、ペイアウトカム10、及び硬貨Cを省略している。
【0059】
払い出し無し状態では、
図10(a)及び(b)に示すように、チェンジレバー12が第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bの双方の後端に当接しうる高さ位置(最下位置)となる。チェンジレバー12が第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bに当接すると、払出状態において、第1ペイアウトスライド8Aに当接する第1チェンジスライド11A及び第2ペイアウトスライド8Bに当接する第2チェンジスライド11Bの後方への移動がいずれも許容されない。
【0060】
この場合、第1チェンジスライド11Aの係止突起11A1がペイアウトリンク9のスライド孔9cの係止突起9c1を乗り越えることにより、係止状態が解除される。このため、ペイアウトリンク9が後方へ移動しても、第1チェンジスライド11Aは後方へ移動しない。また同様に、第2チェンジスライド11Bの係止突起11B1がペイアウトリンク9のスライド孔9dの係止突起9d1を乗り越えることにより、係止状態が解除される。このため、ペイアウトリンク9が後方へ移動しても、第2チェンジスライド11Bは後方へ移動しない。
【0061】
この場合、
図10(b)に示すように、第1ペイアウトスライド8Aに保持される硬貨C1の下方には第1チェンジスライド11Aが存在するため、硬貨C1は落下せず、第2ペイアウトスライド8Bに保持される硬貨C2の下方には第1ペイアウトスライド8Aが存在するため硬貨C2は落下しない。これにより、硬貨C1及び硬貨C2は、いずれも払い出されない。
【0062】
1枚払い出し状態では、
図11(a)及び(b)に示すように、チェンジレバー12が第2チェンジスライド11Bのみの後端に当接しうる高さ位置(中間位置)となる。チェンジレバー12が第2チェンジスライド11Bのみに当接すると、払出状態において、第1チェンジスライド11Aの後方への移動が許容される一方、第2チェンジスライド11Bの後方への移動は許容されない。
【0063】
この場合、第2チェンジスライド11Bの係止突起がペイアウトリンク9のスライド孔9dの係止突起9d1を乗り越えることにより係止状態が解除される。これにより、第2チェンジスライド11Bは、ペイアウトリンク9の移動に追随せず、後方へ移動しない。さらに、第2ペイアウトスライド8Bの係止突起8B1が第1ペイアウトスライド8Aに設けられた係止突起8A1を乗り越えて係止が解除される。このため、第2ペイアウトスライド8Bは、第1ペイアウトスライド8Aの移動に追随せず、後方へ移動しない。
【0064】
この場合、
図11(b)に示すように、第1ペイアウトスライド8Aに保持される硬貨C1の下方には第1チェンジスライド11Aが存在しないため硬貨C1は落下するが、第2ペイアウトスライド8Bに保持される硬貨C2の下方には第1ペイアウトスライド8Aが存在するため硬貨C2は落下しない。これにより、硬貨C1のみの1枚の払い出しがなされる。
【0065】
2枚払い出し状態では、
図12(a)及び(b)に示すように、チェンジレバー12が第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bのいずれの後端にも当接しえない高さ位置(最上位置)となる。すると、払出状態において、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bの後方への移動がいずれも許容される。この場合、
図12(b)に示すように、第1ペイアウトスライド8Aに保持される硬貨C1の下方には第1チェンジスライド11Aが存在せず、硬貨C1が落下し、第2ペイアウトスライド8Bに保持される硬貨C2の下方には第1ペイアウトスライド8Aが存在せず、硬貨C2も落下する。これにより、硬貨C1及び硬貨C2の2枚の払い出しがなされる。
【0066】
以上のように、チェンジレバー12、ソレノイド13等を含む機構が、第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)を単独で又は第1及び第2ペイアウトスライド8A,8B(第1及び第2払出摺動部材)を一緒に作動させるように選択する選択機構として機能する。すなわち、第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)を単独で作動することにより1枚の硬貨が払い出され、第1及び第2ペイアウトスライド8A,8B(第1及び第2払出摺動部材)を一緒に作動することにより2枚の硬貨が一度に払い出される(後述するように、3枚以上の硬貨を一度に払い出すようにすることも可能)。
【0067】
以上のように、本実施形態の硬貨払出装置3では、ペイアウトスライド8として、第1ペイアウトスライド8Aと第2ペイアウトスライド8Bとを上下に配設し、これに対応するチェンジスライド11として、第1チェンジスライド11Aと第2チェンジスライド11Bとをペイアウトスライド8に隣接するように配設し、且つチェンジレバー12を第1チェンジスライド11A又は第2チェンジスライド11Bのうちの幾つに当接させるかを決定する。これにより、第1チェンジスライド11A又は第2チェンジスライド11Bのそれぞれが第1ペイアウトスライド8A又は第2ペイアウトスライド8Bの摺動を規制し、払い出し枚数を決定する。これにより、1つのコインチューブ6に収納された硬貨の払い出し枚数を選択的に決定することができる。
【0068】
また、上記硬貨払出装置3において、第1ペイアウトスライド8Aと第2ペイアウトスライド8Bとが互いに係止されるように構成してもよい。これにより、他の部材、すなわち第1チェンジスライド11Aや第2チェンジスライド11Bによる規制がなければ、第1ペイアウトスライド8Aをペイアウトリンク9により引き出すのみで、第2ペイアウトスライド8Bをも引き出すことが可能となり、ペイアウトスライド8を効率的に引き出すことができる。
【0069】
また、上記硬貨払出装置3において、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bをそれぞれ、ペイアウトリンク9に対して係止される構成としてもよい。これにより、他の部材、すなわちチェンジレバー12による規制がなければ、ペイアウトリンク9を引き出すのみで、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bをも引き出すことが可能となり、第1チェンジスライド11A及び第2チェンジスライド11Bを効率的に引き出すことができる。
【0070】
また、上記硬貨払出装置3では、チェンジレバー12の移動を阻止するためのキープレバー15を有し、キープレバー15は、硬貨Cを1枚払い出す場合には、チェンジレバー12よりも前に動作し、チェンジレバー12の上方への移動を阻止する一方で、硬貨Cを2枚払い出す場合には、チェンジレバー12よりも後に動作しチェンジレバー12の下方への移動を阻止することとしている。このように、チェンジレバー12とキープレバー15のいずれかを先に動作させるかを決定するのみで、チェンジレバー12の位置を段階的に規定することができる。
【0071】
また、上記硬貨払出装置3においては、最下部の硬貨C1の払い出しを規制する第1チェンジスライド11Aと、最下部から2枚目の硬貨C2の払い出しを規制する第2チェンジスライド11Bの規制方法を変えている。具体的には、第1チェンジスライド11Aのみを硬貨の下方を支える規制方法とし、第2チェンジスライド11Bを第2ペイアウトスライド8Bの移動を規制するのみの簡単な規制方法とした。これにより、第1チェンジスライド11Aと第2チェンジスライド11Bとの間や、第1ペイアウトスライド8Aと第2ペイアウトスライド8Bとの間のスペースを取らない。したがって、選択的払出部X及び硬貨払出装置3をコンパクトに構成することができる。
【0072】
変形例として、第2チェンジスライド11B(第2払出規制部材)を設けることなく、チェンジレバー12によって第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)を直接規制するようにしてもよい。例えば、図示された第2ペイアウトスライド8Bと第2チェンジスライド11Bとを一体的に構成して、チェンジレバー12に当接しうる長さを持つ第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)とすることが可能である。あるいは、第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)は図示された程度の長さとし、チェンジレバー12の形状を変形して、該チェンジレバー12の一部が第2ペイアウトスライド8B(第2払出摺動部材)に当接しうるにしてもよい。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では第2チェンジスライド11Bを第2ペイアウトスライド8Bの移動を規制する方式とし、硬貨の支持は、硬貨の下方にあるペイアウトスライド8で支持することにしているので、このような第2ペイアウトスライド8B及び第2チェンジスライド11Bの組み合わせを重畳的に複数設けるようにしてもよい。例えば、第2ペイアウトスライド8B及び第2チェンジスライド11Bと同様の組み合わせからなる第3の(又はそれ以上の)ペイアウトスライド8及びチェンジスライド11を、第2チェンジスライド11Bの上方に配置すれば、1乃至3枚以上のいずれかの枚数の硬貨払い出しを選択的に行うことも可能となる。
【0074】
別の実施例として、1つの第2ペイアウトスライド8B及び第2チェンジスライド11Bの組み合わせにより1枚に限らず一度に2枚以上の硬貨を払い出すように構成してもよい(第2ペイアウトスライド8Bの厚みを2枚以上の所定枚数の硬貨を同時に払い出すような厚みとする)。例えば、第2ペイアウトスライド8B及び第2チェンジスライド11Bの組み合わせにより一度に2枚の硬貨を払い出すように構成した場合は、第1及び第2ペイアウトスライド8A,8Bを同時に作動させたとき一度に3枚の硬貨を払い出すことができる。
【0075】
また、第1及び第2ペイアウトスライド8A,8Bを選択的に動かすための選択機構は、上記実施例に示した構成からなるものに限らず、第1ペイアウトスライド8A(第1払出摺動部材)のみを動かして1枚の硬貨を払い出すことと、第1及び第2ペイアウトスライド8A,8B(第1及び第2払出摺動部材)の両方を動かして少なくとも2枚の硬貨を払い出すことのいずれかを選択することができる構成からなるものであればよい。例えば、第1及び第2チェンジスライド11A,11Bは、共通の駆動装置(ペイアウトリンク9及びペイアウトカム10等)を用いて複数のコインチューブ6のペイアウトスライド8を共通に駆動するという基本構成において、いずれか1以上のコインチューブ6から硬貨払い出しを選択(許可)するように機能しているので、そのような基本構成を採用しない場合は、適宜省略してよい。例えば、各コインチューブ6毎に個別の硬貨払出用駆動装置を使用する場合、あるいは、1個のコインチューブ6のみで硬貨払出装置を構成するような場合などにおいては、これらの第1及び第2チェンジスライド11A,11B(第1及び第2払出規制部材)を省略してよい。