【実施例】
【0014】
図1は、しおりを書籍に装着する状況を表す図であり、書籍(11)の任意の頁、
図1では裏表紙(17)の内側にしおり(1)を装着しようとしており、輪状の紐材(2)に裏表紙(17)の内外をくぐらせてしおり(1)を装着している。
このとき輪状の紐材(2)が輪ゴムのように伸び縮みする伸縮紐であれば、書籍(11)の厚みが薄い場合は図のように裏表紙(17)だけくぐらせ、厚みがあれば裏表紙(17)と複数の頁をまとめてくぐらせる形で書籍の中ほどに装着するなど、いろいろな厚みの書籍に容易に装着でき、サイズについても、例えば文庫本に装着していたしおり(1)を次は単行本に装着して使うことも可能で、いろいろな高さの書籍にも装着することができる。
【0015】
図2は、しおりの差し込み先端部を頁に差し込んだ図であり、読書中の頁に挟む一部と書籍に対するしおりの位置関係などについて説明する。
一般的にしおりは読みかけの頁に差し込んで目印にするものだが、中でも自動しおりと呼ばれるものは、書籍のどこかにセットして、そのセット位置よりも前方の読書する頁にしおりの一部を差し込んで使用することで、頁を捲ってもその一部が頁に居残ることになり常に読書中の頁を判別できるという特性を持っている。
図2の例では白鳥を模したしおり(1)を自動しおりとして使用するための装着状況を表しており、書籍(11)の裏表紙(17)を輪状の紐材(2)にくぐらせて装着したしおり(1)は、しおり固定部(5)である体の部分は裏表紙(17)の内側にあり、突出部(3)である首の付け根より上は書籍(11)より上に飛び出させており、差し込み先端部(4)である顔の部分が読書中の頁(12)に差し込まれている。
このとき、書籍(11)を閉じた場合しおり固定部(5)は頁に挟まれて隠れて良いが、突出部(3)は、どの頁にも挟まれないように書籍(11)の上または下より飛び出して、その先の差し込み先端部(4)はしおり固定部(5)の位置より前方の頁に差し込むことで自動しおりの効果を発揮する。
なぜなら、1枚の平坦なシートであるしおり(1)は、しおり固定部(5)と差し込み先端部(4)の双方が挟まれる頁が違い、その離れた距離により突出部(3)が撓むことになり、平坦な状態に戻ろうとする弾性力が働いて、差し込み先端部(4)が読書中の頁(12)に居残るため自動しおりとして役立つことになる。
【0016】
図3は、読書中の書籍としおりの関係を示す図であり、図示していないがしおりは裏表紙(17)の内側に装着され、突出部(3)は書籍(11)より上に突出して、差し込み先端部(4)が読書中の頁(12)に挟まった、
図2の状況から書籍(11)を開いた状態の図である。
このとき突出部(3)は、図示していないがしおり固定部がある裏表紙(17)の方へ戻ろうとする弾性力が働き、差し込み先端部(4)が左側の頁を裏表紙(17)の側へ押さえることになる。そのため図の矢印のように1枚の頁を右に捲ろうとしたとき、差し込み先端部(4)の先を潜り抜けて頁は右に捲ることができるが、差し込み先端部(4)は開いた頁に居残ることになり、書籍(11)を閉じたとしても、差し込み先端部(4)に沿って指を入れることで容易に読書中の頁を開くことができる。
この差し込み先端部(4)の位置は、本文の文字を隠すほど深くなく、書籍(11)から勝手に外れるほど浅くない必要があり、書籍サイズや紙質または頁を捲る使用者の癖によっては、差し込み先端部(4)が書籍の小口(16)の方へ寄っているほうが使い勝手が良い場合もあり、本発明のしおりであれば移動が可能で、その移動方法については
図4で説明する。
なお、この図の書籍(11)は日本語の小説のように左から右へ頁を捲るものを表しており、図の右端が表表紙(18)であり左側の裏表紙(17)にしおり(1)を装着しているが、海外の本や雑誌など逆に右から左へ頁を捲る場合は表裏が逆になるが、自動しおりの特性として、しおりは読書する頁より後方に装着し、差し込み先端部(4)は前方の頁に差し込むことで機能することに変わりはない。
【0017】
図4は、しおりを上下左右に移動する状況を表す図であり、書籍(11)に装着したしおり(1)の位置を、図中の矢印のように上下または左右に移動できる状況を表している。
本発明のしおり(1)は紐材(2)を書籍(11)の内外に輪状に掛けて装着しているため、紐材(2)を矢印(A)のように移動すれば、しおり(1)は書籍の天(13)または書籍の地(14)の方へ移動し、差し込み先端部(4)を矢印(a)の方向に深さ調整ができ、後に述べる紐連結部を用いた場合に紐材収納孔にゆとりがあれば、しおり(1)自体を手で持って書籍の天地方向に滑り移動することもできる。
また、紐材(2)を矢印(B)のように移動すれば、しおり(1)は書籍の背(15)または書籍の小口(16)の方へ移動し、差し込み先端部(4)を矢印(b)の方向に位置調整が可能である。
書籍の頁を捲る方法は人によっていくつかのパターンがあり、頁の下のほうを横滑りする捲り方や、頁の中央または上部を持って引き上げるような捲り方をする人もおり、差し込み先端部(4)の位置は書籍の背(15)に近いほうが捲り易い、書籍の小口(16)に近いほうかが捲り易いなど人それぞれである。また、奥行きの深い(前後に幅がある)書籍や紙質によってなど、書籍サイズや人の癖によって差し込み先端部(4)の最適な位置や深さは違うので、本発明のしおりであれば、読書中の頁に居残る差し込み先端部(4)を、使用者の好みや使い勝手に合わせて、横方向(書籍の奥行き方向)の位置および差込み深さを容易に変更調整することが可能である。
【0018】
図5は、装着紐のいろいろな形態を表す図であり、紐材としおりと書籍の関係を説明する図である。
紐材(2)を書籍の内外にくぐらせて装着するしおりの書籍の外観における紐材(2)は、左の書籍(A)は、厚みのある書籍の中ほどに装着して書籍の背(15)に紐材(2)があり、薄い書籍(B)では、裏表紙(17)の側面で書籍の背(15)の近くにあり、前後に大きい書籍(C)では、裏表紙(17)の側面だが書籍の背(15)から離れ、書籍の小口(16)の方へ寄せた位置に紐材(2)がある。
一般的に、薄い書籍に自動しおりを使うときは、しおり本体を裏表紙の近くに1度装着するだけで書籍を読み切るまで使えるが、書籍に厚みがあるとしおり本体の装着位置から差込み部分の長さが足りず機能しないので、図の書籍(A)のように書籍の中ほどに装着して、読み進めるにつれてしおりの装着位置を後方にセットし直す必要がある。弱粘着で頁に貼り付けてセットする自動しおりだと貼り換えるたびに粘着力が落ちて使えなくなるが、本発明の紐材(2)で装着するしおりは、紐の長さが十分である、または伸縮する紐材(2)を使用することで、書籍の背(15)にも裏表紙(17)の側面にも紐材(2)が回り込むので容易に装着場所を変えることができる。そして裏表紙(17)の側面に紐材(2)がある場合は、書籍(C)の矢印(D)のように移動することで、差し込み先端部(4)を使い勝手が良い位置に移動して使うことが可能となる。
なお、図中の書籍(A)には紐材が輪ゴム等ではなくリボンなど一般的な紐をリボン結びしており、本発明に使用する装着紐は伸縮の有無や形状・材質などに限定はない。後に述べる紐連結部を設けたしおりであれば、使用者の好みによって、例えば書籍の外観にビーズ装飾が並べばお洒落で女性好みになるし、皮紐などを書籍サイズに合わせた長さに調整固定する金属留め具があれば男性好みになるなど、装着紐はいろいろな素材やカラーの紐材でデザインを楽しむことができ、書籍ごとに、または使用者の気分で付け替えることも可能で、アレンジ性の高い自動しおりになる。
【0019】
図6は、しおりと紐連結のいろいろな形態を表す図であり、本発明のしおりに紐連結する方法はこれに限定するものではないが、いくつかの例を示して説明する。
(A)はしおりに紐材(2)を接着したものであり、(B)はしおりに複数の孔を設けて紐材(2)を順に孔に通して紐連結部(25)にて連結したものである。(C)はしおりに複数の切り溝を設けて紐材(2)を差し込んで紐連結部(25)にて連結し、(D)はしおりに折り返し部分と留め部を設けて紐材(2)を挟み込むことで紐連結部(25)にて連結する。この他にもしおりに筒を設けて紐を通す、爪を設けて紐を引っかける、U字型の金具などで圧着するなど紐連結の方法はいろいろある。
本発明のしおりは、紐の交換が容易にできることにより長期に使用できる自動しおりを提供する目的から、図(C)の紐連結部(25)について、このあと詳しく述べる。
【0020】
図7は、しおりの面に設けた切り溝を説明する図であり、複数の切り溝の配置により紐連結が容易な紐連結部について説明する。
この図では紐連結部(25)に焦点をあてて説明するため、しおり(1)の形状は単純に描写しており、しおり(1)の左端は、書籍に装着した際に書籍の背の側に沿う一辺であることを原則として説明する。
しおり(1)の左辺から横に離れた位置に、左辺と平行に紐材(2)を配置するための紐配置線(27)を仮想で設け、この紐配置線(27)に末端を並べる形でコの字状の切り溝と、左辺から紐配置線(27)に向けた切り溝を複数描写しており、これらの切り溝は、その末端に紐材(2)を収めたときに紐配置線(27)を中心として紐材(2)がしおり(1)の左辺と平行になるように配置する。
本発明では、しおり(1)のいずれの辺に架かることなく面の中にあるコの字状の切り溝を、面の切り溝(21)と称し、しおり(1)の左辺から紐配置線(27)に向けた切り溝を、端の切り溝(22)と称する。
図7では、しおり(1)の上側で面の向こう側(裏面)にある紐材(2)が、面の切り溝(21)で一旦表面に現れ再び裏面に入り、次の端の切り溝(22)で再び表面に現れる様子を表している。このあと紐材(2)は下の端の切り溝(22)で裏面に入り、次の面の切り溝(21)で一旦表面に出てまた裏面に入る形でしおり(1)と紐材(2)が連結できるのだが、その連結方法については
図9で詳しく述べる。
【0021】
図8は、切り溝の末端に設けた紐材収納孔の説明図であり、しおり(1)に端の切り溝(22)と面の切り溝(21)が配置されているが、その切り溝の末端には紐材収納孔が設けられている。
しおり(1)の左辺と平行な仮想の紐配置線(27)を中心軸とした孔を各切り溝の末端に設けることで、端の切り溝(22)に差し込んだ紐材は端の紐材収納孔(24)に、面の切り溝(21)に差し込んだ紐材は面の紐材収納孔(23)に収まることで、より安定して紐材を真っすぐに連結することができる。
本発明の中で説明する紐材収納孔は、この端の紐材収納孔(24)と面の紐材収納孔(23)を含めて紐材収納孔という。
本発明の紐連結部(25)は、
図7のように面の切り溝(21)や端の切り溝(22)を単体または併用して配置したものでも良いし、
図8のように、それらの切り溝の末端に紐材を納める紐材収納孔を設けた組み合わせでも良く、紐材を差し込む切り溝の組合せ、またはその末端に紐材収納孔を併用したそれらの集合体を紐連結部(25)という。
【0022】
図9は、紐連結部に紐材を連結する状況を表す図であり、しおり(1)の端辺から端の切り溝(22)へ、そしてしおり(1)表面から面の切り溝(21)へ、紐材(2)を挿入する状況を図示している。
端の切り溝(22)に紐材(2)を連結するには、しおり(1)の端辺の切断部から紐材(2)を差込んで末端の端の紐材収納孔(24)に納めるだけなので面の切り溝(21)よりも簡単であり、図ではしおり(1)の表面側から差し込んだ紐材(2)の先は裏面に回り、次の端の切り溝(22)に差し込んで表面に出る形で連結される。
面の切り溝(21)に紐材(2)を連結するには、図のようにしおり(1)に設けた面の切り溝(21)の開口部(26)を指で押し上げることにより、コの字が解放した側のしおり(1)の面を軸として扉のように切り溝の隙間が開き、紐材(2)を挿入することができる。
紙や樹脂など曲げても復元性のある素材は、通常は平坦でありながら力を加ええると一時的に湾曲し再び元に戻るので、コの字状の面の切り溝(21)は指で押すことで切り溝の隙間が開き、図のように表面にある紐材(2)を挿入して反対面に貫通させることができる。
このとき面の切り溝(21)の開口部(26)は表面から裏面に押しても逆に裏面から表面に押しても、紐材(2)がある側に押せば挿入でき、端の切り溝(22)は単数でも複数でも構わず、各々の切り溝末端または紐材収納孔に収めた紐材(2)は、あたかも針で布を縫った糸のように表・裏・表と繰り返し紐材(2)がしおり(1)を縫うように連結され、逆に外したいときは紐材(2)を各切り溝から引き抜くだけで、特別な道具も必要なく手指でしおり(1)と紐材(2)の着脱ができる。
なお、端の切り溝(22)は面の切り溝(21)よりも簡単に紐を連結できるだけではなく、しおり(1)のシワや湾曲を防ぐ効果もある。
本来しおり(1)には最低1つの面の切り溝(21)があれば紐材(2)を連結して書籍に装着できるが、しおり(1)が柔らかい素材の場合は、面の紐材収納孔(23)の間隔が離れると湾曲する可能性があるが、端の切り溝(22)を設けて紐材収納孔の間隔を狭めることで、しおり(1)の表面・裏面を紐材(2)が縫うように沿う間隔が細かくなることで、薄いシートで作るしおり(1)などの湾曲を防ぐことができる。
本発明の中で説明する切り溝は、この面の切り溝(21)と端の切り溝(22)を含めて切り溝という。
【0023】
図10は、いろいろな切り溝の形状を説明する図であり、紐材を連結する切り溝のいくつかの形状を説明する。
図10のしおり(1)には上から順に、これまで説明した(A)のコの字状の面の切り溝(21)と(B)の端の切り溝(22)があり、次の(C)端の切り溝(22)は、直角ではなくしおり(1)の左辺から斜めに紐配置線(27)に向かっており、下の(D)の面の切り溝(21)はU字状(円弧状)である。
いずれも切り溝の末端に紐配置線(27)を中心軸とした紐材収納孔が設けられており、
図9の連結方法と同じように、(D)のU字状(円弧状)の面の切り溝(21)も開口部(26)を押してUの字(円弧状)が解放した側のしおり(1)の面を軸として扉のように切り溝の隙間が開き、紐材(2)を挿入することができる。
面の紐材収納孔(23)および端の紐材収納孔(24)があることの効果は、より安定して真っすぐ紐材(2)を連結できることにあり、前述したように面の切り溝(21)は開口部(26)を押すことで一時的に切り溝が開いて紐材(2)を挿入でき、面の紐材収納孔(23)に紐材(2)を収めることで、本来の切り溝の幅より太い紐材(2)を連結することが可能で、かつ不用意に抜けにくくなる。自動しおりは突出部が撓むと述べたように、しおり(1)の素材によっては端の切り溝(22)も一時的に切り溝の幅より太い紐材(2)を挿入できる場合や、紐材(2)がゴムなど伸縮紐で一時的に細くなる場合も挿入可能であり、端の紐材収納孔(24)に収めることにより不用意に抜けず、いずれの紐材収納孔も紐材(2)が収まって安定しやすいため、
図7のような切り溝だけよりも、紐材収納孔があることにより、安定して紐配置線(27)の上に真っすぐ紐材(2)を連結できる。
図中の紐配置線(27)とは、しおり(1)の左辺に平行に紐材(2)を連結するため、しおり(1)の製作時に仮想で設ける指針となる線であり、紐配置線(27)に沿って紐材(2)がしおり(1)の表裏を縫うように連結されることを目的としているため、説明文章では紐配置線(27)の上に紐材(2)という書き方をしている。
それに対し、切り溝の場合は紐配置線(27)に必ずしも切り溝の末端が接するのではなく、
図7のように、面の切り溝(21)は紐配置線(27)より左に末端があり、端の切り溝(22)は紐配置線(27)より右に末端がある。
何故なら、紐配置線(27)に左右から向かう両方の切り溝の末端が揃っていたら、連結した紐材(2)はその太さの分ジグザグになってしまうからであり、あくまでも連結した紐材(2)が紐配置線(27)と同様に真っすぐになるよう切り溝を設ける必要があり、そのため切り溝は紐配置線(27)に向かう、または紐配置線(27)に並ぶと表現している。
このように、紐材(2)がしおり(1)の左辺と平行に真っすぐに連結されるということは、前述の
図5の(C)のようにしおりを書籍に装着したとき、しおりは書籍の背に平行で書籍の天地に垂直に正しく装着されることになり、しおりの移動と共に差し込み先端部を好みの位置に導くことが可能であり、かつ、図示していないが書籍の外側にある紐材を天地に対して斜めにすると、しおりも斜めになり、結果として差し込み先端部を斜めに傾けて、頁を捲る際に最適な角度に使用者が調整することもできる。
【0024】
図11は、紐連結部に輪状の紐材を連結したしおりの図であり、本発明の紐連結部付きのしおりを一例として白鳥の形を模して描写している。
図11のしおり(1)は、面の切り溝(21)の開口部(26)を裏面から表面側へ押した隙間に紐材(2)を差し込み、端の切り溝(22)では表面から裏面へ、そして裏面から表面へとしおり(1)の端辺から差し込み、また面の切り溝(21)で同様に差し込むことで、輪状の紐材(2)がしおり(1)を表・裏・表と繰り返して縫うように連結されている。
本発明の紐連結部(25)を設けたしおり(1)は、面の切り溝(21)と端の切り溝(22)そして紐材収納孔を適宜設けて構成し、紐材(2)を手指で切り溝に差し込んでいくだけでしおり(1)の表裏を縫うように連結可能であるため、輪ゴムなど輪状の紐材を連結することができる。そのため、紐材(2)が傷む、または切れたときには市販の輪ゴムを連結して使用することができる。
なお、この図で面の切り溝(21)および端の切り溝(22)の角部に丸みを持たせているのは、紐材(2)を連結するときに指を怪我しない、またスムースな挿入のためであり、本発明の切り溝はこの図の形状に限定するものではない。
そして、この後の説明に使用する図には、ほぼその位置に紐材(2)が接着または連結されるというイメージを伝えるため同じ紐連結部(25)を描写しているが、しおり(1)に紐材(2)を連結する方法は接着を含めいろいろな方法があり、紐材(2)が付く方向を示すために一例を用いた図にしているに過ぎない。
【0025】
図12は、しおりの他の形態を表す図であり、しおりの構成と突出部および差し込み先端部について説明する。
(A)はこれまでの図の説明で使用していた白鳥を模しており、(B)は猫、(C)は恐竜、(D)は音符の形状を描写したしおり(1)であり、総じていえることは、しおり固定部(5)の一方向に細長い突出部(3)を有し、その延長上には、しおり固定部(5)のほうへ張り出した差し込み先端部(4)を備えている。
これまで説明したように、しおり固定部(5)は書籍の頁に挟まれる形で装着し、突出部(3)は書籍より突出して、その先の差し込み先端部(4)が再び頁に挟まれる。そのとき、しおり固定部(5)と差し込み先端部(4)は複数の頁をまたがるように配置位置が違うため突出部(3)は撓むことになり、戻ろうとする弾性力が働いて自動しおりの役割を果たす。
そのため、突出部(3)は書籍から飛び出す量が邪魔にならない幅で、適度に撓み・戻ることが可能な弾性力と細さで、書籍の適度な位置に差し込み先端部(4)を挟むための長さを有し、撓むことが可能な付け根の細さを有してさえいれば自動しおりとして機能し、その形状は図の例に限定されるものではない。
その先にある差し込み先端部(4)についても、頁を捲る妨げにならない大きさであれば何ら問題なく、頁への掛かりが深すぎる場合は本発明のメリットである移動調整で対応可能であるし、差し込み先端部(4)またはしおり(1)自体が透過していても本文を読む妨げにはならず、これらの要素を備えた構成でさえあれば、自由な発想でしおり(1)の形状をデザインできる自動しおりである。
【0026】
図13は、突出部のいろいろな形態を表す図であり、ここではイメージが伝わりやすいように
図4のように書籍を立てたときの向きでしおり(1)を描写している。
前述したように、突出部(3)は書籍から飛び出す量が邪魔にならない幅で、適度に撓み・戻ることが可能な細さで、書籍の適度な位置に差し込み先端部(4)を挟むための長さを有し、撓むことが可能な付け根の細さを有してさえいれば自動しおりとして機能するので、(A)のように真っすぐでも(B)のように湾曲しても(C)のように複数に分かれても問題ない。
基本的に本発明のしおり(1)は、紐連結部(25)に連結した紐で書籍の任意の頁または表紙の内側などに装着してしおり固定部(5)が書籍内に挟まり、書籍から突出する突出部(3)が頁に挟まれることなく適度に撓み、複数頁をまたいだ読書中の頁に差し込み先端部(4)を差し込むことで自動しおりとして機能するので、紐連結部(25)を有するしおり固定部(5)はもっと大きくても小さくても複雑な形状であっても問題なく、差し込み先端部(4)が頁内に納まりさえすれば、突出部(3)は書籍の大きさによってはもっと長くても何ら問題ない。
【0027】
図14は、しおりの販促用利用の形態を表す図であり、文字やロゴの形状を利用、または文字や図柄をプリントして自動しおりになる名刺など、宣伝や販売促進に利用する一例を示す。
(A)は仮の社名を文字の形状に加工したしおり(1)で、頭文字が突出部(3)と差し込み先端部(4)に利用できるパターンを図にしたものであり、(B)は社名など連絡先をプリントしたシートの一部に切込みを入れるだけで、突出部(3)と差し込み先端部(4)の機能を持たせた名刺をイメージした図である。
(A)ようにインパクトのある形状の販促物や、(B)のように名刺や宣伝の書かれたシートであっても、後々自動しおりで活用してもらえるものであれば、簡単に捨てられることなく顧客への印象や覚えが良く、読書のたびに開いた頁に差し込み先端部(4)が居残るので、企業のロゴやキャラクターが目につくなど、宣伝効果や好感度が高いノベルティ商品を安価に製造可能である。
【0028】
図15は、紐連結部のいろいろな形状を表す図であり、ここまではシートに面の切り溝2つとその間に端の切り溝を設けた図で説明してきたが、他の紐連結部の例をここで述べる。
少なくとも1つの面の切り溝(21)があればしおり(1)と紐材を連結し書籍に装着可能で、端の切り溝(22)を併せることで素早く紐を連結できるだけではなく、シートの表裏を縫うように紐が連結される間隔が細かくなってシワや湾曲を防ぐ点は述べてきた通りで、そのため(A)のように面の切り溝(21)の両側に端の切り溝(22)を設けても、(B)のように面の切り溝(21)の面の紐材収納孔(23)の間に端の切り溝(22)を設けても問題なく、各々の紐材収納孔を順に通過した紐は、しおり(1)の表裏を縫うように連結される。
これら紐材収納孔は、これまで切り溝を中心軸として両側に振り分けた丸孔で描写してきたが、(C)のように切り溝に接して左右のいずれかに偏って配置しても良く、四角や楕円など、紐を納めて連結しやすければ孔の形状や向きは自在に設けることができる。よって(D)のように面の切り溝(21)の末端が広くなっていることでも面の紐材収納孔(23)としての機能は賄え、このように紐材を容易に連結するための紐連結部(25)の構成は、いろいろなパターンや組み合わせが可能である。
【0029】
図16は、シート複数枚を重ねた一例を表す図であり、白鳥と蝶々を模したしおりを描写している。
(A)は3枚のシートを重ねているが、中央のシートが白鳥の形状であるのに対し、両側のシートは嘴・目・羽の一部・尾を抜いた形状をしており、このしおり(1)を側面から見ると、4か所の抜けた部位だけ中央のシートのカラーが見えることになる。デザインが斬新であるのはもちろんのこと、書籍に差し込まれる差し込み先端部(4)は、シートが1枚である柔軟さがあり書籍の紙を傷めず、突出部(3)やしおり固定部(5)は厚みが増し、そのため突出部(3)には撓んで戻る弾性力を持たせる構造となる。
(B)は両側の蝶々の羽は薄いシートで、体から突出部(3)と差し込み先端部(4)は厚みがあるシートで構成しており、両側の羽は2枚別々でも良いし、体の腹の側で2つ折りになった1枚のシートでも良い。蝶々の羽は薄く柔らかくても、紐連結部(25)は厚みがある身体と羽を合わせて紐で連結されるためしおり固定部(5)として問題なく、体の延長にある突出部(3)および差し込み先端部(4)も同一素材で、弾性力があるため自動しおりとして使用可能である。
ようするに、しおり固定部(5)は紐連結部(25)を設けて紐材を連結して書籍に装着できて、突出部(3)は撓んで戻る弾性力を備えて、差し込み先端部(4)は頁を捲る妨げにならない柔軟さと大きさであれば、本発明のしおりは複数のシートを共に連結できる紐連結部(25)を有していれば、斬新で多彩なデザインの自動しおりを製作可能である。
【0030】
図17は、しおりに他の機能を備えた一例を表す図であり、書籍に装着するしおりを文具として活用する例を示している。
(A)は1枚のシートを2つ折りにして紐連結部(25)を設け、その上部に突出部(3)と差し込み先端部(4)があり、しおり固定部(5)の右側も同一シートが折り畳んだ状態であり、この右側前面は矢印のように開くことができる。
(A)を書籍に装着した状態が(B)であり、中には付箋が収まっており、必要に応じて書籍の頁に付箋を貼り付けることができる。このとき紐連結部(25)側を2つ折りにしているのは、右側前面を閉じたときに勝手に開かないように止める部位を設けたのであって、形状はこの図に限定しない。
この他にも、しおり固定部(5)にはポケットを設けたりメモ用紙を付けることもでき、邪魔にならなければしおり固定部(5)に、または紐材(2)に筆記具を付けて書籍の内外どちらかに筆記具が装着されているなど、読書や勉強中に利用できるアイテムを備えたしおりを製作することもできる。
その他にも、図示していないが
図16の(B)のような構成で、蝶々の羽2枚が例えば表紙で、その中に同じ形状で複数枚のメモ用紙が束ねられているといった文具も制作可能で、読書や勉強中の頁に差し込み先端部(4)が挟まったまましおり固定部(5)のある頁を開いてメモ用紙にメモする、または切り取って読書中の頁にメモを挟むといった活用も可能である。