(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車などの車両のガラス窓を洗浄するため、洗浄液などの液体を前記ガラス窓に向けて噴射するウォッシャーノズルが記載されている。
例えば、
図1に示すように、自動車90は、ウォッシャーノズル10Zを備える。ウォッシャーノズル10Zは、フロントガラス91に向けて洗浄液を噴射する。洗浄液は、霧状に噴射されるのではなく、まとまった液流81Zとして噴射される。これにより、横風などの影響を受けることなく、フロントガラス91の所望の位置に前記洗浄液を当てることができる。
液流81Zの噴射方向は、噴射中央方向82を中心とする二つの噴射限界方向83及び84の間を繰り返し往復する。これにより、噴射中央方向82を中心とする角±θの範囲内に洗浄液が噴射される。このとき、噴射限界方向83及び84には、液束85及び86、すなわち他の領域よりも多い洗浄液が当たる領域が形成される。
【0003】
ウォッシャーノズル10Zは、本体11Zと、噴射ノズル12Zとを備える。本体11Zは、自動車90から供給される洗浄液を、噴射ノズル12Zに供給する。噴射ノズル12Zは、本体11Zから供給される洗浄液を外部に噴射する。
図2及び
図3に示すように、噴射ノズル12Zは、球体を基本とする形状である。噴射ノズル12Zは、本体11Zに設けられた球形を基本とする形状の空間(不図示)に嵌合することにより、洗浄液の噴射方向を微調整することができるよう固定されている。噴射ノズル12Zは、ケース21Zと、チップ22とを備える。ケース21Zは、B側からF側へ向かって凹設された凹部を有する。チップ22は、ケース21Zの凹部に係合することにより、ケース21Zに固定されている。
チップ22のB側には、供給口25が設けられている。供給口25は、本体11Zから洗浄液の供給を受ける。ケース21Zとチップ22との間には、発振室24が設けられている。発振室24は、供給口25から供給された洗浄液を発振させる。ケース21ZのF側には、噴射部23Zが設けられている。噴射部23Zは、発振室24で発振した洗浄液を外部に噴射する。
【0004】
発振室24は、直方体を基本とする形状の空間であり、内部に2つの隔壁41が設けられている。2つの隔壁41は、発振室24を主流路42と二つの副流路43とに分けている。供給口25から供給された洗浄液は主流路42に入り、コアンダ効果により、いずれか一方の隔壁41に引き寄せられる。このため、洗浄液は、供給口25の中心から主流路42の中心を通る基準軸に沿って進むのではなく、基準軸よりもL側又はR側に傾いた方向へ進む。主流路42を通った洗浄液の一部は、噴射部23Zから外部に噴射される。残りは、発振室24のF側の内壁に当たって、隔壁41の裏側に回り込み、副流路43を通って、発振室24のB側に戻り、供給口25から発振室24に入る洗浄液に横から合流する。例えば、主流路42を通る洗浄液がL側の隔壁41に引き寄せられたとすると、L側の副流路43を通って洗浄液が還流する。還流した洗浄液が主流路42を通る洗浄液に合流することにより、主流路42を通る洗浄液の進行方向が曲げられる。主流路42を通る洗浄液にL側の副流路43を通った洗浄液が合流すると、主流路42を通る洗浄液の進行方向がR側に曲がり、基準軸よりもR側に傾く。すると、主流路42を通る洗浄液は、R側の隔壁41に引き寄せられ、R側の副流路43を通って洗浄液が還流する。これにより、今度は、主流路42を通る洗浄液の進行方向がL側に曲がり、基準軸よりもL側に傾く。これを繰り返すことにより、主流路42を通る洗浄液の進行方向が発振する。すなわち、あるときはL側に偏った方向へ、またあるときはR側に偏った方向へと、基準軸に平行なF方向を中心として繰り返し往復して変化する。
【0005】
噴射部23Zは、発振室24と外部とを接続する通路を有する。通路のB側には、洗浄液が発振室24から流入する入口31Zが設けられている。通路のF側には、通路を通った洗浄液が外部に放出される出口32Zが設けられている。出口32Zの幅は、入口31Zよりも大きい。入口31Zと出口32Zとの間には、ガイド34Zが設けられている。L側及びR側のガイド34Zは、F方向に対して角度θをなしている。発振室24で発振した洗浄液は、入口31Zから噴射部23Zに入り、ガイド34Zに案内されて、出口32Zから外部に噴射される。入口31Zから噴射部23Zに入る洗浄液の進行方向がF方向を中心として発振しているので、噴射部23Zから噴射される洗浄液の噴射方向は、ガイド34Zによって規制される範囲、すなわちF方向を中心とする角±θの範囲内で、繰り返し往復して変化する。
【0006】
洗浄液が当たる領域を広げるため、
図4に示すように、ウォッシャーノズル10Zを複数設けてもよい。
図5に示すウォッシャーノズル10Yは、一つの本体11Yと、複数の噴射ノズル12Zを備える。複数の噴射ノズル12Zは、それぞれ異なる向きに配置され、それぞれ異なる方向に洗浄液を噴射する。これにより、
図6に示すように、一つのウォッシャーノズル10Yで洗浄液が当たる領域を広くすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のウォッシャーノズルは、ガイドの角度θを大きくし過ぎると、洗浄液が角±θよりも小さい範囲にしか噴射されない。例えば90度など広い範囲に洗浄液を噴射したい場合には、前述したように、複数の噴射ノズル又はウォッシャーノズルを設けるなどの対策が必要になる。
また、L側のガイドの角度をR側のガイドと異なる角度にすると、洗浄液が安定して噴射されない。斜めに洗浄液を噴射したい場合には、噴射ノズル又はウォッシャーノズル全体を傾けて、洗浄液を噴射したい方向に向ける必要がある。
また、前述したように、噴射限界方向に液束が形成される。噴射ノズルの数を増やすと液束の数も増えることになり、液束の数を任意に設定することができない。
本発明は、このような課題を解決し、洗浄液などの液体を所望の範囲に安定して噴射することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るウォッシャーノズルは、液体の供給を受ける供給口と、前記供給口から供給された液体を発振させる発振室と、前記発振室で発振した液体を外部に噴射する噴射部とを備え、前記噴射部は、前記発振室と外部とを接続する通路を有し、前記発振室から前記通路に前記液体が流入する入口と、前記通路から外部に前記液体が放出される出口と、前記入口と前記出口との間に設けられ、前記入口及び前記出口よりも幅が狭い噴射口と、前記噴射口と前記出口とを接続する外部ガイドと、前記入口と前記噴射口とを接続し、前記発振室で発振した液体を前記外部ガイドへ導く内部ガイドと、を有する。
前記発振室は、基準軸に沿って前記液体を進行させつつ、第一及び第二の方向の間の範囲で、前記液体の進行方向を繰り返し往復して変化させる。
前記第一の方向の側において前記噴射口の内周と前記出口の内周とを結ぶ第一の外部直線と、前記第二の方向の側において前記噴射口の内周と前記出口の内周とを結ぶ第二の外部直線とがなす外部展開角度が、前記第一の方向の側において前記入口の内周と前記噴射口の内周とを結ぶ第一の内部直線と、前記第二の方向の側において前記入口の内周と前記噴射口の内周とを結ぶ第二の内部直線とがなす内部展開角度よりも大きくないことが好ましい。
前記外部展開角度を二等分する外部中心線が、前記内部展開角度を二等分する内部中心線と実質的に同一であることが好ましい。
前記第一及び第二の方向のうち少なくとも一方の側において前記外部直線と前記基準軸とがなす外部角度が、反対側において前記内部直線と前記基準軸とがなす内部角度よりも大きくないことが好ましい。
前記外部中心線が、前記基準軸と平行ではないことが好ましい。
前記第一及び第二の方向のうち少なくとも一方の側において前記内部直線が、前記基準軸と実質的に平行であることが好ましい。
前記ウォッシャーノズルは、一つの発振室に接続された複数の噴射部を備えることが好ましい。
第一の噴射部における前記外部中心線が、第二の噴射部における前記外部中心線と平行ではないことが好ましい。
第一の噴射部における前記第一の外部直線が、第二の噴射部における前記第二の外部直線と実質的に平行であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるウォッシャーノズルによれば、噴射部の入口と出口との間に噴射口を設け、内部ガイドで噴射部の入口と噴射口とを接続し、外部ガイドで噴射部の噴射口と出口とを接続したので、発振室で発振した液体が内部ガイドによって噴射口に導かれ、噴射口を通った液体が逆側の外部ガイドに導かれる。これにより、噴射角が大きい場合や、噴射方向が傾いている場合でも、液体を安定して噴射することができる。
外部展開角度が内部展開角度以下であれば、外部展開角度の範囲に、液体を安定して噴射することができる。
外部中心線が内部中心線と実質的に同一であれば、液体を更に安定して噴射することができる。
基準軸と一方の外部直線とがなす角度が、基準軸と反対側の内部直線とがなす角度以下であれば、液体を更に安定して噴射することができる。
外部中心線が基準軸と平行でなければ、基準軸と異なる方向に、液体を安定して噴射することができる。
一方の内部直線が基準軸と実質的に平行であれば、反対側に液束ができるのを抑制することができる。
一つの発振室に複数の噴射部を接続すれば、一つの噴射ノズルで広い範囲に液体を噴射することができる。
第一の噴射部の外部中心線が、第二の噴射部の外部中心線と平行でなければ、異なる方向に液体を噴射することができる。
第一の噴射部の第一の外部直線と、第二の噴射部の第二の外部直線とが実質的に平行であれば、二つの噴射部から噴射される液体の範囲が連続し、広い範囲に液体を噴射することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
図7に示すように、ウォッシャーノズル10Aは、本体11Aと、噴射ノズル12Aとを備える。本体11Aは、自動車などから供給される洗浄液を、噴射ノズル12Aに供給する。噴射ノズル12Aは、本体11Aから供給される洗浄液を外部に噴射する。
図8乃至
図11に示すように、噴射ノズル12Aは、球体を基本とする形状である。噴射ノズル12Aは、本体11Aに設けられた球形を基本とする形状の空間(不図示)に嵌合することにより、洗浄液の噴射方向を微調整することができるよう固定されている。噴射ノズル12Aは、ケース21Aと、チップ22とを備える。チップ22は、
図2及び
図3で説明したものと同様である。ケース21Aは、B側からF側へ向かって凹設された凹部を有する。チップ22は、ケース21Aの凹部に係合することにより、ケース21Aに固定されている。
ケース21AのF側には、噴射部23Aが設けられている。噴射部23Aは、発振室24で発振した洗浄液を外部に噴射する。
【0013】
噴射部23Aは、発振室24の基準軸、すなわち発振室24で発振した洗浄液が進む中心軸の正面に配置されている。この例では、発振室24が左右対称に構成されているので、発振室24の基準軸は、発振室24の左右対称軸に一致している。したがって、噴射部23Aは、発振室24の左右対称軸を中心とする位置に配置されている。
噴射部23Aは、発振室24と外部とを接続する通路を有する。通路のB側には、洗浄液が発振室24から流入する入口31Aが設けられている。通路のF側には、通路を通った洗浄液が外部に放出される出口32Aが設けられている。通路の途中、すなわち入口31Aと出口32Aとの間には、噴射口33Aが設けられている。入口31Aと噴射口33Aとの間は、内部ガイド35Aで接続され、噴射口33Aと出口32Aとの間は、外部ガイド36Aで接続されている。
噴射部23Aの通路は、U−D方向の高さが実質的に一定である。しかし、L−R方向の幅は一定ではなく、噴射口33Aの幅は、入口31A及び出口32Aよりも小さい。なお、出口32Aの幅は、入口31Aより大きくてもよいし、小さくてもよい。L側及びR側の外部ガイド36Aの内壁は、実質的に平らである。L側の外部角度θ
11、すなわち、L側の外部ガイド36AがF方向となす角度は、R側の外部角度θ
12、すなわち、R側の外部ガイド36AがF方向となす角度と実質的に等しい。
【0014】
噴射ノズル12Aは、噴射中央方向82を中心とする二つの噴射限界方向83及び84の間の範囲内の方向に洗浄液を噴射する。噴射中央方向82は、F方向と平行である。L側の噴射限界角度、すなわち、噴射中央方向82と噴射限界方向84とがなす角度は、L側の外部角度θ
11にほぼ等しい。R側の噴射限界角度、すなわち、噴射中央方向82と噴射限界方向83とがなす角度は、R側の外部角度θ
12にほぼ等しい。
噴射部23Aの途中に噴射口33Aを設け、噴射部23Aの入口31Aと噴射口との間を内部ガイド35Aで接続しているので、外部角度θ
11及びθ
12が大きくても、噴射限界方向83から噴射限界方向84までの範囲内の方向に安定して洗浄液を噴射することができる。
【0015】
<実施形態2>
図12は、上述した噴射部23Aとは異なる形状の噴射部23Bを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Bを有してもよい。
この例において、噴射口33Bは、上述した噴射口33AよりもF側に位置する。このように、噴射口の位置は、入口と出口との間であればよく、入口に比較的近い位置であってもよいし、入口と出口との中間付近であってもよい。更に、出口に比較的近い位置であってもよい。
L側及びR側の内部ガイド35Bの内壁は、実質的に平らである。L側の内部ガイド35BがF方向となす内部角度θ
21は、R側の内部ガイド35BがF方向となす内部角度θ
22と等しい。
発振室24の基準軸241は、発振室24で発振した洗浄液が進む中心軸であり、発振室24の左右対称軸と異なっていてもよい。そもそも、発振室24は、対称でなくてもよい。
内部中心線353は、二つの内部直線351及び352がなす角を二等分する直線であり、基準軸241と実質的に一致している。ここで、内部直線351は、U−D方向に垂直な平面内の直線であり、L側における入口31Bの内周、すなわちL側の内部ガイド35BのB側の端311と、L側における噴射口33Bの内周、すなわちL側の内部ガイド35BのF側の端333とを結ぶ。内部直線352は、U−D方向に垂直な平面内の直線であり、R側における入口31Bの内周、すなわちR側の内部ガイド35BのB側の端312と、R側における噴射口33Bの内周、すなわちR側の内部ガイド35BのF側の端334とを結ぶ。
外部中心線363は、二つの外部直線361及び362がなす角を二等分する直線であり、基準軸241と実質的に一致している。ここで、外部直線361は、U−D方向に垂直な平面内の直線であり、L側における噴射口33Bの内周、すなわちL側の外部ガイド36BのB側の端333と、L側における出口32Bの内周、すなわちL側における外部ガイド36BのF側の端321とを結ぶ。外部直線362は、U−D方向に垂直な平面内の直線であり、R側における噴射口33Bの内周、すなわちR側の外部ガイド36BのB側の端334と、R側における出口32Bの内周、すなわちR側における外部ガイド36BのF側の端332とを結ぶ。
噴射口33Bは、基準軸241に対して実質的に垂直に配置されている。噴射口33Bの中心331は、基準軸241上に位置する。
【0016】
発振室24で発振した洗浄液がF方向よりL側に偏った方向に進行してL側の内部ガイド35Bに当たると、L側の内部ガイド35Bに沿って進んで噴射口33Bを通過する。このとき、洗浄液の進行方向は、F方向に対して内部角度θ
21をなすR側に偏った方向である。噴射口33Bを通過した洗浄液がR側の外部ガイド36Bに当たると、R側の外部ガイド36Bに沿って進んで出口32Bから外部に放出される。このとき、洗浄液の進行方向、すなわち噴射方向は、F方向に対して外部角度θ
12をなすR側に偏った方向である。したがって、R側の噴射限界角度は、L側の内部角度θ
21とR側の外部角度θ
12とのうちの小さい方と実質的に等しい。
L側の噴射限界角度についても、同様である。すなわち、L側の噴射限界角度は、R側の内部角度θ
22とL側の外部角度θ
11とのうちの小さい方と実質的に等しい。
このように、内部ガイド35Bに当たった洗浄液が噴射口33Bを通って逆側に噴射されるので、従来よりも広い範囲に安定して洗浄液を噴射することができる。
【0017】
特に、L側の内部角度θ
21がR側の外部角度θ
12より大きいか又は等しければ、R側の噴射限界角度は、R側の外部角度θ
12と実質的に一致する。同様に、R側の内部角度θ
22がL側の外部角度θ
11より大きいか又は等しければ、L側の噴射限界角度は、L側の外部角度θ
11と実質的に一致する。これにより、外部角度θ
11及びθ
12によって規定される範囲内に、安定して噴射液を噴射することができる。このとき、内部展開角度θ
2、すなわち二つの内部角度θ
21及びθ
22の和は、外部展開角度θ
1、すなわち二つの外部角度θ
11及びθ
12の和より大きいか又は等しい。
【0018】
<実施形態3>
図13は、更に異なる形状の噴射部23Cを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Cを有してもよい。
この例において、噴射口33Cは、F−B方向に所定の長さを有する。このように、噴射口の長さは、噴射部の通路全体の長さよりも短ければ、長くてもよいし、短くてもよい。
この場合も、内部中心線353及び外部中心線363は、基準軸241と実質的に一致している。噴射口33Cは、基準軸241に対して実質的に垂直に配置されている。すなわち、L側における内部直線351と外部直線361とが交わる点と、R側における内部直線352と外部直線362とが交わる点とを結ぶ線分を、基準軸241が垂直に二等分する。なお、この場合、内部直線351及び352は、内部ガイド35CのB側の端、すなわち入口31Cの内周311及び312と、内部ガイド35CのF側の端、すなわち噴射口33CのB側の端における内周335及び336とをそれぞれ結ぶ直線であり、外部直線361及び362は、外部ガイド36CのB側の端、すなわち、噴射口33CのF側の端における内周337及び338と、外部ガイド36CのF側の端、すなわち、出口32Cの内周321及び322とを結ぶ直線である。
【0019】
<実施形態4>
図14は、更に異なる形状の噴射部23Dを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Dを有してもよい。
この例において、L側及びR側の内部ガイド35Dは、曲面である。例えば、円弧、楕円弧、正弦曲線、余弦曲線、双曲線、トロコイド曲線などの代数曲線やその他の曲線からなる柱面であってもよいし、U−D方向の位置によって断面形状が変化する曲面であってもよい。なお、内部ガイドは、内部直線351及び352よりも窪んだ形状であることが好ましい。
このように、内部ガイドは、平面に限らず、曲面であってもよい。更に、複数の平面や曲面からなる形状であってもよい。外部ガイドも同様である。
【0020】
<実施形態5>
図15は、更に異なる形状の噴射部23Eを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Eを有してもよい。
この例において、二つの外部角度θ
11及びθ
12は等しくない。同様に、二つの内部角度θ
21及びθ
22は等しくない。したがって、内部中心線353及び外部中心線363は、基準軸241と一致しない。しかし、内部中心線353と外部中心線363とは、実質的に一致している。すなわち、噴射部23Eの形状は、中心331の周りで噴射部23Bを所定の角度回転させて得られる形状に相当する。
【0021】
このように、噴射部全体を傾けた場合であっても、R側の内部角度θ
22がL側の外部角度θ
11より大きいか又は等しければ、R側の内部ガイド35Eに当たった洗浄液がL側の外部ガイド36Eに確実に当たるので、L側の噴射限界角度は、L側の外部角度θ
11と実質的に一致する。同様に、L側の内部角度θ
21がR側の外部角度θ
12より大きいか又は等しければ、R側の噴射限界角度は、R側の外部角度θ
12と実質的に一致する。これにより、外部角度θ
11及びθ
12によって規定される範囲内に、安定して噴射液を噴射することができる。
このように、二つの外部角度θ
11及びθ
12を異なる角度とすることにより、F方向とは異なる方向を中心とする範囲に洗浄液を噴射することができる。
【0022】
<実施形態6>
図16は、更に異なる形状の噴射部23Fを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Fを有してもよい。
この例において、R側の外部直線362は、基準軸241と実質的に平行である。別の言い方をすれば、R側の外部角度θ
12は、ほぼ0である。すなわち、噴射口よりも出口のほうが幅が広く、外部ガイドが全体として外広がりであればよいのであって、一方の外部直線が外広がりではなく、基準軸241と平行であってもよい。
<実施形態7>
図17は、更に異なる形状の噴射部23Qを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Qを有してもよい。
この例において、噴射部23Qは、噴射部23Fよりも全体の傾きが大きく、R側の外部直線362は、内側に傾いている。別の言い方をすれば、R側の外部角度θ
12が負である。このように、内部角度が負にならない限り、一方の外部直線が内広がりになるほど、噴射部全体を傾けてもよい。これにより、洗浄液の噴射方向を大きく傾けることができる。
【0023】
<実施形態8>
図18は、更に異なる形状の噴射部23Gを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Gを有してもよい。
この例において、噴射部23Gは、形状としては噴射部23Bと同様であるが、配置が異なる。噴射部23Gは、発振室24で発振した洗浄液の進行方向の正面からL方向に少しずれた位置に配置されている。すなわち、噴射口33Gの中心331は、基準軸241上にない。このように、噴射部は、発振室24で発振した洗浄液の進行方向の正面からL方向又はR方向にずれた位置に配置されていてもよい。内部中心線353及び外部中心線363は、基準軸241と実質的に平行である。
【0024】
このように、噴射部の位置をL方向又はR方向に変位させると、洗浄液の噴射範囲も、噴射部の変位量とほぼ同じだけL方向又はR方向に変位するが、洗浄液の噴射方向は、変わらない。すなわち、L側の噴射限界角度は、L側の外部角度θ
11と実質的に等しく、R側の噴射限界角度は、R側の外部角度θ
12と実質的に等しい。
【0025】
<実施形態9>
図19は、更に異なる形状の噴射部23Hを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Hを有する構成であってもよい。
この例は、噴射部23Eと噴射部23Gとを組み合わせたものである。すなわち、噴射部23Hは、形状としては噴射部23Eと同様であるが、配置が異なり、発振室24で発振した洗浄液の進行方向の正面からL方向に少しずれた位置に配置されている。このように、上述した複数の実施形態を任意に組み合わせてもよい。
【0026】
噴射部23Hは、噴射部23Eと同様、L側に傾いていることにより、洗浄液の噴射方向がL方向に傾く。噴射部全体をL側に傾けると、噴射部の入口の中心は、R方向に変位することになるが、噴射部全体をL方向にずらしたことにより、入口の中心がL方向に変位するので、変位量が相殺し、入口31Hは、発振室24で発振した洗浄液の進行方向のほぼ正面に位置する。このように、噴射部全体を傾けた方向と同じ方向に噴射部全体を変位させることにより、入口の位置がずれるのを防ぐことができる。これにより、噴射部全体を大きく傾けることが可能となるので、洗浄液の噴射方向を大きく傾けることができる。
【0027】
図20に示すように、噴射部23E乃至23Hのように洗浄液の噴射方向を傾けることができる噴射部を有するウォッシャーノズル10Aを用いることにより、ウォッシャーノズル10Aの向きを変えることなく、洗浄液の噴射方向を変えることができる。自動車90の側の構造を変える必要はなく、ウォッシャーノズル、それも噴射ノズルだけを交換すれば、洗浄液の噴射方向を任意に変えることができる。
【0028】
<実施形態10>
図21は、更に異なる形状の噴射部23Jを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射部23Aの代わりに、噴射部23Jを有してもよい。
この例において、L側の内部直線351は、基準軸241と実質的に平行である。別の言い方をすれば、L側の内部角度θ
21は、ほぼ0である。すなわち、噴射口よりも入口のほうが幅が広く、内部ガイドが全体として内広がりであればよいのであって、一方の内部直線が内広がりではなく、基準軸241と平行であってもよい。また、上述した実施形態のうちの一つ又は複数と組み合わせてもよい。
【0029】
L側の内部直線351が基準軸241とほぼ平行なので、L側の内部ガイド35Jに当たる洗浄液の量が少なくなる。内部ガイド35Jに当たった洗浄液は逆側に噴射されるので、F方向よりもR側に噴射される洗浄液の量が少なくなり、R側に液束が形成されるのを抑制することができる。
【0030】
図22に示すように、噴射部23Jのように液束の形成を抑制できる噴射部を有するウォッシャーノズル10Aを用いることにより、液束の数を減らすことができる。
【0031】
<実施形態11>
図23及び
図24は、異なる形状の噴射ノズル12Kを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射ノズル12Aの代わりに、噴射ノズル12Kを有してもよい。
この例において、噴射ノズル12Kは、一つの発振室24に対して、二つの噴射部23K及び23Lを有する。噴射部23K及び23Lは、U−D方向に垂直な隔壁26Kによって隔てられている。噴射部23Kは、隔壁26KのU側に配置され、噴射部23Lは、隔壁26KのD側に配置されている。
これにより、一つの噴射ノズル12Kで、二つの液流を噴射することができる。
なお、隔壁26Kは、なくてもよい。すなわち、噴射部23K及び23Lは、互いに繋がっていてもよい。
【0032】
各噴射部23K及び23Lの形状は、例えば、上述した実施形態のいずれかの噴射部と同様の形状や、上述した複数の実施形態の噴射部を組み合わせた形状である。ただし、U−D方向の高さが発振室24よりも小さい。
噴射部23Kは、例えば、洗浄液の噴射方向をL側に傾けることができる形状を有する。噴射部23Lは、外部中心線が噴射部23Kと平行ではなく、例えば、洗浄液の噴射方向をR側に傾けることができる形状を有する。
各噴射部23K及び23LのU−D方向における中心が発振室24とずれている。しかし、発振室24で発振した洗浄液の進行方向は、U−D方向に垂直な平面内で変化するので、U−D方向における中心のずれは、洗浄液の噴射方向に影響しない。
【0033】
各噴射部23K及び23Lの形状により、任意の範囲に液流を噴射することができる。二つの噴射部23K及び23Lから噴射される液流を合わせることにより、非常に広い範囲に安定して洗浄液を噴射することができる。
例えば、
図25に示すように、二つの液流81K及び81Lを、離れた範囲に噴射してもよい。例えば、噴射部23Kを、噴射部23Qのように、洗浄液の噴射方向を大きく傾けることができる形状にし、噴射部23Lを、洗浄液の噴射方向を逆側に大きく傾けることができる形状にすればよい。これにより、四つの液束85K,86K,85L及び86Lが形成され、内側の液束の間に洗浄液が当たらない領域が形成される。
逆に、
図26に示すように、二つの液流81K及び81Lを、重複する範囲に噴射してもよい。これにより、四つの液束85K,86K,85L及び86Lが形成され、その間のすべての領域に洗浄液が当たる。更に、液流が重なる領域には、他の領域よりも多くの洗浄液が当たる。
また、
図27に示すように、二つの液流81K及び81Lを、隣接する範囲に噴射してもよい。例えば、噴射部23KのR側の外部直線と、噴射部23LのL側の外部直線とを平行にすればよい。これにより、液流81Kの液束85Kと、液流81Lの液束86Lとが一つになるので、形成される液束の数が三つになり、その間の領域全体に洗浄液が当たる。
更に、
図28に示すように、噴射部23K及び23Lを、噴射部23Jのように、液束の形成を抑制する形状とすれば、形成される液束の数を二つにすることもできる。これにより、あたかも一つの噴射部で非常に広い範囲に洗浄液を噴射しているように見える。
このように、洗浄液が当たる領域や液束の数を任意に設定することができる。
【0034】
<実施形態12>
図29は、更に異なる形状の噴射ノズル12Mを示す。ウォッシャーノズル10Aは、噴射ノズル12Aの代わりに、噴射ノズル12Mを有してもよい。
この例において、噴射ノズル12Mは、一つの発振室24に接続された三つの噴射部23M乃至23Pを有する。このように、噴射部の数は、三つであってもよいし、更に多くてもよい。
これにより、洗浄液が当たる領域や液束の数の自由度を更に高めることができる。
【0035】
例えば、
図30に示すように、二つの液流81M及び81Nが噴射される範囲を重ねることにより、集中的に洗浄液が当たる領域を形成し、それとは離れた範囲に液流81Pを噴射することにより、離れた領域に洗浄液を当て、その間に洗浄液が当たらない領域を形成するなど、様々な噴射パターンを容易に形成することができる。また、液束の数も、噴射部の数の二倍以下の範囲で任意の数に設定することができる。
【0036】
なお、噴射ノズルは、複数の発振室を有する構成であってもよい。複数の発振室は、互いに異なる向きの基準軸を有してもよい。各発振室には、一つの噴射部が接続されてもよいし、複数の噴射部が接続されてもよい。
【0037】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。