(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656759
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】健康管理システム及び健康管理用プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20200220BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20200220BHJP
【FI】
A61B5/00 G
G06Q50/22
A61B5/00 102B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-62795(P2016-62795)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-170066(P2017-170066A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】仁和 康幸
【審査官】
伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−111091(JP,A)
【文献】
特開2010−191677(JP,A)
【文献】
特開2014−237058(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/111548(WO,A1)
【文献】
特開2008−304978(JP,A)
【文献】
特開2013−218561(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0071192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/01
A61B 5/02 − 5/03
A61B 5/04 − 5/053
A61B 5/06 − 5/22
G07C 1/00 − 15/00
G16H 10/00 − 10/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段と、
前記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段と、
個人の入出時に前記識別情報記憶手段から識別情報を取り込むと共に、前記生体情報収集手段から生体情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が識別情報を取得したときに、入出の時刻から在席時間を求め、前記識別情報に対応付けて日毎に前記在席時間情報及び生体情報を蓄積手段に蓄積する蓄積制御手段と、
前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の在席時間が在席時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて在席時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力する出力手段と、
前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、在席時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成する健康管理テーブル作成手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記健康管理テーブル作成手段により作成された健康管理テーブルを前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を具備することを特徴とする健康管理システム。
【請求項2】
健康管理テーブル作成手段は、色彩または色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成することを特徴とする請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項3】
個人のメンタル面の問診結果情報を入力する入力手段を有し、
前記蓄積制御手段は、前記入力手段により入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、日毎に蓄積された前記在席時間情報及び生体情報に付随させて蓄積し、
表示制御手段は、表示要求に応じて要求に係る問診結果情報が付随された在席時間情報及び生体情報を表示手段に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の健康管理システム。
【請求項4】
個人のメンタル面の問診結果情報を数値化する数値化テーブルを備え、
前記蓄積制御手段は、前記数値化テーブルにより問診結果情報を数値化して蓄積すると共に、
出力手段は、所定閾値と数値化して蓄積された問診結果情報を比較して、アラームを出力することを特徴とする請求項3に記載の健康管理システム。
【請求項5】
在席時間は、勤務時間であることを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の健康管理システム。
【請求項6】
識別情報記憶手段と生体情報収集手段とが、1または2以上のウェアラブルデバイスとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の健康管理システム。
【請求項7】
ウェアラブルデバイスは、腕時計タイプ、ネームプレートタイプ、メガネタイプ、帽子タイプ、着衣タイプの少なくとも1つにより構成されることを特徴とする請求項6に記載の健康管理システム。
【請求項8】
個人の入出時に、個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段から識別情報を取り込むと共に、前記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段から生体情報を取得する情報取得手段に接続された健康管理用のコンピュータに用いられる健康管理用プログラムであって、
コンピュータを、
前記情報取得手段が識別情報を取得したときに、入出の時刻から在席時間を求め、前記識別情報に対応付けて日毎に前記在席時間情報及び生体情報を蓄積する蓄積制御手段、
前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の在席時間が在席時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて在席時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力する出力手段、
前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、在席時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成する健康管理テーブル作成手段、
前記健康管理テーブル作成手段により作成された健康管理テーブルを、情報を表示する表示手段に表示する表示制御手段、
として機能させることを特徴とする健康管理用プログラム。
【請求項9】
更に、コンピュータを、
健康管理テーブル作成手段として、色彩または色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成するように機能させることを特徴とする請求項8に記載の健康管理用プログラム。
【請求項10】
更に、コンピュータを、
前記蓄積制御手段として、個人のメンタル面の問診結果情報を入力する入力手段より入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、日毎に蓄積された前記在席時間情報及び生体情報に付随させて蓄積するように機能させ、
表示制御手段として、表示要求に応じて要求に係る問診結果情報が付随された在席時間情報及び生体情報を前記表示手段に表示するように機能させることを特徴とする請求項8または9に記載の健康管理用プログラム。
【請求項11】
個人のメンタル面の問診結果情報を数値化する数値化テーブルを備え、
更に、コンピュータを、
前記蓄積制御手段として、前記数値化テーブルにより問診結果情報を数値化して蓄積するように機能させ、
出力手段として、所定閾値と数値化して蓄積された問診結果情報を比較して、アラームを出力するように機能させることを特徴とする請求項10に記載の健康管理用プログラム。
【請求項12】
在席時間は、勤務時間であることを特徴する請求項8乃至11のいずれか1項に記載の健康管理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、健康管理システム及び健康管理用プログラムに関するものであり、特に、勤務時間と共に健康管理を行うことが可能な健康管理システム及び健康管理用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、勤務時間や残業時間の管理はタイムカードやOCRによって行う職場が主流であり、勤務時間や残業時間に関するチェックは例えば月末などの1か月に一度だけ、担当者が行うことが多かった。近年のOA化や社内ネットワーク化の進行に伴い、勤務時間や残業時間を毎日チェックすることが可能となっている。
【0003】
しかしながら、残業時間に基づく健康診断の受診勧告は、1か月毎の残業時間の超過がある場合に行われている。また、産業医との面談によって健康の問題が発見される以外は、勤務時間に制限を受けることはほとんどなく、社員などの健康管理が適切になされているとは言い難い現状である。
【0004】
一方、特許文献1には、高精度で、客観性、安定性の高い労務管理及び経営管理上のリスク分析を簡易に行うリスク分析装置が開示されている。このリスク分析装置は、所定期間における勤怠データの労働日数及び労働時間から、日次単位のデータと所定の条件を満たす連続性分析データとから、所定の閾値以上のデータに対して、点数を付与し、日次単位データに付与された点数の合計と前記連続性分析データに付与された点数の合計とを相関させて表示するものである。
【0005】
また、特許文献2には、迅速且つ効率よく、長時間残業者に対する産業医面接を実現するための、健康管理サーバ、長時間残業者健康管理システム及び長時間残業者面接予約方法が開示されている。このシステムでは、対象となる社員がセルフチェック票の入力画面上で面接を希望する場合は、直ちに面接予約入力画面を端末に表示させる。また、面接を希望しない場合であっても、産業医が面接を要すると判断した場合は、当該社員の端末に面接予約入力画面を表示させるためのメールを送信するという構成を備える。
【0006】
更に、特許文献3には、蓄積された健康情報を企業で活用する方法が示され、勤務時間に健康管理意識を高める装置、また企業として個人の健康管理をサポートする健康管理装置が開示されている。この健康管理装置は、利用者の健康情報を含む情報を格納するICカードに対して情報の読取り及び書込みを行うICカードリーダ・ライタと情報の読取りを行うICカードリーダとのいずれかに接続された端末及び設備と、これらに通信可能に接続される分散処理コンピュータと、これに通信可能に接続され、分散処理コンピュータを制御するホストコンピュータとを備える。また、端末及び設備と、分散処理コンピュータと、ホストコンピュータとの間でICカードの情報のやりとりを行うことにより、ICカードの情報で特定される利用者の健康状態を端末の操作により予め設定された基準値をもとに判定し、判定した利用者の健康状態に応じて設備の利用を制限可能に管理する構成を備えている。
【0007】
特許文献4には、被観測者のストレスの状態をより詳細に管理することのできる、ストレス解析システム、ストレス解析プログラムおよびストレス解析方法が開示されている。このストレス解析システムは、被観測者の行動についての情報を取得する行動情報取得手段と、被観測者の生体情報に基づいて当該被観測者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、行動情報取得手段によって取得された被観測者の行動についての情報と、ストレス取得手段によって取得されたストレスの度合いとを、対応する時間とともに関連付けて格納する記憶手段と、記憶手段に格納されたデータを参照して、被観測者の行動とストレスの度合いとに基づく評価を行う評価手段とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−146257号公報
【特許文献2】特開2010−040034号公報
【特許文献3】特開2010−191677号公報
【特許文献4】特開2012−249797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の発明は、勤怠データの入力が必要であり、勤務時間と生体情報との関連において健康状態を管理するものではない。
【0010】
また、特許文献2の発明は、月単位に管理を行うものであり、しかも日々の勤務時間と生体情報との関連を勘案して健康管理を図るものではない。
【0011】
また、特許文献3の発明は、生活習慣病やメタボリックシンドロームへの対策であり、日々の勤務時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図るものではない。更に、特許文献4の発明も、日々の勤務時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図る観点の発明ではなく、被観測者の行動とストレスの度合いとに基づく評価を行うものに過ぎない。
【0012】
本発明は上記のような従来の健康管理システムの現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、日々の勤務時間などの在席時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図るようにした健康管理システム及び健康管理用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る健康管理システムは、個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段と、前記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段と、個人の入出時に前記識別情報記憶手段から識別情報を取り込むと共に、前記生体情報収集手段から生体情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が識別情報を取得したときに、入出の時刻から在席時間を求め、前記識別情報に対応付けて日毎に前記在席時間情報及び生体情報を蓄積手段に蓄積する蓄積制御手段と、前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の在席時間が在席時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて在席時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力する出力手段と
、前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、在席時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成する健康管理テーブル作成手段と、情報を表示する表示手段と、前記健康管理テーブル作成手段により作成された健康管理テーブルを前記表示手段に表示する表示制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る健康管理システムでは、健康管理テーブル作成手段は、色彩または色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る健康管理システムでは、個人のメンタル面の問診結果情報を入力する入力手段を有し、前記蓄積制御手段は、前記入力手段により入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、日毎に蓄積された前記在席時間情報及び生体情報に付随させて蓄積し、表示制御手段は、表示要求に応じて要求に係る問診結果情報が付随された在席時間情報及び生体情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る健康管理システムでは、個人のメンタル面の問診結果情報を数値化する数値化テーブルを備え、前記蓄積制御手段は、前記数値化テーブルにより問診結果情報を数値化して蓄積すると共に、出力手段は、所定閾値と数値化して蓄積された問診結果情報を比較して、アラームを出力することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る健康管理システムでは、在席時間は、勤務時間であることを特徴する。本願において、在席時間は、広く、ある場所に居る時間を意味し、職場に居る勤務時間に限定されず、病院のベッドに居る時間、病院のベッドに居ない時間、治療やリハビリの場所に居る時間、ランニングや歩行している時間など、生体情報の変動や変化に影響を及ぼす時間などとすることができる。本発明は、このような在席時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図るようにしたものである。
【0019】
本発明に係る健康管理システムでは、識別情報記憶手段と生体情報収集手段とが、1または2以上のウェアラブルデバイスとして構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る健康管理システムでは、ウェアラブルデバイスは、腕時計タイプ、ネームプレートタイプ、メガネタイプ、帽子タイプ、着衣タイプの少なくとも1つにより構成されることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る健康管理用プログラムは、個人の入出時に、個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段から識別情報を取り込むと共に、前記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段から生体情報を取得する情報取得手段に接続された健康管理用のコンピュータに用いられる健康管理用プログラムであって、コンピュータを、前記情報取得手段が識別情報を取得したときに、入出の時刻から在席時間を求め、前記識別情報に対応付けて日毎に前記在席時間情報及び生体情報を蓄積する蓄積制御手段、前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の在席時間が在席時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて在席時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力する出力手段、
前記蓄積制御手段により蓄積された個人毎の情報に基づき、在席時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成する健康管理テーブル作成手段、前記健康管理テーブル作成手段により作成された健康管理テーブルを、情報を表示する表示手段に表示する表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る健康管理用プログラムでは、更に、コンピュータを、健康管理テーブル作成手段として、色彩または色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成するように機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る健康管理用プログラムでは、更に、コンピュータを、前記蓄積制御手段として、個人のメンタル面の問診結果情報を入力する入力手段より入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、日毎に蓄積された前記在席時間情報及び生体情報に付随させて蓄積するように機能させ、表示制御手段として、表示要求に応じて要求に係る問診結果情報が付随された在席時間情報及び生体情報を前記表示手段に表示するように機能させることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る健康管理用プログラムでは、個人のメンタル面の問診結果情報を数値化する数値化テーブルを備え、更に、コンピュータを、前記蓄積制御手段として、前記数値化テーブルにより問診結果情報を数値化して蓄積するように機能させ、出力手段として、所定閾値と数値化して蓄積された問診結果情報を比較して、アラームを出力するように機能させることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る健康管理用プログラムでは、在席時間は、勤務時間であることを特徴する。本願において、在席時間は、広く、ある場所に居る時間を意味し、職場に居る勤務時間に限定されず、病院のベッドに居る時間、病院のベッドに居ない時間、治療やリハビリの場所に居る時間、ランニングや歩行している時間など、生体情報の変動や変化に影響を及ぼす時間などとすることができる。本発明は、このような在席時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図るようにしたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、個人の入出時に、個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段から識別情報を取り込むと共に、前記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段から生体情報を取得し、識別情報を取得したときに、入出の時刻から在席時間を求め、前記識別情報に対応付けて日毎に前記在席時間情報及び生体情報を蓄積し、蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の在席時間が在席時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて在席時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力するので、在席時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図ることができる。
【0028】
本発明によれば、蓄積された個人毎の情報に基づき、在席時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成すし、作成された健康管理テーブルを、情報を表示する表示手段に表示するので、在席時間と生体情報との関係が明瞭となり、これらを勘案して健康管理を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る健康管理システムの実施形態の構成を示す図。
【
図2】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられる情報入力デバイスの機能ブロック図。
【
図3】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられるサーバのブロック図。
【
図4】本発明に係る健康管理システムの実施形態の機能ブロック図。
【
図5】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられるコンピュータ端末のブロック図。
【
図6】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられる情報読取装置の動作を示すフローチャート。
【
図7】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられるサーバの動作を示すフローチャート。
【
図8】本発明に係る健康管理システムの実施形態において、ある人の一日分のフィールドに蓄積された情報の一例を示す図。
【
図9】本発明に係る健康管理システムの実施形態に用いられるサーバの動作を示すフローチャート。
【
図10】本発明に係る健康管理システムの第2の実施形態において作成された健康管理テーブルの一例を示す図。
【
図11】本発明に係る健康管理システムの第3の実施形態において使用されるメンタル面の問診項目と問診結果の一例を示す図。
【
図12】本発明に係る健康管理システムの第3の実施形態において表示された健康管理テーブルの一例を示す図。
【
図13】本発明に係る健康管理システムの第4の実施形態において使用される数値化テーブルの一例を示す図。
【
図14】本発明に係る健康管理システムの第4の実施形態においてアラーム表示使用されるウェアラブルデバイスの一例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下添付図面を参照して、本発明に係る健康管理システム及び健康管理用プログラムの実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。
図1に本発明に係る健康管理システムの実施形態を示す。本実施形態において、在席時間は、勤務時間とする。また、本実施形態では、入出は、会社、職場、工場などへ入出することであるが、本発明では、所定の場所への入出を意味し、ベッド内のようなところも場所である。健康管理システムは、システムの中心となるサーバ10と、サーバ10に接続されたコンピュータ端末30と、情報読取装置40と、情報入力デバイス50を備えるものである。コンピュータ端末30と情報読取装置40は、それぞれ複数台備えられていても良い。コンピュータ端末30は、スマートフォンやパーソナルデジタルアシスタントなどの携帯電子端末としても良い。情報入力デバイス50は、例えば腕時計タイプのウェアラブルデバイスにより構成することができる。情報入力デバイス50は、腕時計タイプ、ネームプレートタイプ、メガネタイプ、帽子タイプ、着衣タイプの少なくとも1つにより構成することができる。
【0031】
情報入力デバイス50は、
図2に示されるように、個人の識別情報が記憶された識別情報記憶手段51と、上記個人の生体情報を収集する生体情報収集手段52とを含んでいる。生体情報収集手段52は、体温、心拍数、血圧、脳波、心電図、血液酸素飽和度(SpO2)、移動量(運動量)、意識などの生体情報を収集するセンサやデバイスや装置であり、所定の時間間隔により生体情報を測定収集して記憶しておき、情報読取装置40により情報読取りが行われるときに、上記で記憶した生体情報の読取りが可能に構成されている。なお、脳波については、代表的な波の周波数や振幅など、心電図については、QRS波などの特徴的な値であっても良い。
【0032】
情報読取装置40は、情報取得手段として機能し、個人の入出時に上記識別情報記憶手段51から識別情報を取り込むと共に、上記生体情報収集手段52から生体情報を取得するものである。この情報読取装置40は、電磁結合などにより識別情報記憶手段51と生体情報収集手段52に結合し、情報を読み取るものであるが、読取り方式は電磁結合に限定されない。また、情報読取装置40は、玄関などに設置され、個人が入出の際に情報入力デバイス50を情報読取装置40の読取部にかざすことにより情報の読み取りを行うものである。従って、識別情報記憶手段51にはセキュリティ情報が記憶されていると好適であり、セキュリティ情報が不正であるときには情報読取装置40のゲートが開かないようにしても良い。また、情報読取装置40としては、個人の入出のとき以外に情報を読み取るために、適宜な位置に配置されていても良い。
【0033】
サーバ10は、
図3に示されるように、CPU11に、LANなどのネットワークのインタフェース12、主メモリ13、外部記憶装置14、表示制御部15が接続された構成を有する。インタフェース12には、コンピュータ端末30と情報読取装置40が接続されている。表示制御部15には、LEDなどにより構成される表示部16が接続され、表示部16には情報を表示することができる。
【0034】
外部記憶装置14には、本システムの動作に用いられる健康管理用プログラムが記憶されており、CPU11は、上記プログラムを主メモリ13に読み出して実行することにより、
図4に示す各手段を実現する。また、外部記憶装置14には、勤務時間情報及び生体情報などを蓄積するための蓄積手段17が備えられている。蓄積手段17には、個人識別情報に対応して、氏名、性別、年齢、生年月日、所属(職場や病院の診療科など)などの個人情報が予め記憶されている。
【0035】
次に、
図4に示されている各手段を説明する。健康管理用プログラムにより、蓄積制御手段21、出力手段22、健康管理テーブル作成手段23、表示制御手段24が実現される。蓄積制御手段21は、情報取得手段である情報読取装置40が識別情報を取得したときに、入出の時刻から勤務時間を求め、上記識別情報に対応付けて日毎に上記勤務時間情報及び生体情報を蓄積手段17に蓄積するものである。出力手段22は、上記蓄積制御手段21により蓄積された個人毎の情報に基づき、所定期間の勤務時間が勤務時間閾値を超過している場合及び/または、生体情報が所定閾値を超過している場合に、超過程度に応じて勤務時間に関する勧告指示及び/または、健康診断の受診に関する勧告指示を含む健康管理勧告指示を出力するものである。
【0036】
コンピュータ端末30は、
図5に示されるように、CPU31に、主メモリ32、LANなどのインタフェース33、外部記憶装置34、入力制御部35、表示制御部36が接続された構成とすることができる。インタフェース33にはサーバ10が接続され、入力制御部35にはキーボードやタッチパネルやマウスなどの入力部37が接続され、表示制御部36にはLEDなどの表示部38が接続される。
【0037】
外部記憶装置34には、コンピュータ端末30が動作するための各種プログラムやデータが記憶され、CPU31は、これらの各種プログラムやデータを主メモリ32へ読み出して動作する。入力部37からはコマンドやデータなどを入力することができる。また、表示制御部36は、各種の図や文字などの情報をCPU31の制御の基に表示部38に表示する。
【0038】
以上のように構成された健康管理システムでは、情報読取装置40が
図6のフローチャートに示すように動作を行う。情報読取装置40は、読取部に情報入力デバイス50がかざされたか、情報取込時刻であるかを検出している(S11)。このステップS11においてYESとなると、個人識別情報と生体情報を情報入力デバイス50から読取り、現在の時刻情報及び入出種別情報と共にサーバ10へ送信する(S12)。
【0039】
一方、サーバ10は、
図7のフローチャートに示すように動作を行う。このフローチャートは例えば、零時から24時までの処理とする。情報読取装置40から情報が到来したのかを検出し(S21)、到来した場合には、蓄積手段17の当該個人識別情報の当該日付のフィールドへ生体情報及び時刻情報を蓄積する(S22)。次に、入出種別情報が入である時刻情報が1以上蓄積されているフィールドを検索し(S23)、最古の入時刻を出社時刻とし最新の出時刻又は現在時刻を退社時刻として一日の勤務時間を算出して上記個人情報の当該日付のフィールドへ記憶する(S24)。現在時刻を退社時刻とすることにより、実際には退社していない社員の本日分の情報を含めた処理が可能となっている。
【0040】
図8は、ある人の一日分のフィールドに蓄積された情報であり、最上部の第1コラムC1は、入時の情報が記憶された欄である。2番目の第2コラムC2は、所定情報取込時刻の情報が記憶された欄である。また、第3番目の第3コラムC3は、出時の情報が記憶された欄である。入出が繰り返されると、入時の情報が記憶された欄と出時の情報が記憶された欄が追加され、その欄に情報が蓄積される。また、所定情報取込時刻が複数であるときは、所定情報取込時刻の情報が記憶された欄が追加され、その欄に情報が蓄積される。
【0041】
更に、サーバ10は、
図9のフローチャートに示すように、健康管理勧告指示を出力する動作を行う。処理が開始されると、蓄積手段17に蓄積された個人(社員)の人数対応のエントリー数iを(1)とし(S31)、このエントリー(1)の個人について現在から例えば5日前までの合計勤務時間が5日時間閾値を超過しているかを検出する(S32)。5日時間閾値は、例えば、1か月(例えば、25日間)について許容された超過勤務時間から割り出した値とする。上記ステップS32の判定を行い(S33)、YESとなると勤務制限勧告情報をセットする(S34)。
【0042】
上記ステップS34の処理の後、または、ステップS33においてNOへ分岐した場合には、現在から5日前までの生体情報について5日間生体閾値を超過しているか検出する(S35)。5日間生体閾値は、生体情報が血圧や心拍数などでは5日間の平均値に対して適正な平均閾値が用意されており、また、脳波や心電図などでは、1度でも所定値を超えてはならない一過性閾値が用意されていても良い。一過性閾値は、血圧や心拍数などに対して用意されていても良い。上記ステップS35の判定を行い(S36)、YESとなると、例えば、平均閾値に対する超過では健康診断受診勧告情報を、一過性閾値に対する超過では健康診断受診勧告情報に加えて勤務制限勧告情報をセットする(S37)。
【0043】
ステップS37に次いで、ステップS34とS37の勧告を表示制御部15やコンピュータ端末30へ出力し、iを1インクリメントする(S38)。ステップS38に次いで、iが蓄積手段17内のエントリー数を超えたかを検出し(S39)、NOの場合にはステップS32へ戻って処理を続け、YESへ分岐すると処理を終了する。
【0044】
また、ステップS36においてNOとなると、現在から10日前までの情報に基づく処理ルーチンR11へ進む。処理ルーチンR11では、ステップS32からステップS38までの処理と大略同じ処理が行われる。但し、ステップS32に対応する処理では、10日前までの合計勤務時間が10日時間閾値を超過しているかを検出する。10日時間閾値は、例えば、1か月(例えば、25日間)について許容された超過勤務時間から割り出した値とする。
【0045】
また、ステップS35に対応する処理では、現在から10日前までの生体情報について10日間生体閾値を超過しているか検出する。10日間生体閾値は、生体情報が血圧や心拍数などでは10日間の平均値に対して適正な平均閾値が用意されており、また、脳波や心電図などでは、1度でも所定値を超えてはならない一過性閾値が用意されている。
【0046】
処理ルーチンR11の次には、現在から15日前までの情報に基づく処理ルーチンR12が、更に、5日づつ増加させた期間について処理ルーチンR13が行われ、最終的に、現在から25日前までの情報に基づく処理ルーチンR14が行われる。このように、本実施形態では、日々の勤務時間などの在席時間と生体情報との関係を勘案して健康管理を図るので、適切な健康管理を行うことができる。なお、5日分づつ増加させたが、この日数は一例に過ぎない。
【0047】
本発明の第2の実施形態では、健康管理テーブル作成手段23は、上記蓄積制御手段21により蓄積された個人毎の情報に基づき、勤務時間情報と生体情報をそれぞれ時系列に並べて、閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成するものである。表示制御手段24は、上記健康管理テーブル作成手段23により作成された健康管理テーブルを表示手段に表示する。この表示手段は、サーバ10の表示部16やコンピュータ端末30の表示部38とすることができる。更に、健康管理テーブル作成手段23は、色彩または色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記した健康管理テーブルを作成する。
【0048】
図10に、この第2の実施形態において健康管理テーブル作成手段23により作成され、表示制御手段24によって表示された健康管理テーブルの一例を示す。ここでは、色のトーン変化により閾値との差の大きさを峻別可能に表記している。これによって、産業医などがサーバ10の表示部16やコンピュータ端末30の表示部38へ
図10のような健康管理テーブルを表示することにより、一目瞭然に健康状態の傾向を把握して、健康に関する各種の助言を行うことが可能となる。
【0049】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態では、
図4に示した蓄積制御手段21を備える。この実施形態では、コンピュータ端末30の入力部37を個人のメンタル面の問診結果情報を入力する入力手段として用いることができる。上記の蓄積制御手段21は、上記入力手段である入力部37により入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、日毎に蓄積された上記勤務時間情報及び生体情報に付随させて蓄積し、表示制御手段24は、表示要求に応じて例えば上記表示手段である表示部38に要求に係る問診結果情報が付随された勤務時間情報及び生体情報を表示する。
【0050】
図11に、メンタル面の問診項目と問診結果の一例を示す。問診を行う産業医などは、
図11のストレスについて、「毎日ある」、「頻繁にある」、「ときどきある」、「たまにある」、「全くない」から選択してもらうように問診を行う。また、気分については、「黒」「ブルー」「灰色」「白」「ピンク」「赤(バラ色)」から選択してもらう。その他の項目も、例示して、いずれかを選択してもらう。メンタル面で優れない問診結果を左側に表記し、右側へ進むほど、メンタル面が良好とする。その他の問診項目については、程度を数値で表現している。
【0051】
産業医などは、コンピュータ端末30の入力部37から上記のような個人のメンタル面の問診結果情報(問診項目情報も)を入力する。これに対して、蓄積制御手段21は、上記入力された問診結果情報を個人の識別情報に対応付けて、
図10に示した健康管理テーブルの情報に付随させて蓄積する。表示制御手段24は、コンピュータ端末30からの表示要求に応じてコンピュータ端末30へ要求に係る問診結果情報が付随された勤務時間情報及び生体情報を送出し、これが表示部38に表示される。
【0052】
図12に、表示部38に表示される問診結果情報が付随された健康管理テーブルの一例を示す。問診を行った日に対応して付随されており、記載のない欄に対応する日には問診が行われなかったことを示している。また、問診結果情報についても、色のトーン変化によりメンタル面の良好・不良を表示する。これにより、一目瞭然に健康状態とメンタル面の良好・不良の傾向を把握して、健康とメンタルに関する各種の助言を行うことが可能となる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態では、個人のメンタル面の問診結果情報を数値化する数値化テーブルを備え、蓄積制御手段21は、上記数値化テーブルにより問診結果情報を数値化して蓄積する。また、出力手段22は、所定閾値と数値化して蓄積された問診結果情報を比較して、アラームを出力する。
【0054】
図13に、数値化テーブルの一例を示す。問診項目が「ストレス」については、「毎日ある」、「頻繁にある」、「ときどきある」、「たまにある」、「全くない」の順で、括弧内に示すように5から1までの整数に数値化される。また、問診項目が「気分」については、「黒」、「ブルー」、「灰色」、「白」、「ピンク」、「赤」の順で、括弧内に示すように6から1までの整数に数値化される。その他の問診項目では、問診の際に程度を数値で表現した値を用いるので、この数値を用いる。
【0055】
閾値は、問診項目毎に個別に設けられると共に、例えば、全ての問診項目の結果情報についての数値を合計したものに対して設けられる。いずれかの閾値を超過すると、表示部38に「メンタル面異常」などのアラームが例えば、
図12に示した情報に上書きされて、表示される。このような表示部38への表示と共にコンピュータ端末30の図示しないスピーカにより所定の音声発生を行うようにしても良い。或いは、ウェアラブルデバイスが
図14に示す帽子(キャップ)タイプである帽子60により構成されている場合、例えば、帽子60の側方における開口部に隣接する縁部に光や音などを発する報知器61へ出力手段22が、例えば無線通信により出力を行ってアラームとして音や光を発生させるようにしても良い。これにより、緊急事態であることが本人や周囲に明らかとなる。また、アラームは、生体情報に緊急の異常が認められる場合や勤務時間が極めて異常の場合に発生するようにしても良い。
【0056】
以上の実施形態では、職場における健康管理を行う場合について説明を行ったが、本発明はこれに限定されない。在席時間は、広く、ある場所に居る時間を意味し、職場に居る勤務時間に限定されず、病院のベッドに居る時間、病院のベッドに居ない時間、治療やリハビリの場所に居る時間、ランニングや歩行している時間など、生体情報の変動や変化に影響を及ぼす時間などとすることができる。
【0057】
上記病院のベッドに居る時間、病院のベッドに居ない時間を生体情報と共に管理することにより、患者が睡眠や安静となっている時間についてアドバイスを行うことが可能である。また、治療やリハビリの場所に居る時間、ランニングや歩行している時間を生体情報と共に管理することにより、治療やリハビリの効果を上げることが期待でき、ランニングや歩行による健康状態の適切な管理を行うことが期待される。
【符号の説明】
【0058】
10 サーバ
17 蓄積手段
21 蓄積制御手段
22 出力手段
23 健康管理テーブル作成手段
24 表示制御手段
30 コンピュータ端末
40 情報読取装置
50 情報入力デバイス
51 識別情報記憶手段
52 生体情報収集手段
60 帽子
61 報知器