特許第6656775号(P6656775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656775自動車のシートベルト装置の照明付きベルトバックル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656775
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】自動車のシートベルト装置の照明付きベルトバックル
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/26 20060101AFI20200220BHJP
   B60R 22/18 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   A44B11/26
   B60R22/18
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-562255(P2017-562255)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公表番号】特表2018-524050(P2018-524050A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】EP2016062988
(87)【国際公開番号】WO2016198432
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】102015210450.8
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ソーンチェン、アーント
(72)【発明者】
【氏名】ロタリウ、イウリアン
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−276773(JP,A)
【文献】 米国特許第05892436(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007047704(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0089302(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0296928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 11/00 − 11/28
B60R 22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のシートベルト装置の照明付きベルトバックルであって、
ハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)内で変位可能な押しボタン(2)と、
前記ハウジング(1)の縁部分(23)及び前記押しボタン(2)によって形成され、前記ベルトバックル内にロック可能なベルトタングが挿入される挿入スロット(12)と、
前記ベルトバックルの前記ハウジング(1)に固定配置された導光体(8、9)とを備え、
前記導光体(8、9)の前面には少なくとも1つの光放射面(13、14)が形成され、
前記導光体(8、9)は、光ガイド(5)を介して光源(3)に接続され、
前記光放射面(13、14)は、線状外形を有し、その形状は、前記挿入スロット(12)の側部及び前記押しボタン(2)の縁部面(24)に沿っており、
前記導光体(8、9)は、前記ハウジング(1)の壁に固定される固定部分(19、20)と、前記ハウジング(1)の内部に構成される空洞部(26)に突出する結合部分(21、22)とを有し、
前記光放射面(13、14)は前記固定部分(19、20)に配置され、前記結合部分(21、22)には第1の光入射面(15、16)が配置され、
前記光ガイド(5)は、前記光源(3)に面する第2の光入射面(27)と、2つの互いに分離した光出射面(17、18)とを有し、該光出射面(17、18)のうちの一方が、一方の導光体(8、9)の一方の前記第1の光入射面(15、16)にそれぞれ割り当てられていることを特徴とする照明付きベルトバックル。
【請求項2】
前記光放射面(13、14)は、前記挿入スロット(12)の端部のうちの一方まで延在することを特徴とする請求項1に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項3】
前記光放射面(13、14)は、前記挿入スロット(12)と同一又はそれよりも小さい幅を有することを特徴とする請求項2に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項4】
前記押しボタン(2)の異なる対向する縁部面(24、25)に配置される2つの光放射面(13、14)が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項5】
前記光放射面(13、14)は、前記押しボタン(2)の中心軸(M)に関して対称に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項6】
前記光放射面(13、14)は、前記挿入スロット(12)の端部まで延在し、
前記挿入スロット(12)の長手方向の長さ(L)は、当該長さ(L)と平行な前記押しボタン(2)の幅(B)よりも小さく
前記光放射面(13、14)は、前記押しボタン(2)の前記縁部面(24、25)において、前記挿入スロット(12)の前記端部の方向に互いに向かって延在するように形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項7】
前記光放射面(13、14)は、前記挿入スロット(12)の端部まで延在し、前記挿入スロット(12)を包囲することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項8】
前記導光体(8、9)は、前記結合部分(21、22)が、前記ハウジング(1)の内壁に少なくとも部分的に面接触するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項9】
前記光放射面(13、14)は、前記第1の光入射面(15、16)よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の照明付きベルトバックル。
【請求項10】
前記導光体(8、9)は、前記第1の光入射面(15、16)から出発し、前記光放射面(13、14)の方向に円錐状に広がって形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項11】
前記導光体(8、9)は、形状安定性の透明なプラスチック部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項12】
前記光ガイド(5)は、前記第2の光入射面(27)から出発し、2つの互いに分離した分枝部(6、7)に分岐し、前記光出射面(17、18)のうちの一方が、前記分枝部(6、7)のうちの一方にそれぞれ割り当てられていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【請求項13】
前記ハウジング(1)は、前記押しボタン(2)と反対側の背面に、前記光源(3)が固定された保持プレート(4)を当該ハウジング(1)の外から設置可能な開放受け部(29)を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の照明付きベルトバックル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する、自動車のシートベルト装置の照明付きベルトバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車のシートベルト装置のベルトバックルは、ベルトストラップ上を移動可能にガイドされるか又はベルトストラップの一端部に固定接続されているベルトタングを、車両にしっかりとロックする役目を果たす。そのために、ベルトバックルは、ベルトタング用の挿入スロットと、押しボタンによって解除可能なロック機構とを備える。ロック機構は、ばね付勢されており、ベルトタングが挿入スロットに挿入されるとベルトタングを自動的にロックする。ベルトタングを解放するには、乗員が押しボタンを押下することにより、ロック機構を解除し、ロック機構のばね力が解放されることで、ベルトタングが飛び出す。
【0003】
このようなベルトバックルは、既に長い間、現行の技術水準である。このようなベルトバックルの問題は、乗員が、締結のためにベルトバックルの比較的狭い挿入スロットを見つけなければならず、シートベルトを締結するにはその中にベルトタングを挿入することである。
【0004】
特許文献1から既知なのは、ベルトバックルに光源が設けられ、その光源が、導光材料を介してベルトバックルの所定の光放射面に結合されているものである。ここでは、押しボタン自体と、挿入スロットの押しボタンとは反対側の側面に配置された放射面とが、光放射面である。押しボタンは、その機能のために、変位可能に構成しなければならないため、押しボタンに固定配置された導光材料は、導光材料の光入射面が、押しボタンの押されていない状態で外部の光源と光技術的(lichttechinisch)に接続するように、押しボタンに配置しなければならない。導光材料の光入射面が、この状態において、製造上の形状誤差又は機械的影響に起因して外部の光源と光技術的に接続されない場合、光は押しボタンに導かれない又は完全には導かれないため、押しボタン自体は光らない又は所望よりも弱く光る。
【0005】
特許文献2からは、挿入スロットの端部に配置される少なくとも2つの光放射面を有するライトガイドを、ベルトバックルに設けることが更に既知である。光放射面自体は、三角形状に形成され、ハウジングの縁部と押しボタンの円錐状側面との間においてハウジングの前面の三角形状の自由面に配置されている。また、光放射面は、特に、可能な限り大きい光度を達成するために、ハウジングの前面の角部における自由面を可能な限り広く光放射面で埋めるように寸法決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3904125号
【特許文献2】独国特許出願公開第102007047704号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、締結工程及び解除工程に関して、ベルトバックル及び押しボタンを特に簡単に見つけられる、一般的な(gattungsgemaesse)種類の照明付きベルトバックルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の特徴を有する照明付きベルトバックルが提案される。本発明の更なる好ましい実施形態は、従属請求項、図面、及び関連する記載から見て取れる。
【0009】
本発明の基本構想によれば、ベルトバックルにおける光放射面は、線状外形を有し、その形状は、挿入スロットの視点において側方に配置されている、押しボタンの縁部面の形状に適合することが提案される。
【0010】
提案される解決策の利点は、ベルトバックル及び特に押しボタンを見つけることが、第1に、照明自体に基づいて簡単になることにおいて見られる。第2に、それに加えて、押しボタンの発見及び操作が簡単になるように、押しボタンの位置を光放射面の形状に基づいて特徴付ける。それにより、乗員は、押しボタンの繰り返しの操作及び或る程度の練習の成果を経て、押しボタンの縁部に対する光放射面の位置がわかると、光る光放射面の位置だけで簡単に押しボタンを見つけることができる。最も簡単な例では、乗員は、或る程度の練習の後、押しボタン自体を必ずしも識別しないで、光放射面の隣の面を実質的に「見ないで」押すことでも、ベルトバックルを解除することができる。さらに、押しボタンの操作は、ベルトバックルが、締結された通常状態でも、負荷を受けていない又は締結されていない状態でも、押しボタンが光放射面の常に同じ側に配置されている基本の向きを有することで容易になる。同じく、挿入スロットが、押しボタンに対して固定された向きに常に配置されることにより、締結工程のために挿入スロットも簡単に見つけることができる。
【0011】
好ましい発展形態によれば、光放射面は、挿入スロットの端部のうちの一方まで延在することが提案される。提案される解決策によると、乗員は、或る程度の練習の後、光放射面に対する向きがわかると、挿入スロットを特に簡単に見つけることができるが、ここでは、乗員は、光放射面を概念上拡張し、それに応じて、ベルトタングをその概念上拡張された位置に挿入する。さらに、これにより、挿入スロットが一端部において意図的に照明されるため、挿入スロット自体が乗員にとってより識別しやすくなる。
【0012】
さらに、光放射面が挿入スロットと同一又はそれよりも小さい幅を有することにより、発見を特に簡単にすることができる。したがって、光る光放射面は、挿入スロットと同一の幅であるか又はそれよりも小さいため、乗員は、光放射面の概念上拡張された部分の上にベルトタングをおおよそ位置合わせすることによって、ベルトタングを締結のために横断方向に簡単に位置決めすることができる。このとき、光放射面の提案された幅に起因して、ベルトタングは、挿入スロットの横断方向において挿入スロットの上にあり、そのため、あとは差し込むだけでよい。
【0013】
さらに、ベルトバックルには、好ましくは2つの光放射面を設けることができ、2つの光放射面は、押しボタンの異なる対向する縁部面に配置される。したがって、押しボタンは、2つの光放射面によって両側を囲まれ、それにより、光放射面の間の押しボタンの位置は明確に規定され、したがって、光る光放射面によって特に簡単に見つけることができる。このために、押しボタン自体は識別可能である必要はなく、ベルトタングを解放し、解除工程を開始するには、乗員が指で、光る光放射面の間にある面を押すだけでよい。
【0014】
また、光放射面は、押しボタンの中心軸に関して好ましくは対称に形成することができる。それにより、視覚的に魅力ある全体的印象がもたらされることに加えて、押しボタン又はベルトバックルをこれにより非常に均一に照明することができる。また、光放射面は、好ましくは同一の大きさの寸法で、同一の形状であり、それにより、光放射面から放射された光が、光放射面の面積に応じた同一の光度の場合、光の強度及び分布に関して同一になる。
【0015】
さらに、挿入スロットは、押しボタンの挿入スロットの長さ部分に対して平行に向いた幅よりも短い長さを有し、押しボタンの縁部面にある光放射面は、挿入スロットの端部の方向に互いに向かって延在するように形成することができる。したがって、挿入スロットは、ベルトバックルの幅よりも意図的に短く形成され、それにより、挿入スロットを対応して中央に配置した場合、挿入スロットの端部とハウジングの縁部との間には、挿入スロットの長さ方向において距離が存在する。この距離は、その後、そこに配置される光放射面によって埋められる。これにより、光放射面は、この部分において互いに向かって延在し、実質的に挿入スロットの方向を指し、同時に押しボタンを囲む。これにより、一方では操作される押しボタンが、他方では挿入スロットの位置が、より目立つようになる。光放射面が、例えば傾いた角度で互いに向かって延在する場合、双方の光る光放射面は、視覚的には矢印を形成することができる。矢印の鈍い先端は、挿入スロットによって形成されるか、又は、矢印は、押しボタンの挿入スロットが配置されている側を指す。
【0016】
また、光放射面は、挿入スロットの端部まで延在し、間に挿入スロットを包囲することができる。挿入スロットは、光放射面間の仮想の接続によって形成され、それにより、乗員の適切な練習の後、挿入スロットを特に簡単に見つけることができる。
【0017】
さらに、光放射面は、好ましくは、ハウジングに固定配置された導光体に配置することができる。提案される解決策は、これにより光源自体を光放射面から独立した場所に配置することができる点で好ましい。
【0018】
また、導光体は、好ましくは、ハウジングの壁に固定される固定部分と、ハウジングの内部に構成される空洞部に突出する結合部分とを有することができる。光放射面は固定部分に配置され、結合部分には光入射面が配置されている。提案される解決策に基づくと、導光体は、導光部分を固定部分とともにハウジングの対応する受け部に嵌め込むか、又は、2成分射出法(2K-Spritzverfahren)で、ハウジングのプラスチックによって固定部分の領域にオーバーモールド成形することにより、ベルトバックルに特に簡単に固定することができる。同時に、固定部分は、その部分に配置された光放射面によって、導光体から光を分離する役目を果たす。また、光放射面は、これによりハウジングに対して特に良好に固定され、詳細には、ハウジングに対して特に正確な位置に配置されることから、光放射面を固定部分に配置することは特に有利である。したがって、導光体は、実質的に直接、光放射面を有する部分ととともにハウジングに対して固定される。また、結合部分は、その部分に配置された光入射面に起因して、導光体に光を結合する役目を果たす。
【0019】
またさらに、導光体は、結合部分がハウジングの内壁に少なくとも部分的に面接触するように形成されていることによって、ハウジングに対して固定することができる。したがって、導光体は、結合部分の領域において、ハウジングに対して更に側方支持される。
【0020】
また、光放射面は、光入射面よりも大きく形成されることが好ましい。したがって、光は、導光体において実質的に広がり、より広い面積に分散される。それにより、押しボタン及び挿入スロットを目立たせるために、より広い面積を光らせることができる。また、光放射面の輝度は、光入射面に入射する光束の輝度に対して低減されるが、これは、光放射面から放射される光束が押しボタン又は挿入スロットのみを目立たせ、周囲を照明する役目は果たさないという点では十分である。さらに、これにより、固定部分を、その部分に配置された光放射面とともにより大きく構成することができ、それにより、導光体を、ハウジングにおいて特に正確な位置に安定して固定することができる。
【0021】
また、導光体は、光入射面から出発し、光放射面の方向に円錐状に広がるように形成することができる。これにより、光束が導光体内を可能な限り均一に広がる。この場合、導光体が、光入射面と光放射面との間の部分において基本形状が円錐状に形成されていれば事足りる。
【0022】
導光体は、好ましくは、形状安定性で透光性のプラスチック部材から形成することができる。そのようなプラスチックは、例えばポリカーボネート又はPMMAである。提案される解決策によると、導光体は、非常に安価に製造することができる。さらに、導光体は、複雑な形状で十分な形状安定性を有して製造することができ、それにより、導光体は、良好に固定することができるとともに、光放射の実現形態に対応した形状にすることができる。
【0023】
さらに、光源は、好ましくは、ライトガイドを介して導光体に接続することができるため、光源は、導光体に対してより大きい距離を置いて、特に固定及び電気的接触に好適な場所においてベルトバックルに固定することができ、その場所は、導光体の場所、特に光放射面の場所とは独立している。
【0024】
また、ライトガイドは、光源に面する光入射面と、2つの互いに分離した光出射面とを有することができる。光出射面のうちの一方は、それぞれ導光体の光入射面のうちの一方に割り当てられている。提案される解決策によると、ライトガイドに結合される光は、2つの光出射面に分割され、その光出射面から双方の導光体に結合される。したがって、ライトガイドは、光源から出発した光束の分岐を実質的に形成する。それにより、導光体の双方の光放射面を照明するのに単一の光源を用いることができる。更なる光放射面がベルトバックルに設けられるとすると、この光放射面は、更なるライトガイドによって又はライトガイドにおける更なる分岐によって、光源の光束に結合することができる。
【0025】
特に、ライトガイドは、光入射面から出発し、好ましくは2つの互いに分離した分枝部に分岐することができる。光出射面のうちの一方は、それぞれ分枝部のうちの一方に割り当てられている。ライトガイドの分枝部は、分岐後に互いに分離した双方の光束を、導光体の光入射面に別々に導く役目を果たす。また、ライトガイドの分枝部は、任意の形状とすることができ、ライトガイドを可撓性に形成することにより、ベルトバックル内で利用可能な空間条件に応じて任意に配することができる。
【0026】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】2つの光放射面を有するベルトバックルのハウジングの斜視図である。
図2】第1の実施形態における、2つの光放射面を有するハウジングの挿入スロットの視点における図である。
図3】第2の実施形態における、2つの光放射面を有するハウジングの挿入スロットの視点における図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1において、車両用のシートベルト装置のベルトバックルのハウジング1の半分が見て取れる。ハウジング1には、押しボタン2が設けられ、押しボタン2は、ハウジング1内で変位可能にガイドされ、ハウジング1の前面にある開口部28を通してアクセス可能である。ハウジング1には、明確にするために図示していないロック機構が更に設けられ、ロック機構は、押しボタン2を押下する、すなわち押しボタン2をハウジング1内に押し込むことによって解除することができる。ハウジング1の見て取れる半分は、ロック機構の取り付け後に、図示されていない第2の半分によって補完され、それにより、ロック機構の全面がハウジング1によって囲まれる。
【0029】
押しボタン2及びハウジング1の開口部28は、押しボタン2とハウジング1の縁部分23との間に、シートベルト装置のベルトタングをベルトバックルのロック機構内でロックするために挿入することができる挿入スロット12が存在するように寸法決めされている。したがって、挿入スロット12の側部は、片側が押しボタン2によって形成され、もう片側がハウジング1の縁部分23によって形成される。これは、図2及び図3にも見て取れる。挿入スロット12の長さLは、挿入スロット12の長さ方向において、押しボタン2の幅Bよりも短い寸法になっている。挿入スロット12は、押しボタン2の略中央に配置され、押しボタン2が、長さ方向において双方向に挿入スロット12からはみ出すようになっている。押しボタン2の側方では、2つのスロット10及び11がハウジング1に設けられている。スロット10及び11は、押しボタン2の隣接する縁部面24及び25の経路に適合する経路を有する(図2及び図3を参照)。ハウジング1における開口部28の形状は、少なくとも押しボタン2の断面形状に近似し、それにより、スロット10及び11も、ハウジング1の開口部28を形成する縁部に平行に延在する。さらに、ハウジング1の半分の開口部28に面しない側には、片側が開放した受け部29が設けられ、そこには、LEDの形態の光源3が固定された保持プレート4を固定することができる。保持プレート4は、光源3の他に、光源3を制御する及び/又は例えばベルトバックルスイッチ等の更なる信号を処理する、種々の記憶モジュール及び計算モジュールも更に備えることができる。
【0030】
さらに、ライトガイド5並びに2つの導光体8及び9が、ハウジング1内に設けられている。導光体8及び9は、例えばポリカーボネート又はPMMA等の形状安定性の透明なプラスチックから、導光特性を有して形成され、それぞれ1つの固定部分19及び20並びに1つの結合部分21及び22を有する。固定部分19及び20は、スロット10及び11の形状に対応した断面形状で形成され、それにより、導光体8及び9は、固定部分19及び20により、それぞれ、ハウジング1の内側からスロット10及び11のうちの一方に嵌め込むことができる。代替的には、導光体8及び9は、2成分射出法で、ハウジング1のプラスチックによってオーバーモールド成形することもできる。また、導光体8及び9は、固定部分19及び20から結合部分21及び22への遷移部において段差を有し、この段差は、固定部分19及び20によるスロット10及び11への導光体8及び9の嵌込み深さを規定する。また、段差によって規定される固定部分19及び20の嵌込み深さは、固定部分19及び20の前面が、ハウジング1の隣接表面との固定状態において、外方に、均質な段差のない表面を形成するように寸法決めされている。さらに、導光体8及び9の結合部分21及び22の外面は、導光体8及び9が、固定状態において側方がハウジング1の内壁に接し、それにより更には固定されるように形成されている。固定部分19及び20の断面は、固定部分19及び20がスロット10及び11を完全に隙間なく塞ぐような形状になっている。導光体8及び9は、結合部分21及び22の前面に光入射面15及び16が設けられ、固定部分19及び20の前面に光放射面13及び14が設けられている。
【0031】
ライトガイド5は、ライトガイド5の固定状態において光源3に対面する光入射面27を有し、光源3から放射された光がライトガイド5に入射するようになっている。光源3から放射された光は、光入射面27から出発し、まず、ライトガイド5の始端部分から分岐部位へと送られ、そこで、ライトガイド5は2つの分枝部6及び7に分岐する。その後、光は、分枝部6及び7内を更に、それぞれ、分枝部6及び7の前面にある光出射面17及び18へと送られる。分枝部6及び7は、ハウジング1の空洞部26において、利用可能な設置空間条件に応じて、湾曲経路で配することができるように寸法決めされるとともに可撓性である。また、分枝部6及び7は、分枝部6及び7の前面にある光出射面17及び18が、結合部分21及び22の光入射面15及び16に対面するように長さが決められ、そのように配されている。したがって、光源3から放射された光は、まず光入射面27を通ってライトガイド5内に導かれ、その後、さらに、分枝部6及び7を通って光出射面17及び18へと送られる。光は、光出射面17及び18から光入射面15及び16を通って導光体8及び9内に導かれ、最終的に、固定部分19及び20の光放射面13及び14を介して放射される。光入射面27、15及び16並びに光出射面17及び18並びに光放射面13及び14は、適切な表面加工によって粗面化された表面を形成することができる。これは、例えば、化学エッチング又は機械加工によって実現することができる。中心光源3、ライトガイド5、並びに2つの導光体8及び9を用いる提案されている解決策は、光源3を保持プレート4とともに保持及び接触に好適な場所に配置することができ、光をライトガイド5並びに導光体8及び9を介して所定の場所に導き、そこから放射することができるという利点を有する。それにより、光源3の配置並びに光放射面13及び14の場所は、実質的に互いに独立して選択することができる。代替的には、光放射面13及び14は、自発光性の電気活性箔又はガス充填光源によっても形成することができる。
【0032】
光放射面13及び14は、線状に形成され、押しボタンの隣接する縁部面24及び25に適合する経路を有する。これは、図2及び図3に見て取れる。さらに、光放射面13及び14は、挿入スロット12の端部まで延在し、間に挿入スロット12を包囲する。したがって、光放射面13及び14並びに挿入スロット12は、実質的に、押しボタン2の三方を囲む線を形成する。この場合、光放射面13及び14は、挿入スロット12と同一又はそれよりも小さい幅を有することが好ましい。それにより、乗員が、ベルトタングの前面を、光放射面13及び14によって、互いに接続される位置に位置決めした後、ベルトバックルの方向に動かす場合、いかなる場合もベルトタングを挿入スロット12に挿入できる。さらに、光放射面13及び14は、押しボタン2としてハウジング1の開口部28に存在する前面を包囲するため、乗員は、押しボタン2を暗闇でも非常に簡単に見つけることができ、それにより、乗員が光放射面13及び14の間の面を押すのは簡単である。
【0033】
図2において、押しボタン2は、挿入スロット12の方向において1つの面を円錐状にテーパー付けした形状を有する。したがって、縁部面24及び25は、挿入スロット12の方向に互いに向かって延在するように形成される。スロット10及び11並びにその中に配置された導光体8及び9の光放射面13及び14は、縁部面24及び25に対しておおよそ平行に向けられ、したがって、挿入スロット12の方向に同様に延在する。したがって、光放射面13及び14は、挿入スロット12の方向に向いた矢印形状をともに形成する。さらに、光放射面13及び14は、挿入スロット12の方向に略その端部まで延在し、使用者を視覚的に挿入スロット12に誘導するようになっている。
【0034】
図3において、本発明の代替的な実施形態を見て取れる。ここでは、押しボタン2は、矩形の断面形状を有する。スロット10及び11並びにその中に配置された光放射面13及び14は、同様に、押しボタン2の最も近くにある縁部面24及び25に対して平行に延在するように形成されている。したがって、スロット10及び11並びに光放射面13及び14は、押しボタン2の角部の周りに延在し、L字形状を有する。スロット10及び11並びに光放射面13及び14は、辺のうちの2つが互いに平行であり、辺のうちの2つが互いに向き合うように配置されている。また、光放射面13及び14は、2つの側縁部面24及び25と、押しボタン2の挿入スロット12に面する縁部面のうち挿入スロット12に隣接する部分とを有する。挿入スロット12は、押しボタン2のこの方向に向いた幅Bよりも短い長さLを有するので、押しボタン2は、挿入スロット12の端部を越えてはみ出す。したがって、光放射面13及び14は、挿入スロット12の端部の方向に互いに向かって延在し、それにより、押しボタン2を囲む。これにより、押しボタン2は視覚的に特によく目立つようになる。
【0035】
双方の実施形態は、押しボタン2の操作面、挿入スロット12、ハウジング1の前面、並びに光放射面13及び14が、挿入スロット12の中心かつ押しボタン2の中心を通って延在する中心軸Mに関して対称に形成及び調整されている点で共通している。
図1
図2
図3