【実施例】
【0086】
以下、図面を参照しながら、信号処理装置及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体の実施例について説明する。尚、以下では、入力信号として、呼吸音を示す呼吸音信号Sが用いられるものとする。但し、入力信号として、呼吸音信号とは異なるその他の生体音信号が用いられてもよい。その他の生体音信号の一例としては、例えば、心音を示す心音信号や、脈動(言い換えれば、脈波)に起因した音を示す脈動音信号や、内臓器官の活動状況に起因した音(例えば、腸の動きに起因した腸音)を示す内臓音信号や、血液の流れに起因した音を示す血流音信号等が一例としてあげられる。或いは、入力信号として、生体音信号以外の任意の信号(但し、周期性を有する任意の信号)が用いられてもよい。
【0087】
(1)信号処理装置の構成
はじめに、
図1を参照しながら、本実施例の信号処理装置10の構成について説明する。
図1は、本実施例の信号処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0088】
図1に示すように、本実施例の信号処理装置10は、信号取得部101と、信号記憶部102と、「認識手段」の一具体例である周期判定部113と、「認識手段」及び「検出手段」の一具体例である信号解析部103と、「出力手段」の一具体例である表示データ生成部104と、「表示装置」の一具体例である表示部105とを備える。
【0089】
信号取得部101は、呼吸音信号を取得する。例えば、信号取得部101は、生体の呼吸音を直接的に検出することで呼吸音信号を直接的に取得してもよい。この場合、信号取得部101は、生体に取り付けられると共に生体の呼吸音を検出する呼吸センサを含んでいてもよい。このような呼吸センサは、典型的にはマイク(例えば、コイル型マイクや、コンデンサ型マイクや、圧電型マイク等)である。但し、呼吸センサが呼吸音を検出することができる限りは、呼吸センサはどのような形式のセンサであってもよい。
【0090】
尚、
図1は、信号処理装置10が信号取得部101を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置10は、信号取得部101を備えていなくともよい。この場合、信号処理装置10は、信号処理装置10の外部に配置されている信号取得部101から、有線若しくは無線の通信回線又は有線の信号線を介して、呼吸音信号を取得することが好ましい。
【0091】
信号記憶部102は、信号取得部101が取得した呼吸音信号を一時的に記憶する。このため、信号記憶部102は、メモリ又はバッファを含んでいてもよい。尚、後述するように、信号記憶部102は、信号取得部101が逐次取得する呼吸音信号のうち所定期間分の呼吸音信号を記憶することが好ましい。
【0092】
尚、
図1は、信号処理装置10が信号記憶部102を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置10は、信号記憶部102を備えていなくともよい。
【0093】
周期判定部113は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して所定の周期判定処理を実行する。
【0094】
本実施例では、所定の周期判定処理は、呼吸音信号の周期を判定する(言い換えれば、特定する又は検出する)処理を含んでいてもよい。具体的には、所定の周期判定処理は、振幅レベル(つまり、信号強度を示す特性)が周期的に増減を繰り返しながら変化する呼吸音信号に対して、呼吸音信号の振幅レベルが1周期分だけ変化するために要する期間が呼吸音信号の周期であると判定する処理を含んでいてもよい。言い換えれば、呼吸音信号が呼吸という生体の活動に起因した音に相当する音声信号であることを考慮すれば、所定の周期判定処理は、繰り返し複数回行われる呼吸のうちの1回の呼吸(つまり、連続して行われる呼気及び吸気)に要する期間が呼吸音信号の周期であると判定する処理を含んでいてもよい。
【0095】
尚、呼吸音信号以外の任意の生体音信号に対して実行される所定の周期判定処理は、繰り返し複数回行われる生体の活動のうちの1回の活動に要する期間が生体音信号の周期であると判定する処理を含んでいてもよい。例えば、所定の周期判定処理は、繰り返し複数回行われる心臓の拍動のうちの1回の拍動に要する期間が心音信号、脈動音信号又は血流音信号の周期であると判定する処理を含んでいてもよい。その他の生体音信号又は入力信号に対して実行される周期判定処理についても、同様の態様で周期を判定する処理を含んでいてもよい。
【0096】
更に、本実施例では、所定の周期判定処理は、呼吸音信号の周期を細分化することで得られる細分化期間を判定する処理を含んでいてもよい。例えば、所定の周期判定処理は、呼吸音信号の周期を当該呼吸音信号の振幅レベルの変化の傾向に応じて細分化することで得られる細分化期間を判定する処理を含んでいてもよい。具体的には、生体の活動である1回の呼吸は、振幅レベルの変化の傾向が異なる1回の呼気と1回の吸気とから構成されている。このため、所定の周期判定処理は、呼吸音信号の各周期のうちの呼気期間(つまり、呼気が行われている呼気期間)及び吸気期間(つまり、吸気が行われている期間)を判定する処理を含んでいてもよい。
【0097】
尚、呼吸音信号以外の任意の生体音信号に対して実行される所定の周期判定処理は、繰り返し複数回行われる生体の活動のうちの1回の活動を、当該1回の活動の態様に応じて細分化することで得られる細分化期間を判定する処理を含んでいてもよい。例えば、生体の活動である1回の心臓の拍動は、活動の態様が異なる1回の心室の収縮と1回の心室の拡張とから構成されている。このため、心音信号、脈動音信号又は血流音信号に対して実行される所定の周期判定処理は、生体音信号の各周期のうち心室の収縮が行われている期間及び心室の拡張が行われている期間を判定する処理を含んでいてもよい。その他の生体音信号又は入力信号に対して実行される周期判定処理についても、同様の態様で細分化期間を判定する処理を含んでいてもよい。
【0098】
尚、
図1は、信号処理装置10が周期判定部113を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置10は、周期判定部113を備えていなくともよい。この場合、信号処理装置10は、信号処理装置10の外部に配置されている周期判定部113から、有線若しくは無線の通信回線又は有線の信号線を介して、信号処理装置10の外部に位置する周期判定部113が実行した周期判定処理の結果を取得することが好ましい。
【0099】
信号解析部103は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して所定の解析処理を実行する。本実施例では、所定の解析処理は、呼吸音信号を、互いに区別可能な複数種類の信号成分に分離する解析処理を含んでいる。言い換えれば、所定の解析処理は、呼吸音信号から、互いに区別可能な複数種類の信号成分のうちの少なくとも一つを抽出する解析処理を含んでいる。言い換えれば、所定の解析処理は、呼吸音信号にどのような種類の信号成分が含まれているかを解析する解析処理を含んでいる。
【0100】
具体的には、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号を、正常音に相当する信号成分と、正常音とは異なる異常音に相当する信号成分とに分離する解析処理を含んでいてもよい。言い換えれば、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号から、正常音に相当する信号成分及び異常音に相当する信号成分のうちの少なくとも一つを抽出する解析処理を含んでいてもよい。
【0101】
或いは、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号を、互いに区別可能な複数種類の正常音に相当する複数種類の信号成分に分離する解析処理を含んでいてもよい。言い換えれば、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号から、互いに区別可能な複数種類の正常音に相当する複数種類の信号成分のうちの少なくとも一つを抽出する解析処理を含んでいてもよい。
【0102】
或いは、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号を、互いに区別可能な複数種類の異常音に相当する複数種類の信号成分に分離する解析処理を含んでいてもよい。言い換えれば、例えば、所定の解析処理は、呼吸音信号から、互いに区別可能な複数種類の異常音に相当する複数種類の信号成分のうちの少なくとも一つを抽出する解析処理を含んでいてもよい。
【0103】
加えて、信号解析部103は、周期判定部113が実行する周期判定処理の結果に基づいて、呼吸音信号のピーク値(例えば、呼吸音信号の振幅レベル(つまり、信号強度を示す特性)の最大値又は最小値)を検出する所定のピークホールド処理を実行してもよい。但し、信号解析部103は、呼吸音信号のピーク値に代えて、呼吸音信号の振幅レベルの特徴を特定することが可能な任意の特徴値(例えば、平均値等)を検出する所定のピークホールド処理を実行してもよい。
【0104】
本実施例では、所定のピークホールド処理は、時間的に連続するn(但し、nは1以上の整数)個の周期毎に、呼吸音信号のピーク値を検出する処理を含んでいてもよい。言い換えれば、所定のピークホールド処理は、時間的に連続するn個の周期毎の呼吸音信号のピーク値(つまり、時間的に連続するn個の周期に相当する期間中の呼吸音信号のピーク値)を検出する処理を含んでいてもよい。
【0105】
更に、実施例では、所定のピークホールド処理は、時間的に連続するm(但し、mは1以上の整数)個の細分化期間毎に、呼吸音信号のピーク値を検出する処理を含んでいてもよい。言い換えれば、所定のピークホールド処理は、時間的に連続するm個の細分化期間毎の呼吸音信号のピーク値(つまり、時間的に連続するm個の細分化期間中の呼吸音信号のピーク値)を検出する処理を含んでいてもよい。
【0106】
信号解析部103は、解析処理及びピークホールド処理の結果(例えば、複数種類の信号成分そのものを特定可能な情報や、複数種類の信号成分の夫々のn個の周期毎の又はm個の細分化期間毎のピーク値を特定可能な任意の情報等)を、表示データ生成部104に対して出力する。
【0107】
尚、
図1は、信号処理装置10が信号解析部103を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置10は、信号解析部103を備えていなくともよい。この場合、信号処理装置10は、信号処理装置10の外部に配置されている信号解析部103から、有線若しくは無線の通信回線又は有線の信号線を介して、信号処理装置10の外部に位置する信号解析部103が実行した解析処理及びピークホールド処理の結果を取得することが好ましい。
【0108】
表示データ生成部104は、信号解析部103が実行した解析処理及びピークホールド処理の結果に基づいて、呼吸音信号を構成する複数種類の信号成分の夫々の特性(例えば、信号強度に相当する振幅レベル等)を表示部105に表示するための表示データ(例えば、画像信号)を生成する。言い換えれば、表示データ生成部104は、呼吸音信号を構成する複数種類の信号成分の夫々の特性を視覚的に特定することが可能な何らかの表示対象物を表示部105に表示するための表示データを生成する。このとき、表示データ生成部104は、少なくとも、呼吸音信号を構成する複数種類の信号成分の夫々のピーク値を表示部105に表示するための表示データを生成する。尚、表示対象物は、呼吸音信号の特性を視覚的に特定することができる限りは、どのような表示対象物であってもよい。例えば、表示対象物は、呼吸音信号の特性を視覚的に特定するテキスト(例えば、文字や数値等)を含む表示対象物であってもよい。或いは、例えば、表示対象物は、呼吸音信号の特性を視覚的に特定する図画(例えば、グラフやチャート等)を含む表示対象物であってもよい。
【0109】
加えて、表示データ生成部104は、生成した表示データを、表示部105に対して出力する。
【0110】
尚、周期判定部113、信号解析部103及び表示データ生成部104は、夫々、CPU(Central Processing Unit)上で論理的に実現される処理ブロックである。但し、周期判定部113、信号解析部103及び表示データ生成部104は、夫々、半導体チップ等によって物理的に実現される処理回路であってもよい。
【0111】
表示部105は、表示データ生成部104が生成した表示データに基づく表示処理を行うディスプレイ装置である。その結果、表示部105は、呼吸音信号を構成する複数種類の信号成分の夫々の特性を、当該表示部105の表示画面上に表示する。
【0112】
尚、
図1は、信号処理装置10が表示部105を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置10は、表示部105を備えていなくともよい。この場合、信号処理装置10は、信号処理装置10の外部に位置する表示部105に対して、有線若しくは無線の通信回線又は有線の信号線を介して、表示データ生成部104が生成した表示データを転送することが好ましい。
【0113】
(2)本実施例の信号処理装置10の動作
続いて、
図2から
図11を参照しながら、本実施例の信号処理装置10の動作について説明する。
図2は、本実施例の信号処理装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
図3は、信号取得部101の生体に対する装着態様の一例を示す模式図及び呼吸音信号の波形を時間軸上で示すグラフである。
図4は、信号記憶部102が呼吸音信号を記憶する動作の一例を示す模式図である。
図5は、呼吸音の種類を示す分類チャートである。
図6は、5種類の呼吸音(肺胞呼吸音、低音性連続性ラ音(類鼾音)、高音性連続性ラ音(笛声音)、細かい断続性ラ音(捻髪音)及び粗い断続性ラ音(水泡音))に相当する5種類の信号成分の波形を時間軸上で示すグラフである。
図7は、周期判定処理の第1の態様を呼吸音信号の波形と共に示すグラフである。
図8は、周期判定処理の第2の態様を呼吸音信号の波形と共に示すグラフである。
図9は、ピークホールド処理の一の態様を5種類の信号成分の波形と共に示すグラフである。
図10は、ピークホールド処理の一の態様を1種類の信号成分(肺胞呼吸音成分)の波形と共に示すグラフである。
図11は、呼吸音信号を構成する5種類の信号成分の夫々の特性の表示態様の一例を示す平面図である。
【0114】
図2に示すように、まず、信号取得部101は、呼吸音信号を取得する(ステップS101)。例えば、
図3(a)に示すように、信号取得部101は、生体の体表面(
図3(a)に示す例では、左胸付近の体表面)に取り付けられてもよい。このとき、信号取得部101の装着位置は、固定されていてもよい。或いは、医療従事者が聴診する際に聴診器をあてる位置を適宜変更していることを考慮すれば、信号取得部101の装着位置は、呼吸音信号の取得の途中で適宜変更されてもよい。その結果、信号取得部101は、呼吸音信号を取得する。このとき、信号取得部101は、所定のサンプリング周波数に応じて周期的に呼吸音信号を取得してもよい。つまり、信号取得部101は、呼吸音信号のサンプル値を周期的に取得してもよい。但し、信号取得部101は、非周期的に又は連続的に呼吸音信号を取得してもよい。その結果、信号取得部101は、
図3(b)に示す時間軸上の波形として特定される呼吸音信号を取得することができる。
【0115】
尚、
図3(b)に示すように、生体の呼吸が吸気(つまり、肺への空気の取り込み)と呼気(つまり、肺からの空気の吐き出し)との繰り返しであることを考慮すれば、呼吸音信号は、周期性を有する信号であると言える。呼吸音信号の1周期は、吸気期間(つまり、吸気が行われる期間)と当該吸気期間に続く呼気期間(つまり、呼気が行われる期間)とを合算した期間となる。尚、呼吸音信号の周期は、時間の経過と共に変動してもよいことは言うまでもない。
【0116】
信号取得部101による呼吸音信号の取得と並行して、信号記憶部102は、信号取得部101が取得した呼吸音信号を一時的に記憶する(ステップS102)。このとき、信号記憶部102は、後述する信号解析部103が実行する解析処理に必要なサイズ及び周期判定部113が実行する周期判定処理に必要なサイズのうちの大きいほうのサイズの呼吸音信号を一時的に記憶することが好ましい。本実施例では、信号解析部103が実行する解析処理に必要な呼吸音信号のサイズは、「1秒」であるものとする。一方で、本実施例では、周期判定部113が実行する周期判定処理に必要なサイズは、20秒から25秒(言い換えれば、5周期分の呼吸音信号のサイズであり、1周期の長さが概ね4秒から5秒となる呼吸音信号について言えば(4秒から5秒)×5周期=20秒から25秒)であるものとする。従って、この場合、信号記憶部102は、少なくとも最新の(言い換えれば、直近)20秒分の呼吸音信号を一時的に記憶することが好ましい。このような直近20秒分の呼吸音信号を一時的に記憶するために、信号記憶部102は、リングバッファを含んでいることが好ましい。但し、信号解析部103が実行する解析処理に必要な呼吸音信号のサイズは、1秒以外の任意の時間であってもよい。同様に、信号解析部103が実行する周期判定処理に必要な呼吸音信号のサイズは、20秒から25秒以外の任意の時間であってもよい。
【0117】
尚、呼吸音信号に代えて心音信号が用いられる場合には、周期判定部113が実行する周期判定処理に必要なサイズは、例えば、4秒から5秒(言い換えれば、5周期分の心音信号のサイズであり、1周期の長さが概ね0.8秒から1秒となる心音信号について言えば、0.8秒から1秒×5周期=4秒から5秒)であるものとする。但し、信号解析部103が実行する周期判定処理に必要な呼吸音信号のサイズは、4秒から5秒以外の任意の時間であってもよい。
【0118】
例えば信号取得部101が44100Hzのサンプリング周波数に応じて呼吸音信号を取得している場合には、信号記憶部102は、44100個×20秒=882000個の呼吸音信号のサンプル値を一時的に記憶する。より具体的には、
図4に示すように、信号記憶部102は、最新の時刻(t)に取得された呼吸音信号のサンプル値S(t)と、時刻(t−1)に取得された呼吸音信号のサンプル値S(t−1)と、時刻(t−2)に取得された呼吸音信号のサンプル値S(t−2)と、・・・、時刻(t−881999)に取得された呼吸音信号のサンプル値S(t−881999)とを一時的に記憶する。
【0119】
信号取得部101による呼吸音信号の取得と並行して、信号解析部103は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して所定の解析処理を実行する(ステップS103a)。つまり、信号解析部103は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して、呼吸音信号を複数種類の信号成分に分離する解析処理を実行する。
【0120】
ここで、
図5を参照しながら、呼吸音の種類について説明する。
図5に示すように、広義の呼吸音(つまり、肺音)は、狭義の呼吸音と、異常音の一例である副雑音とに分類される。狭義の呼吸音は、正常音の一例である正常な呼吸音と、異常音の一例である異常な呼吸音とに分類される。正常な呼吸音は、肺胞呼吸音と、気管支呼吸音と、気管支肺胞呼吸音と、気管呼吸音とに分類される。異常な呼吸音は、減弱・消失に起因した呼吸音と、増強に起因した呼吸音と、呼気延長に起因した呼吸音と、気管支呼吸音化に起因した呼吸音と、気管狭窄音とに分類される。副雑音は、ラ音と、その他の音とに分類される。ラ音は、連続性ラ音と、断続性ラ音とに分類される。連続性ラ音は、低音性連続性ラ音(類鼾音)と、高音性連続性ラ音(笛声音)と、スクウォーク(吸気性の連続性ラ音)とに分類される。断続性ラ音は、細かい断続性ラ音(捻髪音)と、粗い断続性ラ音(水泡音)とに分類される。その他の音は、胸膜摩擦音と、肺血管性雑音とに分類される。
【0121】
本実施例では、信号解析部103は、呼吸音信号を、正常音の一例である肺胞呼吸音に相当する信号成分(以下、“肺胞呼吸音成分”と称する)と、異常音の一例である低音性連続性ラ音(類鼾音)に相当する信号成分(以下、“類鼾音成分”と称する)と、異常音の一例である高音性連続性ラ音(笛声音)に相当する信号成分(以下、“笛声音成分”と称する)と、異常音の一例である細かい断続性ラ音(捻髪音)に相当する信号成分(以下、“捻髪音成分”と称する)と、異常音の一例である粗い断続性ラ音(水泡音)に相当する信号成分(以下、“水泡音成分”と称する)とに分離する解析処理を行う。言い換えれば、信号解析部103は、呼吸音信号から、肺胞呼吸音成分、類鼾音成分、笛声音成分、捻髪音成分及び水泡音成分のうちの少なくとも一つを抽出する解析処理を行う。尚、
図6の1段目のグラフは、肺胞呼吸音成分の一例を示している。
図6の2段目のグラフは、類鼾音成分の一例を示している。
図6の3段目のグラフは、笛声音成分の一例を示している。
図6の4段目のグラフは、捻髪音成分の一例を示している。
図6の5段目のグラフは、水泡音成分の一例を示している。
【0122】
信号解析部103は、以下の観点から、呼吸音信号を、肺胞呼吸音成分と、類鼾音成分と、笛声音成分と、捻髪音成分と、水泡音成分とに分離してもよい。
【0123】
具体的には、肺胞呼吸音成分及び断続性ラ音に相当する信号成分(つまり、捻髪音成分及び水泡音成分)の周波数スペクトル形状が相対的に広帯域であり且つ相対的に滑らかである一方で、連続性ラ音に相当する信号成分(つまり、類鼾音成分及び笛声音成分)の周波数スペクトル形状が相対的に狭帯域であり且つ相対的に急峻であるという違いがある。従って、信号解析部103は、このような周波数スペクトル形状の違いに着目することで、呼吸音信号を、連続性ラ音に相当する信号成分と、連続性ラ音に相当する信号成分とは異なる信号成分(つまり、肺胞呼吸音成分及び断続性ラ音に相当する信号成分)とに分離してもよい。
【0124】
また、類鼾音成分の周波数が相対的に低い一方で、笛声音成分の周波数が相対的に高いという違いがある。従って、信号解析部103は、このような周波数の違いに着目することで、連続性ラ音に相当する信号成分を、類鼾音成分と笛声音成分とに分離してもよい。
【0125】
また、肺胞呼吸音成分が時間的に継続する(つまり、連続する)信号成分である一方で、断続性ラ音に相当する信号成分が時間的に断続するパルス状の信号成分であるという違いがある。従って、信号解析部103は、このような時間軸上での信号成分の分布の違いに着目することで、連続性ラ音に相当する信号成分とは異なる信号成分を、肺胞呼吸音成分と断続性ラ音に相当する信号成分とに分離してもよい。
【0126】
また、水泡音成分の周波数が相対的に低い一方で、捻髪音成分の周波数が相対的に高いという違いがある。従って、信号解析部103は、このような周波数の違いに着目することで、断続性ラ音に相当する信号成分を、水泡音成分と捻髪音成分とに分離してもよい。
【0127】
尚、呼吸音信号を5種類の信号成分(つまり、肺胞呼吸音成分、類鼾音成分、笛声音成分、捻髪音成分及び水泡音成分)に分離する解析処理に関する上述の方法はあくまで一例である。従って、信号解析部103は、その他の方法で呼吸音信号を5種類の信号成分に分離する解析処理を実行してもよい。尚、呼吸音信号を複数種類の信号成分に分離する(或いは、呼吸音信号から特定種類の信号成分を抽出する)方法は、例えば、特表2004−531309号公報や、特開2005−66045号公報や、特表2001−505085号公報や、特表2007−508899号公報や、「肺音信号のスパース表現と断続音分離への応用、酒井・里元・喜安・宮原、長崎大学国学研究報告第41巻第76号」等に開示されている。従って、信号解析部103は、これらの文献に開示された方法を用いて、呼吸音信号を複数種類の信号成分に分離してもよい。
【0128】
また、信号解析部103は、呼吸音信号を上述した5種類の信号成分に分離する解析処理に加えて又は代えて、呼吸音信号を任意の複数種類の信号成分に分離する(或いは、呼吸音信号から任意の一以上の信号成分を抽出する)解析処理を実行してもよい。
【0129】
尚、信号解析部103による解析処理の対象となっている呼吸音信号は、典型的には、肺胞呼吸音成分を常に含んでいる可能性が高い。なぜならば、生体が呼吸をしている以上、その呼吸音には、異常音が含まれているか否かに関わらず、正常音の一例である肺胞呼吸音が含まれているはずであるからである。一方で、信号解析部103による解析処理の対象となっている呼吸音信号は、5種類の信号成分のうちの全部を含んでいることもある。或いは、信号解析部103による解析処理の対象となっている呼吸音信号は、5種類の信号成分のうちの一部のみを含んでいることもある。或いは、信号解析部103による解析処理の対象となっている呼吸音信号は、5種類の信号成分のうちの全部を含んでいないこともある。いずれの場合であっても、信号解析部103は、呼吸音信号を上述した5種類の信号成分に分離する解析処理を実行することで、5種類の信号成分の夫々を取得することができる。例えば、信号解析部103は、解析処理を実行することで、呼吸音信号に含まれている信号成分を取得することができると共に、呼吸音信号に含まれていない信号成分を振幅レベルがゼロとなる信号成分として取得することができる。
【0130】
信号解析部103による呼吸音信号の解析処理と並行して、周期判定部113は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して所定の周期判定処理を実行する(ステップS113)。つまり、信号解析部103は、信号記憶部102が記憶している呼吸音信号に対して、呼吸音信号の周期及び細分化期間(つまり、呼気期間及び吸気期間)のうちの少なくとも一方を判定する周期判定処理を実行する。
【0131】
周期判定部113は、以下の観点から、呼吸音信号の周期並びに細分化期間(つまり、呼気期間及び吸気期間)のうちの少なくとも一方を判定してもよい。
【0132】
具体的には、
図7に示すように、周期判定部113は、呼吸音信号の振幅レベルの絶対値が所定閾値A以下となる無音部が周期及び細分化期間のうちの少なくとも一方の境界であるとみなすことで、呼吸音信号の周期及び細分化期間(つまり、呼気期間及び吸気期間)のうちの少なくとも一方を判定してもよい。尚、
図7に示す例では、周期判定部113は、無音部が細分化期間の境界であるとみなすことで、呼吸音信号の細分化期間(つまり、呼気期間及び吸気期間)を判定している。但し、連続する2つの細分化期間が1つの周期に相当することを考慮すれば、
図7に示す例では、周期判定部113は、連続する2つの無音部のうちのいずれか一方の無音部が周期の境界であるとみなすことで、呼吸音信号の周期を判定しているとも言える。
【0133】
尚、無音部が周期又は細分化期間の境界であるとみなす場合は、当該境界となる無音部の間の時間間隔は、一定の期間以上であることが好ましい。つまり、周期判定部113は、間の時間間隔が一定の期間未満となる2つの無音部のうちのいずれか一方の無音部は、周期又は細分化期間の境界ではないものとみなすことが好ましい。その結果、異常に小さな瞬時値が呼吸音信号にまぎれこんでしまう場合であっても、周期判定部113は、無音部に基づいて周期及び細分化期間のうちの少なくとも一方を好適に判定することができる。
【0134】
或いは、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、周期判定部113は、呼吸音信号の波形の類似度に基づいて、呼吸音信号の周期及び細分化期間(つまり、呼気期間及び吸気期間)のうちの少なくとも一方を判定してもよい。具体的には、周期判定部113は、類似度が高い(例えば、相対的に高い又は所定度数よりも高い)波形が繰り返されている場合には、当該各波形が現れる期間が周期及び細分化期間のうちの少なくとも一方であると判定してもよい。例えば、
図8(a)に示す例では、周期判定部113は、波形Aと波形A’と波形A’’とが類似している(つまり、類似度が高い)と判定すると共に、当該判定結果に基づいて、波形A、波形A’及び波形A’’の夫々が現れる期間が1つの吸気期間であると判定している。同様に、
図8(a)に示す例では、周期判定部113は、波形Bと波形B’とが類似している(つまり、類似度が高い)と判定すると共に、当該判定結果に基づいて、波形B及び波形B’の夫々が現れる期間が1つの呼気期間であると判定している。或いは、
図8(b)に示す例では、周期判定部113は、波形aと波形a’と波形a’’とが類似している(つまり、類似度が高い)と判定すると共に、当該判定結果に基づいて、波形a、波形a’及び波形a’’の夫々が現れる期間が1つの周期であると判定している。
【0135】
その後、信号解析部103は、周期判定部113が実行する周期判定処理の結果に基づいて、呼吸音信号のピーク値を検出する所定のピークホールド処理を実行する(ステップS103b)。尚、以下では、信号解析部103は、1つの細分化期間毎の呼吸音信号のピーク値(つまり、各呼気期間の呼吸音信号のピーク値及び各吸気期間における呼吸音信号のピーク値)を検出するものとする。
【0136】
また、信号解析部103は、呼吸音信号に含まれる5種類の信号成分(つまり、肺胞呼吸音成分、類鼾音成分、笛声音成分、捻髪音成分及び水泡音成分)の夫々のピーク値を検出することが好ましい。但し、信号解析部103は、呼吸音信号そのもののピーク値を検出してもよい。
【0137】
その結果、例えば、
図9に示すように、信号解析部103は、吸気期間#1における肺胞呼吸音成分のピーク値P11、吸気期間#1における類鼾音成分のピーク値P21、吸気期間#1における笛声音成分のピーク値P31、吸気期間#1における捻髪音成分のピーク値P41及び吸気期間#1における水泡音成分のピーク値P51を検出する。その後、信号解析部103は、呼気期間#1における肺胞呼吸音成分のピーク値P12、呼気期間#1における類鼾音成分のピーク値P22、呼気期間#1における笛声音成分のピーク値P32、呼気期間#1における捻髪音成分のピーク値P42及び呼気期間#1における水泡音成分のピーク値P52を検出する。その後、信号解析部103は、吸気期間#2における肺胞呼吸音成分のピーク値P13、吸気期間#2における類鼾音成分のピーク値P23、吸気期間#2における笛声音成分のピーク値P33、吸気期間#2における捻髪音成分のピーク値P43及び吸気期間#2における水泡音成分のピーク値P53を検出する。その後、信号解析部103は、呼気期間#2における肺胞呼吸音成分のピーク値P14、呼気期間#2における類鼾音成分のピーク値P24、呼気期間#2における笛声音成分のピーク値P34、呼気期間#2における捻髪音成分のピーク値P44及び呼気期間#2における水泡音成分のピーク値P54を検出する。
【0138】
尚、
図9に示す例では、信号解析部103は、1つの細分化期間毎の呼吸音信号のピーク値(つまり、各呼気期間の呼吸音信号のピーク値及び各吸気期間における呼吸音信号のピーク値)を検出している。しかしながら、
図10(a)に示すように、信号解析部103は、1つの周期毎の5種類の信号成分(或いは、呼吸音信号)のピーク値を検出してもよい。或いは、
図10(b)に示すように、信号解析部103は、2つの周期毎(或いは、3つ以上の周期毎)の5種類の信号成分(或いは、呼吸音信号)のピーク値を検出してもよい。或いは、
図10(c)に示すように、信号解析部103は、3つの細分化期間毎(或いは、2つ以上の細分化期間毎)の5種類の信号成分(或いは、呼吸音信号)のピーク値を検出してもよい。
【0139】
信号解析部103により実行される解析処理と並行して、表示データ生成部104は、5種類の信号成分(つまり、肺胞呼吸音成分、類鼾音成分、笛声音成分、捻髪音成分及び水泡音成分)の夫々の特性(具体的には、振幅レベルの瞬時値及びピーク値)を表示部105に表示するための表示データを生成する(ステップS104)。尚、表示データは、表示部105が表示する表示対象物を示すデータである。このような表示データは、例えば、呼吸音信号の特性を視覚的に特定するテキスト(例えば、文字や数値等)及び図画(例えば、グラフやチャート等)のうちの少なくとも一方を示す画像信号(或いは、画像信号とは異なる形式を有する任意の信号)に相当するデータであってもよい。
【0140】
このとき、表示データ生成部104は、信号解析部103が実行した解析処理の結果に基づいて、表示データを生成する。表示データ生成部104は、生成した表示データを適宜表示部105に対して出力する。
【0141】
尚、以下の説明では、表示部105に表示される信号成分の特性が振幅レベル(つまり、信号強度を示す特性)である例を用いて説明を進める。但し、信号成分の特性が振幅レベルとは異なる特性(言い換えれば、信号成分の状態を特定することが可能な指標(変量))であってもよいことは言うまでもない。この場合、信号解析部103は、振幅レベルとは異なる特性を対象として上述したピークホールド処理を行う(つまり、振幅レベルとは異なる特性のピーク値を検出する)ことが好ましい。
【0142】
例えば、
図11(a)から
図11(d)に示すように、表示データ生成部104は、棒グラフを用いて5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示するための表示データを生成してもよい。尚、
図11(a)から
図11(d)に示す例では、5種類の信号成分に対応する5つの棒が横軸に沿って順に並んでいる。また、
図11(a)から
図11(d)に示す例では、振幅レベルが大きくなるほど棒の長さが縦軸方向に沿って長くなっている。また、
図11(a)から
図11(d)に示す例では、棒によって示される瞬時値に加えて、線によって示されるピーク値も合わせて表示されている。
【0143】
図11(a)から
図11(d)は、
図9に示す5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフの一例を示している。例えば、
図11(a)は、吸気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフの一例を示している。従って、現在の時刻が吸気期間#1に包含される時刻である場合には、
図11(a)に示す棒グラフを表示するための表示データが生成されると共に、
図11(a)に示す棒グラフが表示部105に表示される。
【0144】
同様に、
図11(b)は、呼気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフの一例を示している。従って、現在の時刻が呼気期間#1に包含される時刻である場合には、
図11(b)に示す棒グラフを表示するための表示データが生成されると共に、
図11(b)に示す棒グラフが表示部105に表示される。言い換えれば、呼気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルのピーク値を信号解析部103が新たに検出した場合には、画像データ生成部104は、吸気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフに代えて、呼気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフを表示するための表示データを新たに作成する。その結果、表示部105は、吸気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフに代えて、呼気期間#1における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を示す棒グラフを表示する。
【0145】
同様に、
図11(c)は、吸気期間#2における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示する棒グラフの一例を示している。従って、現在の時刻が吸気期間#2に包含される時刻である場合には、
図11(c)に示す棒グラフを表示するための表示データが生成されると共に、
図11(c)に示す棒グラフが表示部105に表示される。
【0146】
同様に、
図11(d)は、呼気期間#2における5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示する棒グラフの一例を示している。従って、現在の時刻が呼気期間#2に包含される時刻である場合には、
図11(d)に示す棒グラフを表示するための表示データが生成されると共に、
図11(d)に示す棒グラフが表示部105に表示される。
【0147】
もちろん、表示データ生成部104は、
図11(a)から
図11(d)に示す表示形式とは異なる表示形式で5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示するための表示データを生成してもよい。更には、表示データ生成部104は、5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値のうちのいずれか一方を表示しない一方でいずれか他方を表示するための表示データを生成してもよい。
【0148】
表示データ生成部104による表示データの生成と並行して、表示部105は、表示データ生成部104が生成した表示データに基づく表示処理を行う(ステップS105)。その結果、表示部105は、5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示する。例えば、表示部105は、
図11(a)から
図11(d)に示す形式で5種類の信号成分の夫々の振幅レベルの瞬時値及びピーク値を表示する。
【0149】
以上説明したステップS101からステップS105までの動作が、信号処理装置(10)の動作が終了するまで繰り返し行われる(ステップS106)。このとき、ステップS101からステップS105までの動作が繰り返されるに当たって、ステップS101からステップS105までの各動作は、周期的若しくは非周期的に又は連続的に行われることが好ましい。つまり、ステップS101からステップS105までの各動作は、リアルタイムに又は動的に行われることが好ましい。
【0150】
以上説明したように、本実施例の信号処理装置10によれば、信号解析部103が実行するピークホールド処理によるピーク値の検出の対象となる期間は、n個の連続する周期又はm個の連続する細分化期間に一致する。このため、呼吸音信号の周期がどのような周期であったとしても、呼吸音信号の周期又は細分化期間とピーク値の検出の対象となる期間との間に時間的なずれが生じてしまうおそれは殆ど又は全くない。従って、本実施例では、信号解析部103は、呼吸音信号の周期又は細分化期間(つまり、吸気期間及び呼気期間)と好適に対応付けられた呼吸音信号のピーク値を検出することができる。その結果、表示部105は、入呼吸音信号の周期又は細分化期間(つまり、吸気期間及び呼気期間)と好適に対応付けられた呼吸音信号のピーク値を表示することができる。
【0151】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う信号処理装置及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。