(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スプールには、前記制御ポートに連通した主流路と、前記主流路に接続し且つ前記スプール収容孔内における前記スプールの位置に応じて前記主流路を前記圧力源ポートと連通させる第1分岐流路と、前記主流路に接続し且つ前記スプール収容孔内における前記スプールの位置に応じて前記主流路を前記タンクポートと連通させる第2分岐流路と、前記主流路と前記作用空間とを連通させる前記分岐流路と、が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁比例弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実用新案文献1に開示された電磁比例弁は、電磁比例弁の構成を簡略化することを第1の目的としている。しかしながら、実用新案文献1の電磁比例弁では、各ポート間を連通させる流路とは別途にピストン孔を形成し、且つ、このピストン孔に対応して圧力ピストンやストッパピンを設ける必要がある。さらに、ソレノイドアクチュエータからの推力を受ける面を画成するため、キャップを設置しなければならない。また、安定した動作を確保する目的から、駆動圧が負荷される圧力ピストン、ストッパピン、キャップ等の剛性を高めようとすると、電磁比例弁が大型化してしまう。すなわち、従来の電磁比例弁は、十分に簡易化された構成で十分高精度に動作することができなかった。すなわち、本発明は、高精度な動作を安定して確保することができる簡易化された電磁比例弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電磁比例弁は、
スプール収容孔が形成された弁本体と、
前記弁本体に対して動作可能に前記スプール収容孔に収容されたスプールと、
前記スプール収容孔内に延び入り且つ前記スプールに当接する駆動ロッドと、前記駆動ロッドを駆動する駆動体と、を有する駆動装置と、を備え、
圧力源に連通する圧力源ポートと、タンクに連通するタンクポートと、制御圧が出力される制御ポートと、が前記弁本体に形成され、
前記スプール収容孔内における前記スプールの位置を制御することで、前記圧力源ポートまたは前記タンクポートを前記制御ポートと連通させる、電磁比例弁において、
前記制御圧が、前記駆動ロッドから前記スプールへの推力とは逆向きに前記駆動ロッドに作用する。
【0007】
本発明による電磁比例弁において、前記駆動体が、ソレノイドコイルを含み、前記駆動ロッドが、前記ソレノイドコイル内にその少なくとも一部分が位置するプランジャーと、前記プランジャーとともに動作して前記スプールに当接し且つ前記プランジャーよりも高い硬度を有する頭部ピンと、有するようにしてもよい。
【0008】
本発明による電磁比例弁において、前記プランジャーと前記頭部ピンとが摩擦圧接されていてもよい。
【0009】
本発明による電磁比例弁において、前記スプール収容孔の一方の端部を画成し且つ前記駆動ロッドが貫通した隔壁と、前記スプールの前記駆動ロッドが当接する端面を含む端部部分と、前記弁本体とによって、作用空間が区画され、前記作用空間は前記制御ポートと連通し、前記作用空間内において、前記制御圧が前記駆動ロットに作用するようにしてもよい。
【0010】
本発明による電磁比例弁において、前記スプールは、前記端部部分において、細くなっており、前記スプール収容孔を画成する前記弁本体の内壁との間に前記作用空間の一部をなす隙間を形成していてもよい。
【0011】
本発明による電磁比例弁において、前記スプールには、前記制御ポートに連通した主流路と、前記主流路に接続し且つ前記スプール収容孔内における前記スプールの位置に応じて前記主流路を前記圧力源ポートと連通させる第1分岐流路と、前記主流路に接続し且つ前記スプール収容孔内における前記スプールの位置に応じて前記主流路を前記タンクポートと連通させる第2分岐流路と、前記主流路と前記作用空間とを連通させる第3分岐流路と、が形成されていてもよい。
【0012】
本発明による電磁比例弁において、前記隔壁によって区画される前記作用空間とは反対側の空間が、前記タンクポートに連通していてもよい。
【0013】
本発明による電磁比例弁において、前記駆動ロッドの前記スプールに当接する先端部は、前記スプールに向けて先細りするテーパ形状となっていてもよい。
【0014】
本発明による電磁比例弁において、前記駆動ロッドの前記スプールに当接する先端部は、球の一部分をなす形状となっていてもよい。
【0015】
本発明による電磁比例弁が、前記駆動ロッドから前記スプールへの推力とは逆向きに前記スプールを付勢する付勢部材を、さらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、十分に簡易化された電磁比例弁が安定して高精度に動作することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1及び
図2は、電磁比例弁を示す縦断面図である。
図1及び
図2では、同一の電磁比例弁を異なる状態にて示している。電磁比例弁は、流体源から流体圧機器への流体の導入、及び、流体圧機器から流体源への排出に用いられる。とりわけ、電磁比例弁は、流体圧機器への流体の導入圧力、すなわち制御圧を励磁電流に対応した圧力に調整することができる。
【0019】
図示された電磁比例弁10は、油圧機器に接続され当該油圧機器の油圧調整に用いられる。電磁比例弁10は、油の供給源としての圧力源に油圧機器を連通させ圧力源から油圧機器に油を供給する供給位置と、油を貯留するタンクに油圧機器を連通させ油圧機器から油をタンクに排出する排出位置、及び、油圧機器を圧力源およびタンクから遮断する中立位置の三つの状態のいずれかに維持される。このうち、
図1の左半分が、中立位置にある電磁比例弁10を示し、
図2の左半分が、供給位置にある電磁比例弁10を示している。また、
図1の右半分および
図2の右半分が、排出位置にある電磁比例弁10を示している。
【0020】
図1及び
図2に示すように、電磁比例弁10は、主たる構成要素として、駆動装置20及び弁30を有している。弁30は、供給位置、排出位置及び中立位置の間で流路を切り替える。駆動装置20は、弁30を駆動して弁30の位置を制御する。駆動装置20は、駆動ロッド25と、駆動ロッド25を保持する駆動体22と、を有している。駆動ロッド25は、その中心軸線に沿って駆動体22に対して進退可能に保持されている。なお、駆動ロッド25の軸線に沿って、駆動装置20及び弁30は並べられている。後述する弁30のスプール70の中心軸線は、駆動ロッド25の中心軸線と同一線al上に位置している。以下において、駆動ロッド25の軸線及びスプール70の軸線と平行な方向を、電磁比例弁10に関する軸方向adと呼ぶ。
【0021】
駆動ロッド25の軸方向adへの駆動は、駆動体22によって制御される。図示された駆動装置20は、ソレノイドアクチュエータとして構成されており、駆動体22は、ソレノイドコイル23を含んでいる。駆動ロッド25は、ソレノイドコイル23からの作用を受けるプランジャー26と、プランジャー26と軸方向adに並べられた頭部ピン27と、を有している。プランジャー26は、少なくともその一部分がソレノイドコイル23内に位置する。プランジャー26の少なくとも一部分が、磁性体からなっている。この結果、ソレノイドコイル23に励磁電流が流れてソレノイドコイル23内に磁界が発生すると、プランジャー26は軸方向adに駆動される。
【0022】
頭部ピン27は、プランジャー26よりも高い硬度を有している。硬度は、例えばロックウェル硬さCスケール(HRC)にて評価され得る。頭部ピン27の軸方向adにおける両端は、それぞれ、端に向けて先細りするテーパ状の形状となっている。とりわけ図示された例では、頭部ピン27の両端は、球の一部分をなす形状となっている。頭部ピン27の一方の先端が、駆動ロッド25のスプール70に当接する先端部25aを形成している。
【0023】
以上の構成を有した駆動装置20では、ソレノイドコイル23に励磁電流を流すと、駆動ロッド25が、弁30のバネ80の付勢力に抗して軸方向adに移動する。駆動ロッド25の移動量は、スプール70からの反力が加えられていない場合、ソレノイドコイル23の励磁電流の大きさに比例する。図示された例において、励磁電流の大きさに比例して、駆動ロッド25が駆動体22から突出する。
【0024】
次に、弁30について説明する。弁30は、スプール収容孔41が形成された弁本体40と、スプール収容孔41に保持されたスプール70と、を有している。軸部材状のスプール70は、その軸線と平行な軸方向adにスプール収容孔41内で移動可能となっている。スプール収容孔41内には、駆動ロッド25の先端部25aが延び入っている。また、弁30は、弁本体40内に配置された付勢部材80を有している。付勢部材80は、スプール70を駆動ロッド25に向けて付勢している。この結果、駆動ロッド25の先端部25aは、スプール70に当接している。付勢部材80は、図示された例において圧縮ばねによって構成されている。この付勢部材80は、駆動ロッド25とスプール70との接触状態を維持するためのものであり、付勢部材80からの付勢力は、駆動ロッド25からスプール70への推力と比較して格段に小さく設定されていてもよい。
【0025】
駆動ロッド25が駆動体22から進出すると、スプール70は、駆動ロッド25に押圧されて、弁本体40に対して移動する。また、駆動ロッド25が駆動体22内に後退すると、スプール70は、付勢部材80に押圧されて、駆動ロッド25との接触状態を維持するよう弁本体40に対して移動する。弁本体40には、圧力源ポートpp、タンクポートtp及び制御ポートapが形成されている。一方、スプール70には、流路mp,1bp,2bpが形成されている。スプール70が、
図1の左半分に示された中立位置に位置する場合、各ポートpp,tp,apは、互いから遮断される。スプール70が、
図2の左半分に示された供給位置に位置する場合、制御ポートapが圧力源ポートppに連通し、タンクポートtpはその他のポートpp,apから遮断される。スプール70が、
図1の右半分及び
図2の右半分に示された排出位置に位置する場合、制御ポートapがタンクポートtpに連通し、圧力源ポートppはその他のポートtp,apから遮断される。
【0026】
なお、制御ポートapは、スプール収容孔41に開口し、且つ、制御圧が出力される。すなわち、制御ポートapは、制御対象となる油を供給される油圧機器に接続している。圧力源ポートppは、スプール収容孔41に開口し、且つ、圧力源、例えばポンプに連通する。タンクポートtpは、スプール収容孔41に開口し、且つ、油を貯留するタンクに連通する。したがって、スプール70が供給位置に位置する電磁比例弁10では、圧力源から油圧機器へ油が供給され、スプール70が排出位置に位置する電磁比例弁10では、油圧機器からタンクへと油が排出される。また、スプール70が中立位置に位置する電磁比例弁10では、油圧機器内の油が維持される。
【0027】
図示された例において、弁本体40は、軸方向adに延びる貫通孔46を形成されたソケット45と、貫通孔46内に固定された第1コア50と、貫通孔46の駆動装置20側の端部に固定された第2コア55と、ソケット45に固定されてフランジを形成するフランジ部材60と、を有している。第1コア50は、貫通孔46を領域分割する第1隔壁51として機能する。第1コア50は、貫通孔46内にスプール収容孔41を区画している。一方、第2コア55は、貫通孔46を区画する第2隔壁56として機能する。第1コア50とソケット45との間は、Oリング53が設けられ、密封されている。また、第2コア55とソケット45との間は、Oリング58が設けられ、密封されている。
【0028】
第1コア50には、駆動装置20の駆動ロッド25が進退可能に通過する貫通孔52が形成されている。また、第2コア55にも、駆動装置20の駆動ロッド25が進退可能に通過する貫通孔57が形成されている。駆動ロッド25は、第1コア50及び第2コア55にそれぞれ形成された貫通孔52,57を通過している。駆動ロッド25の先端部25aはスプール収容孔41内に位置している。また、駆動ロッド25のプランジャー26と頭部ピン27との接合箇所は、第1コア50、第2コア55及びソケット45で区画された予備室ec内に位置している。とりわけ、供給位置および排出位置の間に亘って、プランジャー26と頭部ピン27との接合箇所は、予備室ec内に位置し続ける。これにより、プランジャー26と頭部ピン27との接合箇所が、第1コア50または第2コア55と干渉することを防止し、駆動ロッド25の円滑な動作を確保することができる。
【0029】
なお、タンクポートtpと予備室ecの間には、連結流路cpが設けられている。連結流路cpは、ソケット45に形成されている。この連結流路cpによって、予備室ecは、タンクポートtpに連通している。
【0030】
次に、スプール70について説明する。スプール70は、軸方向adに沿った両端に基端部部分70a及び先端部部分70bを有している。スプール70は、その先端部部分70bを付勢部材80によって押圧され、駆動ロッド25に向けて付勢されている。スプール70は、基端部部分70aの端面において、駆動ロッド25の先端部25aに接触している。また、スプール70は、基端部部分70aにおいて、縮径して細くなっている。第1コア50によって形成された第1隔壁51と、スプール70の基端部部分70aと、スプール収容孔41を画成するソケット45の内面とによって、作用空間asが区画される。駆動ロッド25の先端部25aは、常時、作用空間as内に位置するようになる。
【0031】
スプール70には、その軸線al上を延びる主流路mpが形成されている。主流路mpは、スプール70の先端部部分70bから基端部部分70aに向けて形成されている。図示された例において、制御ポートapは、ソケット45の貫通孔46の一部分から形成されている。したがって、主流路mpは、制御ポートapに向けて開口している。また、スプール70には、主流路mpに接続する第1分岐流路1bp及び第2分岐流路2bpが、形成されている。第1分岐流路1bpは、スプール70が供給位置に配置されている場合に、圧力源ポートppと主流路mpとを連通させる。第2分岐流路2bpは、スプール70が排出位置に配置されている場合に、タンクポートtpと主流路mpとを連通させる。
【0032】
さらに、スプール70には、主流路mpと作用空間asとを連通させる第3分岐流路3bpが、形成されている。第3分岐流路3bpは、その一端において主流路mpに連通し、第3分岐流路3bpの他端は、縮径された基端部部分70aに開口している。したがって、作用空間asは、第3分岐流路3bp及び主流路mpを介し、制御ポートapと連通している。そして、作用空間asは、制御ポートap内の油の圧力、すなわち制御圧に維持されるようになる。また、上述したように、駆動ロッド25の先端部25aは、作用空間as内に位置し、且つ、スプール70側に向けてテーパ状に先細りしている。したがって、軸方向adに沿って駆動ロッド25の先端部25aとスプール70との間には隙間が形成される。言い換えると、駆動ロッド25の先端部25aは、軸方向adに沿ってスプール70側に向けて露出している。この結果、制御圧が、常に、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用する。
【0033】
次に、以上の構成からなる電磁比例弁10の動作について説明する。
【0034】
まず、駆動体22のソレノイドコイル23が励磁されていない場合、弁30のバネ80の付勢力によって、駆動ロッド25は、駆動体22内に後退する。付勢部材80からの付勢力によって駆動ロッド25に当接したスプール70は、
図1の右半分および
図2の右半分に示された排出位置に位置する。このとき、スプール70の主流路mp及び第2分岐流路2bpを介して、制御ポートapはタンクポートtpに連通する。したがって、制御ポートapに接続された油圧機器からタンクポートtpに接続されたタンクに油が回収される。
【0035】
この状態から、ソレノイドコイル23が励磁されると、駆動ロッド25は、駆動体22に内蔵された付勢部材からの付勢力に抗して、駆動体22から進み出て、スプール70を駆動する。スプール70は、まず排出位置から、
図1の左半分に示された中立位置に到達する。スプール70が中立位置に位置すると、第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとの連通が遮断されたまま、第2分岐流路2bpとタンクポートtpとの連通も遮断される。このとき、制御ポートapは、圧力源ポートpp及びタンクポートtpの両方から遮断される。したがって、制御ポートapに接続された圧力機器には、油の供給及び油の排出が実施されない。なお、応答性や漏れ性等を考慮して、中立位置では、第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとが連通し、第2分岐流路2bpとタンクポートtpとが連通するように構成しても良い。
【0036】
さらに大きな励磁電流がソレノイドコイル23に流れると、駆動ロッド25が、さらにスプール70を推し進め、スプール70の第1分岐流路1bpが圧力源ポートppと重なり始める。なお、応答性や漏れ性等を考慮して、スプール70が中立位置から少し動いた後に、第1分岐流路1bpが圧力源ポートppと重なり始めるようにしてもよい。
【0037】
図2の左半分に示された供給位置において、スプール70の主流路mp及び第1分岐流路1bpを介して、制御ポートapは圧力源ポートppに連通する。したがって、圧力源ポートppに接続されたポンプ等の圧力源から制御ポートapに接続された油圧機器へ油が供給される。スプール70が供給位置に位置する場合における圧力源から油圧機器への油の供給量は、第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとが重なる面積、すなわち第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとのラップ量に応じて変化する。より具体的には、励磁電流流が大きい程、第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとのラップ量が大きくなり、圧力源ポートppから制御ポートapへより多くの油が流れる。このとき、制御ポートapに出力される制御圧も、励磁電流流が大きい程、より大きくなる。
【0038】
その一方で、スプール70の主流路mp及び第3分岐流路3bpを介して、制御ポートapと作用空間asとが連通している。したがって、作用空間as内には、制御ポートapに出力される制御圧と同等の圧力が出力されることになる。そして、作用空間as内では、駆動ロッド25の先端部25aが軸方向へ露出している。このため、制御圧が、常に、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用する。駆動ロッド25に作用する制御圧の大きさは、第1分岐流路1bpと圧力源ポートppとのラップ量が大きくなる程、大きくなる。
【0039】
したがって、ソレノイドコイル23が励磁されて駆動ロッド25が、ソレノイドコイル23によって生成される磁界の大きさに対応した位置まで、駆動体22から進み出たとしても、作用空間as内で駆動ロッド25へ加えられる制御圧によって、駆動ロッド25は駆動体22の側へ向けていくらか後退する。最終的に、駆動装置20による駆動ロッド25を用いた駆動力と、制御圧が駆動ロッド25を押圧する力および付勢部材80の付勢力の合力とが、つり合う位置に、駆動ロッド25が停止する。以上のようにして、制御ポートapに出力される制御圧の大きさは、ソレノイドコイル23を流れる励磁電流の大きさに比例するようになる。
【0040】
以上のような本実施の形態において、電磁比例弁10は、スプール収容孔41が形成された弁本体40と、弁本体40に対して動作可能にスプール収容孔41に収容されたスプール70と、スプール収容孔41内に延び入り且つスプール70に当接する駆動ロッド25及び駆動ロッド25を駆動する駆動体22を有する駆動装置20と、を有している。弁本体40には、スプール収容孔41に開口し且つ圧力源に連通する圧力源ポートppと、スプール収容孔41に開口し且つタンクに連通するタンクポートtpと、スプール収容孔41に開口し且つ制御圧が出力される制御ポートapと、が形成されている。この電磁比例弁10において、制御圧が、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に作用する。したがって、上述の実用新案文献1(実用新案登録第2602749号)等に開示された従来の電磁比例弁と比較して、制御圧によってスプール70を駆動することを、簡易な構成によって実現することが可能となる。言い換えると、従来技術と比較して、制御圧によってスプール70を駆動するための構成を大幅に簡略化することができる。これにより、電磁比例弁の大幅な簡易単純化を図ることができる。
【0041】
また、本実施の形態において、駆動体22が、ソレノイドコイル23を含んでいる。また、駆動ロッド25は、ソレノイドコイル23内にその少なくとも一部分が位置するプランジャー26と、プランジャー26とともに動作する頭部ピン27と、を有している。ソレノイドアクチュエータとして構成された駆動装置20において、駆動体22によって駆動されるプランジャー26は、磁性体からなる必要があり、比較的制限された範囲から選択された材料により作製される。したがって、駆動ロッド25が、プランジャー26とともに、プランジャー26よりも高い硬度を有し且つスプール70に当接する頭部ピン27を有することで、駆動ロッド25の破損を効果的に防止することができる。これにより、電磁比例弁10の耐久性を改善し、電磁比例弁10の安定した動作を確保することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態において、プランジャー26と頭部ピン27とが摩擦圧接されている。摩擦圧接によれば、簡易な手法によりプランジャー26と頭部ピン27とを堅固に固定することができる。そして、プランジャー26と頭部ピン27とを堅固に固定することで、駆動ロッド25が動作する際に、プランジャー26と頭部ピン27とが衝突してしまうことを効果的に防止することができる。これにより、プランジャー26又は頭部ピン27の破損を効果的に回避することができる。さらに、頭部ピン27がプランジャー26と同期して動作することにより、駆動装置20の動作に応じてスプール70を即時に動作させることができ、いわゆる制御遅れを回避することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施の形態では、スプール収容孔41の一方の端部を画成し且つ駆動ロッド25が貫通した第1隔壁51と、スプール70の駆動ロッド25が当接する端面を含む端部部分70aと、弁本体40と、によって区画される作用空間asが、スプール収容孔41内に形成される。作用空間asは、スプール70及び弁本体40の少なくとも一方に形成された流路mp,3bpを介し、制御ポートapと連通する。この作用空間as内において、制御圧が駆動ロット25に作用している。このような本実施の形態によれば、制御圧が、常時、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用することを、極めて簡易な構成によって実現することができる。また、電磁比例弁10の構成が簡易であることから、電磁比例弁10をより安定してより高精度に動作させることができる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、スプール70は、端部部分70aにおいて、その他の部分よりも細くなっている。そして、スプール70は、当該端部部分70aにおいて、スプール収容孔41を画成する弁本体40の内壁との間に隙間を形成している。この隙間が、作用空間asの一部を形成している。このような本実施の形態によれば、制御圧が、常時、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用する構成を、簡易単純化することができる。また、構成を簡易単純化することで、電磁比例弁10の動作を安定かつ高精度とすることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態において、スプール70には、制御ポートapに連通した主流路mpと、主流路mpに接続し且つスプール収容孔41内におけるスプール70の位置に応じて主流路mpを圧力源ポートppと連通させる第1分岐流路1bpと、主流路mpに接続し且つスプール収容孔41内におけるスプール70の位置に応じて主流路mpをタンクポートtpと連通させる第2分岐流路2bpと、主流路mpと作用空間asとを連通させる第3分岐流路3bpと、が形成されている。このような本実施の形態によれば、制御圧が、常時、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用する構成を、簡易単純化することができる。また、構成を簡単純化することで、電磁比例弁10の動作を安定かつ高精度とすることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態において、第1隔壁51によって区画される作用空間asとは反対側の空間(予備室)ecが、タンクポートtpに連通している。とりわけ本実施の形態では、第1隔壁51と、駆動体22と第1隔壁51との間に配置され且つ駆動ロッド25が貫通した第2隔壁56と、弁本体40と、によって、タンクポートtpと連通した空間(予備室)ecが形成されている。この構成によれば、駆動ロッド25と、この駆動ロッド25が貫通する第1隔壁51と、の間の隙間に流入した制御流体(上述した例では、油)を、予備室ecへ回収してタンクに戻すことができる。したがって、駆動ヘッド25と第1隔壁51との間をパッキン等で密封する必要はない。パッキン等を排除することにより、部品点数を削減して製造コストを低減することができるとともに、さらに、励磁電流に対応して、駆動ロッド25が駆動体22に対して精確且つ即時に動作することが可能となる。また、ヒステリシス特性を改善することもできる。
【0047】
さらに、本実施の形態において、駆動ロッド25のスプール70に当接する先端部25aは、スプール70に向けて先細りするテーパ形状となっている。このような本実施の形態によれば、制御圧が、常時、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用することを、簡易単純な構成で実現することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態において、駆動ロッド25のスプール70に当接する先端部25aは、球の一部分をなす形状となっている。このような本実施の形態によれば、制御圧が、常時、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用することを、簡易単純な構成で実現することができる。また、球状先端部25aを有する駆動ロッド25は比較的高精度に作製することができる。さらに、球状先端部25aには等方的に制御流体が作用するため、制御圧によって、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッドを安定して押圧することができる。これにより、電磁比例弁10の動作を安定かつ高精度とすることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態において、電磁比例弁10は、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きにスプール70を付勢する付勢部材80を、さらに有している。このような本実施の形態によれば、駆動ロッド25が動作する際に、駆動ロッド25とスプール70とが衝突してしまうことを効果的に防止することができる。これにより、駆動ロッド25又はスプール70の破損を効果的に回避することができる。さらに、スプール70が駆動ロッド25と同期して動作することが可能となり、いわゆる制御遅れを回避することが可能となる。
【0050】
以上、本発明を図示する一実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
【0051】
例えば、上述した実施の形態において、駆動装置20が、ソレノイドコイル23に励磁電流を流した際に、駆動ロッド25を押し出す例を示したが、これに限られない。駆動装置20が、ソレノイドコイル23に励磁電流を流した際に、励磁電流量に応じて駆動ロッド25を引き込むようにしてもよい。上述した実施の形態において、この駆動装置20を採用した電磁比例弁10では、ソレノイドコイル23に流す励磁電流の大きさに反比例して、制御ポートapに出力される制御圧が変化するようになる。すなわち、励磁電流が大きい程、制御ポートapに出力される制御圧が低下する。
【0052】
また、上述した実施の形態において、駆動ロッド25の先端部25aが、テーパ状に先細るように形成されている例を示したが、この例に限られない。例えば、スプール70の駆動ロッド25に対面する端部が、テーパ状に先細るように形成されるようにしてもよい。この例では、駆動ロッド25の先端部25aが、軸方向adに直交する平坦面であったとしても、当該先端部25aの端面の一部分が、スプール70の端部から離間して、軸方向に露出する。この結果、作用空間as内に配置された駆動ロッド25の先端部25aに対して、制御圧が、常に、駆動ロッド25からスプール70への推力とは逆向きに駆動ロッド25に直接作用するようになり、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。