(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656851
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20200220BHJP
A01K 85/01 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/01 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-178488(P2015-178488)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-51144(P2017-51144A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】平原 研治
(72)【発明者】
【氏名】国賀 喜美夫
(72)【発明者】
【氏名】北山 剛史
【審査官】
川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−261335(JP,A)
【文献】
特開2004−113056(JP,A)
【文献】
特開2011−087533(JP,A)
【文献】
特開平11−155423(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0049970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00−85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
このボディに回転自在に装着された回転体とを備えており、
この回転体が、流水を受けて回転するように構成されており、
上記ボディの端部に、軸部が突設されており、
上記回転体が、上記軸部に回転自在に装着されており、
上記軸部が、上記ボディの前後方向中心軸に対し、上から見て傾斜した方向に突設されており、
これにより、この回転体が、その回転時に上記ボディに作用する横向きの力を軽減する姿勢となっているルアー。
【請求項2】
ボディと、
このボディに回転自在に装着された回転体とを備えており、
この回転体が、流水を受けて回転するように構成されており、
上記ボディの端部に、軸部が突設されており、
上記回転体が、上記軸部に回転自在に装着されており、
上記軸部が、上記ボディの前後方向中心軸に対し、上から見て平行な方向であり且つ離間した位置に突設されており、
これにより、この回転体が、その回転時に上記ボディに作用する横向きの力を軽減する姿勢となっているルアー。
【請求項3】
上記回転体が、プロペラから構成されており、
このプロペラが、上記ボディの進行方向前方からの流水により、後方から見て、時計回り又は反時計回りのいずれか一方の回転をするように構成されており、
上記ボディが、背部及び腹部を有しており、
上記ボディが、上に背部が位置し、下に腹部が位置した姿勢において、
上記プロペラが時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から左方に傾斜しており、
上記プロペラが反時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から右方に傾斜している請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
上記回転体が、プロペラから構成されており、
このプロペラが、上記ボディの進行方向前方からの流水により、後方から見て、時計回り又は反時計回りのいずれか一方の回転をするように構成されており、
上記ボディが、背部及び腹部を有しており、
上記ボディが、上に背部が位置し、下に腹部が位置した姿勢において、
上記プロペラが時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から左方に変位しており、
上記プロペラが反時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から右方に変位している請求項2に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ルアーを用いたルアーフィッシングが普及している。ルアーフィッシングによる捕獲対象は、主として小魚を捕食する大型の魚(フィッシュイータ)である。このルアーは、キャストによって空中を飛行し、やがて着水する。ルアーは、ラインが巻かれることによって水中を泳ぐ。フィッシュイータは、このルアーに食いつく。ルアーに取り付けられたフックがフィッシュイータに刺さり、フィッシュイータが釣り上げられる。フィッシュイータの勘違いを誘う水中姿勢及びアクションが達成されるルアーが好ましい。
【0003】
特開2001−204301号公報及び特開2007−049945号公報には、プロペラ型の回転体を備えたルアーが開示されている。この回転体は、ルアーのボディの後端部に差し込まれた軸部に、回転自在に装着されている。このルアーは、ラインが引かれたときに、その回転体の回転音、回転体の回転によって生じる水流等により、フィッシュイータの興味を惹きつける。また、ボディが受ける水の抵抗、及び、回転体が受ける水の抵抗により、ボディが不規則に泳動する。このルアーの動きが、フィッシュイータの興味を惹く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−204301号公報
【特許文献2】特開2007−049945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述したルアーでは、回転体が受けた水の抵抗により、ボディの直進安定性が阻害されることが多い。このように、その直進が安定しないルアーは、フィッシュイータに警戒心を与えてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、ボディの直進安定性を維持しつつ、フィッシュイータの興味を惹く泳動が実現されうる回転体付きのルアーの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るルアーは、
ボディと、
このボディに回転自在に装着された回転体とを備えており、
この回転体が、流水を受けて回転するように構成されており、
この回転体が、その回転時に上記ボディに作用する横向きの力を軽減する姿勢で取り付けられている。
【0008】
好ましくは、上記ボディの端部に、軸部が突設されており、
上記回転体が、上記軸部に回転自在に装着されており、
上記軸部が、上記ボディの前後方向中心軸から変位した姿勢で突設されている。
【0009】
好ましくは、上記軸部が、上記ボディの前後方向中心軸に対し、上から見て傾斜した方向に突設されている。
【0010】
好ましくは、上記軸部が、上記ボディの前後方向中心軸に対し、上から見て平行な方向であり且つ離間した位置に突設されている。
【0011】
好ましくは、上記回転体が、プロペラから構成されており、
このプロペラが、上記ボディの進行方向前方からの流水により、後方から見て、時計回り又は反時計回りのいずれか一方の回転をするように構成されており、
上記ボディが、背部及び腹部を有しており、
上記ボディが、上に背部が位置し、下に腹部が位置した姿勢において、
上記プロペラが時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から左方に傾斜しており、
上記プロペラが反時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から右方に傾斜している。
【0012】
好ましくは、上記回転体が、プロペラから構成されており、
このプロペラが、上記ボディの進行方向前方からの流水により、後方から見て、時計回り又は反時計回りのいずれか一方の回転をするように構成されており、
上記ボディが、背部及び腹部を有しており、
上記ボディが、上に背部が位置し、下に腹部が位置した姿勢において、
上記プロペラが時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から左方に変位しており、
上記プロペラが反時計回り回転する形状である場合は、平面視で後方から前方を向いて見たとき、上記軸部が、ボディの前後方向中心軸から右方に変位している。
【発明の効果】
【0013】
本発明のルアーによれば、ボディの直進安定性を維持しつつ、フィッシュイータの興味を惹く音、水流、泳動が実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るルアーを示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1のルアーの組み立て前のボディを示す一部断面平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態に係るルアーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1に示されたルアー2は、ボディ4、リップ6、回転体用の軸部8、回転体10、発音板12ラインアイ14及びフックアイ16を備えている。ラインアイ14にはライン18が接続される。ラインアイ14は、平面視で、概ねボディ4の前後方向中心軸CL(
図3)上に位置している。各フックアイ16にはフック20が取り付けられる。ボディ4は、ベイトである小魚に類似の外形を有する。ボディ4は、前部のヘッド22及び後部のテール24を備えている。図中の左側がヘッド22側(前方)であり、右側がテール24側(後方)であり、上側が背26側であり、下側が腹28側である。リップ6は、ボディ4のヘッド22側であって且つ腹部28側に、下方から前方に傾斜した方向に突設されている。
【0017】
典型的には、ボディ4は合成樹脂から形成されている。好ましい合成樹脂はABS樹脂である。ボディ4は、金属材料又は木質材料から形成されてもよい。ラインアイ14及びフックアイ16は、金属線が曲げられることによって形成されている。金属線の典型的な材質はステンレス鋼である。
【0018】
図2に示されるように、ボディ4は中空である。
図3及び
図4に示されるように、典型的には、このボディ4は、対称形の左ボディピース4Lと右ボディピース4Rとが重ね合わされた状態で接合されることにより構成される。
図2及び
図4に示されるように、ボディ4のテール24には、軸部8装着用の装着穴32が形成されている。
【0019】
図1、
図3及び
図5に示されるように、本実施形態では、回転体10として、プロペラ10が採用されている。プロペラ10は、金属板から形成されている。金属板の典型的な材質はステンレス鋼である。軸部8は、上記装着穴32に差し込まれて固定されている。軸部8は、テール24の後端部から、後方に向けて突設されている。プロペラ10は、この軸部8に、緩く嵌合することによって回転自在にされている。プロペラ10は、この軸部8の長手方向に沿った方向にも移動自在である。軸部8の後端部には、リング部8aが形成されている。このリング部8aには、発音板12が可動状態でぶら下げられている。この発音板12は、回転するプロペラ10と衝突して、フィッシュイーターの興味を惹く音を発する。発音板12は、金属板から形成されている。金属板の典型的な材質はステンレス鋼である。必要に応じ、発音板12に代えてフック等が装着されうる。軸部8における、プロペラ10の後方には、環状のスペーサー30が嵌合されている。このスペーサー30は、プロペラ10が、リング部8aに干渉することによってスムーズな回転が阻害されることを回避するためのものである。
【0020】
図5(a)に示されるように、プロペラ10は、一対の羽部10a、中央部10b及び挿通孔10cを備えている。一対の羽部10aは、中央部10bに対して点対称の形状を呈している。挿通孔10cは、中央部10bの中心に形成されている。その結果、中央部10bが円輪状を呈している。この挿通孔10cに、軸部8が挿通されている。水中や水面上で、ライン18が引かれてルアー2が前方に進行すると、水がルアー2に対して相対的に後方に流れる。これを水流と呼ぶ。水中や水面上で、ルアー2が前方に進行すると、プロペラ10には水流からの抵抗力が加わる。プロペラ10は、水流からの抵抗力によって軸部8回りに回転させられる。プロペラ10の回転音、プロペラ10の回転によって生じる水流等により、フィッシュイータの興味を惹きつける。プロペラ10が受ける水の抵抗により、ボディ4が不規則に泳動する。このルアー2の動きが、フィッシュイータの興味を惹く。
【0021】
図3及び
図5に示されるように、このプロペラ10は、後方向きの水流を受けて、時計回りに回転するように形成されている。具体的には、各羽根10aが、中央部10bの中心軸に垂直な面から、中央部10bの半径線回りに僅かに傾斜した面を有している。各羽根10aのこの形状により、プロペラ10が受ける後方に向かう水流からの力が、中央部10bの中心軸に沿った後ろ向きの成分と、時計回りに回転させる成分とを含むことになる。かかる構成には限定されない。後方向きの水流によって反時計回りに回転するプロペラも採用されうる。
図5(a)には、プロペラ10が、ルアー2の後方から見た図(背面図)として示されている。ここでは、プロペラ10の回転方向は、後方から見たときの方向とされる。
【0022】
前述したように、プロペラ付きのルアーでは、プロペラが受けた水の抵抗により、ボディの直進安定性が阻害されることがある。
図5を参照しつつ、プロペラが受ける水の抵抗について考察する。ルアー2は、背部26を上にして腹部28を下にした姿勢で泳動する。ボディ4の腹部28に、各種アイ14、16、フック20等が装着されているため、かかる姿勢をとりやすい。この姿勢で水面を泳動するルアーでは、
図5(a)に示されるように、往々にして、プロペラ10の下半分が水中Wに浸かり、プロペラ10の上半分は空中に露出した状態となる。この場合、プロペラ10の下半分に水流からの抵抗力(反力)を受け、プロペラ10の上半分には抵抗力は受けない。この場合、プロペラ10の下半分が受ける抵抗力としては、概ねボディ4の中心軸CLに沿った後ろ向きの成分と、軸部8を中心とした時計回りの成分とが多くを占める。この抵抗力の時計回り成分は、プロペラ10を時計回りに回転させる。この抵抗力の時計回り成分は、さらに、プロペラを横方向に押す作用をも含む。この横方向は、本実施形態では、
図5(a)に示すように、平面視で後ろから見て左向きである。この左向き抵抗力成分は、ルアー2に対し、ラインアイ14を中心として平面視で時計回りに回転させようとするモーメントを加える。上記左向き抵抗力成分(平面視時計回りモーメント)は、
図5(b)に示すように、羽根10aが下方を向いたときに最大となり、横(左方又は右方)を向いたときに最小となる。
図5(b)における抵抗力の左向き成分の大きさを示す曲線は正確ではないが、羽根10aの位置と抵抗力の大きさとの関係を表現するには十分である。
図5(b)に示すように、羽根10aが下方を向いたときと横を向いたときとは、プロペラ10の約90°の回転角差がある。このプロペラ10への左向き抵抗力は、軸部8を介して、ルアー2のテール24を左向きに押す力となりうる。テール24を左に押されると、ボディ4は、平面視で時計回りに回転しようとする。本発明者らは、以上に説明された事象が、ルアー2の直進安定性を阻害する一因となっている可能性があると考えた。すなわち、ルアー2は、テール24を繰り返し左に押されることにより、直進安定性が阻害されるおそれがある。一方、テール24は、プロペラ10への抵抗力により、上下にも繰り返して押される。しかし、このテール24の上下動は、ルアー2の直進安定性を阻害するおそれは少ない。
【0023】
このルアー2は、上記考察に基づき、テール24を左に押す力を相殺する構成を有している。以下の通りである。まず、
図4に示されるように、軸部8用の装着穴32が、平面視で、前方に向かって右方に傾斜した方向に形成されている。この装着穴32に後方から軸部8が挿入されている。その結果、
図3に示されるように、このルアー2では、その軸部8が、平面視で後ろから見ると、ボディ4の前後方向中心軸CLから左方に傾斜した方向に突設されている。プロペラ10の中央部10bの中心位置が、ボディ4の前後方向中心軸CLから左方にずれている。すなわち、プロペラ10が、後から見て、ボディ4の前後方向中心軸CLから左方にずれた位置にある。その結果、プロペラ10に対する、ボディ4の前後方向中心軸CLに沿った後ろ向きの抵抗力成分が、ルアー2に対し、ラインアイ14を中心とした平面視反時計回りに回転させるモーメントを加える。換言すれば、上記抵抗力の後ろ向き成分によるモーメントが、テール24を右方向に押す。このモーメントにより、前述したテール24を左に押す抵抗力、すなわち、ボディ4を時計回りに回転させようとするモーメント、が相殺されうる。ルアーの直進安定性を阻害する要因は、他にも存在する可能性はある。しかし、この実施形態に係るルアー2を、実際に水面近くで引いたとき、その直進泳動は安定することが証明された。このルアー2では、
図3に平面視で示される、ボディ4の前後方向中心軸CLに対する軸部8の左方への傾斜角θは、2°以上6°以下の範囲で設定された。
【0024】
本実施形態では、
図3に示されるように、平面視でルアー2をテール24側からヘッド22側を向いて見れば、軸部8が左方に傾斜させられ、プロペラ10の中心がボディ4の前後方向中心軸CLより左方に位置している。これは、プロペラ10が、後ろから見たときに時計回りに回転するように構成されているからである。プロペラが、後ろから見たときに反時計回りに回転する形状をしている場合、軸部は、ボディの中心軸CLから右方に傾斜するように突設される。そして、プロペラ10は、ボディの前後方向中心軸CLより右方に位置させられる。前述したとおり、ここでいう「左」及び「右」は、ルアー2がその背部26を上にし、その腹部28を下にした姿勢を前提に、後ろから見た場合、及び、平面視で後方であるテール24側から前方であるヘッド22側を向いて見た場合の向きである。
【0025】
図6には、他のルアー42が示されている。このルアー42の、
図1に示されたルアー2との相違点は、その軸部46の装着位置及び装着方向である。このルアー42のその他の構成は、
図1に示されたルアー2の構成と実質的に同一である。この同一構成の部材には、
図1のルアー2におけると同一符号を付して、その説明を省略する。
【0026】
このルアー42においても、
図1のルアー2のプロペラ10と同一構成のプロペラ10が用いられている。すなわち、このルアー42のテール48には、後方向きの水流を受けて時計回りに回転するように形成されたプロペラ10が装着されている。従って、水面近くで泳動するこのルアー42のテール48には、水流から左向きの抵抗力成分が加わる。この抵抗力成分により、ルアー42に対し、ラインアイ14を中心として、平面視で時計回りのモーメントが加えられる。そこで、このルアー42にも、この水流からの時計回りモーメントを相殺しうる構成が備えられている。以下の通りである。
【0027】
図6に示されるように、このルアー42の軸部46は、平面視でボディ44の前後方向中心軸CLに平行であり、且つ、テール48側からヘッド50側を見たとき、この中心軸CLから左方に離間している。その結果、プロペラ10は、後から見て、ボディ44の前後方向中心軸CLから左方にずれた位置にある。
【0028】
このルアー42では、プロペラ10に対する、ボディ44の前後方向中心軸CLに沿った後ろ向きの抵抗力成分が、テール48を右方向に押す。換言すれば、上記抵抗力の後ろ向き成分が、ルアー42に対し、ラインアイ14を中心として、平面視で反時計回りに回転させようとするモーメントを加える。このモーメントにより、前述したテール48を左に押す抵抗力、すなわち、ボディ44を時計回りに回転させようとするモーメント、が相殺されうる。
【0029】
上記ルアー42とは異なり、そのプロペラが、後方向きの水流を受けて、後ろから見たときの反時計回りに回転する形状をしている場合には、その軸部の装着位置は、上記ルアー42の軸部46の位置とは逆になる。すなわち、この軸部は、ボディの前後方向中心軸CLに平行ではあるが、平面視でテール側からヘッド側を見たとき、上記中心軸CLから右方に離間した位置とされる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るルアーは、湖沼、池、ダム、川、海等の種々のフィールドでの釣りに適している。
【符号の説明】
【0031】
2、42・・・ルアー
4、44・・・ボディ
6・・・リップ
8、46・・・軸部
10・・・プロペラ
12・・・発音板
14・・・ラインアイ
16・・・フックアイ
18・・・ライン
20・・・フック
22、50・・・ヘッド
24、48・・・テール
26・・・背部
28・・・腹部
30・・・スペーサー
32・・・(軸部用の)装着穴
CL・・・ボディの前後方向中心軸