【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した芯鞘構造の、線径0.28mm、繊度650dtのモノフィラメントヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.2mm、厚み0.07mm、繊度750dtのフラットヤーンを用意し、斜交軸ヤーンとした。
【0049】
縦軸ヤーン及び斜交軸ヤーンにより、積層装置を用いて3軸積層不織布を調製した。具体的には、縦軸ヤーンを等間隔で整列させ1軸方向に巻き取りながら、同時に横軸方向にも横軸ヤーンを等間隔で整列させた。当該横軸ヤーンをトラバース移動により斜交配列に引き揃えて斜交軸ヤーンとし、縦軸ヤーンと斜交軸ヤーンとを積層させた。次いで、縦軸ヤーン及び斜交軸ヤーンを120℃の加熱ロール上で圧着させて、3軸網状体である、シート状に一体化した3軸積層組布を調製した。
【0050】
調製された網状体は、
図1のように、斜交軸ヤーンの両方の面に、隣り合う縦軸ヤーンが片面ずつ交互に圧着されており、斜交軸ヤーンの斜交角θは、縦軸ヤーンに対して60°であった。また、縦軸ヤーンの間隔は4.80mm、斜交軸ヤーンの間隔は3.88mmであり、網状体の開口率は44.0%であった。
【0051】
調製された網状体にサンドラミネート加工を施した。具体的には、一方面に離型処理を施したPETフィルム(ユニチカ株式会社製「ユニピール」(登録商標)厚み50μm)の非離型処理面と、網状体とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、1次ラミネート品を得た。
【0052】
次いで、当該1次ラミネート品の網状体側の面と、上述のPETフィルムの非離型処理面とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、積層体を製造した。
【0053】
(実施例2)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した芯鞘構造の、線径0.35mm、繊度940dtのモノフィラメントヤーンを用い、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.5mm、厚み0.09mm、繊度1110dtのフラットヤーンを用意し、横軸ヤーンとした。
【0054】
縦軸ヤーン及び横軸ヤーンにより、積層装置を用いて2軸積層組布を調製した。具体的には、縦軸ヤーンを等間隔で整列させ1軸方向に巻き取りながら、同時に横軸方向にも横軸ヤーンを等間隔で整列させた。当該横軸ヤーンを搬送コンベア上に整列した状態で移送しながら、所定の製品幅毎にヒートカッターで切断した。切断された横軸ヤーンを、微粘着性液体を塗布した大型の仮圧着用ベルトを用いてベルト表面に仮圧着させた。次いで、ベルト表面に仮圧着させた横軸ヤーンを縦軸ヤーンとの積層部まで移送し、積層させた。次いで、縦軸ヤーン及び横軸ヤーンを120℃の加熱ロール上で本圧着させて、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸積層組布を調製した。
【0055】
調製された網状体は、縦軸ヤーンと横軸ヤーンが、それぞれ両側から積層圧着されていた。また、縦軸ヤーンの間隔が4.73mm、横軸ヤーンの間隔が2.73mmであり、開口率は60.1%であった。
【0056】
調製された網状体にサンドラミネート加工を施した。具体的には、一方面に離型処理を施したPETフィルム(ユニチカ株式会社製「ユニピール」(登録商標)厚み50μm)の非離型処理面と、網状体とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、1次ラミネート品を得た。
【0057】
次いで、当該1次ラミネート品の網状体側の面と、上述のPETフィルムの非離型処理面とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、積層体を製造した。
【0058】
(実施例3)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した芯鞘構造の、線径0.25mm、繊度1000dtのモノフィラメントヤーンを用い、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.5mm、厚み0.08mm、繊度1200dtのフラットヤーンを用意し、横軸ヤーンとした。
【0059】
上記以外は実施例2と同様にして、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸積層組布を調製した。
【0060】
調製された網状体は、
図2のように、横軸ヤーンの両方の面に、隣り合う縦軸ヤーンが片面ずつ交互に圧着されていた。また、縦軸ヤーンの間隔が5.39mm、横軸ヤーンの間隔が3.58mmであり、開口率は67.3%であった。
【0061】
上記以外は実施例2と同様にして、積層体を製造した。
【0062】
(実施例4)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.5mm、厚み0.09mm、繊度1110dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した芯鞘構造の、線径0.35mm、繊度940dtのモノフィラメントヤーンを用い、横軸ヤーンとした。
【0063】
縦軸ヤーンを織成用のビームとして巻き取った後、縦軸ヤーン及び横軸ヤーンを用いて、平織織機により2軸平織織布状に平織りを行った。次いで、縦軸ヤーン及び横軸ヤーンを120℃の加熱ロール上で圧着させて、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸平織織布を調製した。
【0064】
調製された網状体は、縦軸ヤーンの間隔が2.73mm、横軸ヤーンの間隔が4.73mmであり、開口率は60.1%であった。
【0065】
調製された網状体にサンドラミネート加工を施した。具体的には、一方面に離型処理を施したPETフィルム(ユニチカ株式会社製「ユニピール」(登録商標)厚み50μm)の非離型処理面と、網状体とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、1次ラミネート品を得た。
【0066】
次いで、当該1次ラミネート品の網状体側の面と、上述のPETフィルムの非離型処理面とを、310℃で溶融させて押出加工したLDPE樹脂層を介して接着し、サンドラミネートを施して、積層体を製造した。
【0067】
上記以外は実施例2と同様にして、積層体を製造した。
【0068】
(実施例5)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.5mm、厚み0.08mm、繊度1200dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した芯鞘構造の、線径0.25mm、繊度1000dtのモノフィラメントヤーンを用い、横軸ヤーンとした。
【0069】
上記以外は実施例4と同様にして、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸平織織布を調製した。
【0070】
調製された網状体は、縦軸ヤーンの間隔が3.58mm、横軸ヤーンの間隔が5.39mmであり、開口率は67.3%であった。
【0071】
上記以外は実施例4と同様にして、積層体を製造した。
【0072】
(比較例1)
網状体に代えて、一方面に離型処理を施したPETフィルム(ユニチカ株式会社製「ユニピール」(登録商標)厚み200μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層体を調製した。
【0073】
(比較例2)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.2mm、厚み0.07mm、繊度750dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、第1のヤーンと同一のフラットヤーンを用意し、斜交軸ヤーンとした。それ以外は実施例1と同様にして、3軸網状体である、シート状に一体化した3軸積層組布を調製した。
【0074】
調製された網状体は、
図1と同様に、斜交軸ヤーンの両方の面に、隣り合う縦軸ヤーンが片面ずつ交互に圧着されており、斜交軸ヤーンの斜交角は、縦軸ヤーンに対して60°であった。また、縦軸ヤーンの間隔は3.88mm、斜交軸ヤーンの間隔は3.88mmであり、網状体の開口率は33.9%であった。
【0075】
上記以外は実施例1と同様にして、積層体を製造した。
【0076】
(比較例3)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅0.8mm、厚み0.05mm、繊度330dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、第1のヤーンと同一のフラットヤーンを用意し、斜交軸ヤーンとした。それ以外は実施例1と同様にして、3軸網状体である、シート状に一体化した3軸積層組布を調製した。
【0077】
調製された網状体は、
図1と同様に、斜交軸ヤーンの両方の面に、隣り合う縦軸ヤーンが片面ずつ交互に圧着されており、斜交軸ヤーンの斜交角は、縦軸ヤーンに対して60°であった。また、縦軸ヤーンの間隔は4.28mm、斜交軸ヤーンの間隔は4.28mmであり、網状体の開口率は52.0%であった。
【0078】
上記以外は実施例1と同様にして、積層体を製造した。
【0079】
(比較例4)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.4mm、厚み0.09mm、繊度1050dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、第1のヤーンと同一のフラットヤーンを用意し、横軸ヤーンとした。それ以外は実施例2と同様にして、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸積層組布を調製した。
【0080】
調製された網状体は、縦軸ヤーンと横軸ヤーンが、それぞれ両側から積層圧着されていた。また、縦軸ヤーンの間隔が2.83mm、横軸ヤーンの間隔が2.83mmであり、開口率は44.8%であった。
【0081】
上記以外は実施例2と同様にして、積層体を製造した。
【0082】
(比較例5)
第1のヤーンとして、芯部にHDPE層、表層部にLDPE層を配した3層構造の、糸幅1.0mm、厚み0.04mm、繊度350dtのフラットヤーンを用意し、縦軸ヤーンとした。また、第2のヤーンとして、第1のヤーンと同一のフラットヤーンを用意し、横軸ヤーンとした。それ以外は実施例4と同様にして、2軸網状体である、シート状に一体化した2軸平織織布を調製した。
【0083】
調製された網状体は、縦軸ヤーンの間隔が2.18mm、横軸ヤーンの間隔が2.18mmであり、開口率は46.9%であった。
【0084】
上記以外は実施例4と同様にして、積層体を製造した。
【0085】
各実施例及び比較例の積層体について、以下の評価を行った。
【0086】
<離型性>
以下の手順で、剥離強度を測定し、離型性を評価した。すなわち、積層体表面に日立マクセル株式会社製 スリオンテック住宅防水用ブチルテープNo.4420(商品名)(厚み0.75mm、幅50mm)を積層体の網状体の縦軸方向に対して平行となる方向に貼り合わせ、5kgのSUS板を錘として、平面上にて1時間静置した。
【0087】
次いで、ブチルテープの保護紙上に50mm間隔の標線を引き、ブチルテープを標線から30mmの箇所まで引き剥がすことにより、試験片を準備した。
【0088】
上記試験片を用いて、東洋精機製作所製 引張試験機テンシロンにより、剥離強度を測定した。具体的には、
図3に示すように、積層体を引張試験機の下側の固定チャック部に対して、網状体の縦軸が垂直方向となる様に固定し、試験片の予め引き剥がしておいた側のブチルテープを上側の可動チャック部に固定した。
【0089】
次いで、チャック間距離200mm、引張速度200mm/minの条件により引き剥がしを行い、標線50mm間の変動をチャート紙に記録し、最大値側5点と最小値側5点の合計10点による平均値を剥離強度の測定値とした。
【0090】
なお、実施例4及び5の積層体は、ゴム材料等の材料の保護材として用いられる際に、材料の引き剥がし方向が網状体の横軸ヤーンの配向方向と平行となるように用いられる。このため、ブチルテープは網状体の横軸ヤーンの配向方向と平行に張り合わせ、テンシロンの下側の固定チャックから上側の可動チャック部への方向と、網状体の横軸ヤーンの配向方向とが平行となるように試験片をセットした。
【0091】
<材料の付着性評価>
離型性の評価後に、各実施及び比較例で用いた試験片の表面に残存するブチルゴム量を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
1:ブチルゴムの付着がほとんど無い
2:ブチルゴムの付着が少ない
3:ブチルゴムの付着がやや多い
4:ブチルゴムの付着が多い
5:ブチルゴムの付着が著しく多い
【0092】
結果を表1に示す。
【0093】
【表1】