(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包装箱の重ね胴板を、天板に接続されて他の側壁板の表面に重なる胴片と、この胴片にミシン目を介して接続される剥離片とに分割し、他の側壁板の表面と剥離片の裏面のいずれかに、これらを接着する複数の接着部を形成し、剥離片には、複数の接着部のうち、少なくとも一部の接着部の周縁に部分的に沿う複数の切り欠きを形成する請求項1記載の被包装物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、食品包装用のロール体20からなる被包装物を製造する場合には
図5に部分的に示すように、未完成の細長い中空の包装箱1A内にロール体20を挿入し、包装箱1Aの開口した両端部16の複数のフラップ17のうち、一部のフラップ17を折り畳んで溶融したホットメルト接着剤30Aを塗布するとともに、包装箱1Aの全フラップ17をホットメルト接着剤30Aにより接着して包装箱1Aの両端部16をそれぞれ封函し、その後、包装箱1Aの両端部16の外観を検査カメラ51により撮影して検査し、この検査カメラ51の検査結果に応じて包装箱1Aの外観良否を判別するようにしている(特許文献1、2、3、4、5、6参照)。
【0003】
ホットメルト接着剤30Aは、例えばポリエチレン系で無色透明の接着剤が使用され、乾燥硬化時間が短く、液だれを防止することができ、しかも、包装箱1Aに滲みにくい等の特徴を有している。
【0004】
検査カメラ51による検査の結果、包装箱1Aの両端部16に外観上の問題がない場合には、包装されたロール体20を良品とし、他の良品のロール体20と共にまとめて出荷する。
これに対し、包装箱1Aの両端部16に外観上の問題がある場合、例えば包装箱1Aの一部のフラップ17が適切に折り畳まれていなかったり、フラップ17からホットメルト接着剤30Aが食み出て硬化している場合には、包装されたロール体20を不良品として系外排出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における被包装物は、以上のように製造され、包装箱端部16のフラップ17を検査カメラ51により単に撮影して検査しているので、包装箱1Aのフラップ17が適切に折り畳まれていない場合には、包装されたロール体20を不良品として有効に判別することができるものの、フラップ17からホットメルト接着剤30Aが線条に食み出て硬化している糸引き状態の場合には、包装されたロール体20を不良品として判別することができないおそれがある。
【0007】
この点について詳しく説明すると、折り畳まれたフラップ17の周縁部からホットメルト接着剤30Aが非常に細く線条に食み出て硬化し、糸引き状態となっている場合には、ホットメルト接着剤30Aが無色透明で光線の反射量が少なく、しかも、凹凸も非常に少ないので、検査カメラ51により適切に把握して異常を検出できないことがある。この結果、包装されたロール体20が不良品であるにも拘わらず、良品と判別され、良品・不良品のロール体20が混在することとなり、出荷作業等に支障を来すおそれがある。
【0008】
係る問題を解消するには、きわめて解像度の高い高精度の検査カメラを利用すれば良いが、そうすると、製造設備の大型化や複雑化等を招き、製造コストが増大してしまうという問題が新たに生じる。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、包装箱のフラップからホットメルト接着剤が食み出た場合等にも被包装物を不良品として判別することができ、しかも、製造設備の大型化や複雑化等を防ぎ、製造コストを抑制することのできる被包装物の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、未完成の包装箱に被包装物を収納し、その後、未完成の包装箱を製函して完成品とする被包装物の製造方法であって、
包装箱は、巻芯に長尺の帯体が巻かれた被包装物よりも長い底板と、この底板の両側部にそれぞれ接続される一対の側壁板と、この一対の側壁板のうち、一の側壁板に接続されて底板に対向可能な天板と、この天板に接続されて他の側壁板に対向可能な重ね胴板とを含み、底板の両端部に、包装箱の開口部に対応する外蓋フラップをそれぞれ接続し、一対の側壁板の両端部に、包装箱の開口した開口部を覆い、外蓋フラップに被覆される内フラップをそれぞれ接続するとともに、一対の側壁板の内フラップのうち、一の側壁板の内フラップを他の側壁板の内フラップよりも長く形成し、各内フラップには、底板の幅方向に伸びるホットメルト接着剤用のミシン目をそれぞれ複数並べて形成し、
未完成の包装箱に被包装物を収納し、
包装箱の一の側壁板の長い内フラップを畳んでその表面に他の側壁板の短い内フラップを畳んで重ねるとともに、これら内フラップの表面に、紫外光により発光・発熱するオレフィン系のホットメルト接着剤を複数に分けてビート塗布し、複数の内フラップの表面に外蓋フラップを折り重ねてホットメルト接着剤で接着することにより、包装箱の開口した両端部を閉塞部とし、包装箱の少なくとも閉塞部付近に波長355〜375nmの紫外光を照射し、包装箱の少なくとも閉塞部付近の外観を検査装置により検査した後、この検査装置の検査結果に応じて包装箱の良否を判別することを特徴としている。
【0012】
また、包装箱の底板と他の側壁板の境界付近に、被包装物用の切断歯を取り付けることができる。
また、包装箱の重ね胴板を、天板に接続されて他の側壁板の表面に重なる胴片と、この胴片にミシン目を介して接続される剥離片とに分割し、他の側壁板の表面と剥離片の裏面のいずれかに、これらを接着する複数の接着部を形成し、剥離片には、複数の接着部のうち、少なくとも一部の接着部の周縁に部分的に沿う複数の切り欠きを形成することができる。
【0013】
また、検査装置を、画像センサと非接触温度センサの少なくともいずれかとすると良い。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における包装箱は、3枚フラップタイプでも良いし、4枚フラップタイプ等でも良い。被包装物には、少なくとも巻芯に長尺の帯体であるフィルム、アルミホイル、クッキングペーパー、写真用や建築用のフィルム等が巻かれたロール体、医薬品、家庭用品、菓子、玩具、化学製品、機械製品、建築用品、食材、洗剤、電気電子製品等が含まれる。また、ホットメルト接着剤は、検査装置の検査の障害にならなければ、有彩色でも良いし、白や黒の無彩色でも良い。このホットメルト接着剤は、必要に応じ、包装箱の全てのフラップに塗布されたり、一部のフラップに塗布される。
【0015】
紫外光の照射と検査装置による検査は、同時でも良いし、紫外光の照射後に検査装置により検査しても良い。さらに、検査装置としては、画像センサ、非接触温度センサ、又は画像センサ及び非接触温度センサを使用することができる。検査装置が画像センサの場合、カメラから取り込んだ濃淡画像を白画素と黒画素の画像に変換して処理するセンサであることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、被包装物を収納した包装箱の開口部が閉塞され、閉塞部となると、この包装箱の少なくとも閉塞部付近に紫外光が照射され、包装箱の少なくとも閉塞部付近、具体的には、折り畳まれたフラップとその付近が検査装置により検査される。
この際、オレフィン系のホットメルト接着剤が紫外光の照射により、発光したり、発熱するので、折り畳まれたフラップ等からホットメルト接着剤が外部に食み出ていたり、包装箱の閉塞部周辺がホットメルト接着剤で汚れている場合には、食み出たホットメルト接着剤の形状やその温度を検査装置により把握することができ、被包装物を包装する包装箱の外観異常を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装箱の折り畳まれたフラップ等からホットメルト接着剤が食み出た場合等にも被包装物を不良品として判別することができるという効果がある。また、包装された被包装物の外観検査に際し、解像度の高い高精度の検査カメラを特に必要としないので、製造設備の大型化や複雑化等を防ぎ、製造コストを抑制することができる。
【0018】
また、巻芯に長尺の帯体が巻かれた被包装物の包装に最適な包装箱を得ることができる。
また、長い内フラップを先に畳み、この長い内フラップの表面に短い内フラップを後から畳んで重ねるので、一対の内フラップの姿勢を安定させることができ、この一対の内フラップの表面にホットメルト接着剤を適切に塗布したり、外蓋フラップの裏面を強固に接着することが可能となる。また、ホットメルト接着剤を塗布する場合には、内フラップにホットメルト接着剤を複数に分け、ビート塗布するので、例えポリオレフィン系のホットメルト接着剤が接着しにくくても、ホットメルト接着剤の塗布範囲、塗布位置、塗布量を安定させ、確実に接着することが可能となる。また、紫外光の波長が355〜375nmの範囲なので、検査装置の検査に最適な輝度を得ることができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、包装箱の他の側壁板から重ね胴板の剥離片を剥離し、この剥離片を胴片からミシン目に沿って除去すれば、胴片が揺動可能となって天板の開放が可能となり、包装箱内に収納された被包装物を自由に取り扱うことができる。また、一部の切り欠きを利用した操作により、剥離片を他の側壁板から徐々に、かつ簡単に剥離することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、検査装置が画像センサの場合、包装箱の少なくとも閉塞部の外観形状そのものを容易に比較判別することができ、しかも、被包装物の製造の自動化に資することが可能になる。また、検査装置が非接触温度センサの場合、非接触式なので、センサ素子部が高温等により熱劣化せず、しかも、衛生的である。また、短時間で測定したり、低ノイズ化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における被包装物の製造方法は、
図1ないし
図4に示すように、未完成の細長い包装箱1に食品包装用の被包装物であるロール体20を挿入し、包装箱1の開口した両端部16の一対の内フラップ7に、オレフィン系のホットメルト接着剤30をそれぞれ塗布するとともに、外蓋フラップ4と一対の内フラップ7とを重ねてホットメルト接着剤30を介し接着することにより、包装箱1の両端部16をそれぞれ封函し、包装箱1の封函した両端部16付近に紫外光40をそれぞれ照射し、包装箱1の封函した両端部16付近の外観を検査装置50により検査するようにしている。
【0024】
包装箱1は、
図1〜
図3に示すように、巻芯21に長尺のフィルム22が巻回されたロール体20よりも長い底板2と、この底板2の長辺の両側部にそれぞれ接続されてロール体20を挟持する一対の側壁板6と、この一対の側壁板6のうち、一の側壁板6の長辺に接続されて底板2にロール体20を介し対向可能な天板9と、この天板9の長辺に接続されて他の側壁板6の表面に対向可能な重ね胴板10とを備え、これら底板2、一対の側壁板6、天板9、及び重ね胴板10が化粧されたコートボール紙や段ボールの打ち抜きにより一体形成される。
【0025】
底板2、一対の側壁板6、天板9、及び重ね胴板10は、ロール体20に対応する細長い長方形にそれぞれ形成され、底板2と各側壁板6との間、側壁板6と天板9との間、及び天板9と重ね胴板10との間に、包装箱1の組立を容易にする折曲用の折り目がそれぞれ形成される。
【0026】
底板2の表面と他の側壁板6の表面との境界付近には、ロール体20のフィルム22用の細長い切断歯3が接着剤等により貼着される。この切断歯3は、一般的には金属により鋸刃形の薄板に形成されるが、必要に応じ、所定の紙や生分解性樹脂により鋸刃形の薄板に成形される。切断歯3が生分解性樹脂の場合には、金属製の場合に比べ、安全性が向上し、切れ味に大きな変化がなく、しかも、廃棄時の分別や処分も実に容易となる。
【0027】
底板2の短辺の両端部には、包装箱1の開口した端部16に対応する大きさの外蓋フラップ4がそれぞれ折り目を介し折曲可能に接続され、各外蓋フラップ4が矩形に形成される。外蓋フラップ4の先端部には、天板9の裏面端部に重なる先細りの舌フラップ5が折り目を介し折曲可能に接続され、これら外蓋フラップ4と舌フラップ5とが包装箱1の組立時にL字形に屈曲される。
【0028】
各側壁板6の短辺の両端部には、包装箱1の開口した端部16を被覆する内フラップ7がそれぞれ折り目を介し折曲可能に接続され、各内フラップ7が折り畳まれた状態で外蓋フラップ4に外側から被覆される。一対の側壁板6の内フラップ7は、天板9の裏面端部との間に外蓋フラップ4の舌フラップ5を挟持するのであれば、同じ大きさや長さでも良いが、必要に応じて変更される。例えば
図2に示すように、一の側壁板6の内フラップ7が長く形成されるとともに、他の側壁板6の内フラップ7が短く形成されたり、一の側壁板6の内フラップ7が短く形成され、他の側壁板6の内フラップ7が長く形成される。
【0029】
各内フラップ7は、矩形あるいは一部切り欠かれた台形等に形成される。この内フラップ7の表面には、ホットメルト接着剤30の接着を容易にする複数本のミシン目8が間隔をおき並べて形成され、各ミシン目8が底板2や天板9の左右幅方向(
図1の奥方向、
図2の上下方向)に連続して伸長される。
【0030】
重ね胴板10は、天板9の長辺に接続されて他の側壁板6の表面に重なる細長い胴片11と、この胴片11にミシン目12を介して接続される細長い剥離片13とに分割され、この剥離片13の裏面長手方向に、他の側壁板6の表面に接着剤により接着される複数の接着部14が所定の間隔をおき並べて形成されており、各接着部14が略円形に区画形成されて所定の接着剤が塗布される。
【0031】
ミシン目12の両端部には、必要に応じ、胴片11と剥離片13との分離を容易にする略三角形の切り欠きがそれぞれ形成される。また、剥離片13の少なくとも表面長手方向には、複数の接着部14のうち、少なくとも一部の接着部14の周縁に部分的に沿う略半円弧形の切り欠き15が所定の間隔をおきそれぞれ形成され、この複数の切り欠き15を利用した押圧操作により、剥離片13の複数の接着部14間等が部分的に浮き上がり、他の側壁板6の表面から徐々に、かつ簡単に剥離される。
【0032】
このような重ね胴板10は、他の側壁板6から剥離片13が複数の切り欠き15を介して剥離され、この剥離片13が胴片11からミシン目12に沿って除去されることにより、胴片11が揺動可能となって天板9の開放を可能とする。天板9が開放可能になると、包装箱1内に収納されたロール体20を自由に取り扱うことができ、ロール体20のフィルム22を所定の長さ分引き出すことができる。
【0033】
以上のような構成の包装箱1は、他の側壁板6の表面に重ね胴板10の剥離片13が接着され、平坦に折り畳まれた未完成の状態で製函機の上流部に複数枚がセットされる。そして、ロール体20の挿入時に引き起こされることにより、両端部16が開口部として開口した中空の角筒形に成形され、開口した端部16から既に製造されたロール体20が挿入される。
【0034】
ロール体20は、
図1や
図4に示すように、底板2よりも短い巻芯21を備え、この巻芯21の外周面に透明帯形のフィルム22が20m〜50m程度、あるいは50m〜110m程度巻回される。巻芯21は、所定の紙により、円筒形に形成される。また、フィルム22は、例えば耐熱性や耐水性等に優れるポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等により柔軟な薄膜に成形され、ロール体20から所定の長さ分引き出された後、包装箱1の切断歯3により切断され、食品の包装に利用される。
【0035】
ホットメルト接着剤30は、
図1や
図3に示すように、例えば紫外光40の照射により発光・発熱するポリオレフィン系で白色の接着剤からなり、加熱溶融塗布装置であるアプリケータのホッパーに高温で貯留され、このホッパーにホースで接続された接着ガンから包装箱1の複数の内フラップ7表面に溶融状態で供給されてベタ塗りされたり、複数本の線条に塗布される。
【0036】
ホットメルト接着剤30は、例えば軟化点が100〜110℃、好ましくは105℃程度、粘度が930〜950mPa・s(180℃)、好ましくは940mPa・s(180℃)、適正使用温度が170〜190℃、好ましくは180℃程度、オープンタイム(塗布時から温度が低下して粘着性を喪失するまでの接着可能時間)が11秒程度、セットタイム(貼り合わせたホットメルト接着剤30が冷却固化して初期接着力を示すまでの時間)が1秒程度、熱安定性が490時間以上、好ましくは500時間以上、耐熱温度が50〜70℃、好ましくは60℃程度、耐寒温度が−10〜−30℃、好ましくは−20℃程度の物性を有し、ゲル化、炭化物の発生、糸引き量の少ないことが好ましい。
【0037】
具体的なポリオレフィン系のホットメルト接着剤30としては、例えばレンメルトRH−111〔レンゴー株式会社製:商品名〕、アドバントラシリーズ〔積水フーラー株式会社製:商品名:登録商標〕、クリーンメルトシリーズ〔積水フーラー株式会社製:商品名:登録商標〕等があげられる。また、アプリケータとしては、例えばプロブルーシリーズ〔ノードソン株式会社製:商品名〕が使用され、製函機の側部等に併設される。
【0038】
このようなホットメルト接着剤30は、包装箱1の一対の側壁板6の内フラップ7表面に溶融状態で塗布され、複数の内フラップ7の表面に底板2の外蓋フラップ4が折り畳んで圧着・冷却されることにより、接着機能を発揮して各側壁板6の内フラップ7と外蓋フラップ4とを接着する。
【0039】
紫外光40は、244〜264nm、好ましくは249〜259nm、より好ましくは254nm程度の波長、あるいは355〜375nm、好ましくは360〜370nm、より好ましくは365nm程度の波長からなり、製函機上方の紫外光照射装置41により、包装箱1の両端部16にそれぞれ照射される(
図1参照)。
【0040】
紫外光40の波長が係る範囲なのは、波長が244〜264nm、あるいは355〜375nmの範囲から外れると、包装箱1の端部16から食み出たホットメルト接着剤30の検査に必要な発光・発熱量が不十分となるからである。紫外光40の波長は、244〜264nm又は355〜375nmの範囲で良いが、検査装置50の検査に最適な輝度を得るためには、355〜375nmの範囲が好ましい。
【0041】
検査装置50は、
図1に示すように、例えば製函機の横方向に併設される画像センサ(視覚センサ)からなる。この画像センサは、包装箱1の端部16を横方向から間隔をおいて撮影する検査カメラ51と、この検査カメラ51から取込んだ画像を2値化処理等により計測しやすい画像に加工する画像処理部とを備え、検査カメラ51で撮影した映像を画像処理することで、包装箱1の端部16の特徴を算出し、データや判定結果を出力するよう機能する。
【0042】
画像センサの検査カメラ51としては、包装箱1の少なくとも両端部16付近の外観を視覚的に検査できるカメラであれば、特に限定されるものではないが、例えば複数の白黒カメラ、デジタルカラーカメラ、CCDカメラ等があげられる。この検査装置50としては、非接触の画像センサが好ましいが、ホットメルト接着剤30からの放射エネルギーをセンサ素子部で吸収し、ホットメルト接着剤30の温度を非接触で計測する非接触温度センサ(サーマルセンサ)を併用しても良い。
【0043】
上記において、食品包装用のロール体20を製造して出荷する場合には、平坦に折り畳まれた未完成の包装箱1を製函機の上流部に複数枚セットし、製函機を動作させれば良い。すると、包装箱1は、製函機の上流部から中流部方向に搬送されつつ、引き起こされて中空の角筒形に成形され、開口した両端部16の一方の端部16から既に製造されたロール体20が水平に挿入される。
【0044】
次いで、包装箱1は、製函機の中流部から下流部方向に搬送されつつ、開口した両端部16周縁の一対の内フラップ7がそれぞれ折り畳まれ、折り畳まれた一対の内フラップ7の表面にポリオレフィン系のホットメルト接着剤30が薄く塗布される(
図3参照)とともに、一対の内フラップ7の表面に外蓋フラップ4が折り重ねられてその舌フラップ5が一対の内フラップ7と天板9との間に挟持され、これら内フラップ7と外蓋フラップ4との接着により、開口した両端部16がそれぞれ閉塞される。
【0045】
この際、包装箱1の各端部16における一対の内フラップ7の長さが異なる場合には、長い内フラップ7を先に畳み、この長い内フラップ7の表面に短い内フラップ7を後から畳んで重ねれば良い。こうすれば、一対の内フラップ7の姿勢を安定させることができるので、この一対の内フラップ7の表面にホットメルト接着剤30を適切に塗布したり、外蓋フラップ4の裏面を強固に接着することができる。
【0046】
また、ホットメルト接着剤30を塗布する場合には、内フラップ7の複数のミシン目8に沿ってホットメルト接着剤30を複数に分け、ビート塗布することができる(
図3参照)。こうすれば、例えポリオレフィン系のホットメルト接着剤30が接着しにくくても、ホットメルト接着剤30の塗布範囲、塗布位置、塗布量を安定させ、確実に接着することができる。
【0047】
包装箱1の開口した両端部16が閉塞され、完成品となると、この包装箱1の両端部16やその付近に紫外光40が紫外光照射装置41からそれぞれ照射され、包装箱1の各端部16付近、具体的には、折り畳まれた接着状態の外蓋フラップ4とその付近が検査装置50の検査カメラ51により撮影され、検査される(
図1参照)。
【0048】
この際、ポリオレフィン系のホットメルト接着剤30が紫外光40の照射により、発光したり、励起エネルギーにより発熱するので、折り畳まれた外蓋フラップ4や内フラップ7の周縁部からホットメルト接着剤30が外部横方向に食み出て硬化し、発光している場合には、検査装置50の検査カメラ51により必ず撮影され、包装箱1の外観異常が明瞭に検出されることとなる。この結果、検査装置50による検査漏れがなくなり、高精度な検査・判別が可能になる。
【0049】
検査装置50による検査の結果、包装箱1の両端部16に外観上の問題がない場合には、包装されたロール体20を良品とし、他の良品のロール体20と共にまとめてダンボールで出荷することができる。
【0050】
これに対し、包装箱1の両端部16に外観上の問題がある場合、例えば包装箱1の内フラップ7や外蓋フラップ4が適切に折り畳まれていなかったり、折り畳まれた内フラップ7や外蓋フラップ4の周縁部からホットメルト接着剤30が細く食み出て硬化し、糸引き状態化していたり、あるいは包装箱1の各端部16の周縁部にホットメルト接着剤30が付着して汚れている場合には、包装されたロール体20を不良品として系外排出することができる。
【0051】
上記によれば、ホットメルト接着剤30として、ポリエチレン系のホットメルト接着剤30Aよりも糸引き量が少なく、加工性や軽量性に優れるポリオレフィン系の接着剤を用いるので、包装箱1の端部16からホットメルト接着剤30が細い線条に食み出て硬化するのを大幅に抑制することができる。また、包装箱1の端部16のホットメルト接着剤30が製函機に付着し、製函機が汚染するのを抑制することができる。
【0052】
また、紫外光の照射で発光・発熱するポリオレフィン系のホットメルト接着剤30を用いるので、例え包装箱1の端部16からホットメルト接着剤30が非常に細い線条に食み出て硬化している場合にも、食み出て発光しているホットメルト接着剤30の形を画像センサにより適切に撮影して外観の相異を把握することができる。したがって、包装されたロール体20の良品・不良品を適切に判別することができ、良品・不良品のロール体20の混在に伴う作業の遅延や煩雑化を有効に防止することができる。
【0053】
また、画像センサの検査カメラ51から取り込んだ256階調の濃淡画像を白画素と黒画素の画像(2値)に変換して処理すれば、例え包装箱1の表面が防水用のUVニス処理で保護されていても、包装箱1の端部16から食み出た糸引き状態のホットメルト接着剤30を高精度、かつ高速で撮像し、外観異常を確実に検出することが可能になる。また、包装されたロール体20の外観検査に際し、解像度の高い高精度の検査カメラを特に用いる必要がないので、製造設備の大型化や複雑化等を防ぎ、製造コストを抑制することが可能になる。
【0054】
さらに、ポリオレフィン系のホットメルト接着剤30をアプリケータのホッパーに高温で貯留・溶解しても、黄色等の着色・変色を招くことがなく、ホットメルト接着剤30の劣化防止が大いに期待できる。したがって、例え一対の内フラップ7と外蓋フラップ4とを重ねて圧着することにより、ホットメルト接着剤30が外部に僅かに食み出ても、ホットメルト接着剤30の変色に伴い、包装箱1の体裁や外観が悪化するのを有効に防止することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では包装箱1内にロール体20を挿入したが、何らこれに限定されるものではなく、例えば医薬品、家庭用品、菓子、玩具、化学製品、機械製品、建築品、コンピュータ機器、情報機器、食品、洗剤、電気製品、電子製品等を収納しても良い。この場合には、収納する対象物に応じ、包装箱1の寸法や大きさを適宜変更すると良い。また、上記実施形態では包装箱1の各側壁板6の両端部に内フラップ7をそれぞれ接続したが、天板9と各側壁板6の両端部に内フラップ7をそれぞれ接続しても良い。
【0056】
また、包装箱1の一対の内フラップ7にポリオレフィン系のホットメルト接着剤30をそれぞれ塗布したが、必要に応じ、外蓋フラップ4と一対の内フラップ7とにポリオレフィン系のホットメルト接着剤30をそれぞれ塗布したり、外蓋フラップ4と一の内フラップ7とにホットメルト接着剤30を塗布しても良い。また、包装箱1の接着部14は、楕円形、矩形、多角形、トラック形等でも良く、ポリオレフィン系のホットメルト接着剤30を塗布することができる。この接着部14の形状の変更に伴い、切り欠き15の形を略溝形、略I字形、略L字形等に変更することができる。
【0057】
また、複数の接着部14は、他の側壁板6の表面に所定の間隔をおき並べて形成することができる。また、切り欠き15は、全接着部14の周縁に部分的に沿うよう形成することもできるし、一部の接着部14の周縁に部分的に沿うよう形成することもできる。また、包装箱1の端部16のみならず、端部16を含む全体の外観を検査装置50により検査することも可能である。さらに、検査装置50として、検査カメラ51を省略し、内フラップ7や外蓋フラップ4の周縁部から細く食み出たホットメルト接着剤30の表面温度を測定し、この測定した温度により、包装箱1の外観異常を検出する非接触温度センサのみを使用することもできる。