【実施例】
【0034】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
生乳20.00%、脱脂粉乳1.22%、ホエイパウダー5.68%、上白糖7.00%および水64.10%の割合で原料を混合した。
この時の乳タンパク質の含有量は、1.80質量%であり、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比は50:50であった。
【0036】
この原料を混合し溶解後、70℃に加温し、15MPaの均質圧で均質化した。
次いで、このヨーグルトミックス液を90℃で10分間保持し殺菌した後、42℃まで冷却した。
冷却したヨーグルトミックス液に、乳酸菌スターターを2.00%添加した後、容器に充填し、シールを行った。
乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびビフィズス菌からなる混合乳酸菌スターターを使用した。
42℃の温度で、乳酸酸度が0.65%になるまで発酵を行った後、5℃まで冷却して、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
【0037】
得られた後発酵型ドリンクヨーグルトについて、風味、カード、ざらつきの3要素について官能パネル5人による官能検査を行い、以下の基準にて評価した。なお、風味については、「良い−悪い」で「良い」方から高い点をつけ、カードについては、「滑らか−固い」で「滑らか」な方から高い点をつけ、「ざらつき」については、「無し−有り」で「無し」の方から高い点をつけた。
【0038】
評価結果を、原料の配合割合、乳タンパク質の含有量、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比と併せて、表1に示す。
なお、総合評価は、3要素(風味、カード、ざらつき)の最も悪い評価を採用した。
【0039】
<評価基準>
◎:極めて良好(5点満点中、4.5点以上)
○:良好(5点満点中、3.5点以上、4.5点未満)
△:普通(5点満点中、2.5点以上、3.5点未満)
▲:やや不良(5点満点中、1.5点以上、2.5点未満)
×:不良(5点満点中、1.5点未満)
【0040】
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0041】
[実施例2]
実施例1において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.20質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0042】
[実施例3]
実施例1において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.50質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0043】
[実施例4]
実施例3において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比を65:35としたこと以外は、実施例3と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0044】
[実施例5]
実施例3において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比を35:65としたこと以外は、実施例3と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0045】
[比較例1]
実施例1において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.50質量%とし、かつ、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比を70:30としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、風味は良好でかつ、ざらつきはなかったが、カゼインによる強固なカードが形成されており、流動性が悪かった。
【0046】
[比較例2]
実施例1において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表1に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.50質量%とし、かつ、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比を30:70としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表1に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、加熱の影響によるホエイタンパク質の凝集によりざらつき、ゲル化が見られ、風味も良くなかった。
【0047】
次に、カゼインとホエイタンパク質の重量比を35:65に固定し、乳タンパク質の含有量を種々変化させた試験を行い、下記の実施例6〜8、比較例3〜4とした。なお、実施例8は、前述の実施例5と同様の配合となっている。
【0048】
[実施例6]
生乳20.00%、脱脂粉乳0.48%、ホエイパウダー9.45%、上白糖7.00%および水61.07%の割合で原料を混合した。
この時の乳タンパク質の含有量は、2.00質量%であり、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比は35:65であった。
【0049】
この原材料を混合し溶解後、70℃に加温し、15MPaの均質圧で均質化した。
次いで、このヨーグルトミックス液を90℃で10分間保持し殺菌した後、42℃まで冷却した。
冷却したヨーグルトミックス液に乳酸菌スターターを2.00%添加した後、容器に充填し、シールを行った。
乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびビフィズス菌からなる混合乳酸菌スターターを使用した。
42℃の温度で、乳酸酸度が0.65%になるまで発酵を行った後、5℃まで冷却して、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
【0050】
得られた後発酵型ドリンクヨーグルトについて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、原料の配合割合、乳タンパク質の含有量、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比と併せて、表2に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0051】
[実施例7]
実施例6において、生乳と脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表2に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を1.50質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表2に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0052】
[実施例8]
実施例6において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表2に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.50質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表2に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0053】
[比較例3]
実施例6において、生乳と脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表2に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を1.30質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表2に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、カードはなめらかであったが、乳タンパク質量が少ない為、風味が良くなかった。
【0054】
[比較例4]
実施例6において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表2に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.70質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表2に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、加熱の影響によるホエイタンパク質の凝集によりざらつき、ゲル化が見られ、風味も良くなかった。
【0055】
次に、カゼインとホエイタンパク質の重量比を65:35に固定し、乳タンパク質の含有量を種々変化させた試験を行い、下記の実施例9〜11、比較例5〜6とした。なお、実施例11は、前述の実施例4と同様の配合となっている。
【0056】
[実施例9]
生乳20.00%、脱脂粉乳2.69%、ホエイパウダー3.15%、上白糖7.00%および水65.16%の割合で原料を混合した。
この時の乳タンパク質の含有量は、2.00質量%であり、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比は65:35であった。
この原材料を混合し溶解後、70℃に加温し、15MPaの均質圧で均質化した。
次いで、このヨーグルトミックス液を90℃で10分間保持し殺菌した後、42℃まで冷却した。
冷却したヨーグルトミックス液に乳酸菌スターターを2.00%添加した後、容器に充填し、シールを行った。
乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルスおよびビフィズス菌からなる混合乳酸菌スターターを使用した。
42℃の温度で、乳酸酸度が0.65%になるまで発酵を行った後、5℃まで冷却して、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
【0057】
得られた後発酵型ドリンクヨーグルトについて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、原料の配合割合、乳タンパク質の含有量、乳タンパク質に含まれるカゼインとホエイタンパク質の質量比と併せて、表3に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0058】
[実施例10]
実施例9において、生乳と脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表3に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を1.50質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表3に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0059】
[実施例11]
実施例9において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表3に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.50質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表3に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0060】
[比較例5]
実施例9において、生乳と脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表3に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を1.30質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表3に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、カードはなめらかであったが、乳タンパク質量が少ない為、風味が良くなかった。
【0061】
[比較例6]
実施例9において、脱脂粉乳とホエイパウダーと水の使用割合を表3に示すように変えて、乳タンパク質の含有量を2.70質量%としたこと以外は、実施例9と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
条件と結果を表3に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、風味は良好でかつ、ざらつきはなかったが、カゼインによる強固なカードが形成されており、流動性が悪かった。
【0062】
以上の結果より、実施例1〜11に示すように、乳タンパク質の含有量が1.5質量%以上〜2.5質量%以内であり、かつ、カゼインタンパクとホエイタンパクとの質量比が65:35〜35:65である場合には、風味および流動性の良好な後発酵型ドリンクヨーグルトとなることが分かる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
[実施例12]
実施例6において、さらに7倍濃縮のりんご果汁と重曹を加え、水の使用割合を変えて表4に示す原料組成のものとしたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
なお、7倍濃縮のりんご果汁は、8.57質量%加え、還元果汁換算60質量%とした。また、果汁中和の為に、重曹0.10質量%を加えた。
条件と結果を表4に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、良好な風味を有し、かつ、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0067】
[実施例13]
実施例6において、さらに7倍濃縮のりんご果汁と重曹を加え、水の使用割合を変えて表4に示す原料組成のものとしたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
なお、7倍濃縮のりんご果汁は、14.29質量%加え、還元果汁換算100質量%とした。また、果汁中和の為に、重曹0.17質量%を加えた。
条件と結果を表4に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、りんご風味に富み、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0068】
[実施例14]
実施例6において、さらに2.23倍濃縮のマンゴーピューレと重曹を加え、水の使用割合を変えて表4に示す原料組成のものとしたこと以外は、実施例6と同様にして行い、後発酵型ドリンクヨーグルトを得た。
なお、2.23倍濃縮のマンゴーピューレは、26.90質量%加え、還元果汁換算60質量%とした。また、果汁中和の為に、重曹0.10質量%を加えた。
条件と結果を表4に示す。
発酵、冷却後の容器中のヨーグルトは、マンゴーの風味に富み、ざらつきのないなめらかな流動性のヨーグルトであった。
【0069】
以上の結果より、実施例12、13、14に示すように、後発酵ヨーグルトに、果汁やピューレを添加し、スムージーテイストの後発酵型ドリンクヨーグルトをつくることも可能であることを確認した。
【0070】
【表4】