(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作手段は、作業者の手によって操作される操作レバーと、足によって操作されるフートスイッチとを有し、前記フートスイッチがオン操作されているときにのみ前記操作レバーからの操作信号を前記作動制御手段に送信するように構成され、
前記投光手段は、前記フートスイッチがオン操作されているときにのみ前記光を照射するように制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高所作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように、作業台から上方に光を照射して上方構造物で反射した光を検出することにより作業台と上方構造物との距離を検出する構成では、例えば、橋梁の下面等のように凹凸が多い場合に、作業台と上方構造物との距離を適切に検出することができず、そのため作業台を上方構造物に接近させ過ぎたり、場合によっては作業台と上方構造物とが接触するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、上方構造物に凹凸が多い場合であっても、作業台と上方構造物との距離を適切に検出することができ、作業台を上方構造物に接近させ過ぎることを防止することができる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車は、走行可能な車体と、前記車体に設けられた昇降装置(例えば、実施形態における旋回台4、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10)と、前記昇降装置に取り付けられて昇降移動される作業台と、前記作業台に設けられ、前記昇降装置の作動操作を行うための操作手段と、前記操作手段からの操作信号に基づいて前記昇降装置の作動を制御する作動制御手段とを備え
、さらに、前記作業台の上方に位置する構造物の下端部に、前記作業台が接近したことを検出する作業台接近検出手段(例えば、実施形態における作業台接近検出装置30)と、前記作業台接近検出手段の検出に基づいて警報作動を行う警報手段(例えば、実施形態におけるコントローラ70および警報装置80)と、を備える。前記作業台接近検出手段は、前記作業台の一方の端部に設けられ、前記作業台の床面から
前記作業台の高さを超えた所定の高さ位置において前記床面と略平行な方向の光を照射する投光手段と、前記作業台の他方の端部に設けられ、前記投光手段から照射された前記光を受光可能な受光手段と
、を有している。そして、前記投光手段から前記光が照射されているときに、前記受光手段が受光する前記光の量が所定レベル以下となったときに、
前記作業台が前記構造物の下端部に接近したことを検出する。
【0008】
上記構成の高所作業車において、前記作業台は、前記床面の広さを所定方向に拡大縮小可能に構成され、前記投光手段が前記作業台における前記拡大縮小方向の一端側に設けられ、前記受光手段が前記拡大縮小方向の他端側に設けられることが好ましい。
【0009】
上記構成の高所作業車において、前記投光手段は、照射する前記光の前記床面からの高さ位置を調整可能に構成され、前記受光手段は、前記光を受光する部分の前記床面からの高さ位置を調整可能に構成されることが好ましい。
【0010】
上記構成の高所作業車において、前記操作手段は、作業者の手によって操作される操作レバーと、足によって操作されるフートスイッチとを有し、前記フートスイッチがオン操作されているときにのみ前記操作レバーからの操作信号を前記作動制御手段に送信するように構成され、前記投光手段は、前記フートスイッチがオン操作されているときにのみ前記光を照射するように制御されることが好ましい。
【0011】
上記構成の高所作業車において、前記投光手段は、車両の走行作業状態が検出されているときには前記光を照射するように制御されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る高所作業車によれば、作業台の一方の端部に設けられた投光手段から、作業台の床面から所定の高さ位置において前記床面と略平行な方向の光を照射し、その光を作業台の他方の端部に設けられた受光手段が受光するように構成され、投光手段から前記光が照射されているときに、受光手段が受光する前記光の量が所定レベル以下となると、警報作動を行うように構成されている。そのため、上方構造物に凹凸が多い場合であっても、上方構造物の凸部(最下端部)が投光手段と受光手段との間に入り込んで投光手段からの光を遮ることにより、受光手段が受光する光の量が減少するため、投光手段から照射される光の高さ位置まで上方構造物が接近したことを検出することができる。そして、このとき警報作動を行うことにより、作業台を上方構造物に接近させ過ぎることを防止することができる。本明細書において、警報作動とは、昇降装置の作動(作業台を上方構造物に近づける方向に移動させる作動)を規制する作動や、ブザーやランプ等を用いて警報を行う作動を含めた作動を意味する。
【0013】
また、作業台が床面の広さを所定方向に拡大縮小可能に構成され、投光手段が作業台における前記拡大縮小方向の一端側に設けられ、受光手段が前記拡大縮小方向の他端側に設けられる構成とすれば、作業台が拡大縮小されたいずれの状態であっても、投光手段および受光手段により上方構造物が接近したことを検出することができる。
【0014】
また、投光手段が照射する光の作業台の床面からの高さ位置を調整可能な構成とすれば、光の照射位置(高さ位置)を調整することにより、作業台と上方構造物の接近可能な距離を変更させることができる。
【0015】
また、投光手段が、操作装置におけるフートスイッチがオン操作されているときにのみ光を照射するように制御される構成とすれば、昇降装置によって作業台を昇降移動させるときにのみ、投光手段および受光手段により上方構造物が接近したことを検出することが
できる。また、作業台を昇降移動させないときには投光手段から光が照射されないため、点検作業中の作業者が誤って検出されて警報作動(ブザーやランプ等による警報)が行われるような事態を防ぐことができる。
【0016】
また、投光手段が、車両の走行作業状態が検出されているときには光を照射するように制御される構成とすれば、車両を走行させながら点検作業を行う場合に、フートスイッチがオン操作されていないときであっても、投光手段および受光手段により作業台と上方構造物の接近を検出することができる。そして、警報作動(ブザーやランプ等による警報)を行うことにより、点検作業中の作業者や車両の運転者に、作業台と上方構造物の接近を報知することができる。本明細書において、車両の走行作業状態とは、車両のサイドブレーキがオフ操作されて車輪の制動が解除された状態や、車両に搭載されたエンジンの動力を昇降装置の駆動のために取り出すパワーテイクオフ機構がオフ操作されて昇降装置の駆動が停止された状態を含め、車両を走行させながら作業をすることが可能となった状態を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る高所作業車の一例である橋梁点検車について説明する。橋梁点検車1は、
図1に示すように、トラック車両をベースとして構成され、車体2の前後の左右両端部に車輪3a,3bを配設して走行可能であり、車体2の前部に運転キャブ2aが設けられている。
【0019】
車体2の前後左右にはローラージャッキ17が設けられている。ローラージャッキ17は、車体の左右方向に拡幅可能なアウトリガ17a(
図3を参照)と、上下方向に伸縮可能なジャッキ17bと、ジャッキ17bの下端部に回転自在に取り付けられたローラー17cとを有して構成される。橋梁点検車1では、アウトリガ17aを張り出してローラー17cを路面に接地させることにより、後述する作業台20を所望の位置に移動させたまま車両を走行させて作業を行うことができるようになっている。ローラージャッキ17の作動操作は、車体2に設けられたジャッキ操作レバー(図示せず)の操作により行われる。
【0020】
車体2の後部には旋回台4が水平旋回自在に取り付けられており、この旋回台4は車体2に内蔵された旋回モータ51により旋回動可能に構成されている。旋回台4の上部には、基部が上下揺動自在に枢結されたブーム5が取り付けられている。ブーム5は、旋回台4とブーム5の間に跨設されたブーム起伏シリンダ52により起伏動可能に構成されている。また、ブーム5は、その基端側から基端ブーム5a、先端ブーム5bを入れ子式に組み合わされて伸縮動自在であり、内蔵されたブーム伸縮シリンダ53により伸縮動可能に構成されている。
【0021】
先端ブーム5bの先端部には屈伸ポスト6が上下に揺動自在に枢結され、この屈伸ポスト6の揺動軸と同軸にリンクアーム7が枢結されている。リンクアーム7の上端部にはポ
ストレベリングシリンダ54のロッド側端部が枢結され、このシリンダ54のボトム側端部が先端ブーム5b内に枢結されている。リンクアーム7の下端部にはポスト起伏シリンダ55のロッド側端部が枢結され、このシリンダ55のボトム側端部が屈伸ポスト6の下部に枢結されている。屈伸ポスト6の先端部にはポスト10が取り付けられている。
【0022】
屈伸ポスト6は、ポスト起伏シリンダ55により先端ブーム5bに対して上下に揺動可能であり、ポスト10を所望の屈伸角度位置に設定することができるように構成されている。ポストレベリングシリンダ54のボトム側油室とブーム起伏シリンダ52のロッド側油室とが油路で繋がれて、いわゆる油圧回路式のレベリング機構が構成されており、ブーム5が起仰(倒伏)されたときにリンクアーム7およびポスト起伏シリンダ55を介して屈伸ポスト6をブーム5の起伏角度と同一角度だけ倒伏(起仰)作動させ、ブーム5の起伏角度の如何に拘わらずポスト10が常時一定角度に保持される(通常作業時にはポスト10が常に垂直な状態に維持される)ように構成されている。
【0023】
ポスト10は、屈伸ポスト6に固定されたホルダ10hと、このホルダ10hに入れ子式に嵌挿された第1ポスト10a,第2ポスト10b,第3ポスト10cおよび第4ポスト10dとを有して構成される。ポスト10は、ホルダ10hと第1ポスト10aの間に跨設されたポスト昇降シリンダ56、およびポスト内部に配設されたポスト伸縮シリンダ(図示せず)により、ホルダ10hに対して第1〜第4ポスト10a〜10dを伸縮動可能に構成されている。第4ポスト10dの先端部には、
図1に示す状態において前後に延びる軸を中心として旋回自在にアーム11が枢結されており、アーム11はアーム旋回シリンダ(図示せず)により旋回動可能に構成されている。なお、アーム11の旋回作動は、ポスト10が水平な状態においてのみ許容され、具体的には高所作業時や作業台20を車体2上に格納するときに用いられる。
【0024】
アーム11の先端部には旋回ベース12が上下に揺動自在に枢結され、アーム11と旋回ベース12の間に作業台レベリングシリンダ57が跨設されている。旋回ベース12には、
図1に示す状態において上下に延びる軸を中心として旋回自在に作業台ブラケット13が取り付けられ、作業台ブラケット13は内蔵された作業台旋回モータ59により旋回ベース12に対して旋回動(首振り)可能に構成されている。作業台ブラケット13の下端部に作業台20が取り付けられている。作業台レベリングシリンダ57は、作業台20に設けられた傾斜検出器の検出信号に基づいて伸縮作動が制御され、ブーム5の起伏角度やポスト10の屈伸角度の如何に拘わらず、作業台20の床面が常に水平状態に維持される(作業台ブラケット13が常に垂直に延びた状態となる)ようにレベリング制御されるようになっている。
【0025】
作業台20は、作業台ブラケット13側から基端デッキ21a、中間デッキ21b、先端デッキ21cが入れ子式に組み合わされて、作業台ブラケット13の旋回軸と直交する方向に伸縮動自在であり、内蔵されたデッキ拡縮シリンダ58により基端デッキ21aに対して中間デッキ21bおよび先端デッキ21cを相対移動させて作業台20の床面積を拡大および縮小可能に構成されている。
【0026】
基端デッキ21a、中間デッキ21bおよび先端デッキ21cはそれぞれ、
図3および
図4に示すように、作業者が搭乗可能な平面視矩形の作業床22a,22b,22cと、これらの作業床の上面周囲を取り囲むように立設された手摺り23a,23b,23cを有して構成されている。なお、本実施形態では、基端デッキ21a、中間デッキ21bおよび先端デッキ21cからなる三段式の作業台20を例示しているが、例えば、作業床面積が一定(拡大および縮小しない構成)の作業台、または、二段式もしくは四段式以上の作業台を有する構成であってもよい。
【0027】
作業台20には、搭乗した作業者が操作する操作装置40が設けられている。操作装置40は、
図2に示すように、ブーム5の起伏、伸縮および旋回操作を行うためのブーム操作レバー41と、ポスト10の起伏(屈伸)および伸縮操作を行うためのポスト操作レバー42と、作業台20の旋回(首振り)および拡縮操作を行うための作業台操作レバー43とを有して構成される。作業者は、これらの操作レバー41〜43を手で操作することにより、ブーム起伏シリンダ52、ブーム伸縮シリンダ53、旋回モータ51、ポスト起伏シリンダ55、ポスト昇降シリンダ56、作業台旋回モータ59および作業台拡縮シリンダ58の各作動操作を行うことができるようになっている。
【0028】
車体2には、走行用のエンジンEと、油圧ポンプPと、エンジンEの駆動力を取り出して油圧ポンプPを駆動するパワーテイクオフ機構PTOとが設けられている。パワーテイクオフ機構PTOをオン・オフ作動させる(油圧ポンプPを駆動させたり停止させたりする)ためのPTO操作レバー15は、運転キャブ2a内に設けられている。旋回モータ51、起伏シリンダ52、ブーム伸縮シリンダ53、ポスト起伏シリンダ55、ポスト昇降シリンダ56、作業台拡縮シリンダ58および作業台旋回モータ59には、油圧ポンプPから吐出された作動油が、それぞれの油圧アクチュエータに対応する制御バルブV1〜V7経由で供給される。そして、これらの各油圧アクチュエータは、対応する制御バルブのスプールの駆動状態に応じた方向および速度で作動するようなっている。
【0029】
また、車体2にはコントローラ70が設けられており、コントローラ70のバルブ制御部71は、ブーム操作レバー41の操作状態(操作方向および操作量)に応じて出力された操作信号に基づいて制御バルブV1〜V3の各スプールを駆動し、ポスト操作レバー42の操作状態に応じて出力された操作信号に基づいて制御バルブV4,V5の各スプールを駆動し、作業台操作レバー43の操作状態に応じて出力された操作信号に基づいて制御バルブ
V6,V7の各スプールを駆動するようになっている。ブーム操作レバー41、ポスト操作レバー42および作業台操作レバー43の操作状態(操作方向および操作量)は、レバー操作状態検出器41a,42a,43a(例えば、ポテンショメータによって構成される)により検出され、その検出信号が操作レバー41〜43の操作方向および操作量に対応した操作信号としてバルブ制御部71に入力されるようになっている。
【0030】
操作装置40は、作業台20の床面に設けられ、作業台20に搭乗した作業者が足で踏み込んで操作するペダル型のフートスイッチ45を有して構成されている。フートスイッチ45は、作業者が足で踏み込んでオン操作されているときにのみ、ブーム操作レバー41、ポスト操作レバー42および作業台操作レバー43の操作による各油圧アクチュエータの作動を許可するスイッチであり、踏み込まれているオン操作状態ではスイッチ操作信号を出力し、踏み込みが解除されているオフ操作状態(非操作状態)ではスイッチ操作信号を出力しないように構成されている。フートスイッチ45から出力されるスイッチ操作信号はコントローラ70のバルブ制御部71に入力され、バルブ制御部71は、フートスイッチ45からスイッチ操作信号が入力されているときにのみ、ブーム操作レバー41、ポスト操作レバー42および作業台操作レバー43の操作により出力される各操作信号をそれぞれ有効なものとして扱い、各操作信号に基づいてそれぞれの制御バルブのスプールを駆動して各油圧アクチュエータを作動させるように構成されている。
【0031】
このように構成された橋梁点検車1は、点検作業中において作業台20と上方構造物との間に作業者が挟み込まれるような事故を防止するための安全装置を備えている。この安全装置について以下に説明する。安全装置は、作業台20が上方構造物に接近したことを検出する作業台接近検出装置30と、コントローラ70と、作業台20および運転キャブ2a内にそれぞれ設けられた警報装置80とを有して構成される。警報装置80は、警報ブザー81、警報ランプ82および警報表示ディスプレイ83を有し、視覚や聴覚によって作業者に危険を報知するように構成される。
【0032】
作業台接近検出装置30は、
図3および
図4に示すように、作業台20の先端デッキ21cの先端部に設けられた投光器31と、基端デッキ21aの基端部に設けられた受光器32とを有して構成される。投光器31は、伸縮可能に構成された棒状の保持部材33の先端部に固定されて、先端デッキ21cの作業床22cから所定の高さ位置に配置され、作業床22cと略平行な方向(作業台20の拡縮方向)で基端デッキ21a側に向けて光Lを照射するように構成されている。投光器31は、保持部材33を伸縮させることにより投光器31の高さ位置、すなわち照射する光Lの高さ位置を調整することができるようになっている。受光器32は、上記保持部材33と同様に伸縮可能に構成された棒状の保持部材34の先端部に固定されて、投光器31から照射された光Lを受光可能な高さ位置(および前後左右位置)に配置されている。受光器32の高さ位置も保持部材34を伸縮させることにより調整可能になっている。保持部材33,34は、内部にスプリングが設けられており、縮小された状態からその力を解除すると、このスプリングにより元の長さに復元するようになっている。
【0033】
投光器31は、
図4に示すように、平面視において、先端デッキ21c(作業床22c)における作業台20の拡縮方向と直交する方向の端部に配置されている。また、受光器32は、基端デッキ21a(作業床22a)における前記直交方向の端部に配置されている。従って、投光器31から照射された光Lは、手摺り23c,23b,23aの上方を通って受光器32に到達するようになっており、作業床22a〜22c上を移動する作業者が当該光Lを遮ることがないように投光器31および受光器32が配置されている。また、投光器31および受光器32は、作業台20における前記直交方向の両端部にそれぞれ配置されており、作業台接近検出装置30は二組の投光器31および受光器32を有して構成されている。
【0034】
図2に示すように、投光器31および受光器32はコントローラ70と電気的に接続されており、受光器32において投光器31から照射された光Lが検出されると、その検出信号(光量情報値)がコントローラ70に入力されるようになっている。また、コントローラ70は、運転キャブ2a内のPTO操作レバー15およびサイドブレーキレバー16(駐車ブレーキレバー)、並びに操作装置40のフートスイッチ45と電気的に接続されている。コントローラ70は、フートスイッチ45が踏み込まれてオン操作され、フートスイッチ45からスイッチ操作信号が入力されているときにのみ、投光器31から光Lを照射させる制御を行うように構成されている。また、コントローラ70は、フートスイッチ45がオン操作されていないときであっても、PTO操作レバー15がオフ操作されて油圧ポンプPが停止されるとともに、サイドブレーキレバー16がオフ操作されて駐車ブレーキにより車体2の車輪3a,3bの制動が解除され、車両を走行させながら作業を行うことが可能な状態を示す信号が入力されているときには、投光器31から光Lを照射させる制御を行うように構成されている。
【0035】
コントローラ70は、上述したバルブ制御部71の他に、警報判断部72と、警報解除部73とを有して構成される。警報判断部72は、受光器32から入力される検出信号(光量情報値)に基づいて、後段で説明するように、作業台20が上方構造物Kに対して所定の警報距離以下に接近した状態であるか否かを判定する。そして、警報判断部72は、作業台20が上方構造物Kに接近した状態であると判定したときに、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動規制、並びに、警報装置80による警報作動を実行するように構成されている。
【0036】
図3に示すように、作業台20が上方構造物Kに対して所定の警報距離Dよりも離れている場合には、投光器31から照射された光Lが上方構造物Kによって遮られることがないため、当該光Lが受光器32に受光される。従って、警報判断部72は、投光器31か
ら光Lが照射されているときに、受光器32から入力される検出信号に基づいて、受光器32が所定レベル以上の光量の光Lを受光している状態が検出されているときに、作業台20が上方構造物Kに対して警報距離Dよりも離れていると判定するように構成されている。このとき、警報判断部72は、ブーム5等の作動規制および警報装置80による警報作動を実行しないようになっている。上記の警報距離Dは、投光器31から照射される光Lの作業床22c,22aからの高さ位置に相当する距離であり、作業台20と上方構造物Kとの間に作業者が挟み込まれない程度の安全な空間を確保し得るように設定される。なお、この警報距離Dは、上述したように保持部材33,34を伸縮させて投光器31および受光器32の高さ位置を調整することにより調整可能になっている。
【0037】
図5に示すように、作業台20が上方構造物Kに対して警報距離D以下に接近した場合には、投光器31から照射された光Lが上方構造物Kの下面の鉄骨等の凸部によって遮られるため、当該光Lが受光器32に到達しない、もしくは受光器32に到達する光Lの光量が所定レベル以下に減少する。また、
図6に示すように、作業台20が上方構造物Kに対して警報距離D以下に接近して、上方構造物Kの下面の凸部が投光器31の上面に当接した場合には、投光器31を保持する保持部材33が縮小されて投光器31の高さ位置が下がるため、投光器31から照射された光Lが受光器32に到達しなくなる。
【0038】
従って、警報判断部72は、投光器31から光Lが照射されているときに、受光器32から入力される検出信号に基づいて、受光器32が受光する光Lの光量が所定レベル以上に減少した状態が検出されているときに、作業台20が上方構造物Kに対して所定の警報距離D以下に接近した状態であると判定する。そして、警報判断部72は、ブーム5の倒伏および伸縮作動、屈伸ポスト6の起伏(屈伸)作動、並びにポスト10の伸縮作動のうち、作業台20を上方構造物Kに近づける方向の作動を規制する規制信号をバルブ制御部71に出力し、当該作動を規制する(強制停止させる)ように構成されている。このとき、バルブ制御部71は、ブーム操作レバー41およびポスト操作レバー42の操作により、作業台20を上方構造物Kに近づける方向のブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動操作が行われても、その操作信号を無視(或いは、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の当該作動が行われないように、各油圧アクチュエータへの作動油の供給を遮断)することで、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の当該作動を規制するように構成されている。
【0039】
また、警報判断部72は、上記のように作業台20が上方構造物Kに対して警報距離D以下に接近した状態であると判定すると、作業台20および運転キャブ2a内にそれぞれ設けられた警報装置80に警報作動信号を出力し、警報装置80の警報ブザー81、警報ランプ82および警報表示ディスプレイ83により、作業台20が上方構造物Kに接近した状態であることを作業者に報知する。なお、警報判断部72は、作業台20が上方構造物Kに対して警報距離D以下に接近した状態であるとき、すなわち作業台20が上方構造物Kに対して警報距離Dよりも離れるまで、警報作動信号を自己保持して、警報装置80による警報作動を継続させるようになっている。
【0040】
警報解除部73は、操作装置40に設けられた警報解除スイッチ46と電気的に接続されており、警報解除スイッチ46がオン操作されているときにのみ警報解除信号が入力されるようになっている。警報解除スイッチ46は、モーメンタリスイッチにより構成され、操作を解除すると中立位置に自動復帰してオフ状態となるように構成されている。警報解除部73は、警報判断部72により作業台20を上方構造物Kに近づける方向のブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動規制、並びに警報装置80による警報作動が行われているときに、警報解除スイッチ46から警報解除信号を受信すると、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の当該作動規制を解除する解除信号をバルブ制御部71に出力し、作業台20を上方構造物Kに近づける方向のブーム5、屈伸ポスト6およびポスト
10の作動を許容するように構成されている。このとき、バルブ制御部71は、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動速度を通常よりも遅い低速速度で作動させるようになっている。また、警報判断部72は、警報装置80による警報作動の警報音や警報表示を変更することにより、上方構造物Kが接近した状態であることの注意喚起を行うようになっている。
【0041】
このように構成された作業台20の安全装置によれば、作業台20の一方の端部に設けられた投光器31から、作業台の床面(作業床)から所定の高さ位置において前記床面と略平行な方向の光Lを照射し、その光Lを作業台の他方の端部に設けられた受光器32が受光するように構成されている。そして、投光器31から光Lが照射されているときに、受光器32が受光する光Lの光量が所定レベル以下となると、作業台20を上方構造物Kに近づける方向のブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動規制、並びに警報装置80による警報作動を行うように構成されている。そのため、上方構造物Kの下面に凹凸が多い場合であっても、上方構造物Kの凸部(最下端部)が投光器31と受光器32との間に入り込んで投光器31からの光Lを遮ることにより、受光器32が受光する光の量が減少するため、投光器31から照射される光Lの高さ位置まで上方構造物Kが接近したことを検出することができる。そして、このとき、ブーム5、屈伸ポスト6およびポスト10の作動規制、並びに警報装置80による警報作動を行うことにより、作業台20を上方構造物Kに接近させ過ぎることを防止することができる。
【0042】
また、作業台20が床面の広さを所定方向に拡大縮小可能に構成され、投光器31が作業台20における前記拡大縮小方向の一端側に設けられ、受光器32が前記拡大縮小方向の他端側に設けられている。そのため、作業台20が拡大縮小されたいずれの状態であっても、投光器31および受光器32により上方構造物Kが接近したことを検出することができる。
【0043】
また、投光器31が、保持部材33を伸縮させることにより、照射する光Lの作業台20の床面からの高さ位置を調整可能に構成されている。そのため、保持部材33,34を伸縮させて投光器31および受光器32の高さ位置、すなわち投光器31から照射する光Lの高さ位置を調整することにより、作業台20と上方構造物Kとの接近可能な距離(警報距離D)を変更させることができる。また、上方構造物Kが投光器31もしくは受光器32の上面に接触した場合には、保持部材33,34が縮小されて当該投光器31もしくは受光器32の高さ位置が変わるため、投光器31から照射された光Lが受光器32で受光できなくなるので、上方構造物Kが接近したことを検出することができる。また、上方構造物Kが接触した場合に保持部材33,34が縮小されるため、当該投光器31もしくは受光器32が押しつぶされて破損することを防ぐことができる。そして、上方構造物Kとの接触が解除されると、保持部材33,34の内部に設けられたスプリングにより保持部材33,34が元の長さに復元されるため、当該投光器31もしくは受光器32を元の高さ位置に復元させることができる。
【0044】
また、投光器31が、操作装置40におけるフートスイッチ45がオン操作されているときにのみ、投光器31から光Lを照射させる制御を行うように構成されている。そのため、操作装置40の操作により作業台20を昇降移動させるときにのみ、投光器31および受光器32により上方構造物Kが接近したことを検出することができる。また、作業台20を昇降移動させないときには投光器31から光Lが照射されないため、点検作業中の作業者が誤って検出されて警報作動(ブザーやランプ等による警報)が行われるような事態を防ぐことができる。
【0045】
また、PTO操作レバー15がオフ操作されて油圧ポンプPが停止されるとともに、サイドブレーキレバー16がオフ操作されて駐車ブレーキにより車体2の車輪3a,3bの
制動が解除され、車両を走行させながら作業を行うことが可能な状態が検出されているときには、投光器31から光Lを照射させる制御を行うように構成されている。そのため、車両を走行させながら点検作業を行う場合に、フートスイッチ45がオン操作されていないときであっても、投光器31および受光器32により作業台20と上方構造物Kの接近を検出することができる。そして、警報装置80による警報作動(ブザーやランプ等による警報)を行うことにより、点検作業中の作業者や車両の運転者に、作業台20と上方構造物Kの接近を報知することができる。
【0046】
これまで本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、投光器31および受光器32が保持部材33,34の先端部に固定され、保持部材33,34を伸縮させることにより、投光器31から照射される光Lの高さ位置を調整可能に構成されているが、例えば、高さ方向に複数の投光器31および受光器32を配設し、複数の投光器31の中から光Lを照射する投光器31を切り替えることにより、光Lの高さ位置(警報距離D)を調整するように構成してもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、二組の投光器31および受光器32を作業台20の両側に配設して構成されているが、一組もしくは三組以上の投光器31および受光器32を配設してもよい。また、上述の実施形態では、橋梁点検車に本発明を適用した例を示したが、本発明は、車体上に設けられた垂直上方に伸縮動可能な垂直マストにより作業台を昇降移動させる高所作業車や、車体上に設けられたシザースリンク機構により作業台を昇降移動させる高所作業車等、種々の高所作業車に適用することができる。