特許第6657006号(P6657006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6657006内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6657006
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20200220BHJP
   F16L 55/163 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   F16L55/18 Z
   F16L55/163
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-90985(P2016-90985)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-198305(P2017-198305A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】505354095
【氏名又は名称】タキロンエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】森田 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】黒川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋康
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−010451(JP,A)
【文献】 特開2014−070422(JP,A)
【文献】 特開2003−314197(JP,A)
【文献】 特開2006−316539(JP,A)
【文献】 特開2001−090173(JP,A)
【文献】 特開2014−070435(JP,A)
【文献】 特開2013−204298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/18
F16L 55/163
F16L 1/00
E03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内周面に沿って内面材を取り付けるための内面材取付用骨格構造において、
管の長手方向に間隔をあけて、管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材と、
背面側にリング状支持部材に沿って取り付けるための嵌合部を備え、表面側に内面材を取り付けるための内面材装着部を備えた固定部材と、
該固定部材を介して管の長手方向に沿って取り付けられることによって、隣接するリング状支持部材間の距離を規定する連結スペーサと
からなることを特徴とする内面材取付用骨格構造。
【請求項2】
前記固定部材に取り付けるようにした連結スペーサと、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けられる連結スペーサとを、連結スペーサに備えた連結部によって連結するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内面材取付用骨格構造。
【請求項3】
前記固定部材に連結スペーサの一端側を取り付け、該連結スペーサの他端側を、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内面材取付用骨格構造。
【請求項4】
前記固定部材に連結スペーサの挿通空間を形成し、該挿通空間に挿通した連結スペーサを、該連結スペーサ及び/又は固定部材に形成した嵌着部を介して、固定部材に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の内面材取付用骨格構造。
【請求項5】
前記固定部材を、管の内周面に接地して設けるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の内面材取付用骨格構造。
【請求項6】
前記固定部材を、固定部材の接地側に接地補助部材を取り付け、該接地補助部材を介して管の内周面に接地して設けるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の内面材取付用骨格構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の内面材取付用骨格構造によって固定部材を介して管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とからなることを特徴とする管の内層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造に関し、特に、下水道管等の比較的大口径の既設管の補修に適した内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水道管等の既設管の補修構造として、既設管の内面を内面材で全面的に覆う既設管の補修構造が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、合成樹脂製のブロック体を使用するために高価な金型を必要とすることから、コストがかかり、また、数多くのブロック体の組み立てに多大な手間を要するものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面部材及び嵌合部材を筒長方向に連続したものを使用しようとする場合の輸送上又は製造設備上、製造現場における設置スペース等の問題を解決するものの、既設管路内に中空骨組み状の補強材を配置するのに補強材が多数の部材からなり補強材を既設管路内で組み立てるのに多大な手間を要し、また、内面部材の数も多くこれを同様に数の多い嵌合部材に係止するのに多大な手間を要するものとなっている。
【0004】
一方、本件出願人は、経済的な部材を用い、その組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある既設管の補修構造を提案している(特許文献3参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載のものは、合成樹脂製内面材が既設管の内周面の周方向に沿って配設されるものであるため、内面材を管軸方向に凹凸を生じないように精度高く配設することができず、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面材の配設の手数がかかるという問題があった。
【0006】
このような実情に鑑み、本件出願人は、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造を提案した(特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−286742号公報
【特許文献2】特開2002−310378号公報
【特許文献3】特開2006−316539号公報
【特許文献4】特開2015−10451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献4に記載のものは、管の内周面に沿って内面材を取り付けるために管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材を固定するための部材であって、管の内周面に沿って管の長手方向に設けられる接地片と、該接地片に一体に形成した起立片と、該起立片に設けたリング状支持部材の固定部とからなり、接地片の管の長手方向の有効長さによって、管の長手方向に隣接するリング状支持部材間の距離を規定するようにすることにより、相互に隣接するリング状支持部材間の距離を正確に規定しながら、リング状支持部材を簡易に固定することができ、これにより、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができるという利点を有するものである反面、固定部材にリング状支持部材を固定するためにねじによる締結操作が必要で、作業性において改善すべき点があった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の内面材取付用骨格構造は、管の内周面に沿って内面材を取り付けるための内面材取付用骨格構造において、管の長手方向に間隔をあけて、管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材と、背面側にリング状支持部材に沿って取り付けるための嵌合部を備え、表面側に内面材を取り付けるための内面材装着部を備えた固定部材と、該固定部材を介して管の長手方向に沿って取り付けられることによって、隣接するリング状支持部材間の距離を規定する連結スペーサとからなることを特徴とする。
【0011】
この場合において、前記固定部材に取り付けるようにした連結スペーサと、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けられる連結スペーサとを、連結スペーサに備えた連結部によって連結するようにすることができる。
【0012】
また、前記固定部材に連結スペーサの一端側を取り付け、該連結スペーサの他端側を、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けるようにすることができる。
【0013】
また、前記固定部材に連結スペーサの挿通空間を形成し、該挿通空間に挿通した連結スペーサを、該連結スペーサ及び/又は固定部材に形成した嵌着部を介して、固定部材に取り付けるようにすることができる。
【0014】
また、前記固定部材を、管の内周面に接地して設けるようにすることができる。
【0015】
また、前記固定部材を、固定部材の接地側に接地補助部材を取り付け、該接地補助部材を介して管の内周面に接地して設けるようにすることができる。
【0016】
また、本発明の管の内層構造は、上記内面材取付用骨格構造によって固定部材を介して管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の内面材取付用骨格構造によれば、管の長手方向に間隔をあけて、管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材と、背面側にリング状支持部材に沿って取り付けるための嵌合部を備え、表面側に内面材を取り付けるための内面材装着部を備えた固定部材と、該固定部材を介して管の長手方向に沿って取り付けられることによって、隣接するリング状支持部材間の距離を規定する連結スペーサとからなるようにすることにより、固定部材を介して管の長手方向に沿って取り付けられる連結スペーサによって、相互に隣接するリング状支持部材間の距離を正確に規定することができるとともに、固定部材をリング状支持部材に簡易に固定することができ、これにより、固定部材を介して内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができる。
【0018】
また、前記固定部材に取り付けるようにした連結スペーサと、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けられる連結スペーサとを、連結スペーサに備えた連結部によって連結するようにすることにより、連結スペーサ同士を連結することによって、相互に隣接するリング状支持部材間の距離を規定することができる。
【0019】
また、前記固定部材に連結スペーサの一端側を取り付け、該連結スペーサの他端側を、隣接するリング状支持部材側の固定部材に取り付けるようにすることにより、1つの連結スペーサによって、相互に隣接するリング状支持部材間の距離を規定することができる。
【0020】
また、前記固定部材に連結スペーサの挿通空間を形成し、該挿通空間に挿通した連結スペーサを、該連結スペーサ及び/又は固定部材に形成した嵌着部を介して、固定部材に取り付けるようにすることにより、連結スペーサの固定部材への取り付けを簡易に行うことができる。
【0021】
また、前記固定部材を、管の内周面に接地して設けるようにすることにより、管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材を安定して設置することができる。
【0022】
また、前記固定部材を、固定部材の接地側に接地補助部材を取り付け、該接地補助部材を介して管の内周面に接地して設けるようにすることにより、管の内周面の形状に対応した接地補助部材を用いることによって、固定部材の汎用性を高めることができる。
【0023】
また、本発明の管の内層構造によれば、上記内面材取付用骨格構造によって固定部材を介して管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とからなることにより、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の内面材取付用骨格構造を用いた管の内層構造の一実施例を示し、(a)は断面図(連結スペーサは省略。)、(b)は要部の断面図である。
図2】同内面材取付用骨格構造に用いる固定部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
図3】同内面材取付用骨格構造に用いる固定部材の変形例を示し、(a1)〜(d1)は側面図、(a2)〜(d2)は正面図である。
図4】同内面材取付用骨格構造に用いる連結スペーサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は連結スペーサを固定部材に取り付けた状態(固定部材の一部透視。)を示す平面図、(d)はその正面図である。
図5】同内面材取付用骨格構造に用いる連結スペーサの変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図6】同内面材取付用骨格構造に用いる連結スペーサを固定部材に取り付けるための各種態様を示す平面図(模式図)である。
図7】同内面材取付用骨格構造に用いる接地補助部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は斜視図、(e)はシム板を取り付ける場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0026】
本発明の内面材取付用骨格構造は、図1に示すように、管1の内周面に沿って内面材2を取り付けるための内面材取付用骨格構造であって、図4に示すように、管1の長手方向に間隔をあけて、管1の内周面に沿って設けられるリング状支持部材3と、背面側にリング状支持部材3に沿って取り付けるための嵌合部41を備え、表面側に内面材2を取り付けるための内面材装着部42を備えた固定部材4と、この固定部材4を介して管1の長手方向に沿って取り付けられることによって、隣接するリング状支持部材3間の距離を規定する連結スペーサ5とからその主要部が構成されている。
【0027】
本実施例において、リング状支持部材3は、環状となる支持部材であって、管1の長手方向から見た外形の形状が円形であるが、管1の形状や構築される内層構造の形状に合わせて、矩形、多角形、アーチ形等、任意の形状のものを用いることができる。
なお、リング状支持部材3には、鉄製棒材や異形鉄筋を用いることが好ましいが、断面形状が四角形や多角形の棒状部材や中空体(パイプ部材)を用いることもでき、また、金属製の部材以外の合成樹脂製や複合材料製の部材も使用することができる。
【0028】
固定部材4は、図2に示すように、背面側にリング状支持部材3に沿って取り付けるための嵌合部41を備え、表面側に内面材2を取り付けるための内面材装着部42を備えたもので、合成樹脂や金属製の成形品からなる。
ここで、固定部材4の嵌合部41には、リング状支持部材3に嵌合した固定部材4の嵌合部41が外れないようにするための突起41a、41bを形成するようにしている。
【0029】
また、固定部材4には、図2及び図4に示すように、連結スペーサ5を挿通するための矩形の断面形状をした挿通空間43を形成し、この挿通空間43に挿通した連結スペーサ5を、連結スペーサ5に形成した嵌着部51を介して、固定部材4に対して挿通方向に摺動しないように固定することができるようにしている。なお、挿通空間43には、必要に応じて、挿通空間43に挿通された連結スペーサ5の下面を支持する受片43aを設けるようにする。
これにより、連結スペーサ5の固定部材4への取り付けを簡易に行うことができる。
【0030】
ここで、本実施例においては、固定部材4に取り付けるようにした連結スペーサ5と、隣接するリング状支持部材3側の固定部材4に取り付けられる連結スペーサ5とを、連結スペーサ5に備えた連結部52a、52bによって連結するようにしている。
そして、連結スペーサ5に備えた連結部52bを、その幅を他の部分より大きくなるように段状に形成して、固定部材4の挿通空間43に挿通した連結スペーサ5がこの位置で止まるようにするとともに、連結スペーサ5の中間位置に連結スペーサ5の挿通空間43の反対側の開口縁に当接する係止爪51aを形成して、連結スペーサ5の嵌着部51を構成するようにしている。
これにより、連結スペーサ5同士を連結することによって、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定することができる。
なお、連結スペーサ5を、固定部材4に対して挿通方向に摺動しないように固定するための手段は、これに限定されず、例えば、嵌着部51の両側に係止爪51aを形成して、連結スペーサ5をいずれの側からも固定部材4に挿通できるようにしたり(この場合、連結スペーサ5に備えた連結部52bの幅を他の部分と同一にする。)、固定部材4側に連結スペーサ5に嵌着する嵌着部を形成するようにしたり、固定部材4及び連結スペーサ5の所定位置にピン孔を形成し、ピン孔に固定ピンを挿入する等、任意の固定方式を採用することができる。
【0031】
係止爪51aは、連結スペーサ5の中間位置の側面に形成するほか、図5に示すように、連結スペーサ5の中間位置の上面に形成することもでき、また、係止爪51aを含めて嵌着部51を形成する位置も、自由に設定することができる。
【0032】
このように、本実施例においては、連結スペーサ5同士を連結することによって、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定するようにしたが(図6(a))、図6(b)又は図6(c)に示すように、固定部材4に連結スペーサ5の一端側を取り付け、この連結スペーサ5の他端側を、隣接するリング状支持部材3側の固定部材4に取り付けるようにすることもできる。
ここで、図6(b)は、固定部材4の挿通空間43に連結スペーサ5を貫通させて取り付けるようにした(このため、隣接する連結スペーサ5は、異なる挿通空間43を利用する。)実施例であり、図6(c)は、固定部材4の挿通空間43に連結スペーサ5を途中まで貫入させて取り付けるようにした(このため、隣接する連結スペーサ5は、同じ挿通空間43を利用することができる。)実施例である。
これにより、1つの連結スペーサ5によって、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定することができる。
【0033】
なお、リング状支持部材3に沿って取り付けた固定部材4のすべての挿通空間43に連結スペーサ5を挿通して取り付ける必要はなく、数個所、例えば、管1の内周面の底端位置を挟んだ対称の位置に2個所、天端位置に1個所というように、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定するために必要な個所に選択的に挿通して取り付けるようにする。
【0034】
そして、連結スペーサ5を挿通しない挿通空間43には、必要に応じて、鉄製棒材や異形鉄筋等からなる補強部材(図示省略)を挿通して、管1の長手方向に沿って取り付けることができる。
この補強部材は、管1の内周面と内面材2によって区画された環状の隙間に充填される硬化材7中に埋設され、管1の強度を高めることができる。
【0035】
また、固定部材4は、その底面44を、管1の内周面に接地して設けるようにする。
これにより、管1の内周面に沿って設けられるリング状支持部材3を、固定部材4を介して、安定して設置することができる。
ここで、固定部材4は、そのすべてを管1の内周面に接地して設ける必要はなく、固定部材4を介してリング状支持部材3を安定して設置することができる限りにおいて、リング状支持部材3に沿って取り付けた固定部材4のうちの任意の位置の固定部材4を接地して設けるようにすればよい(固定部材4の接地側に後述の接地補助部材6を取り付ける場合も同様。)。
【0036】
この場合、図3に示すように、固定部材4の嵌合部41から底面44までの寸法Ha〜Hdを適正に設定した複数種類の固定部材4を用意し、これを選択して用いることができる。すなわち、寸法Ha〜Hdが、管1の半径とリング状支持部材3の半径との差と同じ固定部材4を用いることによって、固定部材4の底面44が管1の内周面に接地するようにでき、併せて、管1の中心にリング状支持部材3の中心を合わせることができ、これにより、管1の内周面と内面材2によって区画された環状の隙間に充填される硬化材7の層の厚みを、周方向で均一にすることができ、強固で安定的な管1の内層構造を構築することができるものとなる。
【0037】
また、管1の内周面の形状に応じて、固定部材4の接地側に、図7に示す、接地補助部材6を取り付け、固定部材4を、この接地補助部材6を介して管1の内周面に接地して設けるようにすることができる。
この接地補助部材6は、固定部材4の底面44に嵌着される嵌合部61と、接地補助部材6を管1の内周面に固定するためのアンカー打ち込み孔62を備えるとともに、底面に適当な厚みのシム板64を融着するための融着用リブ63を形成するようにしている。
これにより、管1の内周面の形状に対応した接地補助部材6を用いることによって、固定部材4の汎用性を高めることができる。
【0038】
そして、必要に応じて、リング状支持部材3を管1の内周面に固定するために、接地補助部材6を用いたり、特許文献4に記載した固定部材を併用することもできる。
【0039】
このように、この内面材取付用骨格構造によれば、管1の長手方向に間隔をあけて、管1の内周面に沿って設けられるリング状支持部材3と、背面側にリング状支持部材3に沿って取り付けるための嵌合部41を備え、表面側に内面材2を取り付けるための内面材装着部42を備えた固定部材4と、この固定部材4を介して管1の長手方向に沿って取り付けられることによって、隣接するリング状支持部材3間の距離を規定する連結スペーサ5とからなるようにすることにより、固定部材4を介して管1の長手方向に沿って取り付けられる連結スペーサ5によって、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を正確に規定することができるとともに、固定部材4をリング状支持部材3に簡易に固定することができ、これにより、固定部材4を介して内面材2を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができる。
【0040】
そして、図1に示すように、内面材取付用骨格構造によって固定部材4を介して管1の内周面に沿って取り付けられた内面材2(特に限定されるものではないが、本実施例においては、内面材装着部42に取り付けられるパネル本体21と、内面材装着部42に取り付けられたパネル本体21同士を接続するファスナ22とからなる。)と、管1の内周面とによって区画された環状の隙間に硬化材7を充填し、固化させることにより、管1の内層構造を構成することで、長期に亘って耐久性のある管1を構築することができる。
【0041】
以上、本発明の内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の内面材取付用骨格構造及びそれを用いた管の内層構造は、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある管を構築することができることから、老朽化した下水道管等の既設管の補修の用途に好適に用いることができるほか、例えば、新設管の内表面の仕上げの用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 管
2 内面材
3 リング状支持部材
4 固定部材
41 嵌合部
42 内面材装着部
43 挿通空間
5 連結スペーサ
51 嵌着部
52a 連結部
52b 連結部
6 接地補助部材
7 硬化材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7