特許第6657035号(P6657035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6657035-昇圧回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6657035
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】昇圧回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   H02M3/07
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-127622(P2016-127622)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-7333(P2018-7333A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今井 靖
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−183710(JP,A)
【文献】 特開2008−27509(JP,A)
【文献】 特開平10−241388(JP,A)
【文献】 特開2015−84201(JP,A)
【文献】 特開平8−153390(JP,A)
【文献】 特開2013−114546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
G11C 16/30,29/06
H01L 21/822,27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧回路であって、
入力される信号に応じて間欠動作する発振回路と、
前記発振回路のパルス信号を受けて前記入力電圧を昇圧する昇圧部と、
前記昇圧電圧を分圧して分圧電圧を出力する分圧回路と、
前記分圧電圧と基準電圧を比較し、比較結果の前記信号を出力する比較回路と、
前記昇圧電圧をクランプするリミット回路と、
テスト信号を入力するテスト端子と、を備え、
前記分圧回路は、前記テスト信号に応じて分圧比が変更可能であり、
前記テスト信号がテスト状態を示す時に、前記比較回路の出力する前記信号が前記昇圧部を連続動作させる
ことを特徴とする昇圧回路。
【請求項2】
前記分圧回路は、前記テスト信号がテスト状態を示す時に、前記分圧電圧が低くなるように分圧比が変更される
ことを特徴とする請求項1記載の昇圧回路。
【請求項3】
前記リミット回路は、前記昇圧電圧を、通常動作時の昇圧電圧より高く、テスト状態時の昇圧電圧より低い電圧にクランプする
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の昇圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧回路に関し、より詳しくは昇圧部が間欠動作する昇圧回路であって、昇圧電圧が印加される回路のテストをする時の回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的にデータを消去・書き込み・読み出しできるEEPROM等の不揮発性メモリでは、消去・書き込み動作時において、選択されたメモリセルに電源電圧以上の高電圧を印加する必要がある。従って、不揮発性メモリは、昇圧回路を内蔵して所望の高電圧を発生させている。
【0003】
図2は、従来の不揮発性メモリに用いられる昇圧回路20を示す回路図である。従来の昇圧回路20は、PMOSトランジスタ21と、分圧回路22と、比較回路23と、発振回路24と、昇圧部25と、を備えている。昇圧部25は、発振回路24の出力するパルス信号によって電源電圧VCCを昇圧して、昇圧電圧VPPを出力する。分圧回路22は、昇圧電圧VPPを分圧し、分圧電圧VFBを出力する。比較回路は23は、基準電圧VREFと分圧電圧VFBを比較し、比較結果の信号を出力する。分圧電圧VFBが基準電圧VREFよりも高ければ、比較回路23がローレベルを出力して発振回路24がオフし、昇圧部25は停止する。また、分圧電圧VFBが基準電圧VREFよりも低くければ、比較回路23がハイレベルを出力して発振回路がオンし、昇圧部25は動作する。
【0004】
以上の動作を繰り返すことによって、昇圧回路20は出力端子に所望の昇圧電圧VPPを出力する(例えば、特許文献1参照)。
なお、PMOSトランジスタ21は、起動時など昇圧電圧VPPが低い時はオフして、分圧電圧VFBが接地電圧VSSになるように、即ち昇圧部25が動作するように機能する。また、発振回路24や昇圧部25は、イネイブル端子の信号ENによって動作が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−124590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の昇圧回路20の昇圧電圧が印加されるメモリ素子等の回路部分の初期不良を検査をする場合、昇圧部25が間欠動作をしているので、ストレス試験の効率が悪いという課題があった。即ち、ストレス試験を実施する時間が長くなるため、製造コストが増加する、という課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、昇圧電圧が印加される回路のストレス試験の効率を向上することが可能な昇圧回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の昇圧回路は、入力電圧を昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧回路であって、入力される信号に応じて間欠動作する発振回路と、前記発振回路のパルス信号を受けて前記入力電圧を昇圧する昇圧部と、前記昇圧電圧を分圧して分圧電圧を出力する分圧回路と、前記分圧電圧と基準電圧を比較し、比較結果の前記信号を出力する比較回路と、前記昇圧電圧をクランプするリミット回路と、
テスト信号を入力するテスト端子と、を備え、前記分圧回路は、前記テスト信号に応じて分圧比が変更可能であり、前記テスト信号がテスト状態を示す時に、前記比較回路の出力する前記信号が前記昇圧部を連続動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の昇圧回路によれば、分圧回路の分圧比が可変できる構成とし、出力端子にリミット回路を設けので、テスト状態の時に昇圧部を連続動作させることが出来るようになり、昇圧電圧が印加される回路のストレス試験の効率を向上することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の昇圧回路を示す回路図である。
図2】従来の昇圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の昇圧回路10を示す回路図である。
本実施形態の昇圧回路10は、PMOSトランジスタ11と、分圧回路12と、比較回路13と、発振回路14と、昇圧部15と、リミット回路16とを備える。分圧回路12は、直列に接続された抵抗1〜3と、ソースとドレインが抵抗3の両端に接続され、ゲートがテスト端子に接続されたNMOSトランジスタ4を備えている。テスト端子は、テスト信号である信号TESTが入力される。リミット回路16は、ソースとゲートを接地端子に接続したNMOSトランジスタ5で構成される。
【0012】
発振回路14は、制御端子がイネイブル端子に接続され、出力端子は昇圧部15の入力端子に接続される。昇圧部15は、制御端子がイネイブル端子に接続され、出力端子は昇圧電圧出力端子に接続される。PMOSトランジスタ11は、ソースが昇圧部15の出力端子に接続され、ドレインが分圧回路12に接続され、ゲートに電源電圧VCCが入力される。分圧回路12は、PMOSトランジスタ11のドレインと接地端子の間に接続され、抵抗1と抵抗2の接続点が比較回路13の反転入力端子に接続される。比較回路13は、制御端子がイネイブル端子に接続され、非反転入力端子に基準電圧VREFが入力され、出力端子は発振回路14の入力端子に接続される。
【0013】
発振回路14は、例えば、リングオシレータ回路などであって、比較回路13の出力信号によって発振の動作が制御される。昇圧部15は、例えば、チャージポンプ回路などであって、発振回路14の出力するパルス信号によって、電源電圧VCCを昇圧電圧VPPに昇圧して出力する。分圧回路12は、昇圧電圧VPPを分圧し、分圧電圧VFBを出力する。比較回路13は、分圧電圧VFBと基準電圧VREFとを比較し、分圧電圧VFBが基準電圧VREFよりも低いとハイレベルの出力信号を出力し、分圧電圧VFBが基準電圧VREFよりも高いとローレベルの出力信号を出力する。リミット回路16は、所望の昇圧電圧VPPより高い電圧で昇圧電圧出力端子の電圧をクランプするように構成されている。
【0014】
次に、上記のように構成された昇圧回路10の動作について説明する。
通常動作時は、テスト端子にローレベルの信号TESTが入力され、分圧回路12のNMOSトランジスタ4はオフする。即ち、分圧電圧VFBは、抵抗1と抵抗2及び3で昇圧電圧VPPを分圧した電圧である。
【0015】
イネイブル端子の信号ENがハイレベルになると、比較回路13と発振回路14と昇圧部15は動作を開始する。初期状態では、PMOSトランジスタ11は、昇圧電圧VPP、即ちソースの電圧が電源電圧VCCとPMOSトランジスタ11の閾値電圧の絶対値とを加算した電圧よりも低いのでオフして、分圧回路12の分圧電圧VFBは接地端子の電圧VSSに近い電圧になる。従って、基準電圧VREFが分圧電圧VFBより高いので、比較回路13はハイレベルの出力信号を出力する。発振回路14は、比較回路13からハイレベルの出力信号を受けて発振動作を開始する。昇圧部15は、発振回路14からパルス信号を受けて昇圧動作を開始する。
【0016】
昇圧部15が昇圧動作を開始すると、昇圧電圧出力端子の昇圧電圧VPPが次第に高くなるので、PMOSトランジスタ11がオンして、分圧回路12は昇圧電圧出力端子に接続され、分圧電圧VFBは昇圧電圧VPPに応じた電圧になる。
【0017】
昇圧電圧VPPが上昇して、分圧電圧VFBが基準電圧VREFを超えると、比較回路13はローレベルの出力信号を出力する。比較回路13からローレベルの出力信号を受けて、発振回路14は発振動作を停止し、従って昇圧部15の昇圧動作は停止する。昇圧部15の昇圧動作が停止すると、昇圧電圧出力端子の昇圧電圧VPPは次第に低くなり、分圧電圧VFBが基準電圧VREFより低くなると、比較回路13のはハイレベルの出力信号を出力する。
【0018】
以上の動作を繰り返すことによって、昇圧回路10は、出力端子から所望の昇圧電圧VPPを出力する。このとき、リミット回路16は、所望の昇圧電圧VPPより高い電圧にクランプするように設定されているので、昇圧電圧出力端子の電圧には関与しない。
【0019】
テストモード時、テスト端子にハイレベルの信号TESTが入力され、分圧回路12のNMOSトランジスタ4はオンする。即ち、分圧電圧VFBは、抵抗1と抵抗2で昇圧電圧VPPを分圧した電圧になるので、同じ昇圧電圧VPPの場合、通常動作時よりも低い電圧になる。
イネイブル端子の信号ENがハイレベルになると、比較回路13と発振回路14と昇圧部15は動作を開始する。
【0020】
テストモード時、昇圧部15は、NMOSトランジスタ4がオンしているので、出力端子から通常動作時より高いテストモード用の昇圧電圧VPPを出力しようとする。ところが、リミット回路16は、NMOSトランジスタ5のブレークダウン電圧によって、テストモード用の昇圧電圧VPPより低い昇圧電圧VPPにクランプする。従って、テストモード時の分圧電圧VFBは、常に基準電圧VREFよりも低い電圧に固定される。即ち、比較回路13は、ハイレベルのの出力信号を出力し続けて、昇圧部15を連続動作させることが可能になる。
【0021】
以上説明したように、テストモード時、昇圧回路10は、リミット回路16により決まる通常動作時より高いテストモード用の昇圧電圧VPPを出力し、且つ昇圧部15は連続動作している。従って、昇圧回路10は、出力端子に接続されている昇圧電圧VPPが印加されるメモリ素子等の回路部分のストレス試験の効率を向上することが出来る。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の昇圧回路10は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、リミット回路16は、NMOSトランジスタのブレークダウン電圧を用いたが、ダイオードを用いても良い。
【0023】
また、分圧回路12は、テスト端子に入力されるハイレベルの信号TESTによってNMOSトランジスタ4がオンするように説明したが、分圧比が可変できれば良く、この回路に限定されない。
また、昇圧回路10は、電源電圧VCCを昇圧するように説明したが、電源電圧VCCに限らず入力される電圧を昇圧すれば良い。
また、昇圧回路10は、イネイブル端子の信号ENによって起動停止するように説明したが、イネイブル端子は備えなくても良い。
【符号の説明】
【0024】
12 分圧回路
13 比較回路
14 発振回路
15 昇圧部
16 リミット回路
図1
図2