特許第6657060号(P6657060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6657060複数のインバータの制御装置およびこれを適用したインバータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6657060
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】複数のインバータの制御装置およびこれを適用したインバータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/493 20070101AFI20200220BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20200220BHJP
【FI】
   H02M7/493
   H02M7/48 E
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-234571(P2016-234571)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-200422(P2017-200422A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2016年12月1日
【審判番号】不服2018-10574(P2018-10574/J1)
【審判請求日】2018年8月2日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0053429
(32)【優先日】2016年4月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】チェ−ポン・ペ
【合議体】
【審判長】 國分 直樹
【審判官】 山田 正文
【審判官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−72087(JP,A)
【文献】 特開平11−341816(JP,A)
【文献】 特開昭50−150853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/493
F04B49/00
F04B51/00
F04D15/00
H02P5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサからリアルタイムでフィードバックを受信する第1通信部と、
複数のインバータから、複数のインバータに連結された電動機の累積動作時間を含む状態に関する情報をそれぞれ受信し、前記複数のインバータに運転指令および周波数指令をそれぞれ送信する第2通信部と、
動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以上で、前記フィードバックが所定水準以下である場合、動作していない電動機のうち動作時間が最も短い電動機を新たに主電動機として決定し、新たに決定された主電動機に連結されたインバータに運転指令および周波数指令を伝送する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記第1通信部を介して前記フィードバックを受信し、前記フィードバックにより前記動作していない電動機の前記複数のインバータのうち動作時間が最も短い電動機を主電動機として決定し、前記主電動機が比例積分微分運転するように周波数指令を伝送し、前記動作中の主電動機は補助電動機に転換し、前記転換された補助電動機が固定周波数で運転するように周波数指令を伝送し、
前記制御部は、
前記動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以下で、フィードバックが所定水準以上である場合、前記動作中の主電動機に停止命令を伝送し、動作中の補助電動機のうち動作時間が最も長い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたインバータに比例積分微分運転するよう周波数指令を伝送する、複数のインバータの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記主電動機が比例積分微分運転するように周波数指令を伝送する、請求項1に記載の複数のインバータの制御装置。
【請求項3】
フィードバックを提供するセンサと、
それぞれ連結される電動機の累積動作時間を含む状態に関する情報をリーダインバータに送信し、前記リーダインバータからそれぞれ運転指令および周波数指令を受信する複数のサーブインバータと、
前記センサからフィードバックを受信し、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以上で、フィードバックが所定水準以下である場合、動作していない電動機のうち動作時間が最も短い電動機を新たに主電動機として決定し、前記新たに決定された主電動機に連結されたサーブインバータに運転指令および周波数指令を伝送する前記リーダインバータと、を含み、
前記リーダインバータは、前記センサを介して前記フィードバックを受信し、前記フィードバックにより前記動作していない電動機の前記複数のインバータのうち動作時間が最も短い電動機を主電動機として決定し、前記主電動機が比例積分微分運転するように周波数指令を伝送し、前記動作中の主電動機は補助電動機に転換し、前記転換された補助電動機が固定周波数で運転するように周波数指令を伝送し、
前記リーダインバータは、
動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以下で、フィードバックが所定水準以上である場合、前記動作中の主電動機に停止命令を伝送し、動作中の補助電動機のうち動作時間が最も長い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたサーブインバータに比例積分微分運転するよう周波数指令を伝送する、インバータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインバータの制御装置およびこれを適用したインバータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ファン(fan)やポンプ(pump)のような流量と油圧を主に制御する応用分野においては、複数の電動機を一つの制御器が調整して、使用されるエネルギーを最小化し、全体システムの総保有コスト(total cost of ownership、TCO)を削減して、設備費用減少の効果を同時に得ることができる複数電動機制御(multi‐motor control)が多く用いられている。
【0003】
例えば、管路システムのように単一のインバータに複数の電動機を連結して制御するシステムにおいて、管路の圧力に対してフィードバックを受信し、PID(proportional integral derivative)制御をすることが一般的である。この際、インバータと直接連結されて動作する主電動機の速度が管理者の設定速度以上であるにもかかわらず、管路のフィードバックが設定基準値未満である場合、システムが要する圧力の生成のためにリレーを介して連結された一つ以上の補助電動機がさらに駆動される。
【0004】
この際、補助電動機がさらに連結される方式は、電子式開閉器を用いて電源電圧を直接補助電動機に連結する直入起動方式、あるいは3個の電子式開閉器を使用して、誘導電動機の巻線を、起動の際にはスター結線、運転中にはデルタ結線の形態に変換する方式のスターデルタソフトスタータ(soft starter)方式などがある。
【0005】
このうち、直入起動方式は、電動機に大きい突入電流を発生して電動機が損傷するだけでなく、開閉器の接点部も損傷するという問題点がある。また、スターデルタソフトスタータ方式は、突入電流の問題は少ないが開閉器が3個も必要となり、また、周辺にタイマーや補助スイッチなどを使用しなければならず、場合に応じては、スターデルタ結線変更をサポートできない電動機もあるため、すべての場合に使用することはできない。すなわち、三相380Vや440V電動機の場合、通常、220V電源ではデルタ結線、380Vや440V電源ではスター結線の形態で使用するように作製されるため、220V電源で動作する電動機はスターデルタ起動が可能であるが、380Vや440V電源では、定格電圧が電動機の巻線に印加される条件であるため、このために特別に作製された電動機が必要となるという問題点がある。
【0006】
かかる問題点を解決するために、各電動機に個別のインバータを連結して、各電動機の速度を制御する方式が用いられている。
【0007】
しかし、かかる場合、すべての電動機にインバータが連結されるこからインバータの設定が難しく、特定のインバータの運転時間が長くなるため、全体的なシステムの寿命が短くなるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数のインバータおよび電動機から構成されるシステムにおいて、複数のインバータを一つのインバータを介して制御する、複数のインバータの制御装置およびこれを適用したインバータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例の複数のインバータの制御装置は、センサからフィードバックを受信する第1通信部と、複数のインバータから、複数のインバータに連結された電動機の累積動作時間を含む状態に関する情報をそれぞれ受信し、前記複数のインバータに運転指令および周波数指令をそれぞれ送信する第2通信部と、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以上で、フィードバックが所定水準以下である場合、動作していない電動機のうち動作時間が最も短い電動機を主電動機として決定し、当該電動機に連結されたインバータに運転指令および周波数指令を伝送する制御部と、を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施例において、前記制御部は、起動の際、動作時間が最も短い電動機を主電動機として決定し、当該電動機に連結されたインバータに運転指令および周波数指令を伝送することができる。
【0011】
本発明の一実施例において、前記制御部は、動作中の主電動機は補助電動機に転換し、運転指令および周波数指令を伝送することができる。
【0012】
本発明の一実施例において、前記制御部は、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以下で、フィードバックが所定水準以上である場合、動作中の主電動機に停止命令を伝送し、動作中の補助電動機のうち動作時間が最も長い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたインバータに周波数指令を伝送することができる。
【0013】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記補助電動機が固定周波数で運転するように周波数指令を伝送し、前記主電動機が比例積分微分(PID)運転するように周波数指令を伝送することができる。
【0014】
本発明の一実施例において、前記制御部は、前記主電動機および補助電動機がPID運転するように周波数指令を伝送することができる。
【0015】
また、前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施例のインバータシステムは、フィードバックを提供するセンサと、それぞれ連結される電動機の累積動作時間を含む状態に関する情報をリーダインバータに送信し、前記リーダインバータからそれぞれ運転指令および周波数指令を受信する複数のサーブインバータと、前記センサからフィードバックを受信し、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以上で、フィードバックが所定水準以下である場合、動作していない電動機のうち動作時間が最も短い電動機を主電動機として決定し、当該電動機に連結されたサーブインバータに運転指令および周波数指令を伝送する前記リーダインバータと、を含むことができる。
【0016】
本発明の一実施例において、前記リーダインバータは、起動の際、動作時間が最も短い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたサーブインバータに運転指令および周波数指令を伝送することができる。
【0017】
本発明の一実施例において、前記リーダインバータは、動作中の主電動機は補助電動機に転換し、当該電動機に連結されたサーブインバータに運転指令および周波数指令を伝送することができる。
【0018】
本発明の一実施例において、前記リーダインバータは、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以下で、フィードバックが所定水準以上である場合、前記動作中の主電動機に停止命令を伝送し、動作中の補助電動機のうち動作時間が最も長い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたサーブインバータに周波数指令を伝送することができる。
【発明の効果】
【0019】
前記のような本発明は、センサフィードバックをリーダインバータのみ受信して配線を単純化し、すべてのインバータを連結してリーダインバータが残りのインバータを制御することでシステムの設定が容易となり、全体システムの状態をモニタリングすることが簡単になる効果がある。
【0020】
また、本発明は、リーダインバータにより複数のインバータを順次制御して、水撃作用現象などによるシステムのストレスを除去することができ、特定のインバータに問題が発生しても安定して保持する効果がある。
【0021】
また、本発明は、複数のインバータの運転時間を均等に配分することにより、特定のインバータの運転時間が長くなってシステム全体の寿命が短くなることを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の複数のインバータシステムの構成図である。
図2】従来の複数のインバータシステムの動作シーケンスを説明するためのグラフである。
図3】従来の複数のインバータシステムで発生する問題点を説明するための図である。
図4】本発明の一実施例のインバータシステムを概略的に説明するための構成図である。
図5】本発明の一実施例の制御装置を概略的に説明するための構成図である。
図6】本発明の一実施例の制御部がマルチマスターモードで制御する方式を説明するためのグラフである。
図7】本発明の一実施例の制御部がマルチフォロアモードで制御する方式を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳述する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するためのものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものに理解すべきである。
【0024】
以下、添付の図面を参照して、従来の複数のインバータ制御方式について概略的に説明した後、本発明の一実施例の複数のインバータの制御装置について詳述する。
【0025】
図1は従来の複数のインバータシステムの構成図である。図2は従来の複数のインバータシステムの動作シーケンスを説明するためのグラフである。また、図3は従来の複数のインバータシステムで発生する問題点を説明するための図である。
【0026】
図1のように、流路400に配置される複数の電動機210、220、230を駆動する複数のインバータ110、120、130は、同一のセンサ300からフィードバックを受信し、個別にPID制御を行う。複数のインバータ110、120、130は、それぞれ個別のPID制御を行うことから、システムが起動する際、フィードバックが0である状態ですべての電動機210、220、230が運転を開始する。また、システムの状況に応じてフィードバックが変化すると、各インバータ110、120、130は、個別に設定されたPIDレファレンスによるPID制御を行う。
【0027】
図2を参照すると、起動の際、フィードバックは0であり、第1インバータ〜第3インバータ110、120、130のPIDレファレンスより小さいため、各インバータ110、120、130は、PID制御を開始する。システムの状況に応じてフィードバックが増加すると、フィードバックより小さいPIDレファレンスに設定されたインバータは、電動機を減速または停止させる。このように、各インバータは、他のインバータの状態とは無関係に、自分のPIDレファレンスと入力されるフィードバックのみ確認して連結された電動機のみ制御する。
【0028】
かかる従来のシステムは、すべてのインバータ110、120、130にフィードバックのためにセンサ300を連結しなければならないため配線が複雑となり、起動の際、フィードバックが低い状態ですべてのインバータ110、120、130が同時にオンとなる。そのため、図3のように強い流れエネルギー3Aが閉鎖した弁600に衝突して衝撃エネルギーが発生し、この衝撃により振動が発生3Cする水撃作用(water hammering)現象などによって、システムにストレスが発生する。
【0029】
また、図1のようなシステムは、ポンプ500内のすべてのインバータを個別に設定しなければならないため設定が難しく、特定のインバータに故障が発生する場合、当該インバータの情報を直接確認しなければならないため管理が難しい。また、一旦設定されたパラメータによって個別にインバータを駆動しなければならないため特定のインバータは駆動時間が長くなり、他の特定のインバータの駆動時間は短くなるため、システム全体の寿命が短くなるという問題がある。
【0030】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、他のインバータを制御するリーダインバータ(leader inverter)と、リーダインバータの制御を受けるサーブインバータ(serve inverter)から構成され得る。複数のインバータは、通信ラインにより連結され、リーダインバータが複数のサーブインバータを制御することができる。センサのフィードバックは、リーダインバータのみ受信し、配線を単純化することができ、複数のインバータを順次制御することで水撃作用など、システムに加えられるストレスを除去することができる。また、ユーザは、リーダインバータのみ設定し状態を確認することにより、全体インバータをチェックすることができ、全体インバータの運転時間を均一に調整することができる。
【0031】
図4は本発明の一実施例のインバータシステムを概略的に説明するための構成図である。
【0032】
図面に示されているように、本発明の一実施例のシステムは、管路1に提供されるポンプ2などに適用されるものであり、管路1内に配置される複数の電動機20、21、22と、複数の電動機20、21、22にそれぞれ連結される複数のインバータ10、11、12と、管路1の比例積分微分(PID)フィードバックを受信しリーダインバータに提供するセンサ30と、を含むことができる。
【0033】
本発明の一実施例において、管路1に提供されるポンプ2の例を挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、複数の電動機とそれに連結される複数のインバータが提供されるシステムに本発明が適用され得ることは自明である。
【0034】
また、本発明の一実施例において、3個の電動機とそれに連結される3個のインバータがシステムに含まれることを説明しているが、これに限定されるものではなく、より多いかより少ない数の電動機およびインバータが含まれ得ることは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって自明であると言える。
【0035】
本発明の一実施例において、複数のインバータは、一つのリーダインバータと、残りのサーブインバータとから構成され得る。以下では、第1インバータ10を「リーダインバータ10」とし、残りのインバータである第2および第3インバータ11、12を「サーブインバータ」とする。この際、「第1サーブインバータ11」、「第2サーブインバータ12」のように称する。かかるインバータの区分は、ユーザの設定に応じて変更され得る。サーブインバータが2個以上に構成され得ることは、上述のとおりである。
【0036】
図5は本発明の一実施例の制御装置を概略的に説明するための構成図であり、本発明の一実施例の制御装置は、リーダインバータ10に提供されるものであり、リーダインバータ10のハウジングの内部に提供される中央処理装置(central process unit、CPU)またはマイクロコントローラユニット(micro‐controller unit、MCU)などであり得る。ただし、これは例示的なものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
図面に示されているように、本発明の一実施例の装置は、制御部40と、第1通信部41と、第2通信部42と、貯蔵部43と、を含むことができる。
【0038】
第1通信部41は、センサ30から周期的にまたはリアルタイムでPIDフィードバックを受信することができる。
【0039】
第2通信部42は、制御部40の制御により、周期的にまたはリアルタイムで複数のサーブインバータから状態に関するデータを受信し、周期的にまたはリアルタイムで運転指令および周波数指令を送信することができる。この際、サーブインバータの状態に関するデータは、例えば、当該サーブインバータの故障有無および累積動作時間を含み得る。
【0040】
貯蔵部43は、複数のサーブインバータから受信するデータを制御部40の制御により貯蔵することができる。また、貯蔵部43は、ユーザが、HMI(human‐machine interface)またはインバータローダなどにより設定するパラメータを貯蔵することもできる。
【0041】
制御部40は、本発明の一実施例により、第1通信部41を介してセンサ30から受信するPIDフィードバックを受信し、これにより決定される複数のサーブインバータに制御命令を第2通信部42を介して伝送することができる。
【0042】
また、制御部40は、特定のサーブインバータが故障によって運転を停止した場合、これを運転から排除し、センサ30からPIDフィードバックを受信して、他のサーブインバータを指定し、運転を開始するように制御命令を伝送することができる。すなわち、制御部40は、センサ30からPIDフィードバックを受信し、リーダインバータ10のPIDレファレンスを参照として複数のサーブインバータの運転タイミングを制御することができる。
【0043】
本発明の一実施例において、リーダインバータ10がサーブインバータを制御する方式に応じて、マルチマスターモード(multi‐master mode)と、マルチフォロアモード(multi‐follower mode)とに区分することができ、以下でそれぞれ説明する。
【0044】
[マルチマスターモード]
マルチマスターモードとは、主電動機(main motor)のみPID制御され、運転中の補助電動機(aux motor)はユーザが任意に設定可能な追従周波数(follower frequency)のような固定周波数で運転するモードである。主電動機一つのみPID制御し、残りは固定速度で運転することから、相対的に全体システムに急激な変化(圧力、流量など、システムによる制御量の変化)を発生させず、全体システムのストレスが少ない。
【0045】
図6は本発明の一実施例の制御部がマルチマスターモードで制御する方式を説明するためのグラフである。
【0046】
図面に示されているように、起動の際、フィードバックが予め設定された(すなわち、貯蔵部43に貯蔵された)PIDレファレンスより小さいため、制御部40は、運転時間が最も短い第1電動機20を主電動機として運転を開始することができる。ただし、本発明の一実施例において、リーダインバータ10と連結された第1電動機20が駆動されず、運転時間が最も短い電動機が駆動される。
【0047】
この際、主電動機20の運転速度が設定速度(図6において、開始周波数2)以上である場合にも、管路1のフィードバックが予め設定されたPIDレファレンス未満である場合、システムが要する圧力を生成するために、現在運転中の第1電動機20を補助電動機として動作させ、管理者が設定した固定された追従周波数(follower frequency)で運転するように制御する。また、停止中の電動機のうち運転時間が最も短い電動機を選定して(本発明の一実施例では、第2電動機21とする)、主電動機として動作するようにPID制御命令を第2電動機21に伝送することができる。
【0048】
かかる動作シーケンスは、すべての電動機が運転するまで繰り返すことができる。
【0049】
本発明の一実施例では、第1電動機20、第2電動機21、第3電動機22の順に運転時間が短いことを想定しているが、その他の場合には、運転する電動機の順序は変更され得る。
【0050】
以降、制御部40は、フィードバックが設定されたPIDレファレンスより大きくなる場合、主電動機として運転中の電動機の運転速度を減速し、管理者が予め設定した停止周波数以下であるにもかかわらず、管路1のフィードバックが設定されたPIDレファレンス以上である場合、システムで要する圧力に減少させるために、現在主電動機として動作する電動機を停止させる。これと同時に、補助電動機として運転中の電動機のうち、運転時間が最も長い電動機を主電動機に転換してPID運転するように制御命令を伝送することができる。
【0051】
このように、すべての電動機が停止するまで動作シーケンスを繰り返すことができる。
【0052】
[マルチフォロアモード]
マルチフォロアモードとは、運転中のインバータと連結されている電動機がすべて同一のPID出力周波数で制御されるモードである。すべての電動機がPID運転を行うことになるため、急激なフィードバック変化に迅速に対応することができる。
【0053】
図7は本発明の一実施例の制御部がマルチフォロアモードで制御する方式を説明するためのグラフである。
【0054】
図面に示されているように、起動の際、フィードバックが予め設定された(すなわち、貯蔵部43に貯蔵された)PIDレファレンスより小さいため、制御部40は、運転時間が最も短い第1電動機20を主電動機として運転を開始することができる。ただし、本発明の一実施例において、リーダインバータ10と連結された第1電動機20が駆動されず、運転時間が最も短い電動機が駆動される。
【0055】
この際、主電動機20の運転速度が設定速度(図7において、開始周波数2)以上である場合にも、管路1のフィードバックが予め設定されたPIDレファレンス未満である場合、システムが要する圧力を生成するために、現在運転中の第1電動機20を補助電動機として動作するように制御命令を伝送する。また、停止中の電動機のうち運転時間が最も短い電動機を選定して(本発明の一実施例では、第2電動機21とする)、主電動機として動作するようにPID制御命令を第2電動機21に伝送することができる。
【0056】
かかる動作シーケンスは、すべての電動機が運転するまで繰り返すことができる。
【0057】
本発明の一実施例では、第1電動機20、第2電動機21、第3電動機22の順に運転時間が短いことを想定しているが、その他の場合には、運転する電動機の順序は変更され得る。
【0058】
以降、制御部40は、フィードバックが設定されたPIDレファレンスより大きくなる場合、主電動機として運転中の電動機の運転速度を減速し、管理者が予め設定した停止周波数以下であるにもかかわらず、管路1のフィードバックが設定されたPIDレファレンス以上である場合、システムで要する圧力に減少させるために、現在主電動機として動作する電動機を停止させる。これと同時に、補助電動機として運転中の電動機のうち、運転時間が最も長い電動機を主電動機に転換してPID運転するように制御命令を伝送することができる。
【0059】
このように、すべての電動機が停止するまで動作シーケンスを繰り返すことができる。
【0060】
すなわち、本発明の一実施例において、リーダインバータ10の制御部40は、動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以上で、フィードバックが所定水準以下である場合、動作していない補助電動機のうち最も動作時間が短い電動機を主電動機として決定する。また、主電動機として新たに決定された電動機に連結されたサーブインバータに運転指令および周波数指令を含む制御命令を伝送することができる。
【0061】
また、制御部40は、現在動作中の主電動機の速度がユーザが設定した速度以下で、フィードバックが所定水準以上である場合、現在動作中の主電動機を停止させ、動作中の補助電動機のうち最も動作時間が長い電動機を新たな主電動機として決定し、当該電動機に連結されたサーブインバータに周波数指令を含む制御命令を伝送することができる。
【0062】
かかる本発明は、センサフィードバックをリーダインバータのみ受信して配線を単純化し、すべてのインバータを連結してリーダインバータが残りのインバータを制御することでシステムの設定が容易となり、全体システムの状態をモニタリングすることが簡単になる。
【0063】
また、本発明は、リーダインバータにより複数のインバータを順次制御して、水撃作用現象などによるシステムのストレスを除去することができ、特定のインバータに問題が発生しても安定して保持することができる。
【0064】
また、本発明は、複数のインバータの運転時間を均等に配分することにより、特定のインバータの運転時間が長くなってシステム全体の寿命が短くなることを防止することができる。
【0065】
以上、本発明に係る実施例を説明しているが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形および均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解する。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は、以下の特許請求の範囲により定めるべきである。
【符号の説明】
【0066】
1 管路
2 ポンプ
10、11、12 インバータ
20、21、22 電動機
30 センサ
40 制御部
41、42 通信部
43 貯蔵部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7