【文献】
BELLETTINI et al.,Design and Experimental Results of a 300-kHz Synthetic Aperture Sonar Optimized for Shallow-Water Operations,IEEE Journal of Oceanic Engineering,IEEE,2009年 7月,Vol. 34, No.3,p.285-293
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
海底を撮像するように意図されたソナーシステムであって、アンテナから始まり、水平及び垂直に対して傾斜された第1の方向(d1)及び第2の方向(d2)によって境界を定められた有効な角度セクタ(4)をカバーする音響ビームを前記海底に向けて放射するように意図された少なくとも1つの放射アンテナ(10)を含み、前記第1の方向(d1)が、前記第2の方向と前記水平との間に形成される第2の角度(θ2)の絶対値よりも小さい絶対値を有する前記水平と、第1の角度(θ1)を形成し、
前記第1の角度(θ1)および前記第2の角度(θ2)は、負であり、前記第1の角度(θ1)の絶対値と、前記第2の角度(θ2)の絶対値はπ/2よりも小さく、
前記放射アンテナ(10)が、前記有効な角度セクタの各方向における放射アンテナによって放射される放射エネルギである放射パターンを形成するように構成され、放射エネルギは、前記第1の方向(d1)から前記第2の方向(d2)にかけて減少する、ソナーシステムにおいて、
前記放射パターンは、前記第1の方向(d1)においてエネルギ放射の絶対最大値を有し、
前記絶対最大値を基準としたエネルギ減衰は、前記第1の方向(d)と前記第2の方向(d2)との間に位置する第3の方向(d3)において3dBに等しく、
前記第2の方向(d2)と前記第3の方向との間の前記有効な角度セクタの一部の各方向において、前記絶対最大値を基準とした減衰DE(θ)が規定され、
−DE(θ)=40log(sinθ1/sinθ)であり、ここで、θは、前記有効な角度セクタの前記一部の各方向と前記水平との間に形成された角度であり、θ1は、第1の角度であり、
前記有効な角度セクタの前記一部の各方向において、前記エネルギ放射が、前記絶対最大値を基準にしたエネルギ減衰を有し、前記エネルギ減衰が、DE(θ)以上であり、かつDE(θ)+15dB以下であり、DE(θ)が少なくとも3dBであるように、前記放射アンテナが構成されることを特徴とする、ソナーシステム。
前記放射面が、前記第1の方向および前記第2の方向を含む前記平面に垂直な長手方向軸全体にわたって一定の形状を有する、請求項3または4に記載のソナーシステム。
前記第1の方向(d1)が、前記ソナーシステムの最大レンジの方向であり、及び前記第2の方向(d2)が、前記ソナーシステムの最小レンジの方向である、請求項1から11のいずれか一項に記載のソナーシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、これらの欠点の少なくとも1つを緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明の主題は、海底を撮像するように意図されたソナーシステムであって、第1の方向及び第2の方向によって境界を定められた有効な角度セクタをカバーする音響ビームを放射するように意図された少なくとも1つの放射アンテナを含み、アンテナと海底との間の距離が、第2の方向よりも第1の方向において一層大きいソナーシステムである。本発明によれば、アンテナは、放射パターンであって、その最大値が、ほぼ第1の方向に位置し、第1の方向から第2の方向へ、且つ第2の方向と反対の向きに第1の方向から減少し、エネルギ減衰が、第2の方向の方よりも、第2の方向と反対の向きにおいて一層速い放射パターンを形成するように構成される。
【0010】
かかるソナーシステムは、先行技術のソナーより大きい自律性を示す。何故なら、それが、海底を撮像するために放射アンテナによって送り出される音響エネルギを低減できるようにするからである。アンテナによって送り出される音響エネルギが、アンテナに供給するために必要な電力と直接関係するため、本発明は、わずかなエネルギしか消費しないソナーシステムを作製できるようにする。放射アンテナが、自律型潜水艇によって搬送される場合に、自律型潜水艇の自律性は、より大きくなる。
【0011】
更に、アンテナのサイズが、アンテナが放射しなければならない音響エネルギと直接関係するため、本発明によるソナーは、先行技術のアンテナより小さいサイズの放射アンテナを要する。換言すると、本発明によるソナーシステムは、その性能を低下させずに、アンテナのサイズを縮小できるようにする。従って、キャリア上へのソナーシステムの統合が促進される。
【0012】
これらの利点は、音波が伝搬する媒体(例えば水)が、この音波を減衰させるという事実と関係する。ここで、音波は、海底に達するために、第2の方向よりも第1の方向において、より長い経路を移動する。従って、第1の方向で海底を撮像するのに必要な音響エネルギは、第2の方向で海底を撮像するのに必要なエネルギよりもかなり大きい。
【0013】
先行技術のシステムにおいて、放射アンテナは、第1及び第2の方向間で最大エネルギを放射した。従って、第1の方向に十分な音響エネルギを送り出すために、余分なエネルギが他の方向に送り出された。本発明による放射アンテナの構成は、第1の方向に最大エネルギを送り出すことによって、有効セクタの他の方向に送り出される余分なエネルギを制限することを可能にする。エネルギの最大値は、ちょうど要求が最大である所に、即ち最大レンジの方向に送り出される。
【0014】
更に、有効な角度セクタの外側に、特に海底を撮像する役割を果たさない第1の方向を超えて送り出される音響エネルギは、失われる音響エネルギである。アンテナが、第1及び第2の方向間よりも、第1の方向から、且つ第2の方向と反対の向きにおいて一層速く減少する放射パターンを生成するような方法でアンテナを構成するという事実は、放射される音響エネルギを制限できるようにし、且つエネルギの不必要な消費を回避する。
【0015】
最後に、水平方向を超えて放射される音響エネルギは、海面で反射し、それによって、ソナーシステムにより得られる画像にノイズを導入する。本発明による放射パターンは、ソナー画像におけるノイズを制限し、従って特に浅海域において良質のソナー画像を提供できるようにする。
【0016】
有利には、放射パターンは、第1の方向及び第2の方向間に位置する第3の方向と第2の方向との間に位置する各方向用に、第1の方向に放射されるエネルギに関するエネルギ減衰が、第1の方向で理想的な海底を撮像するのに必要な音響エネルギを基準にして、この各方向において平坦で理想的な海底を撮像するのに必要な音響エネルギの減衰とほぼ等しいようにされる。
【0017】
有利には、第3の方向は、減衰が3dBである方向であり、第3の方向と第1の方向との間に形成される角度は、3度未満である。
【0018】
有利には、放射アンテナは、前記放射パターンを形成するために、可変曲率半径を含む放射面を含む。
【0019】
有利には、放射面は、湾曲される。
【0020】
有利には、放射面の曲率半径は、理想的な海底に垂直な方向に沿って、放射面の検討ポイントを理想的な海底から分離する距離と共に増加する。
【0021】
有利には、アンテナの長手方向軸に垂直なアンテナの断面において放射面によって形成される湾曲は、単一の変換器によって形成される。
【0022】
有利には、アンテナは、その長手方向軸に垂直なアンテナの断面に湾曲を形成する放射面を含み、前記湾曲は、複数の変換器によって形成され、前記アンテナは、前記放射パターンを形成するために、それぞれの位相シフト及び/又は振幅変調を有する全く同一の信号をそれぞれの変換器に供給する電力供給装置を含む。
【0023】
有利には、放射面は、平面又は円筒状である。
【0024】
有利には、前記放射アンテナの照準は、方位の点で
操縦できる。
【0025】
有利には、システムは、キャリアを含み、放射アンテナは、キャリア上に設置される。
【0026】
有利には、放射アンテナは、その放射面がキャリアの移動方向と平行な軸に沿って長手方向に延びるような方法で配置される。
【0027】
有利には、システムは、キャリアの左舷及び右舷に固定された2つの放射アンテナを含む。
【0028】
有利には、第1の方向は、ソナーシステムの最大レンジの方向であり、及び第2の方向は、ソナーシステムの最小レンジの方向である。
【0029】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として提供され、且つ添付の図面に関連する後続の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【0030】
図を通して、同じ要素は、同じ参照符号を付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び2は、海底5を撮像するように意図されたソナーシステムを表す。この装置は、海面4の下を航行する潜水キャリア2上に実装された2つの側方監視ソナー1、1’を含む。キャリア2は、ケーブル3aにより水上艦艇3によって曳航された潜水艇である。変形形態として、キャリアは、自律型潜水艇又は水上艦艇の水中の底部とすることができる。ソナーシステムはまた、キャリアによって曳航された少なくとも1つの放射アンテナを含むことができる。キャリア2は、進行方向xに沿って航行するように構成される。それは、好ましくは、海底5に対して一定の高さで航行するように意図される。
【0033】
ソナーシステムは、放射アンテナ10、10’をそれぞれ含む2つのソナー1、1’を含む。潜水艇は、それが海底に対して一定の高さで航行する場合に、放射アンテナ10、10’が、海底に対して一定の高さhに位置するような方法で、有利に構成される。
【0034】
ソナーは、キャリアの左舷及び右舷に配置される。各放射アンテナは、海底5の方向に音響ビームを放射するように構成され配置される。より正確には、各放射アンテナ10、10’は、第1の方向d1、d1’、及び対応する放射アンテナから始まり且つ海底に向けられた第2の方向d2、d2’によって境界を定めされた開口角αを示す有効な角度セクタ4、4’をカバーするように構成され配置される。換言すると、各
放射アンテナは、それに割り当てられた有効な角度セクタをカバーする、即ち、直線d1、d2又はd1’及びd2’によって境界を定められた少なくとも開口角α全体にわたって広がる音響ビームを放射するように構成される。
放射アンテナは、キャリア上に配置され、且つ有効なゾーンにおけるビームが、海底5の方へ向けられるような方法で任意選択的に構成される。
【0035】
有利には、方向d1、d2及びd1’、d2’は、
放射アンテナ及び理想的な海底をリンクする方向を基準にして傾斜され、この方向は、理想的な海底に垂直である。方向d1、d2及びd1’、d2’は、この方向及び理想的な海底によって境界を定められた4分の1の平面の中に位置している。
【0036】
有効な角度セクタ4、4’は、ソナー1、1’によって撮像される海底ゾーンの境界を定める。方向d1、d1’において海底から
放射アンテナ10、10’を分離する第1の距離D1、D1’は、第2の方向d2、d2’において
放射アンテナを分離する第2の距離D2、D2’より重要である。
【0037】
第1の距離D1、D1’は、対応するソナー1、1’の最大レンジである。有利には、これは、ソナーが海底を撮像できるために、海底から
放射アンテナを分離しなければならない最大距離に対応する、検討される任務のためのソナーの最大レンジ又はソナーの検出レンジである。換言すると、第1の方向d1、d1’は、ソナーの最大レンジの方向である。これは、海底とソナーとの間の距離が、ソナーによって撮像される有効セクタの最大値である方向である。第2の方向d2、d2’は、ソナーの最小レンジの方向である。これは、海底からソナーを分離する距離が、有効セクタにおける最小値である方向である。距離D2、D2’は、ソナーの最小レンジである。要約すると、方向d1及びd2及びそれぞれd1’、d2’は、ソナーのそれぞれの有効セクタ、即ちソナーによって実際に撮像されるセクタの境界を定める。
【0038】
有効セクタの開口角αは、典型的には10°〜90°である。従来的には、側方監視ソナーは、方位の点で非常に微細なビームを放射する。換言すると、方位の点での開口は、高さの点での開口よりも小さい。
【0039】
図1及び2の実施形態において、方向d1及びd2(並びにd1’、d2’)は、キャリア2の進行方向xに垂直な平面(y、z)に位置する。方向yは、進行方向xに垂直な水平方向である。方向zは、垂直方向である。垂直方向は、海底5によって形成される水平面に垂直な方向である。
【0040】
第1の角度θ1及び第2の角度θ2は、
放射アンテナ10を通過する水平面Pとそれぞれの方向d1及びd2との間に形成される角度である。それらは、仰角と呼ばれる。これらの角度は、有効セクタが所定のスワスFをカバーするような方法で、海底に対するキャリア2の所与の高さh用に定義される。スワスFは、海底5上で方向d1及びd2を分離する水平距離である。この距離は、図の実施形態において、キャリア2の進行方向xに対して垂直に計算される。これらの角度θ1及びθ2は、非ゼロであり負である。θ1の絶対値は、θ2の絶対値より小さい。
【0041】
以下では本文において一層明確にするために、本発明者らは、ここで第2の
放射アンテナ10’ではなく、第1の
放射アンテナ10のみを検討する。第2の
放射アンテナの放射パターンは、第1の
放射アンテナ10の放射パターンと同じであるが、しかし方向d1’及びd2’に対して定義される。
【0042】
図3は、
放射アンテナ10の例示的な放射パターンを表す。ここで、放射パターンが変化する際に従う角度は、仰角θである。
【0043】
横軸は、
放射アンテナを通過する、理想的な海底と平行な水平面Pと、
放射アンテナ10から始まる方向との間の仰角θの軸を表す。方向d1及びd2が出発するポイントOは、
放射アンテナ10の放射又は放射性面の背後に位置するポイントである。水平面Pは、このポイントを通過する。方向の仰角θは、それが、水平面Pの下に位置するポイントの方へ向けられる場合に、負で計算される。長手方向軸は、指向性パターンの最高値に対する、デシベル(dB)単位の減衰DEに対応する。
【0044】
本発明の本質的な特徴によれば、放射アンテナ10は、最大値Mが、第1の方向d1に、即ち、第1の仰角θ1のレベルにほぼ位置し、且つ第1の方向d1から第2の方向d2へ、及び第2の方向d2と反対の向きで第1の方向から減少する放射パターンを形成するように、構成され配置される。このパターンは、減衰が0dBの単一の最大値を含む。換言すると、
放射アンテナは、一方向のみに最大エネルギを放射する。それは、最大値である。
【0045】
この方向は、ほぼ方向d1である。ほぼとは、
放射アンテナが最大エネルギを放射する方向が、間隔[θ1−0.5°;θ1+0.5°]に含まれるのに等しい仰角を有することを意味する。
【0046】
放射パターンは、方向d1から方向d2へ、且つ方向d1から水平へと、これらの2つの向きでほぼ単調に減少する平均曲線M1、M2の近くを往復する。換言すると、絶対最大値Mの両側における放射パターンの極大値をリンクするエンベロープE1、E2は、ほぼ単調に減少する曲線である。
【0047】
エネルギ減衰は、第1の方向d1から、第2の方向d2の方へよりも第2の方向d2の反対の向きでより速い。換言すると、上記で定義された平均曲線又はエンベロープの平均傾斜は、第2の方向d2の側では、第1の方向d1の反対側ほど大きくない。
【0048】
本発明者らは、この特徴が、省エネルギの達成及びソナー画像の劣化の制限を可能にすることを以前に理解した。それは、実際に、有効な角度セクタで放射される音響エネルギを最大化し、且つこのセクタの外側で、特により高い仰角の方へ放射される音響エネルギを最小化する。
【0049】
有利には、
放射アンテナの放射パターンは、次のようにされる。即ち、第2のd2と、d1及びd2間に位置し且つ減衰が3dBにほぼ等しい方向d3との間に位置する各方向に対して、最大放射の方向d1に送り出されたエネルギ最大値Mに対するエネルギ減衰が、第1の方向d1における理想的な海底を撮像するのに必要な音響エネルギを基準にして、この各方向における平坦な理想的海底を撮像するのに必要な音響エネルギの減衰とほぼ等しいようにされる。減衰がd3に沿って3dBとほぼ等しいという事実によって、d3が、(d1とd2との間の)d1に近い方向であって、d3では減衰が3dBと等しいことが意味され、さもなければ、d3は、(d1とd2との間の)方向であって、そこでは第1の平均曲線M1が3dBと等しい方向であり得ることが意味される。
【0050】
これは、放射アンテナが、第1の方向d1に沿って海底を撮像するのに必要且つ十分であるエネルギとほぼ等しい音響エネルギを第1の方向d1に放射する有利な実施形態において、方向d3及びd2間に位置する各方向に放射される音響エネルギが、この方向に沿って海底を撮像するのに必要且つ十分であるエネルギとほぼ等しいことを意味する。
【0051】
初期距離d
0において必要なエネルギに対して、観察距離d、即ち、放射アンテナ及び海底を分離する距離の関数として海底を撮像するのに必要なエネルギは、以下の対数法則に従い、第1の近似として変化する。
【数1】
【0052】
理想的な海底は、水平面Pとほぼ平行であり、従って、放射パターンは、方向d3及びd2間、即ち仰角θ3及びθ2間に位置する各方向の仰角θに対して、以下の式とほぼ等しい値を示す。
【数2】
【0053】
この構成は、有効セクタに送り出されるエネルギの点で最適である。何故なら、理想的な海底上に送り出されるエネルギが、第3の方向と第2の方向との間に位置する各方向において、理想的な海底を撮像するのに必要且つ十分であるエネルギそのものであるからである。換言すると、
放射アンテナによって放射されたビームを遮る理想的な海底の各ポイントにおいて、エネルギ減衰は、放射パターンの形状によって正確に補償されるからである。
【0054】
d3とd2との間の各方向
において、即ちθ3とθ2との間に位置する各仰角
において、エネルギ減衰が、方向d1において理想的な海底を撮像するのに必要な音響エネルギを基準にして、この各方向において平坦で理想的な海底を撮像するのに必要な音響エネルギの減衰をほぼ補償するように、放射パターンがなされるという事実は、
− θ3とθ2との間に位置する放射パターンの第1のゾーンに含まれる各方向
において(式2によって定義される減衰は、3dB(デシベル)
以上である)、放射パターンの減衰は、式2によって定義される減衰
以上であり、且つ式2によって定義される減衰より
も最大で15dB大きいことを意味すると理解される。
【0055】
更に、θ3とθ1との間に形成される角度は、3度未満である。
【0056】
有利には、方向d1に
ついて、第1の中間角度θA
以下または第2の中間角度θB
以上になると、減衰は、少なくとも15dBと等しい。角度θAの方向は、方向d1
を基準にして、方向d2
の側に位置し、角度θBの方向は、方向d1を基準にして、方向d2
とは反対側に位置している。方向d1
を基準にしてθA及びθBを超えて位置する角度は、d1から始まり、d1からd2の向きに進む場合には、θAを超えて位置する角度
であり、
d1から始まり、d2からd1の向きに進む場合に
は、θBを超えて位置する角度である。θBとθ1との間の差の絶対値は、θAとθ1との間の差の絶対値未満であり、好ましくは、θ2とθ1との間の絶対値未満である。
【0057】
θ
1を基準にしてθ
2とは反対側に位置する、且つ減衰がほぼ3dBと等しい第3の中間角度θCが定義される。θCとθ1との間の差の絶対値は、θ3とθ1との間の差の絶対値未満である。
【0058】
図4の例に表された第1の実施形態において、所望の放射パターンは、曲率半径が可変である放射面6を含む放射アンテナ10によって得られる。アンテナの放射面の曲率は、所望の放射パターンを得るために、当業者によって調整される。放射面は、湾曲部分を分離する鋭角を示しても良い。好ましくは、
図4で認識できるように、放射面6は、湾曲面である。湾曲面によって、たわまされた表面、即ち、角を形成せずに曲率半径が変化する表面が意味される。角によって、幾つかの平面の交差により形成される形状が意味される。換言すると、湾曲面は、いかなる凸角も凹角も含まず、即ち、それには角点がない。この種の面は、作製するのがより簡単である。
【0059】
放射アンテナに結ばれた直交フレーム(x’、y’、z’)が、定義される。軸x’は、長手方向軸、即ち、それに沿って放射面が長手方向に延びる長手方向軸である。フレームの原点Oは、方向d1及びd2が出発する基点となる表面の放射方向において放射面の背後に配置される。
放射アンテナは、平面x’、y’が、海底と平行な平面を形成するように意図された平面であって、その平面に対して仰角が定義される平面であると考える場合に、且つ平面y’、z’が、方向d1及びd2が定義される平面であるような方法で、
放射アンテナに結合されるフレームO、x’、y’、z’において構成される。d1の仰角は、d2の仰角より大きい。
放射アンテナの曲率は、角度θ1及びθ2を定義する所定の任務用に定義される。
【0060】
放射アンテナは、以後、平面x’、y’が、海面5と平行であるような方法で、且つ平面x’、z’が、方向d1及びd2を定義しようとする平面であるような方法で、キャリアに実装される。
図1の実施形態において、
放射アンテナは、軸x’が、軸xと平行であるような方法で、且つ軸y’及びz’が、軸y及び軸zと平行であるような方法で配置される。
【0061】
放射面6は、可変曲率を含むプロファイルを示す。換言すると、断面において放射面によって形成される湾曲は、可変曲率を示す。換言すると、曲率半径は、この湾曲上にある曲線横座標に従って変化する。
【0062】
放射アンテナ10は、放射面6のプロファイルの曲率半径が、d1からd2への向きで放射面を移動させる場合に増加するような方法で、構成され配置される。従って、放射面6のプロファイルの曲率半径は、プロファイル上の検討ポイントの仰角と共に、即ち、放射面の検討ポイントの曲線横座標における放射面のポイントの仰角と共に増加する。地球基準座標系における検討ポイントの高さは、検討ポイントの仰角として変化する。換言すると、より一般的に、
放射アンテナは、その放射面の曲率半径が、理想的な海底に垂直な方向において、
放射アンテナの検討ポイントを理想的な海底から分離する距離と共に増加するような方法で、配置され構成される。従って、
放射アンテナの曲率半径は、近い海底に対応する方向よりも、遠方の海底に対応する放射にとって一層大きい。
【0063】
図4の実施形態において、
放射アンテナは、
放射アンテナの長さ全体にわたって均一なプロファイルを示す。変形形態として、
放射アンテナのプロファイルは、
放射アンテナの長手方向軸に沿って変化する。
【0064】
図4に表された例において、放射面6は、単一の変換器からなる。換言すると、放射面のプロファイルによって形成される湾曲は、単一の変換器に属する。
【0065】
図5は、平面y’、z’における放射面のプロファイルを表す。放射面が、湾曲していること、この平面において曲率半径が可変であること、及びそれが軸z’に沿って増加することが実際に分かる。
【0066】
図6に表されている第2の実施形態において、放射アンテナ110は、所定の形状の放射面160を示す。この
放射アンテナは、それが、単一の変換器又は同じ信号を供給される複数の変換器で形成される場合に、所望の指向性パターンを得ることが可能ではないであろう。ここで、
放射アンテナ110は平面であり、換言すると、その放射面160は平面である。変形形態として、その放射面は、円筒状とすることが可能であり、又は或る他の形状を呈しても良い。
【0067】
放射アンテナの長手方向軸に垂直な平面における
放射アンテナの断面において、放射面160によって形成される湾曲は、複数の変換器180によって形成される。換言すると、
放射アンテナのプロファイルは、複数の変換器180によって形成される湾曲である。この湾曲は、平面アンテナの場合に直線であり、円筒アンテナの場合に円の一部又は円である。これらの変換器180は、軸z’に沿って列Cを形成する。
【0068】
本発明によれば、変換器の列の変換器180は、電力供給装置190によって供給される。この電力供給装置190は、
放射アンテナ110が、前に定義されたような所望の放射パターンを示すような方法で選択されたそれぞれの遅延及び/又は振幅変調を有する全く同一の信号を変換器180に供給するように構成される。換言すると、遅延及び/又は振幅変調は、
放射アンテナ110が、前に示されたように湾曲アンテナと同一の放射パターンを示すような方法で、選択される。平面又は円筒アンテナは、第1の実施形態に従って可変である曲率を備えた
放射アンテナより作製するのがより簡単である。
【0069】
有利には、アンテナ照準は、方位の点で、即ち方向d1及びd2によって形成される平面に垂直な平面において、操縦できる。この目的のために、第1の実施形態用にせよ第2の実施形態用にせよ、
放射アンテナは、方向d1及びd2によって形成される平面に垂直な方向において、即ち
放射アンテナの長手方向において分配される少なくとも1つの変換器の複数の列を含み、電力供給装置は、方向d1及びd2によって形成される平面に垂直な方向における変換器の列の位置に依存して、他のそれぞれの位相シフト及び/又は他の振幅変調を有する信号を変換器の列を供給するように構成される。
【0070】
図7は、第1の実施形態によるこの種の
放射アンテナの例を表す。
放射アンテナ100は、方向x’に分配される変換器80の複数の列Ciを含む。これらの変換器80は、それぞれ、方向z’にi=1〜5を備えた列Ciを形成する。更に、
放射アンテナは、方位の点で所与の照準方向を得るように選択されたそれぞれの遅延及び/又は振幅変調を有する全く同一の信号から生じる単一の信号又はそれぞれの信号をこれらの変換器80に供給するように構成された電力供給装置90を含む。この変形形態において、放射面のプロファイルによって形成される湾曲は、単一の変換器に属する。換言すると、放射面によって形成される湾曲は、
放射アンテナの長手方向軸に垂直な
放射アンテナの断面において、単一の変換器によって形成される。第1の実施形態の変形形態において、列Cは、全く同じ信号を供給される複数の変換器からなることが可能である。可変曲率を備えた
放射アンテナは、それらが、変換器の列又は列を形成する単一の変換器に供給するために1つの電力供給装置のみを必要とするという意味で、経済的である。所望の放射パターンを形成するための、単一信号によるこれらの変換器の制御又は単一の変換器の制御は、あまり複雑でなく有効である。
【0071】
第2の実施形態による例示的な
放射アンテナが、
図8に表されている。この実施形態において、
放射アンテナ1000は、方向x’において分配される、変換器800のi=1〜8を備えた複数の列Ciを含む平面放射
面600を示す。
【0072】
前に説明したソナーシステムは、幾つかの放射アンテナを含むが、ただ1つの放射アンテナを含むことが可能である。
【0073】
図1及び2のソナーシステムにおいて、
放射アンテナは、放射面6が、キャリアの移動方向と平行に延びるような方法で配置される。これらは、側方監視ソナーである。変形形態として、ソナーシステムは、キャリアの進行方向に垂直な放射面を含む少なくとも1つの放射アンテナを含む。その場合には、これは、前方監視ソナーである。この場合に、方向d1及びd2によって形成される平面は、ソナーシステムが含む放射アンテナの配置における修正を伴う平面(x、z)である。次に、
放射アンテナは、その長手方向軸x’が軸yと平行であり、軸z’が軸zと平行であり、且つ軸y’が軸xと平行であるような方法で有利に配置される。
【0074】
本発明はまた、キャリア及び本発明による放射アンテナを含むソナーシステムに関する。