【文献】
鈴木徳祥 他,複数メディア同時受信方式の検討,電子情報通信学会2002年総合大会講演論文集 通信1,2002年 3月 7日,p.862
【文献】
Thomas Gebauer, Heintz G. Goeckler,Channel-Individual Adaptive Beamforming for Mobile Satellite Communications,IEEE Journal on Selected Areas in Communications,1995年 2月,Vol.13, No.2,pp.439-448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デジタルビーム形成器は、前記複数のコンポーネント信号の位相および振幅のうち少なくとも1つを調節するための複数のアジャスタを有し、各アジャスタは、ビーム形成ウェイトおよび補償ウェイトに対応するそれぞれのコンポーネント信号にウェイトを適用し、前記補償ウェイトは、前記処理装置において発生する位相および振幅の歪のうち少なくとも1つを、同じビームについて複数の他のコンポーネント信号に対して補償するように選択される、請求項2に記載の装置。
前記補償手段は、前記処理装置における前記ビーム形成器とは別々に提供され、前記補償手段は、前記複数のコンポーネント信号の位相および振幅のうち少なくとも1つを調節するための複数のアジャスタを有し、各アジャスタは、前記処理装置において発生する位相および振幅の歪のうち少なくとも1つを、同じビームについて複数の他のコンポーネント信号に対して補償するように選択されたそれぞれのコンポーネント信号に補償ウェイトを適用する、請求項1に記載の装置。
前記補償ウェイトは複素数であり、複数の前記アジャスタは、虚数乗法を実行することによって、それらの複数のそれぞれのコンポーネント信号を調節する、請求項3または4に記載の装置。
前記補償手段は、前記デマルチプレクサにおける位相歪を補償し、コンポーネント信号が前記デマルチプレクサにおいてダウンコンバートされる中間周波数帯域に基づいて決定される補償を更に適用する、請求項6に記載の装置。
前記補償手段は、前記アナログ・デジタル変換器において生成される位相歪を補償し、前記補償手段は、更に、前記複数のアナログ・デジタル変換器のうち複数の他のアナログ・デジタル変換器の複数のサンプリングクロックの複数のクロックエッジのタイミングに対する、前記アナログ・デジタル変換器のサンプリングクロックのクロックエッジのタイミングに基づいて決定される補償を適用する、請求項6または7に記載の装置。
前記補償手段は、前記マルチプレクサによって位相歪を補償し、コンポーネント信号が前記マルチプレクサにおいてアップコンバートされる中間周波数帯域に基づいて決定される補償を更に適用する、請求項9に記載の装置。
前記補償手段は、前記デジタル・アナログ変換器において生成される位相歪を補償し、前記補償手段は、前記複数のデジタル・アナログ変換器の複数の他のデジタル・アナログ変換器の複数のサンプリングクロックの複数のクロックエッジのタイミングに対し、前記デジタル・アナログ変換器のサンプリングクロックのクロックエッジのタイミングに基づいて決定される補償を更に適用する、請求項9または10に記載の装置。
前記方法は、前記コンポジット信号をアナログからデジタル形式に変換する段階、および複数の前記コンポーネント信号をデジタル方式で重み付けする前に前記デジタル信号を複数の前記コンポーネント信号へと逆多重化する段階を備え、
アンテナ素子信号のグループ内の複数の異なるアンテナ素子信号を複数の異なる中間周波数帯域に周波数変換する段階と、
アナログからデジタル形式に変換される前記コンポジット信号を取得するべく、前記複数の異なる中間周波数帯域における複数の前記アンテナ素子信号を合成する段階と、を更に備える、請求項12または13に記載の方法。
複数のデジタル方式で重み付されたコンポーネント信号を前記コンポジット信号へと多重化する段階および前記コンポジット信号をデジタルからアナログ形式に変換する段階を備え、
前記コンポジット信号に含まれる前記多数のアンテナ素子信号は、複数の異なる中間周波数帯域であり、
前記デジタルからアナログ変換された信号を前記複数の異なる中間周波数帯域における前記デジタルからアナログ変換された信号において存在する複数のアンテナ素子信号へと分割する段階と、
複数の前記アンテナ素子信号の各1つを、前記中間周波数帯域から前記複数のアンテナ素子信号のうち前記1つがそれぞれのアンテナ素子によって送信される周波数に周波数変換する段階と、を更に備える、請求項12または13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、衛星通信システム1は、ある領域において複数の通信スポットビーム3を生成するように構成された衛星2を備えることが示されている。衛星2は、グローバルなエリアに及ぶ受信可能範囲を提供する静止衛星であってよい。衛星2は、複数のビーム3の受信可能範囲エリアに配置された複数のユーザデバイス4と通信してよい。衛星2は、複数の地上局5と更に通信し、複数のゲートウェイおよび複数の制御局を提供してよい。衛星2は、衛星2を操作するために上記複数の地上局5から複数の制御信号を受信してよい。衛星2は、上記複数の通信ビーム3において送信されるべき情報を更に受信してよく、または上記複数の情報ビーム3で受信された情報を複数の地上局5へ送信してよい。複数の通信ビーム3は、複数のビーム形成技術を用いて生成されてよい。複数の異なる地上局は、複数の異なるビームに関与してよい。
【0026】
複数の通信ビームを受信し送信するための受信および送信モジュールが、これから
図2および
図3に関して記載されるであろう。
図2を参照し、受信モジュール6は、アップリンク(uplink)において複数の信号を受信するための2次元マトリクスにおいて配置された複数のアンテナ素子8を有する受信位相配列アンテナ7を備える。明確にするため、9個のアンテナ素子のみが
図2に示されるが、アンテナ7は、多数の素子を有してよいことは、理解されるであろう。アンテナは、位相直接放射配列(DRA)または画像化放射配列(IRA)であってよい。受信モジュールは、複数の増幅器9、周波数変換器10、コンバイナ11、アナログ・デジタル変換器(ADC)12および周波数デマルチプレクサ13を有する処理装置を更に備える。加えて、受信モジュール6は、ビーム形成器14を有する。
【0027】
各アンテナ素子8は、複数の通信周波数チャネルのセットに及ぶ1または複数のキャリアに対応する複数のコンポーネント信号を有する信号を受信する。複数のキャリアの複数の異なるコンポーネントが、複数の異なるアンテナ素子によって受信される。複数の増幅器9は、複数の受信されたアンテナ素子信号を増幅させるための複数の低ノイズ増幅器(LNA)を有してよい。
【0028】
各増幅信号が、次に、複数の増幅信号をダウンコンバートするためのそれぞれの周波数変換器10に対して提供される。複数の周波数変換器は、複数のグループにグループ化され、各グループは、その独自のコンバイナ11およびADC12に関連する。
図2において、各ブロードバンドADC12は、3つの別個のアンテナ素子について複数のアンテナ素子信号を処理する。しかしながら、これは、単に例であって、各ADC12によってデジタル化されたアンテナ素子信号の数は、実装に依存することは理解されるであろう。それぞれの周波数変換器10は、その複数の受信した信号を、同じグループの複数の他の周波数変換器の複数の出力信号の周波数を考慮して変換する。各周波数変換器10は、同じ周波数で信号を受信するが、それら信号は、複数の重複しない中間周波数帯域において複数の周波数変換器から出力される。言い換えれば、複数の周波数変換器のグループによって処理される複数の信号は、互いに周波数においてスタックされる。その結果として、異なる周波数の局所振動信号が、グループ内の各周波数変換器10に提供される。複数の積層された周波数チャネルは、次に、コンバイナ11において合計され、デジタル領域への変換のためのコンポジットブロードバンド信号としてADC12に提供される。
【0029】
その結果として、アンテナ素子信号毎に1つのADCを使用する代わりに、より少ない数のブロードバンドADC12が使用され得、各ADCが多数のアンテナ素子信号を同時に変換する。各ADC12の出力は、変換された信号を多数のコンポーネント信号へと分離するデマルチプレクサ13に提供される。各コンポーネント信号は、受信されたアンテナ素子信号において異なる周波数通信チャネルに対応してよい。言い換えれば、通信周波数チャネルのセットに対応するコンポーネント信号のセットが、アンテナ素子8毎に提供される。デマルチプレクサは、また、複数のコンポーネント信号の周波数を、複数の信号がビーム形成器14において処理され得るベースバンドまたは他の共通周波数へと変換する。デマルチプレクサ13は、多相フィルタを有してよい。しかしながら、これは単に例であって、チャネル毎のフィルタおよび多段階ハーフバンクフィルタに基づくもの等、任意の適切なデマルチプレクサが使用され得ることが、明確に理解されるであろう。
【0030】
複数の異なる受信アンテナ素子からの同じ通信周波数チャネルに対応する複数の逆多重化コンポーネント信号の複数のセットが、ルーティングと複数のビームを形成する複数のビームウェイトの適用とのためにビーム形成器14に提供される。いくつかの実施形態において、2またはそれより多くのビームが、同じ周波数チャネル(周波数再利用)を共有してよく、そのような複数の実施形態において、周波数再使用チャンネル信号は、ビーム形成位相および/または振幅アジャスタ33が複数の異なるビームに関する複数のコンポーネント信号を調節してよいように、ビーム毎に複製され得る。各ビームについて複数の重み付けされたコンポーネント信号が、次に、合成多相フィルタの前に合計される。複数のビーム信号が、複数の重み付けされたコンポーネント信号から形成された場合、それらは、地上局送信モジュールを使用して地上局5に送信されてよい。例えば、地上局との通信用の送信アンテナは、ビームアンテナ毎に単一のフィードを含んでよい。代替的に、複数の異なる受信アンテナ素子からの同じ通信周波数チャネルに対応する複数の逆多重化コンポーネント信号の複数のセットは、複数のビームを形成する複数のビームウェイトの適用が実行される地上の機器に転送され得る。
【0031】
複数の信号をルーティングし、複数のビームを形成する複数のビームウェイトを適用することに加えて、ビーム形成器は、また、以下においてより詳細に記載されるように、位相および振幅の歪を複数のコンポーネント信号に適用してよく、アンテナ素子8とビーム形成器14との間の複数の経路において導入される同じ通信周波数チャネルおよび同じビームに対応する複数のコンポーネント信号間の位相および/または振幅における任意の相対歪を補償してよい。
図3を参照し、複数のユーザデバイス用の複数の通信ビーム3を生成するための衛星2の送信モジュール15は、ビーム形成器16、および周波数マルチプレクサ17、デジタル・アナログ変換器(DAC)18、スプリッタ19、周波数変換器20および増幅器21を有する処理装置を備える。送信モジュール15は、また、複数のダウンリンク信号を送信するために2次元マトリクスをなす複数のアンテナ素子23を有する送信位相配列アンテナ22も備える。明確にするため、9個のアンテナ素子のみが
図3に示されるが、アンテナ22は多数の素子23を有してよいことは理解されるであろう。アンテナは、位相直接放射配列または画像化放射配列であってよい。ベースバンドまたは複数の異なるビームに対応する他の共通周波数を中心とした1または複数の信号が、ビーム形成器16に提供される。これらの信号は、1または複数のアンテナ素子から複数の信号を受信し、複数の受信された信号をアナログ領域からデジタル領域に変換し、複数のコンポーネント信号をベースバンドまたは他の共通周波数に周波数逆多重化しダウンコンバートする、
図2に示されるもの等の機器によって提供され得る。複数のコンポーネント信号は、例えば、ビームアンテナ毎に単一のフィードを有する地上局受信モジュールを使用して複数の地上局から受信されていてもよい。ビーム形成器16は、ベースバンドまたは他の共通周波数で複数の受信されたコンポーネント信号からの複数の異なるアンテナ素子23のための複数のビーム信号コンポーネントを、アンテナ素子の数の回数分、各コンポーネント信号を複製し、それらに複数のビームウェイトを適用することによって生成し、複数のビーム信号コンポーネントを各マルチプレクサ17に送信する。
【0032】
具体的に、ビーム形成器16は、複数のアンテナ素子23によって送信される場合、複数のビームが複数の望まれる位置に方向付けられるように、複数の信号をルーティングし、複数のビームウェイトを複数の異なるビーム信号コンポーネントに適用する。ここで、複数のビーム信号コンポーネントは、複数のアンテナ素子23によって送信されることになるビーム形成器16によって出力された複数の信号を指す。各ビーム信号コンポーネントは、複数のアンテナ素子23のうち所定の1つを対象とした、そのアンテナ素子によってビーム信号として送信されることになる信号である。ビーム形成器16からの複数の重み付けされたビーム信号コンポーネントは、マルチプレクサ17において周波数多重化され、DAC18によってアナログ領域へと変換される。DACに関連付けられた各マルチプレクサが、多数のアンテナ素子について複数のアンテナ素子信号を一緒に周波数多重化する。
図3において、各DACは、3つの別個のアンテナ素子について複数のアンテナ素子信号を処理するが、DAC毎のアンテナ素子の数は、正確な実装に依存することは理解されるであろう。複数の重み付けされたビーム信号コンポーネントは、コンポーネント信号がそれにより送信されるであろうアンテナ素子23に関連付けられたマルチプレクサ17およびDAC18にルーティングされる。同じアンテナ素子によって送信されるべき複数のビーム信号コンポーネントは、それらがダウンリンクにおいて送信される場合におそらく有する関係と互いに同じ関係で周波数マルチプレクサにおいて周波数積層される。さらに、特定のDACに関連している複数のアンテナ素子信号のアンテナ素子信号を形成する複数のコンポーネント信号の各セットは、異なる重複しない周波数チャネルでそのDACに関連している複数の他のアンテナ素子信号の他の複数のセットに提供される。周波数積層は、各DACが1より多くのアンテナ素子信号をアナログ領域に同時に変換している状態で、ブロードバンドのDACの数を減らすようにすることにより実行される。マルチプレクサ17は、合成多相フィルタであってよい。しかしながら、これは、単に1つの例であり、チャネル毎フィルタおよび多段階ハーフバンクフィルタに基づくもの等、任意の適切なマルチプレクサが使用され得ることは、理解されるであろう。コンポジット信号がアナログ領域へと変換された後、それは、複数の変換された信号を複数のコンポジット信号に存在する複数の別個のアンテナ素子信号へと分割するスプリッタ19に提供される。各アンテナ素子信号は、異なる周波数帯域のものであろう。周波数変換器20は、従って、複数の信号を、それらが送信されるであろう周波数と同じ周波数にアップコンバートするために提供される。
【0033】
その結果として、複数の周波数変換器のグループが、DAC18およびスプリッタ19に関連付けられ、各グループの各周波数変換器20が、異なる周波数の局所振動信号を使用して動作する。複数のアップコンバートされた信号は、次に、それらが複数のアンテナ素子23によって送信される前に、増幅のために増幅器21に提供される。複数の増幅器は、高電力増幅器(HPA)を有してよい。
【0034】
複数の信号をルーティングし、複数のビームを形成する複数のビームウェイトを適用することに加えて、ビーム形成器16は、また、以下においてより詳細に記載されるように、同じ通信周波数チャネルおよび複数のアンテナ素子23とビーム形成器16との間の複数の経路において導入される同じビームに対応する複数のコンポーネント信号の間の位相および/または振幅における任意の相対歪を補償するべく、複数のコンポーネント信号に位相および振幅の予歪を適用してもよい。
【0035】
受信モジュール6および送信モジュール15は別々に記載されたものの、それらのモジュールの複数のコンポーネントのいくつかは、受信モードおよび送信モードの両方を有してよく、受信モジュールおよび送信モジュールの両方において使用されてよいことが理解されるであろう。その結果として、
図2に関して受信モジュールに属しているものとして記載された複数のコンポーネントのいくつかは、
図3に関して記載された送信モジュールの一部を形成してもよく、その逆もまた同様である。例えば、位相配列アンテナは、受信モードおよび送信モードの両方を有してよく、複数の同じアンテナ素子が受信モジュールおよび送信モジュールの両方によって使用されてもよい。さらに、受信モジュールのビーム形成器14および送信モジュールのビーム形成器16は、同じビーム形成器の一部を形成してよい。
【0036】
さらに、衛星2は、例えば、各ビームアンテナ毎に単一のフィードを使用して地上局と通信するとして記載されたが、位相配列アンテナもまた複数の地上局と通信するために使用されてよいことは理解されるであろう。さらに、複数のビーム信号を複数の地上局に送信する代わりに、衛星2は、位相配列を使用して受信された複数の任意の信号を、他の衛星または他の複数のユーザ受信機に転送してよい。同様に、複数のスポットビームにおいて地上ゲートウェイから複数のユーザデバイスに送信されるべき情報を受信する代わりに、衛星は、複数の他のユーザデバイスまたは他の衛星から情報を受信してよい。
【0037】
受信モジュール6における分析多相フィルタおよび送信モジュール15における合成多相フィルタが、複数のコンポーネント信号において複数の位相歪をどのように導入し得るかが、これから説明される。複数のコンポーネント信号がベースバンド周波数にダウンコンバートされる受信モジュールにおける多相フィルタデマルチプレクサに基づく説明が、単に例として提供され、ダウンコンバート後の複数のコンポーネント信号における複数の位相歪は、また、複数のコンポーネント信号を任意の共通周波数にビーム形成器の前にダウンコンバートする任意のデマルチプレクサ設計にも適切であろう。同様に、複数のコンポーネント信号がベースバンド周波数からアップコンバートされる送信モジュールにおける多相フィルタマルチプレクサに基づく説明は、例示にすぎなく、アップコンバート後の複数のコンポーネント信号における複数の位相歪は、また、複数のコンポーネント信号を任意の共通周波数にビーム形成器の後にアップコンバートする任意のマルチプレクサ設計にも適切であろう。
図4を参照すると、各アンテナ素子信号24が、4つの通信周波数チャネルa、b、cおよびdを含むことが示されている。 キャリアが、1または複数の通信周波数チャネルから成ってよい。代替的に、通信周波数チャネルは、1より多くのキャリアを含んでよい。例えば、周波数チャネルaおよびbは、1つのビームに関連してよく、周波数チャネルcは第2のビームに関連してよく、周波数チャネルdは2つの別個のビームに関連してよく、それらのビームは同じ周波数を再利用するか、またはチャネルd内の複数の別々の重複しない周波数で提供されているかのいずれか一方である。
図4を参照すると、アナログ・デジタル変換器12が、3つのアンテナ素子信号を含むコンポジット信号を変換することに関して示されている。
図2に関して説明されるように、コンポジット信号25をADC12に提供するべく、周波数変換器10は、コンポジット信号を構成する3つのアンテナ素子信号を周波数積層する。
図4の例において、第1の周波数変換器は、第1のアンテナ素子信号を0Hzとf
s/6Hzとの間の中間周波数帯域に周波数変換し、ここで、f
s/2は、ADCのナイキストサンプリングレートである。
図4に更に示されるように、第2のアンテナ素子信号は、f
s/6と2f
s/6との間に配置された中間周波数帯域へと変換され、第3のアンテナ素子信号は、2f
s/6とf
s/2との間に配置された中間周波数帯域に変換される。
【0038】
コンポジット信号が多相フィルタ13において分析される場合、複数のチャネルは、それぞれの個々のアンテナ素子信号24の個々の通信周波数チャネルに対応する複数のコンポーネント信号26へと分割され、ベースバンド(基底帯域)にダウンコンバートされる。その結果として、多相フィルタの後、全ての周波数チャネルが、
図4に示されるように、ベースバンドで配置される。多相フィルタは、それが処理する複数の信号において位相シフトを導入し、位相シフトの量は、ダウンコンバート前の周波数に依存する。これは、通常、アンテナ素子信号毎に別個の多相フィルタが設けられるときには問題ではない。なぜならば、同じ通信周波数チャネルに対応する2つのコンポーネント信号が、おそらく同じ周波数帯域からダウンコンバート、またはそれにアップコンバートされるからである。
【0039】
しかしながら、多数のアンテナ素子信号が、同じADCまたはDACによって変換されるべく積層される場合、同じビームに属する複数の異なるコンポーネント信号が複数の異なる周波数からダウンコンバートまたはそれらにアップコンバートされ、結果として、複数の異なる位相シフトが、同じビームおよび通信周波数チャネルに対応する複数の異なるコンポーネント信号において導入される。より具体的に、例えば、第1のアンテナ素子信号のチャネルbは、
図4における第2および第3アンテナ素子のチャネルbに対して異なる量だけ位相シフトされるであろう。ビームフォーミングは、複数のチャンネル信号の間での位相関係に依存するので、位相シフトの差は、ビームが通信周波数チャネルbに属する複数のコンポーネント信号から形成される前に補償される必要がある。
【0040】
合成多相フィルタ17は、多相フィルタ13が上記の受信モジュール6における位相シフトを導入するやり方に対応するやり方で、送信モジュール15において位相シフトを導入する。合成多相フィルタ周波数13は、ベースバンドにおける各コンポーネント信号を、適切な中間周波数帯域に変換し、コンポジット信号を形成するべく複数のコンポーネントを合成する。合成多相フィルタ17は、複数のコンポーネント信号において位相シフトを導入し、位相シフトは、複数のコンポーネント信号が変換される中間周波数帯域の周波数に依存する。その結果として、同じビームに対応する複数のコンポーネント信号は、複数の異なる量で位相シフトされてよく、この相違は、複数のビームが望まれる方向において形成されることを保証するべく、補償される必要があるであろう。
【0041】
位相シフトが多相フィルタの処理においてどのように発生するかもしれないかに関しては、
図4に対して記載されたが、チャネル毎フィルタおよび多段階ハーフバンクフィルタに基づくもの等、任意のデマルチプレクサまたはマルチプレクサが位相シフトを導入し得ることは理解されるであろう。
【0042】
多相フィルタ13、17によって適用される位相シフトに加えて、またはその代わりに、複数の位相歪もまた、複数のADCおよび複数のDACによって生成されてもよい。
図5を参照すると、各ADCには、デジタルまたはアナログ形式への変換のベースとなっているクロック信号が提供される。
図5に示されるように、ADCは、短い時間間隔で入力アナログ信号をサンプリングするであろう。その長さは、入力信号の最大周波数によって決定される。
図5において、第1の行の複数のサンプルは、第1のADCによって処理されたコンポーネント信号26に対応し、第2の行の複数のサンプルは、第2のADCによって処理されたコンポーネント信号26に対応し、第3の行の複数のサンプルは、第3のADCによって処理されたコンポーネント信号26に対応する。信号がサンプリングされる正確な時間は、複数のADCに提供されるクロック信号のエッジによって決定される。複数の異なるADCに提供される複数の異なるクロック信号の複数のエッジは、一致しないかもしれず、結果として、複数の異なるサンプルは、異なる量を位相シフトされる。対応するやり方で、DACは、また、サンプリングクロックに従ってデジタル信号をサンプリングするであろう。複数の異なるDACによって出力される複数の信号の間での相対位相シフトが、複数のDACに提供される複数のサンプリングクロックの複数のクロックエッジの複数のタイミングにおける複数の差から結果として生じてよい。比較的低いサンプリングレートを有する複数のADCおよび複数のDACについて、複数の異なるサンプリングクロックの複数のクロックエッジの異なるタイミングは、複数の信号の複数の異なる位相には大きな作用を及ぼさない。しかしながら、
図2および
図3の送信および受信モジュールにおいて使用される広帯域の複数のADCおよび複数のDACは、著しくより高いサンプリングレートを必要とし、複数のクロックエッジの異なるタイミングは、複数の異なる変換器によって変換される複数の信号の複数の相対位相において重要な効果を有し得る。各ADCおよびDACは、位相シフトを導入するであろう。その量は、複数の事例間で変化するであろう。
図6および7に従って、複数のデマルチプレクサ/複数のマルチプレクサおよびADC/DACで導入される複数の位相シフトについての補償がどのように実行されるかに関してこれから記載されるであろう。
図6に示されるように、受信モジュールのビーム形成器は、ビーム毎に1つのビーム形成ネットワーク27を備える。同じ周波数が複数の異なるビームについて再使用される場合、特定のチャネルについて1より多くのビーム形成ネットワークがあるであろう。
【0043】
さらに、ビームが1より多くの周波数チャネルにわたる場合、複数のチャネルの各々について1つのビーム形成ネットワークがあるであろう。全てのチャネルからの複数のビーム形成された信号は、次に、ビーム形成処理の後、周波数再多重化されてよい。各多相フィルタは、
図2および
図3に関して記載された例のように、アンテナ素子毎に4個の、12個のコンポーネント信号を、出力する。各ADCおよび多相フィルタは、3つのアンテナ素子の複数のコンポーネント信号を処理する。ビーム形成器は、同じ通信周波数チャネルに関連している全てのコンポーネント信号を、同じビーム形成ネットワークにルーティングする。
図6において詳細に示されるビーム形成ネットワークは、1つの通信チャネル「チャネルa」に関連している全てのコンポーネント信号を受信する。複数の多相フィルタが3つのアンテナ素子から複数のコンポーネント信号を出力することから、3つのコンポーネント信号26が、各多相フィルタから
図6に詳細に示されるビーム形成ネットワーク27に提供される。各ビーム形成ネットワークは、各コンポーネント信号のための位相および振幅アジャスタ28を含む。位相および振幅アジャスタは、位相および/または振幅調整に対応する、コンポーネント信号の複素ビームウェイトとの虚数乗法を実行することによって、そのそれぞれのコンポーネント信号を重み付けする離散マルチプライヤであってよい。同じビームに対応する全ての重み付けされた信号は、次に、ビーム信号を形成するべく加算器29に共に加えられる。形成されたビーム信号は、次に、更なる処理および以後の送信に提供されてよい。
【0044】
しかしながら、複数のコンポーネント信号が、複数のビーム形成ウェイトを使用してビーム形成される前に、複数の補償ウェイトが、複数の補償装置30を使用して複数のコンポーネント信号に第1に適用される。いくつかの実施形態において、補償器がコンポーネント信号毎に提供される。複数の他の実施形態において、補償器は、基準コンポーネント信号を形成する1つを除いて全てのコンポーネント信号に関して提供される。補償器30は、離散マルチプライヤの形で提供されてよい。離散マルチプライヤは、複数のコンポーネント信号がビーム形成器14において受信される前に、信号処理装置において導入された位相および/または振幅歪を補償するべく、虚数乗法を実行することによって、各コンポーネント信号に複素重みを適用する。複数のビームを正確に形成するために重要なのは、複数のコンポーネント信号の相対位相および振幅である。その結果として、複数の異なるコンポーネント信号が複数の異なる量で歪められた場合、補償無しでは、ビーム形成された信号の品質は低下するであろう。多相フィルタ13によって導入される複数の位相シフトは、多相フィルタにおけるコンポーネント信号の周波数変換の量に依存し、複数の周波数変換は予め定められていることから、複数の対応する位相補償は前もって既知であり、複数の補償器30へと予めプログラミングされ得る。しかしながら、複数の他のADCに対する1つのADCによって導入される複数の位相歪は、概して可変であり、従って、受信モジュールにおける分析装置は、複数のADCの複数のサンプリングクロック信号を受信し比較する必要がおそらくあり、複数のサンプリングクロックの分析に基づいて、ADCによって処理される複数のコンポーネント信号のセットについての適切な位相補正を決定し、複数の他のADCに対するそのADCによって導入される任意の複数の位相歪を修正する。
【0045】
複数の補償器は、
図6において、複数の信号経路における位相および/または振幅アジャスタ28の前に配置され、そうすることにより、複数の補償ウェイトが、複数のビームウェイトが複数のコンポーネント信号に適用される前に適用されることが示されているものの、補償ウェイトは、その代わりに、複数のビームウェイトが適用された後にコンポーネント信号に適用され得る。代替的に、複数の補償器および複数のビーム形成アジャスタは、複数の他のコンポーネント信号に対してその信号に導入された任意の歪および適切なビームウェイトの両方を補償するべく、コンポーネント信号を選択された複素数で乗じるように構成された単一の離散マルチプライヤとして提供されてよい。位相および/または振幅補償の適用は、送信モジュールにおいて対応するやり方で実装されてよい。
図7を参照すると、送信モジュール15のビーム形成器16は、それぞれのビーム信号を送信モジュールの複数のアンテナ素子信号に対応する複数のコンポーネント信号へと複製するための複製器31およびアンテナ素子毎のビーム形成ネットワーク32を備える。ビームが1より多くの周波数チャネルにわたる場合、複数のビームは、複製される前にデマルチプレクサ(図示せず)において周波数逆多重化されてよい。例えば、
図7における複数の複製器のうち2つは、同じビームの複数の異なる周波数チャネルに関連してよい。各ビーム信号複製器は、
図2および
図3に関して記載された9個のアンテナ素子のための9個の別個の同一のコンポーネントへとビーム信号を複製することが示されている。しかしながら、実際には、はるかに多くの数のアンテナ素子およびコンポーネント信号が使用されることは明確に理解されるであろう。複数のコンポーネント信号は、複製器31からビーム形成ネットワーク32にルーティングされる。アンテナ素子がアンテナによって生成されるビーム毎のコンポーネントを送信するシステムにおいて、各複製器からの1つのコンポーネントが、アンテナ素子毎に1つずつ、あらゆるビーム形成ネットワークにルーティングされる。各ビーム形成ネットワークは、複数の信号が複数のアンテナ素子によって送信される場合に複数のビームを生成するように、複数の適切なビームウェイトを複数のコンポーネント信号に適用するためにビーム形成位相および/または振幅アジャスタ33をコンポーネント信号毎に含む。複数の重み付けされたコンポーネント信号は、複数のDACのための複数の周波数積層信号へと多重化するための合成多相フィルタ17に提供される。
図3の例にあるように、各多相フィルタ17は、3つの別個のアンテナ素子について複数のコンポーネント信号を多重化する。
図7において、各ビーム形成ネットワークは、5個のコンポーネント信号を処理することが示されている。
図3の例において記載されるように、2つのビームは、同じ周波数チャネルを共有してよく、2つのビーム形成位相および/または振幅アジャスタ33は、複数の異なるビームではあるが同じ周波数チャネルに関する複数のコンポーネント信号を調節してよいことが検討される。複数の重み付けされたコンポーネント信号は、次に、合成多相フィルタの前で合計される。
【0046】
複数のビーム形成ネットワークは、また、ビーム形成器16と複数のアンテナ素子との間で適用される複数の任意の位相および/または振幅歪を補償するための複数のコンポーネント信号において、位相および/または振幅の予歪を導入するための複数の補償装置34も含む。いくつかの実施形態において、補償器は、
図7に示されるように、コンポーネント信号毎に提供される。複数の他の実施形態において、補償器は、基準コンポーネント信号を形成する1つを除いて全てのコンポーネント信号に提供される。補償器34は、離散マルチプライヤの形で提供されてよい。各離散マルチプライヤは、複数のコンポーネント信号がビーム形成器から出力された後に信号処理装置に導入された複数の位相および/または振幅歪を予め補償するべく、コンポーネント信号の複素重みとの虚数乗法を実行することによって、そのそれぞれのコンポーネント信号を重み付けする。複数のビームを正確に形成するべく、実際のビームパターンが望まれるビームパターンに厳密に適合することを保証し、重要であるのは複数のコンポーネント信号の相対位相および振幅である。その結果として、補償無しで、複数の異なるコンポーネント信号はビーム形成器の後に処理装置における複数の異なる量によって歪められ、ビーム形成された信号の品質は低下するであろう。
図7において、複数の補償ウェイトは、複数のビームウェイトが複数のコンポーネント信号に適用された後に適用されるように、複数の補償器がビーム形成位相および/または振幅アジャスタの後に配置されることが示されるものの、補償ウェイトは代わりに、ビーム形成ウェイトが適用される前に複数のコンポーネント信号に適用され得る。代替的に、複数の補償器および複数のビーム形成アジャスタは、複数の他のコンポーネント信号に対して信号へと導入された任意の歪および適切なビームウェイトの両方を補償するように、コンポーネント信号を選択された複素数で乗じるように構成された単一のマルチプライヤとして提供されてよい。
【0047】
合成多相フィルタによって導入される複数の位相シフトは、合成多相フィルタにおけるコンポーネント信号の周波数変換の量に依存し、複数の周波数変換は予め定められていることから、複数の対応する位相補償は前もって既知であり、複数の補償器へと予めプログラミングされ得る。しかしながら、複数の他のDACに対する1つのDACによって導入される複数の位相歪は、概して可変であり、従って、送信モジュールにおける分析装置は、複数のDACの複数のサンプリングクロック信号を受信し比較する必要がおそらくあり、複数のサンプリングクロックの分析に基づいて、DACによって処理される複数のコンポーネント信号のセットについて適切な位相補正を決定し、複数の他のDACに対してそのDACによって導入される複数の位相歪を修正する。単一の分析装置が、受信モジュールおよび送信モジュールの両方のために使用されてもよいことが検討される。
【0048】
各ADCまたはDACが、M個の周波数チャネルをアンテナ素子毎に持つN個のアンテナ素子信号を有するコンポジット信号を処理する受信または送信システムにおいて、ビームについてのあらゆるN番目のコンポーネント信号は、それらが同じ周波数からダウンコンバートされる、またはそれにアップコンバートされることから、等しく多相フィルタによって歪められることは理解されるであろう。しかしながら、あらゆるN番目のコンポーネントは、複数の異なるADCおよび複数のDACが複数の異なるクロックエッジを持つ複数のクロック信号を有することから、ADCまたはDACによって異なる量で歪められる。各ビームについて、基準コンポーネント信号が選択されることが検討される。さらに、複数のビームのどの複数のコンポーネント信号が、基準コンポーネント信号として同じ周波数から/同じ周波数に変換されるが、異なるADCまたはDACによって処理されないことが決定される。分析装置は、これらのコンポーネント信号の各々について、複数のADCおよび複数のDACによって導入される複数の基準信号に対する位相歪を決定する。この位相歪は、同じADCまたはDACによって処理される全てのコンポーネント信号について同じである。所定のコンポーネント信号について、それぞれが処理装置内のコンポーネントによって導入される相対歪に対応している複数の補償複素ウェイトが決定され得ることが更に検討される。複数の補償複素重みは、次に、コンポーネント信号を重み付けするための最終補償ウェイトを決定するべく、乗じられ得る。現在の実施形態において、第1の補償複素重みが、多相フィルタによって導入される相対歪を補償するべく、受信または送信モジュールのメモリから第1に取得されてよく、第1の複素重みが、コンポーネント信号を重み付けするための最終補償ウェイトを決定するべくコンポーネント信号が関連しているADCまたはDACのための分析装置によって決定される位相歪に対応する第2の複素重みによって乗じられてよい。
【0049】
複数の多相フィルタにおける任意の位相歪を補償するために必要とされる複数の位相補正は、予め定められていることが記載されたが、システムは、複数の記憶されたまたは予めプログラミングされた補償ウェイトの更新を可能にするように再構成されてもよいことは、理解されるであろう。より詳細に、受信システムおよび送信システムは、複数のアンテナ素子の特定の帯域幅用に構成されてよく、複数の周波数変換器は、予め定められた量で各信号を周波数変換するように予め構成されてもよい。しかしながら、いくつかのシステムは、衛星によって処理されるべきである必要とされる帯域幅が変化する場合、再構成可能である必要があるかもしれないことが検討される。各周波数変換器に提供される局所発振器信号の周波数は、システムが複数の新たな周波数チャネルおよび複数の帯域幅用に再構成される場合に変化してよく、各アンテナ信号が周波数へと/その周波数から変換される周波数もまた、次に変化してよい。多相フィルタによって適用される位相シフトを補償するようにシステムによって適用される歪は、次に、地上の複数の制御局から再構成可能である必要もあるかもしれない。例えば、制御信号が複数の補償ウェイトを更新するべく送信されるであろうと考えられる。
【0050】
図8を参照すると、本発明の実施形態に従って、複数のアンテナ素子を持つアンテナと共に使用するための方法が示される。当該方法は、
図2および
図4において示される受信システムによって実行される方法に対応し、アンテナは、複数のビームを含む放射パターンを提供する。
【0051】
第1に、段階S11において、アンテナ素子信号のグループ内の複数の異なるアンテナ素子信号が、複数の異なる中間周波数帯域に周波数変換される。
図4に示される装置において、段階S11は、3つのアンテナ素子信号のグループのための複数の周波数変換器10によって実行される。次に、段階S12において、複数の異なる周波数帯域における複数の周波数変換されたアンテナ素子信号は、コンポジット信号を取得するべく合成される。
図4に示される装置において、段階S12は、複数の周波数変換器10によって出力される複数の周波数変換されたアンテナ素子信号のためのコンバイナ11によって実行される。
図4に示されるように、複数のアンテナ素子信号は、コンバイナ11によって出力されるコンポジット信号25における周波数において互いに積層される。
【0052】
次に、段階S13においてコンバイナ11によって出力されるコンポジット信号は、アナログからデジタル形式に変換される。
図4に示される装置において、段階S12はADC12によって実行される。
【0053】
次に、段階S14において、ADC12によって出力されるデジタル信号が、複数の上記アンテナ素子信号において存在する複数のコンポーネント信号へと逆多重化される。複数の上記の実施形態において、逆多重化は、分析多相フィルタ13によって実行されるが、複数の他の実施形態において、分析信号チャネル毎フィルタ、多段階ハーフバンクフィルタ等の他の複数のタイプのデマルチプレクサが、段階S14について使用され得る。
【0054】
次に、段階S15において、複数の逆多重化されたコンポーネント信号は、それぞれのビームフォーミングウェイトを用いてデジタル方式で重み付けされる。複数の個々のコンポーネント信号をデジタル方式で重み付けすることによって、ビームの各コンポーネント信号と同じビームの複数の他のコンポーネント信号との間の位相関係および振幅関係が制御され得る。例えば、1つのビームにおける複数のコンポーネント信号のための複数のデジタルウェイトが、
図6に示されるビーム形成ネットワーク27を使用して適用され得る。加えて、複数の補償ウェイトもまた、同じ周波数チャネルに関連し、同じビームに関する複数のコンポーネント信号の間の複数の位相および/または振幅歪を補償するべく、複数のコンポーネント信号に適用される。具体的に、複数のコンポーネント信号は、アナログ・デジタル変換および複数の逆多重化段階(S13およびS14)の間に発生する複数の歪について補償される。上記のように、実施形態によっては、複数の補償ウェイトは、段階S15における複数のデジタルウェイトと同時に適用され得るか、または別々に適用され得る。
【0055】
図9を参照すると、本発明の実施形態に従って、複数のアンテナ素子を持つアンテナと共に使用するための方法が示される。方法は、アンテナが、複数のビームを含む放射パターンを提供する、
図3に示される送信システムによって実行される方法に対応する。第1に、段階S21において、複数のコンポーネント信号は、位相関係および振幅関係を持つビームの各コンポーネント信号を、同じビームの複数の他のコンポーネント信号に提供するべく、デジタル方式で重み付けされる。
図3に示される装置において、段階S21は、ビーム形成器16によって、且つ
図7に示される特定のビーム形成ネットワーク32によって実行される。上記のように、ビーム形成ネットワーク32は、また、複数の補償ウェイトを適用し得、または代替的に補償が別個の段階で実行され得る。次に、段階S22において、アンテナ素子信号のグループについて複数のデジタル方式で重み付けされたコンポーネント信号は、ビーム形成器によって出力され、複数のアンテナ素子信号が周波数において互いに積層されたコンポジット信号へと多重化される。
図3に示される装置において、段階S22は合成多相フィルタ17によって実行されるが、複数の他の実施形態においては、チャネル毎フィルタおよび多段階ハーフバンクフィルタに基づくもの等の異なるタイプのマルチプレクサが使用され得る。
【0056】
次に、段階S23において、コンポジット信号は、デジタルからアナログ形式に変換される。
図3に示される装置において、段階S23は、DAC18によって実行される。次に、段階S24において、DAC18によって出力されるデジタル信号は、複数の異なる中間周波数帯域における複数のアンテナ素子信号へと分割される。
図3に示される装置において、段階S24は、スプリッタ19によって実行される。
【0057】
次に、段階S25において、複数のアンテナ素子信号の各1つは、中間周波数帯域からそれがそれぞれのアンテナ素子によって送信されるであろう周波数に周波数変換される。
図3に示される装置において、段階S25における周波数変換が周波数変換器20によって実行される。
【0058】
図8および9の方法において、複数のコンポーネント信号は、上記の複数の方法のいずれかを使用してデジタル方式で重み付けされ得る。例えば、複数のコンポーネント信号の位相および/または振幅は、ウェイトをそれぞれのコンポーネント信号に適用することによって調節され得、ここで、信号に適用されるウェイトは、ビーム形成ウェイトおよび補償ウェイトの両方を含む。補償ウェイトは、処理の間に発生する複数の位相および/または振幅歪を補償するように選択され得る。上記のように、同じビームについて複数の他のコンポーネント信号に対する複数の歪は、ADC12、デマルチプレクサ13、DAC18、およびマルチプレクサ19によって導入され得る。本発明の複数の特定の例が記載されたが、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、複数の例には限定されない。本発明は、従って、当業者らによって理解されるように、複数の他のやり方で実装され得る。
【0059】
例えば、各ADCまたはDACは、
図2、
図3および
図4において3つのアンテナ素子信号を処理し、各アンテナ素子信号は4つの周波数チャネルを含むことが示されたものの、これは単に1つの例であって、本発明はこの例に限定されないことは明確に理解されるであろう。任意の数のアンテナ素子信号を処理するように構成された複数のADCまたは複数のDACが使用され得、それらのアンテナ素子信号は、任意の適切な数の周波数チャネルを含み得る。システムは、異なる数の周波数チャネルを有する異なる数のアンテナ素子信号を軌道上で各ADCまたはDACに提供するように再構成されてよいことが更に検討される。いくつかの実施形態において、各ADCおよびDACは、1つのアンテナ素子信号のみを処理するように配置され得、その場合、
図8の段階S11およびS12ならびに段階S24およびS25は、省略され得る。
【0060】
さらに、本発明は、衛星に関して記載されたが、他の複数の宇宙機システム、および宇宙空間で使用するのに適切でない複数のシステムにもまた適用可能である。本発明は、多数のコンポーネント信号をビーム形成するためのビーム形成器を使用する任意のシステムに適用可能である。