特許第6657222号(P6657222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6657222医薬調製物用の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6657222
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】医薬調製物用の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20200220BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20200220BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20200220BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20200220BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20200220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   A61K31/444
   A61K9/20
   A61K9/14
   A61K47/26
   A61K47/38
   A61P35/00
【請求項の数】5
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-532047(P2017-532047)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2017-537955(P2017-537955A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】US2015065434
(87)【国際公開番号】WO2016100152
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年12月11日
(31)【優先権主張番号】62/094,515
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596129215
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バル,ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユイン−チー
(72)【発明者】
【氏名】リー,アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】マリナロ,ウィリアム・アンソニー・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,タオ
【審査官】 古閑 一実
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/105500(WO,A1)
【文献】 特開平07−112928(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0309234(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0310651(US,A1)
【文献】 Netsu Sokutei,2011年,Vol.38, No.2,p.46-53
【文献】 粉体工学会誌,1985年,Vol.22, No.2,p.85-97
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドを含む医薬錠剤であって、
ここで、活性成分の総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含み、
ここで、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1は、粉末X線回折において、3.99、16.00、17.78及び18.81の2θ値を有することを特徴とする、医薬錠剤。
【請求項2】
活性成分の前記総量は、約70〜85重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1、約10〜25重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む、請求項1に記載の医薬錠剤。
【請求項3】
活性成分(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドを含む粒状組成物であって、
ここで、活性成分の総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含み、
ここで、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1は、粉末X線回折において、3.99、16.00、17.78及び18.81の2θ値を有することを特徴とする、粒状組成物。
【請求項4】
活性成分の前記総量は、約70〜85重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1、約10〜25重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む、請求項3に記載の粒状組成物。
【請求項5】
(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1の粒状組成物を調製するプロセスであって、
a)ラクトース、微晶質セルロース、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1および崩壊剤を、高せん断造粒機内でから練りして乾燥混合物を形成する工程と、
b)水含むバインダー溶液を、前記高せん断造粒機に加えて、工程a)において形成された前記乾燥混合物の湿潤顆粒を形成する工程と、
c)前記湿潤顆粒を乾熱により乾燥させて乾燥顆粒を形成する工程と、
を含み、
ここで、前記顆粒中の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含み、
ここで、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl形態1は、粉末X線回折において、3.99、16.00、17.78及び18.81の2θ値を有することを特徴とする、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
国際公開第2009/105500号は、ERK阻害剤を記載しており、ERK阻害剤を製造する手順、およびERK阻害剤を含む医薬組成物を調製する手順が挙げられている。記載される医薬組成物として、患者への直接投与用の、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤を含む固体形態の調製物;患者への直接投与用の、溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む液体形態の調製物;吸入に適したエアロゾル調製物;患者への続いて起こる投与用の、使用直前に溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む液体形態の調製物に変換されることが意図される固体形態の調製物;ならびに患者への直接塗布用または経皮パッチを介した投与用の、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルジョンを含む経皮組成物が挙げられる。
【0002】
国際公開第2009/105500号に記載される具体的なERK阻害剤、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドは、いくつかの結晶形態および非晶質形態で存在し得る。製剤化処理中に、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClのようなある形態は、他の形態に変換され得る。プロセス条件に応じて、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClのローラ圧縮により、かなりの量の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基が生じ得、そして、機械的ストレスによりかなりの量の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HClが生じ得る。患者への投与にとって安全かつ有効な経口(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの医薬錠剤およびカプセル組成物を効率的に調製するために、結晶形態1HClからの非晶質遊離塩基および非晶質HCl塩形態への変換を最小限に抑える、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド顆粒を作成することが非常に所望される。
【0003】
本発明は、患者への安全かつ有効な経口投与に適した(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClを含む錠剤およびカプセルの効率的な調製に用いられる、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの顆粒を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/105500号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、活性成分(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドを含む粒状組成物を含み、ここで、活性成分の総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl(HCl形態1とも呼ぶ)、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遊離塩基水和物(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態2についての粉末X線回折パターンを示す。
図2】HCl(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1についての粉末X線回折パターンを示す。
図3】HCl水和物(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1についての粉末X線回折パターンを示す。
図4】HCl水和物(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態2についての粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、活性成分(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドを含む医薬錠剤であり、ここで、活性成分の総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。本発明の一実施形態において、活性成分の総量は、約70〜85重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜25重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0008】
本発明はまた、活性成分(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドを含む粒状組成物であり、ここで、活性成分の総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。本発明の一実施形態において、活性成分の総量は、約70〜85重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜25重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0009】
本発明はまた、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClの粒状組成物を調製するプロセスであり、当該プロセスは:
a)ラクトース、微晶質セルロース、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClおよび崩壊剤を、高せん断造粒機内でから練りして乾燥混合物を形成する工程と、
b)水およびポリビニルピロリドンを含むバインダー溶液を、高せん断造粒機に加えて、工程a)において形成された乾燥混合物の湿潤顆粒を形成する工程と、
c)湿潤顆粒を乾熱により乾燥させて乾燥顆粒を形成する工程と、
を含み、
ここで、顆粒中の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0010】
本発明はまた、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClの粒状組成物を調製するプロセスであり、当該プロセスは:
a)ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClおよび崩壊剤を高せん断造粒機内でから練りして乾燥混合物を形成する工程と、
b)水を含むバインダー溶液を、高せん断造粒機に加えて、工程a)において形成された乾燥混合物の湿潤顆粒を形成する工程と、
c)湿潤顆粒を乾熱により乾燥させて乾燥顆粒を形成する工程と、
を含み、
ここで、顆粒中の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0011】
本発明はまた、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClの粒状組成物を調製するプロセスであり、当該プロセスは:
a)ラクトース、微晶質セルロース、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClおよび崩壊剤を、高せん断造粒機内でから練りして、乾燥混合物を形成する工程と、
b)乾燥混合物を、流動空気により混合温度が55〜60℃になるまで加熱する工程と、
c)混合温度を維持し、そして水およびポリビニルピロリドンを含むバインダー溶液を高せん断造粒機に加えて工程a)において形成された乾燥混合物の湿潤顆粒を形成する工程と、
d)湿潤顆粒を流動空気により乾燥させて乾燥顆粒を形成する工程と、
を含み、
ここで、顆粒中の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0012】
本発明はまた、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClの粒状組成物を調製するプロセスであり、当該プロセスは:
a)ラクトース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HClおよび崩壊剤を、高せん断造粒機内でから練りして乾燥混合物を形成する工程と、
b)乾燥混合物を、流動空気により混合温度が55〜60℃になるまで加熱する工程と、
c)混合温度を維持し、そして水を含むバインダー溶液を高せん断造粒機に加えて工程a)において形成された乾燥混合物の湿潤顆粒を形成する工程と、
d)湿潤顆粒を流動空気により乾燥させて乾燥顆粒を形成する工程と、
を含み、
ここで、顆粒中の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの総量は、約60〜90重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド形態1HCl、約10〜30重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および約0〜5重量%の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基を含む。
【0013】
以下の構造I、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド:
【化1】
【0014】
およびその調製方法が、国際公開第2009/105500号(化合物A6)に記載されている。(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドはまた、Active Biochem CAT#A−1191から入手可能である。ERK活性(すなわち、ERK1およびERK2活性)を阻害する化合物は、広範囲の癌、例えばメラノーマ、膵癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌および卵巣癌の治療に有用であり得る。
【0015】
調製:
(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド遊離塩基の合成は、19工程のプロセスである。化合物調製物が、3つの中間体調製物A、B、およびCに分かれ、中間体のカップリングに続く。全ての中間体が、市販の化合物から出発する。化合物5が、市販のブロモ−4−シアノベンゼンのメチルヒドラジンとの酸性条件下での反応によって調製され、ヒドラジノイミデート2が適度な収率で形成される。2工程におけるギ酸との反応後、ブロモフェニル−N−メチルトリアゾール中間体3が得られる。テトラヒドロピリジン環は、市販のBoc保護テトラヒドロピリジン−ボロネートの鈴木反応によって導入され、三環系4が得られる。脱保護された4のクロロアセチルクロライドとの反応により、クロロアセトアミド5が優れた収率で得られる。ピロリジンコア10aは、市販の6から出発して5工程で良好な収率で得られる。塩化チオニルとの反応により、チオメチルオレフィン7が得られた。付加環化(2+3)により8が得られ、続いてベンジル保護基が除去されて9が得られる。ピロリジン核のL−酒石酸分割により、メタノールからの濾過後に純粋な(S)エナンチオマー9が得られる。Boc誘導体としての保護およびメチルエステルの加水分解の後、全体で50%の収率で10が得られる。化合物17が、市販のインダゾール11から得られる。インダゾール11の3位での臭素化がクロマトグラフィなしで優れた収率で進行し、12が得られる。ブロモ化合物12の14との鈴木反応により、クロマトグラフィ後にニトロインダゾール16が得られる。16の還元により、アニリン17が油として定量的な収率でクロマトグラフィなしで得られる。中間体の最終カップリングは、17を10aとカップリングさせることによって進行し、18が良好な収率で得られた。Boc基およびトリチル基の脱保護後、5との最終カップリングにより、クロマトグラフィ後に、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドが得られた。メタノール/ジエチルエーテルからの結晶化によって、最終精製が実行される。この合成経路は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド遊離塩基(化合物I)をもたらしたスケールで行われた。
【0016】
主要な中間体5,10および17からの合成
調製A:
【化2】
【0017】
調製B:
【化3】
【0018】
調製C:
【化4】
【0019】
最終カップリング:
【化5】
【0020】
遊離塩基水和物形態2の調製
化合物Iを周囲温度にて純水中に懸濁させた。混合物を少なくとも1日成熟させ、結晶形態(遊離塩基水和物形態2)を得た。
【0021】
HCl形態1の調製
HCl水和物形態1またはHCl水和物形態2を、周囲温度にて、酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル、酢酸イソプロピル、アセトン、またはテトラヒドロフラン(THF)中に懸濁させた。混合物を少なくとも1日成熟させ、結晶形態(HCl形態1)を得た。
【0022】
HCl水和物形態1の調製
化合物Iを、水性イソプロパノール混合液中に懸濁させてから、塩酸を添加した。混合物を周囲温度にて少なくとも1日成熟させ、結晶塩(HCl水和物形態1)を得た。
【0023】
HCl水和物形態2の調製
化合物Iを、水性アセトン混合液中に懸濁させてから、塩酸を添加した。混合物を周囲温度にて少なくとも1日成熟させ、結晶塩(HCl水和物形態2)を得た。
【0024】
HCl形態1を周囲温度にて純水中に懸濁させた。混合物を少なくとも1日成熟させ、結晶形態(HCl水和物形態2)を得た。
【0025】
遊離塩基水和物形態2の粉末X線回折データ(図1
【表1】
【0026】
HCl形態1の粉末X線回折データ(図2
【表2】
【0027】
HCl水和物形態1の粉末X線回折データ(図3
【表3】
【0028】
HCl水和物形態2の粉末X線回折データ(図4
【表4】
【0029】
造粒
医薬業界において、造粒とは、一次粉末粒子同士を付着させて顆粒と呼ばれるより大きな多粒子体を形成する行為またはプロセスを指す。これは、粒子間に結合を生じさせることによって、粒子を合わせて収集するプロセスである。結合は、圧縮によってまたは結合剤を用いることによって形成される。造粒は、錠剤およびペレット(またはスフェロイド)の製造に広く用いられている。
【0030】
造粒は、様々な理由のために実行されるが、そのうちの1つは、粉末混合物の構成成分の分離を防ぐためである。分離は、混合物の成分のサイズまたは密度の違いに起因する。通常、より小さなおよび/またはより密度の高い粒子は、容器の基部にて濃縮する傾向にあり、より大きなおよび/またはより密度の低い粒子が上部となる。理想的な顆粒は、各顆粒中に適切な割合で混合物の全構成成分を含有し、顆粒の分離が起こることはない。
【0031】
造粒プロセスは、1つまたは複数の粉末粒子を組み合わせて顆粒を形成し、錠剤化プロセスまたは球状化プロセスが、必要とされる限度内とされることとなる。このようにして、予測可能かつ反復可能なプロセスが可能となり、高品質の錠剤またはペレットが錠剤化装置または球状化装置を用いて生産され得る。多くの粉末は、その小さなサイズ、不規則な形状または表面特性のために、粘着性がありかつ十分に流動しない。このような凝集系から生産される顆粒は、より大きくかつより等直径となることとなり、双方の因子が流動特性の向上に寄与する。
【0032】
一部の粉末は、たとえ容易に圧縮可能な接着剤が混合物中に含まれていても圧縮するのが困難であるが、同粉末の顆粒は、多くの場合より容易に圧縮される。これは、顆粒内の接着剤の分布と関連し、顆粒を生産するのに利用される方法の作用である。
【0033】
例えば、粉末にされた糖に対して、造粒された糖から錠剤を製造しようとするならば、粉末にされた糖は錠剤に圧縮することが困難であろうし、そして、造粒された糖は圧縮しやすいであろう。粉末にされた糖の小さな粒子は、流動特性および圧縮特性が悪い。これらの小さな粒子は、価値のある錠剤を製造するには、長期間非常にゆっくりと圧縮されなければならないであろう。粉末にされた糖が造粒されなければ、良好な錠剤特性、例えば均一な含量または一定の硬度を有する錠剤には効率的に製造され得ない。
【0034】
湿式造粒においては、インペラ(高せん断造粒機内)、スクリュー(二軸スクリュー造粒機内)または空気(流動層造粒機内)の影響下にある粉末層上への造粒液の添加によって、顆粒が形成される。系において生じる撹拌および製剤内の成分の湿潤により、一次粉末粒子の凝集が生じ、湿潤顆粒が生産される。造粒液(流体)は揮発性でなければならない溶媒を含有するので、乾燥によって除去されて非毒性になり得る。典型的な液体には、水、エタノールおよびイソプロパノールが、単独でまたは組み合わせて含まれる。液体溶液は、水性または溶媒ベースであってよい。水溶液は、溶媒よりも取扱いが安全であるという利点がある。流動層系は、固体粒子の層に粒子を動かすのに十分高い速度で粒子を通って上向きに通過する空気または気体の流れを供給する。空気が粒子層を通って移動するにつれ、固有の特性を層に与える。
【0035】
例えば、層は、液体として挙動する。波動を伝播させることが可能であり、これは、混合を向上させる可能性がある。気泡流動層において、流動粒子の塊内に温度勾配は存在しない。この等温性は、系における強い粒子活性に起因する。ゆえに、流動層は湿潤産物を乾燥させ、粒子を凝集させ、流動性を向上させ、産物を即座に提供し、または徐放もしくは味マスキングのためにコーティングされた粒子を生産するのに用いられ得る。コンテナの変更のみが実行されることとなるユニット操作のタイプを変更するのに必要とされる複数のプロセスを実行するように設計されたモジュラー系が、流動層プロセッサの全メーカーによって開発されてきた。
【0036】
粉末中に混合される水は、粉末を全体として固定するのに十分な強度がある結合を粉末粒子間に形成することができる。しかしながら、水が乾燥すると粉末がばらばらになる場合がある。したがって、水は、結合を生じさせて保持するのに十分な強度がない場合がある。そのような場合には、結合剤(医薬接着剤)を含む液体溶液が必要とされる。ポビドンは、ポリビニルピロリドン(PVP)であり、最も一般的に用いられる医薬結合剤の1つである。PVPは、水または溶媒中に溶解されてプロセスに加えられる。PVPおよび溶媒/水が粉末と混合されると、PVPは、プロセス中に粉末との結合を形成し、そして溶媒/水が蒸発する(乾燥する)。溶媒/水が乾燥して粉末がより高密度に保持された塊を形成すると、顆粒に粉砕される。このプロセスにより顆粒が形成される。
【0037】
当該プロセスは、粉末の特性、錠剤製造の最終目的および利用可能な装置に応じて、非常に単純にもなり得るし非常に複雑にもなり得る。伝統的な湿式造粒法において、湿潤塊が篩に通されて湿潤顆粒が製造され、その後乾燥される。
【0038】
顆粒を形成するのに液体溶液を用いない乾式造粒が時折用いられ、というのも、造粒された産物は湿気および熱に敏感である場合があるからである。湿気のない顆粒を形成するには、粉末を圧縮して密度を高めることが必要である。このプロセスにおいて、一次粉末粒子は高圧下で凝集する。スウィング造粒機または高せん断混合機−造粒機が、乾式造粒に用いられ得る。
【0039】
乾式造粒は、2つのプロセス下で行われ得る;大きな錠剤はヘビーデューティ錠剤化プレスにおいて生産され、または、粉末は、材料の連続シートもしくは連続リボンを生産するために2つの逆回転ローラ(ローラ圧縮機、一般にチルソネータと呼ばれる)間で圧搾される。
【0040】
錠剤プレスが乾式造粒に用いられる場合、粉末は、製品をダイキャビティ中に均一に供給するのに十分な自然流を有しておらず、高密度化の程度が異なる場合がある。ローラ圧縮機(造粒機−圧縮機)は、オーガフィード系を用いて、2つの加圧ローラ間に粉末を供給する。粉末は、ローラ間で圧縮されてリボンまたは小ペレットになって、低せん断ミルを介して粉砕される。産物は、錠剤圧縮前に、ミルおよび最終混合を通過する。
【0041】
高せん断湿式造粒を介して調製される(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドの顆粒を含む錠剤が、従来の錠剤化手順を用いて形成され得、製剤の化学的安定性を向上させるためのビヒクルおよび他の賦形剤として、希釈剤(例えば、ラクトース、アビセル、マンニトール、リン酸水素カルシウム)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム)、塩崩壊剤(例えば、NaCl、NaHCO、KHPO、KSO、KCl)、結合剤(例えば、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、滑剤/流動促進剤(例えば二酸化ケイ素)、および滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム)が挙げられる。
【0042】
ローラ圧縮を用いて調製される錠剤
(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの錠剤を調製するのに以降で用いられる粒状組成物を生じさせるために、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClを、ローラ圧縮にかけた。
【0043】
以下の量(重量%)の成分を有する3つの錠剤(RC−1、RC−2、およびRC−3)を、ローラ圧縮を用いて調製した。
【表5】
【0044】
「F−1HCl」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClである。
【0045】
以下の手順に従った。
【0046】
1.コロイド状二酸化ケイ素、および(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClを、混合機内で混合する。
【0047】
2.スクリーンを用いて混合物を非塊状とする。
【0048】
3.混合機を用いて、ラクトース一水和物、微晶質セルロース(Avicel 102)、および崩壊剤(クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン)を、工程2由来の非塊状材料と混合する。
【0049】
4.予めスクリーニングしたステアリン酸マグネシウム滑沢剤を、工程3の混合物に添加して、混合する。
【0050】
5.工程4に由来する混合物をローラ圧縮する。
【0051】
6.ローラ圧縮されたリボンを、メッシュを通してスクリーニングして、生じた粉砕顆粒を適切なビンに加える。
【0052】
7.予めスクリーニングした顆粒外ステアリン酸マグネシウム滑沢剤をビンに加えて、粉砕顆粒と混合する。
【0053】
8.適切なロータリ錠剤プレスを用いて、工程7に由来する滑沢化された最終混合物を圧縮する。
【0054】
ローラ圧縮を介して調製された錠剤は、かなりの量の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HCl、および(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基をもたらし、これは、5%を超える量の遊離塩基を含んだ。「LOD」は、「検出限界」を指し、「<LOD」は、示される材料の量が、あるにしても、検出可能でなかったことを意味する。
【表6】
【0055】
「F−1HCl」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClである。「AmHCl」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HClである。「Am FB」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基である。「F−1 FB」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1遊離塩基である。
【0056】
[実施例]
[実施例1]
湿式造粒を用いて調製した錠剤
(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの湿式造粒を、高せん断造粒機を用いて達成した。或いは、高せん断湿式造粒を、流動層手順を用いて達成した。湿式造粒プロセシングは、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの不均化をもたらさなかった。
【0057】
以下の量(重量%)の成分を有する2つの錠剤(1aおよび1b)を、湿式造粒を用いて調製した。
【表7】
【0058】
高せん断湿式造粒:
以下の手順に従った。
【0059】
1.精製水およびポリビニルピロリドンK30を混合容器に加えることによって20%バインダー溶液を調製して、完全に溶解するまで撹拌する。
【0060】
2.ラクトース、微晶質セルロース(Avicel 102)、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HCl、および崩壊剤(クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン)を、高せん断造粒機に加える。
【0061】
3.インペラおよびチョッパを用いて、成分をから練りする。
【0062】
4.蠕動ポンプおよびフレキシブルチューブを用いて、工程1において調製したバインダー溶液を高せん断造粒機に加える。
【0063】
5.バインダー溶液をスプレーして、湿潤顆粒を形成する。バインダー溶液を噴霧しない追加の混合(湿式マシング(massing)としても知られている)を用いてもよい。
【0064】
6.湿潤顆粒をスクリーンに通す。
【0065】
7.トレー乾燥機および乾熱を用いて、顆粒を乾燥させる。
【0066】
8.乾燥した顆粒をスクリーンに通して、ビンに加える。
【0067】
9.工程8の材料に顆粒外崩壊剤(クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン)を添加して混合する。
【0068】
10.予めスクリーニングしたステアリン酸マグネシウム滑沢剤をビンに加えて、混合する。
【0069】
11.適切なロータリ錠剤プレスを用いて、工程10に由来する滑沢化された混合物を圧縮する。
【0070】
流動層造粒:
1.精製水およびPVP K30を混合容器に加えることによって、20%バインダー溶液を調製して、完全に溶解するまで撹拌する。
【0071】
2.ラクトース一水和物、微晶質セルロース、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HCl、およびクロスカルメロースナトリウム崩壊剤またはクロスポビドン崩壊剤を流動層に加えて、混合物を形成する。
【0072】
3.流動空気を用いて、標的層温度が55〜60℃に達するまで工程2の材料を予熱する。
【0073】
4.工程1において調製したバインダー溶液を、工程2に由来する混合物上にスプレーして、湿潤顆粒を形成する。
【0074】
5.工程4に由来する湿潤顆粒を流動化させて、乾燥させる。
【0075】
6.乾燥した顆粒をスクリーンに通して、ビンに加える。
【0076】
7.顆粒外クロスカルメロースナトリウム崩壊剤または顆粒外クロスポビドン崩壊剤を、乾燥した顆粒に添加して混合する。
【0077】
8.予めスクリーニングしたステアリン酸マグネシウム滑沢剤を、工程7に由来する混合物に添加して混合する。
【0078】
9.適切なロータリ錠剤プレスを用いて、滑沢化された最終混合物を圧縮する。
【0079】
ローラ圧縮プロセスとは対照的に、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClの湿式造粒は、2つの物理種しか生成しなかった。(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl塩の不均化物の不在は、水分の存在が、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミドHCl塩のより多くの不均化を誘導するはずであるので、完全に予想外でありかつ自明でない。実際には、湿式造粒を介してより多くの不均化物が存在することとなると直感的に思い込むが、この選択肢は追求しないこととする。
【0080】
湿式造粒を介して調製した錠剤は、相当な(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HClをもたらしたが、検出可能な量の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基も、検出可能な量の(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1遊離塩基ももたらさなかった。「LOD」は、「検出限界」を指し、「<LOD」は、示される材料の量が、あるにしても、検出可能でなかったことを意味する。
【表8】
【0081】
「F−1HCl」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1HClである。「AmHCl」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質HClである。「Am FB」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド非晶質遊離塩基である。「F−1 FB」は、(S)−N−(3−(6−イソプロポキシピリジン−3−イル)−1H−インダゾール−5−イル)−1−(2−(4−(4−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル)−2−オキソエチル)−3−(メチルチオ)ピロリジン−3−カルボキサミド結晶形態1遊離塩基である。
図1
図2
図3
図4