(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリオール化合物は、ポリエステル系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びこれらの組み合わせで形成された群から選択された一つ以上を含む、
請求項1に記載の真空熱成形用接着剤組成物。
前記基材層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、及びこれらの組み合わせからなる群で選択された一つを含む、
請求項3に記載の真空熱成形用デコレーションシート。
前記印刷層は、グラビア印刷、フレキソ印刷、またはロータリースクリーン印刷、及びこれらの組み合わせからなる群で選択された少なくとも一つの方法を利用して形成された、
請求項3に記載の真空熱成形用デコレーションシート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリウレタンポリマー及びアクリルポリマーを含み、溶融温度と架橋温度の差が30℃ないし60℃である真空熱成形用接着剤組成物を提供する。
【0005】
また、接着層;前記接着層の上部に形成された基材層;前記基材層の上部に形成された印刷層;及び前記印刷層の上部に形成された透明基材層を含み、前記接着層は、前記真空熱成形用接着剤組成物で形成された真空熱成形用デコレーションシートを提供する。
【0006】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に限らず、言及していない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【0007】
本発明は、ポリウレタンポリマー及びアクリルポリマー含み、溶融温度及び架橋温度の差が30℃ないし60℃である真空熱成形用接着剤組成物を提供する。
【0008】
前記溶融温度は50℃ないし90℃であり、前記架橋温度は110℃ないし150℃である真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0009】
前記接着剤組成物の固形分100重量部に対して、前記アクリルポリマーを1ないし10重量部含む真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0010】
前記アクリルポリマーは、重量平均分子量が200,000ないし800,000である真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0011】
前記接着剤組成物の固形分100重量部に対して、前記ポリウレタンポリマーを90ないし99重量部含含む真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0012】
前記ポリウレタンポリマーは、重量平均分子量が1,000ないし30,000である真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0013】
前記ポリウレタンポリマーが、イソシアネート化合物及びポリオール化合物から製造された、真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0014】
前記ポリオール化合物は、ポリエステル系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びこれらの組み合わせで形成された群から選択された一つ以上を含む真空熱成形用接着剤組成物を提供する。
【0015】
接着性付与樹脂、低分子量体、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、発泡剤、有機塩、及びこれらの組み合わせからなる群で選択された少なくとも一つを含む添加剤をさらに含む真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0016】
前記接着剤組成物は、粘度が800ないし7,000cpsである真空熱成形用接着剤組成物を提供することができる。
【0017】
本発明は、接着層;前記接着層の上部に形成された基材層;前記基材層の上部に形成された印刷層;及び前記印刷層の上部に形成された透明基材層を含み、前記接着層は、前述のような真空熱成形用接着剤組成物で形成された真空熱成形用デコレーションシートを提供する。
【0018】
前記接着層の厚さが、10μmないし50μmである真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0019】
前記基材層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含む真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0020】
前記接着層の下部に離型フィルム層をさらに含む真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0021】
前記離型フィルム層がポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムである真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0022】
前記印刷層は、グラビア印刷、フレキソ印刷、またはロータリースクリーン印刷、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも一つの方法を利用して形成されたものである真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0023】
前記透明基材層の上部にエンボス層をさらに含む真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【0024】
前記エンボス層は、エンボシング工程を利用して形成されたものである真空熱成形用デコレーションシートを提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による真空熱成形用接着剤組成物は、特定の重量平均分子量のポリウレタンポリマー及びアクリルポリマーを一定の比率で含むことで、溶融温度と架橋温度の差が30℃ないし60℃であるようにし、常温での劣化が少なくて、高温耐久性を有するものにすることができる。
【0026】
したがって、前記真空熱成形用接着剤組成物で形成された接着層を有するデコレーションシートは、真空熱成形工法を通じて前記デコレーションシートを射出物に付着する際に、優れた接着能及び高温耐久性を有する接着層を具現することができ、製造された製品の耐久性及び表面質感を向上させることができる。
【0027】
また、前記粘着層を適用したデコレーションシートを自動車内装材に適用することで、車内に優れた審美感を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、真空熱成形工法によって製造した自動車内装材で装飾する方法を研究するうち、接着剤が、成分は互いに溶融して混合するものの、官能基が互いに反応しない約50℃ないし約90℃の第1温度区間、及び化学的に架橋されて接着を行う約110℃ないし約150℃の第2温度区間を有することで、真空熱成形工程に使用されるデコレーションシートの接着層を形成する接着剤の溶融温度及び架橋温度の差が約30℃ないし約60℃であり、優れた高温耐久性を有することを確認したうえで、本発明を完成した。
【0030】
以下、添付図面を参考にして、本発明の実施例について本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0031】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似の構成要素については同じ参照符号を付する。
【0032】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するため厚さを拡大して示した。また図面において、説明の便宜のために一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。
【0033】
以下において、基材の「上部(または下部)」または基材の「上(または下)」に任意の構成が形成されるということは、任意の構成が前記基材の上面(または下面)に接して形成されることを意味するだけでなく、前記基材と基材の上に(または下に)形成された任意の構成間に他の構成を含まないことに限定することではない。
【0034】
真空熱成形用接着剤組成物
真空熱成形工法は、自動車、家具など、様々な内外装材を飾るためにデコレーションシートを射出物に加飾する工法の一つである。前記真空熱成形方法は、高温かつ真空の条件下で行われるため、この過程で前記デコレーションシートが射出物に良く融着されるように、優れた接着性を有するとともに高温耐久性を有する接着層を具現することは重要な問題である。
【0035】
前記真空熱成形工法は、表面に何ら柄のない射出物が置かれたテーブルが上昇してデコレーションシートに付着する前に、真空吸入後、ヒーターが点火してデコレーションシートを延伸する。このとき、ヒーターは、デコレーションシートを100℃ないし150℃の温度まで加熱させて、デコレーションシートの接着層を形成する接着剤が溶融されて、射出物の上昇時にデコレーションシートが容易に付着できるようにする。この後、ヒーターが消火して、射出物の置かれたテーブルが上昇しデコレーションシートに圧着されて、接着層が架橋されながら射出物の表面加飾処理が完了する。
【0036】
これに、本発明は、前記真空熱成形工程に好適な溶融温度と架橋温度物性の接着層を有するデコレーションシートを提供するために、前記接着層に好適な真空熱成形用接着剤組成物を提供する。
【0037】
したがって、本発明の真空熱成形用接着剤組成物は、約50℃ないし約90℃の第1温度区間で接着剤成分が溶融して混合するが、官能基は、互いに反応せず、ただ溶剤のみが揮発して接着層を形成し、約110℃ないし約150℃の第2温度区間で接着剤が化学的に架橋して接着が行われる。
【0038】
本発明は、ポリウレタンポリマー及びアクリルポリマーを含み、溶融温度及び架橋温度の差が約30℃ないし約60℃である真空熱成形用接着剤組成物を提供する。
【0039】
具体的に、前記溶融温度は約50℃ないし約90℃であり、前記架橋温度は約110℃ないし約150℃であってもよい。既存の接着剤を利用したとき、真空熱成形で高温耐久性を満たすためには成形時に接着温度が高いほど好ましいが、フィルム成形時に高い熱によってフィルムが損傷するおそれがあり、加工性も低下するおそれがある。また、真空熱成形時にフィルムの損傷と加工性を考慮して接着温度を110℃未満に設計すると、高温耐久性テスト時に射出物とデコレーションシート間の付着力が低下する結果をもたらす。
【0040】
かかる問題点を克服するために、真空熱成形工法に本発明による真空熱成形用接着剤組成物を適用して、射出物をデコレーションシートで表面処理する場合、例えば約90℃で溶融された接着剤が、約150℃で架橋されることで、本工程に好適な接着層を具現することができる。
【0041】
前記接着剤組成物の固形分100重量部に対して、前記アクリルポリマーは、約1ないし約10重量部で含むことができる。
【0042】
前記アクリルポリマーは、アクリレートモノマーまたはオリゴマーが重合して形成されてもよい。このとき、前記アクリレートモノマーとしては様々なアクリレートモノマーが使用可能であり、例えば1,2−エチレングリコールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl pivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロ−ルジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、または9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フッ素(fluorine)など、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートの2官能アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレートなどの3官能アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、またはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能アクリレートなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
前記アクリルポリマーが、接着剤に接着剤組成物の固形分100重量部に対して、約1ないし約10重量部含まれることで、接着剤に仮接着効果を付与して、溶融温度と架橋温度の差を約40℃に調節できるようにする。アクリルポリマーが1重量部以下含まれる場合、基材に初期付着性が出ない問題があり、10重量部超えて含まれる場合、高温でも接着力を発揮できるポリウレタンポリマーの含量が減り、結果的に高温での接着剤の接着力が低下するおそれがある。
【0044】
また、前記アクリルポリマーは、重量平均分子量が200,000ないし800,000であってもよい。アクリルポリマーの重量平均分子量が前記範囲を維持することで、接着剤の溶融及び架橋温度の範囲を調節することができ、優れた高温耐久性及び接着力を具現する接着剤を提供することができる。
【0045】
次に、前記真空熱成形用接着剤組成物は、ポリウレタンポリマーを含むが、前記接着剤組成物の固形分100重量部に対して、前記ポリウレタンポリマーを、約90ないし約99重量部含むことができる。
【0046】
前記ポリウレタンポリマーは、活性ヒドロキシ基を有するアルコールとイオシアネート基を有するイソシアネートが重合反応によって反応熱を発生させながら形成される。前記ポリウレタンポリマーを含むことで、成形時に伸びる柔軟性の物性が接着剤に付与されて、具体的に、前記接着剤組成物の固形分100重量部に対して、約90ないし約99重量部含むことで、柔軟性と接着性を具現することができる。前記範囲未満や超過になると、柔軟性及び高温で高い接着強度を達成できない問題点が生じる。
【0047】
また、前記ポリウレタンポリマーは、重量平均分子量が約1,000ないし約30,000であってもよいし、好ましくは約3,000ないし約10,000であってもよい。本発明による真空熱成形用接着剤組成物は、前記重量範囲のポリウレタンポリマーを含むことで、柔軟性及び高い接着強度の効果を有することができる。
【0048】
前記ポリウレタンポリマーは、イソシアネート化合物、ポリオール化合物から製造されてもよい。
【0049】
前記イソシアネート化合物は、分子当たり2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、芳香族ジイソシアネート及びその誘導体らが用いられてもよい。前記イソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アロファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、及びこれらの組み合わせで形成された群から選択された一つ以上の化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0050】
また、前記ポリオール化合物は、ポリエステル系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びこれらの組み合わせで形成された群から選択された一つ以上であってもよいし、より好ましくはポリエステル系ポリオール、またはポリエーテル系ポリオールであってもよい。ポリエステル系ポリオールは、耐加水分解性、低温柔軟性、酸とアルカリに対する耐性、電気絶縁性などの性質に優れており、ポリエーテル系ポリオールは柔軟性、高伸び率などの性質を付与することができる。
【0051】
具体的に、ポリエステルポリオール対ポリエーテルポリオールの重量比は、特に制限されないが、好ましくは1:9ないし9:1であってもよい。前記範囲の含量を維持することで、柔軟性、酸とアリカリに対する耐性、高伸び率等の特性を具現することができる。
【0052】
前記接着剤組成物は、架橋温度区間で約110℃ないし約150℃を達するためにイソシアネート基の一部または全部をブロック化剤にブロック化されたブロックイソシアネート硬化剤を使用することができる。また、前記ブロック化剤は、ε−カプロラクタム(caprolactam)、メチルエチルケトオキシム(methyl ethyl ketone oxime)、1,2−ピラゾール(pyrazole)、ジイソプロピルアミン(diisopropylamine)、または3,5−ジメチルピラゾール(dimethylpyrazole)などが使用されてもよい。
【0053】
ポリウレタンポリマーを形成するためにウレタン反応触媒、重合開始剤などが添加されてもよい。前記ウレタン反応触媒は、ウレタン反応中に少量添加される触媒であって、この好ましい例としては、ナフテン酸銅(copper naphthenate)、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、n−ブチルチンラウレート(butyltinlaurate)、トリスチルアミン(tristhylamine)、または2−メチルトリエチレンジアミドを含むことができる。
【0054】
前記重合開始剤の好ましい例としては、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、ヒドロキノン(hydroquinone)、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、フェノチアジン、及びこれらの混合物であってもよい。使用される触媒の使用量によって、反応性のほか反応混合物の流動性と生成物の表面層形成に関与する工程の諸般事項と、得られた生成物の影響を及ぼすことができるため、前記ポリウレタンポリマーは、触媒を約0.01ないし0.03重量%含むことが好ましい。
【0055】
前記真空熱成形用接着剤組成物は、接着性付与樹脂、低分子量体、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色制、補強剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、発泡剤、有機塩、及びこれらの組み合わせからなる群で選択された少なくとも一つを含む添加剤をさらに含むことができる。
【0056】
前記真空熱成形用接着剤組成物は、硬化剤を含む。前記硬化剤は、常温ではイソシアネート基(−NCO)と、水酸基(−OH)、またはアミノ基(−NH)が反応できないように、イソシアネート基をブロッキングしておき、一定の熱を受けると、ブロッキング剤が解離されながら(−NCO)の反応性が増加して硬化反応を行う。硬化剤の解離温度は100℃以上であり、好ましくは110℃ないし130℃である。
【0057】
前記真空熱成形用接着剤組成物の粘度は、約800cpsないし約7000cpsであってもよいし、好ましくは約1000cpsないし約5000cpsであってもよい。前記範囲の粘度を維持することで、前記接着剤は、優れた高温耐久性及び接着能を有することができ、射出物の表面装飾のためのデコレーションシートがずれる、または損傷することなく、安定的に射出物に付着することができる。
【0058】
真空熱成形用デコレーションシート
本発明は、接着層;前記接着層の上部に形成された基材層;前記基材層の上部に形成された印刷層;及び前記印刷層の上部に形成された透明基材層を含み、前記接着層は、前述の真空熱成形用接着剤組成物で形成された真空熱成形用デコレーションシートを提供する。
【0059】
図1は、前記真空熱成形用デコレーションシート100の断面を概略的に示した図面である。
図1を参照すれば、前記真空熱成形用デコレーションシート100は、接着層10、基材層20、印刷層30、及び透明基材層40が順次積層された構造である。
【0060】
前記真空熱成形用デコレーションシート100は、各種内外装材の表面を装飾するために使用されるものであって、このような内外装材に真空熱成形方法で付着することができる。このとき、前記接着層10の組成は、前述の接着剤組成物で形成されたものであって、真空熱成形に好適な溶融温度と架橋温度を有し、優れた高温耐久性を有することで、劣化されず、表面エネルギーの低い基材にも良く付着することができる。
【0061】
具体的に、前記接着層10の厚さは約10μmないし約50μmであってもよい。前記接着層10の厚さを前記範囲にすることで、屈曲のある表面に対しても優れた付着性を示すことができ、真空熱成形過程で優れた接着性を容易に具現することができる。
【0062】
前記真空熱成形用デコレーションシート100は、前記接着層10の上部に基材層20を含むことができる。前記基材層20は、前記真空熱成形用デコレーションシートの中心基材の役割を果たすものであり、真空熱成形過程で優れた耐熱性を確保するとともに、優れた耐久性を示すことができる。
【0063】
具体的に、前記基材層20は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された一つを含むことができる。例えば、前記基材層20は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)を含むことができ、この場合、優れた成形性及び耐熱性を同時に確保することができる。
【0064】
前記基材層20の厚さは約0.5mmないし約3mmであってもよい。前記基材層の厚さを前記範囲にすることで、中心基材として優れた耐久性を確保しながら前記デコレーションシートの真空熱成形過程で優れた耐熱性を確保することができる。
【0065】
前記真空熱成形用デコレーションシート100は、前記基材層20の上部に印刷層30を含むことができる。前記印刷層30は、必要によって様々な原料及び印刷方法を選んで印刷柄を形成することで製造することができ、前記デコレーションシートによる美感効果を直接に付与する役割を果たすものである。
【0066】
具体的に、前記印刷層30は、グラビア印刷、フレキソ印刷、またはロータリースクリーン印刷、及びこれらの組み合わせからなる群で選択された少なくとも一つの方法を利用して形成することができる。例えば、前記基材層20は、熱成形の可能なポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)を含むことができ、この場合、前記基材層の上部に基材の損傷なしに直接印刷工法を利用して印刷層を形成することで、既存の転写方式より工程単純化による費用節減及び不良率の減少という効果を得ることができる。
【0067】
前記印刷層30の厚さは約1μmないし約40μmであってもよい。前記印刷層の厚さを前記範囲にすることで、鮮明な印刷柄を示すとともに、上部に形成されるエンボス層2との優れた互換性を確保することができる。
【0068】
前記真空熱成形用デコレーションシート100は、前記印刷層30の上部に透明基材層40を含むことができる。前記透明基材層40は、具体的に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含んでもよいが、これに限定されない。前記透明基材層40を含むことで、印刷層20を保護し、光沢と耐磨耗性を向上させる効果がある。
【0069】
また、前記透明基材層40に代えて、前記印刷層30の真上に表面処理剤をコーティングすることができる。すなわち、前記真空熱成形用デコレーションシート100は、エンボス層2及び印刷層30の間に前記透明基材層40に代えて、前記表面処理制によるコーティング層をさらに含むことができる。
【0070】
図2は、本発明の他の具現例による真空熱成形用デコレーションシート200の断面を概略的に示したものである。
【0071】
前記真空熱成形用デコレーションシート200は、前記接着層10の下部に離型フィルム層1をさらに含むことができる。前記離型フィルム層1は、前記デコレーションシートが真空熱成形に利用される前に剥離されるものであって、前記デコレーションシート100の流通及び運送を容易にする役割を果たすものである。
【0072】
具体的に、前記離型フィルム層1は、ポリエチレンテレフタラート(PET)を含むことができ、より具体的に、シリコーンコーティング剤がコーティングされているポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムを使用することができる。この場合、前記離型フィルム層1の真上に接着層10を形成するとき、優れたコーティング性及び剥離性を確保することができる。
【0073】
前記離型フィルム層1の厚さは、約20μmないし約100μmであってもよい。前記離型フィルム層1の厚さが前記範囲にすることで、剥離が容易であり、その上部に接着層10を形成する過程で優れた加工性を確保することができる。
【0074】
また、前記真空熱成形用デコレーションシート200は、透明基材層40の上部にエンボス層2をさらに含むことができる。具体的に、前記エンボス層2は、エンボシング工程を利用して形成されてもよい。
【0075】
前記エンボス層は、前記エンボス柄により形成された凹部及び凸部を含むことで、前記印刷層の印刷柄にさらに優れた美感効果を付与して外部に具現することができる。
【0076】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより理解しやすくするために提供されるだけのものであり、下記の実施例によって本発明の内容が限定されることではない。
【0077】
実施例1
1.接着剤組成物製造
1)アクリルポリマー合成
窒素ガスが還流して、温度調節が容易であるように冷却装置を配設した2L反応機に、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)20重量部、n−ブチルアクリレート40重量部(n−BA)イソボルニルアクリレート(IBOA)30重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(EHA)10重量部、分子量調節剤n−ドデシルメルカプタン0.05重量部に対して、単量体混合物を投入して、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を投入し、重量平均分子量が60万であり、ガラス転移温度が−26℃であるアクリルポリマーを製造した。
【0078】
2)ポリウレタンポリマー合成
窒素ガスが還流して、温度調節が容易であるように冷却装置を配設した2L反応機に、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol )900gと無水マレイン酸500g、無水フタル酸500gを縮合反応させる。縮合反応が完了すると、メチルエチルケトン(MEK)を加えて粘度を低くする。ここにキシレンジイソシアネート(xylene diisoeyanate)0.5モルとバクセンデン社(Baxenden)のブロックイソシアネートBI7990を投入して、1液型ポリウレタンポリマーを合成した。
【0079】
前記ポリウレタンポリマー95重量部と前記アクリルポリマー5重量部を配合して接着剤組成物を製造した。
【0080】
2.真空熱成形用デコフィルムの製造
0.15mm厚さのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)基材層の上部に、グラビア印刷方法を通じて20μm厚さの印刷層を形成した。前記印刷層の上部に、10μm厚さのポリメチルメタクリレート(PMMA)透明基材層を形成して、前記透明基材層の上部にUVインプリント方法でエンボス層を形成した。一方、50μm厚さのポリエチレンテレフタラート(PET)離型フィルム層を準備し、前記離型フィルム層の上部に前記実施例及び比較例において製造された接着剤組成物を塗布して、35μm厚さの接着層を製造した。次いで、前記基材層の下部に前記接着層が付着するように合板して、真空熱成形用デコレーションシート製造を完了した。
【0081】
実施例2
前記ポリウレタンポリマー90重量部と前記アクリルポリマー10重量部を配合して接着剤組成物を製造した以外は、前記実施例1と同じ方法でデコレーションシートを製造した。
【0082】
比較例1
前記ポリウレタンポリマー80重量部と前記アクリルポリマー20重量部を配合して接着剤組成物を製造した以外は、前記実施例1と同じ方法でデコレーションシートを製造した。
【0083】
比較例2
前記ポリウレタンポリマー100重量部を配合して接着剤組成物を製造した以外は、前記実施例1と同じ方法でデコレーションシートを製造した。
【0084】
比較例3
ポリウレタンの合成過程において、バクセンデン社(Baxenden)のブロックイソシアネートBI7990を除いて製造した後、前記ポリウレタンポリマー90重量部と前記アクリルポリマー10重量部を配合して接着剤組成物を製造した以外は、前記実施例1と同じ方法でデコレーションシートを製造した。
【0085】
実験例
下記の方法で評価して、結果を表1に表した。
【0086】
1)剥離力評価
真空熱成形用デコレーションシートを25mm×20cm(横×縦)のサイズで裁断して試片を製造する。その後、前記試片の離型フィルムを除去して、ABS基材面にラミネーターで130℃熱を加えて熱ラミネートした後、付着して30分経過した時点で、引張試験機を使用して300mm/minの剥離速度及び180゜の剥離角度の条件で剥離力を測定した。
【0087】
2)高温耐久性評価
実施例及び比較例において製造された真空熱成形用デコレーションシートで離型フィルムを除去して、真空熱成形方法でサンプルを製作した。高温耐久性評価は、80℃で300時間の間、オーブンに真空熱成形方法で製作したサンプルを放置し、成形品と前記シートのエッジ部分の仕上げと浮きの有無を観察して、下記の基準に従って評価した。
【0088】
<評価基準>
○:浮きが観察されていない
×:浮きが観察されている
【0089】
3)付着性評価
JIS K 5600−5−6によって付着性評価を行う。実施例及び比較例による試片の表面に図面のようにクロスカットする。その後、表面を柔らかいブラシできれいにし、規定テープ(JIS Z 1522)を堅く付着させた後、テープを90゜の角度で強く引き剥がす。判定は、次の基準に従う(
図3参照)。
【0090】
<評価基準>
○:Cross−cut影響を受けた剥離の損傷なし。
△:Cross−cut影響を受けた剥離の5−15%剥離。
×:Cross−cut影響を受けた剥離が全部剥離。
【0091】
4)成形性評価
成形条件は、フィルム実測温度150℃にして真空熱成形を行った。屈曲の部分で成形が良く行われるか否かを確認し、成形品及びフィルムがEdge部分において内側に良く巻かれているか否かを評価した(
図4参照)。
【0092】
<成形例>
<評価基準>
○:屈曲の部分に成形が良く行われた。Edge部分が内方に良く巻かれている。
×:成形が良く行われず、Edge部分の巻きも不足である。
【0094】
前記表1に表れたように、前記実施例のデコレーションシートは、前記比較例1及び2、3に比べて優れた成形性、高温耐久性、付着性、及び剥離力を有することが分かった。特に、アクリルポリマーを含まない比較例2の接着剤の場合、全体的な物性が顕著に低下することが分かった。また、ブロックイソシアネートを使用しない比較例3の場合、架橋温度が非常に低く、物性も低下した。したがって、本発明の範囲内にポリウレタンポリマー及びアクリルポリマーを含むことで、溶融温度と架橋温度の差が30℃以上である接着剤を製造するため、優れた高温耐久性、成形性、付着性、及び剥離力を具現することができる。