(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6657346
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】外壁塗膜用石綿除去装置及びグラインダー用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20200220BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20200220BHJP
B24B 23/02 20060101ALI20200220BHJP
B24B 55/05 20060101ALI20200220BHJP
B24B 7/18 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
E04G23/02 Z
B24B55/10
B24B23/02
B24B55/05
B24B7/18
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-168410(P2018-168410)
(22)【出願日】2018年9月10日
【審査請求日】2018年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】518108726
【氏名又は名称】三共通商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓志
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−059394(JP,A)
【文献】
実開昭63−161655(JP,U)
【文献】
米国特許第03826045(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04G 23/08
B24B 7/18
B24B 23/02
B24B 55/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の石綿含有塗膜に回転する研磨部材を面接触させて、該石綿含有塗膜を前記構造物から剥離するグラインダーと、前記剥離された剥離物の粉塵の飛散を抑えるべく水を供給するための注水管と、減圧装置に導かれ、該減圧装置による負圧によって、前記剥離物と前記供給された水とからなる混濁水を濾過装置へ引き取るための排水管とを備える外壁塗膜用石綿除去装置であって、
前記グラインダーの本体、前記注水管及び前記排水管は、構造物と面接触する前記研磨部材の面と略平行に延伸するように、且つ、前記グラインダーの本体と前記注水管とが前記研磨部材の回転中心から遠ざかる向きに広がる略ハの字型を形成するように配され、
前記グラインダーの本体及び前記注水管を介して把持して使用されることを特徴とする外壁塗膜用石綿除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁塗膜用石綿除去装置であって、さらに、
前記注水管に把持部を備えることを特徴とする外壁塗膜用石綿除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外壁塗膜用石綿除去装置であって、さらに、
前記混濁水が前記排水管を介さずに外部に漏出することを防ぐカバーを備えることを特徴とする外壁塗膜用石綿除去装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載の外壁塗膜用石綿除去装置であって、
前記グラインダーがエアモータによって駆動することを特徴とする外壁塗膜用石綿除去装置。
【請求項5】
構造物の石綿含有塗膜に回転する研磨部材を面接触させ、該石綿含有塗膜を前記構造物から剥離させるハンディタイプのグラインダーに取り付けられることで外壁塗膜用石綿除去装置を形成するグラインダー用アタッチメントであって、
前記剥離された剥離物の粉塵の飛散を抑えるべく水を供給するための注水管と、
減圧装置に導かれ、該減圧装置による負圧によって、前記剥離物と前記供給された水とからなる混濁水を濾過装置へ引き取るための排水管と、
前記グラインダーを取り付けるための取付部材と、
を備え、
前記注水管及び前記排水管は、構造物と面接触する前記研磨部材の面と略平行に延伸するように、且つ、取り付けられた前記グラインダーの本体と前記注水管とが前記研磨部材の回転中心から遠ざかる向きに広がる略ハの字型を形成するように配され、
前記グラインダーの本体及び前記注水管を介して把持して使用されることを特徴とするグラインダー用アタッチメント。
【請求項6】
請求項5に記載のグラインダー用アタッチメントであって、さらに、
前記注水管に把持部を備えることを特徴とするグラインダー用アタッチメント。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のグラインダー用アタッチメントであって、さらに、
前記混濁水が前記排水管を介さずに外部に漏出することを防ぐカバーを備えることを特徴とするグラインダー用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コンクリート製の構造物から石綿含有塗膜を除去する外壁塗膜用石綿除去装置及びグラインダー用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
石綿は、耐熱性、吸音性、保温性等に優れ、かつては建築や土木によるコンクリート製の構造物の表面に塗装されていた。しかし近年、石綿は発癌性物質といわれており、石綿吸引による疾病患者が多く見られるようになった。現在、飛散しやすい状態で使用されている石綿については、一般環境から適切に隔離処理する必要がある。
【0003】
従来では、例えば、特許文献1に示される、グラインダーを用いて構造物から石綿含有塗膜を剥離し、この剥離物を吸引装置で吸引して回収するといった方法で石綿含有塗膜を除去していた。しかしながら、上記の方法では、一部の剥離物の粉塵が吸引装置によって回収されず、飛散する場合があり、この飛散した剥離物の粉塵を作業者が吸引すると、作業者の健康が害されるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−172295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、例えば、グラインダーを用いて構造物から石綿含有塗膜を剥離する際に水を供給しながら剥離することで、剥離物の粉塵の飛散を抑えることができるが、グラインダーを用いた装置である性質上、作業面に研磨部材をしっかりと押し当てる必要があるところ、グラインダーや水の供給部材による加重下においては、作業が容易となるよう操作性を向上させる必要がある。
【0006】
本発明は、従来のこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、剥離物の粉塵を飛散させることなく回収することを可能としつつ、容易に操作できる外壁塗膜用石綿除去装置及びグラインダー用アタッチメントを提供することにある。
【0007】
本発明の第1の側面に係る外壁塗膜用石綿除去装置は、構造物の石綿含有塗膜に回転する研磨部材を面接触させて、該石綿含有塗膜を前記構造物から剥離するグラインダーと、前記剥離された剥離物の粉塵の飛散を抑えるべく水を供給するための注水管と、減圧装置に導かれ、該減圧装置による負圧によって、前記剥離物と前記供給された水とからなる混濁水を濾過装置へ引き取るための排水管とを備える外壁塗膜用石綿除去装置であって、前記グラインダーの本体、前記注水管及び前記排水管は、構造物と面接触する前記研磨部材の面と略平行に延伸するように、且つ、前記グラインダーの本体と前記注水管とが前記研磨部材の回転中心から遠ざかる向きに広がる略ハの字型を形成するように配され、前記グラインダーの本体及び前記注水管を介して把持して使用されるよう構成できる。
【0008】
前記構成によれば、剥離物を水によって湿潤させることで、剥離物の粉塵を飛散させることなく回収することを可能としつつ、グラインダーの本体及び注水管がハの字に配されるため、使用者は、両手で、且つ、力を加えやすい状態で外壁塗膜用石綿除去装置を把持することができるため、容易に操作することができる。また、石綿含有塗膜の表面に付着した異物を巻き込んだ際の突発的な振動に対しても容易に対応できるようになり、安全面からみても好適である。
【0009】
また、本発明の第2の側面に係る外壁塗膜用石綿除去装置は、前記グラインダーの本体又は前記注水管の少なくともいずれか一方に把持部を備えることができる。
【0010】
前記構成によれば、把持部によって外壁塗膜用石綿除去装置を把持することができる。
【0011】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る外壁塗膜用石綿除去装置は、前記混濁水が前記排水管を介さずに外部に漏出することを防ぐカバーを備えることができる。
【0012】
前記構成によれば、混濁水の外部への漏出を防ぎ、濾過装置へ引き取ることができるので、石綿の飛散による、使用者等、構造物周辺の人へ健康被害が及ぶのを防ぐことができる。
【0013】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る外壁塗膜用石綿除去装置は、前記グラインダーがエアモータによって駆動するよう構成できる。
【0014】
前記構成によれば、電動モータを用いたグラインダーに比べ、発熱を抑えることができるため、グラインダーの本体を直接把持して操作することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第5の側面に係るグラインダー用アタッチメントは、構造物の石綿含有塗膜に回転する研磨部材を面接触させ、該石綿含有塗膜を前記構造物から剥離させるハンディタイプのグラインダーに取り付けられることで外壁塗膜用石綿除去装置を形成するグラインダー用アタッチメントであって、前記剥離された剥離物の粉塵の飛散を抑えるべく水を供給するための注水管と、減圧装置に導かれ、該減圧装置による負圧によって、前記剥離物と前記供給された水とからなる混濁水を濾過装置へ引き取るための排水管と、前記グラインダーを取り付けるための取付部材と、を備え、前記注水管及び前記排水管は、構造物と面接触する前記研磨部材の面と略平行に延伸するように、且つ、取り付けられた前記グラインダーの本体と前記注水管とが前記研磨部材の回転中心から遠ざかる向きに広がる略ハの字型を形成するように配され、前記グラインダーの本体及び前記注水管を介して把持して使用されるよう構成できる。
【0016】
さらにまた、本発明の第6の側面に係るグラインダー用アタッチメントは、前記注水管に把持部を備えることができる。
【0017】
さらにまた、本発明の第7の側面に係るグラインダー用アタッチメントは、前記グラインダーの本体に取り付け可能な把持部を備えることができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第8の側面に係るグラインダー用アタッチメントは、前記混濁水が前記排水管を介さずに外部に漏出することを防ぐカバーを備えることができる。
【0019】
前記構成によれば、既存のハンディタイプのグラインダーに取り付けることで、外壁塗膜用石綿除去装置を形成することができる。また、グラインダーに取り付けた際に、グラインダーの本体及び注水管がハの字に配されるため、使用者は、両手で、且つ、力を加えやすい状態で外壁塗膜用石綿除去装置を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置の正面図である。
【
図2】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置の背面図である。
【
図3】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置の説明図である。
【
図4】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置のA―A'断面図である。
【
図5】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置のカバーの説明図である。
【
図6】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置の使用状態を説明する図である。
【
図7】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置の他の形態の説明図である。
【
図8】本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置を用いた石綿含有塗膜の除去の流れを説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の第二実施例に係るグラインダー用アタッチメントの正面図である。
【
図10】本発明の第二実施例に係るグラインダー用アタッチメントの背面図である。
【
図11】本発明の第二実施例に係るグラインダー用アタッチメントを取り付ける流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための外壁塗膜用石綿除去装置及びグラインダー用アタッチメントを例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第一実施例:外壁塗膜用石綿除去装置1)
【0022】
本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置1について、
図1〜
図9に基づいて説明する。
【0023】
図1の正面図、
図2の背面図及び
図3の説明図に示すように、本発明を適用した外壁塗膜用石綿除去装置1は、グラインダー11、注水管12、排水管13及びカバー14を備え、コンプレッサー2、濾過装置3及び減圧装置4と接続して用いられることで構造物の石綿含有塗膜ALを除去することができる装置である。以下で各部材について説明する。
(グラインダー11)
【0024】
グラインダー11は、
図4のA―A'断面図に示すように、研磨部材111、エアモータ112及びグラインダーの本体113とからなり、構造物から石綿含有塗膜ALを剥離するための部材である。
【0025】
グラインダー11は、コンプレッサー2によって、エアモータ112に圧縮空気が送られることで研磨部材111が回転する。この回転する研磨部材が構造物の石綿含有塗膜ALに面接触するよう押し付けられ、研削されることで、研磨部材111の摩擦力によって石綿含有塗膜ALは剥離し、剥離物SOとなる。
【0026】
なお、グラインダー11の動力は、エアモータ112に限定されないが、外壁塗膜用石綿除去装置1がグラインダーの本体113を把持して使用される(詳細は後述する。)都合上、発熱量の少ないエアモータ112を用いるのが好ましい。動力として電気モータを用いる場合には、コンプレッサー2は不要である。
(注水管12)
【0027】
注水管12は、グラインダー11によって石綿含有塗膜ALが剥離されることで発生する剥離物SOを湿潤化させるための水を供給するための部材である。
【0028】
注水管12は、
図3の説明図に示すように、一端がカバー14に溶着され、他端がホースや蛇口等を介して水源となる水道に接続されることで、外壁塗膜用石綿除去装置1に水を供給する。供給された水は、カバー14に設けられた例えば8つの噴射孔142から噴射され、剥離物SOを湿潤化する(詳細は後述する。)。
【0029】
なお、注水管は前記構成に限定されず、例えば水源として、水道に代えて、予め水が蓄えられたタンク等を用いてもよい。また、バルブを設け、水の供給の有無や供給量を操作できるようにしてもよい。また、電磁弁を用いて水の供給の有無を操作できるようにし、研磨部材111の回転と同時に水が供給されるようにしてもよい。
(排水管13)
【0030】
排水管13は、注水管12が供給する水によって、剥離物SOが湿潤化してなる混濁水TWを濾過装置3へ引き取るための部材である。
【0031】
排水管13は、
図3の説明図に示すように、一端がカバー14に溶着され、他端がホースを介して濾過装置3に接続される。また、濾過装置3の濾過槽31には減圧装置4が接続され、この減圧装置4により濾過槽31の内部を負圧状態にすることができる。これにより、外壁塗膜用石綿除去装置1と濾過槽31との間に圧力差が生じ、混濁水TWは圧力の低い濾過槽31に向かって流れ、回収される。濾過槽31に集められた混濁水TWは濾過され、濾過水FWと剥離物SO'とに分けられた後、夫々処理される。この実施例では減圧装置3として約50キロパスカルの負圧を生じさせることができるものを用いている。
【0032】
なお、排水管13は、必ずしも濾過装置4と接続される必要はなく、例えば、混濁水TWを一時的に貯めておくタンクと接続するようにしてもよい。この場合、作業する構造物の近くに濾過装置3を配置する必要がなく、作業の後、混濁水TWをタンクごと濾過施設に運搬し、まとめて処理することも可能である。
(カバー14)
【0033】
カバー14は、グラインダー11によって石綿含有塗膜ALが剥離されることで発生する剥離物SOが外部に飛散することを防ぐための部材である。
【0034】
カバー14は、
図5に示すように、略円筒形状の部材であって、
図4に示すようにグラインダー11に取り付けられた際に、一方の端部から研磨部材111が突出するよう構成される。また、円筒外側の側面には開口部141a、141bを、円筒内側の側面には例えば8つの噴射孔142有し、円筒内部に開口部141aと噴射孔142とを繋ぐ注水路143を有する。
【0035】
カバー14は、開口部141aに注水管12が溶着され、開口部141bに排水管13が溶着され、
図2に示すように、グラインダーの本体113及び注水管12が排水管13を基準に30°開いた位置に配される。これにより、外壁塗膜用石綿除去装置1を
図6に示すように、ハの字に配されるグラインダーの本体113及び注水管12を両手で把持することができるので、楽に操作することができる。また、構造物の壁面の石綿含有塗膜ALを除去する場合、グラインダーの本体113及び注水管12を両手で把持すると、自然に排水管13が下を向くため、混濁水TWにかかる重力が、前述の減圧装置4を用いた混濁水TWの回収を阻害しない。
【0036】
また、
図5に示すように、カバー14において、研磨部材111の突出側にはゴム製の遮蔽部144が取り付けられる。遮蔽部144は複数の切れ目を有し、研磨部材111を構造物の石綿含有塗膜ALに押し付けた際に変形し、構造物とカバー14とに隙間ができることを防ぐ。これにより、混濁水TWが外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0037】
なお、必ずしもグラインダーの本体113及び注水管12を把持する必要はなく、例えば
図7に示すように把持部15を設け、把持部15を把持して使用する態様であってもよい。
(石綿含有塗膜の除去の流れ)
【0038】
以下、外壁塗膜用石綿除去装置1を用いた石綿含有塗膜ALの除去の流れを
図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
まず、ステップST101で、コンプレッサー2、濾過装置3及び減圧装置4を起動し、外壁塗膜用石綿除去装置1を使用可能状態とする。
【0040】
次に、ステップST102で、外壁塗膜用石綿除去装置1のグラインダーの本体113及び注水管12を両手で把持し、研磨部材111を構造物の石綿含有塗膜ALに押し付ける。これにより、研磨部材111の摩擦力によって石綿含有塗膜ALは剥離し、剥離物SOとなる
【0041】
次いで、ステップST103で、剥離物SOが噴射孔142から噴射される水によって湿潤化され、混濁水TWとなり、減圧装置4が生じさせる負圧によって、排水管13を介して濾過装置3の濾過槽31に集められる。
【0042】
最後に、ステップST104で、濾過槽31に集められた混濁水TWが濾過され、濾過水FWと剥離物SO'とに分けられた後、夫々処理される。
【0043】
以上の通り、実質的に使用者が行う工程はステップST101及びステップST102のみであり、外壁塗膜用石綿除去装置1を用いることで容易に石綿含有塗膜ALの除去を行うことができる。また、ステップST103で、剥離物SOを水によって湿潤させることで剥離物SOの粉塵の飛散を防ぎ、遮蔽部144によって混濁水TWの外部への漏出を防ぐことができるので、石綿の飛散による、使用者等、構造物周辺の人へ健康被害が及ぶのを防ぐことができる。
(第二実施例:グラインダー用アタッチメント1')
【0044】
本発明の第二実施例に係るグラインダー用アタッチメント1'について、
図9〜
図11に基づいて説明する。
【0045】
図9の正面図及び
図10の背面図に示すように、グラインダー用アタッチメント1'は、注水管12、排水管13、カバー14及び取付部材16'とからなるアタッチメントである。グラインダー用アタッチメント1'は、ハンディタイプのグラインダー11'に取付部材16'を用いて取り付けることで、ハンディタイプのグラインダー11'を本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置1と同様の機能を持たせることができるアタッチメントである。
【0046】
グラインダー用アタッチメント1'は、
図11のフローチャートに示すように、ステップST201でカバー14の中心にエアモータ112'の回転軸を通し、ステップST202で研磨部材111'をエアモータの112'の回転軸に取り付け、ステップST203で取付部材16'を螺合し、グラインダーの本体113'に固定することで、ハンディタイプのグラインダー11'に取り付けることができる。
【0047】
このように、第二実施例に係るグラインダー用アタッチメント1'は、既存のハンディタイプのグラインダーに容易に取り付けることができ、本発明の第一実施例に係る外壁塗膜用石綿除去装置1として使用することができる。すなわち、既にグラインダーを所有している使用者は、外壁塗膜用石綿除去装置1よりも低廉に製造・供給可能なグラインダー用アタッチメント1'をもって、容易に石綿含有塗膜ALの除去を行うことができる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態に係る外壁塗膜用石綿除去装置1及びグラインダー用アタッチメント1'は、剥離物SOを水によって湿潤させることで剥離物SOの粉塵を飛散させることなく回収することを可能としたものでありながら、グラインダーの本体113、113'及び注水管13がハの字に配される態様とすることで、使用者が両手で、且つ、力を加えやすい状態で把持できるよう構成したものである。
【0049】
これにより、一般的なグラインダーや従来の外壁塗膜用石綿除去装置に比べ重量が大きくとも、容易に操作することが可能である。また、石綿含有塗膜の表面に付着した異物を巻き込んだ際の突発的な振動に対しても容易に対応できるようになり、安全面からみても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の外壁塗膜用石綿除去装置及びグラインダー用アタッチメントは、例えばコンクリート製の構造物から石綿を含有した塗膜を除去する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1…外壁塗膜用石綿除去装置
11…グラインダー
111…研磨部材;112…エアモータ;113…グラインダーの本体
12…注水管
13…排水管
14…カバー
141a、141b…開口部;142…噴射孔;143…注水路;144…遮蔽部
15…把持部
2…コンプレッサー
3…濾過装置
31…濾過槽
4…減圧装置
1'…グラインダー用アタッチメント
11'…ハンディタイプのグラインダー
111'…研磨部材;112'…エアモータ;113'…グラインダーの本体
16'…取付部材
AL…石綿含有塗膜
SO…剥離物
TW…混濁水
FW…濾過水
【要約】
【課題】剥離物を水によって湿潤させることで、剥離物の粉塵を飛散させることなく回収することを可能としつつ、容易に操作可能とする。
【解決手段】石綿含有塗膜ALを前記構造物から剥離するグラインダー11と、前記剥離された剥離物SOの粉塵の飛散を抑えるべく水を供給するための注水管12と、減圧装置4に導かれ、減圧装置4による負圧によって、剥離物SOと前記供給された水とからなる混濁水TWを濾過装置3へ引き取るための排水管13とを備え、グラインダーの本体113、注水管12及び排水管13は、構造物と面接触する研磨部材111の面と略平行に延伸するように、且つ、グラインダーの本体113と注水管12とが研磨部材111の回転中心から遠ざかる向きに広がる略ハの字型を形成するように配され、グラインダーの本体113及び注水管12を介して把持して使用される。
【選択図】
図1