【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法により、請求項9に記載の特徴を有する測定装置により、および請求項12に記載の測定導体を有するケーブルの使用により本発明にしたがって達成される。好適な実施形態、発展形態および変形形態は従属請求項の目的である。本方法に関連して本明細書で与えられる説明はまた、測定装置および使用に同じように適用され、逆も同様ある。
【0005】
本方法は、所定長さを有する(すなわち、ケーブルは既知の長さに既に切断されており、連続製品としては存在しない)ケーブルを監視するために使用される。ケーブルは、特にケーブルに沿って(好適にはケーブル全体に沿って)延伸する測定導体を含む。測定導体は、好適には単純なワイヤまたは撚り合わせ導体として構成され、例えば銅で構成される。
【0006】
複数の測定パルスが本方法では測定導体内に送出される。複数の測定パルスは、時間的に分離されたシーケンスで送出される。特に、第1の測定パルスが送信され(すなわち測定導体内へ送出され)、そして第1の測定パルスに続く時刻に、第2の測定パルスが送信される、すなわち測定導体内へ送出される。シーケンスの2つの測定パルス間の時間的分離は、測定パルスが繰り返し生成されるクロック速度により決定される。ケーブルの正常状態では、測定パルスはケーブルの所定長さに対する予め知られた伝播時間を有する。伝播時間は、長さ(特に、ケーブルが作られる材料との組み合わせ)により与えられる。伝播時間は本明細書では、測定導体に沿った測定パルスの伝播または分散速度により判断される。通常の伝播速度は、1〜2.5×10
8m/sの範囲内であり、特に、コアまたはコア群を絶縁するために使用される材料に依存する。
【0007】
さらに、測定パルスのそれぞれの反射部分(測定パルスと反対方向に伝播する)が本方法では生成される。これは、特に測定導体の当該構成を介し発生する。基本的に、インピーダンスの変化が、反射を生成するためには必要である。反射部分は、例えば測定導体の開放または短絡回路端において生成される。したがって、特に、第1の測定パルスの反射部分が本方法では生成される。この反射部分は、測定導体中を反対(すなわち、第1の測定パルスの元の方向の反対)方向に伝播する。
【0008】
次に、ケーブルは、所定測定点において、反射部分の重畳(特に時間的な)(すなわち、特に第2の測定パルスと第1の測定パルスの反射部分との重畳)が測定パルス上に存在するかどうかに関する判断が特に連続的にまたは繰り返しで行われるという点で、そしてこの重畳に応じて、既知の伝播時間からの乖離および正常状態からの乖離が認識されるという点で、監視される。換言すれば、反射部分と測定パルスとの重畳に基づき、測定導体の電気的長さの変化が判断される。ここで、電気的長さは測定導体を通る電気信号の単一伝播時間に対応する。このような変化は、ケーブルの状態も全体として変化したという指標である。状態のこのような変化は、例えば所定動作温度より高いケーブルの加熱、またはケーブルの破断または他の摩耗である。したがって、ケーブルが正常状態であるかどうか、またはケーブルが特別な環境の影響に晒されているかまたは破損されたかが、重畳の判断を通し確立される。
【0009】
ケーブルは例えばいわゆる時間領域反射率測定法(time domain reflectometry、TDRと略される)を用いて監視されるということが原理的に考えられる。測定パルスは、本明細書ではケーブルに沿って延伸する導体中に送出され、導体を通るその伝播時間が測定される。このとき、ケーブルの状態に関する結論は伝播時間に基づき引き出され得る。したがって、いくつかの絶縁材料が例えば温度依存誘電率を呈示し、したがって、ケーブルの温度の変化が伝播時間の測定可能な変化を生じる。しかし、時間領域反射率測定法を用いた測定および評価は多くの装置を必要とし、また非常に高価である。したがって、時間領域反射率測定法用の従来システムは、大量アプリケーションおよび高員数には好ましくない、すなわち自動車分野には特に不適当である。このようなシステムは通常むしろ、研究室作業においてまたは個々のアプリケーションにおいて用途を発見する。しかし、重量と設置スペースとを節約するために、特に高員数を有する最終製品においてですら、最もスペースを節約しかつ最も経済的なやり方でケーブルの定期的または連続的監視を実現することが望ましい。
【0010】
本発明は、伝播時間測定による複雑な時間領域反射率測定法が省略され、その代りに、送入され反射される測定パルスの重畳が簡単に検査されるという点で、ケーブルの監視を簡単にするという主題に基づく。第1の測定パルスの反射部分は測定導体に沿って2回進んだ(すなわち1回目は測定パルスとして出る途上で、2回目は反射部分として戻る途上で)。第2の測定パルスは第1の測定パルスに続く時刻に送信される。このとき、戻り経路上の反射部分は特定点において第2の測定パルスにより必然的に重畳される。しかし、ケーブルに沿ったこの特定点の具体的位置は、測定パルスの伝播速度、したがって環境条件および/またはケーブルの状態に依存する。換言すれば、特定点は上記ケーブルの状態に応じてケーブルに沿ってドリフトまたは移動する、すなわち特定点の位置は変わりやすく、ケーブルの状態に応じて変化する。特定点は重畳点とも呼ばれる。変わりやすい位置の結果として、特定点は移動点とも呼ばれる。
【0011】
第2の測定パルスと第1の測定パルスの反射部分はそれぞれ、電圧(すなわち送信電圧または反射電圧)を有する。これらは重畳位置(点)で合算され、その結果、単一測定パルスの電圧(すなわち送信電圧)と異なる(すなわち反射電圧だけ異なる)全電圧が生じる。反射電圧は通常、減衰効果および不完全反射の結果として元の送信電圧より小さいが、典型的には少なくとも数ミリボルトであり、したがって依然として実効的に測定可能である。当該電圧差は、特に伝播時間測定と比較して、判断するのが特に容易である。車両の搭載ネットワーク内のケーブルの長さは通常数メートル程であり最大10または20mである。このとき、このようなケーブルに沿った伝播時間はナノ秒またはさらにはピコ秒の範囲内であり、やっとのことで測定され得る。
【0012】
上述の重畳位置は上記ケーブルの状態に応じてケーブルに沿って移動する。要するに、上記重畳位置が測定点に一致すると測定点において重畳が存在する。測定点における電圧は送信電圧を越えて増加され、重畳が認識される、そうでなければ、測定パルスの低下された電圧だけが測定され、重畳が無いことが認識される。
【0013】
好適な構成では、測定パルスと反射部分はケーブルの正常状態では測定点において重畳され、したがって正常状態からの乖離は重畳が存在しなくとも認識されるので有利である。したがって、正常状態では、測定導体は、送出された測定パルスと反射部分との観点で同期される。この構成では、ケーブルの監視は、特に単純な定性的測定に帰し、ここでは、特に、重畳が存在するか否か(すなわち測定パルスと反射部分とが測定点において同期しているか否か)に関するチェックだけが行われる。したがって、重畳(すなわち同期)が無ければ、測定パルスの伝播時間は既知の伝播時間と異なるということが認識され、したがって、状態は正常状態から乖離したということが結論付けられる。
【0014】
正常状態では重畳は存在しなく、そして重畳が存在すると乖離が認識される逆の監視も原理的には好ましい。したがって、乖離の特定閾値は、その到達が定性的測定だけにより認識される重畳により示され得る。定量的測定は有利なことに必要無い。
【0015】
したがって、要するに、測定点と重畳点との一致または分離が、当該変化の存在下でケーブルの状態の変化を結論付けるために監視される。
【0016】
有利には、重畳は、出力電圧である送信電圧に対する測定パルスの過剰電圧が測定点に存在するかどうかのチェックが行われるという点で測定される。したがって、送信電圧より高い電圧変化としての重畳はこのようにして、単純かつ安価に判断することができる。好適な設計では、重畳は、測定点に現在存在する電圧と測定パルスの送信電圧とを比較しこのようにして重畳を測定点における過剰電圧として認識する単純な比較器により測定される。
【0017】
測定パルスはそれぞれ、パルス時間とも呼ばれる時間的幅を有する。2つのパルス間には、休止時間を有する休止が存在する。可能な限り明確な重畳を実現しこれを可能な限り明確に判断するために、測定パルスは休止より著しく短い(すなわちパルス時間は休止時間より著しく短い)ことが好ましい。本明細書における「著しく短い」は特に、パルス時間が休止時間より少なくとも一桁短いということを意味する。典型的パルス時間は1〜100nsであり、典型的休止時間は0.1〜100μsである。
【0018】
本方法はデジタル回路技術を用いた実現に特に好適である。これは、特に測定の簡潔性から生じる。デジタル回路用の今日のマイクロプロセッサは通常、GHz範囲内のクロック速度での動作のために設計されており、したがって、必要とされるパルス時間を背景に測定パルスを生成するのに(本ケースを含み)好適である。したがって、特に好適な実施形態では、測定パルスはデジタル測定信号により形成される、すなわち、複数の連続するビットを有するビット系列として実現される。このとき、測定パルスは複数のオン状態すなわち「1」ビット(例えば5Vの電圧)として、休止時間は一連のオフ状態すなわち「0」ビット(例えば0Vの電圧)として実現される。このとき測定信号は、一連の方形パルス(すなわちその測定パルスすべては休止により分離される)である。ビット系列のビットは通常、固定時間幅を有するので、そして測定パルスは好都合には、上述したように休止より著しく短いので、測定パルスは好適には、単一またはいくつかの「1」ビットにより形成され、休止は、測定パルスの「1」ビットの数と比較して多くの「0」ビットにより実現される。上述のパルスおよび休止時間は特に、このようにして固定幅のビットを介し実現される。
【0019】
好適には、測定パルスは設定可能クロック速度でもって繰り返し生成され、クロック速度は、測定パルスと反射部分が、調整されたクロック速度で重畳されるまで、調整される。クロック速度の設定は、本明細書ではケーブルの製造またはアセンブリ中に行われるのではなく、むしろ設置された状態で、特には動作中に行われる。正常状態からの乖離の定量的測定は、クロック速度を設定することにより有利に実現される。クロック速度を調整することにより(このことは実効的に、休止時間に対する変更によることを意味する)、実際の伝播時間と既知の伝播時間間の伝播時間差異が補償される。このとき、調整されたクロック速度は好都合には、正常状態におけるクロック速度と比較される。差異の大きさは、乖離の程度したがってケーブルに対する応力または損傷の程度の測度を表す。クロック速度は特に、休止時間が「0」ビットを追加または除去することにより簡単に延長または短縮されるという点で、デジタルシステムにより容易に設定され得る。
【0020】
ケーブルの動作パラメータの定量的測定はさらに、クロック速度を設定することにより実現され得る。ケーブルの温度は例えばこのような動作パラメータである。したがって、1つの好適な実施形態では、ケーブルの動作パラメータ特に温度は、調整されたクロック速度に基づき判断される。クロック速度と動作パラメータとの関連付けは、例えばメモリ内に格納されたテーブルを介し実現される。動作パラメータは代替的に、既知の機能的関係を用いてクロック速度に基づき計算される。
【0021】
温度測定に加えてまたはその代替として、ケーブルは好適な変形形態では機械的応力に関してチェックされる。本明細書における動作パラメータは、ケーブルへの機械的応力、その機械的完全性、またはその機能全般である。これは、測定導体内の特に破壊位置における機械的応力が重畳の対応する結果を伴う伝播時間の短縮に至るという考察に基づく。したがって、ケーブルに対する機械的損傷はまた、初めに説明された測定原理により認識され得る。これは特に、例えば自動車分野においておよびまた特にロボットの場合の、頻繁な交互曲げ応力に晒されるケーブルに有用である。
【0022】
適切な実施形態では、ケーブルの動作パラメータ特に温度に依存する誘電係数を有する材料が測定導体に沿って配置される。これは「変化する環境条件がケーブルへ測定可能な影響を及ぼす」ということを特に単純なやり方で保証する。測定導体は、本明細書では上記材料により少なくとも部分的に囲まれるまたは上記材料に対峙し、その結果、測定導体中を伝播する測定パルスの伝播速度は上記材料により影響を受ける。好適には、上記材料はケーブルのコアの絶縁体を形成し、測定導体は絶縁体へ巻かれるまたはその中に埋め込まれる。上記材料は代替的に、測定導体が接触するまたは測定導体が埋め込まれるケーブルシースを形成する。
【0023】
好適な実施形態では、測定導体は測定ユニットの測定端子へ接続され、ここでは、測定パルスが生成され、重なりが測定ユニットにより測定される。送出部(feed)から切り離された測定もまた原理的に好ましい。しかし、単一測定ユニットを用いた組み合わせおよび共通実行が特に効率的である。このとき、測定端子は、送出点としておよび測定点として同時に働く。測定端子は好都合にはデジタル回路の直列端子である。このとき、デジタル測定信号は、一方では、直列端子を介し測定導体中へ送出され、他方では、過電圧がそこで測定される。
【0024】
測定装置は、所定長さを有するとともに測定導体を含むケーブルを含む。測定装置はさらに、測定ユニットを含む。測定ユニットは、複数の測定パルスが測定導体中へ送出されるようなやり方でケーブルを監視するように設計され、測定パルスは、ケーブルの正常状態における伝播時間(ケーブルの所定長さを介しあらかじめ知られている)を有し、測定パルスと反対方向に伝播する測定パルスのそれぞれの反射部分が生成され、ケーブルは、反射部分と測定パルスとの重畳が所定測定点に存在するかどうかが判断されるという点と、重畳に応じて既知の伝播時間からの乖離と正常状態からの乖離とが認識されるという点で監視される。測定装置は、特に上述の方法を行うように設計される。利点はそれに応じて現われる。
【0025】
適切な発展形態では、測定パルスは、正常状態において既に知られた伝播時間とケーブルの所定長とに応じて設定されたクロック速度でもって生成される。このようにして、測定パルスと反射部分との重畳は正常状態において存在するということと、正常状態からの乖離は重畳の消失を介した簡単なやり方で認識され得るということとが保証される。したがって、クロック速度は、本明細書では製造者により設定される、すなわちケーブルのアセンブリまたは製造中に、正常クロック速度へ設定される。測定ユニットは例えば、この目的のために測定パルス間に適切に長い休止を生成するようなやり方で構成される。次に、このようにして用意された測定装置は最終製品中に(例えば車両中に)簡単に設置される。
【0026】
ケーブルは通常、少なくとも1つのコア、そうでなければ複数のコア、導体、および/または光ファイバまたはストレインリリーフ(ケーブルクランプ)などの他の機能要素を含む。機械的観点から、ケーブルはまた、曲げ応力下で長さが変化しない中立ファイバ(neutrale Faser)を含む。この中立ファイバは、ケーブルの必ずしも具体的な要素ではないが、むしろ、一般的には、屈曲しても長さのいかなる変化もない長手方向の線状体である。測定導体は好適には、中立ファイバに対して半径方向においてコアよりさらに外側に(すなわち長手方向に垂直に)配置される。これは
、特にケーブルが曲げられた場合に測定導体がコアより、より著しい機械的応力に晒されるということと、したがって測定導体はまた、より早く摩耗し破壊するということとを保証する。次に、コアの潜在的故障は測定導体に対する以前の損傷により早期段階に認識される。測定導体の破壊は好都合には最初に認識され、そこで警報信号が発行され、その結果、ケーブルはコアも故障する前に除去され得る。このようにして、極端な場合の過大設計をコアが有することを不要にする信頼できる監視が測定導体により実現されるので、コアを著しく小さく寸法決めすることも可能である。経費と設置スペースは、この結果として節約されるので有利である。
【0027】
本方法と測定装置は、車両の搭載ネットワークの使用に特に好適である。このような搭載ネットワークでは、ケーブルの長さは予め知られており、したがって、正常状態の伝播時間も知られており、測定パルスまたはより正確にはそれらのクロック速度は予め設定され得る。このようにして、上記監視方法を適用することが可能である。
【0028】
少なくとも2つの変形形態がここでは好適である。第1の変形形態では、対応する測定導体を有するケーブルが搭載ネットワーク中に設置され、測定導体が接続される好適な測定ユニットは、例えば制御装置の部品として、搭載ネットワークまたは車両中に既に組み込まれている。第2の変形形態では、測定ユニットはケーブル中へ独立ユニットとして組み込まれ、したがって、自身を自律的に監視するのはインテリジェントケーブルである。測定ユニットは、本明細書では車両の搭載ネットワークまたは上位制御ユニットへ有用に接続される。しかし、独立した特に自律的なケーブルの設計もまた好ましい。本明細書におけるケーブルはまた、例えば測定ユニットにより操作されるヒューズを含み、例えば正常状態からの乖離が認識さればケーブルのコアを搭載ネットワークから切り離す。
【0029】
本発明の例示的実施形態は添付図を参照して以下にさらに詳細に説明される。ここでは、いずれの場合も概略的に以下の通りである。