(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
静電印刷プロセスに使用するための中間転写部材(ITM)であって、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を含み、外側剥離層は、前硬化剥離層組成物の全重量に基づいて50重量%〜98重量%のシリコーンオイル、シリコーンオイルの全重量に基づいて1.0重量%〜5重量%のカーボンブラックを含む前硬化剥離層組成物から形成される、中間転写部材。
前記シリコーンポリマーが、シリコーンオイルのシリコーン鎖に結合したアルケン基を有する少なくとも1つのシリコーンオイル;シリコーンヒドリド成分を含む架橋剤;および付加硬化架橋触媒の架橋付加硬化生成物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のITM。
カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤の量が、カーボンブラック対トリシロキサン界面活性剤の比が約3:1〜約1:3の範囲にあるようなものである、請求項8〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の組成物、剥離層、中間転写部材(ITM)、方法および関連する態様が開示および説明される前に、本開示は、本明細書に開示された特定のプロセスの特徴および材料は、いくらか変化し得るので、本明細書に開示された特定のプロセスの特徴および材料に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の例を説明する目的で使用されることも理解されたい。これらの用語は、特許請求の範囲およびその等価物によって範囲が限定されることが意図されているため、限定することを意図するものではない。
【0014】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0015】
本明細書中で使用される場合、「液体電子写真インク」または「LEPインク」は、時として液体電子写真(LEP)印刷プロセスと称される、液体静電印刷プロセスにおける使用に一般的に適した液体形態のインク組成物を指す。LEPインクは、液体キャリア中に分散された樹脂の帯電性粒子および顔料/着色剤を含むことができ、それは本明細書に記載されている。
【0016】
本明細書で言及されるLEPインクは、キャリア液体中に分散された着色剤および熱可塑性樹脂を含むことができる。いくつかの例では、熱可塑性樹脂は、エチレンアクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、静電インクは電荷ディレクタおよび/または電荷アジュバントも含む。いくつかの例では、本明細書に記載の液体静電インクは、Hewlett−Packard Companyによって開発されたElectroInk(登録商標)および他の液体電子写真(LEP)インクであってもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「液体キャリア」、「キャリア液体」、「キャリア」または「キャリアビヒクル」は、樹脂、顔料、電荷ディレクタおよび/または他の添加剤を分散させて液体静電インクまたは電子写真用インクを形成する流体を指す。キャリア液体は、界面活性剤、共溶媒、粘度調整剤、および/または他の可能な成分のような種々の異なる薬剤の混合物を含み得る。キャリア液体は、炭化水素、シリコーンオイル、植物油などを含むことができ、または炭化水素、シリコーンオイル、植物油などでありえる。キャリア液体は、例えば、第1および第2の樹脂成分のための媒体として使用することができる絶縁性、非極性、非水性の液体を含むことができる。キャリア液体は、約10
9ohm・cmを超える抵抗率を有する化合物を含むことができる。キャリア液体は、約5未満の誘電率、いくつかの例では約3未満の誘電率を有することができる。キャリア液体は、炭化水素を含むことができる。いくつかの例では、キャリア液体は、例えば、Isopar−G(商標)、Isopar−H(商標)、Isopar−L(商標)、Isopar−M(商標)、Isopar−K(商標)、Isopar−V(商標)、Norpar 12(商標)、Norpar 13(商標)、Norpar 15(商標)、Exxol D40(商標)、Exxol D80(商標)、Exxol D100(商標)、Exxol D130(商標)、およびExxol D140(商標)(EXXON CORPORATIONにより各々が販売)を含む、またはからなる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「コポリマー」は、少なくとも2つのモノマーから重合されるポリマーを指す。
【0019】
本明細書に記載されている全ての粘度は、特に明記しない限り25℃で測定した粘度である。
【0020】
本明細書に記載の粘度は、シリコーン流体の粘度のASTM D4283−98(2010)標準試験方法に従って測定することができる。いくつかの例では、本明細書に記載の粘度は、ブルックフィールドDV−II+プログラマブル粘度計などの粘度計で、ニュートン流体(純粋シリコーン)のスピンドルLV−4(SP64)200〜1,000[mPa・s]および非ニュートン流体(カーボンブラックを含むシリコーンオイル)のスピンドルLV−3(SP63)200〜800000[mPa・s]から選択されるスピンドル含むがこれに限定されない適切なスピンドルを用いて測定することができる。
【0021】
特定のモノマーは、ポリマーの特定の重量パーセントを構成するものとして本明細書に記載されることができる。これは、ポリマー中の前記モノマーから形成された繰り返し単位が前記のポリマーの重量パーセントを構成することを示す。
【0022】
本明細書において標準試験が記載されている場合、特に言及されない限り、参照されるべき試験のバージョンは本特許出願の時点で最新である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「静電(的)印刷」または「電子写真(的)印刷」は、一般に、フォトイメージング基材またはプレートから直接的に、または中間転写部材を介して間接的に印刷基材、例えば紙基材に転写される画像を提供するプロセスを指す。このように、画像は、それが適用されるフォトイメージング基材またはプレートに実質的に吸収されない。さらに、「電子写真プリンタ」または「静電プリンタ」は、一般に、上述のように電子写真印刷または静電印刷を行うことができるプリンタを指す。「液体電子写真印刷」は、液体トナーが粉末トナーではなく電子写真プロセスで使用される特定のタイプの電子写真印刷である。静電印刷プロセスは、電子写真用インク組成物を電場、例えば、電界強度が1000V/cm以上、いくつかの例では1000V/mm以上の電界強度を有する電場に供することを含んでもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、所与の値が端点の少し上または少し下にあることを条件として、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。この用語の柔軟性の程度は、特定の変数によって示されることができる。
【0025】
本明細書で使用されるように、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上共通のリストに提示され得る。しかし、これらのリストは、リストの各メンバーが別々の一意のメンバーとして個々に識別されるように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、それに反する指示なしに、共通のグループにおけるそれらの提示のみに基づいて、同一のリストの他のメンバーと事実上同等であると解釈されるべきではない。
【0026】
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では範囲形式で表現または提示され得る。このような範囲形式は、単に便宜および簡潔さのために使用されているので、範囲の限界として明確に列挙された数値だけでなく、各数値および部分範囲は明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲を含むように柔軟に解釈されるべきである。例示として、「約1重量%〜約5重量%」の数値範囲は、約1重量%〜約5重量%の明示的に列挙された値だけでなく、示された範囲内の個々の値および部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3.5および4などの個々の値および1〜3、2〜4、3〜5などの部分範囲などが含まれる。この同じ原則は、1つの数値のみを記載した範囲に適用される。さらにそのような解釈は、記載されている範囲または特性の幅に関係なく適用されるべきである。
【0027】
他に言及しない限り、本明細書に記載される任意の特徴は、本明細書に記載される任意の態様または任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0028】
一態様では、少なくとも1つのシリコーンオイル、カーボンブラック、およびトリシロキサン界面活性剤を含む前硬化剥離層組成物が提供される。
【0029】
また本明細書には、前硬化剥離層組成物を調製する方法が記載されており、該方法はシリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせることを含む。
【0030】
また本明細書では、剥離層を提供する方法が記載されており、該方法は、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせて前硬化剥離層組成物を形成すること、および前硬化剥離層組成物を硬化させて、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む剥離層を形成することを含む。
【0031】
別の態様では、静電印刷プロセスに使用するための中間転写部材が提供され、該中間転写部材は、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を含む。
【0032】
別の態様では、
静電潜像が形成されうる表面を有する光導電性部材、および
シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を含む中間転写部材、を含む静電印刷装置であって、
静電印刷装置は、使用時に、光導電性部材の表面を静電インク組成物と接触させて静電潜像の表面に現像された画像を形成し、そして現像された画像を中間転写部材の外側剥離層に転写し、そして現像された画像を中間転写部材の外側剥離層から印刷基材に転写するように構成されている。
【0033】
本発明者らは、驚くべきことに、中間転写部材の外側剥離層中のカーボンブラックの量を増加させると、中間転写部材のメモリに好ましい影響を与えることを見出した。本発明者らは、剥離層組成物中にトリシロキサン界面活性剤を含有させることにより、中間転写部材の外側剥離層におけるカーボンブラックの量を増加させることもできること、およびトリシロキサン界面活性剤が、剥離層中のカーボンブラックの分散を改善するために使用され得ることを見出した。
【0034】
前硬化剥離層組成物
前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含むことができる。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、揮発性溶媒、例えばイソプロパノールまたはエタノールをさらに含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、架橋剤、例えば、シリコンヒドリド部分を含む架橋剤を含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、架橋触媒を含む。
【0035】
前硬化剥離層組成物は、硬化させて剥離層を形成することができ、例えば、前硬化剥離層組成物は、中間転写部材の支持部分に適用され、次いで硬化させて中間転写部材の支持部分の外側剥離層を形成することができる。
【0036】
いくつかの例では、前硬化剥離組成物は、500mPa・s以上、いくつかの例では1000mPa・s以上、いくつかの例では2000mPa・s以上、いくつかの例では3000mPa・s以上、いくつかの例では4000mPa・s以上、いくつかの例では5000mPa・s以上、いくつかの例では6000mPa・s以上の動的粘度を有する。いくつかの例では、前硬化剥離組成物は50,000mPa・s以下の動的粘度を有する。いくつかの例では、前硬化剥離組成物は、500〜50,000mPa・s、いくつかの例では1000〜50,000mPa・s、いくつかの例では5000〜50,000mPa・sの動的粘度を有する。これらの粘度を有する前硬化剥離組成物は、ITMベース上にグラビアコーティングすることができる。
【0037】
シリコーンオイル
いくつかの例では、シリコーンオイルは、アルケン基が結合しているシリコーン鎖を含む。いくつかの例では、シリコーンオイルは、分子当たり少なくとも2つのアルケン基を有するポリシロキサンを含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルのシリコーン鎖に結合したアルケン基を有するシリコーンオイル、およびシリコンヒドリド部分を含む架橋剤を含む。いくつかの例では、このような組成物は、硬化時に、シリコーンオイルのシリコーン鎖に結合したアルケン基を有する少なくとも1つのシリコーンオイルおよびシリコンヒドリド部分を含む架橋剤の架橋付加硬化生成物を含む剥離層を形成することができる。
【0038】
いくつかの例では、シリコーンオイルはポリジメチルシロキサンを含む。
【0039】
いくつかの例では、シリコーンオイルは式(I)を有し、
【化1】
ここで
各Rは独立してC
1−6アルキル基およびC
2−6アルケニル基から選択され、少なくとも2つのR基はアルケニル基であり、そして
tは、少なくとも1、いくつかの例では少なくとも10、いくつかの例では少なくとも100の整数である。
いくつかの例では、アルケニル基はビニル基であり、アルキル基はメチル基である。
【0040】
いくつかの実施形態では、シリコーンオイルは、100mPa・s以上、いくつかの例では200mPa・s以上、いくつかの例では300mPa・s以上、いくつかの例では400mPa・s以上の動的粘度を有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、シリコーンオイルは、5000mPa・s以下、いくつかの例では1000mPa・s以下、いくつかの例では900mPa・s以下、いくつかの例では800mPa・s以下、いくつかの例では700mPa・s以下、いくつかの例では600mPa・s以下の動的粘度を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、シリコーンオイルは、100〜5000mPa・s、いくつかの例では100〜1000mPa・s、いくつかの例では200〜1000mPa・s、いくつかの例では200〜900mPa・s、いくつかの例では300〜800mPa・s、いくつかの例では400〜700mPa・s、いくつかの例では400〜600mPa・s、いくつかの例では約500mPa・sの動的粘度を有する。
【0043】
いくつかの例では、シリコーンオイルは、アルケン基がビニルであり、それぞれが末端シロキシ単位に共有結合しているジメチルシロキサンホモポリマーを含む。いくつかの例では、シリコーンオイルは、α,ω(ジメチル−ビニルシロキシ)ポリ(ジメチルシロキシ)タイプのジメチルシロキサンホモポリマーを含む。いくつかの例では、ジメチルシロキサンホモポリマーは、少なくとも100mPa・sの動的粘度を有する。いくつかの例では、ジメチルシロキサンホモポリマーは、100〜1000mPa・s、いくつかの例では200〜900mPa・s、いくつかの例では300〜800mPa・s、いくつかの例では400〜700mPa・s、いくつかの例では400〜600mPa・s、いくつかの例では約500mPa・sの動的粘度を有する。
【0044】
いくつかの例では、シリコーンオイルは、ビニルメチルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーを含み、いくつかの例では、ビニル基は、コポリマーの各末端シロキシル単位に共有結合される。いくつかの例では、ビニルメチルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーは、ポリ(ジメチルシロキシ)((メチルビニルシロキシ)α,ω(ジメチルビニルシロキシ)タイプのものである。
【0045】
いくつかの例では、シリコーンオイルは、アルケン基がビニルであり、それぞれが末端シロキシ単位に共有結合しているジメチルシロキサンホモポリマーを含み、これは上記のようなもの、およびビニルメチルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーであってもよく、そしていくつかの例では、ビニル基は、コポリマーの各末端シロキサン単位に共有結合される。
【0046】
いくつかの例では、ビニルメチルシロキサンおよびジメチルシロキサンのコポリマーは、1000〜5000mPa・sの動的粘度を有する。いくつかの例では、ビニルメチルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーは、2000〜4000mPa・sの動的粘度、いくつかの例では2500〜3500mPa・sの動的粘度、いくつかの例では約3000mPa・sの動的粘度を有する。
【0047】
いくつかの例では、シリコーンオイルは、シロキサンであり、いくつかの例では、ヒドロキシル官能性シロキサン、いくつかの例では、分子当たり少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシロキサン、いくつかの例では、分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有するシロキサンである。
【0048】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも約40重量%のシリコーンオイル、例えば少なくとも約50重量%のシリコーンオイル、少なくとも約60重量%のシリコーンオイル、少なくとも約70重量%のシリコーンオイル、または少なくとも約80重量%のシリコーンオイルを含む。いくつかの例では、前硬化剥離組成物は、組成物の全重量に基づいて、約98重量%までのシリコーンオイル、例えば組成物の全重量に基づいて、約95重量%まで、約90重量%まで、約85重量%まで、約80重量%まで、または約75重量%までのシリコーンオイルを含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、組成物の全重量に基づいて約50重量%〜約98重量%のシリコーンオイルを含む。
【0049】
カーボンブラック
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて、約1.0重量%より多いカーボンブラック、例えば少なくとも約1.1重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.2重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.3重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.4重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.5重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.6重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.7重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.8重量%のカーボンブラック、少なくとも約1.9重量%のカーボンブラック、少なくとも約2重量%または2.0重量%のカーボンブラック、少なくとも約2.1重量%のカーボンブラック、少なくとも約2.2重量%のカーボンブラック、少なくとも約2.3重量%のカーボンブラック、少なくとも約2.4重量%のカーボンブラック、または少なくとも約2.5重量%のカーボンブラックを含む。
【0050】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて約10重量%までのカーボンブラック、例えばシリコーンオイルの全重量に基づいて約9重量%まで、約8重量%まで、約7重量%、約6重量%まで、約5重量%まで、約4重量%まで、約3.5重量%まで、または約3重量%までのカーボンブラックを含む。
【0051】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて約1.0重量%〜約10重量%のカーボンブラック、例えばシリコーンオイルの全重量に基づいて約1.5重量%〜約5重量%、または約2重量%〜約3.5重量%のカーボンブラックを含む。
【0052】
いくつかの例では、カーボンブラックは導電性カーボンブラックである。
【0053】
いくつかの例では、カーボンブラックは、600m
2/g以上、いくつかの例では800m
2/g以上、いくつかの例では1000m
2/g以上、いくつかの例では1200m
2/g以上、いくつかの例では1300m
2/g以上、いくつかの例では1400m
2/g以上のBET表面積を有する。カーボンブラックのBET表面積は、ASTM規格D6556−14に従って測定することができる。
【0054】
いくつかの例では、カーボンブラックは、少なくともいくつかが約50nm以下、いくつかの例では約45nm以下、いくつかの例では約42nm以下、いくつかの例では約40nm以下、いくつかの例では約38nm以下、いくつかの例では約36nm以下、いくつかの例では約35nm以下、いくつかの例では約34nm以下の一次粒径を有する粒子を含む。いくつかの例では、カーボンブラックは、少なくともいくつかが約20nm〜約50nmの範囲の一次粒径を有する粒子を含む。カーボンブラック粒子の一次粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0055】
いくつかの例では、カーボンブラックの平均一次粒径は、約50nm以下、いくつかの例では約45nm以下、一部の例では約42nm以下、いくつかの例では約40nm以下、いくつかの例では約38nm以下、いくつかの例では約36nm以下、いくつかの例では約35nm以下、いくつかの例では約34nm以下である。カーボンブラックの平均粒径は、ASTM規格D3849に従って測定することができる。
【0056】
いくつかの例では、カーボンブラックは、グラム当たり約10×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約15×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約20×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約30×10
15以上の一次粒子、いくつかの例では約40×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約50×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約70×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約90×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約100×10
15以上の一次粒子、いくつかの例ではグラム当たり約110×10
15以上の一次粒子を有する。
【0057】
いくつかの例では、カーボンブラックは、少なくとも200ml/100gのジブチルフタレート吸収数(DBPA)、いくつかの例では少なくとも250ml/100gのDBPA数、いくつかの例では少なくとも300ml/100gのDBPA数、いくつかの例では少なくとも350ml/100gのDBPA数、いくつかの例では少なくとも400ml/100gのDBPA数、いくつかの例では少なくとも450ml/100gのDBPA数、いくつかの例では少なくとも475ml/100gのDBPA数を有する。ジブチルフタレート吸収数(DBPA)は、例えば、ASTM D2414−13aのような標準試験を用いて測定することができる。
【0058】
トリシロキサン界面活性剤
前硬化剥離層組成物は、トリシロキサン界面活性剤を含んでもよい。いくつかの例では、トリシロキサン界面活性剤は、約9〜約13の範囲、例えば約10〜約12の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。いくつかの例では、グリフィン(Griffin)の方法を用いてHLB数を決定することができる(HLB=20*M
h/M、ここでM
hは分子の親水性部分の分子量であり、Mは分子全体の分子量である)。
【0059】
いくつかの例において、トリシロキサン界面活性剤は、ポリアルキレンオキシド変性トリシロキサン、例えば、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメリルシロキサンを含む。
【0060】
いくつかの例において、トリシロキサン界面活性剤は、式(II)の化合物を含み、
【化2】
ここでnは整数、例えば少なくとも1、例えば約1〜約12の整数であり、そして
Rはアルキル、例えばC
1−6アルキル、C
1−4アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。
【0061】
いくつかの例では、前硬化剥離組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて約1.0重量%より多いトリシロキサン界面活性剤、例えば少なくとも約1.1重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.2重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.3重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.4重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.5重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.6重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.7重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.8重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約1.9重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約2重量%または2.0重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約2.1重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約2.2重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約2.3重量%のトリシロキサン界面活性剤、少なくとも約2.4重量%のトリシロキサン界面活性剤、または少なくとも約2.5重量%のトリシロキサン界面活性剤を含む。
【0062】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて、約10重量%までのトリシロキサン界面活性剤、例えばシリコーンオイルの全重量に基づいて約9重量%まで、約8重量%まで、約7重量%まで、約6重量%まで、約5重量%まで、約4重量%まで、約3.5重量%まで、または約3重量%までのトリシロキサン界面活性剤を含む。
【0063】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて約1.0重量%〜約10重量%のトリシロキサン界面活性剤、例えばシリコーンオイルの全重量に基づいて約1.5重量%〜約5重量%、または約2重量%〜約3.5重量%のトリシロキサン界面活性剤を含む。
【0064】
いくつかの例では、前硬化剥離組成物は、約3:1〜約1:3、例えば約2:1〜約1:2または約1:1の重量比のカーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む。
【0065】
架橋剤
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は架橋剤を含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、付加硬化架橋剤成分、縮合硬化架橋剤配合物、光架橋剤成分、または過酸化物成分を含む架橋剤を含む。
【0066】
いくつかの例では、架橋剤は、シリコンヒドリド(Si−H)部分を含む架橋剤のような付加硬化架橋剤成分であってもよい。そのような場合、シリコーンオイルは、アルケン基が結合しているシリコーン鎖、例えば分子当たり少なくとも2つのアルケン基を有するポリシロキサンを含むことができる。いくつかの例では、シリコンヒドリド部分を含む架橋剤は、シリコンヒドリド部分を有するポリシロキサンを含む。シリコンヒドリド部分は、第2成分のポリシロキサン中の末端シロキシル単位または中間シロキシル単位でありえ、いくつかの例では、シリコンヒドリド(Si−H)部分を有するポリシロキサンのケイ素原子に結合した全ての他の置換基は、非置換アルキルまたは非置換アリール基である。いくつかの例では、シリコンヒドリド部分を含む架橋剤は、ポリ(ジメチルシロキシ)−(シロキシメチルヒドロ)−α,ω−(ジメチルヒドロシロキシ)タイプおよびα,ω−(ジメチルヒドロシロキシ)ポリ−ジメチルシロキサンのポリシロキサンから選択される。いくつかの例では、シリコンヒドリド(Si−H)部分を有するポリシロキサンは、少なくとも100mPa・s、いくつかの例では少なくとも500mPa・sの動的粘度を有する。いくつかの例では、シリコンヒドリド(Si−H)部分を有するポリシロキサンは、100mPa・s〜2000mPa・sの動的粘度、いくつかの例では300mPa・s〜1500mPa・sの動的粘度、いくつかの例では500mPa・s〜1300mPa・sの動的粘度、いくつかの例では700mPa・s〜1100mPa・sの動的粘度、いくつかの例では800mPa・s〜1000mPa・sの動的粘度、いくつかの例では約900mPa・sの動的粘度を有する。
【0067】
いくつかの例では、縮合硬化架橋剤成分は、アセトキシシラン成分、アルコキシシラン成分、オキシム成分、エノキシラン成分、アミノシラン成分、またはベンズアミドシラン成分である。少なくとも1つのシリコーンオイルは、シロキサン、いくつかの例ではヒドロキシル官能性シロキサン、いくつかの例ではヒドロキシル末端シロキサン、いくつかの例では分子当たり少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシロキサン、いくつかの例では分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有するシロキサンであってもよい。
【0068】
架橋触媒
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、架橋触媒を含むことができる。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、付加硬化架橋触媒、縮合硬化架橋触媒、または活性化硬化架橋触媒を含むことができる。
【0069】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイル、カーボンブラック、トリシロキサン界面活性剤、シリコンヒドリド部分を含む架橋剤、および架橋触媒、例えば白金またはロジウムを含む触媒などの付加硬化架橋触媒を含み、いくつかの例では、触媒は白金を含む。いくつかの例では、シリコーンオイルは、分子当たり少なくとも2つのアルケン基を有するポリシロキサンを含む。
【0070】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイル、カーボンブラック、トリシロキサン界面活性剤、縮合硬化架橋剤成分および架橋触媒、例えばチタンを含む触媒のような縮合硬化架橋触媒を含む。いくつかの例では、シリコーンオイルは、シロキサンであり、いくつかの例ではヒドロキシル官能性シロキサンであり、いくつかの例ではヒドロキシル末端シロキサンであり、いくつかの例では分子当たり少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシロキサンであり、いくつかの例では分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有するシロキサンである。
【0071】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイル、カーボンブラック、トリシロキサン界面活性剤、光架橋剤および光開始剤を含む。
【0072】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイル、カーボンブラック、トリシロキサン界面活性剤、過酸化物成分を含む架橋剤および活性化硬化架橋触媒を含む。
【0073】
揮発性溶媒
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、揮発性溶媒を含む。
【0074】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、50,000mPa・s以下の動的粘度を有する硬化前剥離層組成物を提供するような量で揮発性溶媒を含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、500mPa・s以上、いくつかの例では1000mPa・s以上、いくつかの例では2000mPa・s以上、いくつかの例では3000mPa・s以上、いくつかの例では4000mPa・s以上、いくつかの例では5000mPa・s以上、いくつかの例では6000mPa・s以上の動的粘度を有する前硬化剥離層組成物を提供するような量で揮発性溶媒を含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、500〜50,000mPa・s、いくつかの例では1000〜50,000mPa・s、いくつかの例では5000〜50,000mPa・sの動的粘度を有する前硬化剥離層組成物を提供するような量の揮発性溶媒を含む。
【0075】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物は、シリコーンオイルの全重量に基づいて少なくとも約30重量%の揮発性溶媒、例えばシリコーンオイルの全重量に基づいて少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%の揮発性溶媒を含む。
【0076】
いくつかの例において、揮発性溶媒は、標準圧力(1気圧)で測定した場合、約100℃未満、例えば約95℃未満、約90℃未満、約85℃未満または約83℃未満の沸点を有する溶媒である。いくつかの例では、揮発性溶媒はアルコール、例えばイソプロパノールまたはエタノールのような標準圧力で測定した場合、約100℃未満の沸点を有するアルコールである。いくつかの例では、揮発性溶媒はエタノールである。
【0077】
前硬化剥離層組成物を提供する方法
前硬化剥離層組成物を調製する方法は、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせることを含み得る。いくつかの例では、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせて、カーボンブラック含有するシリコーンオイルおよびその中に分散されたトリシロキサン界面活性剤を含む分散液を提供する。
【0078】
いくつかの例では、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせることは、例えば高剪断混合を用いてシリコーンオイル中にカーボンブラックを分散させることを含むことができる。いくつかの例では、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤をすべて組み合わせてから高剪断混合にかけることができる。いくつかの例では、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせることは、シリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤の高剪断混合を含む。
【0079】
いくつかの例では、約3000rpm以上、例えば約4000rpm以上、約5000rpm以上または約6000rpm以上の剪断速度を適用してシリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせて、カーボンブラックを有するシリコーンオイルおよびその中に分散されたトリシロキサン界面活性剤を提供する。いくつかの例では、剪断速度は少なくとも3分間、いくつかの例では少なくとも5分間、いくつかの例では少なくとも6分間適用される。
【0080】
いくつかの例において、カーボンブラックを含有するシリコーンオイルおよびその中に分散されたトリシロキサン界面活性剤を含む分散液は、約100,000mPa・sより大きい、例えば約200,000mPa・sより大きい、約300,000mPa・sより大きい、約400,000mPa・sより大きい、約500,000mPa・sより大きい、約600,000mPa・sより大きい、または約700,000mPa・sより大きい動的粘度を有する。いくつかの例では、カーボンブラックを含むシリコーンオイルおよびその中に分散されたトリシロキサン界面活性剤を含む分散液は、約800,000mPa・sまでの動的粘度を有する。いくつかの例では、カーボンブラックを含むシリコーンオイルおよびその中に分散されたトリシロキサン界面活性剤を含む分散液は、約400,000mPa・s〜約800,000mPa・sの範囲の動的粘度を有する。
【0081】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物を形成する方法は、揮発性溶媒を前硬化剥離層組成物に添加することを含む。本方法は、揮発性溶媒を前硬化剥離層組成物に添加して前硬化剥離層の粘度を低下させること、例えば前硬化剥離層の動的粘度を約50,000mPa・s未満に低下させることを含む。いくつかの例では、本方法は、前硬化剥離層の動的粘度を約200〜約50,000mPa・s、例えば約500〜約50,000mPa・s、または約1000〜約50,000mPa・sの範囲に低下させる量となるように揮発性溶媒を含む前硬化剥離組成物に揮発性溶媒を加えることを含む。
【0082】
いくつかの例では、シリコーンオイル中にカーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を分散させた後、揮発性溶媒をシリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤に添加することができる。
【0083】
いくつかの例では、架橋剤成分は、前硬化剥離層組成物に添加される。架橋剤成分は、シリコーンオイル中にカーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を分散させる前または後に、前硬化剥離層組成物に添加されることができる。
【0084】
いくつかの例では、架橋触媒が前硬化剥離層組成物に添加される。架橋触媒は、シリコーンオイル中にカーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を分散させる前または後に、前硬化剥離層組成物に添加されることができる。
【0085】
剥離層を提供する方法
剥離層を提供する方法は、少なくとも1つのシリコーンオイル、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を組み合わせて、前硬化剥離層組成物を形成すること、および、前硬化剥離層組成物を硬化させて、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む剥離層を形成すること、を含む。
【0086】
いくつかの例では、剥離層を提供する方法は、中間転写部材の支持部分を前硬化剥離層組成物で被覆することを含む。いくつかの例では、中間転写部材の支持部分上にコーティングされた前硬化剥離層組成物を硬化させて、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を形成することができる。いくつかの例では、中間転写部材の支持部分を前硬化剥離層組成物でコーティングすることは、前硬化剥離層組成物によるITMの支持部分のロッドコーティングまたはグラビアコーティングを含む。
【0087】
前硬化剥離層が揮発性溶媒を含む例では、前硬化剥離組成物、例えば中間転写部材の支持部分上にコーティングされた前硬化剥離組成物を加熱して、例えば前硬化剥離組成物が硬化する前に、揮発性溶媒を除去することができる。いくつかの例では、剥離層を提供する方法は、前硬化剥離層からの揮発性溶媒の除去を含むことができる。前硬化剥離層からの揮発性溶媒の除去は、例えば約50℃より大きい、例えば約55℃より大きいまたは60℃以上の温度に前硬化剥離層を加熱することを含むことができる。いくつかの例では、前硬化剥離層は、揮発性溶媒を前硬化剥離層組成物から除去するために、約50〜100℃、例えば55〜90℃、または60〜85℃の範囲の温度に加熱することができる。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物からの揮発性溶媒の除去は、前硬化剥離層組成物を約1分以上、例えば約2分以上、または約3分以上加熱することを含むことができる。加熱は標準圧力で行うことができる。
【0088】
いくつかの例では、前硬化剥離層組成物の硬化は、前硬化剥離層組成物の加熱を含むことができる。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物を硬化することは、前硬化剥離層組成物を約100℃以上、例えば約120℃以上の温度に加熱することを含む。いくつかの例では、前硬化剥離層組成物を硬化させることは、前硬化剥離層組成物を約80℃〜約200℃、例えば約100℃〜約150℃、または約120℃の範囲内の温度まで加熱することを含む。いくつかの例では、硬化は、少なくとも約20分間、例えば少なくとも約30分間、または約1時間以上、前硬化剥離層組成物を加熱することを含む。いくつかの例では、硬化は、前硬化剥離層組成物を約20分〜約5時間、例えば約30分〜約2時間の範囲内の時間で加熱することを含む。
【0089】
剥離層
前硬化剥離層組成物は硬化して剥離層を形成することができる。剥離層は、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含むことができる。
【0090】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、シリコーンオイルと架橋剤成分との架橋生成物である。いくつかの例では、シリコーンポリマーは、シリコーンオイル、架橋剤成分および架橋触媒の架橋生成物である。
【0091】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、Si−X−Si結合を含むように付加硬化プロセスを用いて架橋されたポリシロキサンであり、ここでXは、Xがアルキレン部分、例えば−(CH
2)
n−であり、ここでnは2、3または4であり得る。
【0092】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、シリコーンオイルのシリコーン鎖に結合したアルケン基を有する少なくとも1つのシリコーンオイル、シリコーンヒドリド成分を含む架橋剤、および、いくつかの例では、付加硬化架橋触媒の架橋付加硬化生成物を含む。
【0093】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、少なくとも1つのシリコーンオイル、縮合硬化架橋剤成分、および縮合硬化架橋触媒の架橋縮合硬化生成物を含む。
【0094】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、少なくとも1つのシリコーンオイル、光架橋剤、および光開始剤のUVまたはIR放射線架橋硬化生成物を含む。
【0095】
いくつかの例では、シリコーンポリマーは、少なくとも1つのシリコーンオイル、過酸化物成分を含む架橋剤、および活性化硬化架橋触媒の活性化架橋硬化生成物を含む。
【0096】
中間転写部材(ITM)
静電印刷プロセスで使用するための中間転写部材は、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を含むことができる。
【0097】
図1は、ITMの一例の断面図である。ITMは、基部22と、基部22上に配置された基材層23とを含む支持部分を含む。基部22は、金属円筒であってもよい。ITM20はまた、基材層23上に配置されたプライマー層28と、プライマー層28上に配置された外側剥離層30とを含む。
【0098】
基材層23は、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ポリウレタンエラストマー(PU)、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンターポリマー)、フルオロシリコーンゴム(FMQまたはFLS)、フルオロカーボンゴム(FKMまたはFPM)またはパーフルオロカーボンゴム(FFKM)を含んでもよいゴム層を含む。例えば、ゴム層は、少なくとも部分的に硬化したアクリルゴム、例えば、カーボンブラックpearls130(Cabot、ツゥーシーポートレーン、スーツ1300、ボストン、MA 02210、米国)で充填されたアクリル樹脂Hi−Temp 4051 EP(Zeon Europe GmbH、ニーダーカッセラー・ローヴェグ177、40547デュッセルドルフ、ドイツ)の配合物を含むアクリルゴム、および例えばNPC−50促進剤(Zeon製のアンモニウム誘導体)を含み得る硬化システムを含むことができる。
【0099】
図2は、基材層23の圧縮性層25を基部22に接合するための圧縮性層25と基部22との間に配置された接着層24を含む基材層23を有するITMの例の断面図を示しており、圧縮性層25上に導電層26が配置されてもよく、そして導電層26上に追従層27が配置されてもよい。接着層は、ファブリック層であってもよく、例えば、織布または不織布の綿、合成、天然および合成の組み合わせ、または処理材料、例えば改良された耐熱性を有するように処理された材料であってもよい。一例では、接着層23は、例えば約200μmの厚さを有するNOMEX材料で形成されたファブリック層である。
【0100】
圧縮性層25は、例えば、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ポリウレタンエラストマー(PU)、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンターポリマー)、またはフルオロシリコーンゴム(FLS)を含み得るゴム層であってもよい。
【0101】
追従層27は、約65未満のショアA硬度、もしくは約55未満および約35を超えるショアA硬度、または約42〜約45のショアA硬度値を有する軟質エラストマー材料を含むことができる。いくつかの例では、追従層27は、ポリウレタンまたはアクリルを含む。ショアA硬度は、ASTM規格D2240によって測定することができる。
【0102】
いくつかの例では、追従層は、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ポリウレタンエラストマー(PU)、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンターポリマー)、フルオロシリコーンゴム(FMQ)、フルオロカーボンゴム(FKMまたはFPM)またはパーフルオロカーボンゴム(FFKM)を含む。
【0103】
一例では、圧縮性層25および追従層27は同じ材料から形成される。
【0104】
導電層26は、ゴム、例えばアクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)またはEPDMゴム(エチレンプロピレンジエンターポリマー)、および1以上の導電性材料を含む。いくつかの例では、圧縮性層25、追従層27、または剥離層30が部分的に導電性であるいくつかの例のように、導電層26を省略することができる。例えば、圧縮性層25および/または追従層27は、導電性カーボンブラックまたは金属繊維の添加によって部分的に導電性にされてもよい。
【0105】
プライマー層28は、剥離層30の基材層23への結合または接合を容易にするために設けられてもよい。プライマー層28は、オルガノシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメチルシランなどのエポキシシラン由来のオルガノシラン、ビニルシラン、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルシラン、または不飽和シラン、およびチタンを含む触媒のような触媒を含んでもよい。
【0106】
一例では、硬化性プライマー層は、基材層23の追従層27、例えばアクリルゴムから製造された追従層27の外面に適用される。硬化性プライマー層は、ロッドコーティングプロセスを用いて適用することができる。硬化性プライマーは、オルガノシランを含む第1のプライマー、および、例えば有機チタネートまたはチタンキレートなどのチタンを含む第1の触媒を含むことができる。一例では、オルガノシランは、エポキシシラン、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(ABCR GmbH&Co.KG、イム・シュレーエルト10D−76187、カールスルーエ、ドイツ、製品コードSIG5840から入手可能)およびビニルトリエトキシシラン(VTEO、Evonik、キルシェンアレー、ダルムシュタット、64293、ドイツから入手可能)、ビニルトリエトキシシラン、アリルシランまたは不飽和シランである。第1のプライマーは、例えば、縮合反応により硬化可能である。例えば、シラン縮合反応のための第1の触媒は、Tyzor(登録商標)AA75(Dorf−Ketal Chemicals India Private Limited、ドーフケタルタワー、ディモンテ・ストリート、オルレム、マラド(W)、ムンバイ−400064、マハーラーシュトラ、インド)などの有機チタネートでありえる。プライマーはまた、オルガノシラン、例えばビニルシロキサン、例えばビニルシラン、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルシランまたは不飽和シラン、およびいくつかの例では第2の触媒を含んでもよい。第2のプライマーは縮合反応によっても硬化可能である。いくつかの例では、第2の触媒は、存在する場合、第1の触媒とは異なることがありえ、いくつかの例では白金またはロジウムを含む。例えば、第2の触媒は、例えば溶液中に9%の白金を有するKarstedt触媒(Johnson Matthey、5階、25ファリンドンストリート、ロンドンEC4A 4AB、英国から入手可能)またはSIP6831.2触媒(Gelest、11イーストストリートロード、モリスビル、PA 19067、米国から入手可能)であってもよい。
【0107】
いくつかの例では、第2の触媒は、付加硬化反応を触媒するための触媒である。このような場合、第2の触媒は、前硬化剥離組成物が、シリコーンオイルのシリコーン鎖に結合したアルケン基を有する少なくとも1つのシリコーンオイル、例えばビニル官能性シロキサン、およびシリコーンヒドリド成分を含む架橋剤を含むとき、前硬化剥離組成物の付加硬化反応を触媒して、剥離層30を形成することができる。
【0108】
基材層23に適用された硬化性プライマー層は、第1のプライマーおよび/または第2のプライマーを含むことができる。硬化性プライマー層は、第1のプライマーを含む1つの層と第2のプライマーを含む他の層との2つの別個の層として基材層23に適用することができる。
【0109】
硬化性プライマー層がその上に適用されたとき、圧縮性層25、導電性層26および/または基材層23の追従層27のゴムは未硬化であってもよい。
【0110】
ITM20の外側剥離層30は、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む。
【0111】
外側剥離層30は、前硬化剥離層組成物をITMの支持部分に適用することによって、ITM上に形成されてもよい。例えば、外側剥離層は、基材層23に、または基材層23に既に適用された硬化性プライマー層の上に適用されてもよい。
【0112】
硬化すると、ITMは、基材層23上に配置されるか、存在する場合にはプライマー層28上に配置される外側剥離層30を含む。
【0113】
静電印刷装置
本明細書では、静電印刷装置、例えば、液体電子写真(LEP)印刷装置も記載されている。印刷装置は、外側剥離層を含む中間転写部材(ITM)を含むことができる。いくつかの例では、印刷装置は、静電潜像を生成することができる表面を有する光導電性部材、および、シリコーンポリマーマトリックス、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含む外側剥離層を含む中間転写部材を含む。印刷装置は、使用において、光導電部材の表面を静電インク組成物と接触させて、静電潜像の表面上に現像画像を形成し、そして現像画像を中間転写部材の外側剥離層に転写し、そして現像画像を中間転写部材の外側剥離層から印刷基材に転写するように適用されることができる。
【0114】
図3は、LEP印刷装置1の一例の概略図を示す。グラフィックス、テキストおよび画像の任意の組合せを含む画像は、LEP1に伝達される。LEPは、フォトチャージングユニット2およびフォトイメージングシリンダ4を含む。画像は最初にフォトイメージングシリンダ4の形態の光導電性部材上に形成されてからローラの形態のITM20の外側剥離層30に転写され(1回目の転写)、そしてITM20の外側剥離層30からプリント基材62に転写する(2回目の転写)。
【0115】
例示的な例によれば、初期画像は、フォトチャージングユニット2によって回転するフォトイメージングシリンダ4上に形成される。最初に、フォトチャージングユニット2はフォトイメージングシリンダ4上に均一な静電荷を堆積させ、その後、フォトチャージングユニット2のレーザイメージング部分3がフォトイメージングシリンダ4上の画像領域の選択された部分の静電荷を散らして静電潜像を残す。静電潜像は、印刷されることになる画像を表す静電荷パターンである。次いで、インクは、バイナリインクデベロッパ(BID)ユニット6によってフォトイメージングシリンダ4に転写される。BIDユニット6は、フォトイメージングシリンダ4にインクの均一なフィルムを提示する。インクは、帯電した顔料粒子を含み、静電像領域上の適切な電位によって、フォトイメージングシリンダ4上の静電潜像に引き付けられる。インクは、帯電していない非画像領域に付着せず、静電潜像の表面に現像画像を形成する。フォトイメージングシリンダ4は、その表面上に単色インク画像を有する。
【0116】
そして現像画像は、電気力によってフォトイメージングシリンダ4からITM20の外側剥離層30に転写される。次いで、画像は、ITM20の外側剥離層30から圧胴50の周りに巻き付けられた印刷基材に転写される前に、ITM20の外側剥離層30上で乾燥され、融着される。そして最終画像に含まれることになる有色インク層の各々についてプロセスを繰り返すことができる。
【0117】
画像は、フォトイメージングシリンダ4とITM20との間に印加された適切な電位により、フォトイメージングシリンダ4からITM20に転写され、そして帯電したインクがITM20に引き付けられる。
【0118】
第1の転写と第2の転写の間で、現像画像の固形分が増加し、インクがITM20に融着される。例えば、第1の転写後の外側剥離層30上に付着した現像画像の固形分は、典型的には約20%であり、第2の転写によって、現像画像の固形分は典型的には約80〜90%である。この乾燥および融着は、典型的には、高温および気流補助乾燥を用いることによって達成される。いくつかの例では、ITM20は加熱可能である。
【0119】
印刷基材62は、印刷基材供給トレイ60によって印刷装置内に送り込まれ、そして圧胴50の周りに巻き付けられる。印刷基材62がITM20に接触すると、現像画像はITM20から印刷基材62に転写される。
【実施例】
【0120】
以下は、本明細書に記載された組成物、剥離層、中間転写部材(ITM)、方法および関連する態様の例を示す。したがって、これらの例は、本開示を限定するよう解釈されるものではなく、単に本開示の組成物の例をどのように作製するかを教示するためのものである。
【0121】
前硬化剥離層組成物
参考例1
前硬化剥離層組成物は、1000gのシリコーンオイル(800gのビニル末端ジメチルシロキサン(vs500)、および200gのビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(xprv5000))の提供により調製された。25gの導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック(Ketjenblack) EC600JD)をシリコーンオイルに添加した。
【0122】
例1
前硬化剥離層組成物は、1000gのシリコーンオイル(800gのビニル末端ジメチルシロキサン(vs500)、および200gのビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(xprv5000))の提供により調製された。25g(シリコーンオイルの2.5重量%)の導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック EC600JD)および10g(シリコーンオイルの1重量%)のトリシロキサン界面活性剤(Silwet−77、Dow Corningから入手可能)をシリコーンオイルに添加した。
【0123】
例2
前硬化剥離層組成物は、1000gのシリコーンオイル(800gのビニル末端ジメチルシロキサン(vs500)、および200gのビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(xprv5000))の提供により調製された。25g(シリコーンオイルの2.5重量%)の導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック EC600JD)および20g(シリコーンオイルの2重量%)のトリシロキサン界面活性剤(Silwet−77、Dow Corningから入手可能)をシリコーンオイルに添加した。
【0124】
例3
前硬化剥離層組成物は、1000gのシリコーンオイル(800gのビニル末端ジメチルシロキサン(vs500)、および200gのビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(xprv5000))の提供により調製された。25g(シリコーンオイルの2.5重量%)の導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック EC600JD)および25g(シリコーンオイルの2.5重量%)のトリシロキサン界面活性剤(Silwet−77、Dow Corningから入手可能)をシリコーンオイルに添加した。
【0125】
例4
前硬化剥離層組成物は、1000gのシリコーンオイル(800gのビニル末端ジメチルシロキサン(vs500)、および200gのビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(xprv5000))の提供により調製された。25g(シリコーンオイルの2.5重量%)の導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック EC600JD)および30g(シリコーンオイルの3重量%)のトリシロキサン界面活性剤(Silwet−77、Dow Corningから入手可能)をシリコーンオイルに添加した。
【0126】
参考例1および例1〜4の前硬化剥離層組成物の各々を6000rpmのせん断速度で6分間高せん断ミキサーで処理し、粘度をブルックフィールドDV−II+プログラマブル粘度計スピンドルLV−3(SP63)で測定した。
【0127】
図4は、トリシロキサン界面活性剤(Silwet−L77)含量に応じた2.5%重量部(vs500+XPRV5000(80:20比)の100重量部に対する)のカーボンブラックの一定濃度、1rpmでの各前硬化剥離層組成物の粘度を示している。
【0128】
図4は、トリシロキサン界面活性剤(Silwet−L77)含量に応じてシリコーンオイル中に懸濁したカーボンブラックを含有する前硬化剥離層組成物の粘度の有意な増加を示しており、これはトリシロキサン界面活性剤の添加によるカーボンブラックのより良い分散を示している。検出された粘度の増加は、より大きな表面積を有するより小さなカーボンブラック粒子の形成を示すものである。粘度値は、Silwet L77の約2.5重量部を超える濃度でプラトーに達するように見える。
【0129】
参考例1および例3の処理組成物について光学顕微鏡観察(X200倍)を行い、これは得られた粘度データを支持している(
図5、バーは100μmの大きさである)。
図5aに示すように、シリコーンオイルのみで剪断混合処理したカーボンブラック濃度2.5重量部(参考例1の組成物)では、カーボンブラックの分散性が悪く、ここではカーボンブラックの大きな未処理の凝集体を容易に検出することができる。しかしながら、
図5bは、シリコーンオイルの2.5重量部のトリシロキサン界面活性剤(Silwet L77)の存在下で、シリコーンオイルの2.5重量部のカーボンブラック濃度でのカーボンブラックの小粒子の連続アレイを有する微細分散体を示している(例3の組成物)。
【0130】
前硬化剥離層組成物から形成された剥離層
例5
例3の処理された前硬化剥離層組成物を、700gのイソプロパノール(100重量部のシリコーンオイルに対して70重量部のイソプロパノール)を添加することによって希釈し、そして6000rpmで2分間混合した。そして、100gのヒドリドシロキサン架橋剤210、50gの阻害剤600および5gのKarstedt溶液0.5%Ptを、希釈した前硬化剥離層組成物(以下の表1に示す配合物)に添加した。得られた前硬化剥離層組成物の粘度は、ブルックフィールドDV−II+プログラマブル粘度計スピンドルLV−3(SP63)によって測定して、1rpmで38000cPであった。したがって、組成物は、ITM支持部分上へのグラビアコーティングに適した粘度を有していた。
【0131】
【表1】
【0132】
そして、前硬化剥離組成物をITM支持部分上にグラビアコーティングして、下から上への構造(上部は剥離層、下部は金属ITMドラムと接触する層)を有するITMを形成した。
1.ファブリック系支持層
2.ゴム系圧縮性層(ContiTech AG、ヴァレンヴァルダーシュトラーセ、9 30165ハノーバー、ドイツ製のNBR)
3.ゴム系導電層(ContiTech製のNBR)
4.ゴム系ソフト追従層(ContiTech製のACM)
5.プライマー層(基材(ゴム層番号4)上にグラビアコーティングして層ごとに形成)。プライマー配合物は下記表2に記載されている。
6.上記表1に記載の前硬化剥離層組成物
【0133】
プライマー層は、ITMのソフト追従層(層4)を、第1のプライマーと第2のプライマーとを混合して含む下記の表2に示す組成物を有するプライマーでグラビアコーティングすることにより形成した。
【0134】
【表2】
【0135】
そして、表1に示す組成(上記の通り)を有する前硬化剥離層組成物をグラビアコーティング法を用いてプライマー層上に提供した。
【0136】
コーティングプロセスが完了した後、ITM全体を60℃のオーブン内に数分間入れて、前硬化剥離層組成物からイソプロパノールを除去し、そしてITM全体を120℃のオーブン内に1.5時間置いて硬化させた。
【0137】
参考例2
トリシロキサン界面活性剤またはイソプロパノールを添加せず、25gのカーボンブラックの代わりに10gのカーボンブラックを添加したことを除いて、例5と同じ方法でITMを形成した。得られた前硬化組成物の粘度(ITM支持部分への適用前)は、ブルックフィールドDV−II+プログラマブル粘度計スピンドルLV−3(SP63)によって測定して、1rpmで40000cPであった。
【0138】
ネガティブドットゲイン(NDG)の低減
ネガティブドットゲインメモリは、元の画像領域が元の背景領域よりも明るい場合でのグレーレベルでの障害であり、すなわち、元の画像領域におけるドットゲインは、元の背景領域におけるドットゲインよりも小さい。剥離層のネガティブドットゲインメモリは、その後に印刷されたグレーのモニタ画像と比較して、元の画像領域のより明るいゴースト画像として現れる。
【0139】
例5および参考例2のITMを印刷装置、この例ではHPインジゴ7500デジタルプレスに組み込むことによって、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤をNDG形成のITMの外側剥離層に組み込む効果を試験した。
【0140】
異なる色の矩形を含む画像の2000コピーを、例5および参考例2のITMのそれぞれについてHPインジゴ7500デジタルプレスを使用して印刷した。
図6は、印刷されたイメージの図である(Kはブラック、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアンを意味し、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのElectoInk(登録商標)4.5(HPインディゴから入手可能)を使用した)。
【0141】
両方のITMを使用して
図6に示す画像の複数のコピーを印刷した後、両方のITMを使用してグレーモニタプリントを印刷した。参考例2で作製したITMを含む印刷装置を用いて作成したグレーモニタプリントは、グレー画像上に鮮明なゴースト矩形を示し、ゴースト矩形は残りのグレー画像より明るく、トリシロキサン界面活性剤を含まない外側剥離層を有するITMの外側剥離層のNDGを示している。例5により製造されたITMを含む印刷装置を使用して製造されたグレーモニタプリントは、ほとんど見えないより明るいゴースト矩形を有するグレー画像を示した。したがって、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含有する外側剥離層は、NDGを大幅に減少させた。
【0142】
短期メモリの減少
短期メモリがITMの外側剥離層に生成された場合、これは印刷基材上に形成された現像画像の前の画像の視覚的パターンをもたらす。
【0143】
複数の黒い正方形を含む画像の10コピーを、例5および参考例2のITMのそれぞれについてのHPインジゴ7500デジタルプレスを使用して印刷した。
図7は、ブラックElectoInk(登録商標)4.5(HPインジゴから入手可能)を用いて印刷された画像の図である。
【0144】
両方のITMを使用して
図7に示す画像の複数のコピーを印刷した後、両方のITMを使用してグレーモニタプリントを印刷した。参考例2で作製したITMを含む印刷装置を用いて作成したグレーモニタプリントは、グレー画像上に明確なゴースト四角形を示し、ゴースト四角形は残りのグレー画像よりも暗く、トリシロキサン界面活性剤を含まない外側剥離層を有するITMの外側剥離層の短期メモリを示している。例5により製造されたITMを含む印刷装置を使用して生成されたグレーモニタプリントは、ほとんど見えないより暗いゴースト正方形を有するグレー画像を示した。したがって、カーボンブラックおよびトリシロキサン界面活性剤を含有する外側剥離層は、短期メモリを大幅に低下させた。
【0145】
また、本発明者らは、非イオン性ソルビタンエステル、ポリエトキシル化ソルビタンエステル、Brij界面活性剤およびジメチコン界面活性剤などの他の界面活性剤も試験したが、これらは、トリシロキサン界面活性剤によって示される改善を提供することは見出されなかった。
【0146】
組成物、剥離層、中間転写部材(ITM)、方法および関連する態様は、特定の例を参照して記載されているが、本開示の精神から逸脱することなく、様々な修正、変更、省略、および置換を行うことができることが理解されよう。したがって、組成物、剥離層、中間転写部材(ITM)、方法および関連する態様は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。他に記載がない限り、従属請求項の特徴は、他の従属請求項およびその他の独立請求項のいずれかの特徴と組み合わせることができる。