(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加圧制御装置は、前記加圧送出要素Aの前記フィードバック制御1の他に、前記燃料要求量と前記加圧送出要素Bの送出量との差分の量を送出量として燃料を送出させるように前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御信号を生成して前記加圧送出要素Aに送信することにより、前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御2を行う、請求項1に記載の燃料供給システム。
前記フィードフォワード制御1及び前記フィードフォワード制御2におけるフィードフォワード制御信号は、前記設定圧力に応じて補正された信号である、請求項2に記載の燃料供給システム。
前記参照テーブルの1つおける前記一定領域に対応する前記燃料要求量の領域は、前記参照テーブルの他の1つにおいて前記変化領域である、請求項4に記載の燃料供給システム。
前記フィードバック制御1における前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量は、前記加圧送出要素Aの最小送出量より大きく、最大送出量未満であって、前記最大送出量と前記最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るように、前記フィードフォワード制御1における前記加圧送出要素Bの送出量は設定されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料供給システム。
前記燃料要求量と前記加圧送出要素Bの送出量との差分の量を送出量として前記加圧送出要素Aが燃料を送出するように前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御2を行うステップをさらに含む、請求項9に記載の燃料供給方法。
前記フィードフォワード制御1及び前記フィードフォワード制御2では、前記燃料消費装置の前記燃料要求量と前記加圧送出要素による燃料の送出量の関係を表した複数の参照テーブルのうち前記加圧送出要素毎に定められた1つの参照テーブルを参照して、前記燃料消費装置が要求する前記燃料要求量の情報から、前記加圧送出要素それぞれによる燃料の送出量が定められ、
前記参照テーブルのそれぞれで設定されている前記燃料消費装置の前記燃料要求量の領域は、燃料の送出量が、前記燃料要求量の変化に応じて変化する変化領域と、前記燃料要求量の変化に応じて変化しない一定領域とを含み、前記変化領域は、前記参照テーブル間で互いに異なる、請求項10に記載の燃料供給方法。
前記参照テーブルの1つおける前記一定領域に対応する前記燃料要求量の範囲は、前記参照テーブルの他の1つにおいて前記変化領域である、請求項11に記載の燃料供給方法。
前記フィードバック制御1における前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量は、前記加圧送出要素Aの最小送出量より大きく、最大送出量未満であって、前記最大送出量と前記最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るように、前記フィードフォワード制御1における前記加圧送出要素Bの送出量は設定されている、請求項9〜13のいずれか1項に記載の燃料供給方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなガスコンプレッサを複数台並列配置した燃料供給システムにおいて、複数のガスコンプレッサそれぞれによる燃料ガスの吐出量をフィードバック制御する場合、ガスコンプレッサそれぞれがフィードバック制御によってボイルオフガスの吐出量が制御されるので、ガスコンプレッサから内燃機関に供給されるボイルオフガスの合計量は、内燃機関の燃料要求量の前後を振動するハンチングが生じ易い。ハンチングが生じると、内燃機関の出力(回転数や回転トルク)も変動するため好ましくない。
また、内燃機関の燃料要求量が少ない場合、複数の並列配置したガスコンプレッサの制御をどのように行うかについても知られていない。
【0006】
そこで、本発明は、複数の並列配置したガスコンプレッサ等を有する燃料の加圧機構を有し、内燃機関等の燃料消費装置に燃料を供給する際、燃料消費装置の急激な負荷の変化に素早く対応でき、かつハンチングの発生を抑制することができる燃料供給システム及び燃料供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、燃料消費装置に燃料を供給する燃料供給システムである。当該燃料供給システムは、
燃料を前記燃料消費装置に供給するために燃料を加圧し送出する加圧機構と、
前記燃料消費装置
と接続し、前記加圧機構が送出した燃料を前記燃料消費装置に導く主配管と、
前記加圧機構が送出する燃料の送出量を制御する加圧制御装置と、を備える。
前記加圧機構は、それぞれ燃料を加圧して前記主配管に送出する複数の並列配置した加圧送出要素を備える。
前記加圧制御装置は、前記複数の加圧送出要素のうちの1つの加圧送出要素Aを除く少なくとも1つ以上の加圧送出要素Bが、前記燃料消費装置の運転負荷の情報に応じて設定される燃料要求量の一部の量を送出量として燃料を送出するように前記加圧送出要素Bによる燃料の送出量のフィードフォワード制御1を行い、前記
加圧送出要素Aの送出側に設けられ、前記加圧送出要素Aから送出された燃料の圧力を計測する圧力センサの計測圧力が、前記燃料消費装置の前記運転負荷の情報に応じて設定される設定圧力になるように前記圧力センサの計測圧力に基づいて前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードバック制御1を行う。
【0008】
前記加圧制御装置は、前記加圧送出要素Aの前記フィードバック制御1の他に、前記燃料要求量と前記加圧送出要素Bの送出量との差分の量を送出量として燃料を送出させるように前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御信号を生成して前記加圧送出要素Aに送信することにより、前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御2を行う、ことが好ましい。
【0009】
前記フィードフォワード制御1及び前記フィードフォワード制御2におけるフィードフォワード制御信号は、前記設定圧力に応じて補正された信号である、ことが好ましい。
【0010】
前記加圧制御装置は、前記燃料消費装置の前記燃料要求量と前記加圧送出要素による燃料の送出量の関係を表した複数の参照テーブルを保持し、
前記フィードフォワード制御1及び前記フィードフォワード制御2における前記フィードフォワード制御信号は、前記燃料消費装置が要求する前記燃料要求量の情報から、前記加圧送出要素A及び前記少なくとも1つ以上の加圧送出要素B毎に定められた前記参照テーブルの1つを参照して作成した信号であり、
前記参照テーブルのそれぞれで設定されている前記燃料消費装置の前記燃料要求量の領域は、燃料の送出量が、前記燃料要求量の変化に応じて変化する変化領域と、前記燃料要求量の変化に応じて変化しない一定領域とを含み、前記変化領域は、前記参照テーブル間で互いに異なる、ことが好ましい。
【0011】
前記参照テーブルの1つおける前記一定領域に対応する前記燃料要求量の領域は、前記参照テーブルの他の1つにおいて前記変化領域である、ことが好ましい。
【0012】
前記加圧機構は、複数の加圧送出要素Bを含み、
前記加圧制御装置が生成する、前記フィードフォワード制御1における
フィードフォワード制御信号は、前記複数の加圧送出要素Bによる燃料の送出量をお互いに同じにする制御信号である、ことが好ましい。
【0013】
前記フィードバック制御1における前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量は、前記加圧送出要素Aの最小送出量より大きく、最大送出量未満であって、前記最大送出量と前記最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るように、前記フィードフォワード制御1における前記加圧送出要素Bの送出量は設定されている、ことが好ましい。
【0014】
前記フィードバック制御1では、前記加圧送出要素Aの制御対象部材の動作の制御により、前記加圧送出要素Aの燃料の送出量の制御が行われ、
前記加圧制御装置は、前記加圧送出要素Bに対する前記フィードフォワード制御1の他に、前記加圧送出要素Aの制御対象部品の目標動作量と、前記制御対象部品における実際の計測動作量との差分に応じて設定されたフィードバック制御信号を前記加圧送出要素Bに送信することにより、前記加圧送出要素Bの送出量のフィードバック制御2を行う、ことが好ましい。
【0015】
本発明の他の一態様は、燃料消費装置に燃料を供給する燃料供給方法である。当該燃料供給方法は、
燃料を前記燃料消費装置に供給するために、並列配置された複数の加圧送出要素を備える加圧機構で燃料を加圧し主配管に送出する際、前記加圧機構が送出する燃料の送出量を制御するステップを含み、
前記送出量を制御するステップは、
前記複数の加圧送出要素のうちの1つの加圧送出要素Aを除く少なくとも1つ以上の加圧送出要素Bが、前記燃料消費装置の運転負荷の情報に応じて設定される燃料要求量の一部の量を送出量として燃料を送出するように、前記加圧送出要素Bによる燃料の送出量のフィードフォワード制御1を行うステップと、
前記
加圧送出要素Aから送出された燃料の圧力が、前記燃料消費装置の前記運転負荷の情報に応じて設定される設定圧力になるように、前記加圧送出要素A
から送出された燃料の圧力に基づいて前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードバック制御1を行うステップと、を含む。
【0016】
前記燃料供給方法は、前記燃料要求量と前記加圧送出要素Bの送出量との差分の量を送出量として前記加圧送出要素Aが燃料を送出するように前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御2を行うステップをさらに含む、ことが好ましい。
【0017】
前記フィードフォワード制御1及び前記フィードフォワード制御2では、前記燃料消費装置の前記燃料要求量と前記加圧送出要素による燃料の送出量の関係を表した複数の参照テーブルのうち前記加圧送出要素毎に定められた1つの参照テーブルを参照して、前記燃料消費装置が要求する前記燃料要求量の情報から、前記
加圧送出要素それぞれによる燃料の送出量が定められ、
前記参照テーブルのそれぞれで設定されている前記燃料消費装置の前記燃料要求量の領域は、燃料の送出量が、前記燃料要求量の変化に応じて変化する変化領域と、前記燃料要求量の変化に応じて変化しない一定領域とを含み、前記変化領域は、前記参照テーブル間で互いに異なる、ことが好ましい。
【0018】
前記参照テーブルの1つおける前記一定領域に対応する前記燃料要求量の範囲は、前記参照テーブルの他の1つにおいて前記変化領域である、ことが好ましい。
【0019】
前記加圧機構は、複数の加圧送出要素Bを含み、
前記フィードフォワード制御1では、前記複数の加圧送出要素Bの燃料の送出量はお互いに同じである、ことが好ましい。
【0020】
前記フィードバック制御1における前記加圧送出要素Aによる燃料の送出量は、前記加圧送出要素Aの最小送出量より大きく、最大送出量未満であって、前記最大送出量と前記最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るように、前記フィードフォワード制御1における前記加圧送出要素Bの送出量は設定されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
上述の燃料供給システム及び燃料供給方法によれば、燃料消費装置の急激な負荷の変化に素早く対応でき、かつハンチングの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の燃料供給システム及び燃料供給方法を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の燃料供給システムの概略の構成の例を説明する図である。
【0024】
燃料供給システム10は船舶に搭載されている。
図1に示す燃料供給システム10は、燃料消費装置として船舶の推進に用いる内燃機関、すなわち推進エンジン40を用いるが、推進エンジンに限定されず、燃料を消費するエンジンであってもよい。さらに、燃料消費装置は、エンジン以外であってもよく、燃料を消費する装置、例えばボイラーや液化装置等であってもよい。
【0025】
燃料供給システム10が推進エンジン40に供給する燃料として液化ガス、例えば液化天然ガス(LNG)を用いるが、液化天然ガスに限定されず、純メタンガスやエタンガス等の液化ガスを用いることができる。ボイルオフガスは、タンク内で自然入熱によって気化したガスの他に、LNG(液化天然ガス)を意図的に加熱して強制的に気化したガスも含まれる。本実施形態では、タンク内で自然入熱によって気化したガスを用いて説明する。強制的に気化したガスを用いる場合、液化ガスを強制的に気化させる強制気化器が設けられ、加圧されるまえに液化ガスの気化が行われる。
また、本実施形態では、加圧する対象は、ボイルオフガスであるが、液化ガスを対象とすることもできる。この場合、加圧機構は本実施形態のガスコンプレッサに代えて液化ガスを加圧する高圧ポンプが用いられる。この場合、液化ガスの加圧後、液化ガスに熱を与えてガス状態にする熱交換器が用いられるとよい。
【0026】
燃料供給システム10は、液化天然ガスを運搬するLNG船において、液化天然ガスを貯留するタンク20内で気化したボイルオフガスを加圧して燃料ガスとして推進エンジン40に供給するために用いられる。具体的には、加圧機構30が送出した加圧したボイルオフガス(以降、燃料ガスともいう)が流れる主配管31を備える。本実施形態では、1つの推進エンジン40を備えるが、2つ、3つ、あるいは4つ以上の推進エンジンを備えてもよい。この場合、複数の推進エンジンは、主配管31から分岐した、それぞれの推進エンジン毎に設けられた分岐配管に接続される。
【0027】
本明細書では、ボイルオフガスがタンク20から推進エンジン40に流れる方向を下流方向、その反対方向を上流方向といい、ある基準とする位置から下流方向の側を下流側といい、ある基準とする位置から上流方向の側を上流側という。
【0028】
燃料供給システム10は、
図1に示すように、タンク20と、加圧機構30と、制御装置62と、を主に有する。タンク20から推進エンジン40に延びる、ボイルオフガスが流れる主配管31上に加圧機構30が設けられている。
加圧機構30は、液化ガスから気化したボイルオフガスを推進エンジン40に燃料ガスとして供給するために加圧し送出する装置である。加圧機構30には、複数のガスコンプレッサを含む加圧送出要素が並列配置された構成であり、加圧送出要素のそれぞれが、ボイルオフガスを加圧して主配管31に送出する。各加圧送出要素による液化ガスの送出量は制御されている。この制御については、後述する。
【0029】
推進エンジン40は、供給されるボイルオフガスを燃料ガスとして燃焼室で燃焼させて動力を取り出し、主軸45および船舶のプロペラ46を回転させる。推進エンジン40には、例えば2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジンを用いることができる。
【0030】
推進エンジン40は、エンジンコントロールユニット(以降、ECUという)60と接続されており、ECU60によって駆動が制御されている。ECU60は、主軸45の回転を計測するように設けられた回転計42により計測された主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン40の燃料ガスの消費量を制御することで、推進エンジン40の駆動を制御する。主配管31上に設けられた圧力制御バルブ54の開度は、圧力制御器52から送られる制御信号により制御される。圧力制御バルブ54の開度は、主配管31に設けられた圧力センサ56で計測された圧力がECU60から送られる設定圧力になるように制御される。こうした制御により、所定のボイルオフガスの供給量が燃料として推進エンジン40に供給される。
すなわち、ECU60は、推進エンジン40と推進用のプロペラ46を接続した主軸45の主軸回転数が目標回転数になるように、推進エンジン40の負荷を定め、これに基づいて供給される燃料ガスの圧力を設定し、推進エンジン40の燃料ガスの消費量を制御する装置である。ECU60は、気象、海象の風、波高等の自然状況の変化によって変化する主軸回転数が目標回転数に維持されるように、推進エンジン40の負荷を定める他、オペレータの減速、加速、旋回等の指示によって提供されるプロペラ回転数の操作指令値に応じて、推進エンジン40の負荷を定めることもできる。ECU60は、定めた負荷に基づいて、加圧機構30送出側の圧力を設定し、この設定圧力を後述する加圧制御装置62に送るように構成されている。加圧制御装置62は、この設定圧力を用いて、加圧機構30のボイルオフガスの送出量をフィードバック制御する。
また、ECU60は、推進エンジン40の設定された負荷によって推進エンジン40が消費する燃料ガスの消費量の情報を示すガスロード信号ACLを、加圧制御装置62に送る。ガスロード信号ACLは、(推進エンジン40の一回転当たりの燃料ガスの噴射率)・(実際のエンジン40の回転数)/(推進エンジン40の常用最大回転数)を表した信号である。ここで、燃料ガスの噴射率は、推進エンジン40の負荷が100%であるときの一回転当たりの燃料ガスの噴射量を100%としたときの現在の噴射量の比率である。加圧制御装置62は、このガスロード信号ACLを用いて、加圧機構30のボイルオフガスの送出量をフィードフォワード制御する。
【0031】
なお、燃料供給システム10において、加圧機構30とその下流側に位置する圧力制御バルブ54との間の主配管31の部分の断面積は、圧力変動を抑制するために、それより上流側の主配管31の部分に比べて大きくしてもよく、また、加圧機構30と圧力制御バルブ54との間の主配管31の部分には、圧力変動を抑制するためのアキュームレータが設けられてもよい。
【0032】
図2は、燃料供給システ10の加圧機構30の一構成例を説明する図である。
加圧機構30は、主配管31に対して並列配置された加圧送出要素30a(加圧送出要素A)及び加圧送出要素30b,30c(加圧送出要素B)を備える。加圧送出要素30a,30b,30cはそれぞれ、ガスコンプレッサを備え、ボイルオフガスを吸引して加圧して所定の量のボイルオフガスを主配管31に送出する。本実施形態では、並列配置した加圧送出要素の数は、3つであるが、4つ、5つ、6つ等であってもよい。
加圧送出要素30aの送出側の配管には、圧力センサ38が設けられている。圧力センサ38は、加圧機構30の送出側のボイルオフガスの圧力を計測するように構成されている。この計測圧力の情報は、計測圧力Pvとして、加圧制御装置62の一部であるFBコントローラ62aに送られる。FBコントローラ62aは、計測圧力PvがECU60から送られた設定圧力Svに一致するようなボイルオフガスの送出量になるように、計測圧力Pvに基づいて加圧送出装置30aを制御するフィードバック制御信号を生成し、このフィードバック制御信号を加圧送出要素30aに送信することにより、加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量を制御する。この制御を、加圧要素30aによるボイルオフガスの送出量のフィードバック制御1という。すなわち、計測圧力PvがECU60から送られる設定圧力Svとなるように、加圧要素30aによるボイルオフガスの送出量が、計測圧力Pvに基づいてフィードバック制御される。
【0033】
一方、加圧送出要素30b,30cは、ECU60から送られたボイルオフガスの消費量の情報を示すガスロード信号ACLが加圧制御装置62の一部であるFFコントローラ62b,62cに送られる。FFコントローラ62b,62cは、ガスロード信号ACLに基づいて加圧送出要素30b,30cによる送出量を設定し、この設定された送出量の信号をフィードフォワード信号として生成し、このフィードフォワード制御信号を加圧送出要素30b,30cに送信することにより、加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量を制御する。この制御を、加圧要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量のフィードフォワード制御1という。
フィードフォワード制御1及びフィードバック制御1における各加圧送出要素における制御対象部品の動作量を制御することにより行われる。制御対象部品の動作量の制御は、特に制限されないが、例えば、各加圧送出要素を構成するガスコンプレッサを駆動させる駆動モータの回転数の制御、加圧送出要素を構成するコンプレッサが加圧した燃料の一部を、主配管31上の、ガスコンプレッサの燃料吸引側の部分に戻すバイパス管に設けられた燃料の流量調整バルブの開度の制御、あるいは、加圧送出要素を構成するコンプレッサが斜板式可変容量型である場合の斜板の傾斜角度の制御を含む。
【0034】
このように、加圧機構30において、並列配置した加圧送出要素30a,30b,30cのうち、1つの加圧送出装置30aによるボイルオフガスの送出量をフィードバック制御し、残りの加圧送出装置30b,30cによるボイルオフガスの送出量をフィードフォワード制御するのは、推進エンジン40の負荷の急激な変化に対して素早く応答ができる一方、2つ以上の加圧送出要素によるボイルオフガスの送出量をフィードバック制御するときに生じ易いハンチングの発生を防止するためである。
【0035】
上述の実施形態では、加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量のフィードフォワード制御では、ECU60から送られるガスロード信号ACLを用いてフィードフォワード制御信号を生成したが、一実施形態によれば、ガスロード信号ACLの代わりに、単位時間当たりの燃料ガスの消費量の情報、推進エンジン40の負荷率の情報、推進エンジン40の回転数の情報等を用いることも好ましい。この場合、ECU60からこれらの情報が各コントローラに送られる。
ECU60で設定される設定圧力Svは、主配管31上での圧力損失を考慮して、圧力制御バルブ54による圧力調整が確実にできる点から、推進エンジン40の要求する圧力より高めにされることが好ましい。
【0036】
図3(a)〜(c)は、
図2に示す加圧機構30における一制御例を説明する図である。すなわち、
図3(a)〜(c)では、フィードフォワード制御1とフィードバック制御1が行われている加圧機構30の各加圧送出要素30a,30b,30cの、推進エンジン40の燃料要求量に対する送出量の一例を示している。
図3(a)〜(c)に示す各グラフの横軸は、推進エンジン40の燃料要求量を、推進エンジン40の最大燃料要求量に対する比率[%]で表し、縦軸も、各加圧送出要素による送出量の、最大燃料要求量に対する比率[%]で表している。
図3(a)は、加圧送出要素30aの送出量を、
図3(b)は、加圧送出要素30bの送出量を、
図3(c)は、加圧送出要素30cの送出量を示している。
図3(b),
図3(c)に示す加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量は、フィードフォワード制御1により、互いに同じになるように振り分けられている。このような振り分けは、加圧制御装置62に記録保持された参照テーブルを参照して送出量が設定され、フィードフォワード制御信号が作成される。
一方、加圧送出要素30aは、フィードバック制御1により、計測圧力Pvが設定圧力Svになるように加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量が計測圧力Pvに基づいて制御されている。この結果、
図3(a)に示すように加圧送出要素30aの送出量は、推進エンジン40の燃料要求量の変化に対して変化するように設定圧力Svが設定されている。結果として、加圧送出要素30a,30b,30cの、推進エンジンの燃料要求量に対する送出量は、互いに同じ量となっている。
【0037】
加圧送出要素30a,30b,30cの送出量33.3%は、加圧送出要素30a,30b,30cの最大送出量の70%以上、特に好ましくは、最大送出量であることが好ましい。このように、推進エンジン40の最大燃料要求量を3等分した量を最大送出量の70%以上とする加圧送出要素30a,30b,30cを用いることにより、加圧機構30の小型化を実現することができる。加圧送出要素の送出量を増大させる場合、送出量の増大にともなってサイズ及び製造コストが急激に上昇するため、1つの大型の加圧送出要素に比べて3つの小型の加圧送出要素を用いるほうが設置スペースの確保及び製造コストの点で優れている。
【0038】
図4(a)〜(c)は、
図2に示す加圧機構30における、
図3(a)〜(c)とは異なる他の制御例を説明する図である。
図4(a)は、加圧送出要素30aの送出量を、
図4(b)は、加圧送出要素30bの送出量を、
図4(c)は、加圧送出要素30cの送出量を示している。
図4(b),
図4(c)に示す加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量は、フィードフォワード制御1により振り分けられている。
加圧送出装置30bは、燃料要求量が33.3%以下では送出を行わず、33.3%から送出を開始し、66.6%まで徐々に送出を増やし、66.%超では送出量を33.3%に維持している。33.3%の送出量は、加圧送出要素30bの最大送出量である。加圧送出装置30cは、燃料要求量が66.6%以下では送出を行わず、66.6%から送出を開始し、100%まで徐々に送出を増やし、100%では送出量を33.3%に維持している。33.3%の送出量は、加圧送出要素30cの最大送出量の70%以上であることが好ましく、最大送出量であることが好ましい。
一方、加圧送出要素30aは、フィードバック制御1により、計測圧力Pvが設定圧力Svになるように加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量が制御されている。フィードバック制御1は、計測圧力Pvに基づいて行われる。この結果、
図4(a)に示すように加圧送出要素30aの送出量は、推進エンジン40の燃料要求量の変化に対して変化するように設定圧力Svが設定されている。すなわち、燃料要求量0%から送出を開始し、33.3%まで徐々に送出を増やし、33.3%超では送出量を33.3%に維持している。
【0039】
このような制御により、推進エンジン40の燃料要求量に対して加圧送出要素30a,30b,30cの送出量を順番に増加させるので、燃料要求量が33.3%未満では1つの加圧送出要素30aを、燃料要求量が33.3%以上66.6%未満では2つの加圧送出要素30a,30bを駆動してボイルオフガスを送出させるので、3つの加圧送出要素30a,30b,30cを同時に駆動する場合に比べて駆動のためのエネルギ量を低くすることができる。このため、供給できるエネルギ量が限られる船舶において、
図4(a)〜(c)に示す制御は有効である。
【0040】
なお、燃料供給システム10において、加圧送出要素30aでは、
図4(a)に示すフィードバック制御1が行われ、加圧送出要素30bでは、
図4(b)に示すフィードフォワード制御1が行われ、加圧送出要素30cでは、
図4(c)に示すフィードフォワード制御1が行われる形態1が設定されているが、この形態1が変化してもよい。具体的には、一実施形態によれば、加圧送出要素30aでは、
図4(b)に示すフィードフォワード制御1が行われ、加圧送出要素30bでは、
図4(c)に示すフィードフォワード制御1が行われ、加圧送出要素30cでは、
図4(a)に示すフィードバック制御1が行われる形態2、あるいは、加圧送出要素30aでは、
図4(c)に示すフィードフォワード制御1が行われ、加圧送出要素30bでは、
図4(a)に示すフィードバック制御1が行われ、加圧送出要素30cでは、
図4(b)に示すフィードフォワード制御1が行われる形態3が設定されることも好ましい。
【0041】
この場合、加圧制御装置62の構成及び制御信号線の配線は、加圧送出要素30a,30b,30cにおけるフィードフォワード制御1及びフィードバック制御1が切り替えることができるように構成される。一実施形態によれば、形態1〜3は、燃料供給システム10が駆動するたびに順番に切り替えられることが好ましい。このように順番に切り替えることにより、加圧送出要素30a,30b,30cの駆動の頻度を同等にすることができるので、駆動に伴う装置の劣化の程度を均等にすることができ、加圧送出要素30a,30b,30cの寿命を長くすることができる。
【0042】
図5は、燃料供給システ10の加圧機構30の、
図2に示す構成とは異なる他の構成例を説明する図である。
図5に示す例では、加圧送出要素30aを制御するコントローラは、
図2に示す例におけるFBコントローラ62aと異なり、フィードバック制御1の他にフィードフォワード制御2を行うFFBコントローラ62a1である。FFBコントローラ62a1は、加圧制御装置62の一部である。加圧送出要素30b,30cを制御するコントローラは、
図2に示す例におけるFFコントローラ62b,62cと同じである。このため、FFコントローラ62b,62cの説明は省略し、以下FFBコントローラ62a1の説明をする。
【0043】
FFBコントローラ62a1は、上述したフィードバック制御1のフィードバック制御信号に、後述するフィードフォワード制御2のフィードフォワード制御信号が付加された制御信号を加圧送出要素30aに送信する。これにより、加圧送出要素30aのボイルオフガスの送出量は制御される。
FFBコントローラ62a1は、ガスロード信号ACLの信号を受信して、推進エンジン40の燃料要求量と加圧送出要素30b,30Cの送出量との差分の量を送出量として燃料を送出させるように加圧送出要素30aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御信号を生成して加圧送出要素30aに送信する。これにより、加圧送出要素30aのフィードフォワード制御2を行う。したがって、フィードフォワード制御2により加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量は素早く変化する。特に、
図4(a)〜(c)に示すように、加圧送出要素30b,30cがボイルオフガスを送出していない場合において、加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量を素早く変化させることができる。一方、上述のフィードバック制御1により、加圧送出装置30a,30b,30cのボイルオフガスの送出量が変動して計測圧力Pvが変化しても設定圧力Svになるように加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量を制御することができる。
【0044】
このようなフィードバック制御1及びフィードフォワード制御2を行う加圧送出要素は、加圧送出要素30aに固定されず、加圧送出要素30b,30cが行ってもよい。この場合、加圧制御装置62の構成及び制御信号線の配線は、加圧送出要素30a,30b,30cにおけるフィードフォワード制御1と、フィードバック制御1及びフィードフォワード制御2の組み合わせと、が切り替えることができるように構成される。一実施形態によれば、フィードバック制御1及びフィードフォワード制御2が行われる加圧送出要素は、燃料供給システム10が駆動するたびに、加圧送出要素30a,30b,30cの中で順番に切り替えられることが好ましい。
【0045】
図6は、燃料供給システ10の加圧機構30の、
図5に示す構成とは異なる他の構成例を説明する図である。
図6に示す例は、FFBコントローラ62a1及びFFコントローラ62b,62cに、補正部62d,62e,62fが設けられる点が
図5に示す例に対して異なる。
補正部62d,62e,62fは、設定圧力Svに応じて定まる補正係数を、FFBコントローラ62a1及びFFコントローラ62b,62cで生成したフィードフォワード制御信号に乗算した補正後のフィードフォワード信号を加圧送出要素30a,30b,30cに送信する制御信号とする。FFBコントローラ62a1では、フィードバック制御信号と加算される前にフィードフォワード制御信号は補正される。
【0046】
図7は、上記補正係数と設定圧力Svの関係の一例を示す図である。すなわち、設定圧力Svが小さくなれば、補正係数を小さくするとよい。
主配管31内のボイルオフガスの圧力が異なれば、ボイルオフガスの送出量を同じだけ変化させる場合でも加圧機構30の動作は異なる場合がある。より安定した制御を実現するため、この加圧機構30の動作の差を補正するために推進エンジン40の設定圧力Svに応じてフィードフォワード制御信号に乗算する補正係数を変更することにより、ボイルオフガスの送出量を調整することが好ましい。このように、フィードフォワード制御1及びフィードフォワード制御2において、加圧送出要素30a,30b,30cに送信されるフィードフォワード制御信号は、作成されたフィードフォワード制御信号を設定圧力Svに応じて補正された信号であることが好ましい。
【0047】
図8(a)〜(c)は、
図5、6に示す加圧機構30における一制御例を説明する図である。
図8(a)は、加圧送出要素30aの送出量を、
図8(b)は、加圧送出要素30bの送出量を、
図8(c)は、加圧送出要素30cの送出量を示している。
図8(b),
図8(c)に示す加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量は、フィードフォワード制御1により振り分けられている。加圧送出装置30bは、燃料要求量が16.6%以下では送出を行わず、16.6%から送出を開始し、50%まで徐々に送出を増やし、50%超では送出量を33.3%に維持している。33.3%の送出量は、加圧送出要素30bの最大送出量である。加圧送出装置30cは、燃料要求量が50%以下では送出を行わず、50%から送出を開始し、83.4%まで徐々に送出を増やし、100%では送出量を33.3%に維持している。33.3%の送出量は、加圧送出要素30cの最大送出量である。
【0048】
一方、
図8(a)に示す加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量は、フィードフォワード制御2により送出量が設定されており、燃料要求量が0%から送出を開始し、燃料要求量が16.6%になるまで燃料要求量が増大するに伴って送出量が増大し、燃料要求量が16.6%以上83.4%以下では、送出量が16.6%を維持し、燃料要求量が83.4%以上では、燃料要求量が増大するに伴って送出量が増大する。33.3%の送出量は、加圧送出要素30aの最大送出量である。
【0049】
このように、フィードバック制御1及びフィードフォワード制御2による送出量を行う加圧送出要素30aでは、燃料要求量が0%超100%未満の範囲内において、最小送出量より大きく最大送出量未満であって、最大送出量と最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るようにフィードフォワード制御1における加圧送出要素30b,30cの送出量は設定されていることが好ましい。これにより、加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量が変動しても、加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量をフィードバック制御1により制御することができる。
【0050】
図8(a)に示す例では、加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量を一致に維持する送出量は、16.7%であるが、この値に限定されない。一実施形態によれば、フィードバック制御1において、安定した制御を実現するために、加圧送出要素30aにおける最小送出量と最大送出量の平均値を含む所定の範囲、上記例では最小送出量0%と最大送出量33.3%の平均値である16.6%を含む範囲、例えば、10〜24%の範囲であることが好ましい。
【0051】
図3(b),(c)、
図4(b),(c)及び
図8(a)〜(c)に示されるようなフィードフォワード制御1,2において設定されるボイルオフガスの送出量は、予め定められた参照テーブルを用いて設定されることが好ましい。すなわち、加圧制御装置62は、推進エンジン40の燃料要求量と加圧送出要素30a,30b,30cによるボイルオフガスの送出量の関係を表した複数の参照テーブルを記録保持する。フィードフォワード制御1及びフィードフォワード制御2におけるフィードフォワード制御信号は、推進エンジン40の要求する燃料要求量の情報(ガスロード信号ACL)から、加圧送出要素毎に定められた参照テーブルの1つを参照して作成した信号である。参照する参照テーブルは、加圧送出要素30a及び加圧送出要素30b,30cの間で異なることが好ましい。このとき、参照テーブルのそれぞれで設定されている推進エンジン40の燃料要求量の領域は、ボイルオフガスの送出量が、燃料要求量の変化に応じて変化する変化領域と、燃料要求量の変化に応じて変化しない一定領域とを含み、変化領域は、参照テーブル間で互いに異なる。これにより、一部の加圧送出要素による燃料の送出量を変化させず、一部の加圧送出要素による燃料の送出量を燃料要求量の変化に応じて変化させるので、送出量を変化させる加圧送出要素は限定される。このため、燃料供給量の変化に対する制御を安定して行わせることができる。
一実施形態によれば、上記参照テーブルの1つおける一定領域に対応する燃料要求量の範囲は、上記参照テーブルの他の1つにおいて変化領域であることが好ましい。この場合、一実施形態によれば、一定領域における燃料の送出量は、加圧送出要素の最大送出量未満であり、最小送出量(送出量0)より大きいことが好ましい。このような最大送出量未満であり、最小送出量(送出量0)より大きい、燃料要求量に変化に対して変化しない一定の送出量で燃料を送出させる加圧送出要素は、上述した加圧送出要素30aのように、少なくとも計測圧力Pvに基づくフィードバック制御1が行われる加圧送出要素であることが好ましい。この加圧送出要素では、燃料要求量の変化に対して一定の送出量を維持するために、計測圧力Pvに基づくフィードバック制御1を有効に用いることができる。
このように、加圧送出要素の1つは一定の領域の送出量を維持しながら、他の加圧送出要素の1つは、燃料要求量の変化に応じて送出量を変化させることができ、加圧送出要素全体における燃料の送出量の制御が簡単に行え、しかも、安定した制御が可能になる。
【0052】
また、
図3(a)〜(c)に示すように、加圧制御装置62が生成するフィードフォワード制御1におけるフィードフォワード制御信号は、加圧送出要素30b,30cによるボイルオフガスの送出量をお互いに同じにする制御信号であることも好ましい。これにより、推進エンジン40の燃料要求量が急激に大きく変化しても加圧送出要素30b,30cの双方がボイルオフガスの送出量が変化するので、素早い対応ができる。
【0053】
図9は、燃料供給システ10の加圧機構30の、
図6に示す構成とは異なる他の構成例を説明する図である。
図9に示す例は、
図6に示す構成例において用いるFFコントローラ62b,62cに代えて、加圧制御装置62の一部としてFFBコントローラ62b1,62c1を用いる。
図9に示すFFBコントローラ62a1は、
図6に示すFFBコントローラ62a1と同じ構成及び作用を行う。したがって、FFBコントローラ62a1の説明は省略し、以下、FFBコントローラ62b1,62c1の説明をする。
【0054】
FFBコントローラ62b1,62c1は、FFコントローラ62b,62cが行う上述したフィードフォワード制御1の他に、フィードバック制御2を行う。
上述したように、加圧送出装置30aによるボイルオフガスの送出量は、フィードバック制御1により制御される。このとき、加圧送出要素30aの制御対象部材、例えば流量調整バルブの開度の制御により、加圧送出要素30aのボイルオフガスの送出量の制御が行われる。このとき、FFBコントローラ62b1,62c1は、加圧送出要素30b,30cに対するフィードフォワード制御1の他に、加圧送出要素30aの制御対象部品の目標動作量と、この制御対象部品における実際の計測動作量との差分に応じて設定されたフィードバック制御信号を加圧送出要素30b,30cに送信することにより、加圧送出要素30b,30cの送出量のフィードバック制御2を行う。
したがって、加圧送出要素30aには、制御対象部材の動作量(例えば、流量調整バルブの開度)を計測する
計測センサが設けられる。この計測結果がFFBコントローラ62b1,62c1に送信される。一方、FFBコントローラ62a1から加圧送出要素30aに送信する制御信号に基づいて、上記加圧送出要素30aにおける制御対象部材の目標動作量(例えば、流量調整バルブの目標開度)を生成する目標動作量算出部62gが、加圧制御装置62の一部として設けられる。
したがって、FFBコントローラ62b1,62c1は、
計測センサから送信された制御対象部材の動作量の計測結果と、目標動作量算出部62gから送信された目標動作量との差分に基づいて、加圧送出要素30b,30cの送出量の制御を行う。例えば、制御対象部材の動作量の計測結果と目標動作量との差分が大きいと、加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量が目標から大きくずれていることがわかるので、この差分に基づいて、加圧送出要素30b,30cの送出量を調整することができる。
【0055】
図10は、加圧機構30の具体的な構成例を説明する図である。
加圧機構30の加圧送出要素30aは、5つのガスコンプレッサ30a1〜30a5と、バイパス管32a,33aと、流量調整バルブ34a,35aとを備える。ここで、ガスコンプレッサ30a1〜30a5は直列に配置されているので、ボイルオフガスは、ガスコンプレッサにより順番に加圧されて、例えば30MPa程度に加圧される。加圧送出要素30b,30cも、5つのガスコンプレッサ30b1〜30b5,30c1〜30c5と、バイパス管32b,33b,32c,33cと、流量調整バルブ34b,35b,34c,35cとを備える。ここで、ガスコンプレッサ30b1〜30b5,30c1〜30c5は直列に配置されているので、ボイルオフガスは、ガスコンプレッサにより順番に加圧されて、例えば30MPa程度に加圧される。
【0056】
バイパス管33a,33b,33cは、上流側の2段目のガスコンプレッサ30a2,30b2,30c2の送出側の配管と1段目のガスコンプレッサ30a1,30b1,30c1の吸引側(上流側)の配管とを接続している。バイパス管32a,32b,32cは、最下段のガスコンプレッサ30a5,30b5,30c5の送出側の配管と3段目のガスコンプレッサ30a3,30b3,30c3の吸引側(上流側)の配管とを接続している。バイパス管32a,33a,32b,33b,32c,33cには流量調整バルブ34a,35a,34b,35b,34c,35cが設けられ、バイパス管32a,33a,32b,33b,32c,33cを下流側から上流側に逆流するボイルオフガスの流量を調整する。特に、流量調整バルブ34a,34b,34cの開度を制御することにより、バイパス管32a,32b,32cを流れるボイルオフガスの流量を調整することができ、この調整により、加圧送出要素30a,30b,30cによるボイルオフガスの主配管31へ送出する送出量を調整することができる。すなわち、流量調整バルブ34a,34b,34cの開度を、上述した各種制御信号を用いて制御することにより、加圧送出要素30a,30b,30cによるボイルオフガスの送出量を制御することができる。
【0057】
このような燃料供給システム10では、以下の燃料供給法が行われる。
ボイルオフガスを燃料として推進エンジン40に供給するために、並列配置された複数の加圧送出要素30a,30b,30cを備える加圧機構30で燃料を加圧し主配管31に送出する際、加圧機構30が送出するボイルオフガスの送出量を制御するとき、
1つの加圧送出要素30aを除く少なくとも1つ以上の加圧送出要素30b,30cが、推進エンジン40の運転負荷の情報に応じて設定される燃料要求量の一部の量を送出量として燃料を送出するように、加圧送出要素30b,30cのフィードフォワード制御1を行う。
また、上述の実施形態では計測圧力Pvが、推進エンジン40の運転負荷の情報に応じて設定される設定圧力Svになるように加圧送出要素30aによるボイルオフガスの送出量のフィードバック制御1を行う。このように、1つの加圧送出要素30aがフィードバック制御1を行い、残りの加圧送出要素30b,30cがフィードフォワード制御1を行うので、推進エンジン40の負荷の急激な変動に対して素早い応答を行うことができ、フィードバック制御を行うときに生じ易いハンチングの発生を防止することができる。
【0058】
一実施形態によれば、推進エンジン40の燃料要求量と加圧送出要素30b,30cの送出量との差分の量を送出量として加圧送出要素30aが燃料を送出するように加圧送出要素30aによる燃料の送出量のフィードフォワード制御2を行う。これにより、加圧送出要素30aしかボイルオフガスの送出を行っていないときでも、推進エンジン40の負荷の急激な変動に対して素早い応答を行うことができる。この場合、フィードフォワード制御2により、加圧送出要素30aによる燃料の送出量の変化が素早く行われ、さらに、フィードバック制御1により、計測圧力Pvが設定圧力Svになるように加圧送出要素30aによる燃料の送出量が細かく制御される。
【0059】
一実施形態によれば、上記フィードフォワード制御1及び上記フィードフォワード制御2では、推進エンジン40の燃料要求量と加圧送出要素30b,30cによる燃料の送出量の関係を表した複数の参照テーブルのうち加圧送出要素30b,30c毎に定められた1つの参照テーブルを参照して、推進エンジン40の要求する燃料要求量の情報から、加圧送出要素30b,30cそれぞれによる燃料の送出量が定められる。参照する参照テーブルは、加圧送出要素30a及び加圧送出要素30b,30cの間で異なることが好ましい。このとき、参照テーブルのそれぞれで設定されている推進エンジン40の燃料要求量の領域は、燃料の送出量が、燃料要求量の変化に応じて変化する変化領域と、燃料要求量の変化に応じて変化しない一定領域とを含み、上記変化領域は、参照テーブル間で互いに異なることが好ましい。これにより、一部の加圧送出要素の駆動を停止させることができるので、駆動のためのエネルギを低下させることができる。
一実施形態によれば、上記参照テーブルの1つおける一定領域に対応する燃料要求量の領域は、上記載参照テーブルの他の1つにおいて変化領域であることが好ましい。
【0060】
なお、一実施形態によれば、フィードフォワード制御1では、複数の加圧送出要素30b,30cBによるボイルオフガスの送出量はお互いに同じであることも好ましい。これにより、推進エンジン40の燃料要求量が急激に大きく変化しても加圧送出要素30b,30cの双方がボイルオフガスの送出量が変化するので、素早い対応ができる。
【0061】
一実施形態によれば、加圧送出要素30aにおけるボイルオフガスの送出量は、加圧送出要素Aの最小送出量より大きく、最大送出量未満であって、最大送出量と最小送出量の平均値を含む所定の範囲に入るように、フィードフォワード制御1における加圧送出要素30b,30cの送出量は設定されていることが好ましい。最大送出量と最小送出量の平均値を含む所定の範囲は、加圧送出要素30aにおける制御対処部材の動作を安定して動作させることができる範囲に対応するので、フィードバック制御1によるボイルオフガスの送出を安定して行うことができる。
【0062】
以上、本発明の燃料供給システム及び燃料供給方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。