(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の一形態を、以下に説明する。
【0015】
図1は栽培施設の平面図であり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室1と、該栽培室1に隣接する出荷室2とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は作業移動車(作業台車)3あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路4を設けており、このメイン通路4は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。
【0016】
メイン通路4の両側の側方位置には、栽培条となる栽培ベッド5を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース6を構成している。尚、前記栽培ベッド5はロックウールで形成され、出荷室2内の養液供給装置7から各栽培ベッド5へ養液が供給される構成となっている。また、メイン通路4の両端には開閉扉を備える栽培室1への出入り口8を設け、一方の出入り口8を介して隣接する出荷室2へ行き来できる構成となっている。
【0017】
尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、作業移動車をメイン通路4から各栽培条(各栽培ベッド5)の間のサブ通路9に移動させ、該サブ通路9で栽培条(栽培ベッド5)に沿って作業移動車3を移動させながら栽培条に対する各種作業を行うことができる。
【0018】
尚、作業移動車3は、サブ通路9上に敷設された後述する左右の暖房用管37を走行用のレールとして走行する。また、作業移動車3は、低速走行用12Vと高速走行用24Vのバッテリーを搭載しているので、それぞれのバッテリーチェッカーを設けて、充電が必要なバッテリーを判断するようにしている。
【0019】
また、作業移動車3は、
図21に示す如く、並列した暖房用管37を鍔付き車輪13で跨いで走行するようにしているので、
図20の如く、鍔付き車輪13の内側に凹み13aを設け、この凹み13aに接触センサ14を設けて、鍔付き車輪13が左右にずれると接触センサ14が暖房用管37に接触して車上コントローラ15のブザーを鳴らすようにして、作業移動車3が暖房用管37から外れて転倒する可能性を作業者に知らせて走行を停止する。作業者は再度フットスイッチ16を踏んで走行を開始しようとしても、車上コントローラ15に設ける走行スイッチを押さないと走行しないようにして安全を図る。
【0020】
図22は、暖房用管37の支持構成で、接地プレート22に所定ピッチで一対の支脚21,21を立設して支持プレート20を水平に保持し、該支持プレート20に暖房用管37を受けるパイプ受17を設けた高さ調整ボルト18を捻じ込み、ロックナット19,19で支持プレート20を挟んで締めつけて固定して、暖房用管37を水平に支持する。この構成で、支脚21,21の間から高さ調整ボルト18の先端が見える状態にして、高さ調整代を残して抜けないように組み付けることが出来る。高さ調整ボルト18の先端が見える状態では、抜ける虞が無い。
【0021】
前記出荷室2内には、前述した養液供給装置7と、収穫されたトマト等の収穫物(果実)を重量や大きさあるいは等級別に選別する選別装置10とを備えている。
【0022】
選別装置10は、収穫物を搬送して選別する選別コンベア11と、該選別コンベア11の両側の側方に設けられた階級毎に作物を納める収穫物収容部12とを備えて構成され、選別コンベア11から各収穫物収容部12へ収穫物を供給して各階級に選別する構成となっている。尚、前記選別コンベア11は、平面視でL字状に屈曲した構成となっている。また、各々の収穫物収容部12には収穫物を収容する収容箱を設けて、この収容箱ごとに収穫物を出荷すればよい。
【0023】
図5に示す如く、栽培条(栽培ベッド5)の上側には、該栽培条に沿う誘引ワイヤ80を各栽培条に左右に2本設けている。栽培条に一列に並ぶ栽培植物(栽培株)は、左右の誘引ワイヤ80により交互に振り分けて誘引される構成となっており、誘引ワイヤ80から垂れ下がる誘引紐81により誘引される。従って、例えばトマトを栽培する場合、トマトの茎が栽培ベッド5から誘引紐81を伝って伸長することになる。
【0024】
図7と
図8に示す如く、誘引ワイヤ80の下方で且つ栽培ベッド5よりも上位には、生長点温調用パイプ91を設けている。従って、生長点温調用パイプ91は、誘引紐81の近くに配置されることになる。また、生長点温調用パイプ91よりも下位となる栽培ベッド5の直上には、根圏温調用パイプ92を設けている。生長点温調用パイプ91及び根圏温調用パイプ92は、誘引ワイヤ80すなわち栽培条の方向に伸び、温調用の流体である温水又は冷水が流れる構成となっている。根圏温調用パイプ92は、栽培条ごとに設けられる。生長点温調用パイプ91は、誘引ワイヤ80に対応して設けられ、栽培条ごとに一対設けられている。
【0025】
従って、根圏温調用パイプ92に温調用の流体を流すことにより、栽培ベッド5を加温又は冷却し、栽培植物(例えばトマト)の根圏の温度調節を行う。また、生長点温調用パイプ91に温調用の流体を流すことにより、誘引紐81で誘引される栽培植物(例えばトマト)の生長点付近を加温又は冷却し、栽培植物の生長点付近の温度調節を行う。尚、栽培植物の生長に伴って生長点の高さが変化するが、それに合わせて生長点温調用パイプ91の高さを調節するための高さ調節装置を別途設けている。
【0026】
生長点温調用パイプ91と根圏温調用パイプ92の間には、茎温調用パイプ93を設けている。茎温調用パイプ93は、可撓性があり、誘引紐81すなわち栽培植物の近傍で茎に沿って設けられ、誘引紐81すなわち栽培株ごとに設けられている。そして、温水又は冷水は、生長点温調用パイプ91から茎温調用パイプ93を介して根圏温調用パイプ92へ流れる構成となっている。
【0027】
従って、茎温調用パイプ93により、栽培植物の茎の近傍を加温又は冷却し、栽培植物の近傍の温度調節を行う。よって、生長点温調用パイプ91、根圏温調用パイプ92及び茎温調用パイプ93により、栽培植物の近傍を局所的に暖房又は冷房することができて温調効率を向上させることができ、栽培室1全体を暖房又は冷房するのと比較して温調によるランニングコストの削減が図れる。
【0028】
熱源としては、温水又は冷水等の熱媒体を吐出して供給する電気式の加熱装置(チラー)を用いる。従って、加熱装置から温水又は冷水が生長点温調用パイプ91に供給され、その温水又は冷水が茎温調用パイプ93を通って根圏温調用パイプ92から加熱装置へ戻る循環経路を構成している。尚、前記加熱装置に代えて、後述する第一加温装置31又は第二加温装置32からの熱媒体を供給する構成としてもよい。
【0029】
各栽培植物(栽培株)が効率良く受光するためには各栽培植物(栽培株)の間隔が栽培室1内全体にわたって略同等となるのが理想であり、そのために、誘引ワイヤ80はサブ通路9の上方に位置しており、栽培植物がサブ通路9上にはみ出るようにしている。ところが、サブ通路9で作業移動車3を移動させながら栽培条に対する各種作業を行うとき、栽培植物がサブ通路9上にはみ出ていると、作業移動車3の移動の邪魔になり、作業が行いにくいおそれがある。そこで、
図5に示す如く、誘引ワイヤ80よりも低位で栽培ベッド5よりも上位で作業移動車3と同じ高さとなる位置には、各栽培条に左右に振り分けられた栽培植物を栽培ベッド5側へ移動させる移動用帯体82を設けている。
【0030】
この移動用帯体82は、
図6の如く、栽培植物の側方で該栽培植物に対してサブ通路9側に栽培条に沿って延設され、一端が栽培条の端部に固定され、他端は帯体巻取りモータ83で駆動する帯体巻取り装置84により巻き取りあるいは繰り出しできる構成となっており、帯体巻取りモータ83で巻き取りあるいは繰り出しすることにより、栽培条に沿う帯体の長さを変更できる。これにより、通常栽培時には、帯体巻取り装置84により帯体を繰り出して栽培条に沿う帯体を長くすることにより、栽培植物は移動用帯体82にあまり規制されずにサブ通路9上にはみ出る位置となる。
【0031】
作業移動車3による作業時には、作業移動車3がサブ通路9に進入してきたことを移動用帯体82に設けた進入検出センサ85により検出すると、帯体巻取り装置84により帯体を巻き取って栽培条に沿う帯体を短くすることにより、栽培植物は移動用帯体82により栽培ベッド5側に寄せられ、作業移動車3の移動スペースを確保する。
【0032】
これにより、作業移動車3がサブ通路9に進入するのに連動して移動用帯体82が自動的に作動し、栽培植物が作業移動車3の移動の邪魔になるのを防止するため、作業移動車3の移動スペースの確保に作業者の手を煩わせることを抑え、作業性が向上する。尚、移動用帯体82は、内部に進入検出センサ85の検出子となるワイヤを備えている。尚、進入検出センサ85は防除作業車がサブ通路9に進入してきた場合も同様に検出でき、移動用帯体82は、作業移動車3だけでなく、防除作業車がサブ通路9に進入するのに連動して作動する。
【0033】
サブ通路9上において、作業移動車3は作業者が作業の進捗状況に応じて走行操作を行って適宜移動させる構成であるが、防除作業車は自動走行しながら自動的に防除する構成である。防除作業車は、サブ通路9を往復走行することになるが、防除する栽培条の防除の必要量に応じて、往復走行における片道走行時にのみ防除作業を行う片道防除状態と、往復走行で防除作業を行う往復防除状態と、同じサブ通路9を2回往復走行させてその2回の往復走行で防除作業を行う2往復防除状態とに切替できる構成となっている。これにより、必要以上の防除による栽培植物への悪影響を防止すると共に、病害虫の発生度合の高い栽培条において防除効果の向上を図ることができる。
【0034】
図9に示す如く、作業移動車3又は防除作業車には、サブ通路9から栽培植物を撮影するカメラ94を設けている。カメラ94により、作業移動車3又は防除作業車を走行させながら、各々の栽培株で成熟した果実を自動的に検出する。カメラ94が撮影した画像データが無線により制御部(コントローラ)26に送信され、制御部(コントローラ)26内の果実判別装置により成熟した果実を検出する。例えば、果実がトマトである場合、果実が成熟すれば赤くなるので、果実判別装置がカメラ94により撮影した画像を処理して色彩判別することにより成熟した果実を検出する構成となっている。尚、色彩判別以外に、形状や大きさ等により成熟した果実を判別する構成としてもよい。
【0035】
また、画像データと共に作業移動車3又は防除作業車の位置情報が無線により制御部(コントローラ)26に送信され、栽培室1内のどの栽培株の画像であるかを認識する構成となっている。位置情報は、作業移動車3又は防除作業車に設けたGPS発信機により得ることができる。これにより、各々の栽培株ごとの成熟果実の個数をカウントする。
【0036】
そして、制御部26は、栽培株ごとの成熟果実の個数から各々の栽培条ごとの成熟果実の総数及び栽培室1内全体の成熟果実の総数を演算し、これらの成熟果実の総数から成熟果実を収穫する作業者を設定する。
【0037】
この作業者の設定について詳細に説明すると、複数の作業者の各々の作業能力(作業速度、作業能率:例えば単位時間当たりの成熟果実の収穫個数等)を予め制御部26に入力しておき、栽培室1内全体の成熟果実の総数から前記作業能力に応じて各作業者の仮収穫個数を演算する。そして、演算した仮収穫個数に基づいて、栽培室1の端の栽培条から順に作業者を割り振り、各作業者の作業領域を設定する。このとき、同一の栽培条に複数の作業者の作業領域がまたがらないよう、栽培条ごとに作業者を設定する。
【0038】
各々の栽培株の上方位置には電光表示板である個数表示器95を設けており、制御部26から個数表示器95への無線による送信により、対応する栽培株における成熟果実の個数が個数表示器95に表示される。また、各々の栽培条の入口(メイン通路4側の端部)にはモニター96を設けており、制御部26からモニター96への無線による送信により、栽培条における成熟果実の総数と収穫作業をする作業者名がモニター96に表示される。作業者は、自分の名前が表示されているモニター96に対応する栽培条で収穫作業を行うことになる。
【0039】
作業者は、モニター96に表示される栽培条における成熟果実の総数と、個数表示器95に表示される各々の栽培株ごとの成熟果実の個数を認識しながら、サブ通路9上で収穫作業を行う。これにより、作業者の作業能力に拘らず、栽培室1内全体の収穫作業を複数の作業者で効率良く行えると共に、成熟果実の発見を容易に行えるため、収穫作業が容易になり、作業時間の短縮が図れる。また、栽培条ごとに作業者を設定するので、同一のサブ通路9上で複数の作業者が同時に作業をしないようにでき、作業能率が向上する。尚、サブ通路9間に栽培条が2条ある場合は、サブ通路9の両側に面する一対の栽培条ごとに作業者を設定することが望ましい。
【0040】
また、カメラ94により植物の葉の裏の気孔を撮影し、制御部26により気孔の大きさを判断する。一方、栽培室1内へ二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給装置を設け、制御部26により、カメラからの撮影画像で気孔が大きいと判断されるときは、栽培室1内の二酸化炭素の濃度に拘らず二酸化炭素供給装置から二酸化炭素を吐出する。これにより、気孔が大きく開いて光合成が活発なときに、的確に二酸化炭素を供給でき、従来の二酸化炭素濃度に基づく二酸化炭素供給制御と比較して二酸化炭素の無駄な供給を低減できる。
【0041】
ところで、養液供給装置7は、
図2に示すように、養液を貯留する第一タンク41並びに第二タンク42、硝酸を貯留する酸タンク43及び原水を貯留する原水タンク44を備え、これらのタンク41,42,43,44内に貯留する液が各主開閉バルブ45,46,47,48を介して混合装置49に供給され、該混合装置49で混合される構成となっている。
【0042】
尚、前記第一タンク41と第二タンク42とは、互いに肥料成分の異なる養液を貯留している。第一タンク41、第二タンク42並びに酸タンク43から混合装置49への供給経路(供給パイプ50,51,52)において、前記各主開閉バルブ45,46,47の供給上手側には、各々混合前のフィルター53,54,55を設けている。更に、該混合前フィルター53,54,55の供給上手側には、各々副開閉バルブ56,57,58を設けている。
【0043】
そして、酸タンク43からの供給経路(供給パイプ52)において、副開閉バルブ58及び混合前フィルター55より供給下手側で主開閉バルブ47より供給上手側には、分岐パイプ62(分岐経路)を接続している。この分岐パイプ62(分岐経路)は、第一タンク41及び第二タンク42からの供給経路(供給パイプ50,51)における副開閉バルブ56,57及び混合前フィルター53,54より供給下手側で主開閉バルブ45,46より供給上手側の各々の位置に接続され、酸タンク43内の硝酸を第一タンク41及び第二タンク42からの供給経路(供給パイプ50,51)へ供給可能に構成している。
【0044】
尚、前記分岐パイプ62の中途部には、電磁式の分岐用の開閉バルブ63を設けている。第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において、分岐パイプ62の接続部より供給下手側で主開閉バルブ45,46より供給上手側には、供給パイプ50,51内の流量を検出する流量センサ64,65を各々設けている。
【0045】
混合装置49で混合された養液は、養液ポンプ59及び混合後のフィルター60を介して給液パイプ61により栽培室1内の各栽培ベッド5へ供給される。
【0046】
また、養液ポンプ59及び混合後のフィルター60より供給下手側には栽培室1内の各栽培ベッド5すなわち給液パイプ61へ液を供給せずに排出するための排出パイプ66を接続しており、該排出パイプ66に設けた電磁式の排出用の開閉バルブ67により、養液ポンプ59から吐出する液を給液パイプ61へ供給する給液状態と排出パイプ66を介して外部に排出する排出状態に切り替え可能に構成している。
【0047】
従って、栽培室1内の各栽培ベッド5へ養液を供給する通常状態では、分岐用開閉バルブ63及び排出用開閉バルブ67を閉じ、混合装置49で混合された養液を給液パイプ61へ供給する。この養液供給時に、各々の流量センサ64,65により第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51内の流量を逐次検出する。そして、養液供給時の供給パイプ50,51内の流量が所定値以下になった場合は、栽培室1内の各栽培ベッド5への養液供給を停止しているときに、制御装置により自動的に分岐用開閉バルブ63及び排出用開閉バルブ67を開いて養液ポンプ59を駆動し、分岐パイプ62を通して酸タンク43内の硝酸を第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51へ供給し、混合装置49を通った硝酸が排出パイプ66を介して外部に排出する。
【0048】
このとき、第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において各々の副開閉バルブ56,57を自動的に閉じ、前記供給パイプ50,51に供給される硝酸が該供給パイプ50,51を逆流して第一タンク41及び第二タンク42へ供給されないようにしている。
【0049】
よって、第一タンク41及び第二タンク42からの供給パイプ50,51において、養液中の不溶解物や不純物が詰まるおそれがあるが、流量センサ64,65により供給パイプ50,51内の詰まりを検出すると自動的に該供給パイプ50,51内へ洗浄液となる硝酸を注入して該供給パイプ50,51を自動洗浄することができ、従来のように供給パイプを分解して該パイプ内を洗浄するようなメンテナンスの手間が省けて作業能率が向上する。
【0050】
また、洗浄液(硝酸)は、排出パイプ66を介して外部に排出され、栽培ベッド5に直接供給されないので、上記の洗浄により植物の成育を阻害することがない。
【0051】
また、養液ポンプ59の供給下手側で混合後のフィルター60の供給上手側には、養液ポンプ59から吐出される養液を分岐して養液ポンプ59の供給上手側で混合装置49の供給下手側に戻す循環経路(循環パイプ68)を接続している。この循環経路(循環パイプ68)には電磁式の戻り用の開閉バルブ69を設けており、混合後フィルター60の供給下手側に設けた圧力センサ70により給液パイプ61への養液供給における圧力変動が大きいことを検出すると、制御装置により自動的に前記戻り用の開閉バルブ69を開いて養液を循環経路(循環パイプ68)に流して循環させ、給液パイプ61内の圧力を安定させる構成となっている。
【0052】
これにより、養液ポンプ59起動時のエアがみ等によるウォーターハンマー現象を防止すると共に、養液ポンプ59供給下手側の配管(給液パイプ61)の破損を防止できる。また、前記循環経路(循環パイプ68)には循環される養液の温度を検出する温度センサ71を設けており、該温度センサ71により養液の温度が所定値以上に上昇したことを検出すると、制御装置により強制的に養液ポンプ59を停止させて循環パイプ68で養液を循環させないようにして養液の温度低下を促すように構成している。これにより、養液の熱で配管内のバルブやパッキン等の構造物が溶解して破損するようなことを防止できる。
【0053】
また、栽培ベッド5からの排液は、原水タンク44に回収され、栽培ベッド5への給液に再利用される。
【0054】
図3に示す如く、栽培室1内には原水タンク44を通る通風管27を設け、ファン28の駆動により通風管27内に通風する。これにより、栽培室1内の空気が積極的に温度の低い原水タンク44に当たって結露し、栽培室1内の空気を簡易的に除湿できると共に、後述する暖房設備により暖房された栽培室1内の空気で原水タンク44内の原水及び養液を昇温させることができる。
【0055】
尚、結露した水は、通風管27に設けた排水口29を介して栽培室1外へ排出される。よって、後述する天窓制御における天窓30が開く頻度又は天窓30の開度を低く抑えることができるので、栽培室1内の室温低下を抑えることができ、暖房設備の暖房の負荷を抑えて省エネルギー化が図れる。
【0056】
図2において、原水タンク44には、養液の肥料濃度を検出するECセンサ86と、養液のペーハー値を検出するPHセンサ87とを備えている。このECセンサ86及びPHセンサ87の検出値に基づき、混合装置49で混合される養液が所望の肥料濃度及びペーハー値となるよう、制御装置のメインの養液供給コントローラ88により各主開閉バルブ45,46,47,48を制御する構成となっている。
【0057】
しかしながら、メインの養液供給コントローラ88が故障すると、各主開閉バルブ45,46,47,48を作動させることができなくなり、養液を各栽培ベッド5へ供給できなくなり、栽培に悪影響を与えることになってしまう。そこで、制御装置には予備制御盤89を設けており、メインの養液供給コントローラ88が故障したときには、各主開閉バルブ45,46,47,48の制御を前記予備制御盤89により行える構成とし、該予備制御盤89の制御に切り替えると、各主開閉バルブ45,46,47,48を予め設定した時間のみ開いて養液を作成し、養液を各栽培ベッド5へ簡易的に供給できる。
【0058】
これにより、供給する養液の肥料濃度やペーハー値の制御精度は低下するが、栽培ベッド5へ養液が供給できなくなるのを一時的に回避でき、植物が枯れるような大きな被害を回避することができる。
【0059】
予備制御盤89により養液供給制御を行っている間にメインの養液供給コントローラ88を修理し、メインの養液供給コントローラ88が正常に復帰すれば、メインの養液供給コントローラ88による養液供給制御に切り替えればよい。尚、予備制御盤89により養液供給制御において、予め設定される各主開閉バルブ45,46,47,48の開時間のパターンを複数備え、ECセンサ及びPHセンサの検出値に応じて前記パターンを切り替える構成としてもよい。
【0060】
また、栽培ベッド5からの排液の肥料成分(例えば、窒素成分、カリ成分、カルシウム成分、リン酸成分等)を分析する成分分析計を設け、制御装置により成分分析計で測定した排液の肥料成分と栽培用に予め設定した設定肥料成分を比較して、養液タンクである第一タンク41及び第二タンク42から排液で不足する肥料成分が多く供給され、排液で余剰する肥料成分が少なく供給されるべく、主開閉バルブ45,46の開く時間又は開度を制御し、排液に養液タンクから養液を混合した新たな養液を作成する。
【0061】
これにより、排液を使用するにも拘らず、所望の肥料成分で高精度に安定させた養液を栽培ベッド5へ供給できる。尚、排液で不足する肥料成分は植物が多く吸収していることから植物が多量に要求していると判断し、排液で余剰する肥料成分は植物の吸収量が少ないことから植物の要求度が低いと判断し、植物の要求に合わせて設定肥料成分を補正してもよい。これにより、更に栽培状況に応じた高精度な養液供給制御が行えると共に、肥料の無駄を防止でき、肥料濃度の高い排液を最終的に廃棄することによる環境負荷を低減できる。
【0062】
図10は廃液処理装置で、栽培ベッド5からの排液は、先ず殺菌前タンク97へ回収され、殺菌前タンク97から殺菌前ポンプ98を介して殺菌タンク99へ供給され、殺菌タンク99で殺菌された排液が殺菌後ポンプ100を介して原水タンク44へ供給される。殺菌タンク99は太陽光が照射する屋外に配置されると共に、殺菌タンク99内には光触媒である酸化チタン101が混入されており、太陽光で照射された酸化チタン101がその表面で強力な酸化力を発生させて排液中の有機物(細菌等)を分解して殺菌する。尚、良好な殺菌効果を得るべく、殺菌タンク99内を適宜攪拌するのが好ましい。
【0063】
また、殺菌タンク99から殺菌後ポンプ100へ通じる出口部にはフィルター102を設け、殺菌タンク99から排液と一緒に酸化チタンを排出させない構成となっている。また、殺菌タンク99の近くには日射量センサ103を設け、該日射量センサ103で検出される日射量の積算値(積算日射量)が所定値に達すると、制御装置により殺菌が完了したと判断して殺菌前ポンプ98及び殺菌後ポンプ100を駆動し、殺菌タンク99から排液を排出すると共に、殺菌前タンク97から新たな排液を殺菌タンク99へ供給する。酸化チタン101で分解された排液中の有機物(細菌等)の一部は二酸化炭素となるので、この二酸化炭素を栽培室1内に供給して植物の光合成に利用することができる。この酸化チタン101による殺菌により、従来の加熱殺菌装置や紫外線殺菌装置と比較して、コストダウンが図れると共にメンテナンス性が向上する。
【0064】
図11に、溶液用の原水を殺菌する原水殺菌装置を示している。
【0065】
農業用水タンク135と雨水タンク136の原水をそれぞれバルブ135a,136aを介して合流しポンプ137で紫外線殺菌タンク139へ送り込み、殺菌後の原水を配管141で殺菌後タンク142に溜めるようにしている。
【0066】
紫外線殺菌タンク139内には酸化チタン101を設け、太陽光や紫外線ランプ143の光を酸化チタン101に照射して原水中の有機物(細菌等)を分解して殺菌する。
【0067】
コントローラ140は、ポンプ137の吐出側に設ける流量センサ138で紫外線殺菌タンク139への原水供給状態を監視し、供給量が無くなるとポンプ137を止め、紫外線ランプ143を消灯することで、省電力化出来る。
【0068】
図12には、別実施例の原水殺菌装置を示している。
【0069】
殺菌前タンク144からポンプ137で紫外線殺菌タンク139に原水を送るが、ポンプ137と紫外線殺菌タンク139の間にバルブ147,148で戻り流量を調整する戻り配管150,151を設け、紫外線殺菌タンク139内には複数の紫外線ランプ143を設けて、殺菌後タンク142の水位計146で計測する殺菌後タンク142の殺菌済原水の貯留量をコントローラ140に入力して、殺菌済原水の貯留量が多ければ、バルブ137,138を開いて殺菌前タンク144に戻す原水を多くすると共に、点灯する紫外線ランプ143の数を少なくすることで、省電力化出来る。なお、戻り配管150,151を設けることなく、ポンプ137の回転を制御して紫外線殺菌タンク139に送る原水の量を調整するようにしても良い。
【0070】
なお、各紫外線ランプ143の点灯時間を記憶し、各紫外線ランプ143の点灯時間が平均化するように点灯タイミングをコントロールすると、各紫外線ランプ143の寿命を長くすることが可能になる。
【0071】
次に、栽培室1の暖房設備について
図4で説明すると、化石燃料である重油又は灯油等の石油を燃焼させた熱を利用して温水を加温する石油ボイラーである第一加温装置31と、化石燃料以外の燃料である植物の残渣やおがくず等の製材副産物を圧縮成形した木質ペレット等を燃焼させた熱を利用して温水を加温する木質ペレットボイラーである第二加温装置32と、第一加温装置31及び第二加温装置32に温める水を供給する加温管33と、加温管33により加温された温水をポンプ34へ供給するための第一供給管35と、ポンプ34からの温水を温室内の暖房用管37へ供給するための第二供給管36と、暖房用管37から加温管33へ冷えた水を戻すための戻り管38を設け、加温管33、第一供給管35、第二供給管36、暖房用管37及び戻り管38を経由する温水の循環経路を構成している。
【0072】
尚、第一加温装置31、第二加温装置32及び加温管33は栽培室1外の管理室25内に配置され、第一加温装置31及び第二加温装置32が加温管33に沿って直列状に配置され、暖房用管37は栽培室1内の各サブ通路9に沿って配置されている。また、第一供給管35と戻り管38を繋ぐバイパス管72を設け、加温管33を経由せずにバイパス管72、第一供給管35、第二供給管36、暖房用管37及び戻り管38を経由する温水の循環経路を構成し、バイパス管72と第一供給管35の接続部には、加温管33側から合流する流量の割合とバイパス管72側から合流する流量の割合を調節する流量割合調節可能な切替弁(三方弁)73を設けている。尚、第二供給管36には、該第二供給管36を流れる温水の温度を検出する温水温度センサ75を設けている。
【0073】
栽培室1には、栽培室1内の室温を検出する室温センサ74と、栽培室1内の湿度を検出する湿度センサ76を設けている。また、温風を吹き出す温風暖房機(ヒートポンプ)104を設けている。この温風暖房機(ヒートポンプ)104は、電力により作動する。
【0074】
栽培室1の屋根は、三角形状に傾斜した多数の棟105を連続して並列に設けた構成となっており、無数の天窓30を縦横に配置している。
【0075】
図15に示す如く、天窓30は四角形状(長方形状)で透明なガラスにより形成され、天窓30の下面側の複数の縁部(四辺の各辺部)には、下側から切り欠かれた軸受け溝106を形成する軸受け部材107を固着している。一方、栽培室1側には、軸受け溝106に嵌る回動支点軸108を各々設けている。
【0076】
従って、一つの天窓30において、天窓30の四辺に対応して4本の回動支点軸108を設けており、対向する一対の回動支点軸108は同一方向で平行状に配置され、この一対の回動支点軸108を2組設け、互いの組の回動支点軸108の向きが交差(直交)する構成となっている。
【0077】
軸受け部材107の下部には、回動支点軸108が軸受け溝106から抜けるのを規制する規制装置109を設けている。規制装置109は、軸受け溝106の入口部に突出する規制部材となるソレノイドピン109aを、規制用の電磁ソレノイド109bにより作動させる構成となっている。
【0078】
従って、軸受け溝106に回動支点軸108が挿入された状態でソレノイドピン109aを突出させることにより、ソレノイドピン109aよりも上側に位置する回動支点軸108が軸受け溝106から抜けることを規制し、軸受け部材107が回動支点軸108から離れて上側へ移動するのを規制する。
【0079】
天窓30の中央の下方には、天窓30を下側から押し上げる押上装置77を設けている。押上装置77は、電動シリンダにより構成され、電動シリンダのシリンダロッド110が上側に突出することにより、該シリンダロッド110の先端部が天窓30に下側から接触して押し上げる構成となっている。
【0080】
従って、複数(4本)の回動支点軸108のうちの一の回動支点軸108を固定軸としてそれ以外の全てとなる3本の回動支点軸108に対応する規制装置109の規制を全て解除して押上装置77を作動させることにより、前記固定の回動支点軸108回りに天窓30を上側へ回動させる構成となっている。
【0081】
よって、複数(4本)の回動支点軸108に対応する複数(4個)の規制装置109のうち、規制する規制装置109を択一的に選択して異なる方向(4方向)に天窓30を開閉し得る構成となっている。
【0082】
そして、
図14に示す如く、栽培室1の屋根上の複数の位置(5箇所)には、各々の位置における風向き及び風力を検知する風向計111を設けている。栽培室1の屋根上には、降雨の有無及び降雨の強さを検出する降雨センサ90と日射量を検知する日射量センサ103を設けている。
【0083】
栽培室1の環境を制御する制御部(コントローラ)26は、栽培室1外の管理室25内に配置され、室温センサ74と、湿度センサ76、風向計111、降雨センサ90及び日射量センサ103の検出値を入力し、各々の規制装置109及び押上装置77へ作動信号を出力する。
【0084】
例えば昼間は高めに夜間は低めにというように一日の時間帯に応じて目標室温を演算して設定すると共に、設定される目標温度に対応して目標温度が高いほど低くなるように目標湿度を演算して設定する。尚、目標温度及び目標湿度は、上述の一日の時間帯に基づく設定方法以外に、作物の栽培過程や季節等に基づいて設定値を変更したり、作業者が一定の設定値に設定したりしてもよい。そして、目標温度よりも室温センサ74で検出される検出温度が高いか、又は目標湿度よりも湿度センサ76で検出される検出湿度が高くなると、押上装置77を作動させて天窓30を開く天窓制御を実行する。
【0085】
天窓制御の詳細について説明すると、
図17の如く、栽培室1の屋根に縦横に配置された複数の天窓30を複数の区域ごとに区分し、複数の風向計111に対応する該風向計の近傍となる各々の風向実測区域112と、風向計111どうしの間で近傍に風向計111が配置されていない各々の風向推測区域113を設定している。これらの区域ごとに天窓30の開閉方向を制御する。
【0086】
尚、複数(5個)の風向計111は屋根の四隅部と中央部に配置されており、風向実測区域112は四隅部と中央部の5箇所に設けられ、風向推測区域113は中央部の風向実測区域112の側方で且つ四隅部のうちの2箇所の風向実測区域112で挟まれる4箇所に設けられている。
【0087】
そして、風向実測区域112では、各々の風向計111により検出される風向きに基づいて、各々の天窓30における風上側の規制装置109のみを作動させると共に押上装置77を作動させ、天窓30の風下側を開く。風向推測区域113では、風向計111の検出により隣接する複数(3箇所)の風向実測区域112における風向きと風力に基づく各々のベクトルを算出し、これらのベクトルを合成して得られる合成ベクトルによる風向きに基づき、各々の天窓30における風上側の規制装置109のみを作動させると共に押上装置77を作動させ、天窓30の風下側を開く。すなわち、風向推測区域113では、隣接する全て(3箇所)の風向実測区域112における風向きが同じ方向であれば、隣接する風向実測区域112における天窓30の開閉方向と同じ方向に天窓30が開閉する。
【0088】
また、局所的な風の流れにより隣接する風向実測区域112で風向きが異なれば、上述した合成ベクトルにより風向きを推測し、天窓30の開閉方向を適切に制御しようとするのである。尚、上述したベクトルは、風向きを方向で表し、風力を長さで表すものである。
【0089】
また、目標温度と室温センサ74による検出温度の差又は目標湿度と湿度センサ76による検出湿度の差が大きくなるにつれて天窓30の開度が比例して大きくなるよう、全ての天窓30における押上装置77の作動量(天窓30の開閉量)が制御される。
【0090】
尚、実測又は推測される風力に基づいて風力が大きいときには、天窓30の開き量が小さくなるように押上装置77の作動量(天窓30の開閉量)を補正する構成としてもよい。また、隣接する区域と風向きが異なり、天窓30の開閉方向が異なる場合には、天窓30の開き量が小さくなるように押上装置77の作動量(天窓30の開閉量)を補正する構成としてもよい。
【0091】
これにより、風力が大きかったり、局所的な風向きの変化が激しかったりする等、風による天窓30の破損のおそれが大きいときは、天窓30の開き量を極力小さくして天窓30の破損を防止することができる。
【0092】
尚、上述では、区域ごとに天窓30の開閉方向及び開閉量を制御する構成について説明したが、風向きと風力に基づいて各々の天窓30ごとに開閉方向又は開閉量を設定して制御するファジー制御を利用してもよい。
【0093】
具体的に説明すると、隣接する区域で天窓30の開閉方向が異なるとき、両区域の境界付近の天窓の開閉量を小さく設定したり、両区域で風力が相違する場合に、風力が強い方の区域の風向きを優先して、その風向きに基づいて開閉制御される天窓30を風力の差異に応じて両区域の境界を越えて他区域側にわたって増加させたりするような制御を行うことが考えられる。
【0094】
また、日射量センサ103の日射量が多い場合は天窓30の開度を大きくしまずまずの時は中程度の開度とし殆んど日射が無い時には略閉めるように段階的にして、降雨センサ90が雨を感知すると全閉にするように制御すると、突然のゲリラ豪雨にあっても雨が内部に入り込むことを防ぐことが出来る。尚、降雨センサ90は、単位時間当たりの降雨量を検出する構成としたり、あるいは降雨の衝撃を検出する構成としたりすることにより、降雨の強さを検出することができる。
【0095】
これにより、天窓制御により栽培室1内の環境を良好に制御する構成としながら、天窓30から入る降雨により栽培室1内の温度や湿度等の環境が大きく変化するのを適確に防止できる。尚、風力が大きいときには前記最大開度を大きく、風力が小さいときには前記最大開度を小さくする等して、風力に応じて天窓30の最大開度を規制する構成としてもよい。
【0096】
制御部(コントローラ)26は、第一の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低いとき、温風暖房機(ヒートポンプ)104を作動する。
【0097】
また、制御部(コントローラ)26は、温水温度センサ75の検出値を入力し、第一加温装置31、第二加温装置32、ポンプ34及び切替弁73へ作動信号を出力する。そして、第二の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低いとき、第二の設定室温に基づいて第二供給管36を流れる温水の目標温度を演算する。尚、第二の設定室温は、第一の設定室温よりも低温に設定されている。尚、第二の設定室温が高くなるにつれて一次関数的に(第二の設定室温に拘らず第二の設定室温の一定の変化量に対する前記目標温度の変化割合が同一となる演算式に基づいて)前記目標温度が高く設定される。
【0098】
更に、温水温度センサ75により検出される温水の検出温度が目標温度よりも低いと、検出温度と目標温度の差が大きくなるにつれて一次関数的に(前記差に比例して)加温管33側から合流する流量の割合が多くなるように加温管33側からの設定流量割合が演算されて設定される。
【0099】
従って、第二の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低く且つ温水の検出温度が目標温度よりも低いとき、検出温度と目標温度の差が大きいほど、加温管33側から合流する流量の割合が多くなるように設定される加温管33側からの設定流量割合に基づいて切替弁73が作動する。
【0100】
また、前記加温管33側からの設定流量割合が予め設定される第一の所定の割合(0%)以下のとき、第一加温装置31及び第二加温装置32の燃焼運転を共に停止させる。尚、制御部26により、温風暖房機(ヒートポンプ)104が所定時間(例えば10分)以上連続して作動しているとき、はじめて第一加温装置31及び第二加温装置32の燃焼運転が開始される。
【0101】
温風暖房機(ヒートポンプ)104が停止しているときは、第一加温装置31及び第二加温装置32も停止する構成となっている。第二の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低く且つ温水の検出温度が目標温度よりも低いとき、加温管33側からの設定流量割合が予め設定される第一の所定の割合(0%)を超過し予め設定される第二の所定の割合(100%)未満のとき、第二加温装置32のみを燃焼運転して第一加温装置31の燃焼運転を停止させる。
【0102】
第二の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低く且つ温水の検出温度が目標温度よりも低いとき、加温管33側からの設定流量割合が予め設定される第二の所定の割合(100%)以上のとき、第一加温装置31及び第二加温装置32を共に燃焼運転する。尚、前述した割合とは、第二供給管36を流れる合流した合流量に対する加温管33側からの流量の割合である。尚、室温センサ74で検出される検出室温や温水温度センサ75により検出される温水の検出温度に関係なく、常にポンプ34を作動させる。
【0103】
従って、第二供給管36を流れる温水の温度が高くなって、該温水の検出温度と温水の目標温度の差が小さくなると、切替弁73が作動して加温管33側から合流する流量の割合が少なくなると共にバイパス管72側から合流する流量の割合が多くなり、第一加温装置31又は第二加温装置32で加温される温水が第二供給管36ひいては暖房用管37に供給される量を抑え、熱量を無駄に消費しないようにし、省エネルギー化が図れる。
【0104】
第二供給管36を流れる温水の温度が低くなって、該温水の検出温度と温水の目標温度の差が大きくなると、切替弁73が作動して加温管33側から合流する流量の割合が多くなると共にバイパス管72側から合流する流量の割合が少なくなり、第一加温装置31又は第二加温装置32で加温される温水が第二供給管36ひいては暖房用管37に多量に供給されるようにし、栽培室(温室)1を能率良く暖房できる。
【0105】
また、加温管33側からの設定流量割合が第二の所定の割合よりも小さく設定されるときは第二加温装置32のみを燃焼運転して第一加温装置31の燃焼運転を停止させ、限りある資源である化石燃料の消費を抑え、省エネルギー化が図れる。
【0106】
そして、加温管33側からの設定流量割合が所定の割合よりも大きく設定されるときは第一加温装置31及び第二加温装置32を共に燃焼運転し、温水の加温量を増大させて栽培室(温室)1を能率良く暖房できる。尚、目標湿度よりも湿度センサ76で検出される検出湿度が高くなって天窓30を開けば、栽培室1内の室温が低下するが、それにより第二の設定室温よりも室温センサ74で検出される検出室温が低く且つ温水の検出温度が目標温度よりも低くなれば、前述と同様に暖房制御する。
【0107】
よって、化石燃料以外の燃料(廃棄物や副産物等)を燃焼させた熱を利用して加温する加温装置を利用して温室を効率良く暖房できると共に、省エネルギー化が図れる。
【0108】
また、栽培室1内が第一の設定室温よりも低い第二の設定室温以下で、且つ温風暖房機(ヒートポンプ)104が所定時間(例えば10分)以上連続して作動しているときのみ、第一加温装置31及び第二加温装置32を燃焼運転するので、温風暖房機(ヒートポンプ)104で暖房を賄える場合に無闇に第一加温装置31及び第二加温装置32を作動させて無駄に燃料(特に石油)を消費しないようにでき、省エネルギー化が図れる。
【0109】
また、栽培室1の内周壁に保温カーテンを設け、外気温と室温の差で保温カーテンの開度を調整すると、室温の維持に効果的である。制御基準とする外気温は風速で修正し、その制御基準外気温は、例えば、風速が5m/Sであると外気温を実側値から−1℃とし、風速が10m/Sであると外気温を実側値から−2℃とする。
【0110】
保温カーテンを使用する条件は、例えば、日射量が50W/m
2以下で外気温が5℃以下
の場合で、外気温と室温の差が15℃で100%から5℃で50%まで比例的或いは10%毎段階的に変化させる。
【0111】
保温カーテンを朝に開く時間を外気温が低いほど遅くすると、室温の低下から上昇での結露を防ぐことが出来る。
【0112】
図23は、栽培ハウスを建設する際に使用する自動位置出しロボット153を示し、整地後にスタート基準点154から方向変更点155〜160で方向転換して自動走行して、基準点ピン162を打ち込み、水糸161を張っていく。
【0113】
図24は、自動掘削機163で、自動的に機体の水平を維持する自動標高計測装置を設け、第一アーム164と第二アーム165とバケット166の角度をセンサで検出して制御しながら一定深さbで所定幅aの穴を掘削する。