特許第6657985号(P6657985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6657985
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】テスタ吊り下げアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/12 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   G01R15/12 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-7654(P2016-7654)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-129398(P2017-129398A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】田窪 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 芳和
(72)【発明者】
【氏名】吉武 真吾
(72)【発明者】
【氏名】藤山 和己
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0205728(US,A1)
【文献】 実開平2−85365(JP,U)
【文献】 実開昭49−82773(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0174675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/12
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な値を測定するテスタの略直方体状のテスタ本体の両側面を把持する把持体と、
前記把持体に連結され、前記把持体の把持方向にほぼ垂直な方向に延び、長さを変更自在な伸縮体と、
前記伸縮体の自由端部に設けられ、外部の部材に着脱自在な着脱手段と、を備え
前記伸縮体は、巻尺状で前記把持体内に収容され、前記自由端部側が前記把持体から突出して延びる、
ことを特徴とするテスタ吊り下げアダプタ。
【請求項2】
前記伸縮体の長手方向を軸にして、前記着脱手段に対して前記把持体が回転自在となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のテスタ吊り下げアダプタ。
【請求項3】
前記把持体は、対向する2つの把持部を備え、少なくとも一方の把持部が移動することで、大きさが異なる前記テスタ本体を把持可能となっている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のテスタ吊り下げアダプタ。
【請求項4】
前記着脱手段は、前記伸縮体に対して着脱自在となっている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテスタ吊り下げアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電圧や電流、電気抵抗などの電気的な値を測定するテスタを吊り下げるためのテスタ吊り下げアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
テスタのテスタ本体を見やすく安定したところに置けない状況・環境で、被測定物の電圧や電流、電気抵抗などを測定しなければならない場合、従来、一人での測定が困難なため、二人で行う必要があった。すなわち、第1の測定者がテスタ本体を持ち、第2の測定者がテスタのテスタリード(測定端子)を被測定物に当てて測定する必要があり、不便であるばかりでなく、多くの人員、費用を要していた。
【0003】
このため、テスタ本体の裏壁に磁石を設け、配電盤などの磁性体で構成される部分にテスタ本体を吸着させることで、一人での測定が可能なテスタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−64611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定作業をする場所に配電盤などの磁性体の部材があるとは限らず、磁性体の部材がない場所では、特許文献1のテスタを使用して一人で測定することはできない。また、磁性体の部材があったとしても、その部材が測定者の目線の高さにない場合には、テスタの測定結果を読み取ることが困難となる、という問題があった。
【0006】
そこでこの発明は、テスタ本体を見やすく安定したところに置けない場合であっても、一人での測定を容易に行えるようにするテスタ吊り下げアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、電気的な値を測定するテスタの略直方体状のテスタ本体の両側面を把持する把持体と、前記把持体に連結され、前記把持体の把持方向にほぼ垂直な方向に延び、長さを変更自在な伸縮体と、前記伸縮体の自由端部に設けられ、外部の部材に着脱自在な着脱手段と、を備え、前記伸縮体は、巻尺状で前記把持体内に収容され、前記自由端部側が前記把持体から突出して延びる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、把持体でテスタ本体の両側面を把持し、外部の部材(例えば、配電盤の扉)に着脱手段を装着・接続し、伸縮体の長さを変更してテスタ本体を所望の高さに配置する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のテスタ吊り下げアダプタにおいて、前記伸縮体の長手方向を軸にして、前記着脱手段に対して前記把持体が回転自在となっている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のテスタ吊り下げアダプタにおいて、前記把持体は、対向する2つの把持部を備え、少なくとも一方の把持部が移動することで、大きさが異なる前記テスタ本体を把持可能となっている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のテスタ吊り下げアダプタにおいて、前記着脱手段は、前記伸縮体に対して着脱自在となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、外部の部材に着脱手段を装着・接続し、伸縮体の長さを変更・調整することで、テスタ本体が所望の高さに吊り下げられる。このため、テスタ本体を見やすく安定したところに置けない場合であっても、一人で容易かつ適正に測定を行うことができる。しかも、本テスタ吊り下げアダプタを既存・既製のテスタに取り付ければよく、既存・既製のテスタをそのまま使用できるばかりでなく、1つの本テスタ吊り下げアダプタを複数のテスタに使い回しすることができ、経済的であるとともに、伸縮体が巻尺状で把持体内に収容されており、巻尺のように伸縮体を把持体から伸ばしたり縮めたりするだけでよいため、使い勝手がよい。また、伸縮体を完全に把持体内に収容することで、コンパクトになって持ち運びや保管も容易となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、伸縮体の長手方向を軸にして、着脱手段に対して把持体が回転自在なため、把持体を回転させてテスタ本体を所望の向きに配置することができる。このため、一人での測定をより容易かつ適正に行うことが可能となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、大きさが異なるテスタ本体を把持体が把持可能なため、1つの本テスタ吊り下げアダプタを大きさが異なる複数のテスタに使用することができ、経済的である。
【0019】
請求項4の発明によれば、着脱手段が伸縮体に対して着脱自在なため、不要の際に着脱手段を伸縮体から取り外したり、外部の部材などに応じて異なる構造や材質の着脱手段を伸縮体に連結したりすることができ、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態1に係るテスタ吊り下げアダプタを示す正面図(a)と側面図(b)である。
図2図1のテスタ吊り下げアダプタの第2の把持部周辺を示す拡大図(一部断面図)である。
図3図2における第2の把持部が開いた状態を示す拡大図である。
図4図1のテスタ吊り下げアダプタの伸縮帯とストッパの周辺を示す側面図である。
図5図1のテスタ吊り下げアダプタの第1の装着アダプタを示す正面図である。
図6図1のテスタ吊り下げアダプタの第2の装着アダプタを示す正面図である。
図7】この発明の実施の形態2に係るテスタ吊り下げアダプタを示す正面図である。
図8】この発明の実施の形態3に係るテスタ吊り下げアダプタの第2の把持部周辺を示す拡大図(一部断面図)である。
図9図8における第2の把持部が開いた状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1図6は、この実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るテスタ吊り下げアダプタ1を示す正面図(a)と側面図(b)である。このテスタ吊り下げアダプタ1は、電圧、電流および電気抵抗を含む電気的な値を測定するテスタ10を吊り下げるためのアダプタであり、主として、クランプ(把持体)2と、伸縮帯(伸縮体)3と、装着アダプタ(着脱手段)4、5と、を備える。
【0023】
ここで、この実施の形態におけるテスタ10は、主に、テスタ本体11とテストリード12を備える。テスタ本体11は、奥行きが比較的小さい略直方体状で、表面に測定結果を示す指示部111と複数の端子112を備え、端子112にテストリード12の接続部を装着して使用するものである。
【0024】
クランプ2は、テスタ本体11の両側面を(幅方向に)把持・挟持するものであり、全体が略コ字状で、対向する2つの把持部212、221を備え、第2の把持部(一方の把持部)221が移動することで、大きさが異なるテスタ本体11を把持可能となっている。すなわち、クランプ2は、クランプ本体21とスライダ22を備える。
【0025】
クランプ本体21は、L字を90°寝かせたような形状で、水平に延びる基部211と、この基部211の一端部からほぼ垂直に延びる第1の把持部212と、を一体的に有する。基部211の他端部の端面には、図2に示すように、バネ挿入穴211aが形成されている。
【0026】
スライダ22は、図2に示すように、四角いブロック状の第2の把持部221と、この第2の把持部221の一側面に接続された柱状のバネ支持部222と、圧縮バネ23と、バネカバー24と、を有する。バネ支持部222の自由端部(反第2の把持部221側の端部)には、ツバ部222aが形成され、バネ支持部222が圧縮バネ23のコイル内に挿入・装着されている。また、バネカバー24は、薄い平板状で、平面形状がクランプ本体21の基部211の他端面とほぼ同形状で、バネ支持部222を挿入するためのガイド孔24aが形成されている。
【0027】
そして、クランプ本体21のバネ挿入穴211aにツバ部222a側からバネ支持部222が挿入され、バネカバー24がクランプ本体21の基部211の他端面にネジなどで固定されている。さらに、バネ支持部222の基端部(反ツバ部222a側の端部)の端面に、第2の把持部221がネジなどで接続されている。
【0028】
これにより、第2の把持部221が圧縮バネ23のバネ力によって常に第1の把持部212側に押圧されているとともに、第2の把持部221が第1の把持部212に対して進退動(スライド)自在となっている。そして、図3に示すように、圧縮バネ23のバネ力に抗して第2の把持部221を反第1の把持部212側にスライドさせ、第1の把持部212と第2の把持部221の間にテスタ本体11の上部を配置して第2の把持部221を放すと、第2の把持部221が第1の把持部212側にスライドして、第1の把持部212と第2の把持部221とでテスタ本体11が把持される。このようにして、第2の把持部221をスライドさせるだけで、大きさが異なるテスタ本体11を把持可能となっている。
【0029】
ここで、圧縮バネ23のバネ力(バネ係数)は、テスタ本体11を確実・強固に把持することができ、かつ、第2の把持部221を手でスライドできるように設定されている。また、バネ支持部222およびガイド孔24aの断面形状は、円形ではないD字形や角形に形成され、これにより、第2の把持部221が回転せずに、第1の把持部212に対向してスライドするようになっている。さらに、テスタ本体11を把持する第1の把持部212と第2の把持部221の把持面には、ゴムなどで構成された滑り止めが設けられている。
【0030】
伸縮帯3は、クランプ2に連結され、クランプ2の把持方向にほぼ垂直な方向に延び、長さを変更自在なものであり、巻尺状でクランプ2内に収容され、自由端部側がクランプ2から突出して延びている。すなわち、ねじれない程度の剛性を有する帯体で構成され、基端部が渦巻き状に巻かれてクランプ本体21の基部211の中央部内に回転自在に収容され、自由端部側が基部211の上面(反テスタ本体11側の面)から上方に突出している。ここで、伸縮帯3の幅方向がクランプ2の幅方向に沿うように、伸縮帯3が配設され、把持部212、221間を直交するように伸縮帯3がクランプ本体21の基部211から延びている。
【0031】
また、クランプ本体21の基部211の上部にストッパ31が、基部211の奥行き方向にスライド自在に配設され、このストッパ31は、操作部31aが基部211の上面から突出し、押圧部31bが基部211内に配置されている。さらに、バネ(押圧手段、図示せず)によってストッパ31が常に伸縮帯3側に押圧され、ストッパ31の押圧部31bと基部211内の凸部211bによって伸縮帯3が挟持されて、伸縮帯3が伸縮(基部211から出入り)しないようになっている。一方、バネ力に抗してストッパ31を反伸縮帯3側にスライドさせると、伸縮帯3の挟持が解除されて伸縮帯3が伸縮可能となり、ストッパ31を放すと再び伸縮帯3が挟持されて長さが固定される。このように、ストッパ31をスライドさせて伸縮帯3を伸縮させることで、基部211から突出する伸縮帯3の長さを変更・調整できるものである。
【0032】
また、伸縮帯3の自由端部には、図1に示すように、円筒状の接続部32が設けられ、この接続部32の内面には雌ネジ32aが形成されている。
【0033】
装着アダプタ4、5は、伸縮帯3の自由端部に設けられ、外部の部材に着脱自在なものであり、フック、クリップおよび磁石の少なくともいずれかで構成され伸縮帯3に対して着脱自在となっている。すなわち、この実施の形態では、第1の装着アダプタ4は、フックで構成されて外部の部材に掛かるものであり、第2の装着アダプタ5は、クリップで構成されて外部の部材を挟むものである。
【0034】
具体的に第1の装着アダプタ4は、図5に示すように、略J字状で、直線部の端部に雄ネジ4aが形成されている。そして、雄ネジ4aを伸縮帯3の接続部32の雌ネジ32aに螺合させたり、螺合解除したりすることで、伸縮帯3に対して着脱自在となっている。また、螺合長さ(回転角)を調整することで、伸縮帯3の長手方向を軸にして、第1の装着アダプタ4に対してクランプ2(テスタ本体11)が回転自在となっている。つまり、第1の装着アダプタ4を外部の部材に掛けた状態で、クランプ2の向きを変えられるようになっている。
【0035】
第2の装着アダプタ5は、図6に示すように、平板状の2つのクランプ板51、52が対向して配設され、第1のクランプ板51に設けられたクランプネジ53が第2のクランプ板52を貫通している。このクランプネジ53は、クランプ板51、52間に配置されたクランプバネ54のコイル内に挿入され、クランプネジ53の自由端部に手回しナット55が螺合されている。そして、手回しナット55を緩めると、クランプバネ54のバネ力によってクランプ板51、52間が広がり、クランプ板51、52間に外部の部材を配置して手回しナット55を締めると、外部の部材がクランプ板51、52で挟持される。
【0036】
また、第1の装着アダプタ4と同様に、第1のクランプ板51の下端部に雄ネジ5aが設けられ、雄ネジ5aを伸縮帯3の接続部32の雌ネジ32aに螺合させたり、螺合解除したりすることで、伸縮帯3に対して着脱自在となっている。さらに、螺合長さ(回転角)を調整することで、伸縮帯3の長手方向を軸にして、第2の装着アダプタ5に対してクランプ2(テスタ本体11)が回転自在となっている。
【0037】
次に、このような構成のテスタ吊り下げアダプタ1の作用、使用方法などについて説明する。
【0038】
まず、外部の部材(例えば、配電盤の扉)の形状や作業環境などに応じた装着アダプタ4、5を伸縮帯3に取り付け、クランプ2でテスタ本体11の両側面を把持する。次に、外部の部材に装着アダプタ4、5を装着・接続し、伸縮帯3の長さを上記のようにして調整して、テスタ本体11を所望の高さ(例えば、指示部111が見やすい高さ)に配置する。さらに、装着アダプタ4、5に対してクランプ2を回転させて、テスタ本体11を所望の方向(例えば、指示部111が見やすい方向)に向ける。このようにしてテスタ本体11を外部の部材から吊り下げた状態で、テスタ10による測定を行うものである。
【0039】
このように、このテスタ吊り下げアダプタ1によれば、外部の部材に装着アダプタ4、5を装着・接続し、伸縮帯3の長さを変更・調整することで、テスタ本体11が所望の高さに吊り下げられる。このため、テスタ本体11を見やすく安定したところに置けない場合であっても、一人で容易かつ適正に測定を行うことができる。しかも、本テスタ吊り下げアダプタ1を既存・既製のテスタ10に取り付ければよく、既存・既製のテスタ10をそのまま使用できるばかりでなく、1つの本テスタ吊り下げアダプタ1を複数のテスタ10に使い回しすることができ、経済的である。
【0040】
また、伸縮帯3の長手方向を軸にして、装着アダプタ4、5に対してクランプ2が回転自在なため、クランプ2を回転させてテスタ本体11を所望の向きに配置することができる。このため、一人での測定をより容易かつ適正に行うことが可能となる。
【0041】
さらに、大きさが異なるテスタ本体11をクランプ2で把持可能なため、1つの本テスタ吊り下げアダプタ1を大きさが異なる複数のテスタ10に使用することができ、経済的である。
【0042】
また、伸縮帯3が巻尺状でクランプ2内に収容されており、巻尺のように伸縮帯3をクランプ2から伸ばしたり縮めたりするだけでよいため、使い勝手がよい。また、伸縮帯3を完全にクランプ2内に収容することで、コンパクトになって持ち運びや保管も容易となる。
【0043】
一方、装着アダプタ4、5が伸縮帯3に対して着脱自在なため、不要の際に装着アダプタ4、5を伸縮帯3から取り外したり、外部の部材などに応じて異なる構造や材質の装着アダプタ4、5を伸縮帯3に連結したりすることができ、使い勝手がよい。
【0044】
(実施の形態2)
図7は、この実施の形態に係るテスタ吊り下げアダプタ1を示す正面図である。この実施の形態では、伸縮体が伸縮帯3に代わって伸縮棒6で構成されている点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0045】
すなわち、伸縮棒6は、伸縮自在なロッドアンテナと同様な構造で、複数の筒体で構成されて、小径の筒体を大経の筒体から出し入れすることで伸縮自在となっている。また、伸縮棒6の基端部には連結ネジ61が形成され、クランプ本体21の基部211の幅方向の中央部上面から連結ネジ穴211cが形成されている。そして、連結ネジ61を連結ネジ穴211cに螺合させたり螺合解除したりすることで、伸縮棒6がクランプ2に対して着脱自在となっている。
【0046】
また、伸縮棒6の自由端部には、軸方向に延びる雌ネジ6aが形成され、装着アダプタ4、5の雄ネジ4a、5aを雌ネジ6aに螺合させたり螺合解除したりすることで、伸縮棒6に装着アダプタ4、5を着脱自在となっている。そして、この実施の形態では、雄ネジ4a、5aの雌ネジ6aに対する螺合長さ(回転角)、または、連結ネジ61の連結ネジ穴211cに対する螺合長さを調整することで、伸縮棒6の長手方向を軸にして、装着アダプタ4、5に対してクランプ2(テスタ本体11)が回転自在となっている。
【0047】
このような実施の形態によれば、伸縮棒6がクランプ2に対して着脱自在なため、不要の際に伸縮棒6をクランプ2から取り外したり、作業環境などに応じて異なる長さや材質の伸縮棒6をクランプ2に連結したりすることができ、使い勝手がよい。
【0048】
(実施の形態3)
図8図9は、この実施の形態に係るテスタ吊り下げアダプタ1の第2の把持部221の周辺を示す拡大図(一部断面図)である。この実施の形態では、テスタ本体11を把持する構造が実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0049】
クランプ本体21の基部211の他端部の端面には嵌合穴211dが形成され、第2の把持部221に接続された支持部222が嵌合されている。また、第2の把持部221と支持部22を貫通して、手回しボルト25がクランプ本体21の基部211に螺合されている。そして、図9に示すように、手回しボルト25を緩めて第2の把持部221を反第1の把持部212側にスライドさせ、第1の把持部212と第2の把持部221の間にテスタ本体11を配置して手回しボルト25を締め付けることで、第1の把持部212と第2の把持部221でテスタ本体11が把持、挟持される。このようにして、手回しボルト25を緩めたり締めたりして第2の把持部221をスライドさせることで、大きさが異なるテスタ本体11を把持可能となっている。
【0050】
また、支持部222および嵌合穴211dの断面形状は、円形ではないD字形や角形に形成され、これにより、第2の把持部221が回転せずに、第1の把持部212に対向してスライドするようになっている。
【0051】
このような実施の形態によれば、手回しボルト25によって第2の把持部221を締め付けるため、第1の把持部212と第2の把持部221でテスタ本体11をより強固に安定して把持することができる。
【0052】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、着脱手段として2種類の装着アダプタ4、5を備えているが、磁石で構成して外部の部材に磁力で吸着するものや、その他の着脱機構(例えば、吸盤)のものを備えてもよい。この際、着脱手段を磁石で構成する場合、磁性体である外部の部材が目の届きやすいところになくても、着脱手段を磁性体(外部の部材)に装着して伸縮帯3の長さやクランプ2の向きを調整することで、テスタ本体11を目の届きやすいところに配置することができる。
【0053】
また、伸縮体(伸縮帯3、伸縮棒6)と着脱手段(装着アダプタ4、5)とが別体となっているが、着脱手段を伸縮体に一体的に設けてもよい。また、第2の把持部221のみが移動するようになっているが、双方の把持部212、221が移動するようにしてもよい。さらに、クランプ2のクランプ本体21の裏面などに磁石を設け、クランプ2をそのまま磁性体に配設できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 テスタ吊り下げアダプタ
2 クランプ(把持体)
212 第1の把持部
221 第2の把持部
3 伸縮帯(伸縮体)
4、5 装着アダプタ(着脱手段)
6 伸縮棒(伸縮体)
10 テスタ
11 テスタ本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9