特許第6658083号(P6658083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6658083
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】高所作業車用安全標識
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20200220BHJP
   E01F 9/662 20160101ALI20200220BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   B66F9/075 Z
   E01F9/662
   B66F11/04
   B66F9/075 L
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-34738(P2016-34738)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-149542(P2017-149542A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】満井 法嗣
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−128384(JP,U)
【文献】 実開平02−042843(JP,U)
【文献】 特開2000−344471(JP,A)
【文献】 特開2002−180425(JP,A)
【文献】 米国特許第03812978(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00− 11/04
B66C 19/00− 23/94
E01F 9/00− 11/00
E02F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業車から水平方向に張り出したアウトリガの側面の所定位置に固定部材によって取り付けられ、上端部が垂直方向に複数の高さを取り得、伸長時における前記上端部の高さが、前記高所作業車に備えられたブームの最下端部の高さよりも高い
高所作業車用安全標識。
【請求項2】
第1標識体と、
前記第1標識体に対して垂直方向に伸長する第2標識体と、
を備える
請求項1に記載の高所作業車用安全標識。
【請求項3】
前記第2標識体は、可撓性を有している
請求項に記載の高所作業車用安全標識。
【請求項4】
前記固定部材は、永久磁石である
請求項1乃至請求項に記載の高所作業車用安全標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車用安全標識に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所作業時における安定性確保のためのアウトリガを装備した高所作業車を道路上に一時的に配備する際には、セーフティコーン等の安全表示具を作業エリアの隅に配置して後続車や歩行者等の第三者に注意を喚起している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−006297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、セーフティコーンのような安全表示具は、後続車のドライバーや歩行者の視線に対して低い位置に配置されるため視認され難い。また、作業時における高所作業車は、走行時における車幅よりもアウトリガが大きく水平方向に張り出すため、第三者がセーフティコーン等の安全表示具を認識する前に、作業エリアに接近してアウトリガに接触する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第三者が高所作業車のアウトリガの張り出し範囲を認識し易い高所作業車用安全標識を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の高所作業車用安全標識は、高所作業車から水平方向に張り出したアウトリガの側面の所定位置に固定部材によって取り付けられ、上端部が垂直方向に複数の高さを取り得る。
【0007】
本発明の望ましい態様として、伸長時における前記上端部の高さが、前記高所作業車に備えられたブームの最下端部の高さよりも高い。
【0008】
本発明の望ましい態様として、高所作業車用安全標識は、第1標識体と、前記第1標識体に対して垂直方向に伸長する第2標識体と、を備える。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記第2標識体は、可撓性を有している。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記固定部材は、永久磁石である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第三者が高所作業車のアウトリガの張り出し範囲を認識し易い高所作業車用安全標識を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、高所作業車に実施形態に係る高所作業車用安全標識を装備した例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸縮構造の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸長時の第1標識体と第2標識体との固定構造の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る高所作業車用安全標識の固定部材の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る高所作業車用安全標識の固定部材の図4とは異なる一例を示す図である。
図6図6は、図5に示す固定部材の受け側となる被固定部材の一例を示す図である。
図7図7は、図5に示す固定部材と図6に示す被固定部材との掛止部分を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸長時の高さの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
図1は、高所作業車に実施形態に係る高所作業車用安全標識を装備した例を示す図である。図1に示す高所作業車100は、車体から水平方向に張り出し可能なアウトリガ2と、高所作業を行うためのブーム3と、を備えている。
【0015】
アウトリガ2は、高所作業車100の車体をジャッキアップして高所作業時の車体の安定性を保つためのジャッキシリンダ21と、このジャッキシリンダ21を水平方向に張り出すためのアウトリガアーム22と、を備えている。ブーム3については後述する。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る高所作業車用安全標識1は、第1標識体11と、第2標識体12と、固定部材13と、を備え、高所作業車100から水平方向に張り出したアウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面の所定位置に固定部材13によって取り付けられる。第1標識体11及び第2標識体12は、蛍光塗料や夜光塗料等が塗布されるか、あるいは、LEDを点灯もしくは点滅させることで、周囲の第三者に注意を喚起する構成となっている。なお、周囲の第三者に注意を喚起するための構成については、これに限るものではなく、公知の他の手法あるいは構成であっても良いことは言うまでもない。
【0017】
また、図1に示す例では、高所作業車100の車体の一方側面に水平方向に張り出したアウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面に高所作業車用安全標識1が取り付けられた例を示しているが、高所作業車100の車体の他方側面に水平方向に張り出したアウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面に高所作業車用安全標識1を取り付けても良い。実施形態に係る高所作業車用安全標識1は、高所作業を行う現場毎に、何れか一方あるいは双方の側面に取り付け可能である。
【0018】
また、実施形態に係る高所作業車用安全標識1は、図1(a),(b)に示すように、必要に応じて伸縮させることが可能である。図2は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸縮構造の一例を示す図である。
【0019】
実施形態に係る高所作業車用安全標識1は、例えば、図2に示すように、第1標識体11及び第2標識体12が円筒状の部材であり、第1標識体11に第2標識体12を収納可能な構成とすることで、伸縮構造を実現することができる。なお、図2に示す例では、第1標識体11及び第2標識体12が円筒状の部材である例を示したが、第1標識体11及び第2標識体12の水平断面が三角形や四角形、あるいはそれ以上の多角形の筒状の部材であっても良い。
【0020】
図3は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸長時の第1標識体と第2標識体との固定構造の一例を示す図である。図3に示す例では、実施形態に係る高所作業車用安全標識1の伸長時において、第2標識体12の外面端部に設けられた掛止部12aが、第1標識体11の内面に設けられた被掛止部11aに係合することによって、伸長状態が保たれる構造を示している。なお、実施形態に係る高所作業車用安全標識1における伸縮時の固定構造はこれに限るものではなく、例えば、第1標識体11の内面の複数箇所に被掛止部11aを設け、高所作業車用安全標識1の高さを多段階に調整可能な構成としても良いし、第1標識体11の内面と第2標識体12の外面との間の摩擦抵抗によって、高所作業車用安全標識1の高さを無段階に調整可能な構成としても良い。
【0021】
図4は、実施形態に係る高所作業車用安全標識の固定部材の一例を示す図である。図4(a)は、図1に示す固定部材13周辺の拡大図を示し、図4(b)は、図4(a)を矢示方向から見た図を示している。
【0022】
図4(a),(b)に示す例では、固定部材13を永久磁石で構成した例を示している。アウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面の部材が鉄等の強磁性体である場合には、図4に示すように、高所作業車用安全標識1の固定部材13を永久磁石で構成しても良い。
【0023】
図5は、実施形態に係る高所作業車用安全標識の固定部材の図4とは異なる一例を示す図である。図6は、図5に示す固定部材の受け側となる被固定部材の一例を示す図である。図7は、図5に示す固定部材と図6に示す被固定部材との掛止部分を示す図である。
【0024】
図5(a)は、固定部材13に代えて、固定部材13aを用いた構成における固定部材13a周辺の拡大図を示し、図5(b)は、図5(a)を矢示方向から見た図を示している。
【0025】
図6(a)は、アウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面に設けられた、固定部材13aを受ける被固定部材21a周辺の拡大図を示し、図6(b)は、図6(a)を矢示方向から見た図を示している。
【0026】
図5に示す例では、高所作業車用安全標識1の固定部材13aは、例えば金属製の逆L字型部材で構成されている。また、図6に示すように、アウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面には、例えば金属製のコの字部材で構成される被固定部材21aが設けられている。図7に示すように、高所作業車用安全標識1に設けられ逆L字型部材で構成された固定部材13aが、アウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面に設けられコの字部材で構成された被固定部材21aに組み合わされることで、高所作業車用安全標識1がアウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面に固定される。この構成は、アウトリガ2のジャッキシリンダ21の側面の部材が、例えば、鉄の含有量が低いステンレス鋼や、アルミや銅等の非鉄金属である場合に有効である。なお、高所作業車用安全標識1の取り付け構造は上記に限るものではない。
【0027】
図8は、実施形態に係る高所作業車用安全標識における伸長時の高さの一例を示す図である。上述したように、本実施形態における高所作業車100は、高所作業を行うためのブーム3を備えている。図8に示すように、ブーム3は、ブームアーム31と、作業台32と、を含み構成され、高所作業車100の車体に対して旋回動及び起伏動させることができる。さらには、ブーム3の長手方向に伸縮動させることができる。ここでは、ブーム3の高所作業車100の車体に対する旋回動、起伏動、及び伸縮動についての詳細な説明は省略する。
【0028】
図8に示す例では、ブーム3の構成要素の最下端部(図8に示す例では、作業台32の下端部)の位置が最も低くなる例を示している。本実施形態では、ブーム3の構成要素の最下端部(図8に示す例では、作業台32の下端部)の高さH1よりも、高所作業車用安全標識1の伸長時における第2標識体12の上端部の高さH2が高くなるように構成している。すなわち、第三者は、少なくともこの高所作業車用安全標識1の伸長時の上端部の高さH2までの高さ範囲内が、高所作業車100の高所作業時における危険領域であることを認識することができる。
【0029】
上記構成では、ブーム3の高所作業車100の車体に対する旋回動や起伏動によって、作業台32やブームアーム31が高所作業車用安全標識1に干渉する可能性がある。従って、高所作業車用安全標識1の伸長時において作業台32やブームアーム31が干渉する可能性がある第2標識体12を構成する素材は、可撓性を有し、第1標識体11を構成する素材よりも高い弾性変形性を有する素材であるのが好ましい。これにより、作業台32やブームアーム31が第2標識体12に干渉しても、ブーム3及び高所作業車用安全標識1の双方の破損を防止することができる。
【0030】
一方、高所作業車100の移動時等で高所作業車用安全標識1を取り外した際には、高所作業車用安全標識1を縮めておくことができ、可搬性や保管性の高い高所作業車用安全標識1が得られる。
【0031】
また、上述したように、第1標識体11の内面の複数箇所に被掛止部11aを設け、高所作業車用安全標識1の高さを多段階に調整可能な構成とする、あるいは、第1標識体11の内面と第2標識体12の外面との間の摩擦抵抗によって、高所作業車用安全標識1の高さを無段階に調整可能な構成とすれば、高所作業車100におけるブーム3の可動範囲に応じて、高所作業車用安全標識1の伸長時の上端部の高さH2を設定することができる。
【0032】
以上説明したように、実施形態に係る高所作業車用安全標識1は、高所作業車100から水平方向に張り出したアウトリガ2の側面の所定位置に固定部材13によって取り付け可能であるので、第三者が高所作業車100のアウトリガ2の張り出し範囲を認識し易くなり、高所作業時の安全性を高めることができる。
【0033】
また、第1標識体11と、この第1標識体11に対して垂直方向に伸長する第2標識体12とを備え、第2標識体12の上端部が垂直方向に複数の高さを取り得る構成とすることで、高所作業時においては、高所作業車用安全標識1を伸長させて第三者に対する注意喚起効果を高めることができ、高所作業車用安全標識1を取り外した際には、高所作業車用安全標識1を縮めておき、可搬性や保管性を高めることができる。
【0034】
さらに、高所作業車用安全標識1の伸長時において、ブーム3の構成要素の最下端部の高さH1よりも、高所作業車用安全標識1の伸長時における第2標識体12の上端部の高さH2が高くなるように構成することで、第三者は、少なくともこの高所作業車用安全標識1の伸長時の上端部の高さH2までの高さ範囲内が、高所作業車100の高所作業時における危険領域であることを認識することができ、高所作業時における注意喚起効果をより高めて高所作業時の安全性をより高めることができる。
【0035】
なお、上記した実施形態では、第1標識体11に第2標識体12を収納可能であり、伸縮構造を実現可能な構成について説明したが、高所作業車用安全標識1として第三者から視認される高さを選択可能な構成であれば、上述した構成に限るものではない。例えば、第1標識体11と平行に第2標識体12を設け、第1標識体11と第2標識体12とが平行にスライドすることで高さが可変可能な構成であっても良い。
【0036】
また、上記した実施形態では、第1標識体11の2箇所に固定部材13,13aを設けた構成を示したが、十分な固定強度が確保できれば、固定部材13,13aを1箇所に設けた構成であってもよいし、2箇所以上の複数箇所に固定部材13,13aを設けた構成であっても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 高所作業車用安全標識
2 アウトリガ
3 ブーム
11 第1標識体
12 第2標識体
13 固定部材(永久磁石)
13a 固定部材(逆L字部材)
21 ジャッキシリンダ
21a 被固定部材(コの字部材)
22 アウトリガアーム
31 ブームアーム
32 作業台
100 高所作業車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8