(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータのかごに設置されたセンサと、前記センサに対応するように昇降路に設置された複数のプレートと、前記かごの移動距離及び移動方向を検出するエンコーダを備え、前記各プレートの上下方向の長さ及び設置位置が既知のものにおいて、
前記かごが前記プレートのうちの何れかのプレートを通過した後、次に通過するプレートが、前記何れかのプレートであるか、又は、前記何れかのプレートを通過した際の移動方向の先に位置するプレートであるかを判定する手段と、
前記何れかのプレートを通過した際の移動方向と、前記次に通過するプレートを通過した際の移動方向が同一か不同かを比較する手段と、
前記何れかのプレートの上下方向の長さ及び設置位置と、前記判定する手段により判定された次に通過するプレートの上下方向の長さ及び設置位置と、前記比較する手段とにより、前記かごが走行した距離を特定する手段と、
前記エンコーダにより測定した前記かごが走行した距離と、前記特定する手段により特定された距離とを比較し、両者の距離の誤差が閾値より大きければ異常が発生したと判断する手段を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
エレベータのかごに設置されたセンサと、前記センサに対応するように昇降路に設置された複数のプレートと、前記かごの移動距離及び移動方向を検出するエンコーダを備え、前記各プレートの上下方向の長さ及び設置位置が既知のものにおいて、
前記かごが前記プレートのうちの何れかのプレートを検出した後、次に検出するプレートが、前記何れかのプレートであるか、又は、前記何れかのプレートを検出した際の移動方向の先に位置するプレートであるかを判定する手段と、
前記何れかのプレートを検出した際の移動方向と、前記次に検出するプレートを検出した際の移動方向が同一か不同かを比較する手段と、
前記何れかのプレートの上下方向の長さ及び設置位置と、前記判定する手段により判定された次に検出するプレートの上下方向の長さ及び設置位置と、前記比較する手段とにより、前記かごが走行した距離を特定する手段と、
前記エンコーダにより測定した前記かごが走行した距離と、前記特定する手段により特定された距離とを比較し、両者の距離の誤差が閾値より大きければ異常が発生したと判断する手段を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【背景技術】
【0002】
昇降路内を走行するエレベータのかごの位置を検出する装置として、昇降路内に多数の位置センサを配置し、かごには前記位置センサを操作するカムを設置した構成のものがある。この装置は、かごが位置センサの箇所を通過する度に、カムが位置センサをオン・オフすることによって、かごの位置を検出するものである。
しかしこの装置だと、位置センサの数が多くなり、位置センサの配線ケーブルも増加してしまう。
【0003】
そこで、かごに光電センサを設け、昇降路には前記光電センサの光軸を遮断する遮蔽板(プレート)を配置したもの(特許文献1参照)が考えられている。
この装置を図により説明する。
図9は昇降路内のプレートの配置を示す図、
図10はかご天井部の要部を示す図、
図11はプレートの詳細説明図、
図12はかごの位置を判定するための表、
図13は動作を示すフローチャート、
図13は各プレートの位置関係説明図である。
【0004】
図において、1はかご2が昇降する昇降路、A1〜A6は昇降路1に配置されたA相プレート、同様にB1〜B6はB相プレート、Z1〜Z6はZ相プレートである。
4はかご2の上部に設置された光電センサであり、A相プレートA1〜A6用の光電センサ4a,B相プレートB1〜B6用の光電センサ4b,Z相プレートZ1〜Z6用の光電センサ4zを備えている。5はかご2の昇降を案内する一対のガイドレールである。
【0005】
図11に示すように、A相,B相プレートには空隙部Gが空けられ、その上下はプレート本体である遮蔽部Sとなっている。遮蔽部Sは光電センサ4の光軸を遮断し、空隙部Gは光電センサ4の光軸が通過可能であり、両者は上下方向に交互に並んでおり、遮蔽部Sと空隙部Gの長さLは同一になっている。
【0006】
図9に示すように、昇降路1の上部には、上から順に、空隙部Gが3個のプレートA1、空隙部Gが2個のプレートA2、空隙部Gが1個のプレートA3が配置されている。
一方、昇降路1の下部には、上から順に、空隙部Gが2個のプレートA4、空隙部Gが3個のプレートA5、空隙部Gが4個のプレートA6が配置されている。このように、昇降路1の上下端部に近いほど空隙部Gの数の多いプレートが配置されるとともに、上部よりも下部のプレートの方が、空隙部Gが1個多くなっている。
【0007】
B相プレートB1〜B6も、A相プレートA1〜A6と同様に構成され、配置されているが、昇降路1の上部では、A相プレートA1〜A6よりも、L/2だけ下げて配置され、昇降路1の下部では、A相プレートA1〜A6よりも、3L/2だけ上げて配置されている。
【0008】
Z相プレートZ1〜Z6は空隙のないプレートで、対応するA相,B相プレートより長くなっており、その上端は対応するA相,B相プレートより上方まで伸び、その下端は対応するA相,B相プレートより下方まで伸びている。
光電センサ4は遮蔽部Sの上端又は下端(エッジ)を検出するとパルス信号を発生し、このパルス信号を使ってかご位置検出を行う。
【0009】
また、Z相プレートZ1〜Z6の上下端部を基準にして、昇降路1を多数の区間に区切っている。
【0010】
図9,
図12に示すように、プレートZ1の上端から昇降路1の上端までを区間1、プレートZ1の上端からプレートZ2の上端までを区間2、以下同様にして、プレートZ6の上端から昇降路1の下端までを区間7としている。また、プレートZ1の下端から昇降路1の上端までを区間11、プレートZ1の下端からプレートZ2の下端までを区間12、以下同様にして、プレートZ6の下端から昇降路1の下端までを区間17としている。
【0011】
これらの区間はかご2の進行方向も示している。即ち、各Z相プレートを通過したかご2が区間1〜6に達したと判断されたときにはかご2は上昇中であり、また各Z相プレートを通過したかご2が区間12〜17に達したと判断されたときにはかご2は下降中である。
【0012】
ここで、各Z相プレートの上下間の距離をD[m]とすると、距離Dは数式(1)を満足する。
【0013】
【数1】
【0014】
また、遮蔽部Sと空隙部Gの長さL [m]は、数式(2)となる。
【0015】
【数2】
【0016】
次に、
図13のフローチャートについて説明する。
まず、光電センサ4が、A相,B相,Z相の何れかのプレートのエッジを検出してパルス信号(A,B又はZ)を発すると、信号処理部(図示省略)でそのパルス信号を受信する(ステップS1)。
【0017】
次にステップS2で、光電センサ4からの信号A,Bによりパルスエッジ数Pを増減する。尚、Pの初期値は0である。このステップにおいて、条件1-1及び条件1-2を満足するかどうかを検討する。
【0018】
図13の条件1-1の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。
ここで、遮蔽部Sの検出とは、光電センサ4の光軸がプレートの遮蔽部Sによって遮蔽された状態を意味している。また、条件式で信号A、B、ZがTrueとは、光電センサ4の光軸が各プレートの遮蔽部Sによって遮蔽された状態を意味している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP+1に増加させる。
【0019】
図13の条件1-2の式において、上の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sが検出された(信号Aの立ち上がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されていない状態を示している。
また下の行は、A相プレートの何れかにおいて、遮蔽部Sの検出が終了した(信号Aの立ち下がり)とき、B相プレートでは遮蔽部Sが検出されている状態を示している。この2つの状態の何れかが満足されれば、パルスエッジ数PをP―1に減少させる。
【0020】
また、条件1-1,1-2の何れも満足しないときには、パルスエッジ数Pはそのままで(ELSE)、次のステップS3に進む。
【0021】
ステップS3では、光電センサ4からの信号A,B,Zにより、プレート配置区間の判断を行う。このステップにおいて、条件2-1及び条件2-2を満足するかどうかを検討する。
【0022】
図13の条件2-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Aが検出され、信号Bが検出されないとき、つまり信号Aが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をAと識別」し、「Type=A」と判定し、Xを0に戻す。尚、Xの初期値は0である。
ここで、信号A、B、Zを検出、及び条件2-1、2-2の式で信号A、B、ZがON、とは、光電センサ4の光軸が各プレートの遮蔽部Sによって遮蔽された状態を意味している。
【0023】
図13の条件2-2の式において、光電センサ4が信号Zを検出している状態(X==1)で、信号Bが検出され、信号Aが検出されないとき、つまり信号Bが先に検出されたとき、「最初に受信した信号をBと識別」し、「Type=B」と判定し、Xを0に戻す。
【0024】
また、条件2-1,2-2の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS4に進む。
【0025】
ステップS4では、光電センサ4からの信号Zの判断を行う。このステップにおいて、条件3-1〜条件3-3を満足するかどうかを検討する。
【0026】
図13の条件3-1の式において、光電センサ4が信号Zを検出した(信号Zの立ち上がり)とき、「X=1」とする。
【0027】
また、条件3-2の式において、光電センサ4が信号Zの検出を終了した(信号Zの立ち下がり)とき、かごの位置を決定する。このかごの位置とは、
図12の区間1〜6及び区間12〜17の何れにかご2が存在するかである。その後、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0028】
条件3-3の式では、かご2がZ相プレートを検出せず、かつ信号Zが立ち下がりでないことを示している。この条件3-3を満足するときには、パルスエッジ数Pをリセット(P=0)するとともに、「X=0」とする。
【0029】
また、条件3-1〜条件3-3の何れも満足しないときには、そのままで(ELSE)、次のステップS5に進む。
ステップS5では、かご2がどの区間にあるかを出力する。
【0030】
次に、具体的な例によって、
図13のフローチャートを説明する。
図14は、
図9のプレートA3,B3,Z3部分の詳細図であり、ここをかご2が上昇する場合について説明する。
【0031】
かご2がプレートZ3の下方にある場合、信号A,B,Zは発せらないので、ステップS1は未実行のため、P、X、Typeは初期状態となっている。即ち、P=0、X=0、Type=不明となっている。
【0032】
かご2が上昇してa1に達すると、信号Zが立ち上がりTrueとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-1を満足するので、X=1となる。
従って。P=0、X=1、Typeは不明となる。
【0033】
かご2が上昇してa2に達すると、信号Bが立ち上がりTrueとなるが、信号AはFalseのままなので、ステップS2はELSEとなる。ステップS3は条件2-2を満足するので、Type=B,X=0となる。また信号ZはTrueを維持しているのでステップS4はELSEとなる。
従って、P=0,X=0,Type=Bとなる。
【0034】
これ以降、信号Zが立ち下がるまで、即ちかご2がa10に達するまで、信号ZはTrueを維持しているので、ステップS4はELSEである。そのためX=0も維持されるので、ステップS3もELSEとなる。
従って、かご2がa10に達するまで、X=0,Type=Bを維持する。
【0035】
かご2が上昇してa3に達すると、信号Aが立ち上がりTrueとなり、信号BはTrueのままなので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=1となる。
従って、P=1,X=0,Type=Bとなる。
【0036】
かご2が上昇してa4に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=1,X=0,Type=Bのままである。
【0037】
かご2が上昇してa5に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=2となる。
従って、P=2,X=0,Type=Bとなる。
【0038】
かご2が上昇してa6に達すると、信号Bが立ち上がってTrueとなり、信号AはFalseを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=2,X=0,Type=Bのままである。
【0039】
かご2が上昇してa7に達すると、信号Aが立ち上がってTrueとなり、信号BはTrueを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=3となる。
従って、P=3,X=0,Type=Bとなる。
【0040】
かご2が上昇してa8に達すると、信号Bが立ち下がってFalseとなり、信号AはTrueを維持するので、ステップS2はELSEである。
従って、P=3,X=0,Type=Bのままである。
【0041】
かご2が上昇してa9に達すると、信号Aが立ち下がってFalseとなり、信号BはFalseを維持するので、ステップS2は条件1-1を満足し、P=4となる。
従って、P=4,X=0,Type=Bとなる。
【0042】
かご2が上昇してa10に達すると、信号Zが立ち下がりFalseとなるが、信号A,BはFalseのままなので、ステップS2,S3はともにELSEとなる。ステップS4では、条件3-2を満足するので、かご2の位置を決定する。このとき、
P=4,Type=Bなので、
図12より、かご2は区間3にあり上昇していることがわかる。
【0043】
その後、パルスエッジ数をリセットして、P=0,X=0として、かご位置区間を「区間3」として出力する。
上記のように、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0044】
また、
図14において、かご2が下降する場合には、上記と同様の方法でa10からa1へ移動し、詳細な説明は省略するが、P=―4,Type=Aとなる。そのため、
図12より、かご2は区間14にあり下降していることがわかる。
同様にして、他の上部のプレートA1,A2,B1,B2,Z1,Z2の箇所についてもかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0045】
更に、昇降路1の下部に配置されたプレートについても、詳細な説明は省略するが、上記と同様にして、かご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0046】
例えば、かご2が
図9のプレートA4,B4,Z4部分を上昇する場合は、詳細な説明は省略するが、P=4,Type=Aとなり、
図12より、かご2は区間4にあり上昇していることがわかる。
【0047】
また、かご2が
図9のプレートA4,B4,Z4部分を下降する場合は、詳細な説明は省略するが、P=―4,Type=Bとなり、
図12より、かご2は区間15にあり下降していることがわかる。
同様にして、他の下部のプレートA5,A6,B5,B6,Z5,Z6の箇所についてもかご2の位置及び運転方向を検出することができる。
【0048】
次にかご2がプレート位置(Z相プレートの範囲内)で停止した場合は、Z相プレートのZ信号は立ち下がりを検出しないので、
図13の条件3-2が満足されないため、かご位置は決定されず、前回の区間と同じとなる。また
図13のフローチャートは途中で実行停止した状態となる。従って、
図9を見ても分かるように、かご2の上昇時は(区間1〜6)はZ相プレートの上端が区間の境界であり、かご2の下降時(区間12〜17)はZ相プレートの下端が区間の境界となっている。
【0049】
そして、かご2がプレート位置で停止した後、同じ方向に運転する場合は、
図13のフローチャートが続行されるので、既に説明した動作と同じになる。
【0050】
また、かご2がプレート位置で停止した後、逆方向に運転する場合は、プレート位置に停止するまでに実行されたA相,B相プレートの立ち上がりは立ち下がりとして実行され、また、A相,B相プレートの立ち下がりは立ち上がりとして実行されるため、パルスエッジ数Pは0となる。従って、
図12により、かご2の位置は前回区間と同じと判断され、次のZ相プレートを通過することにより、本来の区間に訂正される。
【0051】
尚、前記の説明では、A相,B相プレートは空隙部Gを1〜3、又は2〜4個備えた3種類としているが、3箇所に限ることはない。また、A相,B相プレートのうち最も空隙部が少ないプレートは、空隙部Gを0個とすることもできる。
【0052】
また、前記の説明では、昇降路1の上部のA相,B相プレートより、昇降路1の下方のA相,B相プレートのほうが空隙部Gの数が多いが、逆に昇降路1の上部のA相,B相プレートの空隙部Gを、昇降路1の下方のA相,B相プレートの空隙部Gよりも多くすることもできる。更に昇降路1の下端部側又は上端部側のみにプレートを配置することもできる。また、空隙部Gと遮蔽部Sの高さLは、エッジが確実に検出できれば同一でなくてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1は本実施の形態による全体構成を示す概略図、
図2〜
図4は動作説明図である。
【0065】
図において、10は一端がかご2に連結された主ロープであり、機械室11に配置された巻上機12、そらせ車13に巻き掛けられ、他端がカウンターウェイト14に連結されている。15は機械室11に配置されたガバナ、16は昇降路1の下部に配置されたテンションプーリ、17はガバナ15とテンションプーリ16とに巻き掛けられたガバナロープであり、中間部がかご2に連結されている。
【0066】
20は機械室11に配置された制御装置、21はかご2と制御装置20との間で信号や電力を授受するトラベリングケーブルである。22はガバナ15に設けられたエンコーダで、一般的なインクリメンタル形エンコーダと同じく、その回転量及び回転方向に応じて、制御装置20にA相及びB相信号を出力する。したがって、かごの上昇時と下降時とではカウントの増減が逆になる。
図9、
図10と同一符号は同一のものを示している。
【0067】
また、前記従来技術と同様に、プレートZ1〜Z6の長さ及び各区間1〜17の長さ、換言すれば、プレートZ1〜Z6の長さ及び各プレート間の距離、並びにかご2がどの区間にあるかということは、既知である。
【0068】
次に、かご2の光電センサ4zがプレートZ5の位置にあり、かご2が上昇する場合について説明する。
かご2が上昇してプレートZ5を通過(
図2〜
図4の位置a2)したときのエンコーダの位置(Y0)を取得しておく。このときかご2は区間5に入る。この後、かご2の動作は、次の3つのケースの何れかになる。
【0069】
ケース1(
図2)
かご2が上昇して、プレートZ4を検出(a3)し、更にプレートZ4を上昇方向に通過(a4)したとき、プレートZ4の通過時のエンコーダの位置を(Y1)として取得する。
そして、 S1=|Y1-Y0| として距離S1を計算する。
更に、距離S1と区間5の長さとを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0070】
ケース2(
図3)
かご2が上昇して、プレートZ4を検出(a3)した後、反転してプレートZ4を下降方向に通過(a3)したとき、プレートZ4の通過時のエンコーダの位置を(Y2)として取得する。
そして、 S2=|Y2-Y0| として距離S2を計算する。
更に、距離S2と、区間5の長さからプレートZ4の長さを引いた長さとを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0071】
ケース3(
図4)
かご2が上昇して、プレートZ4を検出する前に反転して、下降運転でプレートZ5を検出(a2)し、更にプレートZ5を通過(a1)したとき、プレートZ5の通過時のエンコーダの位置を(Y3)として取得する。
そして、 S3=|Y3-Y0| として距離S3を計算する。
更に、距離S3とプレートZ5の長さとを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0072】
前記の動作を
図5のフローチャートによって詳細に説明する。
かご2が上昇を開始(ステップS1)して、プレートZ5を通過(ステップS2)すると、そのときのエンコーダの位置(Y0)を取得する(ステップS3)。
【0073】
更に、かご2が上昇して(ステップS4)、プレートを検出する(ステップS5)と、検出したプレートがZ4であると判断する(ステップS6)。
更にかご2が上昇して(ステップS7)、プレートZ4を通過(ステップS8)したとき、プレートZ4の通過時のエンコーダの位置を(Y1)として取得する(ステップS9)。
そして、 S1=|Y1-Y0| として距離S1を計算する(ステップS10)。
【0074】
更に、距離S1と区間5の長さとを比較し(ステップS11)、その差が閾値より大きければ異常(ステップS12、S14)、閾値以下であれば正常(ステップS12,S13)と判断し、終了する(ステップS15)。
【0075】
次に、ステップS7で、かご2が反転して下降し、プレートZ4を下方に通過(ステップS20)すると、プレートZ4の通過時のエンコーダの位置を(Y2)として取得する(ステップS21)。
そして、 S2=|Y2-Y0| として距離S2を計算する(ステップS22)。
【0076】
更に、距離S2と、区間5の長さからプレートZ4の長さを引いた長さとを比較し(ステップS23)、その差が閾値より大きければ異常(ステップS12、S14)、閾値以下であれば正常(ステップS12,S13)と判断し、終了する(ステップS15)。
【0077】
更に、ステップS4で、かご2が反転して下降し、プレートを検出する(ステップS30)と、検出したプレートがZ5であると判断する(ステップS31)。
更にかご2が下降して(ステップS32)、プレートZ5を通過(ステップS33)したとき、プレートZ5の通過時のエンコーダの位置を(Y3)として取得する(ステップS34)。
そして、 S3=|Y3-Y0| として距離S3を計算する(ステップS35)。
【0078】
更に、距離S3とプレートZ5の長さとを比較し(ステップS36)、その差が閾値より大きければ異常(ステップS12、S14)、閾値以下であれば正常(ステップS12,S13)と判断し、終了する(ステップS15)。
【0079】
また、ステップS32で、かご2が更に反転上昇した場合には、プレートZ5を通過すれば(ステップS40)、ステップS2と同じ結果になるため、ステップS3に戻り、そうでない場合はステップS32に戻る。
【0080】
上記のように、本実施の形態によれば、かご2がプレートZ5を上昇方向に通過した場合に、装置の異常を検出することができる。
尚、本実施の形態では、かご2が上昇する場合について説明したが、下降する場合も上下を逆にするだけで、同様に実施できる。
【0081】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。前記の実施の形態は、かごがプレートを通過したときのエンコーダの位置を取得して、距離を計算していたのに対し、この実施の形態は、かごがプレートを検出したときのエンコーダの位置を取得して、距離を計算するものである。
図6〜
図8は動作説明図であり、
図2〜
図4に相当する図である。
この実施の形態の場合も、前記と同様に、プレートZ1〜Z6の長さ及び各区間1〜17の長さ、換言すれば、プレートZ1〜Z6の長さ及び各プレート間の距離、並びにかご2がどの区間にあるかということは、既知である。
【0082】
次に、かご2の光電センサ4zがプレートZ5の下方の位置にあり、かご2が上昇する場合について説明する。
かご2が上昇してプレートZ5を検出(
図6〜
図8の位置a1)したときのエンコーダの位置(Y10)を取得しておく。このときかご2はプレートZ5上に来る。この後、かご2の動作は、次の3つのケースの何れかになる。
【0083】
ケース11(
図6)
かご2が上昇して、プレートZ5を通過(a2)し、更にプレートZ4を検出(a3)したとき、プレートZ4の検出時のエンコーダの位置を(Y11)として取得する。
そして、 S11=|Y11-Y10| として距離S11を計算する。
更に、距離S11と、区間5の長さからプレートZ4の長さを引き、更にプレートZ5の長さを加えた長さとを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0084】
ケース12(
図7)
かご2が上昇して、プレートZ5を通過(a2)した後、反転して下降運転でプレートZ5を検出(a2)したとき、プレートZ5の検出時のエンコーダの位置を(Y12)として取得する。
そして、 S12=|Y12-Y10| として距離S12を計算する。
更に、距離S12と、プレートZ5の長さを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0085】
ケース13(
図8)
かご2が上昇して、プレートZ5を通過する前に反転して、下降運転でプレートZ5を通過(a1)し、更にプレートZ6を検出(a0)したとき、プレートZ6の検出時のエンコーダの位置を(Y13)として取得する。
そして、 S13=|Y13-Y10| として距離S13を計算する。
更に、距離S13と、区間6の長さからプレートZ5の長さを引いた長さとを比較し、その差が閾値より大きければ異常、閾値以下であれば正常と判断する。
これにより、異常の発生を検出することができる。
【0086】
本実施の形態のフローチャートは省略するが、上記のように、本実施の形態によれば、かご2がプレートZ5を上昇方向に検出した場合に、装置の異常を検出することができる。
尚、本実施の形態でも、かご2が上昇する場合について説明したが、下降する場合も上下を逆にするだけで、同様に実施できる。
【0087】
前記の実施の形態では、A相,B相、Z相プレートを、昇降路の上下それぞれ3箇所に配置しているが、3箇所に限ることはなく、必要に応じてプレート数を増減すればよい。更に、前記プレートは昇降路の上下部に配置しているが、必要に応じて、昇降路の上下部の何れか一方のみに配置することも可能である。
また、A相,B相、Z相プレートを有するエレベータについて説明したが、これに限定されることはない。更に、本発明はETS用に限定されるものでもない。
【0088】
更に、
図1では機械室11を有するエレベータについて説明したが、機械室なしエレベータでも同様に適用できることはもちろんである。更に、主ロープ10のローピングも
図1の構成に限ることはない。
また、エンコーダ22をガバナに設けているが、ガバナのテンションプーリや、巻上機のシーブやモータに設けることもできる。
【0089】
また、センサとして光電センサを使用しているが、赤外線センサ、磁気式センサ、超音波センサ、画像認識など、他のセンサを使用してもよい。