(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含み、式[II]で表される繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%乃至80mol%含む、請求項10に記載のポリカーボネート。
式[III]で表される1種以上のジオールを全ジオールの20mol%以上含み、1,6−ヘキサンジオールを全ジオール中20mol%乃至80mol%含むジオールと炭酸ジエステルとを反応させる、請求項16記載のポリカーボネートの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に記載されているような、ポリカーボネートとして一般的に使用されている1,6−ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートを用いたポリウレタンでは、用途によっては耐候性、耐熱性、特に、耐熱老化性が必ずしも十分とはいえない場合があった。
また、特許文献1には、特定の構造を有するポリカーボネートジオールをポリウレタンの原料として用いることが記載されているが、本願で開示するポリカーボネートについては記載されていない。さらに、特許文献1には、ポリウレタンの耐候性や耐熱性(特に、耐熱老化性)について何ら検討されていない。
一方、特許文献2にも、特定の構造を有するポリカーボネートジオール含有組成物が記載されており、さらに、かかるポリカーボネートジオール含有組成物をポリウレタンの原料として用いることが記載されている。ここで、特許文献2では、実施例3が本発明に近いが、かかる実施例3では、原料のジオール成分の一つとして、ネオペンチルグリコールを用いている。しかしながら、ネオペンチルグリコールをジオール成分として用いると、特許文献2の段落0095にも記載のとおり、重縮合中に安定な環状構造のカーボネート体が生成・留去してしまう。このような環状構造のカーボネート体の生成は、原料ジオール成分のロスを引き起こし、結果として、所望の分子量および共重合組成のポリカーボネートを得ることが困難となる。また、原料ジオール成分のロスは工業生産的にも不利である。
そこで、本発明の目的は、耐候性、耐熱性、特に、耐熱老化性に優れたポリウレタンの原料となるポリカーボネートを提供することにある。さらに、前記ポリカーボネートを用いた、ポリウレタン、エラストマーを提供することにあり、加えてポリカーボネートの製造方法およびポリウレタンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するポリカーボネートを使用することにより、耐候性、耐熱性、特に、耐熱老化性に優れたポリウレタンが得られることを見出し、本発明に至ったものである。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<24>により、上記課題は解決された。
<1>下記式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を有し、末端の90%以上に水酸基を有することを特徴とするポリカーボネート。
【化2】
(ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。)
<2>式[I]で表される繰り返し単位のR
1及びR
2の組合せとR
3及びR
4の組合せが異なる組合せである<1>記載のポリカーボネート。
<3>式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含む<1>または<2>記載のポリカーボネート。
<4>数平均分子量が400〜10000である、<1>乃至<3>のいずれか1つに記載のポリカーボネート。
<5>示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度が−30℃以下である<4>記載のポリカーボネート。
<6>式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中50mol%以上含む<1>乃至<5>のいずれか1つに記載のポリカーボネート。
<7>式[I]で表される1種以上の繰り返し単位および下記式[II]で表される繰り返し単位を含む、<1>乃至<6>のいずれか1つに記載のポリカーボネート。
【化3】
<8>式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含み、式[II]で表される繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%乃至80mol%含む、<7>記載のポリカーボネート。
<9>示差走査熱量計で測定される融解発熱ピーク温度が15℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されないことを特徴とする<7>または<8>記載のポリカーボネート。
<10>式[I]中、R
1およびR
2がメチル基である<1>乃至<9>のいずれか1つに記載のポリカーボネート。
<11>式[I]中、R
3およびR
4がメチル基である<10>記載のポリカーボネート。
<12>式[I]中、R
3とR
4の少なくともいずれかがメチル基以外の基である<10>記載のポリカーボネート。
<13>式[I]中、R
1、R
2、R
3およびR
4がメチル基である繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%乃至80mol%含み、式[I]中、R
1及びR
2の組合せとR
3及びR
4の組合せが異なる組合せである繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含む、<3>乃至<6>のいずれか1つに記載のポリカーボネート。
<14>示差走査熱量計で測定される融解発熱ピーク温度が15℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されない、<13>記載のポリカーボネート。
<15><1>乃至<14>のいずれか1つに記載のポリカーボネートを原料として得られるポリウレタン。
<16><15>記載のポリウレタンを含むエラストマー。
<17>下記式[III]で表される1種以上のジオールを含むジオールと炭酸ジエステルを反応させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
【化4】
(ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。)
<18>式[III]で表される1種以上のジオールを全ジオールの20mol%以上含み、1,6−ヘキサンジオールを全ジオール中20mol%乃至80mol%含むジオールと炭酸ジエステルとを反応させる、<17>記載のポリカーボネートの製造方法。
<19><1>乃至<14>のいずれか1つに記載のポリカーボネートとポリイソシアネートを反応させることを含む、ポリウレタンの製造方法。
<20>前記ポリカーボネートとポリイソシアネートを反応させてプレポリマーとし、前記プレポリマーと鎖延長剤とを反応させる、<19>記載のポリウレタンの製造方法。
<21>下記式[I]で表される繰り返し単位を含む、ポリウレタン。
【化5】
(ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。)
<22>下記式[X]で表される繰り返し単位を含む、<21>記載のポリウレタン。
【化6】
(ただし、R
5は2価の炭化水素基であり、R
6は式[I]で表される繰り返し単位を含む。)
<23>下記式[XX]で表される繰り返し単位を含む、<21>記載のポリウレタン。
【化7】
(ただし、R
7は2価の炭化水素基であり、R
8は式[I]で表される繰り返し単位および式[II]で表される繰り返し単位を含む。)
【化8】
<24>下記式[X]で表される繰り返し単位と下記式[XX]で表される繰り返し単位の少なくとも1種と、下記式[XXX]で表される繰り返し単位を含む、<21>記載のポリウレタン。
【化9】
(ただし、R
5は2価の炭化水素基であり、R
6は式[I]で表される繰り返し単位を含む。)
【化10】
(ただし、R
7は2価の炭化水素基であり、R
8は式[I]で表される繰り返し単位および式[II]で表される繰り返し単位を含む。)
【化11】
【化12】
(ただし、R
9は2価の炭化水素基であり、R
10は式[X]におけるR
6または式[XX]におけるR
8と同義である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリカーボネートにより、耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)に優れたポリウレタンが得られ、本発明の工業的意義は大きい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本願明細書において、「Me」はメチル基を意味する。
本発明のポリカーボネートは、上記式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を含むことに特徴があり、耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)に優れたポリウレタン(熱可塑性ポリウレタン)を得ることができる。
このメカニズムは推定であるが、式[I]で表される繰り返し単位は、ジオール由来の部分に、2つの4級炭素が存在するため、その安定性によって耐候性が向上し、さらに、4級炭素の疎水性によって耐加水分解性が向上することから、ポリウレタンにした際の耐候性および耐熱性(特に、耐熱老化性)を向上させることができたと考えられる。
【0012】
上記式[I]のR
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、及び1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。
中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基がより好ましい。
また、R
1及びR
2がメチル基である繰り返し単位がより好ましく、R
3およびR
4がメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、又はn−ヘキシル基から選ばれた基である繰り返し単位が好ましい。
【0013】
また、R
1及びR
2がメチル基である繰り返し単位がより好ましく、R
3およびR
4が、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、又はn−ヘキシル基から選ばれた基である繰り返し単位が好ましい。さらに、R
3がメチル基またはエチル基であり、R
4が、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびn−ブチル基から選ばれた基である繰り返し単位がより好ましい。
【0014】
本発明では特に、以下の実施形態が好ましい例として挙げられる。
本発明の式[I]の第1の実施形態は、R
1〜R
4が、いずれもメチル基である。
本発明の式[I]の第2の実施形態は、R
1およびR
2がメチル基であり、R
3がエチル基であり、R
4がn−ブチル基である。
本発明の式[I]の第3の実施形態は、R
1およびR
2がメチル基であり、R
3およびR
4がエチル基である。
本発明の式[I]の第4の実施形態は、R
1〜R
3がいずれもメチル基であり、R
4がn−プロピル基である。
【0015】
式[I]で表される繰り返し単位のR
1及びR
2の組合せとR
3及びR
4の組合せが異なる組合せであってもよい。
本発明では例えば、式[I]中のR
1及びR
2がメチル基であり、R
3及びR
4がメチル基である態様および、式[I]中のR
1及びR
2がメチル基であり、R
3及びR
4の少なくともいずれかがメチル基以外の基である態様が挙げられる。
異なる組み合わせとすることにより、ポリカーボネートの融点を低くでき好ましい。特に、常温(例えば、25℃)で液体とする組み合わせは、ポリカーボネートを使用する際の作業性が向上するので好ましい。さらに、かかるポリカーボネートを用いてなるポリウレタンは、耐候性や耐熱老化性がより向上する傾向にあり好ましい。
【0016】
本発明のポリカーボネートの末端は90%以上に水酸基を有することが必要である。ポリウレタンの原料として使用する場合には、イソシアネートと反応してウレタンとなる水酸基を末端に有することが必要である。
【0017】
本発明のポリカーボネートは、上記式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含むことが、耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)に優れたポリウレタンを得るためには好ましく、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中50mol%以上含むことがより好ましい。
【0018】
本発明のポリカーボネートの平均分子量の範囲は限定されないが、通常数平均分子量にて、400〜100000の範囲で用いられる。
中でも、400〜20000が好ましく、400〜10000がより好ましく、さらに好ましくは、400〜8000である。一層好ましくは、400〜5000である。本発明における数平均分子量は、特に述べない限り、後述する実施例で述べる核磁気共鳴装置を用いて行った方法で測定される値とする。尚、実施例で用いている機器が廃版等の理由により入手不可の場合、他の同等の性能を有する機器を用いることができる。
【0019】
また、本発明のポリカーボネートは示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度が−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることが柔軟性、機械物性等に優れたポリウレタンを得るためにはより好ましい。本発明のポリカーボネートのガラス転移温度の下限値は特に定めるものではないが、例えば、−60℃以上とすることができる。
本発明のポリカーボネートは示差走査熱量計で測定される融解発熱ピーク温度(融点)が80℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されないことが好ましく、さらには、融解発熱ピーク温度が0℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されない(結晶化が確認されない)ポリカーボネートであることがより好ましい。融解発熱ピーク温度の下限値は特に定めるものではないが、例えば、−60℃以上とすることができる。
【0020】
1,6−ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートは、一般的にポリウレタン原料として使用されているが、1,6−ヘキサンジオールの融点が約46℃と常温(25℃)よりも高いことに起因して、そのハンドリングの悪さや反応時の不均一性等の加工性の悪さが問題となる場合がある。また、結晶化傾向が大きいため、ポリウレタンにした際にソフトセグメント部分が結晶硬化を起こして弾性が損なわれ易く、特に寒冷時において回復性が低下する場合がある。
【0021】
本発明のポリカーボネートの中でも、融点の高い結晶性ポリカーボネートでは、用途によっては同様の欠点が問題となる場合がある。そのため、用途によっては、本発明のポリカーボネートの中でも、常温(例えば、25℃)で液状のポリカーボネートが好ましい。本発明の常温で液状のポリカーボネートとしては、例えば、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位および下記式[II]で表される繰り返し単位含む共重合ポリカーボネートが挙げられる。
【化13】
【0022】
上記の共重合ポリカーボネートの中でも、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含み、式[II]で表される繰り返し単位含む共重合ポリカーボネートが好ましい。
【0023】
式[I]中R
1、R
2、R
3およびR
4がメチル基である繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%乃至80mol%含む共重合ポリカーボネートなどの共重合ポリカーボネート、あるいは、式[I]中R
1およびR
2がメチル基でありかつR
3とR
4の少なくともいずれかがメチル基以外の基であるポリカーボネートなどが挙げられる。
【0024】
式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中20mol%以上含み、式[II]で表される繰り返し単位含む共重合ポリカーボネートとしては、式[II]で表される繰り返しを全繰り返し単位中20mol%乃至80mol%含む共重合ポリカーボネートが好ましく、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中40mol%乃至80mol%含み、式[II]で表される繰り返し単位を60mol%乃至20mol%含む共重合ポリカーボネートがさらに好ましい。特に、ポリウレタン系エラストマーとして用いる場合、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位を全繰り返し単位中60mol%乃至80mol%含み、式[II]で表される繰り返し単位を40mol%乃至20mol%含む共重合ポリカーボネートが諸性能にバランスよく優れ好ましい。
【0025】
本発明では、上述のとおり、式[II]で表される繰り返し単位含むポリカーボネートとすることにより、ガラス転移温度を低くでき、また、常温(例えば、25℃)で液体とできるため、各種用途に好ましく用いられる。特に、工業的に使用する場合には、常温で液体のポリカーボネートは有益である。
また、本発明のポリカーボネートを用いてポリウレタンエラストマーを製造する場合、ポリカーボネート部分がソフトセグメントを構成するが、かかるソフトセグメント部分を構成するポリカーボネートのTgが低いと、幅広い使用温度でエラストマーとして使用できるメリットがある。すなわち、ポリカーボネートのTgがエラストマーを実際に使用する際の温度よりも高いと、ポリカーボネート部分はソフトセグメントとして機能しにくくなるが、本発明のポリカーボネートは、Tgが低いため、幅広い温度範囲でエラストマーとして用いることができる。
本発明のポリカーボネートは、式[II]で表される繰り返し単位含むポリカーボネートとすることにより、Tgを−38℃以下とでき、さらには、−40℃以下とすることができ、特には、−42℃以下とすることができる。Tgの下限値については、特に定めるものではないが、例えば、−65℃以上とすることができ、さらには、−55℃以上とすることができ、特には、−50℃以上とすることができる。
また、式[II]で表される繰り返し単位含むポリカーボネートは示差走査熱量計で測定される融解発熱ピーク温度が15℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されないポリカーボネートとすることができ、さらには、融解発熱ピーク温度が0℃以下であるか或いは融解発熱ピークが観察されないポリカーボネートとすることができる。
すなわち、式[I]で表される1種以上の繰り返し単位と式[II]で表される繰り返し単位を含むポリカーボネートは、式[I]で表される繰り返し単位が本来有する4級炭素自体の安定性に基づく各種性能を発揮し、さらに、式[II]で表される繰り返し単位の共重合割合を調整することにより、所望の性能を発揮させることができる。
【0026】
本発明のポリカーボネートで用いられる上記式[I]の繰り返し単位以外の繰り返し単位の種類には特に制限はなく、必要な特性に応じてポリカーボネートの原料として使用できるすべてのジオールを原料とした繰り返し単位を用いることができる。
【0027】
上記式[I]の繰り返し単位以外の繰り返し単位の原料ジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタキシリレングリコール、パラキシリレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールなどの脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、ペンタシクロドデカンジメタノールおよび3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどの脂環族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’―ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’―ジヒドロキシビフェニル、4,4’―ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’―ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノンなどの芳香族ジオール類などが挙げられる。 また、3官能性以上のポリオールを原料とした繰り返し単位を少量含有させてもよい。3官能性以上のポリオールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
中でもエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタキシリレングリコール、パラキシリレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールなどの脂肪族ジオール類が好ましく、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールがより好ましい。1,6−ヘキサンジオールが最も好ましい。
【0028】
本発明のポリカーボネートを製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することが出来る。一般的には、ジオール化合物と炭酸エステルとのエステル交換により製造することができる。
【0029】
本発明のポリカーボネートを製造する際には、原料として下記式[III]で表されるジオール化合物を用いる。製造方法によってはエステルなどの誘導体を用いてもよい。
【化14】
ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
【0030】
本発明のポリカーボネートの製造方法の実施形態として、式[III]で表される1種以上のジオールを含むジオールと炭酸ジエステルを反応させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法が例示される。好ましくは、式[III]で表される1種以上のジオールを全ジオール80mol%以上含み、前記ジオールと炭酸ジエステルとを反応させる、ポリカーボネートの製造方法、および、式[III]で表される1種以上のジオールを全ジオールの20mol%以上含み、1,6−ヘキサンジオールを全ジオール中20mol%乃至80mol%含むジオールと炭酸ジエステルとを反応させる、ポリカーボネートの製造方法が例示される。
上述のとおり、式[III]で表されるジオール化合物は、ジオール鎖に2つの4級炭素が存在する。その結果、ネオペンチルグリコールなどの1,3−プロパンジオール類を原料としてポリカーボネートを合成する場合に比べて、環状構造を形成しにくくなる。結果として、式[III]のジオール化合物と、式[III]以外のジオール化合物、例えば、上述の特許文献2に記載のような、1,6−ヘキサンジオールを共重合する場合、原料ロスが少なく、ほぼ仕込み比通りのポリカーボネートを得ることができる。
【0031】
式[III]で表されるジオール化合物の製造方法は限定されないが、例えば、下記式[IV]のアセタールを水素化還元することによって得ることができる。
【化15】
ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
なお、式[IV]のアセタールは、下記式[V]のように、2,2−ジ置換−3−ヒドロキシプロパナールと2,2−ジ置換−1,3−プロパンジオールのアセタール化により得ることができる。
【化16】
(ただし、R
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれ独立に炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0032】
本発明のポリカーボネートを製造する際に用いられる炭酸エステルとしては、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートなどが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5,5−ジエチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−オンおよび5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどが挙げられる。
また、ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジ−n−ブチルカーボネートなどが、ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。
これらの炭酸エステルのなかでも、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネートを用いるのが好ましい。
【0033】
本発明のポリカーボネートを製造する際の反応温度は、120℃〜280℃である。好ましくは、140℃〜240℃ である。
本発明のポリカーボネートを製造する際に、反応を速めたい場合に触媒を用いることができる。触媒としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのチタン化合物、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテートなどのスズ化合物、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛などの酢酸の金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシドなどの金属アルコキシドなどが挙げられる。
【0034】
本発明の末端に水酸基を有するポリカーボネートは、ポリウレタンの製造原料として有用である。すなわち、末端が水酸基のポリマー、ポリイソシアネート及び必要に応じて鎖延長剤を反応させてポリウレタンを製造する際に、末端が水酸基のポリマーの少なくとも一部に本発明のポリカーボネートを使用することにより、末端に位置する水酸基中のそれぞれ1個の水素原子を除いた形の構造単位を主鎖中に含むポリウレタンが製造される。また、本発明のポリカーボネートは末端が水酸基のポリマーの20重量%以上、より好ましくは50重量%以上であることが望ましい。
【0035】
本発明のポリカーボネートと併用できる末端が水酸基のポリマーとしては、通常のポリウレタンの製造に使用できるものが使用できる。例えば、末端が水酸基のポリエステルとしてポリテトラメチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリネオペンチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール等の公知のポリエステル、1,9−ノナンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールをアルキレングリコール成分とするポリアルキレンカーボネート等の公知のポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の公知のポリエーテル等が挙げられる。
【0036】
本発明のポリウレタンを製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。
例えば、末端が水酸基のポリカーボネートと必要に応じて2個以上の活性水素原子を有する低分子化合物(鎖延長剤)等とを均一に混合して、約60℃に予熱した後、これら混合物中の活性水素原子数とイソシアネート基のモル比が0.95〜1:1.05になる量のポリイソシアネートを加え、回転ミキサーで短時間かき混ぜながら二軸スクリューを有する連続重合装置に供給し、連続的に反応させることによりポリウレタンを製造することができる。また、末端が水酸基のポリカーボネートとポリイソシアネートとを予め反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを製造し、その後、鎖延長剤を反応させることにより、ポリウレタンを製造することもできる。
【0037】
これらの製造に於いては三級アミンや錫、チタンなどの有機金属塩等に代表される公知の重合触媒を用いる事も可能である。また、これらの反応は、通常、無溶媒で行われるが、溶媒を用いておこなってもよく、好ましい溶剤として、例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、エチルセルソルブ等がある。
【0038】
本発明のポリウレタンを製造するにあたり、イソシアネート基に反応する活性水素を一つだけ含有する化合物、例えばエチルアルコール、プロピルアルコール等の一価アルコール、及びジエチルアミン、ジn−プロピルアミン等の二級アミン等を末端停止剤として使用することができる。
【0039】
ポリウレタンには、熱安定剤(例えば酸化防止剤)や光安定剤などの安定剤を添加することが望ましい。また、可塑剤、無機充填剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、難燃剤等を添加しても良い。
【0040】
ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4 ’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等をあげることができ、これらのポリイソシアネートは単独で用いても、または2種以上を併用してもよい。これらの中でも4,4 ’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。なお、ポリイソシアネートとは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物をいう。
【0041】
鎖延長剤は、2個以上の活性水素原子を有するジオールまたはジアミン等の低分子化合物を用いることができる。鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜10のジオール類、ブロピレンジアミン、イソホロンジアミン等の炭素数2〜10のジアミン類などが挙げられ、単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。鎖延長剤としてジオール、ジアミン等の活性水素原子を2個有するものを用いると、ポリウレタンを製造し易い。
【0042】
鎖延長剤の使用量は、特には限定されないが、ポリカーボネートに対して、好ましくは、0.1〜20倍(モル比)である。
さらに、必要により、メタノール、エタノール等の一価の低分子アルコール、メチルアミン、エチルアミン等の一価の低分子アミン等を変性剤として用いてもよい。
【0043】
本発明のポリウレタンの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは、10,000〜500,000である。数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは、10,000〜100,000である。
【0044】
重合反応を無溶媒で行った場合、得られたポリウレタンは、重合後、直ちに成形加工に付すことができる。重合条件により、前記ポリウレタン中に未反応のポリイソシアネートが0.2重量%以上存在する場合は、必要により60〜80℃ で4〜30時間の熟成を行い、反応を完結させた後、成形加工に付すことができる。
【0045】
重合反応を溶媒中で行った場合、ポリウレタンの貧溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数6〜10の脂肪族飽和炭化水素、または、メタノール、エタノール等を添加混合してポリウレタンを凝集析出させ、ろ過分離し、乾燥した後、成形加工に付すことができる。
【0046】
本発明のポリウレタンは、式[I]で表される繰り返し単位を含む。式[I]で表される繰り返し単位は、上記式[I]で表される繰り返し単位と同義であり、好ましい範囲も同様である。本発明のポリウレタンは、さらに、式[II]で表される繰り返し単位や他の繰り返し単位を含んでいてもよい。加えて、鎖延長剤として2個以上の活性水素原子を有するジオールまたはジアミンを使用することもできる。特にジアミン類を鎖延長剤に用いた場合、イソシアネート基との反応により、ウレア結合を形成し、分子量を延長させることができる。従って本発明のポリウレタンは、ウレア結合を有する場合もある。さらに、ウレア結合とイソシアネート基の反応により、架橋構造を形成し、さらに高分子化することも可能である。
尚、本発明のポリウレタンにおいて、式[I]で表される繰り返し単位および式[II]で表される繰り返し単位や他の繰り返し単位は、それぞれ、1種のみ含まれていても良いし、2種以上含まれていても良い。
本発明のポリウレタンの好ましい実施形態として、下記式[X]で表される繰り返し単位を含むポリウレタンが例示される。
【化17】
(ただし、R
5は2価の炭化水素基であり、R
6は式[I]で表される繰り返し単位を含む。)
R
5は、置換または無置換のベンゼン環、置換または無置換のシクロヘキサン環、置換または無置換の炭素数1〜10の直鎖アルキレン基、ならびに、これらの組み合わせからなる基が例示される、置換基としては、アルキル基が例示され、メチル基またはエチル基が好ましい。
R
5は、さらには、下記で表される基を単独もしくはこれらの組み合わせからなる基が好ましい。
【化18】
上記において、Meはメチル基であり、nは2〜12の整数を表す。
R
5は、特に下記で表される基であることが好ましい。
【化19】
本実施形態では、R
6は、実質的に、式[I]で表される繰り返し単位のみからなることが好ましい。実質的にとは、例えば、R
6の構成成分の90重量%以上が、さらには、95重量%以上が、式[I]で表される繰り返し単位であることをいう。
本実施形態では、上記式[X]で表される繰り返し単位がポリウレタンに含まれる全繰り返し単位の90重量%以上であることが好ましい。
【0047】
本発明のポリウレタンの他の好ましい実施形態として、下記式[XX]で表される繰り返し単位を含む、ポリウレタンが例示される。
【化20】
(ただし、R
7は2価の炭化水素基であり、R
8は式[I]で表される繰り返し単位および式[II]で表される繰り返し単位を含む。)
R
7は、上記R
5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本実施形態では、R
8は、実質的に、式[I]で表される繰り返し単位および式[II]で表される繰り返し単位のみからなることが好ましい。実質的にとは、例えば、R
8の構成成分の90重量%以上が、さらには、95重量%以上が、式[I]で表される繰り返し単位または式[II]で表される繰り返し単位であることをいう。
本実施形態では、上記式[XX]で表される繰り返し単位がポリウレタンに含まれる全繰り返し単位の90重量%以上であることが好ましい。
ここで、式[XX]で表される繰り返し単位のR
8における、式[I]で表される繰り返し単位(繰り返し単位XX-1)と、式[II]で表される繰り返し単位(繰り返し単位XX-2)の割合は、繰り返し単位XX-1が20mol%乃至80mol%であり、繰り返し単位XX-2が80mol%乃至20mol%であることが好ましく、繰り返し単位XX-1が40mol%乃至80mol%であり、繰り返し単位XX-2が60mol%乃至20mol%であることがより好ましい。
【0048】
本発明のポリウレタンの他の実施形態として、式[X]で表される繰り返し単位と式[XX]で表される繰り返し単位の少なくとも1種と、式[XXX]で表される繰り返し単位を含む、ポリウレタンが例示される。
【化21】
(ただし、R
9は2価の炭化水素基であり、R
10は式[X]におけるR
6または式[XX]におけるR
8と同義である。)
R
9は、それぞれ、式[X]におけるR
5と同義であり、好ましい範囲も同義である。
このような構造は、鎖延長剤にジアミン類を用いた場合に得られる。
本実施形態では、上記式[X]〜[XXX]で表される繰り返し単位がポリウレタンに含まれる全繰り返し単位の90重量%以上を占めることが好ましい。
【0049】
本発明のポリウレタンは、種々の方法で成形加工することができ、成形加工法としては、例えば、押し出し成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法などがあげられる。
【0050】
本発明のポリカーボネートは、耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)に優れ、ポリウレタン等の製造原料として使用した場合、優れた耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)等を有する製品を与える。また、本発明によって得られるポリカーボネートは、その他の種々の用途にも適用できる。
【0051】
本発明のポリウレタンは、柔軟性、耐加水分解性、機械物性等のすぐれた特性を保持すると共に、特に耐候性、耐熱性(特に、耐熱老化性)に優れており、ポリウレタンエラストマー、塗料、接着剤、コーティング剤、フォーム、バインダー、弾性繊維、合成皮革、人工皮革、シーリング材、防水材、床材等に利用することができる。
【0052】
本発明のポリカーボネートは、高分子改質剤、高分子可塑剤などとして使用することもできる。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明の製造法について、実施例及び比較例を挙げて、更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。ポリカーボネートの性状等の測定は以下の方法によった。
(1)水酸基価
ポリカーボネートの水酸基価は、JIS K 1557に準拠して測定した。
また、水酸基価の測定値と、後述するポリカーボネートの数平均分子量(Mn)の測定値から、ポリカーボネート1分子あたりの水酸基の数の平均値Pを計算した。
水酸基価(mgKOH/g)×10
-3=[KOHの分子量×ポリカーボネート1分子中のOH基の数の平均値P]/(ポリカーボネートのMn)
P=[水酸基価(mgKOH/g)×Mn]/(56.1×10
3)
(2)数平均分子量及び共重合ポリカーボネートの共重合モル比
ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)及び共重合ポリカーボネートの共重合モル比は日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(型式:JNM−ECA500)を使用して、重クロロホルム溶媒中でプロトンの核磁気共鳴を測定して求めた。Mnは、分子末端の隣のメチレンプロトンシグナルとカーボネート結合の隣のメチレンプロトンシグナルの積分値を使用して求めた。共重合比は各モノマーのメチレンプロトンシグナルの積分値より求めた。
(3)ガラス転移温度及び融点
ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)は、株式会社島津製作所製、示差走査熱量計(型式:DSC/TA−60WS)を使用して、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度10℃/minで測定した。
【0055】
また、ポリウレタンの物性等の測定は以下の方法によった。
(1)分子量
ポリウレタンの分子量は昭和電工株式会社製GPC装置(型式:ポンプ:Shodex DS−4,カラム:Shodex GPC KD−806M×2+KD−802+KD−G)を用いて、N,N’−ジメチルホルムアミドを溶媒としてRI検出器(型式:Shodex RI−101)で測定した。ポリエチレンオキシドを標準物質として数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)引張物性
ポリウレタンの引張試験(引張破壊応力および引張破壊ひずみ)は、インストロン社製、材料試験システム(型式:5582型
)を使用して、JIS K 7162に準拠し、試験片は5A型を使用し、60℃で測定した。
(3)色調
ポリウレタンの色調は、日本電色工業株式会社製、測色色差計(型式:ZE−2000)を使用し、JIS K 7105に準拠し、厚さ1mmの板を透過法にて測定し、b*値(CIE 1976)で黄色の着色度を示した。
(4)耐候性
ポリウレタンの試験片をスガ試験機株式会社製デューサイクルサンシャインウエザーメーター(型式:S80DHBBR)を使用して、JIS K 6266に準拠し、250時間処理した後、引張物性、色調を測定した。引張物性については、初期物性に対する保持率(単位:%)として示した。
(5)耐熱老化性
株式会社東洋精機製作所製ギヤー式熱老化試験機(型式:GO−01)を使用して、JIS K 7212に準拠し、120℃、285時間処理した後、色調を測定した。
【0056】
<参考例1>
3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)(式[VI])の合成
【化22】
(1)2−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの調製(アセタール化)
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド(ヒドロキシピバルアルデヒド、三菱瓦斯化学株式会社製、純度99.8%)131.3gと、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール、東京化成工業株式会社製試薬)136.0gと、ベンゼン705gと、粒状ナフィオン(商品名「NR−50」、シグマアルドリッチ社製)3.0gと、を2リットルの丸底フラスコに収容し、常圧下で生成する水をベンゼンと共沸させながらディーン・スターク・トラップを用いて系外へ抜き出して、水の留出が止まるまで反応させた。これを濾過したのちに濃縮及び冷却することにより再結晶させて、2−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの結晶を得た。
(2)触媒担体の調製
金属成分の担体として用いた酸化ジルコニウムを下記の方法で調製した。
酸化ジルコニウム(ZrO
2)換算で25質量%の濃度のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液505gに、撹拌しながら28%アンモニア水15.5gを滴下することにより白色沈殿物を得た。これを濾過し、イオン交換水で洗浄した後に、110℃、10時間乾燥して含水酸化ジルコニウムを得た。これを磁製坩堝に収容し、電気炉を用いて空気中で400℃、3時間の焼成処理を行った後、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状酸化ジルコニウム(以下、「担体A」と表記する。)を得た。担体AのBET比表面積(窒素吸着法により測定。以下同様。)は102.7m
2/gであった。
(3)触媒の調製
50gの担体Aに0.66質量%塩化パラジウム−0.44質量%塩化ナトリウム水溶液を添加し、担体上に金属成分を吸着させた。そこにホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液を注加して吸着した金属成分を瞬時に還元した。その後、イオン交換水により触媒を洗浄し、乾燥することにより2.0質量%パラジウム担持酸化ジルコニウム触媒(以下、「A触媒」と表記する。)を調製した。
(4) 2−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの水素化還元
500mLのSUS製反応器内に、A触媒6.00g、2−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オール24.0g、及び1,4−ジオキサン240gを収容し、反応器内を窒素ガスで置換した。その後、反応器内に水素ガスを8.5MPa充填し、反応温度である230℃へ昇温して、反応器内圧を13MPaに維持しつつ5時間反応させた。その後に冷却して反応器の内容物を回収した。得られた反応液を濾過して触媒を分離した後に再結晶して3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)を得た。得られた生成物をNMR分析することで、構造を確認した。
【化23】
繰り返し反応を行うことにより、実施例での必要量を確保した。
【0057】
<参考例2>
2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ヘキサン−1−オール(式[VII])の合成
【化24】
【0058】
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパナール(ヒドロキシピバルアルデヒド、三菱瓦斯化学株式会社製、純度99.8%)73.6g、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製試薬)111.8g、ベンゼン705gと粒状ナフィオン(商品名「NR−50」、シグマアルドリッチ社製)3.0gとを2Lの丸底フラスコに入れ、常圧下で生成する水をベンゼンと共沸させながら、ディーン・スターク装置を用いて系外に抜き出して水の留出が止まるまで反応させた。ろ過、濃縮後、減圧蒸留することにより、2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールを得た。
500mLのSUS製反応器内に、参考例1のA触媒6.0g、2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール24.0g、及び1,4−ジオキサン240gを入れ、反応器内を窒素ガスで置換した。その後、反応器内に水素ガスを8.5MPa充填し、反応温度である230℃へ昇温して、反応器内圧を13MPaに維持しつつ5時間反応させた。その後に冷却して反応器の内容物をろ過して触媒を分離した後に、減圧蒸留精製することにより、目的物を得た。得られた生成物をNMR分析することで、構造を確認した。
【化25】
繰り返し反応を行うことにより、実施例での必要量を確保した。
【0059】
<参考例3>
2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ブタン−1−オール(式[VIII])の合成
【化26】
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールに代えて2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製試薬)を用いた以外は参考例1と同様にしてアセタール化反応、精製を行い、2−(5,5−ジエチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの結晶を得た。
2−(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オールに代えて2−(5,5−ジエチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オール用いた以外は参考例2と同様に水素化還元反応、精製を行い、目的物を得た。生成物をNMR分析することで、構造を確認した。
【化27】
繰り返し反応を行うことにより、実施例での必要量を確保した。
【0060】
<参考例4>
2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)−2−メチルペンタン−1−オール(式[IX])の合成
【化28】
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールに代えて2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製試薬)用いた以外は参考例2と同様にアセタール化合物の合成および水素化還元反応、精製を行い、目的物を得た。生成物をNMR分析することで、構造を確認した。
【化29】
繰り返し反応を行うことにより、実施例での必要量を確保した。
【0061】
<実施例1>
攪拌翼、コールドトラップ、温度計、加熱装置および窒素ガス導入管を備えた内容積1.6Lの反応缶に炭酸ジフェニル(三菱化学株式会社製)321.3g(1.50mol)および参考例1で得た3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)371.1g(1.95mol)、酢酸マグネシウム四水和物(和光純薬工業株式会社製試薬)6.4mg(0.02mmol)を仕込み、窒素置換後、窒素雰囲気下で徐々に温度を上げながら190℃で1時間エステル交換反応を行った後、減圧を開始し、徐々に圧力を下げながら温度を上げつつ80〜27kPa、190℃〜205℃でフェノールを系外に抜き出し、4時間反応を行った。その後、更にフェノールおよびジオール成分を系外に抜き出しつつ、最終的に220℃、1.2kPaまで2時間で昇温と減圧を徐々に行った。留出液量より分子量を判断し、目標分子量となった時点で反応を終了し、ポリカーボネート(1)を得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0062】
<実施例2>
実施例1と同様な操作を行った後、更に反応を継続した。圧力0.1kPa、220〜265℃で13時間反応を行い、粘度が上昇した時点で反応を終了し、ポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0063】
<実施例3>
原料ジオールとして参考例2で得た2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ヘキサン−1−オールを使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネート(2)を得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0064】
<実施例4>
原料ジオールとして参考例3で得た2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ブタン−1−オールを使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0065】
<実施例5>
原料ジオールとして参考例4で得た2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)−2−メチルペンタン−1−オールを使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0066】
<実施例6>
原料ジオールとして3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)と1,6−ヘキサンジオールの混合物(モル比74/26)を使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネート(3)を得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0067】
<実施例7>
原料ジオールとして3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)と1,6−ヘキサンジオールの混合物(モル比53/47)を使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0068】
<実施例8>
原料ジオールとして3,3’−オキシビス(2,2−ジメチルプロパン−1−オール)と2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ヘキサン−1−オールの混合物(モル比78/22)を使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0069】
<実施例9>
原料ジオールとして2−エチル−2−((3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)メチル)ヘキサン−1−オールと1,6−ヘキサンジオールの混合物(モル比20/80)を使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0070】
<比較例1>
原料ジオールとして1,6−ヘキサンジオールを使用した以外は実施例1 と同様な方法でポリカーボネート(4)を得た。得られたポリカーボネートの性状、物性を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
上述のとおり、水酸基価とMnの測定値から算出されるポリカーボネート1分子あたりのOH基の数Pは、1.95以上であった。ポリカーボネート1分子あたりの末端OH基の数の理論値の最大数は2であることから、97.5%以上の末端基が水酸基であることが分かった。
また、式[I]で表される繰り返し単位のR
1及びR
2の組合せとR
3及びR
4の組合せが異なる組合せである、実施例3〜5では、結晶化が確認されず、さらに、実施例3〜9のポリカーボネートは常温(例えば、25℃)で液状であり、用途によっては、より好ましい実施例である。
【0073】
<比較例3>
原料ジオールとして、ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様な方法でポリカーボネートを合成した。
得られたカーボネートは、上記に記載の方法(NMR)で測定した数平均分子量は約1370であったが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法、溶媒にはテトラヒドロフランを使用し、RI検出器にて測定。標準ポリスチレンにて検量)を用いて分子量を測定したところ、約670であった。また、得られたカーボネート中には、環状のカーボネート体が確認された。
【0074】
一方、実施例1〜9のポリカーボネートについて上記と同様にGPC法にて数平均分子量を測定したところ、NMRから算出された数平均分子量とほぼ同等であった。
この結果について、ネオペンチルグリコールをジオール成分として用いると、重縮合中に安定な環状構造のカーボネート体生成に消費され、生成物中の望む直鎖状ポリカーボネートの割合が減ってしまったことが推測された。
【0075】
(ポリウレタンの合成)
<実施例10>
攪拌翼、窒素ガス導入管を備えた500mlフラスコに実施例1で得られたポリカーボネート(1)142.4gを仕込み、80℃、減圧下で2時間、水分を除いた後、4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル57.6gを添加し2時間、反応を行い、プレポリマーを作製した。その後、鎖延長剤として1,4−ブタンジオール10.1gを添加し、粘度が上がったところで数分後に取り出した。得られた生成物約200gをブラベンダー社製ミキサー(商品名:プラスチコーダラボステーション)に仕込み、160℃、30rpmで10分間混練した。得られたポリウレタンを、有限会社東邦プレス製作所製油圧式成形機を使用してプレス成形を行い、シート状とし、その後切削加工を行い、試験片を作製した。得られた試験片の評価結果を表2に示す。
【0076】
<実施例11>
ポリカーボネート(1)の代わりに実施例3で得られたポリカーボネート(2)を用いた以外は実施例10と同様な方法でポリウレタンを作製した。得られたポリウレタンの評価結果を表2に示す。
【0077】
<実施例12>
ポリカーボネート(1)の代わりに実施例6で得られたポリカーボネート(3)を用いた以外は実施例10と同様な方法でポリウレタンを作製した。得られたポリウレタンの評価結果を表2に示す。
【0078】
<比較例2>
ポリカーボネート(1)の代わりに比較例1で得られたポリカーボネート(4)を用いた以外は実施例10と同様な方法でポリウレタンを作製した。得られたポリウレタンの評価結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
本発明のポリカーボネートから得られるポリウレタンは、耐候性試験における引張破壊応力の保持率が高くかつ着色が小さく、また、耐熱老化性試験における着色が小さく、比較例に比べ、耐候性、耐熱老化性が優れていることが分かった。特に、実施例10と実施例11の比較から、式[I]で表される繰り返し単位のR
1及びR
2の組合せとR
3及びR
4の組合せが異なる組合せであることにより、より高い耐候性(特に、色調)および耐熱老化性を達成できることが分かった。