(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第一実施形態
1−1.梯子の概略構成
第一実施形態に係る梯子について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る梯子は、装置や設備等に設置される。このような梯子が設置される設備等では、作業員が梯子を昇り降りすることで、梯子無しでは点検できない箇所についても点検できるようになっている。本実施形態では、
図1に示すように、梯子1が設置される設備等として、自動倉庫90を例に説明する。ただし、以下の説明は単なる例示に過ぎず、以下の説明によって本発明の権利範囲が限定されるものではない。
【0011】
自動倉庫90は、物品92の入庫及び出庫、並びに保管等を、搬送装置等によって自動で行う倉庫である。自動倉庫90は棚93を備えており、棚93には、複数の物品92が、上下方向及び棚93の延在方向に並んで保管されている。棚93における、棚93に対して物品92を出し入れする側には、棚93の延在方向に沿って延びるレール94が設けられている。レール94は、上下方向に離間して一対設けられており、自動倉庫90には、一対のレール94に沿って移動するスタッカークレーン95が備えられている。スタッカークレーン95は、一対のレール94の間において上下方向に沿って配置されるマスト96と、当該マスト96に沿って昇降する移載部97と、を備えている。スタッカークレーン95は、一対のレール94に沿って移動することで棚93の延在方向に物品92を搬送でき、移載部97がマスト96に沿って昇降することで上下方向に物品92を搬送できる。
【0012】
梯子1は、取付対象箇所Sとしてのマスト96に取り付けられる。これにより、例えば、移載部97が、昇降中に故障等によって作業員が目視できない高い場所で停止した場合には、作業員が梯子1を昇って移載部97を点検することができる。また、例えば、棚93の上部で何らかの異常が発生した場合には、作業員は、梯子1を利用して異常箇所の確認を行うことができる。
【0013】
図2に示すように、梯子1は、互いに平行に、かつ、幅方向Xに互いに離間して配置された一対の支柱2と、一対の支柱2の幅方向Xの間において、互いに平行に、かつ、支柱2の長さ方向に沿う方向である支柱長さ方向Zに互いに離間して配置された複数の踏桟3と、を備えている。
図2及び
図4に示すように、幅方向Xにおける踏桟3の両端部34のそれぞれが、締結具としてのリベット100によって支柱2に固定されている。本明細書では、図中にXで示す方向を幅方向Xとし、幅方向Xにおける一方側を幅方向第一側X1とすると共に他方側を幅方向第二側X2とする。また、図中にZで示す方向を支柱長さ方向Zとし、支柱長さ方向Zにおける一方側を支柱長さ方向第一側Z1とすると共に他方側を支柱長さ方向第二側Z2とする。なお、本実施形態では、梯子1が上下方向に延びるマスト96に沿って配置されている構成を例として説明するため、支柱長さ方向Zは、上下方向に一致している。そして、図中にYで示す方向を、前後方向Yとし、前後方向Yにおける一方側を前側Y2とすると共に他方側を後側Y1とする。なお、本実施形態では、前後方向Yは、レール94に沿う方向であり、前述した棚93の延在方向に一致している。
【0014】
図1及び
図2に示すように、梯子1は、一対の支柱2を取付対象箇所Sに取り付けるための支柱取付部材4と、一対の支柱2及び複数の踏桟3が配置される配置面から離間して、当該配置面に沿って配置される背かご6と、を備えている。本実施形態では、取付対象箇所Sは、マスト96である。一対の支柱2がマスト96(S)に取り付けられることで、前述したように、作業者はスタッカークレーン95の高い場所まで梯子1を利用して昇ることができ、その場所の点検を行うことができる。また、作業員が梯子1を昇る際には、背かご6によって梯子1からの作業員の転落が抑制される。ここで、一対の支柱2及び複数の踏桟3が配置される配置面とは、
図2を参照して説明すると、支柱長さ方向Zに沿う軸及び幅方向Xに沿う軸によって形成される仮想的な面であって、一対の支柱2及び複数の踏桟3を含む面である。背かご6は、支柱2に固定されると共に、当該配置面から後側Y1に離間した位置まで延在している。例えば、作業員が梯子1を昇り降りしている途中にバランスを崩して後側Y1に倒れそうになった時には、背かご6は、当該配置面から後側Y1に離間した位置において作業員を支持する。これにより背かご6は、作業員の転落を抑制する。
【0015】
ここで一般的に、梯子には、作業員の安全性が考慮された使用耐用年数が設定されている。しかし、使用耐用年数を超えるとリベット部分の摩耗や腐食等が進行し、このような状態で梯子が使用されると、踏桟と支柱との連結が外れて踏桟が支柱から脱落する虞がある。そこで、本実施形態に係る梯子1は、一対の支柱2のそれぞれに取り付けられた脱落規制部材5を更に備えており、この脱落規制部材5によって踏桟3の脱落を規制する。脱落規制部材5は、支柱長さ方向Zで隣り合う踏桟3同士の間に配置され、当該脱落規制部材5に対して支柱長さ方向第一側Z1(上側)に位置する踏桟3を支柱長さ方向第二側Z2(下側)から支持するように構成されている。これにより、リベット100の連結が外れた場合であっても、当該踏桟3を支柱長さ方向Zに支持することができる。また、後述するように、踏桟3の両端部34が幅方向Xの両側のそれぞれの支柱2の第一凹溝21に挿入されているから、幅方向X及び前後方向Yにも、踏桟3が動くことを規制できる。従って、本実施形態によれば、踏桟3が支柱長さ方向Zに脱落するのを規制できる。
【0016】
1−2.支柱の構成
次に、支柱2の構成について説明する。
図2及び
図4に示すように、一対の支柱2のそれぞれは、幅方向Xの内側を向いて互いに対向する部分に、支柱長さ方向Zに沿って延びる第一凹溝21を有している。この第一凹溝21が「凹溝」に相当する。
図4に示すように、第一凹溝21は、支柱長さ方向Zから見て角ばったU字状に形成されており、一対の支柱2にそれぞれ形成される第一凹溝21は、開放部分が互いに対向するように配置されている。第一凹溝21は、前後方向Yに沿う単壁部21Aと、幅方向Xに沿う一対の対向壁部21Bと、を有している。一対の対向壁部21Bは、前後方向Yで互いに対向するように配置されている。これら単壁部21A及び一対の対向壁部21Bは、支柱長さ方向Zに沿って延びるように形成されている。これにより、第一凹溝21は、支柱長さ方向Zの全域において同じ断面形状となっている。後述するように、第一凹溝21には踏桟3の端部34が挿入され、踏桟3は、第一凹溝21においてリベット100により支柱2と連結する。そのため、第一凹溝21の一対の対向壁部21Bのそれぞれには、リベット貫通孔24が前後方向Yに貫通して形成されている。
【0017】
一対の支柱2のそれぞれは、互いに対向する側とは反対側である幅方向Xの外側の部分に、支柱長さ方向Zに沿って延びる第二凹溝22を有している。
図4に示すように、第二凹溝22は、支柱長さ方向Zから見てT字状に形成されており、一対の支柱2にそれぞれ形成される第二凹溝22は、開放部分が互いに反対側を向くように配置されている。第二凹溝22では、支柱取付部材4、背かご6、及び脱落規制部材5が固定される(
図2参照)。これらは、ボルト等の締結具によって第二凹溝22に固定される。
【0018】
図4に示すように、第二凹溝22は、締結具が挿入される挿入部22Aと、挿入された締結具が抜けることを規制する抜け止め部22Bと、を有している。挿入部22Aに挿入される締結具としては、頭部が少なくとも互いに反対方向を向く平行な2つの平面を有する形状とされたTボルト104を用いると好適である。Tボルト104は、例えば回転軸方向視で矩形状に形成された頭部104Aと、雄ねじが形成された胴部104Bと、を有している(
図3も参照)。Tボルト104の頭部104Aを第二凹溝22の挿入部22Aに挿入した状態での当該頭部104Aの前後方向Yの長さは、挿入部22Aの前後方向Yの長さよりも僅かに小さく(
図4参照)、矩形状の頭部104Aの対角線の長さが挿入部22Aの前後方向Yの長さよりも長い。これにより、頭部104Aが挿入部22Aに挿入された状態では、Tボルト104の回転が規制されて回り止めとなり、挿入部22Aから突出した胴部104Bにナット102をねじ回して取り付けることが可能となっている。
【0019】
また、
図4に示すように、一対の支柱2のそれぞれは、脱落規制部材5が支柱2に取り付けられた際に、後述する脱落規制部材5の当接面56が当接する被当接面23を有している。被当接面23は、一対の支柱2のそれぞれにおける互いに対向する側とは反対側である幅方向Xの外側の部分に形成されており、第二凹溝22の幅方向Xにおける開口付近に形成されている。また、
図2に示すように、被当接面23は、前後方向Y及び支柱長さ方向Zに沿って形成されている。
【0020】
1−3.踏桟の構成
次に、踏桟3の構成について説明する。
図2及び
図4に示すように、踏桟3は、支柱2に対して直交する姿勢(幅方向Xに沿う姿勢)で、支柱長さ方向Zにおいて等間隔に複数配置されている。踏桟3は、内部が空洞となっており、梯子1の昇り降りの際に作業員の足が載せられる載置面31と、載置面31に対向する底面32と、載置面31と底面32とを繋ぐ一対の側壁33と、を有している。踏桟3の両端部34のそれぞれが、幅方向Xの両側のそれぞれの支柱2の第一凹溝21に挿入され、当該端部34が第一凹溝21に連結することで、踏桟3が支柱2に対して取り付けられる。本実施形態では、側壁33における、両端部34のそれぞれに対応する位置に、リベット貫通孔35が前後方向Yに貫通して形成されている。踏桟3を取り付ける際には、踏桟3の端部34を第一凹溝21に挿入した後、第一凹溝21に形成されたリベット貫通孔24と踏桟3の側壁33に形成されたリベット貫通孔35とを合わせて、双方のリベット貫通孔24,35に前後方向Yからリベット100を挿入する。これにより、踏桟3が支柱2に取り付けられる。
【0021】
1−4.支柱取付部材の構成
次に、支柱取付部材4の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、支柱取付部材4は、梯子1を取付対象箇所Sとしてのマスト96に取り付けるためのものである。支柱取付部材4は、一対の支柱2及び複数の踏桟3が配置される配置面において支柱2に固定されると共に、当該配置面から前側Y2に離間した位置においてマスト96(S)に取り付けられる。
【0022】
支柱取付部材4は、支柱長さ方向Zから見て角ばったU字状に形成されており、支柱2の第二凹溝22の第一特定箇所P1に固定される取付部材固定部41と、マスト96(S)に取り付けられる取付部材取付部42と、を備えている。この第一特定箇所P1が「特定箇所」に相当する。取付部材固定部41が固定される第二凹溝22の第一特定箇所P1は、第二凹溝22が延在する支柱長さ方向Zのいずれの箇所に設定されていても良い。本実施形態では、第二凹溝22には、支柱取付部材4と背かご6と脱落規制部材5とが固定されるが、梯子1をマスト96(S)に取り付けるには支柱取付部材4が必要であるため、支柱取付部材4の取付部材固定部41が固定される第一特定箇所P1が、第二凹溝22において優先的に設定される。取付部材固定部41は、締結具としてのTボルト104によって第一特定箇所P1に固定されている。
【0023】
取付部材取付部42は、幅方向Xに沿って延びる板状に形成されている。取付部材固定部41は、取付部材取付部42における幅方向Xの両端部のそれぞれから後側Y1に沿って延びる板状に形成されている。取付部材固定部41が支柱2の第二凹溝22で固定されることにより、支柱取付部材4が支柱2と連結し、取付部材取付部42がボルト等によってマスト96(S)に固定されることにより、支柱取付部材4がマスト96(S)に取り付けられる。
【0024】
1−5.背かごの構成
次に、背かご6の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、背かご6は、一対の支柱2及び複数の踏桟3が配置される配置面において支柱2に固定されると共に、当該配置面から後側Y1に離間した位置まで延在している。背かご6は、一対の支柱2及び複数の踏桟3が配置される配置面から後側Y1に離間した位置において作業員を支持可能であり、これにより、作業員の転落を抑制する。背かご6は、支柱長さ方向Zから見てU字状の安全バー62と、支柱2の第二凹溝22に固定される背かご固定部61と、を備えている。背かご固定部61は、一対の支柱2のそれぞれに対して一対備えられており、第二凹溝22における第二特定箇所P2に固定されている。背かご固定部61が固定される第二特定箇所P2は、取付部材固定部41が固定される第一特定箇所P1の次に優先的に設定され、第二凹溝22が延在する支柱長さ方向Zにおける第一特定箇所P1以外の箇所に設定される。背かご固定部61は、締結具としてのTボルト104によって第二特定箇所P2に固定されている。
【0025】
1−6.脱落規制部材の構成
次に、脱落規制部材5の構成について説明する。
脱落規制部材5は、支柱2に取り付けられており、支柱2に取り付けられた踏桟3の脱落を規制する。脱落規制部材5は、支柱長さ方向Zに隣り合う踏桟3同士の間に配置される規制体部51を備えている。
図2及び
図4に示すように、規制体部51は、踏桟3に対して支柱長さ方向第二側Z2(下側)に配置されると共に、支柱長さ方向Zから見て踏桟3と重複するように配置されている。規制体部51は、支柱長さ方向Zに隣り合う踏桟3同士の間隔に応じた支柱長さ方向Zの長さを有すると共に、規制体部51の支柱長さ方向Zの両端部である第一規制端部52及び第二規制端部53が、支柱長さ方向Zに隣接する踏桟3のそれぞれに対向するように配置されている。より具体的には、規制体部51は、支柱長さ方向Zにおける踏桟3との隙間が、第一凹溝21の対向壁部21Bの幅方向Xの長さよりも短くなるように配置されている。この構成によれば、踏桟3の片方の端部34の連結が外れて踏桟3が斜めの状態となっても、連結が外れた端部34は、規制体部51と対向壁部21Bとによりそれ以上の移動が規制される。従って、踏桟3が第一凹溝21から外れて脱落することがない。本実施形態では、
図2及び
図4に示すように、規制体部51は、前後方向Y及び支柱長さ方向Zに沿って延びる板状に形成されている。
【0026】
また、
図4に示すように、脱落規制部材5は、規制体部51から幅方向Xの外側に向かって延びる延出部54と、延出部54に連続して形成されると共に支柱2の第二凹溝22に固定される規制部材固定部55と、を備えている。延出部54は、規制体部51における前側Y2の端部及び規制部材固定部55における前側Y2の端部において、これら規制体部51と規制部材固定部55とを繋ぐ部分である。規制部材固定部55は、後側Y1に沿って延びるように形成されており、幅方向Xから見て支柱2の第二凹溝22と重複するように配置されている。
【0027】
図2に示すように、脱落規制部材5は、支柱取付部材4と干渉しないように配置されている。本実施形態では、脱落規制部材5は、締結具としてのTボルト104によって、第二凹溝22における第一特定箇所P1以外の箇所に固定されている。更に、脱落規制部材5は、背かご6とも干渉しないように配置されている。すなわち本実施形態では、脱落規制部材5は、第二凹溝22における第一特定箇所P1及び第二特定箇所P2以外の箇所に固定されている。本実施形態に係る梯子1は、支柱2に対して支柱取付部材4及び背かご6の双方が取り付けられる構成でありながらも、これら支柱取付部材4及び背かご6に干渉することなく支柱2に対して脱落規制部材5を取り付け可能に構成されている。
【0028】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、脱落規制部材5は、支柱長さ方向Zにおける踏桟3の移動を規制するための規制体CMと、当該脱落規制部材5を支柱2に固定するための固定体FMと、別部材として有する分割構造となっている。規制体CMと固定体FMとは、締結具により互いに連結されることで、脱落規制部材5として機能する。本実施形態では、1つの規制体CMに対して、当該規制体CMの支柱長さ方向Zにおける両端部のそれぞれに、固定体FMが連結している。
【0029】
規制体CMは、支柱長さ方向Zに沿って延びる板状部材を屈曲形成することにより支柱長さ方向Zから見てL字状に形成されており、前後方向Yに沿う面と、幅方向Xに沿う面と、を有する。規制体CMの幅方向Xに沿う面には、支柱長さ方向Zに沿って等間隔に並んで配置される複数の位置調整孔AHが、前後方向Yに貫通して形成されている(
図3参照)。
【0030】
固定体FMは、複数の位置調整孔AHが配置される間隔に対応する長さの板状部材を屈曲形成することにより支柱長さ方向Zから見てL字状に形成されており、前後方向Yに沿う面と、幅方向Xに沿う面と、を有する。固定体FMの幅方向Xに沿う面には、1つの連結孔LHが前後方向Yに貫通して形成されている。
【0031】
規制体CMの幅方向Xに沿う面と固定体FMの幅方向Xに沿う面とが、前後方向Yに見て重複した状態で連結されることにより、規制体CMと固定体FMとが一体となる。より具体的には、規制体CMの幅方向Xに沿う面に形成された複数の位置調整孔AHのうちいずれかと、固定体FMの幅方向Xに沿う面に形成された連結孔LHと、が重なった状態で、位置調整孔AH及び連結孔LHにボルト101が貫通し、ボルト101の先端側からナット102を締結することで、規制体CMと固定体FMとが一体となる。
【0032】
固定体FMを第二凹溝22に固定するには、
図3に示すように、まず、第二凹溝22の挿入部22Aにおける支柱長さ方向Zの一方側の端の開放部からTボルト104の頭部104Aを挿入する。そして、Tボルト104の頭部104Aを第二凹溝22に沿わせながら、Tボルト104を第二凹溝22における第一特定箇所P1及び第二特定箇所P2以外の箇所まで移動させる。その後は、Tボルト104の胴部104Bを、固定体FMの前後方向Yに沿う面に形成された固定孔FHに通して、幅方向Xにおける外側からナット102を締結する。前述したように、Tボルト104は第二凹溝22の挿入部22Aに挿入された状態で回り止めされるため、幅方向Xの外側からのナット102の締結が容易となっている。ナット102をねじ込んでいくと、
図4に示すように、固定体FMにおける幅方向Xの内側に形成された当接面56が、支柱2における幅方向Xの外側に形成された被当接面23に当接する。これにより、Tボルト104に対してナット102を強固にねじ込むことができ、支柱2に対して固定体FMを強固に固定することができる。
【0033】
脱落規制部材5の固定体FMは、第二凹溝22における第一特定箇所P1及び第二特定箇所P2を避けた位置で固定される。本実施形態では、脱落規制部材5は、規制体CMと固定体FMとを別部材とした分割構造となっており、規制体CMには、固定体FMとの連結部分である位置調整孔AHが支柱長さ方向Zに沿って等間隔に並んで複数形成されている。そのため、固定体FMの固定箇所は、複数の位置調整孔AHのうちから任意に設定することができる。言い換えれば、第二凹溝22における第一特定箇所P1及び第二特定箇所P2を避けた位置を、固定体FMの固定箇所として設定することができる。これにより、支柱取付部材4、背かご6及び脱落規制部材5を、互いに干渉しないように配置することができる。
【0034】
2.その他の実施形態
次に、梯子のその他の実施形態について説明する。
【0035】
(1)上記の実施形態では、脱落規制部材5は、規制体CMと固定体FMとを別部材とした分割構造である例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。脱落規制部材5は、一体構造であっても良い。この場合であっても、脱落規制部材5は、規制体部51、延出部54及び規制部材固定部55を備えて構成される。
【0036】
(2)上記の実施形態では、1つの規制体CMに対して、当該規制体CMの支柱長さ方向Zにおける両端部のそれぞれに、固定体FMが連結している例について説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。規制体CMに対して連結する固定体FMは、3つ以上であっても良く、或いは、1つであっても良い。
【0037】
(3)上記の実施形態では、規制体部51は、支柱長さ方向Zにおける踏桟3との隙間が、第一凹溝21の対向壁部21Bの幅方向Xの長さよりも短くなるように配置されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。規制体部51は、支柱長さ方向Zにおいて踏桟3との間に隙間を有さず接触するように配置されていても良い。
【0038】
(4)上記の実施形態では、第一凹溝21が支柱長さ方向Zから見て角ばったU字状に形成されている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。第一凹溝21は、踏桟3の側壁33と当接する対向壁部21Bを有していれば、その他の部分はどのような形状であっても良い。例えば、第一凹溝21は、第二凹溝22と同様のT字状に形成されていても良い。
【0039】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した梯子の概要について説明する。
【0040】
互いに平行に、かつ、幅方向に互いに離間して配置された一対の支柱と、前記一対の支柱の前記幅方向の間において、互いに平行に、かつ、前記支柱の長さ方向に沿う方向である支柱長さ方向に互いに離間して配置された複数の踏桟と、を備えた梯子であって、前記一対の支柱のそれぞれに取り付けられた脱落規制部材を更に備え、前記一対の支柱のそれぞれは、前記幅方向の内側を向いて互いに対向する部分に、前記支柱長さ方向に沿って延びる凹溝を有し、前記踏桟の両端部が、前記幅方向の両側のそれぞれの前記支柱の前記凹溝に挿入され、前記脱落規制部材は、前記支柱長さ方向に隣り合う前記踏桟同士の間に配置される規制体部を備え、前記規制体部は、前記支柱長さ方向に隣り合う前記踏桟同士の間隔に応じた前記支柱長さ方向の長さを有すると共に、前記規制体部の前記支柱長さ方向の両端部が、前記支柱長さ方向に隣接する前記踏桟のそれぞれに対向するように配置されている。
【0041】
本構成によれば、一対の支柱のそれぞれに取り付けられた脱落規制部材が、支柱長さ方向に隣り合う踏桟同士の間に配置される規制体部を備えており、この規制体部における支柱長さ方向の両端部が、支柱長さ方向に隣接する踏桟のそれぞれに対向している。そのため、脱落規制部材の規制体部によって踏桟を支柱長さ方向に支持して、当該踏桟が支柱長さ方向に動くことを規制できる。また、踏桟の両端部が幅方向の両側のそれぞれの支柱の凹溝に挿入されているから、支柱長さ方向に直交する方向にも、踏桟が動くことを規制できる。従って、踏桟が支柱長さ方向に脱落するのを規制できる。
【0042】
また、前記一対の支柱を取付対象場所に取り付けるための支柱取付部材を更に備え、前記脱落規制部材は、前記支柱取付部材と干渉しないように配置されていると好適である。
【0043】
本構成によれば、支柱取付部材を備えることにより、取付対象場所への取り付け及び取り外しが自在となり、施工性が向上する。また、脱落規制部材は支柱取付部材と干渉しないように配置されているから、脱落規制部材及び支柱取付部材の双方の機能を発揮し得る態様で、これらの双方を備えることができる。
【0044】
また、前記一対の支柱のそれぞれは、互いに対向する側とは反対側である前記幅方向の外側の部分に、前記支柱長さ方向に沿って延びる第二凹溝を有し、前記脱落規制部材は、前記規制体部から前記幅方向の外側に向かって延びる延出部と、前記延出部に連続して形成されると共に前記第二凹溝に固定される規制部材固定部と、を備えていると好適である。
【0045】
本構成によれば、幅方向の外側に向かって延びる延出部に連続して形成される規制部材固定部が支柱の第二凹溝に固定されることで、脱落規制部材が支柱に適切に取り付けられる。また、第二凹溝は支柱長さ方向に沿って延びているため、第二凹溝における規制部材固定部の固定箇所を、支柱長さ方向において選択できる。従って、他の部材との干渉を避けつつ、容易に規制部材固定部を第二凹溝に固定することができる。
【0046】
また、前記一対の支柱を取付対象場所に取り付けるための支柱取付部材を更に備え、前記支柱取付部材は、前記第二凹溝の特定箇所に固定される取付部材固定部を備え、前記脱落規制部材は、前記第二凹溝における前記特定箇所以外の箇所に固定されていると好適である。
【0047】
本構成によれば、支柱取付部材の取付部材固定部と脱落規制部材の規制部材固定部とが、互いに干渉することなく第二凹溝に固定される。従って、支柱取付部材及び脱落規制部材が、互いの取り付けを阻害し合うことなく、支柱に取り付けられる。
【0048】
また、前記一対の支柱及び前記複数の踏桟が配置される配置面から離間して、当該配置面に沿って配置される背かごを更に備え、前記背かごは、前記支柱に固定され、前記脱落規制部材は、前記背かごと干渉しないように配置されていると好適である。
【0049】
本構成によれば、背かごを備えることにより、梯子の使用者が昇り降りする際に当該使用者が転落することを抑制できる。また、脱落規制部材は背かごと干渉しないように配置されているから、脱落規制部材及び背かごの双方の機能を発揮し得る態様で、これらの双方を備えることができる。
【0050】
また、自動倉庫は、上記各構成のうちいずれかの構成に係る梯子が取り付けられたスタッカークレーンと、複数の物品が保管される棚と、を備える。
【0051】
本構成によれば、自動倉庫において、スタッカークレーンの点検や棚の点検等を行う際に、踏桟の脱落の規制が図られた梯子を用いて、安全に作業できる。