(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視において前記被覆部材の外縁の少なくとも一部は前記基板の外縁と一致し、該一致する外縁に配置される前記アンダーフィルの膜厚は10μm以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、平面図と対応する断面図とで、各部材の寸法や配置位置が厳密には一致しないことがある。更に以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0011】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置の構成について、
図1A〜
図1Dを参照して説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す斜視図である。
図1Bは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図1Cは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、
図1BのIC−IC線における断面を示す。
図1Dは、第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、
図1BのID−ID線における断面を示す。
【0012】
第1実施形態に係る発光装置100は、平面視で略矩形である平板状の実装基板1と、実装基板1の上面側に実装された平面視形状が略矩形である4個の発光素子2と、各発光素子2の上面に設けられた平面視形状が略矩形である4個の透光性部材3と、実装基板1の上面に設けられ、発光素子2及び透光性部材3の側面を被覆する被覆部材8と、を主として備えている。発光装置100は、外形形状が略直方体であり、実装基板1の上面の一部に、被覆部材8が設けられていない領域があり、当該領域に外部電源と接続するための端子である外部接続部12aが設けられている。
平面視において、略矩形形状の被覆部材8の外縁部には、当該矩形形状の一辺に第1凸状部材61が配置され、他の三辺に第2凸状部材62が配置されている。つまり、
図1Bにおいて、略矩形状の被覆部材8の外縁の下辺に第1凸状部材61が配置され、上辺に第2凸状部材62a、右辺及び左辺に第2凸状部材62bが配置されている。被覆部材8は、遮光性材料、好ましくは光反射性樹脂を用いて形成され、透光性部材3の上面が発光装置100の光取り出し面(つまり、発光装置100の発光面)となっている。
第1実施形態に係る発光装置100は、複数の発光素子2を備え、更に複数の発光素子2の上面のそれぞれに、透光性部材3を1個ずつ備える。つまり、発光装置100は、複数の発光面を備えており、平面視において複数の透光性部材3間には被覆部材8が配置されている。これにより、複数の発光素子2を個別に点灯した際に隣接する発光面間における光漏れを抑制することができる。
以下、各部材について詳細に説明する。
【0013】
(実装基板)
実装基板1は、平板状の支持部材11と、支持部材11の上面に配置された配線12と、を備えて構成されており、発光素子2及び保護素子4を実装し、所定の電気回路が構成されるように配線12が配置されている。配線12は、一部が被覆部材8から露出しており、当該露出部が外部と接続するための端子である外部接続部12aとなっている。本実施形態では、5個の外部接続部12aが設けられており、これらの外部接続部12aに印加する電圧を制御することで、実装基板1に実装される4個の発光素子2を個別に駆動可能なように配線12が構成されている。
【0014】
支持部材11は、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子2から放出される光や外光などが透過しにくい材料を用いることが好ましい。また、ある程度の強度を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどのセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)などの樹脂が挙げられる。また、支持部材11の上面は、少なくとも発光素子2を実装する領域は良好な光反射性を有することが好ましく、例えば、Ag、Alなどの金属や、白色顔料を含有した白色樹脂などを用いた光反射層を設けるようにしてもよい。
配線12は、支持部材11の上面に設けられ、例えば、Cu,Ag,Au,Al,Pt,Ti,W,Pd,Fe,Niなどの金属又はその合金などを用いて形成することができる。このような配線12は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。また、例えば、発光素子2の実装にAuバンプを用いる場合、配線の最表面にAuを用いることで、発光素子との接合性が向上する。
【0015】
なお、実装基板1に実装される発光素子2の個数は1個以上であればよい。また、配線12は、複数個の発光素子2を実装する場合であっても、例えば、一対の配線パターンとして2個の外部接続部12aを備え、当該2個の外部接続部12a間に複数の発光素子2を直列接続又は並列接続されるような配線としてもよい。
【0016】
(発光素子)
発光素子2は、例えば、平面視形状が略矩形であり、透光性基板と、半導体積層体とを含み、半導体積層体の表面に、一対の電極を備える。
発光素子2は同一面側に正負一対の電極を備えるものが好ましい。これにより、発光素子2を実装基板1にフリップチップ実装することができる。この場合、一対の電極が形成された面と対向する面が、発光素子の主な光取り出し面となる。また発光素子2が実装基板1にフェイスアップ実装される場合は、一対の電極が形成された面が発光素子の主な光取り出し面となる。
【0017】
発光素子2は、任意の波長の物を選択することができる。例えば、青色緑色の発光素子2としては、ZnSeや窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものが選択できる。また、赤色の発光素子2としては、GaAlAs、AlInGaP、で表される窒化物半導体を好適に用いることができる。更に、これら以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子2の組成や発光色、大きさや個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0018】
(透光性部材)
透光性部材3は、発光素子2の上面に、透光性を有する接合部材52を用いて接合されている。透光性部材3は、発光素子2から出射される光を透過して外部に取り出すことができる材料で構成されている。また、透光性部材3は、側面が被覆部材8で被覆されており、被覆部材8が遮光性を有する場合は、透光性部材3の上面が発光装置100の光取り出し面(発光面)となる。
本実施形態では、透光性部材3は、平面視で発光素子2よりも大きな略矩形であり、当該発光素子2が配置された領域を包含するように配置されている。また、透光性部材3は、上面側をレンズ形状としてもよいが、側面を覆う被覆部材8が這い上がりにくい板状であることが好ましい。板状の透光性部材3の上面にレンズを設けてもよい。また、透光性部材は、例えば、平面視で発光素子2よりも小さいものを用いてよい。
【0019】
透光性部材3は、光拡散材や、発光素子2から入射される光の少なくとも一部を異なる波長の光に変換する波長変換物質(例えば蛍光体)を含有していてもよい。波長変換物質を含有する透光性部材3としては、具体的には、蛍光体の焼結体や、YAGガラスのように、樹脂、ガラス、他の無機物などに蛍光体の粉末を含有させたものを挙げることができる。蛍光体の焼結体は、蛍光体だけを焼結して形成したものでもよいし、蛍光体と焼結助剤との混合物を焼結して形成したものでもよい。蛍光体と焼結助剤との混合物を焼結する場合、焼結助剤としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化チタンなどの無機材料を用いることが好ましい。これにより、発光素子2が高出力であったとしても、光や熱による焼結助剤の変色や変形を抑制することができる。
透光性部材3は、透明度が高いほど好ましい。透光性部材3の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能であるが、例えば、50〜300μm程度とすることができる。
【0020】
蛍光体としては、この分野で用いられる蛍光体を適宜に選択することができる。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4)、βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。白色に発光可能な発光装置100とする場合、透光性部材3に含有される蛍光体の種類、濃度によって白色となるよう調整される。透光性部材3に含有される蛍光体の濃度は、例えば、5〜50質量%程度である。
透光性部材3に含有させることができる光拡散材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを用いることができる。
【0021】
(保護素子)
発光装置100は発光素子2と異なる半導体素子(例えば保護素子)を備えていてもよい。保護素子4は、発光素子2を静電気放電から保護するために設けられている。保護素子4には、ツェナーダイオードを好適に用いることができる。保護素子4は、各発光素子2に対応して1個ずつ設けられているが、1個のみでもよく、発光装置の用途等によっては保護素子4を設けなくてもよい。
【0022】
保護素子4や、発光素子2を駆動制御するためのトランジスタなどの、発光素子2以外の他の半導体素子を実装基板1上に備える場合は、当該他の半導体素子を、発光素子2と、第1凸状部材61又は第2凸状部材62との間に配置することが好ましい。特に、透光性部材3と、第1凸状部材61又は第2凸状部材62との間が最も離れている箇所に配置することにより、被覆部材8を形成する際に、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料の液面の低下を、より効果的に抑制することができる。
【0023】
(接合部材)
接合部材51は、発光素子2を実装基板1の上面に設けられた配線12に、機械的及び電気的に接合するための導電性の部材である。
発光素子2を実装基板1にフリップチップ実装する場合、接合部材51として、ワイヤバンプやめっきバンプなど、Au,Ag,Cu,Alなどの金属材料からなる金属バンプを用いることができる。金属バンプは、発光素子2を実装基板1に接合する前に、予め発光素子2のn側電極及びp側電極と、又は各配線12と、接合するように設けておいてもよい。この場合は、超音波接合法によって、発光素子2を実装基板1に接合することができる。
また、接合部材51として、AuSn系合金、Sn系の鉛フリー半田などの半田を用いるようにしてもよい。この場合は、リフロー法によって、発光素子2を実装基板1に接合することができる。
また、接合部材51として、樹脂に導電性粒子を含有させた導電性接着剤を用いることもできる。
また、発光素子2を実装基板1にフェイスアップ実装する場合、発光素子2と実装基板1との接合に必ずしも導電性の部材を用いる必要はなく、発光素子2は、シリコーン樹脂などの透光性樹脂を用いて実装基板1上に接合することができる。この場合、発光素子2の一対の電極は、導電性ワイヤなどを用いて配線12に電気的に接合される。
【0024】
接合部材52は、発光素子2の上面に透光性部材3を接合するための部材である。接合部材52としては、透光性を有することが好ましく、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの有機接着剤、低融点ガラスなどの無機接着剤を用いることができる。また、接合部材52を、発光素子2の上面だけでなく、発光素子2の側面にも配置することで、発光素子2の側面から出射した光が、接合部材52を介して透光性部材3に入射されるため、光取り出し効率を向上させることができる。
なお、発光素子2と透光性部材3との接合は、圧着、焼結、水酸基接合法、表面活性化接合法、原子拡散結合法などの直接接合法などによる直接接合を採用してもよい。
【0025】
(第1凸状部材)
第1凸状部材61は、実装基板1の上面において、平面視で略矩形状に設けられた被覆部材8の矩形の一辺を構成している。具体的には、第1凸状部材61は、
図1Bにおいて、平面視で略矩形状に設けられた被覆部材8の下辺側に設けられている。
図1C及び
図1Dに示すように、第1凸状部材61は、第1凸状部材61の上端における高さ方向の位置H3が発光素子2の上面における高さ方向の位置H1よりも高く、かつ、第2凸状部材62の上端における高さ方向の位置H2よりも高くなるように形成されている。また、第1凸状部材61は、上端における高さ方向の位置H3が、透光性部材3の上面における高さ方向の位置H4よりも低くなる高さに形成されることが好ましい。第1凸状部材61をこのような構成とすることにより、第1凸状部材61と透光性部材3との間に被覆部材8を配置する際に、被覆部材8が透光性部材3の上面に乗り上げて光の出射を阻害することを抑制できる。
【0026】
第1凸状部材61は、樹脂材料を用いて形成することができる。樹脂材料としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、第1凸状部材61を形成する樹脂材料は、透明樹脂であってもよく、遮光性物質として、白色顔料などの光反射性物質を含有した白色樹脂又は黒色顔料などの光吸収性物質を含有した黒色樹脂を用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、第1凸状部材61は、後記する発光装置100の製造方法において、複数の実装基板1の集合体である集合基板上に、複数の発光素子2が配置され領域を囲むように配置される枠体の一部である。第1凸状部材61は、被覆部材8を形成する際に、未硬化の液状の樹脂材料の広がりを堰き止めるための枠体として用いられ、被覆部材8と密着して形成されている。
【0028】
(第2凸状部材)
第2凸状部材62は、
図1Bに示すように、実装基板1の上面において、平面視で略矩形形状に設けられた被覆部材8の、上辺側と、右辺及び左辺側とに設けられている。
図1C及び
図1Dに示すように、第2凸状部材62は、上端における高さ方向の位置H2が発光素子2の上面における高さ方向の位置H1よりも高く、かつ、第1凸状部材61の上端における高さ方向の位置H3よりも低くなるように形成されている。
また、第2凸状部材62の上端は、被覆部材8に被覆されており、かつ、第2凸状部材62は被覆部材8よりも硬質となるように形成されている。
第2凸状部材62に用いる樹脂を被覆部材8と異なる樹脂とするか、樹脂に含有させるフィラーの量を多くすることで、硬化前の第2凸状部材62の粘度を硬化前の被覆部材8の粘度よりも高くなるように調整する。これにより、硬化後の第2凸状部材62の硬度を、硬化後の被覆部材8の硬度よりも高くすることができる。
また、第2凸状部材62は、第1凸状部材61と同様に、前記した透明樹脂、白色樹脂又は黒色樹脂を用いることができる。
【0029】
なお、第2凸状部材62は、後記する発光装置100の製造方法において、複数の実装基板1の集合体である集合基板上に、前記した枠体として形成される第1凸状部材61の領域内の、発光装置100を区画する仮想線である境界線を介して隣接する発光素子2間に配置される。複数の発光装置100の境界線を介して隣接する発光素子2間に第2凸状部材62を配置することで、第2凸状部材62が配置されない場合と比べて、被覆部材8を形成する際に、液状である未硬化の樹脂材料の液面の低下を抑制することができる。また、第2凸状部材62の配置により、被覆部材8の上面の位置を高くすることができ、樹脂材料の硬化収縮によって生じる凹み(いわゆる「ひけ」)の発生を効果的に抑制することができる。また、発光装置100を個片化する際に、厚さ方向について切断されるべき被覆部材8の一部が、被覆部材8よりも硬質の第2凸状部材62に置き換えられるため、より安定した形状に切断することができる。
被覆部材8と第2凸状部材62の硬度は、例えば、被覆部材8と第2凸状部材62に樹脂材料を用いる場合、デュロメータタイプAにより測定されるショアA硬度の値、デュロメータタイプDにより測定されるショアD硬度の値を用いて比較することができる。例えば、硬化後の被覆部材8のショアA硬度はA50〜A65、硬化後の第2凸状部材62のショアA硬度はA70〜A85である。この場合、第2凸状部材62は被覆部材8よりも硬質であるといえる。
【0030】
(アンダーフィル)
アンダーフィル7は、実装基板1の上面と発光素子2の下面との間の空間に充填されるとともに、発光素子2の側面の一部を被覆する高さまで設けられている。アンダーフィル7は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの良好な透光性を有する樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させることで、光反射性を付与された白色樹脂を用いて形成することが好ましい。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーなどを好適に用いることができる。
【0031】
(被覆部材)
被覆部材8は、第1凸状部材61で囲まれた領域内に設けられ、発光素子2の側面及び透光性部材3の側面を被覆する部材である。被覆部材8は、発光素子2を封止して、発光素子2を外力、埃、ガスなどから保護するとともに、発光素子2などの耐熱性、耐候性、耐光性を良好なものとするために設けられている。
【0032】
また、被覆部材8は、遮光性を有することが好ましい。
被覆部材8が、遮光性として光反射性を有する場合は、発光素子2の側面及び透光性部材3の側面から出射する光を反射して、発光装置の発光面である透光性部材3の上面から出射させることができる。このため、発光装置100の光取り出し効率を高めることができる。
被覆部材8が、遮光性として光吸収性を有する場合は、発光素子2の側面及び透光性部材3の側面から出射する光を吸収して、発光面以外からの光取り出しを抑制することができる。このため、発光部(発光装置の発光面)と、非発光部(被覆部材8の上面)との輝度差が明確で発光色むらの少ない発光装置100とすることができる。
【0033】
なお、被覆部材8は、YAGガラスなどからなる透光性部材3の近傍では、これらの部材間の熱膨張率の差が大きいと、応力が生じてクラックが発生し易くなる。そのため、被覆部材8には、比較的低弾性で形状追従性に優れた軟質の樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
被覆部材8の材料としては、良好な透過性と絶縁性とを有する樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。また、母体となる樹脂に、前記したアンダーフィル7に用いられるのと同様の光反射性物質の粒子を分散させて白色樹脂とすることで、光反射性を付与することができる。また、母体となる樹脂に、カーボンブラックやグラファイトなどの光吸収性物質の粒子を分散させて黒色樹脂とすることで、光吸収性を付与することができる。
また、被覆部材8は、第1凸状部材61、第2凸状部材62及びアンダーフィル7、と同種の樹脂を用いることが好ましい。これらの部材と同種の樹脂を用いることによって、各部材同士の密着性を高めることができる。
【0035】
[発光装置の製造方法]
次に、第1実施形態に係る発光装置の製造方法について、
図2〜
図10Cを参照して説明する。
なお、
図3Aにおいて、配線12は、外部接続部12aのみを記載し、外部接続部12aから支持部材11上に延伸して設けられる配線パターンは省略している。
図3A〜
図10Cにおいて、複数の発光装置100の形成予定領域を区画する仮想線である境界線BD1,BD2,BD3を破線で示している。
図6及び
図9は、集合基板10上の一部の領域を抜粋して示すものである。
【0036】
本実施形態に係る発光装置の製造方法は、集合基板準備工程S11と、発光素子実装工程S12と、透光性部材配置工程S13と、凸状部材配置工程S14と、アンダーフィル形成工程S15と、被覆部材形成工程S16と、個片化工程S17と、を含んでいる。
また、凸状部材配置工程S14は、第1凸状部材配置工程S141と第2凸状部材配置工程S142とを含んでいる。
【0037】
集合基板準備工程S11は、複数の実装基板1が連続して形成された集合基板10を準備する工程である。集合基板10は、複数の発光装置分の面積を有する平板状の支持部材11上に、所定のパターンの配線12を形成することで製造することができる。
配線12は、Cu,Alなどの金属箔の貼付、Cu,Agなど金属粉のペーストの塗布、Cuなどのメッキなどによって形成することができる。また、配線12は、エッチング法や印刷法などによってパターニングすることができる。
【0038】
なお、集合基板準備工程S11は、集合基板10を前記したような方法で製造することに限定されず、購入などにより入手することも含むものである。
【0039】
発光素子実装工程S12は、集合基板10上に、複数の発光素子2を実装する工程である。本実施形態の発光素子2は、発光素子の電極に、予め接合部材51として金属バンプが設けられており、超音波接合法を用いて配線12上の所定の位置にフリップチップ実装する。また、本工程において、保護素子4も集合基板10上に実装する。
なお、実装方法は特に限定されず、例えば、接合部材51として半田ペーストを用い、リフロー法で発光素子2を実装してもよい。
【0040】
本実施形態では、境界線BD1、境界線BD2及び境界線BD3によって区画されている1個の発光装置の形成予定領域当たり、4個の発光素子2と4個の保護素子4とを実装する。ここで、境界線BD1,BD2は、発光装置の形成予定領域の長手方向を区画し、境界線BD3は、発光装置の形成予定領域の短手方向を区画する仮想線である。配線12の外部接続部12aの配置場所で示されるように、短手方向(
図3Aにおいて縦方向)に配列されている発光装置の形成予定領域は、1行ごとに上下方向の向きが交互に変わるように配置している。つまり、本実施形態において、発光装置の形成予定領域は、平面視で境界線BD2を対称軸として、略線対称となるように配置されている。このため、発光素子2は、境界線BD2を対称軸として略線対称となるように集合基板10上に配置される。
各発光装置の形成予定領域において、平面視形状が略正方形である4個の発光素子2は、短手方向の略中央部に、長手方向に一列に配列する。また、4個の保護素子4は、長手方向(
図3Aにおいて横方向)について各発光素子2の略中央であって、短手方向(
図3Aにおいて縦方向)について各発光素子2に対して外部接続部12aが設けられた側と反対側に配置する。
【0041】
透光性部材配置工程S13は、複数の発光素子2の上面に、発光装置ごとに少なくとも1つの透光性部材3を配置する工程である。透光性部材3は、透光性を有する樹脂などの接合部材を52用いて発光素子2と接合される。
なお、複数の発光素子2にそれぞれ透光性部材3を1個ずつ接合する場合には、発光素子実装工程S12と、透光性部材配置工程S13とを、それぞれ所定数の発光素子2と透光性部材3とが実装されるまで交互に行うことができる。すなわち、1個の発光素子2を実装するごとに、当該発光素子2の上面に透光性部材3を接合するようにしてもよい。これによって、発光素子2を実装してから透光性部材3が接合されるまでの間の時間を短くでき、発光素子2の上面にゴミなどの不純物が混入するおそれを低減することができる。
【0042】
凸状部材配置工程S14は、集合基板10上の所定の領域に、第1凸状部材61及び第2凸状部材62を配置する工程である。本工程には、第1凸状部材配置工程S141と第2凸状部材配置工程S142とが含まれるが、1つの集合基板10上に複数の第1凸状部材61を配置する場合は、第1凸状部材配置工程S141と、第2凸状部材配置工程S142とを交互に行うようにしてもよい。
【0043】
第1凸状部材配置工程S141は、集合基板10の上面において、集合基板10上に配置された複数の発光素子2を囲む第1凸状部材61を配置する工程である。第1凸状部材61は、発光素子2が配置された領域の外縁を囲むように、集合基板10の上面に配置される。
第1凸状部材61は、被覆部材形成工程S16において、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を供給する際に、集合基板10の上面において当該樹脂材料の広がりを堰き止めるための外枠として設けられるものである。
【0044】
実装基板1の上面を基準として、第1凸状部材61は、上端が、発光素子2の上面よりも高く、また、第2凸状部材62の上端よりも高くなるように形成される。これによって、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を第1凸状部材61に囲まれた領域内に供給する際に、樹脂材料の液面が発光素子2の上面よりも高くなるように充填することができる。
また、実装基板1の上面を基準として、第1凸状部材61は、上端が透光性部材3の上面よりも低くなるように形成することが好ましい。これによって、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を供給する際に、樹脂材料が透光性部材3の上面に乗り上げて光の出射を阻害することを抑制できる。また第1凸状部材61を透光性部材3の上面よりも低くすることで、透光性部材3の上面から出射された光が被覆部材8の上面で反射されることによる輝度むらの発生を抑制することができる。
【0045】
第1凸状部材61は、所定数の発光装置100の形成予定領域ごとに、被覆部材8の形成予定領域の外縁に沿って配置する。
図5Aに示すように、本実施形態では、横方向に4個、縦方向に2個の合計8個の発光装置100の形成予定領域ごとに、当該8個の発光装置100の形成予定領域に実装される32個の発光素子2の回りを囲むように、第1凸状部材61を配置する。また、本実施形態では、1つの集合基板10の上面に、3つの第1凸状部材61を配置している。
【0046】
第1凸状部材61は、好適には、熱硬化性樹脂を用いて形成することができる。この場合は、まず、ディスペンサなどを用いることで、所定数の被覆部材8の形成予定領域からなる領域の外縁に沿って、集合基板10の上面に樹脂材料を描画するように配置する。このとき用いられる未硬化の樹脂材料は、配置後の樹脂材料の上端が発光素子2の上面よりも高く形成できるように、その幅と高さとに応じた適度な粘度に調整しておく。その後、加熱処理を施して、樹脂材料を硬化させることで、第1凸状部材61が形成される。
【0047】
なお、未硬化の樹脂材料の粘度は、当該樹脂材料に用いられる溶剤量や適宜なフィラーの添加量によって調整することができる。
また、本工程において、第1凸状部材61を配置するとは、未硬化、又は、好ましくは仮硬化状態の樹脂材料を配置する場合を含むものであり、本硬化まで完了させる場合のみに限定されない。
【0048】
第2凸状部材配置工程S142は、集合基板10の上面において、複数の発光素子2間に第2凸状部材62を配置する工程である。第2凸状部材62は、集合基板10の上面の第1凸状部材61が配置された領域内において、発光装置100の形成予定領域を区画する境界線BD2,BD3を介して隣接する複数の発光素子2間に配置される。
第2凸状部材62は、被覆部材形成工程S16において被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を供給する際に、発光素子2及び透光性部材3の周囲に設けられる被覆部材8を形成するための樹脂材料の液面の低下を抑制するために設けられるものである。このために、第2凸状部材62は、上端が発光素子2の上面よりも高く、かつ、第1凸状部材61の上端よりも低くなるように形成される。
【0049】
また、前記したように、被覆部材8には、クラックの発生を防止するために、軟質の樹脂が用いられる。しかし、軟質の樹脂は軟らかく伸びやすいため、個片化工程S17において被覆部材8を切断する際に、切断面の形状が不安定になることがある。
そこで、個片化工程S17で被覆部材8が切断される位置において、被覆部材8の厚さ方向の一部に、被覆部材8よりも硬質の第2凸状部材62を配置する。これによって、切断面の形状の安定性を向上することができる。
また、第2凸状部材62を、外枠である第1凸状部材61よりも低く形成することで、被覆部材8を形成するための樹脂材料を、各発光装置100の形成予定領域に充填し易くできる。つまり、第1凸状部材61で囲まれた複数の発光素子を備える複数の発光装置100に被覆部材8を一括して供給することが可能となる。これにより製造工程が簡略化される。
【0050】
ここで、各部材の高さの具体例について説明する。
集合基板10の上面を基準として、発光素子2の上面の高さを170μm、透光性部材3の上面の高さを350μmとする。このとき、第1凸状部材61の上端の高さは、透光性部材3の上面よりも10〜100μm程度低くすることが好ましい。また、第2凸状部材62の上端の高さは、発光素子2の上面よりも30〜80μm程度高くすることが好ましい。これによって、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料の液面の低下を効果的に抑制することができる。
【0051】
第2凸状部材62は、第1凸状部材61と同様に、好適には、熱硬化性樹脂を用いて、同様の方法及び手順で形成することができる。
なお、第2凸状部材62は、個片化工程S17において、ダイシングブレードなどで切断されるため、適宜な幅を有するように形成される。このために、樹脂材料は、その幅と高さとに応じた適度な粘度に調整される。また、硬化後の第2凸状部材62が、硬化後の被覆部材8よりも硬質となるように、適切な樹脂が選択され、又は適度な含有率でフィラーを含有するように樹脂材料が調整される。硬化前の第2凸状部材62の粘度は、例えば、300Pa・s以上500Pa・s以下とすることができる。
【0052】
第1凸状部材61と第2凸状部材62aとは、同じ樹脂材料を用いて、一体的に形成することができる。その例を
図6に示す。
まず、第1凸状部材61と第2凸状部材62aとの接点となる位置(
図6において、左端側)を起点として、矢印D1〜D5の順に、ディスペンサのノズルを環状に2周するように移動しながら樹脂材料を供給することで、第1凸状部材61を配置する。すなわち、未硬化の樹脂材料が集合基板10上に2段に重なるように供給されることで、第1凸状部材61が配置される。
続いて、樹脂材料供給の起点とした位置から矢印D6に沿って、ディスペンサのノズルを移動しながら樹脂材料を供給することで第2凸状部材62aを配置する。すなわち、未硬化の樹脂材料が集合基板10上に1段に供給されることで、樹脂材料が2段に重ねられた第1凸状部材61よりも高さの低い第2凸状部材62aが配置される。
このようにすることで、第1凸状部材61と、高さの異なる第2凸状部材62aとを連続して一筆書きの要領で一体的に形成することができ、工程の効率を高めることができる。
なお、第2凸状部材62aを形成するための樹脂材料の供給は、第1凸状部材61の1段目(つまり1周目)の供給と2段目(つまり2周目)の供給との間に行ってもよいし、第1凸状部材61の1段目(つまり1周目)の供給の前に行ってもよい。このようにしても、第1凸状部材61と、高さの異なる第2凸状部材62aとを連続して一筆書きの要領で配置することができる。
その後、ディスペンサのノズルを移動させて、複数の境界線BD3上に、樹脂材料を供給することで、第2凸状部材62bを配置する。
【0053】
なお、本実施形態では、第1凸状部材61が設けられた被覆部材8の外縁部を除き、各発光装置100において被覆部材8の外縁部となる領域に、第2凸状部材62a又は第2凸状部材62bを配置するようにしたが、その一部を省略するようにしてもよい。
例えば、透光性部材3が発光装置100の外縁近傍に配置される場合、つまり境界線BD3を介する透光性部材3同士の間隔が狭い場合は、被覆部材形成工程S16において、未硬化の樹脂材料を供給する際に、当該透光性部材3間での樹脂材料の液面の低下が少ない。従って、被覆部材8の十分な高さを確保する目的としては、第2凸状部材62bを省略してもよい。
【0054】
また、第1凸状部材61及び第2凸状部材62の樹脂材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合は、集合基板10上に設けるべき第1凸状部材61及び第2凸状部材62を全て配置してから、第1凸状部材61及び第2凸状部材62を本硬化させるための加熱処理を行うようにしてもよい。更に、後記する被覆部材8の樹脂材料として、熱硬化性樹脂を用いる場合は、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を第1凸状部材61が配置された領域内に供給した後に、第1凸状部材61及び第2凸状部材62並びに被覆部材8をまとめて、本硬化させるための加熱処理を行うようにしてもよい。本硬化のための加熱処理を一括して行うことにより、工程を効率化することができるとともに、本硬化の対象となる部材同士の密着性を高めることができて好ましい。
【0055】
アンダーフィル形成工程S15は、発光素子2の下面と実装基板1の上面との間の空間を充填するようにアンダーフィル7を形成する工程である。アンダーフィル7は、発光素子2の側面の一部を被覆する高さまで設けることが好ましく、また、平面視で発光素子2よりも外側の近傍領域まで被覆するように設けることが好ましい。
アンダーフィル7は、好ましくは光反射性物質を含有することで光反射性を付与された白色樹脂を、ディスペンサなどで発光素子2の周囲の領域に供給することで形成することができる。
アンダーフィル7は、発光素子2の実装基板1への接合方法等によっては省略してもよいが、発光素子2の下面側から漏れる光を発光素子2へ戻すことで、光取り出し効率を高めることができるために設けることが好ましい。
【0056】
また、アンダーフィル形成工程S15は、凸状部材配置工程S14よりも前に行うようにしてもよいが、凸状部材配置工程S14よりも後で行うことが好ましい。先に凸状部材配置工程S14を行うことで、第1凸状部材61及び第2凸状部材62と、実装基板1とを、アンダーフィル7を介在することなく、より良好に密着させることができる。
【0057】
被覆部材形成工程S16は、凸状部材配置工程S14後に、第1凸状部材61で囲まれた領域に、被覆部材8を形成する工程である。被覆部材8は、発光素子2の側面及び透光性部材3の側面を被覆するように形成される。
本実施形態の被覆部材8は、透光性を有する樹脂に、遮光性物質として光反射性物質の粒子を含有させた白色樹脂を用いて形成されるが、目的に応じて、光反射性物質に代えて又は加えて、色調を調整するための波長変換物質や着色粒子、粘度を調整するためのフィラー、その他のフィラーを含有させてもよい。また、光吸収性物質の粒子を含有させた黒色樹脂を用いるようにしてもよい。
樹脂としては、熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。この場合は、目的に応じて前記したフィラーを含有した未硬化の樹脂材料を、ポッティング法により適宜なディスペンサを用いて第1凸状部材61が配置された領域内に供給し、加熱処理を施して熱硬化性樹脂を硬化させることで、被覆部材8を形成することができる。
【0058】
なお、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料は、当該樹脂材料が透光性部材3の側面を、好ましくは上端まで被覆し、第2凸状部材62の上端を被覆し、透光性部材3の上面よりも高く盛り上がることなく、かつ、樹脂材料の広がりを規制する外枠である第1凸状部材61から溢れないように、その粘度と供給量とを調整する。硬化前の被覆部材8の粘度は、例えば、1Pa・s以上20Pa・s以下とすることができる。
【0059】
長手方向(横方向)の端部に配置された透光性部材3と外枠である第1凸状部材61との間(
図8A参照)や、短手方向(縦方向)に隣接する透光性部材3間(
図8B参照)のように、未硬化の樹脂材料の液面の高さを規制する部材間の距離が長い場合は、第2凸状部材62(62a,62b)を配置することが好ましい。これによって、当該透光性部材3間に配置される未硬化の樹脂材料の液面が、当該第2凸状部材62の上端よりも低くならないようにすることができる。
【0060】
また、発光装置100が、保護素子4のように、一定の高さを有する発光素子2以外の他の半導体素子を備える場合は、当該他の半導体素子を透光性部材3の近傍に配置することが好ましい。これによって、透光性部材3の側面近傍での樹脂材料の液面の低下を抑制することができる。第2凸状部材62の配置と合わせて、離間距離が大きな透光性部材3間に他の半導体素子を配置することで、未硬化の樹脂材料の液面の低下を更に効果的に抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、
図9において上下方向に隣接して区画されている発光装置の形成予定領域の境界線BD2の近傍領域から、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料を供給する。このように、未硬化の樹脂材料は、第1凸状部材61が配置された領域内であって、何れの透光性部材3からも離れた位置から供給することが好ましい。これによって、未硬化の樹脂材料を供給する際に、透光性部材3の上面に樹脂材料が付着することを防止できる。
【0062】
また、
図9において矢印で示すように、境界線BD2に沿って配置されている第2凸状部材62aの直上を挟んで、その両側の発光装置の形成予定領域に跨がって蛇行するようにディスペンサのノズルを移動させながら、上方から未硬化の樹脂材料を供給することが好ましい。このように、ノズルが、樹脂材料を供給させながら境界線BD2を跨いで蛇行するように移動することによって、境界線BD2を介した複数の領域に、樹脂材料を連続して供給することが可能となる。境界線BD2上の第2凸状部材62aの上端の位置は、第1凸状部材61の上端の位置よりも低いため、被覆部材8を形成するための未硬化の樹脂材料は第2凸状部材62を埋設し、第1凸状部材61で囲まれた領域内に均等に配置される。このようにして、第1凸状部材61で囲まれた各発光装置の形成予定領域内に、樹脂材料を均等に供給することができる。
また、より多くの発光装置の形成予定領域が区画された方向(境界線BD2の延伸方向)に沿って、未硬化の樹脂材料を供給することで、ディスペンサのノズルの移動量を低減することができ、本工程の時間を短縮することができる。
【0063】
個片化工程S17は、第2凸状部材62を含む位置において、被覆部材8と第2凸状部材62と集合基板10とを分割する工程である。発光装置100の分割は、好適にはダイシングブレードを用いて切断することで行うことができる。切断領域において、被覆部材8の下層部に、被覆部材8よりも硬質の第2凸状部材62(62a,62b)が設けられているため、被覆部材8のみで構成されている場合と比べて、安定した形状で分割することができる。
【0064】
なお、実装基板1の支持部材11としてセラミックスなど、樹脂と性質の異なる材料を用いている場合は、発光装置100を個片化する際に、被覆部材8及び第2凸状部材62からなる樹脂層の切断と、集合基板10の切断とで工程を分けて、それぞれに適したダイシングブレードを用いてダイシングするようにしてもよい。
また、集合基板10の端部を残して切断するようにしてもよい。このようにすることで、横方向に延伸する境界線BD1,BD2と、縦方向に延伸する境界線BD3との両方が切断されるまで、発光装置100が連結されているため、取り扱いが容易になる。
また、本実施形態では、切断順は境界線BD1,BD2,BD3の何れから切断するようにしてもよいが、例えば、材料や形状などの違いで、相対的に軟質の材料が用いられている領域や境界線に対して非対称な領域などのように、切断し難い境界線から先に分割することが好ましい。これによって、より精度よく分割することができる。
以上の工程を行うことによって、発光装置100を製造することができる。
【0065】
<変形例>
次に、前記した第1実施形態の変形例に係る発光装置について、
図11A及び
図11Bを参照して説明する。
図11Aは、第1実施形態の変形例に係る発光装置の構成を示す斜視図である。
図11Bは、第1実施形態の変形例に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【0066】
本変形例に係る発光装置100Aは、平面視において、矩形形状の被覆部材8Aの外縁の全ての辺(四辺)において、実装基板1Aの外縁と一致するように設けられている。このため、第2凸状部材62(62a,62b)が、実装基板1Aの外縁の全ての辺に沿って設けられている。
【0067】
また、本変形例の発光装置100Aにおいて、発光装置100と同様に、4個の発光素子2が一列に配置されているが、4個の透光性部材3に代えて、4個の発光素子2の上面を全て包含する大きさを有する横長の1個の透光性部材3Aが設けられている。このように、発光素子の個数と透光性部材の個数とが異なるように構成することもできる。
【0068】
なお、本変形例のように、実装基板1Aの上面に外部接続部を設けられない場合は、実装基板1Aの外部接続部を、例えば、実装基板1Aの裏面側に露出するように設けることができる。発光素子2及び保護素子4を実装するための配線部分は、前記した実装基板1と同様に設けることができる。また、実装基板1Aの上面側に設けられた配線部分と、下面側に設けられた外部接続部とは、例えば、支持部材を厚さ方向に貫通する貫通孔を設け、当該貫通孔内に金属などの導電材料を充填して導通させるように構成することができる。
【0069】
変形例に係る発光装置100Aは、前記した発光装置100の製造方法を、以下のように変更することで製造することができる。
集合基板準備工程S11において、前記した構成の実装基板1Aを連結した状態の集合基板を準備する。
透光性部材配置工程S13において、所定数(4個)の発光素子2の上面に、1個の透光性部材3Aを接合する。
第1凸状部材配置工程S141において、
図5Aにおける上端の境界線BD1及び下端の境界線BD1、並びに左端の境界線BD3及び右端の境界線BD3で囲まれる領域を、更にその外側から囲むように第1凸状部材61を配置する。すなわち、第1凸状部材61は、被覆部材8Aを形成するための未硬化の樹脂材料を供給する領域の外枠として1個配置する。そして、第2凸状部材配置工程S142において、当該第1凸状部材61が配置された領域内の、境界線BD1、境界線BD2及び境界線BD3に沿って、第2凸状部材62を配置する。すなわち、各発光装置の形成予定領域を区画する全ての境界線上に第2凸状部材62を配置する。
個片化工程S17において、境界線BD1、境界線BD2及び境界線BD3に沿って、被覆部材8A、第2凸状部材62及び実装基板1を切断することで、発光装置100Aを個片化する。
その他の工程は、発光装置100の製造方法と同様に行うことで、発光装置100Aを製造することができる。
【0070】
<第2実施形態>
[発光装置の構成]
次に、第2実施形態に係る発光装置について、
図12A及び
図12Bを参照して説明する。
図12Aは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図12Bは、第2実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図であり、
図12AのXIIB−XIIB線における断面を示す。
なお、
図12AのID―ID線における断面は、
図1Dに示した発光装置100の断面と略同じである。
【0071】
第2実施形態に係る発光装置100Bは、第1実施形態に係る発光装置100に対して、長手方向(
図12Aにおいて横方向)の端部に第2凸状部材62bを有さず、アンダーフィル7に代えてアンダーフィル7Bを備え、被覆部材8に代えて被覆部材8Bを備えることが異なっている。
なお、アンダーフィル7B及び被覆部材8Bは、それぞれアンダーフィル7及び被覆部材8と同様の材料を用いて形成することができる。
【0072】
本実施形態における第2凸状部材62Bは、発光装置100Bの短手方向(
図12Aにおいて縦方向)の端部の一方に第2凸状部材62aが設けられているが、発光装置100Bの横方向の端部には、第2凸状部材62b(
図1C参照)が設けられていない。
前記したように、第2凸状部材62a,62bは、製造時の被覆部材形成工程S16(
図2参照)において、樹脂の「ひけ」を抑制するために用いられるが、発光素子2同士及び透光性部材3同士の間隔を狭くすることで、省略しても樹脂の「ひけ」を抑制することができる。
本実施形態に係る発光装置100Bは、横方向の境界線BD3(
図13B参照)を挟んで配置される発光素子2同士及び透光性部材3同士の間隔を狭くすることで、第2凸状部材62bを省略するものである。
【0073】
例えば、樹脂の粘度が1〜20Pa・s程度の場合において、透光性部材3同士の間隔が、目安として透光性部材3の一辺の長さの半分以下程度のときに、第2凸状部材62bの配置を省略することができる。
より具体的には、第2凸状部材62bの配置を省略するために、透光性部材3同士の間隔は、800μm以下程度とすることが好ましく、400μm〜600μm程度とすることがより好ましい。
【0074】
アンダーフィル7Bは、実装基板1の上面と発光素子2の下面との間の空間に充填されている。アンダーフィル7Bは、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間において、透光性部材3の側面の上端近傍を被覆する高さまで設けられている。また、アンダーフィル7Bは、発光装置100Bの横方向の端部においては、発光素子2の側面の上端近傍を被覆する高さまで設けられている。
なお、発光装置100Bの横方向の端部においては、アンダーフィル7Bは、実装基板1の上面と発光素子2の下面との間の空間に充填されていればよく、発光素子2の側面の一部を被覆する程度の高さまで設けられるようにしてもよい。
【0075】
被覆部材8Bは、発光素子2の側面及び透光性部材3の側面を被覆する部材であり、アンダーフィル7Bと合わせて、発光素子2を封止している。また、被覆部材8B及びアンダーフィル7Bは、1組の発光素子2及び透光性部材3の側面から、隣接する他の組の発光素子2及び透光性部材3の側面への光漏れを抑制することができる。
被覆部材8Bは、透光性部材3同士の間において、アンダーフィル7B上に重なるように配置されており、透光性部材3の側面を略上端まで被覆する高さまで設けられている。本実施形態では、発光装置100Bの横方向の端部に第2凸状部材62bが設けられていないため、被覆部材8Bは、発光装置100Bの横方向の端部において、実装基板1の上面から透光性部材3の側面の略上端を被覆する高さまで設けられている。
なお、発光装置100Bの横方向の端部において、実装基板1の上面にアンダーフィル7Bが設けられていてもよく、その場合は、被覆部材8Bは、アンダーフィル7B上に重なるように設けられる。
【0076】
また、本実施形態に係る発光装置100Bにおいて、縦方向の端部においては、第1実施形態に係る発光装置100のアンダーフィル7及び被覆部材8と同様に、第1凸状部材61と第2凸状部材62aとに挟まれた領域に、アンダーフィル7B及び被覆部材8Bが設けられている。
【0077】
アンダーフィル7B及び被覆部材8Bは、何れも樹脂材料を用いて形成されるが、発光素子2及び透光性部材3からの光や熱応力によって、発光素子2及び透光性部材3と接する領域にクラックが生じるおそれがある。特に、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間においては2方向からの光と熱が集中するため、よりクラックが発生し易くなるおそれがある。本実施形態では、下層側であるアンダーフィル7Bが、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間において、透光性部材3の側面を覆うように設けられ、上層側である被覆部材8Bが、アンダーフィル7Bを覆い透光性部材3の上端近傍に接するように設けられている。
ここで、アンダーフィル7Bと被覆部材8Bとの間には、物質的な界面が形成されている。このため、アンダーフィル7Bにクラックが生じても、クラックの進行が被覆部材8Bとの界面で止まるため、被覆部材8Bはクラックが発生し難くなっている。つまり、発光装置100Bの表面までクラックが進行し難いため、アンダーフィル7B及び被覆部材8Bからなる封止部材や遮光性部材としての機能を維持することができる。
【0078】
また、アンダーフィル7Bと被覆部材8Bとを、屈折率が異なるように設けることで、透光性部材3同士の間において、透光性部材3の上端近傍に、アンダーフィル7Bと被覆部材8Bとの間に、光学的な界面を形成することができる。更に、アンダーフィル7Bを形成する際に毛細管現象を利用するため、当該界面が下向きに湾曲して形成されている。このため、1つの透光性部材3の側面から出射してアンダーフィル7B内を横方向に抜けようとする光を、この界面で下向きに反射させることができる。
つまり、1つの透光性部材3の側面から出射した光が、隣接する透光性部材3に伝播し難くなっている。このため、複数の発光素子2を独立して発光制御する場合には、発光面の輝度の独立性を高めることができる。
上記したクラックの進行抑制、隣接する発光面への光の抜け抑制を考慮すると、アンダーフィル7Bは、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間において、隣接する透光性部材3の対向する側面それぞれの少なくとも一部を覆っていることが好ましく、透光性部材3の側面の上端近傍を被覆する高さまで設けられていることがより好ましい。またこの際、アンダーフィル7Bと被覆部材8Bとの界面は実装基板1側に凸の湾曲面であることが好ましい。
【0079】
また、アンダーフィル7Bは、発光素子2の下部、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間に設けられるため、熱応力を生じ易い。このため、アンダーフィル7Bは、クラックの発生を抑制するために、被覆部材8Bよりも低弾性(軟質)とすることが好ましい。
また、ダイシングブレードなどを用いた切断の際に、樹脂の弾性が低い(軟質)ほど樹脂バリが発生し易くなる。発光装置100Bの横方向の端部近傍に配置されるアンダーフィル7B及び被覆部材8Bは、個片化工程S17(
図2参照)において切断される。このため、アンダーフィル7Bは、横方向の端部近傍には配置しないことが好ましいが、切断の際に実質的に樹脂バリが発生しない程度の薄膜で横方向の端部近傍に配置されてもよい。なお、このような薄膜の厚さとは、例えば、実装基板1の配線12と同程度以下の厚さであり、より具体的には、10μm以下程度とすることが好ましい。
【0080】
[発光装置の製造方法]
次に、第2実施形態に係る発光装置100Bの製造方法について、
図2、
図13A及び
図13Bを参照して説明する。
図13Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法におけるアンダーフィル形成工程を示す断面図であり、
図12AのXIIB−XIIB線に相当する位置における断面を示す。
図13Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法における被覆部材形成工程を示す断面図であり、
図12AのXIIB−XIIB線に相当する位置における断面を示す。
【0081】
第2実施形態に係る発光装置100Bは、
図2に示した第1実施形態に係る発光装置100の製造方法を、以下のように変更することで製造することができる。
発光素子実装工程S12及び透光性部材配置工程S13において、境界線BD3を挟んだ発光素子2及び透光性部材3を、第2凸状部材62bを省略することが可能な間隔で集合基板10上に配置する。
【0082】
凸状部材配置工程S14において、第1凸状部材配置工程S141及び第2凸状部材配置工程S142を行う。本実施形態では、第2凸状部材配置工程S142において、集合基板10の上面の境界線BD2上に第2凸状部材62aを配置し、境界線BD3上には第2凸状部材62bを配置しない。
また、第1凸状部材配置工程S141において、
図13Aに示すように、集合基板10の横方向の端部に配置される発光素子2及び透光性部材3と第1凸状部材61との間が、被覆部材8Bを形成するための未硬化の樹脂が良好に充填できる間隔となるように第1凸状部材61を配置する。この間隔は、境界線BD3を挟んだ透光性部材3同士の間隔と同程度である。
【0083】
アンダーフィル形成工程S15において、発光素子2と集合基板10との間、発光素子2同士の間、及び透光性部材3同士の間にアンダーフィル7Bの材料となる未硬化の樹脂を充填する。発光素子2の周囲に、適度な粘度に調整した未硬化の樹脂を供給することで、毛細管現象を利用して、これらの空間の透光性部材3の上端近傍まで樹脂を充填することができる。なお、これらの空間の最上部には、被覆部材8Bを設ける空間を残しておく。その後、加熱処理によって樹脂を硬化させることで、アンダーフィル7Bを形成することができる。アンダーフィル形成工程S15は、被覆部材形成工程S16よりも前に行う。
【0084】
アンダーフィル7Bは、発光素子2と実装基板1との間に充填されるため、発光素子2からの熱による熱応力を生じ易い。このため、アンダーフィル7Bは、クラックの発生を抑制するために、被覆部材8Bよりも低弾性、すなわち軟質の樹脂を用いることが好ましい。例えば、硬化後の被覆部材8BのショアA硬度をA60としたときに、硬化後のアンダーフィル7BのショアA硬度をA50程度とすることができる。
【0085】
一方、樹脂が低弾性であるほど、ダイシング法などによる切断の際に、樹脂バリが発生したり、切断面の形状が安定し難くなる。このため、切断線である境界線BD3上には、アンダーフィル7Bを形成しないことが好ましい。また、境界線BD3上にアンダーフィル7Bを形成する場合であっても、前記したように配線12の厚さと同程度以下の薄膜とすることが好ましい。これによって、樹脂バリの発生などの不具合を抑制することができる。
【0086】
被覆部材形成工程S16において、発光素子2同士の間及び透光性部材3同士の間の空間の上層部、及び境界線BD3を挟んだ空間に、被覆部材8Bを形成するための未硬化の樹脂材料を供給する。その後、加熱処理によって樹脂を硬化させることで、被覆部材8Bを形成することができる。
【0087】
個片化工程S17において、境界線BD2(
図10A参照)及び境界線BD3に沿って、被覆部材8B、第2凸状部材62b及び集合基板10を切断する。境界線BD3上には、被覆部材8Bよりも軟質のアンダーフィル7Bが設けられていないため、安定した形状で切断することができる。また、境界線BD2上には、第1実施形態と同様に、被覆部材8Bよりも硬質の第2凸状部材62aが設けられているため、更に安定した形状で切断することができる。
以上の工程を行うことによって、発光装置100Bを製造することができる。
【0088】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。