【文献】
AHMED, E. et al.,Benzobisthiazole-Thiophene Copolymer Semiconductors: Synthesis, Enhanced Stability, Field-Effect Transistors, and Efficient Solar Cells,MACROMOLECULES,2009年11月 3日,Vol. 42,pp. 8615-8618
【文献】
In Tae Kim et al.,Synthesis, characterization, and properties of a new thiophene-benzobisthiazole copolymer,SYNTHETIC METALS,2005年12月 1日,vol. 156,pp. 38-41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
【0027】
1.光電変換素子
本発明に係る光電変換素子は基材と、カソードと、活性層と、アノードとがこの順に配置された構造を有する光電変換素子であって、前記活性層は、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を有する高分子化合物を含有する。
【0029】
本発明の一実施形態に係る光電変換素子(VII)を
図1に示す。
図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが、本発明に係る光電変換素子が
図1の構成に限られるわけではない。
【0030】
光電変換素子(VII)は、基材(I)と、電極(カソード)(II)と、活性層(IV)と、電極(アノード)(VI)と、がこの順に配置された構造を有する。光電変換素子(VII)はさらに、バッファ層(電子輸送層)(III)とバッファ層(ホール輸送層)(V)とを有することが好ましい。すなわち光電変換素子(VII)は、基材(I)と、カソード(II)と、バッファ層(電子輸送層)(III)と、活性層(IV)と、バッファ層(ホール輸送層)(V)と、アノード(VI)と、がこの順に配置された構造を有することが好ましい。もっとも、本発明に係る光電変換素子は、電子輸送層(III)およびホール輸送層(V)を有さなくてもよい。以下、これらの各部について説明する。
【0031】
1.1 活性層(IV)
活性層(IV)は光電変換が行われる層を指し、通常、単独もしくは複数のp型半導体化合物と単独もしくは複数のn型半導体化合物を含む。p型半導体化合物の具体例として、高分子化合物(1)および、後述する有機半導体化合物(11)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明では、p型半導体化合物として、少なくとも高分子化合物(1)を用いることが必要である。光電変換素子(VII)が光を受けると、光が活性層(IV)に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気がカソード(II)及びアノード(VI)から取り出される。本発明においては、高分子化合物(1)がp型半導体化合物として用いられる。
【0032】
活性層(IV)の膜厚は、70nm以上が好ましく、より好ましくは90nm以上であり、100nm以上であってもよく、1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは750nm以下であり、さらに好ましくは500nm以下である。
【0033】
活性層(IV)の膜厚が適度に厚くなると、光電変換素子(VII)の変換効率の向上が期待できる。また、活性層(IV)の膜厚が適度に厚いと、膜内の貫通短絡を防止できる点でも好ましい。活性層(IV)の厚さが適度に薄いと、内部抵抗が小さくなり、かつ電極(II),(VI)間の距離が離れすぎず電荷の拡散が良好となるために好ましい。さらには、活性層(IV)の膜厚が上記範囲であると、活性層(IV)を作製するプロセスにおける再現性が向上する点で好ましい。
【0034】
一般的に、活性層を厚くすればするほど、電極、又は電子輸送層若しくはホール輸送層までの、活性層中で発生した電荷の移動距離が増加することから、電荷の電極への輸送が妨げられる。このように、活性層(IV)が厚い場合、光を吸収できる領域は増えるものの、光吸収によって生じた電荷の輸送が困難であることから、光電変換効率が低下する。そのため、活性層(IV)の膜厚を上記範囲にすることは電圧確保、変換効率向上の点からも好ましい。
【0035】
1.1.1 活性層の層構成
活性層(IV)の層構成としては、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが積層された薄膜積層型、又はp型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層を有するバルクヘテロ接合型等が挙げられる。なかでも、光電変換効率がより向上しうる点で、バルクヘテロ接合型の活性層が好ましい。
【0036】
バルクヘテロ接合型の活性層
バルクヘテロ接合型の活性層は、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合された層(i層)を有する。i層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とが相分離した構造を有し、相界面でキャリア分離が起こり、生じたキャリア(正孔及び電子)が電極まで輸送される。
【0037】
i層に含まれるp型半導体化合物のうち、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を有する高分子化合物(1)(好ましくは、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位と、後述する共重合成分(2)からなる高分子化合物(1−1))の割合は、p型半導体化合物100質量%中、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上)である。該高分子化合物(1)はp型半導体化合物として好適な性質を有するため、p型半導体化合物に該高分子化合物(1)のみを含むことが特に好ましい。
【0038】
i層中でのp型半導体化合物とn型半導体化合物との質量比(p型半導体化合物/n型半導体化合物)は、良好な相分離構造を得ることにより光電変換効率を向上させる観点から、0.5以上が好ましく、より好ましくは1以上であり、一方、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、特に好ましくは2以下である。
【0039】
i層は、塗布法及び蒸着法(例えば共蒸着法)を含む任意の方法により形成することができ、塗布法を用いるとより簡単にi層を形成できるため好ましい。本発明に係る高分子化合物(1)は溶媒に対する溶解性を有するため、塗布成膜性に優れる点で好ましい。塗布法によりi層を作製する場合、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液を調製し、この塗布液を塗布すればよい。p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液は、p型半導体化合物を含む溶液とn型半導体化合物を含む溶液をそれぞれ調製後混合して作製してもよく、後述する溶媒にp型半導体化合物及びn型半導体化合物を溶解して作製してもよい。
【0040】
塗布液中のp型半導体化合物とn型半導体化合物との合計濃度は、十分な膜厚の活性層を形成する観点から、塗布液全体に対して1.0質量%以上であることが好ましく、半導体化合物を十分に溶解させる観点から塗布液全体に対して4.0質量%以下であることが好ましい。
【0041】
塗布法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法、フレキソコート法等が挙げられる。塗布液の塗布後に、加熱等による乾燥処理を行ってもよい。
【0042】
塗布液の溶媒としては、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を均一に溶解できるものが好ましく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール、アニソール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
【0043】
なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類;又は、エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類である。
【0044】
バルクヘテロ接合型の活性層を塗布法によって形成する場合、p型半導体化合物とn型半導体化合物とを含む塗布液に、さらに添加剤を加えてもよい。バルクヘテロ接合型の活性層におけるp型半導体化合物とn型半導体化合物との相分離構造は、光吸収、励起子の拡散、励起子の乖離(キャリア分離)、キャリア輸送等に影響を及ぼすため、相分離構造を最適化することにより、良好な光電変換効率を実現することができるものと考えられる。塗布液に、p型半導体化合物又はn型半導体化合物と親和性の高い添加剤を含有することにより、好ましい相分離構造を有する活性層が得られ、光電変換効率が向上しうる。
【0045】
添加剤が活性層(IV)から失われにくくなる点で、添加剤は固体もしくは高沸点であることが好ましい。
【0046】
具体的には、添加剤が固体である場合には、添加剤の融点(1気圧)は通常35℃以上であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上であり、400℃以下であることが好ましく、より好ましくは350℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
【0047】
添加剤が液体である場合の沸点(1気圧)は80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上であり、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
【0048】
添加剤の例としては、固体であれば置換基を有していてもよい炭素数10以上20以下の脂肪族炭化水素化合物又は置換基を有していてもよい炭素数10以上20以下の芳香族化合物等が挙げられ、炭素数10以上20以下の芳香族化合物が好ましい。具体的な例としてはナフタレン化合物が挙げられ、特にナフタレンに1以上8以下の置換基が結合した化合物が好ましい。ナフタレンに結合している置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、カルボニルオキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又は芳香族基が挙げられる。
【0049】
添加剤が液体であれば置換基を有していてもよい炭素数8以上9以下の脂肪族炭化水素化合物又は置換基を有していてもよい炭素数8以上9以下の芳香族化合物等が挙げられる。具体的な例としてはジハロゲン炭化水素化合物が挙げられ、特にオクタンに1以上8以下の置換基が結合した化合物が好ましい。オクタンに結合している置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボニルオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、又は芳香族基が挙げられ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が好ましい。添加剤の別の例としては、4以上6以下のハロゲン原子が結合しているベンゼン化合物が挙げられる。
【0050】
p型半導体化合物とn型半導体化合物とを含む塗布液に含まれる添加剤の量は、塗布液全体に対して0.1体積/体積%以上が好ましく、0.5体積/体積%以上がさらに好ましい。また、塗布液全体に対して10体積/体積%以下が好ましく、5体積/体積%以下がさらに好ましい。添加剤の量がこの範囲にあることにより、好ましい相分離構造が得られうる。
【0051】
1.1.2 p型半導体化合物
活性層(IV)は、p型半導体化合物として、高分子化合物(1)を少なくとも含有する。
【0052】
高分子化合物(1)
本発明の光電変換素子に用いられる高分子化合物(以下、「高分子化合物(1)」ということがある。)は、p型半導体化合物の1種であり、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位(以下、「式(1)で表される構造単位」ということがある。)を有する。
【0054】
[式(1)中、
T
1、T
2は、それぞれ独立に、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環、または、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
また、B
1、B
2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環、または、エチニレン基を表す。]
【0055】
本発明に用いられる高分子化合物は、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位を有するため、HOMO準位を深くしながらバンドギャップを狭めることができ、光電変換効率を高めるのに有利である。高分子化合物(1)は、好ましくは、式(1)で表される構造単位と、後述する共重合成分(2)とを共重合したドナー−アクセプター型半導体ポリマーである。ドナー−アクセプター型半導体ポリマーは、ドナー性ユニットとアクセプター性ユニットが交互に配置した高分子化合物を意味する。ドナー性ユニットは、電子供与性の構造単位を意味し、アクセプター性ユニットは、電子受容性の構造単位を意味する。前記ドナー−アクセプター型半導体ポリマーは、式(1)で表される構造単位と、後述する共重合成分(2)とが交互に配置した高分子化合物であることが好ましい。このような構造とすることで、p型半導体化合物として好適に用いることができる。
なお、本明細書において、オルガノシリル基は、Si原子に1個以上の炭化水素基が置換した1価の基を意味するものとし、Si原子に置換する炭化水素基の数は、2個以上3個以下であることが好ましく、3個であることがさらに好ましい。
【0056】
式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、T
1、T
2は互いに同一であっても異なっていてもよいが、製造が容易である観点からは、同一であることが好ましい。
式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位においては、T
1、T
2は、それぞれ、下記式(t1)〜(t5)で表される基であることが好ましい。具体的には、T
1、T
2のアルコキシ基としては、下記式(t1)で表される基が好ましく、チオアルコキシ基としては、下記式(t2)で表される基が好ましく、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環としては下記式(t3)で表される基が好ましく、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環としては下記式(t4)で表される基が好ましく、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、下記式(t5)で表される基が好ましい。T
1、T
2が下記式(t1)〜(t5)で表される基であると、短波長の光を吸収することができるとともに、高い平面性を有することから効率的にπ−πスタッキングが形成されるため、より一層光電変換効率を高めることができる。
【0058】
[式(t1)〜(t5)中、R
13〜R
14は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。R
15〜R
16は、それぞれ独立に、炭素数6〜30の炭化水素基、または、*−Si(R
18)
3で表される基を表す。R
15'は、水素原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−Si(R
18)
3で表される基を表す。R
17は、ハロゲン原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R
19、*−S−R
20、*−Si(R
18)
3、または、*−CF
3を表す。R
18は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、複数のR
18は、同一でも異なっていてもよい。R
19〜R
20は、炭素数6〜30の炭化水素基を表す。*はベンゾビスチアゾールのチアゾール環に結合する結合手を表す。]
【0059】
上記式(t1)〜(t5)において、R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'の炭素数6〜30の炭化水素基としては、分岐を有する炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは分岐鎖状飽和炭化水素基である。R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'の炭化水素基は、分岐を有することにより、有機溶剤への溶解度を上げることができ、本発明の高分子化合物は適度な結晶性を得ることができる。R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'の炭化水素基の炭素数は、大きいほど有機溶剤への溶解度を向上させることができるが、大きくなり過ぎると後述するカップリング反応における反応性が低下するため、高分子化合物の合成が困難となる。そのため、R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'の炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜25であり、より好ましくは8〜20であり、さらに好ましくは8〜16である。
【0060】
R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'で表される炭素数6〜30の炭化水素基としては、例えば、n−ヘキシル基等のC
6アルキル基;n−ヘプチル基等のC
7アルキル基:n−オクチル基、1−n−ブチルブチル基、1−n−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基等のC
8アルキル基;n−ノニル基、1−n−プロピルヘキシル基、2−n−プロピルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等のC
9アルキル基;n−デシル基、1−n−ペンチルペンチル基、1−n−ブチルヘキシル基、2−n−ブチルヘキシル基、1−n−プロピルヘプチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3,7−ジメチルオクチル基等のC
10アルキル基;n−ウンデシル基、1−n−ブチルヘプチル基、2−n−ブチルヘプチル基、1−n−プロピルオクチル基、2−n−プロピルオクチル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基等のC
11アルキル基;n−ドデシル基、1−n−ペンチルヘプチル基、2−n−ペンチルヘプチル基、1−n−ブチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、1−n−プロピルノニル基、2−n−プロピルノニル基等のC
12アルキル基;n−トリデシル基、1−n−ペンチルオクチル基、2−n−ペンチルオクチル基、1−n−ブチルノニル基、2−n−ブチルノニル基、1−メチルドデシル基、2−メチルドデシル基等のC
13アルキル基;n−テトラデシル基、1−n−ヘプチルヘプチル基、1−n−ヘキシルオクチル基、2−n−ヘキシルオクチル基、1−n−ペンチルノニル基、2−n−ペンチルノニル基等のC
14アルキル基;n−ペンタデシル基、1−n―ヘプチルオクチル基、1−n−ヘキシルノニル基、2−n−ヘキシルノニル基等のC
15アルキル基;n−ヘキサデシル基、2−n−ヘキシルデシル基、1−n−オクチルオクチル基、1−n−ヘプチルノニル基、2−n−ヘプチルノニル基等のC
16アルキル基;n―ヘプタデシル基、1−n−オクチルノニル基等のC
17アルキル基;n−オクタデシル基、1−n−ノニルノニル基等のC
18アルキル基;n−ノナデシル基等のC
19アルキル基;n−エイコシル基、2−n−オクチルドデシル基等のC
20アルキル基;n−ヘンエイコシル基等のC
21アルキル基;n−ドコシル基等のC
22アルキル基;n−トリコシル基等のC
23アルキル基;n−テトラコシル基、2−n−デシルテトラデシル基等のC
24アルキル基;等が挙げられる。好ましくはC
8〜C
28アルキル基であり、より好ましくはC
8〜C
26のアルキル基であり、さらに好ましくはC
8〜C
26分岐鎖状アルキル基であり、よりいっそう好ましくはC
8〜C
24分岐鎖状アルキル基である。特に、好ましくは2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、2−n−ヘキシルデシル基、2−n−オクチルドデシル基、2−n−デシルテトラデシル基である。R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'が上記の基であると、本発明の高分子化合物は、有機溶剤への溶解度が向上し、適度な結晶性を有する。
【0061】
上記式(t1)〜(t5)中、R
15〜R
17、R
15'の*−Si(R
18)
3で表される基において、R
18の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜8である。R
18の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、オクタデシル基等のアルキル基が挙げられる。R
18の芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜8であり、より好ましくは6〜7であり、特に好ましくは6である。R
18の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。中でも、R
18としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、分岐を有する脂肪族炭化水素基がより好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。複数のR
18は、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。R
15〜R
17、R
15'が*−Si(R
18)
3で表される基であると、本発明の高分子化合物は、有機溶剤への溶解度が向上する。
【0062】
上記式(t1)〜(t5)中、R
15〜R
17、R
15'の*−Si(R
18)
3で表される基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソブチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基等のアルキルシリル基;トリフェニルシリル基、tert−ブチルクロロジフェニルシリル基等のアリールシリル基;等が挙げられる。中でも、アルキルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が特に好ましい。
【0063】
上記式(t5)中、R
17がハロゲン原子である場合、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれも用いることができる。R
17としては、ハロゲン原子、又は*−CF
3が好ましい。
【0064】
R
15'は、水素原子、又は、R
15として例示した炭素数6〜30の炭化水素基、もしくは*−Si(R
18)
3で表される基と同様の基であり、水素原子であることが好ましい。
【0065】
T
1、T
2の電子供与性基としては、式(1)で表される構造単位全体として平面性に優れる観点から、式(t1)、(t3)、(t5)で表される基がより好ましく、式(t3)で表される基がさらに好ましく、下記式(t3−1)〜(t3−16)で表される基が特に好ましい。式中、*は結合手を表す。
【0068】
T
1、T
2としては、電子供与性の基、或いは、電子求引性の基を用いることができる。電子供与性の基としては、式(t1)〜(t3)で表される基が挙げられる。
【0070】
[式(t1)〜(t3)中、*は結合手を表し、R
13〜R
15、R
15'は、前記と同様の基を表す。*は、結合手を表す。]
【0071】
T
1、T
2として用いることができる電子求引性の基としては、式(t4)〜(t5)で表される基が挙げられる。
【0073】
[式(t4)〜(t5)中、R
16は、前記と同様の基を表す。R
17は、ハロゲン原子、炭素数6〜30の炭化水素基、*−O−R
19、*−S−R
20、*−Si(R
18)
3、または、*−CF
3を表す。*は結合手を表す。]
【0074】
また、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、B
1、B
2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、製造が容易である観点からは、同一であることが好ましい。式(1)で表される構造単位においては、B
1、B
2が、それぞれ、下記式(b1)〜(b3)のいずれかで表される基であることが好ましい。B
1、B
2が下記式(b1)〜(b3)で表される基であると、得られる高分子化合物の平面性が良好であり、光電変換効率をより一層向上することができる。
【0076】
[式(b1)〜(b3)中、R
21、R
22、R
21'は、水素原子または炭素数6〜30の炭化水素基を表す。
*は結合手を表し、特に左側の*は、ベンゾビスチアゾール化合物のベンゼン環に結合する結合手を表すものとする。]
【0077】
R
21、R
22、R
21'の炭素数6〜30の炭化水素基としては、R
13〜R
17、R
19〜R
20、R
15'の炭素数6〜30の炭化水素基として例示した基を好ましく用いることができる。
R
21、R
22、R
21'が水素原子であると、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーの形成が容易であるため、好ましい。また、R
21、R
22、R
21'が炭素数6〜30の炭化水素基であると、より一層光電変換効率を高められる可能性があるため好ましい。
【0078】
また、式(1)で表されるベンゾビスチアゾール構造単位では、式(1)で表される構造単位全体として平面性に優れるとともに、得られる高分子化合物全体としても平面性に優れる観点から、B
1、B
2としては、式(b1)、(b2)で表される基がより好ましい。B
1、B
2が式(b1)、(b2)で表される基であると、ベンゾビスチアゾール構造単位(1)中でS原子とN原子の相互作用が生じ、平面性がさらに向上する。B
1、B
2としては、具体的には、下記式で表される基が好ましい。ただし、式中、*は結合手を表し、左側の*がベンゾビスチアゾールのベンゼン環に結合するものとする。
【0080】
また、式(1)で表される構造単位としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−48)で表される構造単位が挙げられる。
【0087】
式(1)で表される構造単位と組み合わせて、ドナー−アクセプター型半導体ポリマーを形成する共重合成分(2)(ドナー性ユニット、アクセプター性ユニット)を用いることが好ましい。共重合成分(2)としては、従来公知の構造単位を用いることができる。具体的には、以下の構造単位を挙げることができる。中でも式(c1)、(c3)〜(c5)、(c7)、(c9)、(c12)、(c21)、(c27)、(c37)、(c42)で表される構造単位が好ましく、式(c1)、(c5)、(c9)、(c21)、(c37)、(c42)で表される構造単位がより好ましい。
【0090】
[式(c1)〜(c43)中、R
30〜R
73、R
75〜R
76は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数4〜30の炭化水素基を表し、R
74は、水素原子又は炭素数4〜30の炭化水素基を表す。A
30、A
31は、それぞれ独立に、T
1、T
2と同様の基を表し、jは1〜4の整数を表す。●は、式(1)で表される構造単位のB
1又はB
2に結合する結合手を表すものとする。]
【0091】
R
30〜R
76で表される炭素数4〜30の炭化水素基としては、例えば、n−ブチル基等のC
4アルキル基;n−ペンチル基等のC
5アルキル基;n−ヘキシル基等のC
6アルキル基;n−ヘプチル基等のC
7アルキル基:n−オクチル基、1−n−ブチルブチル基、1−n−プロピルペンチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル基等のC
8アルキル基;n−ノニル基、1−n−プロピルヘキシル基、2−n−プロピルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等のC
9アルキル基;n−デシル基、1−n−ペンチルペンチル基、1−n−ブチルヘキシル基、2−n−ブチルヘキシル基、1−n−プロピルヘプチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3,7−ジメチルオクチル基等のC
10アルキル基;n−ウンデシル基、1−n−ブチルヘプチル基、2−n−ブチルヘプチル基、1−n−プロピルオクチル基、2−n−プロピルオクチル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基等のC
11アルキル基;n−ドデシル基、1−n−ペンチルヘプチル基、2−n−ペンチルヘプチル基、1−n−ブチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、1−n−プロピルノニル基、2−n−プロピルノニル基等のC
12アルキル基;n−トリデシル基、1−n−ペンチルオクチル基、2−n−ペンチルオクチル基、1−n−ブチルノニル基、2−n−ブチルノニル基、1−メチルドデシル基、2−メチルドデシル基等のC
13アルキル基;n−テトラデシル基、1−n−ヘプチルヘプチル基、1−n−ヘキシルオクチル基、2−n−ヘキシルオクチル基、1−n−ペンチルノニル基、2−n−ペンチルノニル基等のC
14アルキル基;n−ペンタデシル基、1−n―ヘプチルオクチル基、1−n−ヘキシルノニル基、2−n−ヘキシルノニル基等のC
15アルキル基;n−ヘキサデシル基、2−n−ヘキシルデシル基、1−n−オクチルオクチル基、1−n−ヘプチルノニル基、2−n−ヘプチルノニル基等のC
16アルキル基;n―ヘプタデシル基、1−n−オクチルノニル基等のC
17アルキル基;n−オクタデシル基、1−n−ノニルノニル基等のC
18アルキル基;n−ノナデシル基等のC
19アルキル基;n−エイコシル基、2−n−オクチルドデシル基等のC
20アルキル基;n−ヘンエイコシル基等のC
21アルキル基;n−ドコシル基等のC
22アルキル基;n−トリコシル基等のC
23アルキル基;n−テトラコシル基、2−n−デシルテトラデシル基等のC
24アルキル基;等が挙げられる。好ましくはC
8〜C
28アルキル基であり、より好ましくはC
8〜C
26アルキル基であり、さらに好ましくはC
8〜C
26分岐鎖状アルキル基であり、よりいっそう好ましくはC
8〜C
24分岐鎖状アルキル基であり、特に好ましくは2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、2−n−ヘキシルデシル基、2−n−オクチルドデシル基、2−n−デシルテトラデシル基である。R
30〜R
73、R
75〜R
76が上記の基であり、R
74が水素原子又は上記の基であると、本発明の高分子化合物は、有機溶剤への溶解度が向上し、適度な結晶性を有する。
【0092】
なお、上記式(c1)〜(c30)で表される基は、アクセプター性ユニットとして作用する基であり、式(c32)〜(c43)で表される基は、ドナー性ユニットとして作用する基である。式(c31)で表される基は、A
30、A
31の種類により、アクセプター性ユニットとして作用することもあれば、ドナー性ユニットとして作用することもある。
【0093】
本発明に用いる高分子化合物(1)中の式(1)で表される構造単位の繰り返し比率は、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、通常99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
【0094】
高分子化合物(1)中の共重合成分(2)の繰り返し単位の比率は、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であるり、通常99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
【0095】
本発明に係る高分子化合物(1)における、繰り返し単位の式(1)で表される構造単位と共重合成分(2)との配列状態は、交互、ブロック及びランダムのいずれでもよい。すなわち、本発明に係る高分子化合物(1)は、交互コポリマー、ブロックコポリマー、及びランダムコポリマーのいずれでもよい。好ましくは交互に配列しているものである。
【0096】
高分子化合物(1)中、式(1)で表される構造単位および共重合成分(2)は、それぞれ1種のみを含んでいてもよい。また、式(1)で表される構造単位を2種以上含んでいてもよいし、また、共重合成分(2)を2種以上含んでいてもよい。式(1)で表される構造単位および共重合成分(2)の種類が、通常8種以下、好ましくは5種以下である。特に好ましくは式(1)で表される構成単位のうち1種と、共重合成分(2)のうち1種類を交互に含んでいる高分子化合物(1)であり、最も好ましくは式(1)で表される構成単位1種のみと、共重合成分(2)1種類のみを交互に含んでいる高分子化合物(1)である。
【0097】
高分子化合物(1)の好ましい具体例を以下に示す。しかしながら、本発明に係る高分子化合物(1)は以下の例示に限られない。以下の具体例において、R
Tはn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル、2−n−ヘキシルデシル基、2−n−オクチルドデシル基、2−n−デシルテトラデシル基、又はトリイソプロピルシリル基を表す。R
30〜R
73、R
75〜R
76は水素原子、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル基、又は2−n−ヘキシルデシル基を表R
74は、水素原子、又はn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−n−ブチルオクチル、2−n−ヘキシルデシル基、2−n−オクチルドデシル基、2−n−デシルテトラデシル基若しくはトリイソプロピルシリル基を表す。高分子化合物(1)が複数種の繰り返し単位を含む場合は、各繰り返し単位の数の比率は任意である。
【0146】
本発明に用いる高分子化合物(1)は、長波長領域(好ましくは600nm以上、より好ましくは650nm以上)に吸収を持つことが好ましい。また、高分子化合物(1)を用いた光電変換素子は、高い開放電圧(Voc)を示し、高い光電変換特性を示す。高分子化合物(1)をp型半導体化合物とし、フラーレン化合物をn型半導体化合物として組み合わせると、特に高い光電変換特性を示す。また本発明に係る高分子化合物(1)は、HOMOエネルギー準位が低く酸化されにくい利点もある。
【0147】
また、高分子化合物(1)は溶媒に対して高溶解性を示すために、塗布成膜が容易であるという利点がある。また、塗布成膜を行う際に溶媒の選択の幅が広がるために、成膜により適した溶媒を選択でき、形成された活性層の膜質を向上させることができる。このことも、本発明に係る高分子化合物(1)を用いた光電変換素子が高い光電変換特性を示す一因であると考えられる。
【0148】
本発明の高分子化合物(1)の重量平均分子量、および数平均分子量は、一般に、2,000以上、500,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上、200,000以下である。本発明の高分子化合物(1)の重量平均分子量、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用い、ポリスチレンを標準試料として作成した較正曲線に基づいて算出することができる。
【0149】
本発明に係る高分子化合物(1)は、好ましくは光吸収極大波長(λmax)が400nm以上、より好ましくは450nm以上にあり、通常1200nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下にある。また、半値幅は通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、通常300nm以下である。また、本発明に係る高分子化合物(1)の吸収波長領域は太陽光の吸収波長領域に近いほど望ましい。
【0150】
本発明に係る高分子化合物(1)の溶解度は、好ましくは25℃におけるクロロベンゼンに対する溶解度が通常0.1質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%である。溶解性が高いことは、より厚い活性層を成膜することが可能となる点で好ましい。
【0151】
本発明に係る高分子化合物(1)は分子間で相互作用するものであることが好ましい。本発明において、分子間で相互作用するということは、高分子化合物の分子間でのπ−πスタッキングの相互作用等によってポリマー鎖間の距離が短くなることを意味する。相互作用が強いほど、高分子化合物が高いキャリア移動度及び/又は結晶性を示す傾向がある。すなわち、分子間で相互作用する高分子化合物においては分子間での電荷移動が起こりやすいため、活性層(IV)内のp型半導体化合物(高分子化合物(1))とn型半導体化合物との界面で生成した正孔(ホール)を効率よくアノード(VI)へ輸送できると考えられる。
【0152】
高分子化合物(1)の製造方法
本発明に用いる高分子化合物(1)の製造方法は、例えば、2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾール、および、2,6−ジブロモベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスチアゾールからなる群より選ばれた1の化合物を出発原料とし、式(3)で表される化合物、
【0153】
【化69】
[式(3)中、T
1、T
2は、それぞれ独立に、アルコキシ基、チオアルコキシ基、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基もしくはオルガノシリル基で置換されていてもよいチアゾール環、または、炭化水素基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、オルガノシリル基、ハロゲン原子、もしくは、トリフルオロメチル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。]
【0155】
【化70】
[式(4)中、T
1、T
2は、それぞれ上記と同様の基を表す。X
1、X
2は塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
【0158】
[式(5)中、T
1、T
2は、上記と同様の基を表す。B
1、B
2は、炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環、またはエチニレン基を表す。]
を経ることを特徴とする製造方法により製造される。
【0159】
本発明に用いる高分子化合物(1)の製造方法は、さらに式(6)で表される化合物
【0161】
[式(6)中、T
1、T
2は上記と同様の基を表す。B
3、B
4はB
1、B
2と同様の基を示す。R
1〜R
4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M
1、M
2は、それぞれ独立に、ホウ素原子または錫原子を表す。R
1、R
2は、M
1とともに環を形成していてもよく、R
3、R
4は、M
2とともに環を形成していてもよい。m、nは、それぞれ、1または2の整数を表す。また、m、nが2のとき、複数のR
1、R
3は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
を経ることが好ましい。
【0162】
上記式(6)の化合物は例えば下記のようにして製造する事が可能である。
第一工程:2,6−ジハロゲン化ベンゾビスチアゾールと金属触媒の存在下、式(7)および/または式(8)
【0164】
[式(7)、(8)中、T
1、T
2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R
5、R
6は、それぞれ独立に、水素原子、または、*−M
3(R
7)
kR
8を表す。R
7、R
8は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M
3は、ホウ素原子または錫原子を表す。*は結合手を表す。R
7、R
8は、M
3とともに環を形成していてもよい。kは1または2の整数を表す。また、kが2のとき、複数のR
7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
で表される化合物を反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程
【0165】
第二工程:式(3)で表される化合物に塩基とハロゲン化試薬とを反応させ、式(4)で表される化合物を得る工程。
【0166】
さらに下記第三工程、第四工程および第五工程を含むことにより式(6)で表される化合物を得ることが可能である。
【0167】
第三工程:式(4)で表される化合物に、金属触媒の存在下、下記式(9)および/または式(10)で表される化合物を反応させて、式(5)で表される化合物を得る工程。
【0169】
[式(9)、(10)中、B
1、B
2は、それぞれ上記と同様の基を表す。R
9〜R
12は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、または、炭素数6〜10のアリールオキシ基を表す。M
4、M
5は、ホウ素原子、錫原子、または、ケイ素原子を表す。R
9、R
10は、M
4とともに環を形成していてもよく、R
11、R
12は、M
5とともに環を形成していてもよい。pは1または2の整数を表す。pが2のとき、複数のR
9は、それぞれ同一でも、異なっていてもよい。]
【0170】
第四工程:式(5)で表される化合物に、塩基とハロゲン化錫化合物とを反応させて、式(6)で表される化合物を得る工程。
なお、本発明において、式(5)で表される化合物のB
1、B
2が炭化水素基で置換されていてもよいチオフェン環(好ましくは、式(b1)で表される基)、または、炭化水素基で置換されていてもよいチアゾール環(好ましくは、式(b2)で表される基)である場合、第四工程を含むことが好ましい。
【0171】
カップリング反応
さらに、高分子化合物(1)は、カップリング反応によって、式(1)で表される構造単位と、共重合成分(2)とを交互に配置するように組み合わせてドナー−アクセプター型高分子化合物(ドナー−アクセプター型半導体ポリマー)として製造することができる。
【0172】
カップリング反応は、金属触媒の存在下、式(6)で表される化合物と、下記式(C1)〜(C43)で表される化合物のいずれかと反応させることによって行うことが可能である中でも式(C1)、(C3)〜(C5)、(C7)、(C9)、(C12)、(C21)、(C27)、(C37)、(C42)で表される構造単位が好ましく、式(C1)、(C5)、(C9)、(C21)、(C37)、(C42)で表される構造単位がより好ましい。
【0175】
[式(C1)〜(C43)中、R
30〜R
73、R
75〜R
76は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数4〜30の炭化水素基を表し、R
74は、水素原子又は炭素数4〜30の炭化水素基を表す。A
30、A
31は、それぞれ独立に、T
1、T
2と同様の基を表し、Xはハロゲン原子を表す。jは1〜4の整数を表す。]
【0176】
その他のp型半導体化合物
活性層(IV)は、p型半導体化合物として、本発明に係る高分子化合物(1)を少なくとも含有する。しかしながら、高分子化合物(1)とは異なるp型半導体化合物を、高分子化合物(1)と混合及び/又は積層して併用することも可能である。併用しうる他のp型半導体化合物としては、例えば有機半導体化合物(11)が挙げられる。以下、有機半導体化合物(11)について説明する。なお、有機半導体化合物(11)は、高分子有機半導体化合物であっても、低分子有機半導体化合物であっても差し支えないが、高分子有機半導体化合物であることが好ましい。
【0177】
有機半導体化合物(11)
有機半導体化合物(11)としては、例えばポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役コポリマー半導体化合物;アルキル基やその他の置換基が置換されたオリゴチオフェン等のコポリマー半導体化合物等が挙げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させたコポリマー半導体化合物も挙げられる。共役コポリマーは、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻),2007、J.Polym. Sci.Part A:Polym.Chem.2013,51,743−768、 J.Am.Chem.Soc.2009,131,13886−13887、 Angew. Chem.Int.Ed.2013,52,8341−8344、 Adv.Mater.2009,21,2093−2097等の公知文献に記載されたコポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るコポリマーを用いることができる。有機半導体化合物(11)は、一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。有機半導体化合物(11)を用いることで吸収波長帯の追加による吸光量の増加などが期待できる。
【0178】
有機半導体化合物(11)の具体例としては以下のものが挙げられるが、以下のものに限定されるわけではない。
【0181】
p型半導体化合物(高分子化合物(1)、或いは高分子化合物(1)と他のp型半導体化合物との混合物であり、好ましくは高分子化合物(1)。)のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位は、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位の下限は、通常−7eV以上、より好ましくは−6.5eV以上であり特に好ましくは−6.2eV以上である。一方HOMOエネルギー準位の上限は、通常−4.0eV以下、より好ましくは−4.5eV以下、特に好ましくは−5.1eV以下である。p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が適度に高められていることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−適度に抑制されていることによりp型半導体化合物の安定性が向上し、開放電圧(Voc)も向上する。
【0182】
p型半導体化合物のLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位は、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特に、フラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−4.5eV以上、好ましくは−4.3eV以上であり、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体のLUMOエネルギー準位が適度に抑制されていることにより、バンドギャップが調整され長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体化合物のLUMOエネルギ−準位が適度に高められていることにより、n型半導体化合物への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
【0183】
LUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法が挙げられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法又は常温常圧下、紫外線光電子分析装置(理研計器社製、「AC−3」)によりイオン化ポテンシャルを測定が挙げられる。
その中でも好ましくはAC−3測定であり、本発明ではAC−3測定法を用いるものとする。
【0184】
1.1.3 n型半導体化合物
n型有機半導体化合物は、一般的に、その最低空軌道(LUMO)準位が3.5〜4.5eVであるようなπ電子共役系化合物であり、例えば、フラーレンもしくはその誘導体、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体化合物の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げる事ができる。
【0185】
これらのn型有機半導体化合物のうち、本発明の特定構成単位を有するp型半導体化合物(特に、高分子化合物(1))と高速かつ効率的に電荷分離ができるためフラーレンもしくはその誘導体が好ましい。
フラーレンやその誘導体としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C84フラーレン、C240フラーレン、C540フラーレン、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
【0186】
フラーレン誘導体としては、フェニル−C61−酪酸エステル、ジフェニル−C62−ビス(酪酸エステル)、フェニル−C71−酪酸エステル、フェニル−C85−酪酸エステルまたはチエニル−C61−酪酸エステルが好ましく、上記の酪酸エステルのアルコール部分の好ましい炭素数は1〜30、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4、最も好ましくは1である。
【0187】
好ましいフラーレン誘導体を例示すると、フェニル−C61−酪酸メチルエステル([60]PCBM)、フェニル−C61−酪酸n−ブチルエステル([60]PCBnB)、フェニル−C61−酪酸イソブチルエステル([60]PCBiB)、フェニル−C61−酪酸n−ヘキシルエステル([60]PCBH)、フェニル−C61−酪酸n−オクチルエステル([60]PCBO)、ジフェニル−C62−ビス(酪酸メチルエステル)(ビス[60]PCBM)、フェニル−C71−酪酸メチルエステル([70]PCBM)、フェニル−C85−酪酸メチルエステル([84]PCBM)、チエニル−C61−酪酸メチルエステル([60]ThCBM)、C60ピロリジントリス酸、C60ピロリジントリス酸エチルエステル、N−メチルフラロピロリジン(MP−C60)、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸、(1,2−メタノフラーレンC60)−61−カルボン酸t−ブチルエステル、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレンが挙げられる。
【0188】
1.2 カソード(II),アノード(VI)
カソード(II)、およびアノード(VI)は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、電子の捕集に適した電極(II)(カソード)と、正孔の捕集に適した電極(VI)(アノード)とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方(好ましくはカソード(II))が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透光性を有する透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層(IV)に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
【0189】
カソード(II)は、一般には仕事関数がアノードよりも小さい値を有する導電性材料で構成され、活性層(IV)で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
【0190】
カソード(II)の材料としては、例えば、酸化ニッケル、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金等が挙げられる。これらの物質は小さい仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が大きいことから、上記のような小さい仕事関数の材料でなくとも、アルミニウムやマグネシウム等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
【0191】
またカソード(II)が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOを用いることが好ましい。
【0192】
カソード(II)の膜厚にが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。カソード(II)の膜厚が適度に厚いにより、シート抵抗が抑えられ、カソード(II)の膜厚が適度に薄いことにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソード(II)が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる膜厚を選ぶ必要がある。
【0193】
カソード(II)のシート抵抗は、通常1Ω/sq以上であることが好ましく、通常1000Ω/sq以下、好ましくは500Ω/sq以下、さらに好ましくは100Ω/sq以下である。
【0194】
カソード(II)の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
【0195】
アノード(VI)は、仕事関数がカソードよりも大きい導電性材料で構成され、活性層(IV)で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極であることが好ましい。
【0196】
アノード(VI)の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は大きい仕事関数を有する材料であるため、好ましい。また、ホール輸送層(V)の材料として酸化亜鉛のようなn型半導体化合物で導電性を有するものを用いる場合、酸化インジウムスズ(ITO)のように小さい仕事関数を有する材料をアノード(VI)の材料として用いることもできる。電極保護の観点から、アノード(VI)としては、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金から形成される金属電極が好ましい。
【0197】
アノード(VI)の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上であり、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。アノード(VI)の膜厚が適度に厚いと、シート抵抗が抑えられ、アノード(VI)の膜厚が適度に薄いと、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノード(VI)を透明電極として用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
【0198】
アノード(VI)のシート抵抗は、通常1000Ω/sq以下、好ましくは500Ω/sq以下、さらに好ましくは100Ω/sq以下である。下限には、通常は1Ω/sq以上であることが好ましい。
【0199】
アノード(VI)の形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
【0200】
さらに、カソード(II)及びアノード(VI)は、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、カソード(II)及びアノード(VI)に対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
【0201】
1.3 基材(I)
光電変換素子(VII)は、通常は支持体となる基材(I)を有する。すなわち、基材上に、電極(II),(VI)と、活性層(IV)とが形成される。
【0202】
基材(I)の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材(I)の材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル若しくはポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;等が挙げられる。
【0203】
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
【0204】
基材(I)の形状としては、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。また、基材(I)の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材(I)の膜厚が適度に厚いと、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材(I)の膜厚が適度に薄いと、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。基材(I)の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材(I)の膜厚が適度に厚いと、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材(I)の膜厚が適度に薄いと、重量が重くならないために好ましい。
【0205】
1.4 バッファ層(III,V)
光電変換素子(VII)は、活性層(IV)とカソード(II)(以下、「電極(II)」ともいう。),アノード(VI)(以下、「電極(VI)」ともいう。)の間にバッファ層(III),(V)を有することが好ましい。バッファ層は、ホール輸送層(V)及び電子輸送層(III)に分類することができる。バッファ層を設けることで、活性層(IV)とカソード(II)或いはアノード(VI)との間での電子又は正孔の移動が容易となるほか、電極間の短絡が防止されうる。もっとも本発明において、バッファ層(III),(V)は存在しなくてもよい。
【0206】
ホール輸送層(V)と電子輸送層(III)とは、1対の電極(II),(VI)の間に、活性層(IV)を挟むように配置される。すなわち、本発明に係る光電変換素子(VII)がホール輸送層(V)と電子輸送層(III)との両者を含む場合、アノード(VI)、ホール輸送層(V)、活性層(IV)、電子輸送層(III)、及びカソード(II)がこの順に配置される。本発明に係る光電変換素子(VII)がホール輸送層(V)を含み電子輸送層(III)を含まない場合は、アノード(VI)、ホール輸送層(V)、活性層(IV)、及びカソード(II)がこの順に配置される。
【0207】
1.4.1 電子輸送層(III)
電子輸送層(III)は、活性層(IV)からカソード(II)へ電子の取り出しを行う層であり、電子輸送層(V)を構成する材料は、電子取り出しの効率を向上させる電子輸送性の材料が好ましく、有機化合物でも無機化合物でも良いが、無機化合物が好ましい。
【0208】
無機化合物の材料の好ましい例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはセシウム等のアルカリ金属の塩、又は金属酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム又はフッ化セシウムのようなフッ化物塩が好ましく、金属酸化物としては、酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体特性を有する金属酸化物が好ましく、導電性高分子としてはポリエチレンイミンエトキシレートが好ましい。無機化合物の材料としてより好ましくは、酸化チタン(TiOx)又は酸化亜鉛(ZnO)のような、n型半導体特性を有する金属酸化物である。特に好ましくは酸化亜鉛(ZnO)、ポリエチレンイミンエトキシレートである。これらは単独で使用しても良いし積層してもよい。このような材料の動作機構は不明であるが、カソード(II)と組み合わされた際に、仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
【0209】
電子輸送層(III)の材料のLUMOエネルギー準位は、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上であり、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子輸送層(III)の材料のLUMOエネルギー準位が適度に抑制されていると、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子輸送層(III)の材料のLUMOエネルギー準位が適度に高められていると、n型半導体化合物への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
【0210】
電子輸送層(III)の材料のHOMOエネルギー準位は、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上であり、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子輸送層(III)の材料のHOMOエネルギー準位が適度に抑制されていると、正孔の移動を阻止しうる点で好ましい。電子輸送層(III)の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。
【0211】
電子輸送層(III)の膜厚は、通常0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上であり、通常100nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。電子輸送層(III)の膜厚が適度に厚いことでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子輸送層(III)の膜厚が適度に薄いことで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
【0212】
1.4.2 ホール輸送層(V)
ホール輸送層(V)は、活性層(IV)からアノード(VI)へ正孔の取り出しを行う層であり、正孔取り出しの効率を向上させることが可能な正孔輸送性の材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基として有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、三酸化モリブデン、五酸化バナジウム又は酸化ニッケル等のp型半導体特性を有する金属酸化物、上述のp型半導体化合物等が挙げられる。その中でも好ましくはスルホン酸をドーピングした導電性ポリマーが挙げられ、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)、酸化モリブデンや酸化バナジウムなどの金属酸化物がより好ましい。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。金属等の薄膜は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
【0213】
ホール輸送層(V)の膜厚は、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.0nm以上であり、通常400nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。ホール輸送層(V)の膜厚が適度に厚いことでバッファ材料としての機能を果たすことになり、ホール輸送層(V)の膜厚が適度に薄いことで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
【0214】
電子輸送層(III)及びホール輸送層(V)の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。電子輸送層(III)に半導体化合物を用いる場合は、活性層(IV)と同様に、半導体化合物前駆体を含む層を形成した後に、前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
【0215】
1.5 光電変換素子の製造方法
光電変換素子(VII)は、例えば下記の方法に従い、基材(I)、カソード(II)、電子輸送層(III)、活性層(IV)、ホール輸送層(V)、およびアノード(VI)を順次積層することにより作製することができる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜(カソード)がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでエタノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローで乾燥させ、UV−オゾン処理を実施しカソード付き基材が出来る。次いで、電子輸送層として使用する0.5M酢酸亜鉛・0.5Mアミノエタノール/2−メトキシエタノール溶液をスピンコーターで塗布(3000rpm 40秒)した後に175℃で30分間アニールし酸化亜鉛に変換した電子輸送層を形成できる。後にグローブボックス内に搬入しで不活性ガス雰囲気下でドナー材料・アクセプター材料の混合溶液をスピンコートし、ホットプレート上でアニール処理もしくは減圧乾燥を実施することで活性層を形成出来る。次いで減圧下にて酸化モリブデンを蒸着しホール輸送層を作製できる。最後に電極である銀を蒸着しアノードとし、光電変換素子を得ることが出来る。
また、異なる構成を有する光電変換素子、例えば、電子輸送層(III)及びホール輸送層(V)のうちの少なくとも1つを有さない光電変換素子も、同様の方法により作製することができる。
【0216】
1.6 光電変換特性
光電変換素子(VII)の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子(VII)にソーラーシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm
2で照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
【0217】
2.本発明に係る有機薄膜太陽電池
本発明に係る光電変換素子(VII)は、太陽電池、なかでも有機薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましく、光電変換素子(VII)を備える有機薄膜太陽電池も本発明の技術的範囲に包含される。
【0218】
本発明に係る有機薄膜太陽電池の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る有機薄膜太陽電池を適用できる分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等である。
【0219】
本発明に係る有機薄膜太陽電池ではそのまま用いても、基材(I)上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。具体例を挙げると、基材として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けることにより、太陽電池モジュールとして太陽電池パネルを作製することができる。
【0220】
本願は、2015年2月18日に出願された日本国特許出願第2015−029925号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年2月18日に出願された日本国特許出願第2015−029925号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0221】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。 合成例で用いた測定方法は、下記の通りである。
【0222】
NMRスペクトル測定
ベンゾビスチアゾール化合物について、NMRスペクトル測定装置(Agilent社(旧Varian社)製、「400MR」、及び、Bruker社製、「AVANCE500」)を用いて、NMRスペクトル測定を行った。
【0223】
以下に本特許に用いられる高分子化合物(1)の合成の一例を示す。本発明に使用される高分子化合物(1)はもとより下記合成例によって制限を受けるものではなく、合成法自体も前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて合成することも勿論可能である。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0224】
合成例1
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH)の合成
【0225】
【化79】
【0226】
300mLフラスコに2,6−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DI、5.2g、11.7mmol)、トリブチル[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]スタンナン(HDT−Sn、23.2g、38.6mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(443mg、1.87mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(490mg、0.47mol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(115mL)を加えて120℃で23時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH)が5.62g、薄黄色固体として得られた(収率60%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0227】
合成例2〜6
合成例1と同様に、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−DMOTH)(合成例2)、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−EHTH)(合成例3)、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−BOTH)(合成例4)、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TDTH)(合成例5)、2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH)(合成例6)を得た。収率は38〜51%であった。
【0228】
合成例7
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH)の合成
【0229】
【化80】
【0230】
100mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−HDTH、4g、4.97mmol)およびテトラヒドロフラン(80mL)を加えて−40℃に冷却した後にリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、5.5mL、10.9mmol)を滴下して30分攪拌した。次いで、ヨウ素(3.8g、14.9mol)を加えた後に室温で2時間反応した。反応終了後、10%亜硫酸水素ナトリウムを加えクロロホルムで抽出して、得られた有機層を飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄して無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH)が2.66g、黄色固体として得られた(収率51%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0231】
合成例8〜12
合成例7と同様に、2,6−ビス[5−(3,7−ジメチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−DMOTH)(合成例8)、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−EHTH)(合成例9)、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−BOTH)(合成例10)、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TDTH)(合成例11)、4,8−ジヨード−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−TIPSTH)(合成例12)を得た。収率は36〜70%であった。
【0232】
合成例13
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH)の合成
【0233】
【化81】
【0234】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH、1.1g、1.04mmol)、トリブチルチオフェン−2−イル−スタンナン(830μL、2.60mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(40mg、0.17mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(45mg、0.04mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(22mL)を加えて80℃で19時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/ヘキサン=1/1〜クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH)が1.01g、黄色固体として得られた(収率100%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0235】
合成例14〜16
合成例13と同様に、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH)(合成例14)、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH)(合成例15)、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH)(合成例16)を得た。収率は45〜99%であった。
【0236】
合成例17
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH)の合成
【0237】
【化82】
【0238】
30mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジヨードベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DI−DBTH−HDTH、800mg、0.76mmol)、2−トリブチルスタンナニルチアゾール(708mg、1.89mmol)、トリス(2−フリル)ホスフィン(29mg、0.12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(32mg、30μmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)を加えて80℃で17時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に水を加えクロロホルムで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビスチアゾール−2−イル−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH)が684mg、黄色固体として得られた(収率94%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0239】
合成例18
合成例19と同様に、4,8−ビス−(チアゾール−2−イル)−2,6−ビス−(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA)を得た。収率は45%であった。
【0240】
合成例19
2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB)
【0241】
【化83】
【0242】
50mLフラスコに2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ジチオフェン−2−イル-ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH、602mg、0.62mmol)およびテトラヒドロフラン(18mL)を加え−40℃に冷却してリチウムジイソプロピルアミド(2M溶液、0.65mL、1.30mmol)を滴下して30分攪拌した。その後、トリブチルすずクロリド(352μL、1.30mmol)を加え室温に昇温して2時間攪拌した。反応終了後、水を加えトルエンで2回抽出して、有機層を水洗した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いでろ過・濃縮して得られた粗品をGPC−HPLC(JAIGEL−1H、2H、クロロホルム)で精製することで、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB)が634mg、薄褐色油状として得られた(収率66%)。
1H−NMR測定により、目的とする化合物が生成したことを確認した。
【0243】
合成例20〜23
合成例19と同様に、トリブチルすずクロリドの代わりにトリメチルすずクロリドを用いることで2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM)(合成例20)、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH−DSM)(合成例21)、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM)(合成例22)2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM)(合成例23)を得た。収率は27〜67%であった。
【0244】
合成例24、25
合成例21と同様に、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB)(合成例24)、4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB)(合成例25)を得た。収率は49%であった。
【0245】
合成例26
P−THDT−DBTH−EH−IMTHの合成
【0246】
【化84】
【0247】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB、150mg、0.10mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−エチルヘキシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(EH−IMTH−DB、41mg、0.10mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.9μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(5mg、15.5μmol)およびクロロベンゼン(12mL)を加え120℃で22時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−EH−IMTHが109mg(91%)で黒色固体として得られた。
【0248】
合成例27
P−THDT−DBTH−O−IMTHの合成
【0249】
【化85】
【0250】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM、90mg、0.07mmol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、30mg、0.07mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.8μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、11.1μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−O−IMTHが74mg(87%)で黒色固体として得られた。
【0251】
合成例28
P−THDT−DBTH−DMO−IMTHの合成
【0252】
【化86】
【0253】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM、80mg、0.06mmol)、1,3−ジブロモ−5−(3.7−ジメチルオクチル)チエノ[3,4、−c]ピローロ−4,6−ジオン(DMO−IMTH−DB、28mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、9.6μmol)およびクロロベンゼン(3.2mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(30mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−DMO−IMTHが68mg(87%)で黒色固体として得られた。
【0254】
合成例29
P−THDT−DBTH−H−IMTHの合成
【0255】
【化87】
【0256】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSM、100mg、0.08mmol)、1,3−ジブロモ−5−ヘキシルチエノ[3,4、−c]ピローロ−4,6−ジオン(H−IMTH−DB、31mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、3.2μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、12.8μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で22時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−H−IMTHが40mg(44%)で黒色固体として得られた。
【0257】
合成例30
P−TEHT−DBTH−HD−IMTHの合成
【0258】
【化88】
【0259】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM、100mg、0.09mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−ヘキシルデシル)チエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(HD−IMTH−DB、50mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(4mg、3.7μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6mg、14.9μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TEHT−DBTH−HD−IMTHが39mg(37%)で黒色固体として得られた。
【0260】
合成例31
P−TEHT−DBTH−ODD−IMTHの合成
【0261】
【化89】
【0262】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−EHTH−DSM、100mg、0.09mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−オクチルドデシル)チエノ[3,4、−c]ピローロ−4,6−ジオン(ODD−IMTH−DB、55mg、0.09mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(4mg、3.7μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6mg、14.9μmol)およびクロロベンゼン(7mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TEHT−DBTH−ODD−IMTHが91mg(76%)で黒色固体として得られた。
【0263】
合成例32
P−TBOT−DBTH−HD−IMTHの合成
【0264】
【化90】
【0265】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ブチルオクチル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−BOTH−DSM、70mg、0.06mmol)、1,3−ジブロモ−5−(2−ヘキシルデシル)チエノ[3,4、−c]ピローロ−4,6−ジオン(HD−IMTH−DB、32mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(2mg、2.4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4mg、9.6μmol)およびクロロベンゼン(6mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(30mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TBOT−DBTH−HD−IMTHが57mg(78%)で黒色固体として得られた。
【0266】
合成例33
P−TTDT−DBTH−B−IMTHの合成
【0267】
【化91】
【0268】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM、70mg、0.05mmol)、1,3−ジブロモ−5−ブチルチエノ[3,4、−c]ピローロ−4,6−ジオン(B−IMTH−DB、17mg、0.05mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(2mg、2.0μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3mg、8.0μmol)およびクロロベンゼン(3mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(30mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TTDT−DBTH−B−IMTHが33mg(52%)で黒色固体として得られた。
【0269】
合成例34
P−TTDT−DBTH−FFTDZの合成
【0270】
【化92】
【0271】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM、90mg、0.06mmol)、4,7−ジブロモ−5,6−ジフルオロベンゾ[1,2,5]チアジアゾール(FFTDZ−DB、20mg、0.06mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2mg、1.8μmol)およびトルエン(4mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(0.3mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(40mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TTDT−DBTH−FFTDZが70mg(87%)で黒色固体として得られた。
【0272】
合成例35
P−TTDT−DBTH−NTDZの合成
【0273】
【化93】
【0274】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−デシルテトラデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリメチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−TDTH−DSM、80mg、0.05mmol)、5,10−ジブロモナフト[1,2−c:5,6−c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(NTDZ−DB、21mg、0.05mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(2mg、2.0μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3mg、8.0μmol)およびクロロベンゼン(6mL)を加え120℃で28時間反応した。反応終了後、メタノール(30mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−TTDT−DBTH−NTDZが63mg(84%)で黒色固体として得られた。
【0275】
合成例36
P−THDT−DBTH−DMO−DPPの合成
【0276】
【化94】
【0277】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTH−DBTH−HDTH−DSB、100mg、0.06mmol)、3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−(3,7−ジメチルオクチル)−2,5−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン(DMO−DPP−DB、49mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加体(3mg、2.6μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(3mg、10.4μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で23時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THDT−DBTH−DMO−DPPが26mg(26%)で黒色固体として得られた。
【0278】
合成例37
P−THHDT−DBTH−HTTの合成
【0279】
【化95】
【0280】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、120mg、0.08mmol)、5,5’−ジブロモ−3−ヘキシル[2,2’]ビチオフェニル(HTT−DB、32mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、3.1μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、12.3μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(60mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−HTTが72mg(77%)で黒色固体として得られた。
【0281】
合成例38
P−THHDT−DBTH−EH−BDTの合成
【0282】
【化96】
【0283】
20mLフラスコに、2,6−ビス[5−(2−ヘキシルデシル)チオフェン−2−イル]−4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DTHA−DBTH−HDTH−DSB、120mg、0.08mmol)、2,6−ジブロモ−4,8−ビス(2−エチルヘキシロキシ)−1,5−ジチア−s−インデセン(EH−BDT−DB、47mg、0.08mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、3.1μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、12.3μmol)およびクロロベンゼン(10mL)を加え120℃で25時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THHDT−DBTH−EH−BDTが70mg(64%)で濃赤色固体として得られた。
【0284】
合成例39
P−THTIPSTH−DBTH−O−IMTHの合成
【0285】
【化97】
【0286】
20mLフラスコに、4,8−ビス(5−トリブチルスタンニルチアゾール−2−イル)−2,6−ビス(5−トリイソプロピルシラニルチオフェン−2−イル)−ベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスチアゾール(DBTH−TIPSTH−THA−DSB、88mg、0.06mmol)、1,3−ジブロモ−5−オクチルチエノ[3,4−c]ピローロ−4,6−ジオン(O−IMTH−DB、26mg、0.06mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)-クロロホルム付加体(3mg、2.5μmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mg、10μmol)およびクロロベンゼン(8mL)を加え120℃で24時間反応した。反応終了後、メタノール(50mL)に反応液を加えて析出した固体をろ取して、得られた固体をソックスレー洗浄(メタノール、アセトン、ヘキサン)した。次いでソックスレー抽出(クロロホルム)することでP−THTIPSTH−DBTH−O−IMTHが34mg(50%)で黒色固体として得られた。
【0287】
光電変換素子の評価方法
光電変換素子に0.05027mm角のメタルマスクを付け、照射光源としてソーラーシミュレーター(CEP2000、AM1.5Gフィルター、放射強度100mW/cm
2、分光計器製)を用い、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)により、ITO電極とアルミニウム電極との間における電流−電圧特性を測定した。この測定結果から、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm
2)、曲線因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。
【0288】
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm
2)の際の電圧値であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度である。曲線因子FFとは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCEは、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = (Pmax/Pin)×100
= (Voc×Jsc×FF/Pin)×100
【0289】
実施例1
【0290】
【化98】
【0291】
p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液の作製
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−EH−IMTH(合成例26)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C61)(フェニルC61酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E100H)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を質量比1:1.5、(合計濃度2.0質量%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液を得た。
【0292】
光電変換素子の作製
酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜(カソード)がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでエタノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローで乾燥させた。
【0293】
UV−オゾン処理を実施後、電子輸送層として使用する0.5M酢酸亜鉛・0.5Mアミノエタノール/2−メトキシエタノール溶液をスピンコーターで塗布(3000rpm 40秒)した後に175℃で30分間アニールした。
【0294】
グローブボックス内に搬入しで不活性ガス雰囲気下でp型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液をスピンコートし、ホットプレート上でアニール処理もしくは減圧乾燥を実施した。
【0295】
蒸着機にて、ホール輸送層である酸化モリブデンを蒸着した。その後、電極である銀を蒸着して逆型構成デバイスとした。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0296】
実施例2
【0297】
【化99】
【0298】
p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液の作製
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−EH−IMTH(合成例26)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:1.5、(合計濃度2.0wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0299】
実施例3
【0300】
【化100】
【0301】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−O−IMTH(合成例27)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構造デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0302】
実施例4
【0303】
【化101】
【0304】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−O−IMTH(合成例17)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:1.5、(合計濃度2.0wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0305】
実施例5
【0306】
【化102】
【0307】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−DMO−IMTH(合成例28)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0308】
実施例6
【0309】
【化103】
【0310】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−DMO−IMTH(合成例28)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0311】
実施例7
【0312】
【化104】
【0313】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−H−IMTH(合成例29)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0314】
実施例8
【0315】
【化105】
【0316】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−H−IMTH(合成例29)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:1.5、(合計濃度2.0wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0317】
実施例9
【0318】
【化106】
【0319】
p型半導体化合物としてP−TEHT−DBTH−HD−IMTH(合成例30)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0320】
実施例10
【0321】
【化107】
【0322】
p型半導体化合物としてP−TEHT−DBTH−HD−IMTH(合成例30)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0323】
実施例11
【0324】
【化108】
【0325】
p型半導体化合物としてP−TEHT−DBTH−ODD−IMTH(合成例31)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0326】
実施例12
【0327】
【化109】
【0328】
p型半導体化合物としてP−TBOT−DBTH−HD−IMTH(合成例32)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0329】
実施例13
【0330】
【化110】
【0331】
p型半導体化合物としてP−TBOT−DBTH−HD−IMTH(合成例32)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を質量比1:2(合計濃度2.4質量%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0332】
実施例14
【0333】
【化111】
【0334】
p型半導体化合物としてP−TTDT−DBTH−B−IMTH(合成例33)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0335】
実施例15
【0336】
【化112】
【0337】
p型半導体化合物としてP−TTDT−DBTH−FFTDZ(合成例34)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を質量比1:2(合計濃度2.4質量%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0338】
実施例16
【0339】
【化113】
【0340】
p型半導体化合物としてP−TTDT−DBTH−FFTDZ(合成例34)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を質量比1:2(合計濃度2.4質量%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0341】
実施例17
【0342】
【化114】
【0343】
p型半導体化合物としてP−TTDT−DBTH−NTDZ(合成例35)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0344】
実施例18
【0345】
【化115】
【0346】
p型半導体化合物としてP−TTDT−DBTH−NTDZ(合成例35)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0347】
実施例19
【0348】
【化116】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−DMO−DPP(合成例36)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を質量比1:2(合計濃度2.4質量%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をオルトジクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様に逆型構成デバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0349】
実施例20
【0350】
【化117】
【0351】
p型半導体化合物としてP−THHDT−DBTH−HTT(合成例37)の構造を有する高分子化合物を用いた。
PCBM(C61)をn型半導体化合物として用いて、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:2(合計濃度2.4wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させ、0.45μmのフィルターに通して混合溶液とした。得られた混合溶液を用いて、実施例1と同様にデバイスを作製した。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0352】
実施例21
【0353】
【化118】
p型半導体化合物としてP−THDT−DBTH−O−IMTH(合成例27)の構造を有する高分子化合物を用いた。
n型半導体化合物としてPCBM(C71)(フェニルC71酪酸メチルエステル,フロンティアカーボン社製,NS−E112)を、p型半導体化合物:n型半導体化合物を重量比1:1.5、(合計濃度2.0wt%)、および1,8−ジヨードオクタン(0.03mL/mL)をクロロベンゼンに溶解させた。この溶液をホットスターラー上で100℃の温度にて2時間以上攪拌混合した。攪拌混合後の溶液を0.45μmのフィルターで濾過することにより、p型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液とした。
【0354】
光電変換素子の作製
酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜(カソード)がパターニングされたガラス基板(ジオマテック社製)を、アセトンによる超音波洗浄、ついでエタノールによる超音波洗浄の後、窒素ブローで乾燥させた。
【0355】
UV−オゾン処理を実施後、電子輸送層として使用する0.05wt%ポリエチレンイミンエトキシレート/2−メトキシエタノール溶液をスピンコーターで塗布(3000rpm 40秒)した後に100℃で1分間アニールした。
【0356】
グローブボックス内に搬入しで不活性ガス雰囲気下でp型半導体化合物・n型半導体化合物の混合溶液をスピンコートし、ホットプレート上でアニール処理もしくは減圧乾燥を実施した。
【0357】
蒸着機にて、ホール輸送層である酸化モリブデンを蒸着した。その後、電極である銀を蒸着して逆型構成デバイスとした。得られたデバイスは上記光電変換素子の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0358】
【表1】
【0359】
上記の様に本発明に用いた高分子化合物で作製された光電変換素子は、高い短絡電流密度(Jsc)、高い開放電圧(Voc)が得られるため、高い光電変換効率ηを達成する事が可能である。また、本発明の製造方法によれば、置換基として様々な置換基を導入することが可能であり、材料の特性(結晶性、製膜性、吸収波長)を制御できる。