特許第6658994号(P6658994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6658994エレベーターの秤装置の秤出力値を点検する機能を備えたエレベーターシステムおよびロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6658994
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】エレベーターの秤装置の秤出力値を点検する機能を備えたエレベーターシステムおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20200220BHJP
   B66B 5/14 20060101ALI20200220BHJP
   B66B 17/20 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B5/14 A
   B66B17/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-555237(P2019-555237)
(86)(22)【出願日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2019022502
【審査請求日】2019年10月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 成華
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−106542(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/066051(WO,A1)
【文献】 特開2017−124879(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/008730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00− 5/28
B66B 1/00− 1/52
B66B 3/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、
を備え、
前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記かごの負荷となったロボットから受信した際に前記秤装置を点検するエレベーターシステム。
【請求項2】
エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、
を備え、
前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量に対応した他のロボットに向けて送信するエレベーターシステム。
【請求項3】
エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、
を備え、
前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量の合計が不足分の重量に対応する複数台の他のロボットに向けて送信するエレベーターシステム。
【請求項4】
エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、
を備え、
前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、不足分の重量の表示を指示する信号を前記ロボットに向けて送信するエレベーターシステム。
【請求項5】
前記制御盤は、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置の秤出力値が一定の範囲内にない場合は、無負荷時の秤出力値を現在の秤出力値に書き換える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
無線通信を行うロボット側無線通信装置と、
周囲を撮影するカメラ
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量である他のロボットに向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させる制御装置と、
を備えたロボット。
【請求項7】
無線通信を行うロボット側無線通信装置と、
物体を格納する格納装置と、
物体を把持する腕と、
周囲を撮影するカメラ
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、不足分の重量のオモリを前記腕で格納装置に格納させる制御装置と、
を備えたロボット。
【請求項8】
無線通信を行うロボット側無線通信装置と、
周囲を撮影するカメラ
情報を表示するディスプレイ
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、不足分の重量の情報を前記ディスプレイに表示させる制御装置と、
を備えたロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの秤装置の秤出力値を点検する機能を備えたエレベーターシステムおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムを開示する。当該エレベーターシステムによれば、秤装置の秤出力値を点検し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2017−124878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいては、利用者がかごに乗り込む必要がある。このため、秤装置の秤出力値の点検には、利用者が必要となる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、エレベーターの秤装置を正確かつ容易に点検することができるエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、を備え、前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検する
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、を備え、前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量に対応した他のロボットに向けて送信する。
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、を備え、前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量の合計が不足分の重量に対応する複数台の他のロボットに向けて送信する。
この発明に係るエレベーターシステムは、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、を備え、前記制御盤は、前記かごの内部へ乗り込んだことを示す信号を前記ロボットから受信した際に前記秤装置を点検し、前記ロボットの本体重量が前記かごの定格積載重量に対して不足している場合は、不足分の重量の表示を指示する信号を前記ロボットに向けて送信する。
【0007】
この発明に係るロボットは、無線通信を行うロボット側無線通信装置と、周囲を撮影するカメラと、前記制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、前記かごに乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量である他のロボットに向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させる制御装置と、を備えた。
この発明に係るロボットは、無線通信を行うロボット側無線通信装置と、物体を格納する格納装置と、物体を把持する腕と、周囲を撮影するカメラと、前記制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、不足分の重量のオモリを前記腕で格納装置に格納させる制御装置と、を備えた。
この発明に係るロボットは、無線通信を行うロボット側無線通信装置と、周囲を撮影するカメラと、情報を表示するディスプレイと、前記制御盤から前記ロボット側無線通信装置が特定の信号を受信した際に、前記かごの内部が無負荷状態であることを確認し、前記かごが無負荷状態であることを示す信号を前記制御盤に向けて前記ロボット側無線通信装置に送信させ、前記カメラが前記かごの内部に表示された定格積載重量を撮影した際に、当該定格積載重量と本体重量とを比較して不足分の重量を計算し、不足分の重量の情報を前記ディスプレイに表示させる制御装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明によれば、制御盤は、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際にかごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する。このため、エレベーターの秤装置を正確かつ容易に点検することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムの構成図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーターシステムと連携するロボットの模式図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーターシステムとロボットとの連携動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図4】実施の形態1におけるエレベーターシステムの制御盤の要部のハードウェア構成図である。
図5】実施の形態2におけるエレベーターシステムのかごの内部に設けられたかご操作盤の一部の正面図である。
図6】実施の形態2におけるエレベーターシステムと連携するロボットが自動で不足分の重量分の定格オモリを搭載する際の模式図である。
図7】実施の形態2におけるエレベーターシステムと連携するロボットが作業者の作業により不足分の重量分の調整オモリを搭載する際の模式図である。
図8】実施の形態1におけるエレベーターシステムとロボット9との連携動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図9】実施の形態1におけるエレベーターシステムとロボット9との連携動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターシステムの構成図である。
【0012】
図1のエレベーターシステムにおいて、昇降路1は、建築物の各階を貫く。複数の乗場2の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場2の各々は、昇降路1に対向する。
【0013】
かご3は、昇降路1の内部に設けられる。かご3は、昇降路1の内部を昇降し得るように設けられる。
【0014】
複数の乗場ドア4の各々は、複数の乗場2の各々の出入口に設けられる。かごドア5は、かご3の出入口に設けられる。
【0015】
例えば、秤装置6は、昇降路1の上部に設けられる。秤装置6は、かご3の負荷に応じた秤出力値を出力し得るように設けられる。例えば、秤装置6は、かご3の上部またはかご3の下部に設けられてもよい。
【0016】
例えば、エレベーター側無線通信装置7は、昇降路1の下部に設けられる。例えば、エレベーター側無線通信装置7は、建築物の高さに応じて昇降路1の内部の複数箇所にそれぞれ設けられてもよい。
【0017】
例えば、制御盤8は、昇降路1の下部に設けられる。制御盤8は、昇降路1の上部に設けられることもある。制御盤8は、図示されない機械室に設けられることもある。制御盤8は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。制御盤8は、記憶部8aと処理部8bとを備える。記憶部8aは、自己のエレベーターシステムが備える秤装置6等の各機器の診断を実施するためのスケジュールの情報を記憶する。なお、建築物の内部には複数台のエレベーターシステムが設けられてもよい。
【0018】
ロボット9は、自律走行し得るように設けられる。ロボット9は、エレベーター側無線通信装置7との間で無線通信を行い得るように設けられる。なお、ロボット9は、建築物の内部において複数台稼働していてもよい。
【0019】
次に、図2を用いて、ロボット9を説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターシステムと連携するロボットの模式図である。
【0020】
図2に示されるように、ロボット9は、格納装置9aと一対の腕9bとロボット側無線通信装置9cとレーザーレーダ9dとカメラ9eとディスプレイ9fと記憶装置9gと制御装置9hとを備える。
【0021】
格納装置9aは、ロボット9の上部に設けられる。格納装置9aは、物体を格納し得るように設けられる。一対の腕9bの一方は、ロボット9の一側部に設けられる。一対の腕9bの他方は、ロボット9の他側部に設けられる。一対の腕9bは、物体を把持し得るように設けられる。一対の腕9bは、荷物等を格納装置9aに格納し得るように設けられる。
【0022】
ロボット側無線通信装置9cは、無線通信を行い得るように設けられる。レーザーレーダ9dは、ロボット9の周辺の物体までの距離と方向とを測定し得るように設けられる。カメラ9eは、ロボット9の周囲を撮影し得るように設けられる。ディスプレイ9fは、情報を表示し得るように設けられる。
【0023】
記憶装置9gは、建築物の内部の地図情報、ロボット9の自己の本体重量およびかご3の内部の形状の情報等を予め記憶する。制御装置9hは、ロボット9の動作を全体的に制御し得るように設けられる。
【0024】
次に、図3を用いて、エレベーターシステムとロボットとの連携動作の概要を説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーターシステムとロボットとの連携動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0025】
ロボット9が運搬作業の終了後などで荷物を搭載していない状態でかご3に乗る際に、秤装置6で測定される秤出力値点検が実施される。この際、制御盤8は、秤装置6の診断スケジュール日時となり、かつ、運搬作業の終了のロボット9がいる場合にロボット9に対して特定の信号を発信する。
【0026】
具体的には、ステップS1では、ロボット9は、制御盤8からエレベーター側無線通信装置7を介して特定の信号を受信した際に、乗場2に移動し、エレベーター側無線通信装置7を介して制御盤8と通信し、かご3を乗場2に呼び寄せて待機する。その後、ロボット9は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、ロボット9は、かご3が当該乗場2に到着して乗場ドア4とかごドア5とが開いた際にレーザーレーダ9dの測定結果と記憶装置9gに記憶された情報とに基づいてかご3の内部が無人・無物状態であるか否かを判定する。なお、ロボット9は、かご3が当該乗場2に到着して乗場ドア4とかごドア5とが開いた際にカメラ9eの撮像画像の情報と記憶装置9gに記憶された情報とに基づいてかご3の内部が無人・無物状態であるか否かを判定してもよい。
【0027】
ステップS2でかご3の内部が無人・無物状態でない場合、ロボット9は、ステップS1の動作を行う。ステップS2でかご3の内部の無人・無物状態である場合、ロボット9は、ステップS3の動作を行う。ステップS3では、ロボット9は、かご3が無負荷であることを示す情報を制御盤8に送信する。
【0028】
その後、制御盤8は、ステップS4の動作を行う。ステップS4では、制御盤8は、かご3が無負荷であることを示す情報を受信した際に無負荷時の秤出力値点検を開始する。その後、制御盤8は、ステップS5の動作を行う。ステップS5では、制御盤8は、無負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0029】
ステップS5で無負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にない場合、制御盤8は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、制御盤8は、処理部8bにおいて、無負荷時の秤出力値を現在の秤出力値に書き換える。
【0030】
ステップS5で無負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にある場合またはステップS6の後、制御盤8は、ステップS7の動作を行う。ステップS7では、制御盤8は、かご3への乗車を許可することを示す情報をロボット9に送信する。その後、エレベーターシステムとロボット9との連携動作が終了する。
【0031】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御盤8は、かご3が無負荷状態であることを示す信号をロボット9から受信した際に秤装置6の秤出力値を点検する。このため、人手を介さずに無負荷時の秤装置6の秤出力値を正確かつ容易に点検することができる。その結果、保守員の作業負荷を軽減することができる。
【0032】
また、制御盤8は、かご3が無負荷状態であることを示す信号をロボット9から受信した際に秤装置6の秤出力値が一定の範囲内にない場合は、無負荷時の秤出力値を現在の秤出力値に書き換える。このため、秤出力値にずれが生じている場合でも、秤出力値を適正に調整することができる。
【0033】
次に、図4を用いて、制御盤8の要部の例を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベーターシステムの制御盤の要部のハードウェア構成図である。
【0034】
制御盤8の要部の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0035】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御盤8の要部の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御盤8の要部の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0036】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御盤8の要部の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御盤8の要部の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0037】
制御盤8の要部の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、かご3の走行を制御する機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、かご3の走行を制御する機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0038】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御盤8の要部の各機能を実現する。
【0039】
実施の形態2.
図5は実施の形態2におけるエレベーターシステムのかごの内部に設けられたかご操作盤の一部の正面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0040】
実施の形態2においては、負荷時の秤出力値点検も実施される。負荷時の秤出力値点検においてかご3に積載される負荷は、かご3の定格積載重量によって決定される。本実施の形態2においては、ロボット9をかご3に乗せ負荷とするものである。
【0041】
例えば、ロボット9は、かご3に乗り込み、カメラ9eによって図5の名板10に表示された定格積載重量を読み取る。ロボット9は、処理部8bにおいて読み取られた定格積載重量と本体重量とを比較することで負荷時の秤出力値点検に必要な重量の不足分を計算する。なお、ロボット9は、かご3の定格積載重量を予め記憶しておいてもよい。また、建築物の内部に複数のエレベーターシステムが設置されている場合には、複数のエレベーターシステムについてそれぞれかご3の積載荷重を記憶しておいてもよい。この場合、ロボット9は、呼ばれたエレベーターシステムに該当するかご3の定格積載重量と本体重量とを比較することで不足分の重量を計算する。
【0042】
例えば、ロボット9は、記憶装置9gに記憶された本体重量の情報を制御盤8に送信する。制御盤8は、処理部8bにおいて、記憶部8aに記録されたかご3の定格積載重量とロボット9の本体重量とを比較することで不足分の重量の情報をロボット9に送信する。また、例えば、ロボット9は、かご3に乗り込み、カメラ9eによって図5の名板10を撮影して当該名板10の画像情報と記憶装置9gに記憶された本体重量の情報とを制御盤8に送信する。制御盤8は、処理部8bにおいて、当該画像情報からかご3の定格積載重量を読み取り、ロボット9の本体重量とを比較することで不足分の重量の情報をロボットに送信する。また、例えば、制御盤8は、処理部8bにおいて、記憶部8aに記録されたかご3の定格積載重量と記憶部8aに記録されたロボット9の本体重量とを比較することで不足分の重量の情報をロボット9に送信する。
【0043】
なお、不足分の重量は、かご3が中間階に存在する際の重量と測定値とを比較するための補正値を考慮して算出される。この際の補正値の情報は、記憶部8aまたは記憶装置9gに記憶される。
【0044】
ロボット9は、当該不足分の重量を補う。当該不足分の重量が補われた状態で、負荷時の秤出力値点検が実施される。
【0045】
次に、図6図7とを用いて、不足分の重量を補う方法を説明する。
図6は実施の形態2におけるエレベーターシステムと連携するロボットが自動で不足分の重量の定格オモリを搭載する際の模式図である。図7は実施の形態2におけるエレベーターシステムと連携するロボットが作業者の作業により不足分の重量の調整オモリを搭載する際の模式図である。
【0046】
例えば、図6に示されるように、ロボット9は、定格オモリ11の保管庫へ移動する。ロボット9は、不足分の重量の定格オモリ11を腕9bで格納装置9aに格納する。なお、ロボット9が一対の腕9bを備えていない場合、図示されない物体把持装置を設ければよい。この場合、ロボット9は、物体把持装置に物体格納を要求する信号を送信し、物体把持装置は、ロボット9からの物体格納を要求する信号を受信した際に格納装置9aに物体を格納するようにすればよい。
【0047】
また、例えば、図7に示されるように、ロボット9は、ディスプレイ9fに不足分の重量の情報を表示し、近傍の作業者12に不足分の重量を伝える。不足分の重量を確認した作業者12は、不足分の重量分の任意の調整オモリ13をロボット9の格納装置9aに格納する。
【0048】
なお、建築物の内部において複数台のロボット9が稼動している場合、制御盤8の処理部8bにおいて、不足分の重量を計算し、当該不足分の重量に応じて、記憶部8aに記憶された複数台のロボット9のそれぞれの本体重量の情報から、かご3に呼び込む他のロボット9を選定してもよい。この際、当該ロボット9をかご3に呼び寄せ、かご3の内部に乗り込ませる信号を送信すればよい。また、かご3の定格積載重量が大きい場合には、本体重量の合計が不足分の重量に対応するようにかご3に呼び込む複数台の他のロボット9を選定し、それぞれのロボット9にかご3の内部に乗り込ませる信号を送信すればよい。
【0049】
また、ロボット9は、建築物の内部に複数台のロボット9が稼動している場合、記憶装置9gに記憶されたロボット9の本体重量の情報から、かご3に呼び込むロボット9を選定してもよい。この際、当該ロボットをかご3に呼び寄せ、かご3の内部に乗り込ませる信号を送信すればよい。また、かご3の定格積載重量が大きい場合には、かご3に呼び込む複数台のロボット9を選定し、それぞれのロボット9にかご3の内部に乗り込ませる信号を送信すればよい。
【0050】
次に、図8図9とを用いて、エレベーターシステムとロボット9との連携動作の概要を説明する。
図8図9とは実施の形態1におけるエレベーターシステムとロボット9との連携動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0051】
ステップS11からステップS17は、図3のステップS1からステップS7と同じである。
【0052】
ステップS17の後、ロボット9は、ステップS18の動作を行う。ステップS18では、ロボット9は、かご3が当該乗場2に到着して乗場ドア4とかごドア5とが開いた際にレーザーレーダ9dの測定結果と記憶装置9gに記憶された情報とに基づいてかご3の内部へ単独で乗り込んだことを検知する。ロボット9は、かご3の内部へ単独で乗り込んだことを示す信号を制御盤8に向けて送信する。
【0053】
その後、ロボット9は、ステップS19の動作を行う。ステップS19では、ロボット9は、自らの本体重量がかご3の定格積載重量に対して不足しているか否かを判定する。
【0054】
ステップS19で自らの本体重量がかご3の定格積載重量に対して不足している場合、ロボット9は、ステップS20の動作を行う。ステップS20では、ロボット9は、不足分の重量を補う。
【0055】
ステップS19で自らの本体重量がかご3の定格積載重量に対して不足していない場合またはステップS20の後、制御盤8は、ステップS21の動作を行う。ステップS21では、制御盤8は、乗場ドア4とかごドア5を閉め、負荷時の秤出力値点検を開始する。その後、制御盤8は、ステップS22の動作を行う。制御盤8は、負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にあるか否かを判定する。
【0056】
ステップS22で負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にない場合、制御盤8は、ステップS23の動作を行う。ステップS23では、制御盤8は、処理部8bにおいて、負荷時の秤出力値を現在の秤出力値に書き換える。
【0057】
ステップS22で負荷時の秤出力値の判定結果が一定の範囲内にある場合またはステップS23の後、制御盤8は、ステップS24の動作を行う。ステップS24では、制御盤8は、秤出力値点検において次の測定階があるか否かを判定する。
【0058】
ステップS24で次の測定階がある場合、ロボット9は、ステップS11の動作を行う。ステップS24で次の測定階がない場合、エレベーターシステムとロボット9との連携動作が終了する。
【0059】
以上で説明した実施の形態2によれば、制御盤8は、かご3へ乗り込んだことを示す信号をロボット9から受信した際に秤装置の秤出力値を点検する。人手を介さずに負荷時の秤装置6の秤出力値を正確かつ容易に点検することができる。その結果、秤出力値をより正確な値に設定することができる。
【0060】
また、制御盤8は、ロボット9の本体重量がかご3の定格積載重量に対して不足している場合は、かご3に乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量である他のロボットに向けて送信する。このため、負荷時の秤装置6の秤出力値をより正確に点検することができる。
【0061】
また、制御盤8は、ロボット9の本体重量がかご3の定格積載重量に対して不足している場合は、不足分の重量の表示を指示する信号をロボット9に向けて送信させてもよい。この場合も、負荷時の秤装置6の秤出力値をより正確に点検することができる。
【0062】
また、ロボット9は、かご3に乗り込むことを指示する信号を本体重量が不足分の重量である他のロボット9に向けて送信する。このため、負荷時の秤装置6の秤出力値をより正確に点検することができる。
【0063】
また、ロボット9は、不足分の重量の定格オモリ11を腕9bで格納装置9aに格納する。このため、負荷時の秤装置6の秤出力値をより正確に点検することができる。
【0064】
また、ロボット9は、不足分の重量の情報をディスプレイ9fに表示する。このため、負荷時の秤装置6の秤出力値をより正確に点検することができる。
【0065】
なお、実施の形態1および実施の形態2においては図示されないが、かご3を昇降させる駆動力を発生させる巻上機は、制御装置9hに隣接して設ければよい。
【0066】
なお、実施の形態1および実施の形態2における秤装置6の点検の機能をエレベーターの動作を監視する監視盤に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、この発明に係るエレベーターシステムは、ロボットと連携するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 昇降路、 2 乗場、 3 かご、 4 乗場ドア、 5 かごドア、 6 秤装置、 7 エレベーター側無線通信装置、 8 制御盤、 8a 記憶部、 8b 処理部、 9 ロボット、 9a 格納装置、 9b 腕、 9c ロボット側無線通信装置、 9d レーザーレーダ、 9e カメラ、 9f ディスプレイ、 9g 記憶装置、 9h 制御装置、 10 名板、 11 定格オモリ、 12 作業者、 13 調整オモリ、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
【要約】
エレベーターの秤装置を正確かつ容易に点検することができるエレベーターシステムを提供する。エレベーターシステムは、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際に前記かごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する制御盤、を備えた。当該構成によれば、制御盤は、エレベーターのかごが無負荷状態であることを示す信号をロボットから受信した際にかごの負荷に応じた秤出力値を出力する秤装置を点検する。このため、エレベーターの秤装置を正確かつ容易に点検することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9