特許第6659040号(P6659040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6659040光源ユニットおよび光源ユニットの冷却方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659040
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび光源ユニットの冷却方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20200220BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20200220BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200220BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/15 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20200220BHJP
   F21V 29/51 20150101ALI20200220BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20200220BHJP
【FI】
   G03B21/16
   G03B21/14 A
   F21S2/00 375
   F21S2/00 377
   F21V29/503
   F21V29/502 100
   F21V29/67 100
   F21V29/76
   F21V29/15 100
   F21V29/71
   F21V29/51
   F21Y115:30
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-85975(P2016-85975)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2017-194626(P2017-194626A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 健二
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−092599(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/116444(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/087406(WO,A1)
【文献】 特開2016−057609(JP,A)
【文献】 特開平10−221779(JP,A)
【文献】 特開2012−141495(JP,A)
【文献】 特開平11−281918(JP,A)
【文献】 特開2007−033513(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0152778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 − 21/64
F21S 2/00
F21V 29/00 − 29/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容するライトトンネル側循環部と、
前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容する蛍光体ホイール側循環部と、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に設けられ、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁と、
前記ライトトンネル側循環部に設けられたライトトンネル側受熱ヒートシンクと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせるライトトンネル側循環ファンと、
前記蛍光体ホイール側循環部に設けられた蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと、
前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせる蛍光体ホイール側循環ファンと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクとヒートパイプにより接続された放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を有する光源ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の光源ユニットにおいて、
前記放熱ヒートシンクが、前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに対応して設けられたライトトンネル側放熱ヒートシンクと前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに対応して設けられた蛍光体ホイール側放熱ヒートシンクからなる光源ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源ユニットにおいて、
ライトトンネルが、前記蛍光体を励起する励起光を出射する固体光源の出射光を入射する第1のライトトンネルと、所定の波長の光を出射する固体光源の出射光を入射する第2のライトトンネルからなり、
前記第1の壁に備えられる窓が、前記第1のライトトンネルの出射光を通過させる第1の窓と、前記第2のライトトンネルの出射光を通過させる第2の窓からなる、光源ユニット。
【請求項4】
請求項3記載の光源ユニットにおいて、
前記第1のライトトンネルは前記第2のライトトンネルよりも前記ライトトンネル側循環ファンの近くに配置されている光源ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記ライトトンネル側循環ファンにより前記ライトトンネル側循環部に送り込まれる気体と前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かう気体とを仕切るように前記ライトトンネル側循環ファンと前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクの間に設けられた第2の壁を有する光源ユニット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体ホイール側循環ファンにより前記蛍光体ホイール側循環部に送り込まれる気体と前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かう気体とを仕切るように前記蛍光体ホイール側循環ファンと前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクの間に設けられた第3の壁を有する光源ユニット。
【請求項7】
請求項6記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体ホイールは、前記第3の壁によって仕切られる空間の前記蛍光体ホイール側循環ファン寄りに配置される光源ユニット。
【請求項8】
ライトトンネル側循環部に固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容し、
蛍光体ホイール側循環部に前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容し、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁を設け、
ライトトンネル側受熱ヒートシンクを前記ライトトンネル側循環部に設け、
ライトトンネル側循環ファンにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせ、
蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを前記蛍光体ホイール側循環部に設け、
蛍光体ホイール側循環ファンにより前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせ、
放熱ヒートシンクをヒートパイプにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと接続し、
冷却ファンにより前記放熱ヒートシンクを冷却する、光源ユニットの冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターなどに用いられる光源ユニットに関し、特に、粉塵などの侵入を防いだ構造(以下、防塵構造という)を用いた光源ユニットおよび光源ユニットの冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プロジェクターの光源は、従来使用されていた水銀ランプに比べて長寿命なLD(Laser Diode:半導体レーザー)やLED(Light Emitted Diode)などの固体光源化が用いられることが多くなっている。
【0003】
一方で、長期間のメンテナンスフリーを実現するためには、粉塵などが侵入して付着することにより明るさが低下することを防ぐ防塵構造が必要となる。その一つの手段として、特許文献1(特開2014−092599号公報)に開示されるように、光源ユニット全体を極小の隙間で覆って密閉空間とし、循環ファンにて内部空気を循環させ、内の熱を受熱ヒートシンクと放熱ヒートシンクからなる熱交換器にて外部に放熱し、内部空気の温度上昇を抑える循環冷却構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−092599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光源ユニットとしては白色の光を出力することが要求されるため、固体光源としてLDを用いる場合、赤色(R:Red)のレーザー光を発生する赤色半導体レーザ(R−LD)や青色(B:Blue)のレーザー光を発生する青色半導体レーザ(B−LD)の光、さらには、蛍光体を励起するための励起用のレーザー光を出力する励起半導体レーザー(励起−LD)が使用される。光源ユニットからは、上記の各レーザー光や、励起光により発生した蛍光を合成することにより得られた白色光が出力される。
【0006】
従来の光源ユニットの循環冷却構造は、光源ユニット全体を一つの循環部としている。励起半導体レーザーおよび蛍光体を用いる構成の場合、蛍光を発生する蛍光体は発熱量が大きなため、光源ユニット内部全体の空気の温度上昇が大きくなる。
【0007】
R−LDは温度による明るさの低下がB−LDと比較して大きく、光源ユニット内の温度が上昇し、各LDの周囲の温度が上昇すると、R−LDの明るさはB−LDの明るさよりも大きく低下し、出力される白色光の色合いに変化が生じてしまう。このため、R−LDの明るさを維持するためにはR−LDの個数を増やすか、R−LDを駆動する電流値を増やす必要があるが、それによって、より発熱量が増えてさらに内部空気が温度上昇してしまうため、R−LDの投入電力に対する明るさの効率を下げていた。
【0008】
上記の半導体レーザーにおける現象は、LEDの場合にも同様に発生する。
【0009】
本発明は、赤色の固体光源の周囲の温度の上昇を少なくし、赤色の固体光源の明るさの低下を小さくする光源ユニットおよび光源ユニットの冷却方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による光源ユニットは、固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容するライトトンネル側循環部と、
前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容する蛍光体ホイール側循環部と、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に設けられ、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁と、
前記ライトトンネル側循環部に設けられたライトトンネル側受熱ヒートシンクと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせるライトトンネル側循環ファンと、
前記蛍光体ホイール側循環部に設けられた蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと、
前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせる蛍光体ホイール側循環ファンと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクとヒートパイプにより接続された放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を有する。
【0011】
本発明による光源ユニットの冷却方法は、ライトトンネル側循環部に固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容し、
蛍光体ホイール側循環部に前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容し、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁を設け、
ライトトンネル側受熱ヒートシンクを前記ライトトンネル側循環部に設け、
ライトトンネル側循環ファンにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせ、
蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを前記蛍光体ホイール側循環部に設け、
蛍光体ホイール側循環ファンにより前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせ、
放熱ヒートシンクをヒートパイプにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと接続し、
冷却ファンにより前記放熱ヒートシンクを冷却する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、R−LDの周囲の温度の上昇を少なくなり、R−LDの明るさの低下を小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による光源ユニット100の一実施形態の斜視図である。
図2】本発明による光源ユニット100の一実施形態の上面図である。
図3】光源ユニット100の前面図である。
図4図2におけるA−A断面図である。
図5図2におけるB−B断面図である。
図6図3におけるC−C断面図である。
図7図3におけるD−D断面図である。
図8】光源ユニット100の内部構成を示す図である。
図9】光源ユニット100の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1および図2のそれぞれは本発明による光源ユニット100の一実施形態の斜視図および上面図である。本実施形態の冷却ユニットは、各半導体レーザーからの光が入射され、均一化して出射するライトトンネル(LT:Light Tunnel)が設けられるLT側循環部1と、LT側循環部1からの励起光により蛍光を発生する蛍光体ホイール(PW:Phosphor Wheel)が設けられたPW側循環部2とを有する。
【0016】
LT側循環部1には、図示されるように励起−LD4、R−LD5、励起−LD9が設けられ、PW側循環部2には、冷却フィン6、白色光が出射される出射口7、B−LD8が設けられている。LT側循環部1とPW側循環部2の間の上面にはヒートシンク冷却ファン3が設けられている。
【0017】
図3は、光源ユニット100の前面図であり、図8および9は内部構成を示す図である。図9では内部構成をより明確に示すためにヒートシンク冷却ファン3については省略している。
【0018】
図3に示すように、LT側循環部1とPW側循環部2の間には壁11(第1の壁)が設けられている。壁11には、レーザー光が通過可能な材料による光学部品やガラスで構成された窓15、16が形成されているため、LT側循環部1とPW側循環部2の間で光は通過することはできるが、気体は通過することはできず、気体の流れは遮断されている。
【0019】
LT側循環部1の上部にはLT側受熱ヒートシンク10およびLT側循環ファン36が設けられ、PW側循環部2の上部にはPW側受熱ヒートシンク14およびPW側循環ファン31が設けられている。LT側受熱ヒートシンク10はLT側ヒートパイプ48によりLT側放熱ヒートシンク13に接続され、PW側受熱ヒートシンク14はPW側ヒートパイプ47によりPW側放熱ヒートシンク46に接続されている。LT側放熱ヒートシンク13およびPW側放熱ヒートシンク46はLT側循環部1およびPW側循環部2の外部に設けられ、その上部にはヒートシンク冷却ファン13が設けられている。これにより、LT側循環部1およびPW側循環部2の内部の熱は外部に放出される。
【0020】
LT側循環部1の内部には、励起用レーザー光が入射される励起ライトトンネル(励起LT)17と赤色レーザー光が入射されるR−LT18が設けられ、PW側循環部2の内部には、冷却フィン6と接続する蛍光体ホイール12が設けられている。
【0021】
図4図2におけるA−A断面図であり、図5図2におけるB−B断面図であり、図6図3におけるC−C断面図であり、図7図3におけるD−D断面図である。
【0022】
図6に示すように、LT循環部1の上方に設けられた励起−LD4、9から出射した励起用レーザー光は、レンズ19、28、ミラー18,27,23,24を介して励起LT17に入射し、窓15を介してPW側循環部2に入射する。
【0023】
PW側循環部2では、励起用レーザー光の波長の光を反射し、緑色の波長の光を通過させるダイクロイックミラー37により蛍光体ホイール12に向けて折り返される。蛍光体ホイール12は励起用レーザー光により励起されて緑色の蛍光を発生する蛍光体がホイールに形成された回転可能なもので、発生した緑色の蛍光はダイクロイックミラー37を通過し、ミラー36、32により折り返されてPW側循環部2の下方に向かう。
【0024】
蛍光体ホイール12にて発生した熱の一部は蛍光体ホイール12に接続されている冷却フィン6から放熱されるが、ほとんどはPW側循環部2の内部に放出される。この時、PW側循環部2とLT側循環部1は壁11によって分離され、気体の出入りがないため、蛍光体ホイール12にて発生した熱のLT側循環部1への影響は極めて小さなものとなっている。
【0025】
図7に示すように、LT循環部1の下方に設けられたR−LD5、34から出射した赤色レーザー光は、レンズ21、29、ミラー22,30,25,26を介してR−LT18に入射し、窓16を介してPW側循環部2に入射する。
【0026】
PW側循環部2では、赤光の波長の光を反射し、青色の波長の光を通過させるダイクロイックミラー46によりミラー45に向けて折り返される。ミラー45には、B−LD8から出射し、レンズ44、ミラー43、ダイクロイックミラー46を通過した青色レーザー光が入射されており、青色レーザー光は赤色レーザー光とともにダイクロイックミラー33に入射する。
【0027】
ダイクロイックミラー33には、青色レーザー光と赤色レーザー光のほかに、ミラー32により折り返された緑色の蛍光が入射され、青色および赤色の波長の光を通過させ、緑色の波長の光を反射するもので、これらの3色による白色光を出射光7に向けて出射する。
【0028】
LT側循環部1では、図4に示されるように、LT側循環ファン36および壁20(第2の壁)によりLT側循環部1内での気体の流れが形成される。LT側循環部1の内部の気体は、LT側循環部1の上部に設けられたLT側受熱ヒートシンク10を通ることにより冷却され、LT側受熱ヒートシンク10に隣接されたLT側循環ファン36によりLT側循環部1に送り込まれる。
【0029】
壁20は、LT側循環ファン36によりLT側循環部1に送り込まれる冷却風と、LT側受熱ヒートシンク10に向かう冷却風とを仕切るようにLT側循環ファン36とLT側受熱ヒートシンク10の間に設けられている。このため、冷却風は図4の矢印のように内部部品を通過し、LT側受熱ヒートシンク10に到達する。内部部品の発熱によって温度上昇した気体はLT側受熱ヒートシンク10にて熱交換されるが、図9に示すようにLT側受熱ヒートシンク10とLT側放熱ヒートシンク13はLT側ヒートパイプ48で接続されているため、LT側受熱ヒートシンク10で受けた熱はLT側放熱ヒートシンク13へ移動し、図8に示したヒートシンク冷却ファン3によって冷却される。よってLT側受熱ヒートシンク10を通過した気体は温度が下がっており、再度LT側循環ファン36によってLT側循環部1に送り込まれることにより内部部品が冷却される。
【0030】
PW側循環部2では、図5に示されるように、PW側循環ファン31および壁35(第3の壁)によりPW側循環部2内での気体の流れが形成される。PW側循環部2の内部の気体は、PW側循環部2の上部に設けられたPW側受熱ヒートシンク14を通ることにより冷却され、PW側受熱ヒートシンク14に隣接されたPW側循環ファン31によりPW側循環部2に送り込まれる。
【0031】
壁35は、PW側循環ファン31によりPW側循環部2に送り込まれる冷却風と、PW側受熱ヒートシンク14に向かう冷却風とを仕切るようにPW側循環ファン31とPW側受熱ヒートシンク14の間に設けられている。このため、冷却風は図5の矢印のように内部部品を通過し、PW側受熱ヒートシンク14に到達する。内部部品の発熱によって温度上昇した気体はPW側受熱ヒートシンク14にて熱交換されるが、図9に示すようにPW側受熱ヒートシンク14とPW側放熱ヒートシンク46はPW側ヒートパイプ47で接続されているため、PW側受熱ヒートシンク14で受けた熱はPW側放熱ヒートシンク46へ移動し、図8に示したヒートシンク冷却ファン3によって冷却される。よってPW側受熱ヒートシンク14を出た気体は温度が下がっており、再度PW側循環ファン31によってPW側循環部2に送り込まれることにより内部部品が冷却される。
【0032】
PW側循環部2はLT側循環部1よりも発熱量が大きなため、LT側循環ファン36が1つ設けられているのに対し、PW側循環ファン31は2つ設けられている。また、PW側受熱ヒートシンク14およびPW側放熱ヒートシンク46にはLT側受熱ヒートシンク10およびLT側放熱ヒートシンク13よりも大きなものが用いられている。
【0033】
LT側受熱ヒートシンク10とLT側ヒートパイプ48により接続されたLT側放熱ヒートシンク13と、PW側受熱ヒートシンク14とPW側ヒートパイプ47により接続されたPW側放熱ヒートシンク46とが隣接されているため、これらを一つのヒートシンク冷却ファン3で冷却可能であり、コンパクトな構成となっている。
【0034】
本実施形態においては、放熱ヒートシンクとしてLT側受熱ヒートシンク10とPW側受熱ヒートシンク14にそれぞれ対応するLT側放熱ヒートシンク13とPW側放熱ヒートシンク46が設けられるものとしたが、これらはLT側受熱ヒートシンク10とPW側受熱ヒートシンク14に共通の1つの放熱ヒートシンクとしてもよい。本実施形態のように、別体とすることにより配置の自由度が増す。また、1つのものとした場合には部品点数を削減することができる。
【0035】
上記のように構成される本実施形態においては、励起LD4、9から励起LT17までは励起LT17を中心に略対称形状となる光学配置となっており、励起LT17は光源ユニット100の中心付近に配置されている。励起LT17は励起LD4、9からの励起用レーザー光が集光するため発熱量が多くなるが、励起LT17の上部には図4図9に示すようにLT側循環ファン36が配置され、LT側循環ファン36からの冷却風がLT循環部1に送り込まれた直後となる位置に配置されるため、励起LT17は効率よく冷却される。
【0036】
緑色光(G光)を作るために励起LD4、9が出力する励起用レーザー光のパワーはR−LD5、34が出力する赤色のレーザー光と比較して大きく、励起LT17はR−LT18と比較して多く発熱する。本実施形態では、励起LT17がR−LT18よりもLT側循環ファン36の近傍に配置されているので冷却的に有利な構成である。
【0037】
また、蛍光体ホイール12の上部には図5図9に示すようにPW側循環ファン31が配置されるが、蛍光体ホイール12はPW側循環ファン31の近傍に配置されるため効率よく冷却される。
【0038】
なお、上述した実施形態では固体光源として半導体レーザーを用いるものとしたが、LEDであってもよい。
【0039】
以上、説明した通り、本実施形態は、R−LD5、34を含むLT側循環部1と蛍光体ホイール12を含むPW側循環部2が中央の壁にて仕切りを入れて分割されている。
【0040】
上記の構造とすることで、R−LD5、34を含むLT側循環部1と蛍光体ホイール12を含むPW側循環部2を循環する気体が分離され、蛍光体ホイール12の発熱による温度上昇はPW側循環部2のみで発生するものとなり、LT側循環部1はLT側循環部1に含まれる部品のみの発熱による温度上昇となるため、R−LD5、34
の周囲の温度の上昇と明るさ低下を小さくすることが可能である。
【0041】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0042】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうるが、以下の構成には限られない。
(付記1) 固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容するライトトンネル側循環部と、
前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容する蛍光体ホイール側循環部と、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に設けられ、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁と、
前記ライトトンネル側循環部に設けられたライトトンネル側受熱ヒートシンクと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせるライトトンネル側循環ファンと、
前記蛍光体ホイール側循環部に設けられた蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと、
前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせる蛍光体ホイール側循環ファンと、
前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクとヒートパイプにより接続された放熱ヒートシンクと、
前記放熱ヒートシンクを冷却する冷却ファンと、を有する光源ユニット。
(付記2) 付記1記載の光源ユニットにおいて、
前記放熱ヒートシンクが、前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに対応して設けられたライトトンネル側放熱ヒートシンクと前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに対応して設けられた蛍光体ホイール側放熱ヒートシンクからなる光源ユニット。
(付記3) 付記1または付記2に記載の光源ユニットにおいて、
ライトトンネルが、前記蛍光体を励起する励起光を出射する固体光源の出射光を入射する第1のライトトンネルと、所定の波長の光を出射する固体光源の出射光を入射する第2のライトトンネルからなり、
前記第1の壁に備えられる窓が、前記第1のライトトンネルの出射光を通過させる第1の窓と、前記第2のライトトンネルの出射光を通過させる第2の窓からなる、光源ユニット。
(付記4) 付記3記載の光源ユニットにおいて、
前記第1のライトトンネルは前記第2のライトトンネルよりも前記ライトトンネル側循環ファンの近くに配置されている光源ユニット。
(付記5) 付記1ないし付記4のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記ライトトンネル側循環ファンにより前記ライトトンネル側循環部に送り込まれる気体と前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かう気体とを仕切るように前記ライトトンネル側循環ファンと前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクの間に設けられた第2の壁を有する光源ユニット。
(付記6) 付記1ないし付記5のいずれかに記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体ホイール側循環ファンにより前記蛍光体ホイール側循環部に送り込まれる気体と前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かう気体とを仕切るように前記蛍光体ホイール側循環ファンと前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクの間に設けられた第3の壁を有する光源ユニット。
(付記7) 付記6記載の光源ユニットにおいて、
前記蛍光体ホイールは、前記第3の壁によって仕切られる空間の前記蛍光体ホイール側循環ファン寄りに配置される光源ユニット。
(付記8) ライトトンネル側循環部に固体光源の出力光を入射するライトトンネルを収容し、
蛍光体ホイール側循環部に前記ライトトンネルの出射光により励起される蛍光体ホイールを収容し、
前記ライトトンネル側循環部と前記蛍光体ホイール側循環部の間に、前記ライトトンネルの出射光を通過させる窓を備えた第1の壁を設け、
ライトトンネル側受熱ヒートシンクを前記ライトトンネル側循環部に設け、
ライトトンネル側循環ファンにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクを通過した気体を前記ライトトンネル側循環部に送り込んで循環させて前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクに向かわせ、
蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを前記蛍光体ホイール側循環部に設け、
蛍光体ホイール側循環ファンにより前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクを通過した気体を、前記蛍光体ホイール側循環部に送り込んで循環させて前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクに向かわせ、
放熱ヒートシンクをヒートパイプにより前記ライトトンネル側受熱ヒートシンクおよび前記蛍光体ホイール側受熱ヒートシンクと接続し、
冷却ファンにより前記放熱ヒートシンクを冷却する、光源ユニットの冷却方法。
【符号の説明】
【0043】
1 ライトトンネル側循環部
2 蛍光体ホイール側循環部
3 ヒートシンク冷却ファン
10 ライトトンネル側受熱ヒートシンク
11 壁
13 蛍光体ホイール側放熱ヒートシンク
14 ライトトンネル側受熱ヒートシンク
15、16 窓
31 蛍光体ホイール側循環ファン
36 ライトトンネル側循環ファン
46 蛍光体ホイール側放熱ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9