特許第6659295号(P6659295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659295
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】籾摺機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/02 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   B02B7/02 101Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-195523(P2015-195523)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-64660(P2017-64660A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 覚
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−347172(JP,A)
【文献】 実開昭51−102551(JP,U)
【文献】 特開平10−033997(JP,A)
【文献】 特開昭50−057855(JP,A)
【文献】 実開昭62−140944(JP,U)
【文献】 実開昭49−143367(JP,U)
【文献】 実開平01−078623(JP,U)
【文献】 特開昭48−003656(JP,A)
【文献】 実開昭56−103527(JP,U)
【文献】 実公昭33−015031(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0261635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
B65G 65/48
G01F 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺調整タンクから供給される籾を定量で切り出す切出装置と、
複数の溝を備えて前記切出装置から切り出された籾を整列させる整列板と、
前記整列板により整列された籾が供給されて籾摺りを行う籾摺ロールと、を有し、
前記切出装置は、ロータリーバルブを備えており、
前記ロータリーバルブは回転方向に複数の羽根を備え、前記ロータリーバルブの軸方向に複数の部屋を備え、
前記籾摺調整タンクに備えられて前記切出装置へ籾を供給する供給部の幅と、前記ロータリーバルブの幅は、前記籾摺ロールの幅と同等に形成され、
前記羽根は、前記ロータリーバルブの隣り合う前記部屋同士で、位相がずらされて形成されていること、
を特徴とする籾摺機。
【請求項2】
請求項に記載の籾摺機において、
前記ロータリーバルブの前記羽根は、5枚以上設けられていること、
を特徴とする籾摺機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺機の処理能力向上に関する技術であり、特に切出装置の構成を工夫することで籾摺機の処理能力向上に繋げられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺機は、籾から籾殻を脱離して玄米にする装置である。この籾摺機の籾摺方式としては、一対のゴムロールを異なる周速で反対方向に回転させ、このゴムロールの隙間に原料籾を供給することで、ゴムロール間の周速差及び剪断破壊力によって籾摺りを行うゴムロール式がよく知られている。
【0003】
特許文献1には、籾摺機に関する技術が開示されている。ベース部上に一対のゴムロールを有し、一対のゴムロールの内一方を固定ロールとして固定軸受けで両持ち支持すると共に、他方のロールを移動軸受けで両持ち支持する。そして、それぞれのゴムロールを異なる周速度で反対方向に回転駆動させる。移動軸受けにはロール隙間を調節可能とするロール開閉機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−208321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、籾摺機の処理能力を高めるためには、複数の籾摺機を用意するか、ゴムロールの幅を広くして一度に処理する籾の量を増やすなどの大型化を図る必要性がある。ただし、大型化や複数台での処理ではユーザーのニーズにマッチしなくなる可能性があるため、効率の良い籾摺機が求められていた。
【0006】
そこで、本発明はこの様な課題を解決する為に、処理能力を向上させることが可能な籾摺機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による籾摺機は、以下のような特徴を有する。
【0008】
(1)籾摺調整タンクから供給される籾を定量で切り出す切出装置と、複数の溝を備えて前記切出装置から切り出された籾を整列させる整列板と、前記整列板により整列された籾が供給されて籾摺りを行う籾摺ロールと、を有すること、を特徴とする。
【0009】
上記(1)に記載の態様によれば、複数の溝を整列板に備えていることで、籾が重なり合うことを防ぎ均一に拡散出来るようになる。種籾ロールは籾が重なってしまうと詰まりを生じたりスリップしたりと、籾摺ロールによる籾摺りの効率、すなわち脱ぷ率が低下してしまう。これを抑制することができるため、結果的に脱ぷ率を上げることが可能となる。
【0010】
(2)(1)に記載の籾摺機において、前記切出装置は、ロータリーバルブを備えており、前記ロータリーバルブは回転方向に複数の羽根を備え、前記ロータリーバルブの軸方向に複数の部屋を備え、前記籾摺調整タンクに備えられて前記切出装置へ籾を供給する供給部の幅と、前記ロータリーバルブの幅は、前記籾摺ロールの幅と同等に形成されていること、が好ましい。
【0011】
上記(2)に記載の態様によれば、ロータリーバルブの軸方向に複数の部屋を備え、供給部が幅広に造られているために、よりロータリーバルブの軸方向に広げ易くなる。その結果、より籾摺ロールに供給される籾の量は均一に広げられ易くなるため、籾摺ロールでの詰まりやスリップの発生を抑制でき、脱ぷ率の向上に貢献することが出来る。
【0012】
(3)(2)に記載の籾摺機において、前記ロータリーバルブの前記羽根は、5枚以上設けられていること、が好ましい。
【0013】
上記(3)に記載の態様によれば、籾摺調整タンクから切出装置への籾の定量供給を行う事に貢献できる。これはロータリーバルブの羽根の枚数が増えることで、一回あたりの籾供給量を減らし、籾の供給量のばらつきを抑えることに貢献できるためである。
【0014】
(4)(2)または(3)に記載の籾摺機において、前記羽根は、前記ロータリーバルブの隣り合う前記部屋同士で、位相がずらされて形成されていること、が好ましい。
【0015】
上記(4)に記載の態様によれば、ロータリーバルブから籾摺装置への籾の定量供給を行う事に貢献できる。これは、ロータリーバルブの隣り合う部屋同士で羽根の位相がずらされていることで籾が順次籾摺装置に供給されるため、籾が広がり易くなる。この結果、脱ぷ率の向上に貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の、籾摺機の斜視図である。
図2】本実施形態の、籾摺機の側面図である。
図3】本実施形態の、ロータリーバルブの機構部分の斜視図である。
図4】本実施形態の、整列板の斜視図である。
図5】本実施形態の、原料籾の移動状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の実施形態について図面を用いて説明を行う。図1に、本実施形態の籾摺機100の斜視図を示す。図2に、籾摺機100の側面図を示す。籾摺機100は、原料供給部110と籾摺部120と風選部150を有している。原料供給部110は原料籾を貯留する供給タンクとその下に設けられるロータリーバルブ130を備える。
【0018】
図3に、ロータリーバルブ130の斜視図を示す。ロータリーバルブ130はシャフト135を中心に周方向に複数の羽根、インペラ131を備えている。また、ロータリーバルブの軸に対して垂直に交わる仕切板、サイドウォール133及びインナープレート134を備えている。インナープレート134は3枚設けられ、インペラ131はインナープレート134を介して隣り合う同士で、シャフト135に対して異なる角度で設けられている。インペラ131はシャフト135を取り囲むように8枚配置されている。なお、インペラ131の枚数は増減することを妨げないが、多い方が好ましい。
【0019】
図4に、整列板140の斜視図を示す。ロータリーバルブ130の下部には、整列板140が備えられている。整列板140は、ロータリーバルブ130の下に3枚備えられ、それぞれ第1整列板141、第2整列板142、第3整列板143よりなる。それぞれの整列板140には、等間隔に溝145が複数刻まれている。溝145の幅は原料籾Aの大きさが考慮されて、溝145に原料籾Aが収まるように設定されている。整列板140は、ロータリーバルブ130の幅よりも若干幅広に形成されている。溝145は、この整列板140の原料籾Aの進行方向、すなわち整列板140の傾斜方向に沿って設けられている。
【0020】
第3整列板143の先端は、籾摺部120に備えられる一対の第1ゴムロール121a及び第2ゴムロール121bの間に原料籾Aが落下するように配置されている。籾摺ロール121は第1ゴムロール121a及び第2ゴムロール121bよりなる。第1ゴムロール121aは可動軸受けに、第2ゴムロール121bは固定軸受けに支持されて、回転駆動する。第1ゴムロール121aと第2ゴムロール121bの隙間Bは1mm以下に設定されているが、その幅を保てるように第2ゴムロール121bに対して第1ゴムロール121aを任意に調整することが可能である。そして、第1ゴムロール121aに対して第2ゴムロール121bは反対方向に回転され、隙間Bを原料籾Aが通過することで、原料籾Aから籾殻が分離される。
【0021】
風選部150には、摺落米を落下させる流下路と、流下路から流下した摺落米の風選を行う風選路と、風選路内に設けられる整列板と、精品排出路と、籾殻排出路を有している。なお、この構成については特許文献1とほぼ同等であるので説明を省略する。風選部150に、摺落米の精選を行った後の精品となる玄米及び脱ぷされなかった籾との混合粒を通過させることで、籾殻と精品を選り分けることができる。
【0022】
本実施形態の籾摺機100は上記構成であるので、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0023】
まず、整列板140に複数の溝145が設けられていることで、原料籾Aを整列させ易くする効果が得られる。本実施形態の籾摺機100は、原料供給部110から供給される原料籾Aを定量で切り出す切出装置であるロータリーバルブ130と、複数の溝145を備えてロータリーバルブ130から切り出された原料籾Aを整列させる整列板140と、整列板140により整列された籾が供給されて籾摺りを行う籾摺ロール121と、を有している。
【0024】
このため、籾摺ロール121によって籾摺りが行われる際に、重なりや詰まりなどを回避しやすくすることが可能となり、結果的に脱ぷ率の向上を図ることが可能となる。籾摺ロール121である第1ゴムロール121aと第2ゴムロール121bとの間には、隙間Bが設定されている。籾摺ロール121は、この隙間Bを維持出来るように、第1ゴムロール121aを第2ゴムロール121bに対して、必要に応じて移動可能な構成としている。
【0025】
しかし、隙間Bの幅は原料籾Aに対して若干狭い程度に設定されているため、原料籾Aが重なって投入されると、上手く隙間Bに原料籾Aが挿入されずにスリップしてしまうなどの現象が確認されている。また、原料籾Aが整列板140に均等に広がっていないと、籾摺ロール121の幅方向に、籾摺りをしている部分としていない部分のムラができてしまい、脱ぷ率を低下させる原因にもなっていた。しかし、整列板140に溝を設けることで原料籾Aは重なりにくくなり、脱ぷ率を向上させることが可能となった。
【0026】
また、ロータリーバルブ130は回転方向に複数のインペラ131を備え、ロータリーバルブ130の軸方向に複数の部屋に相当するインペラ131とサイドウォール133またはインナープレート134で区切られた空間132を備えており、原料供給部110に備えられて切出装置であるロータリーバルブ130へ原料籾Aを供給する供給部の幅と、ロータリーバルブ130の軸方向の幅は、籾摺ロール121の幅と同等に形成されている。
【0027】
このため、原料供給部110から供給される原料籾Aは空間132に小分けにされ、更に整列板140によって広げられるので、籾摺ロール121に供給される際には、原料籾Aが整列板140の幅方向に均等に広がり、籾摺ロール121での脱ぷ率を高めることに貢献できる。また、ロータリーバルブ130の羽根が、5枚以上(本実施形態では8枚)設けられていることでも、空間132を小さくする効果があり、結果的に原料籾Aが整列板140に広がり易くなる効果が得られる。これは空間132が小さく仕切られることで、空間132あたりの原料籾Aの量を小さくすることが期待できるからである。
【0028】
更に、ロータリーバルブ130の隣り合う空間132同士で、インペラ131の位相がシャフト135の周方向にずらされていることも、原料籾Aが整列板140の幅方向に広がり易くなる効果が得られ、脱ぷ率の向上に寄与することができる。
【0029】
以上、本発明に係る籾摺機の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、インペラ131の数は周方向に8枚としているが、これを増減することを妨げない。ただし、5枚以上である事が望ましい。また、インナープレート134の数を増やす事を妨げない。
【符号の説明】
【0030】
100 籾摺機
110 原料供給部
120 籾摺部
130 ロータリーバルブ
131 インペラ
132 空間
133 サイドウォール
134 インナープレート
140 整列板
145 溝
図1
図2
図3
図4
図5