(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659316
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】油性固形クレンジング料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20200220BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20200220BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20200220BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20200220BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20200220BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/73
A61K8/36
A61Q1/14
A61K8/31
A61K8/37
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-224749(P2015-224749)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2017-88585(P2017-88585A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕紀
【審査官】
小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−95919(JP,A)
【文献】
特開2008−214321(JP,A)
【文献】
特開2010−83866(JP,A)
【文献】
特開2002−255727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)、
(A)固形油
(B)液状油
(C)多糖脂肪酸エステル
(D)アニオン性界面活性剤
を含有する油性固形クレンジング料であって、
成分(A)〜(C)を含有する油性固形相中に成分(D)が分散していることを特徴とする油性固形クレンジング料。
【請求項2】
成分(D)が25℃で固形状のアニオン性界面活性剤である請求項1記載の油性固形クレンジング料。
【請求項3】
成分(D)が炭素数8〜22の直鎖飽和高級脂肪酸塩である請求項1または請求項2に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項4】
成分(C)がデキストリン脂肪酸エステルである請求項1ないし請求項3の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項5】
成分(C)を構成する脂肪酸が炭素数8〜18の飽和脂肪酸から選ばれる1種または2種以上である請求項1ないし請求項4の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項6】
成分(A)が融点50℃以上かつ120℃以下の固形油である請求項1ないし請求項5の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項7】
成分(B)が35℃で液状の炭化水素油またはエステル油である請求項1ないし請求項6の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項8】
分散した成分(D)の粒子の粒子径が1μm〜100μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項9】
さらに、成分(E)少なくとも油に不溶性または非膨潤性である粒子状物質を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかの項に記載の油性固形クレンジング料。
【請求項10】
次の成分(A)〜(D)、
(A)固形油
(B)液状油
(C)多糖脂肪酸エステル
(D)アニオン性界面活性剤
を含有する油性固形クレンジング料の製造方法であって、成分(A)と成分(B)の均一混合溶解組成物、または、成分(A)、成分(B)および成分(C)の均一混合溶解組成物中に、成分(D)を剪断力をかけて分散させる工程を含むことを特徴とする油性固形クレンジング料の製造方法。
【請求項11】
成分(D)が25℃で固形状のアニオン性界面活性剤である請求項10記載の油性固形クレンジング料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性固形クレンジング料およびその製造方法に関し、さらに詳細には、メイクアップ化粧料を落とす際に肌や口唇上で塗布しやすく、メイクアップ化粧料のクレンジング効果も良好で、洗い流しが容易な油性固形クレンジング料、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油性固形クレンジング料は手指の間からこぼれ落ちることがなく、他のものへも付着しにくいなど、液状クレンジング料に比べてハンドリング性に優れるというメリットがあり、広く使用されている。クレンジング料を油性固形状とするため、従来はオリゴエステル系の油ゲル化剤や、融点が60〜120℃の炭化水素油といった固形油を使用すること等が行われている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
しかしながら、これら従来技術では肌上などでの伸び広がりやすさが十分でなかったり、官能的に重さを感じる場合があり、また併用する界面活性剤や液状油により、固形の油性クレンジング料としての成形性や安定性のコントロールが難しい場合があるという問題があった。
従って、油性固形でありながら適用時に肌や口唇上での伸び広がりが良好で、クレンジング料としての機能が十分にあり、適用後の使用感も良好かつ安定な油性固形クレンジング料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−370930号公報
【特許文献2】特開2012−206974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記問題を解決し、油性固形でありながら適用時に肌や口唇上で伸び広がりがしやすく、メイクアップ化粧料とのなじみも良くメイク汚れの落ちが良好であり、水による洗い流しもしやすい、高温でも安定な油性固形クレンジング料およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題に対し鋭意検討を行った結果、固形油、液状油および多糖脂肪酸エステルを含有する油性固形相中に、アニオン性界面活性剤が分散している状態の油性固形クレンジング料が上記課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D)、
(A)固形油
(B)液状油
(C)多糖脂肪酸エステル
(D)アニオン性界面活性剤
を含有する油性固形クレンジング料であって、成分(A)〜(C)を含有する油性固形相中に成分(D)が分散していることを特徴とする油性固形クレンジング料である。
【0007】
また、本発明は、成分(D)が25℃で固形状のアニオン性界面活性剤である前記の油性固形クレンジング料である。
【0008】
また、本発明は、成分(D)が炭素数8〜22の直鎖飽和高級脂肪酸塩である前記の油性固形クレンジング料である。
【0009】
また、本発明は、成分(C)がデキストリン脂肪酸エステルである前記の油性固形クレンジング料である。
【0010】
また、本発明は、成分(A)が融点50℃以上かつ120℃以下の固形油である前記の油性固形クレンジング料である。
【0011】
また、本発明は、さらに成分(E)少なくとも油に不溶性または非膨潤性である粒子状物質を含有する前記の油性固形クレンジング料である。
【0012】
さらに、本発明は、次の成分(A)〜(D)、
(A)固形油
(B)液状油
(C)多糖脂肪酸エステル
(D)アニオン性界面活性剤
を含有する油性固形クレンジング料の製造方法であって、成分(A)と成分(B)の均一混合溶解組成物、または、成分(A)、成分(B)および成分(C)の均一混合溶解組成物中に、成分(D)を剪断力をかけて分散させる工程を含むことを特徴とする油性固形クレンジング料の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の油性固形クレンジング料は、適用時に肌や口唇上での伸び広がりが良好であり、メイクアップ化粧料とのなじみも良好でメイク汚れの落ちが良く、水による洗い流しもしやすいものであり、通常の生活空間における高温環境(50℃程度)の下でも安定な、油性固形クレンジング料として極めて優れた品質を有するものである。とりわけ、油性固形であることから、口唇上の口紅等のクレンジング料として特に使いやすい。また、本発明の製造方法により、本発明の油性固形クレンジング料を容易かつ効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油性固形クレンジング料は、例えば指などで容器内の内容物をすくい取って肌や口唇上に塗布し、伸ばしてメイクアップ化粧料となじませ、水や温水等で洗い流すことができるものである。本発明の油性固形クレンジング料において油性固形とは、油性媒体を連続相とする組成物であり、35℃において流動性を有さず、かつ、35℃において有意の針入荷重値を示す状態をいう。
【0015】
本発明に用いる成分(A)の固形油は、35℃において固体状の油であり、好ましくは融点50℃以上かつ120℃以下の固形油であり、特に好ましくは融点60℃以上かつ110℃以下の固形油である。このような固形油としては、本発明の油性固形クレンジング料の油性固形相を構成するものであれば特に化合物種を限定されるものではないが、天然物由来または合成により得られるもので、炭化水素、エステルまたはこれらの混合物から選ばれるものが好ましい。具体的にはミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、キャンデリラロウ炭化水素、キャンデリラロウエステルズ、カルナウバロウ、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、オゾケライト、セレシンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、これらを必要に応じて1種単独または2種以上を併用して用いることができる。本発明においては、特にミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、カルナウバロウが好ましい。
【0016】
本発明において、成分(A)固形油の含有量は特に限定されないが、後述の成分(B)、成分(C)との組み合わせにおいて安定な油性固形の連続相を構成し、なおかつ適用時に肌上での伸び広がりを良好なものとするためには0.5質量%〜15質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、1.5質量%〜6質量%が特に好ましい。(以下、質量%を単に%と略記する。)
【0017】
本発明において成分(B)液状油とは、体温に近い35℃において流動性を有する油剤を意味するものであり、加温融解状態の成分(A)と相溶性を有し、その後室温において成分(A)、後述の成分(C)との組み合わせで安定な油性固形の連続相を構成する。本発明の油性固形クレンジング料を肌に適用すると、成分(B)はクレンジングの対象となるメイクアップ化粧料となじみ、これを肌や口唇から浮かせて離間させることができる。本発明において成分(B)はこのような特性を有する液状油であれば特に限定されず、天然物由来のもの、合成により得られるもの等の起源を問わない。具体的にはコメヌカ油、コメ胚芽油、オリーブ油、メドウフォーム油、ヤシ油、シア脂、エゴマ油、ブドウ種子油、マカデミアンナッツ油、アーモンド油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、アボカド油、カメリア油、ククイナッツ油、モモ核油、ホホバ油、ベニバナ油、ゴマ油、ヒマシ油、ラッカセイ油、セージ油、ナタネ油、コムギ胚芽油、ダイズ油、綿実油、茶実油、ミンク油等の動植物油;リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン)酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、トリカプリン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル・フィトステリル・ベヘニル)、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル等のエステル類;スクワラン、植物性スクワラン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素油等を挙げることができ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、適用時に肌上での伸び広がりが良好な油性固形相を形成する点で、コメヌカ油、コメ胚芽油、メドウフォーム油、ヤシ油、シア脂、エゴマ油、ブドウ種子油、マカデミアンナッツ油、ヒマワリ油、アボカド油、ホホバ油、等の植物油;スクワラン、植物性スクワラン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー等の炭化水素油;セチルイソオクタネート、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類が特に好ましい。
【0018】
本発明において、成分(B)液状油の含有量は特に限定されないが、成分(A)、後述の成分(C)との組み合わせで安定な油性固形の連続相を構成し、また適用時に肌や口唇上での伸び広がりを良好なものとするためには40%以上が好ましく、50%〜90%がより好ましく、特に55%〜75%が好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(C)の多糖脂肪酸エステルは多糖と脂肪酸のエステル化物であるが、本発明では使用時において、主として指などで取る時の崩れやすさや、肌、口唇上での伸び広がりの良さに寄与する。成分(C)を構成する多糖の好ましい例としてはデキストリン、イヌリン等が挙げられるが、特にデキストリンが好ましい。また、脂肪酸としては限定されないが、炭素数8〜22の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸がより好ましい。このような脂肪酸として具体的にはエチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等を例示することができる。成分(C)にはこれら脂肪酸の1種単独または2種以上の組み合わせと、上記多糖とのエステル化物が利用可能であるが、とりわけ構成脂肪酸の少なくとも一部にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の炭素数14以上の脂肪酸を含有するものが好ましい。多糖のエステル化の置換度は特に限定されないが、1〜3が好ましく、1.5〜2がより好ましい。ここで、多糖のエステル化の置換度とは、多糖を構成する糖単位、即ちデキストリンの場合はグルコース単位当り、イヌリンの場合はフルクトース単位当りの、水酸基中エステル化されたものの平均モル数を示し、これはケン化価等から算出できる。成分(C)として具体的には、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン等のイヌリン脂肪酸エステル等が挙げられ、何れも利用可能であるが、油性固形クレンジング料の肌上での伸び広がりの良さにおいてとりわけ優れた効果を発揮することから、デキストリン脂肪酸エステルが特に好ましい。成分(C)としては、例えばレオパールKL2、レオパールTL2、レオパールMKL2、レオパールTT2、ユニフィルマHVY、レオパールISK2、レオパールISL2(何れも千葉製粉社製)等の市販品を用いることができる。
【0020】
本発明において成分(C)の多糖脂肪酸エステルは1種を単独で用いても、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は特に限定されないが、油性固形クレンジング料として、特に肌や口唇上での伸び広がりの良さやクレンジング力、高温安定性において良好な効果を得る上で、好ましくは組成物の全量に対して0.01%〜10%であり、より好ましくは、0.1%〜5%、特に好ましくは0.5%〜2%である。
【0021】
本発明に用いられる成分(D)アニオン性界面活性剤は、成分(B)と共に肌や口唇上のメイクアップ化粧料とのなじみを促進し、さらに塗擦により浮いたメイクアップ化粧料の汚れを、水、温水等によりすすぐ時の洗い流しやすさに寄与する。本発明の油性固形クレンジング料では、その組成物の最終形態において、成分(A)〜(C)を含有する油性固形相中に成分(D)が分散された状態、即ち局在化した状態で存在する。これにより、成分(D)が他成分から受ける影響や他成分との相互作用を減らすことができ、汚れを落とす洗浄成分として効率良く機能させることができる。
【0022】
本発明の成分(D)アニオン性界面活性剤としては、化粧料や皮膚外用剤に使用可能なアニオン性界面活性剤であれば特に限定されず、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルイセチオン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩、N−アシル加水分解タンパク質、アルキルグリコール酢酸塩、アルキルスルホコハク酸エステル等、種々のアニオン性界面活性剤が使用可能である。具体的にはミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム、ベヘン酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸アンモニウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸アンモニウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、N−ラウロイルサルコシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸サルコシンカリウム、N−ラウロイルグリシンナトリウム、N−ラウロイルグリシンカリウム、N−ラウロイルグリシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシントリエタノールアミン、N−ラウロイルアラニンナトリウム、N−ラウロイルアラニントリエタノールアミン、N−ラウロイルアラニンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アラニンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アラニントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アラニンカリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニンカリウム、N−ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、N−ラウロイルイセチオン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンカリウム、N−ラウロイル−N−メチルタウリンカリウム、N−ステアロイル−N−メチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲントリエタノールアミン、ラウロイル加水分解コラーゲンカリウム、ラウロイル加水分解コラーゲンナトリウム、ラウロイル加水分解コラーゲントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸加水分解シルクカリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解シルクナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解シルクトリエタノールアミン、ラウロイル加水分解シルクカリウム、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、ラウロイル加水分解シルクトリエタノールアミン、ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸ステアリン酸モノエタノールアミド二ナトリウム等を挙げることができ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明において、成分(D)は室温(25℃)で固形状を呈するものがより好ましい。固形状であることにより、組成物中に分散物としてより安定に存在し得ることができ、組成物の安定性向上に寄与するとともに、洗い流し時の洗浄効果もより良好なものとなる。このような固形状のアニオン性界面活性剤の好ましい例として炭素数8〜22の直鎖飽和高級脂肪酸アルカリ金属塩やN−アシル−N−メチルタウリンアルカリ金属塩等が挙げられ、具体的にはミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムや、N−ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム等を例示することができる。これらのうち、炭素数8〜22の直鎖飽和高級脂肪酸アルカリ金属塩、とりわけ炭素数12〜16の直鎖飽和高級脂肪酸アルカリ金属塩であるミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムは洗い流しやすく、洗浄性も高いため、特に好ましい。
【0024】
本発明の油性固形クレンジング料の製造方法に関し、成分(D)は組成物の最終形態において、成分(A)〜(C)を含有する油性固形相中に分散された状態となっていれば良く、その分散方法は限定されない。即ち、例えば、成分(A)、成分(B)および成分(C)の均一混合溶解物、通常は加熱溶解物の中に成分(D)を添加し分散させても、また成分(A)と成分(B)の均一混合溶解物、これも通常は加熱溶解物の中に成分(D)を添加し分散させた後に成分(C)を添加し、混合溶解させても良い。この時、混合器や撹拌機等の機械力により分散させることが好ましいが、成分(D)が室温(25℃)で固形状のアニオン性界面活性剤であるような場合は、分散させるのにより大きな剪断力をかけることが必要となる。このような大きな剪断力をかける工程として、例えば三本ローラー等を用いてローラー処理するなど、強力な剪断機器を用いて分散させる工程を採用することにより製造が可能となる。
【0025】
なお、本発明の油性固形クレンジング料において、成分(D)の分散とは、油性固形の連続相中に成分(D)が一定の粒子径を有する複数の固形粒子ないし液滴粒子、好ましくは固形粒子の状態で、均一にあるいは構造を形成しながら分布する状態をいう。本発明においては、特に固形粒子が均一に分布する状態が好ましい。分散した成分(D)の粒子の粒子径は好ましくは1μm〜100μmの範囲内であり、より好ましくは5μm〜50μmの範囲内、特に好ましくは10μm〜30μmの範囲内である。粒子径の測定は目盛を付したスライドグラス等を用い、光学顕微鏡による目視観察で行った。この時、分散物の粒子が不定型の場合はその長径の寸法に基づき、これが一試料につき5か所の観察で何れも、例えば1μm〜100μmの範囲内に複数存在し、100μmを超えるものの個数が視野中全個数の5%未満であり、かつ、1μmに満たないものの個数が視野中全個数の5%未満である場合に、1μm〜100μmの範囲内にあるものとして判断した。
【0026】
本発明において成分(D)のアニオン性界面活性剤は1種を単独で用いても、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は特に限定されないが、クレンジング後すすぐ時の洗い流しやすさにおいて良好な効果を得る上で、好ましくは組成物の全量に対して1%〜50%であり、より好ましくは、5%〜35%、特に好ましくは10%〜25%である。
【0027】
本発明の油性固形クレンジング料においては、前記必須成分に加えてさらに成分(E)の少なくとも油に不溶性または非膨潤性である粒子状物質を含有することができる。成分(E)を含有することにより、指などで取る時や肌、口唇等への塗布時により崩れやすくなり塗布しやすくなったり、スクラブ効果が得られるなど機能が向上し、好ましい。また、成分(E)が組成物中でより安定であるためにはこの粒子状物質がさらに水にも不溶性または非膨潤性であることがより好ましい。成分(E)は少なくとも油に不溶性または非膨潤性であるため、油性固形相中に粒子として安定に存在し続け、粒子径が100μm〜200μm程度の粒子であれば主にスクラブ剤として機能し、粒子径が1μm〜50μm程度の粒子であれば、その含有量の調整により流動性や成形性をコントロールできることに加え、油性固形クレンジング料を指などで取る時に油性固形相の構造をより崩れやすくし、肌や口唇上で塗布しやすくさせる成分として機能する。
【0028】
本発明において、成分(E)としては、化粧料や皮膚外用剤等に配合可能で、本発明の油性固形クレンジング料中に安定に存在させることができる粒子状物質であれば、球状、板状、紡錘状、針状、不定形など粒子の形状や、多孔質、無孔質など粒子の構造、無機物、有機物、天然物、合成物など粒子の材質・起源等は特に限定されない。粒子径も特に限定されないが、スクラブ剤や塗布性の向上成分として含有する場合は、粒子径が1μm〜200μmの範囲内にあるような粒子が好ましい。このような粒子状物質としては無機顔料、有機顔料、光輝性顔料、体質粉体、色素粉体、複合粉体、種子核粒・殻粒等が挙げられ、具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、コンジョウ、群青、無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、スメクタイト、ベントナイト、カオリン、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、アルミナ、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー、N−アシルリジン、ポリスチレン末、ナイロン末、ポリメチルメタクリレート末、ポリメチルシルセスキオキサン末、オルガノポリシロキサンエラストマー末、アンズ核粒、モモ核粒、クルミ殻粒等が例示され、特にスクラブ剤や塗布性の向上成分として含有させる場合は、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト等の体質顔料や、アンズ核粒、モモ核粒、クルミ殻粒等の種子核粒・殻粒が好ましい。
【0029】
本発明において、成分(E)の粒子状物質は1種または2種以上の併用で用いることができ、その含有量は特に限定されないが、塗布性の向上やスクラブ効果を得ながらも、肌に過度の刺激を生じさせない範囲として、組成物の全量に対して0.1%〜20%が好ましい。特に、本発明においては、使用感の良さとクレンジング効果をより良好なものとするために、スクラブ剤と塗布性向上成分を併用することが好ましく、この場合塗布性向上成分としてタルク、マイカ、カオリン、セリサイト等の体質顔料を1%〜20%、特に5%〜15%含有させることが好ましい。また、スクラブ剤としてアンズ核粒やモモ核粒、クルミ殻粒等の種子核粒・殻粒を0.1%〜2%、特に0.3%〜1%含有させることが好ましい。
【0030】
本発明の油性固形クレンジング料には、本発明の効果を妨げない範囲内で通常の化粧料または皮膚外用剤に配合される他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、次に示す成分で、本発明の成分(A)ないし成分(D)に含まれないもの、即ちジメチルシリコーン、高分子量シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、多価アルコール変性シリコーン等のシリコーン類、一価低級アルコール、多価アルコール、水、高級アルコール、高級脂肪酸、水溶性高分子、皮膜形成剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水性増粘剤、増粘多糖類、油性樹脂、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、防腐剤、抗菌剤、抗炎症剤、香料、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、水溶性ビタミン類、油溶性ビタミン類、セラミド類、アミノ酸類、ムコ多糖類、植物エキス、着色剤等を配合することができる。
【0031】
本発明の油性固形クレンジング料は、35℃において流動性を有さず、また、35℃において有意、即ち1gf(グラムフォース)以上の針入荷重値を示すものであるが、系の安定性をより良好なものとし、かつ、手で取りやすく、肌や口唇上での伸び広がりをより良好なものとする上で、針入荷重値(35℃)が10gf〜100gfの範囲内にあるものが好ましく、30gf〜70gfの範囲内にあるものがより好ましい。なお、本発明において針入荷重値(35℃)の測定は、80℃に溶融した油性固形クレンジング料を液高が40mmになるようにジャー型容器に充填し、冷却・固化して35℃としたものを試料として、レオテック社製の「RHEOTECH FUDOH RHEO METER RTC−3002D」を使用し測定したものである。この時、硬度測定条件は、アダプターとして10mmΦの球状アダプターを用い、進入距離2.0mm、上昇速度6cm/min.である。
【実施例1】
【0032】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0033】
(本発明品1〜21および比較品1〜9:油性固形リップクレンジング)
表1ないし表3に示す組成および下記製造方法にて油性固形リップクレンジングを調製し、各試料について下記評価・判定方法により評価および判定を行った。結果を表1ないし表3に併記する。
【0034】
【表1】
(注1)NIKKOL精製オリーブスクワラン(日光ケミカルズ社製)
(注2)レオパールKL2(千葉製粉社製)
【0035】
表1−(製造方法)
A:成分1〜5および成分10を混合、加熱し均一に溶解する。
B:Aに成分6〜9および成分11を加え、混合する。
C:Bを三本ローラーにて混合、分散する。
D:Cに成分12、成分13を添加混合し、ジャー型容器に充填して油性固形リップクレンジングを得た。
【0036】
【表2】
【0037】
表2−(製造方法)
A:成分1〜5および成分15を混合、加熱し均一に溶解する。
B:Aに成分6〜14および成分16を加え、混合する。
C:Bを三本ローラーにて混合、分散する。
D:Cに成分17、成分18を添加混合し、ジャー型容器に充填して油性固形リップクレンジングを得た。
【0038】
【表3】
(注3)レオパールTL2(千葉製粉社製)
(注4)レオパールTT2(千葉製粉社製)
(注5)レオパールMKL2(千葉製粉社製)
(注6)レオパールISK2(千葉製粉社製)
(注7)ユニフィルマHVY(千葉製粉社製)
【0039】
表3−(製造方法)
A:成分1〜7および成分9〜14を混合、加熱し均一に溶解する。
B:Aに成分8および成分15を加え、混合する。
C:Bを三本ローラーにて混合、分散する。
D:Cに成分16、成分17を添加混合し、ジャー型容器に充填して油性固形リップクレンジングを得た。
【0040】
<評価方法1>
化粧品評価専門パネル20名に、下記組成の評価用スティック状口紅を、口唇に代えてより塗布面積が広く色も見やすい上腕内側に塗布してもらい、その後本発明品1〜21および比較品1〜9の油性固形リップクレンジングでクレンジングし、水で洗浄する使用試験を行ってもらった。使用試験は次の評価項目について下記の評価基準1に従って5段階評価してもらい、その後全パネルの評点の平均点を以下の判定基準1に従って判定した。
(イ)塗布時の伸びの良さ
・本発明品および比較品の各試料1gを上腕内側に塗布し伸ばした時の伸びの良さを評価した。
(ロ)口紅とのなじみ、(ハ)汚れ落ちの良さ、(ニ)すすぎ時の洗い流し性
・下記評価用口紅を上腕内側に塗布した後、その上に各試料3gをとり、15秒間塗擦した時のなじみの良さと、その後十分に水で洗い流した後の口紅の落ち具合を目視にて評価し、また、水で洗い流す時の洗い流しやすさを評価した。
<評価基準1>
[評価結果] :[評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
<判定基準1>
[評点の平均点] :[判定]
4.0以上 : ◎
3.5以上4.0未満 : ○
2.0以上3.5未満 : △
2.0未満 : ×
【0041】
<評価用スティック状口紅>
(組 成)
(成 分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 3
2.ポリエチレンワックス 1
3.フィッシャートロプシュワックス 7
4.ダイマージリノール酸(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 2
5.ラウロイルグルタミン酸ジ
(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 2
6.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
7.リンゴ酸ジイソステアリル 15
8.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
9.デカイソステアリン酸デカグリセリル 30
10.重質流動イソパラフィン 5
11.トリイソステアリン酸グリセリル 2
12.煙霧状シリカ 1.5
13.セリサイト 3
14.着色顔料(赤色202号、黄色4号) 1
15.酸化チタン 1.5
16.黒酸化鉄 0.1
17.パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 1
18.防腐剤 0.1
19.dl−α−トコフェロール 0.1
20.香料 0.1
(製造方法)
A.成分1〜11を加熱溶解後、成分12〜16を加えて均一に混合する。
B.Aに成分17〜19を加えて均一に混合する。
C.Bに成分20を加えて加熱し、口紅容器に充填し、冷却・固化して評価用スティック状口紅を得た。
【0042】
<評価方法2>
(ホ)安定性
・通常の生活空間における短期的な高温環境の再現として、各試料を50℃の恒温槽に1ヶ月間保管し、状態の変化の程度を目視にて観察し、以下の判定基準2に従い判定した。
<判定基準2>
[判定]:[観察結果]
◎ : 変化なし
〇 : わずかな発汗あり
△ : 一部溶解部分あり
× : 全部溶解している
××: 室温においても固化せず流動性を有する
【0043】
表1ないし表3の結果から明らかなように、本発明品1〜21の油性固形リップクレンジングは、塗布時の伸びの良さ、口紅とのなじみ、汚れ落ちの良さ、すすぎ時の洗い流し性、50℃における安定性の各項目全てにおいて何れも良好な結果を示し、優れた品質を有する油性固形クレンジング料であることが立証された。
一方、成分(C)を含有しない比較品1は塗布時の伸びが悪く、口紅とのなじみや汚れ落ちも満足できず、さらに50℃での安定性も劣るものであった。また、成分(D)アニオン性界面活性剤の代りにノニオン性界面活性剤やリン脂質を用いた比較品2〜9は口紅とのなじみや汚れ落ちにおいて満足のゆくものが得られないだけでなく、50℃や場合によっては室温においても油性固形クレンジング料を形成し得ず、良好な品質のものが得られなかった。
【実施例2】
【0044】
(本発明品22):油性固形スクラブクレンジング
下記の組成および製造方法にて、油性固形スクラブクレンジングを調製した。
(組成)
(成分) (%)
1.ミツロウ 2
2.キャンデリラロウ 1
3.コメヌカ油 33
4.メドウフォーム油 30
5.ミリスチン酸カリウム 20
6.パルミチン酸デキストリン(注2) 1
7.タルク 10
8.香料 2
9.ジプロピレングリコール 0.5
10.アンズ核粒 0.3
11.クルミ殻粒 0.2
【0045】
(製造方法)
A:成分1〜4および成分6を混合、加熱し均一に溶解する。
B:Aに成分5および成分7を加え、混合する。
C:Bを三本ローラーにて混合、分散する。
D:Cに成分8〜11を添加混合し、ジャー型容器に充填して油性固形スクラブクレンジングを得た。
【0046】
本発明品22の油性固形スクラブクレンジングは、肌および口唇上での伸び広がりが良好であり、ボディペイント等の肌用ポイントメイク化粧料や口紅とのなじみも良好で、特にスクラブ剤の効果もありメイク汚れの落ちがきわめて良いものであった。また、水による洗い流しもしやすく、50℃程度の高温条件下でも安定であって、油性固形スクラブクレンジングとして極めて優れた品質を有するものであった。