(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホームポジション(H)を挟んでその両側に走行ポジションであるドライブポジション(D)とリバースポジション(R)が設定されているとともに、前記ホームポジション(H)とドライブポジション(D)との間に第1ニュートラルポジション(Nd)が、前記ホームポジション(H)とリバースポジション(R)との間に第2ニュートラルポジション(Nr)がそれぞれ設定されていて、
操作部材の回動動作に基づくシフト操作により、前記ホームポジション(H)からドライブポジション(D)、リバースポジション(R)、第1ニュートラルポジション(Nd)および第2ニュートラルポジション(Nr)のうちいずれかのポジションを選択して該当するポジションに切り替えた後に、操作部材の操作力を解除することで操作部材がホームポジション(H)に復帰するように構成されている車両用シフト装置であって、
前記操作部材に連動して回動可能な磁石と、
前記磁石と対向する基板上に磁石の回動方向に沿って配置されていて、前記磁石の接近によってON作動する9個の非接触式の検出素子と、
を備えていて、
前記操作部材がドライブポジション(D)、リバースポジション(R)、第1ニュートラルポジション(Nd)および第2ニュートラルポジション(Nr)のうちいずれかのポジションにある時には、各ポジション毎に個別に割り当てられている二つで一組の検出素子で前記操作部材のポジションを検出するようになっているとともに、
前記操作部材がホームポジション(H)にある時には、当該ホームポジション(H)の両隣の第1,第2ニュートラルポジション(Nd),(Nr)と一つずつ共有するかたちで割り当てられた合計二つの検出素子とホームポジション(H)に割り当てられている単一の検出素子とで前記操作部材のポジションを検出するようになっていて、
さらに、前記操作部材が五つのポジションのうち隣り合ういずれか二つのポジション同士の間の中間位置にある時には、その中間位置の両隣のポジションと一つずつ共有するかたちで割り当てられた合計二つの検出素子で前記操作部材が該当する中間位置にあることを検出するようになっていることを特徴とする車両用シフト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたシフト装置では、センサ素子として単一の磁気センサを用いているため、操作部材としての回転ノブの回転角が小さい場合には、各シフトポジションの検出精度が低下するおそれがある。また、複数のシフトポジションに加えて隣り合うシフトポジション同士の間の中間位置までも検出しようとする場合は、例えばリンク機構やギヤ機構を用いて回転ノブの回転角を増幅する必要があり、多点位置検出を実現する上でなおも課題を残している。
【0007】
また、特許文献2に記載されたシフト装置では、磁石が検出素子一個分だけ移動した位置を中間位置とするならば隣り合うシフトポジション同士の間の中間位置までも検出することが可能であるものの、特許文献2の
図14〜19に記載されているように、8個の検出素子を空白列を含む11列に並べて配置する必要がある。そのため、磁石の移動量が極端に大きくなり、特許文献1に記載されたものと同様に、リンク機構やギヤ機構を用いて操作部材の回転角を増幅する必要があるほか、特にノブ(ダイヤル)タイプの操作部材を用いた上で上記の多点位置検出を実現する上でなおも課題を残している。
【0008】
さらに、特許文献2に記載されたシフト装置では、例えば第一のシフトポジションとそれに隣接する第二のシフトポジションとで共通の検出素子を用いているため、検出素子の故障が生じた場合に、現在の検出結果だけでは操作部材があるシフトポジションを特定できない場合がある。その対策として、一つ前の検出結果と現在の検出結果とをもって操作部材がある現在のシフトポジションを特定しなければならず、制御の複雑化が危惧される。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、複数のシフトポジションに加えて隣り合うシフトポジション同士の間の中間位置までも検出可能であり、しかも特定の検出素子が故障したような場合でも、操作部材が走行ポジションであるドライブポジションDやリバースポジションRにあるのか、あるいは走行ポジションと隣り合うニュートラルポジションにあるのか、を現在の検出結果だけで正確に特定できるようにしたシフト装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る請求項1に記載の発明は、ホームポジションHを挟んでその両側に走行ポジションであるドライブポジションDとリバースポジションRが設定されているとともに、前記ホームポジションHとドライブポジションDとの間に第1ニュートラルポジションNdが、前記ホームポジションHとリバースポジションRとの間に第2ニュートラルポジションNrがそれぞれ設定されていて、操作部材の回動動作に基づくシフト操作により、前記ホームポジションHからドライブポジションD、リバースポジションR、第1ニュートラルポジションNdおよび第2ニュートラルポジションNrのうちいずれかのポジションを選択して該当するポジションに切り替えた後に、操作部材の操作力を解除することで操作部材がホームポジションHに復帰するように構成されている車両用シフト装置であって、前記操作部材に連動して回動可能な磁石と、前記磁石と対向する基板上に磁石の回動方向に沿って配置されていて、前記磁石の接近によってON作動する9個の非接触式の検出素子と、を備えていてるものである。
【0011】
そして、前記操作部材がドライブポジションD、リバースポジションR、第1ニュートラルポジションNdおよび第2ニュートラルポジションNrのうちいずれかのポジションにある時には、各ポジション毎に個別に割り当てられている二つで一組の検出素子で前記操作部材のポジションを検出するようになっている。
【0012】
また、前記操作部材がホームポジションHにある時には、当該ホームポジションHの両隣の第1,第2ニュートラルポジションNd,Nrと一つずつ共有するかたちで割り当てられた合計二つの検出素子とホームポジションHに割り当てられている単一の検出素子とで前記操作部材のポジションを検出するようになっている。
【0013】
さらに、前記操作部材が五つのポジションのうち隣り合ういずれか二つのポジション同士の間の中間位置にある時には、その中間位置の両隣のポジションと一つずつ共有するかたちで割り当てられた合計二つの検出素子で前記操作部材が該当する中間位置にあることを検出するようになっている。
【0014】
この場合において、本発明における操作部材は、ノブ(ダイヤル)タイプのものであっても良く、またレバータイプのものであっても良い。
【0015】
より具体的には、請求項2に記載の発明のように、前記各検出素子の検出出力が入力されて、各ポジションおよび中間位置毎に割り当てられている検出素子の検出出力の組み合わせに基づいて該当するポジション信号を出力する制御手段を備えていて、当該制御手段は、前記ドライブポジションD、リバースポジションR、第1ニュートラルポジションNdおよび第2ニュートラルポジションNrのうちいずれかのポジションからホームポジションHに操作部材が復帰する際には、そのホームポジションHの両側の中間位置に操作部材が位置する状態をもってホームポジションHにあるものと判定するようになっているものとする。
【0016】
また、検出素子の故障対策としては、請求項3に記載発明のように、前記制御手段は、前記ドライブポジションD、リバースポジションR、第1ニュートラルポジションNdおよび第2ニュートラルポジションNrの各ポジション毎に個別に割り当てられている二つで一組の検出素子のうち少なくとも一つのものがONの時、および二つで一組の検出素子が共にONの時に、該当するポジション信号を出力するようになっているとともに、前記ホームポジションHに割り当てられている合計三つの検出素子のうち少なくとも二つのものがONの時に、該当するポジション信号を出力するようになっていることが望ましい。
【0017】
さらに、省スペース化を図りつつシフト装置の小型化を図る上では、請求項4に記載の発明のように、前記操作部材がホームポジションHにある時にこれを検出するべく、当該ホームポジションHの両隣の第1,第2ニュートラルポジションNd,Nrと一つずつ共有するかたちで割り当てられた合計二つの検出素子とホームポジションHに割り当てられている単一の検出素子との配置関係として、前記単一の検出素子の両側に前記二つの検出素子同士が対向配置されているとともに、それら二つの検出素子同士の間隔が、前記ホームポジションH以外の各ポジション毎に個別に割り当てられている二つで一組の検出素子同士の間隔よりも小さく設定されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、ホームポジションHと、走行ポジションであるドライブポジションDおよびリバースポジションRに、第1,第2のニュートラルポジションNd,Nrを加えた五つのシフトポジションに加えて、隣り合うシフトポジション同士の間の四つの中間位置を、9個の検出素子で検出するので、いわゆる多点位置検出を容易に実現することができる。
【0019】
また、走行ポジションであるドライブポジションDとリバースポジションRおよび第1,第2のニュートラルポジションNd,Nrを、各ポジションごとに独立して割り当てられた二つ一組の検出素子で検出するようにして、複数のシフトポジション間で特定の検出素子が重複しないようにしているので、二つ一組の検出素子のうち一つの検出素子が故障した場合であっても、現在の検出結果だけで操作部材のあるシフトポジションを容易に特定できる。これにより、シフトバイワイヤタイプのシフト装置の安全性が一段と向上する。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、走行ポジションであるドライブポジションDとリバースポジションRおよび第1,第2のニュートラルポジションNd,Nrのうちいずれかに操作部材を選択・切り替えした後に、その操作部材がホームポジションHに復帰する際には、操作部材がホームポジションHの両側の中間位置にある状態でもホームポジションHにあると判定するので、操作部材のシフト操作の終了をより早く判定することができ、シフト装置からの信号に基づく変速機側の制御をより早く処理できる。加えて、ホームポジションHを検出するために割り当てられている三つの検出素子のうちいずれか一つが故障した場合にも、ホームポジションHへの操作部材の選択・切り替えを正確に検出することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、ホームポジションH以外の四つのシフトポジションごとに二つ一組で割り当てられた検出素子の一つが故障した場合でも、シフトポジションを正確に把握できるほか、ホームポジションHに割り当てられた三つの検出素子のうち一つが故障した場合でも当該ホームポジションHを正確に検出することができ、よって、特定の一つの検出素子が故障した場合でも、現在の各検出素子による検出結果のみから五つのシフトポジションを判別することが可能となることで、通常のシフト操作を行うことができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、ホームポジションHに割り当てられている二つで一組の検出素子の間隔が、他の二つで一組の検出素子同士の間隔よりも小さく設定されているので、操作部材に連動して回動する磁石の移動範囲を狭めることができ、操作部材の操作量が小さい場合でも無理なく対応することができるほか、検出素子を取り付ける基板を小さくしてシフト装置の小型化が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜17は本発明に係るシフト装置を実施するためのより具体的な第1の形態を示す図であり、特に
図1はシフト装置全体の斜視図を示し、
図2は
図1に示したシフト装置の操作ノブによるシフトポジション(レンジ位置)パターンを示している。
【0025】
図1に示すように、シフト装置は、概略的には、相手側への取付面となる取付座部2aを底面側に有する略直方体形状のケース1と、ケース1の四周外側面のうち一つの面に回転中心を横向きにして設けられた操作部材としてのダイヤル式の操作ノブ5と、から構成されている。また、ケース1は、先に述べた座部2aを有するケース本体2とサイドケース3およびアッパーカバー4の三者から構成されている。このシフト装置は、例えばステアリングホイールを支持しているステアリングコラムの一部またはインストルメントパルのうちステアリングホイールに可及的に近い位置等に設けられる。
【0026】
ケース1のうちアッパーカバー4の上面にはパーキングインジケータを兼ねた照光押釦(押しボタン)式のパーキングスイッチ6と照光式のシフトポジションインジケータ7が設けられている。また、操作ノブ5は円筒状をなしていて、その円周方向での正転方向(矢印a1方向)と逆転方向(矢印a2方向)にそれぞれ回転可能にケース1に対して支持されている。そして、操作ノブ5の正転方向または逆転方向への回転操作によりシフトポジションの選択・切り替えが行われるようになっている。なお、一般的には操作ノブ5の正転方向(矢印a1方向)が車両前方側となるようにシフト装置の装着時の向きが設定される。
【0027】
さらに、操作ノブ5の外周面のうち真上位置には、当該操作ノブ5の径方向に出没可能なノブボタン8を設けてある。このノブボタン8は、操作ノブ5の長手方向(軸心方向)に延びる偏平ブロック状のものとして形成されている。そして、隣接するシフトポジションインジケータ7のニュートラルポジションを示す「N」の表示と、ドライブポジションを示す「D」の表示、およびリバースポジションを示す「R」の表示との関係において、常時はニュートラルポジション「N」の表示位置を指示する位置に自己保持されている。
【0028】
図2は操作ノブ5の回転に基づくシフト操作により選択・切り替えが行われるシフトポジションパターンを平面的に展開した模式図である。本実施の形態では、
図1に示したシフトポジションインジケータ7でのN、R、Dのそれぞれの表示とは別に、操作ノブ5のシフトポジションとして、
図2に示すように、操作ノブ5の回転方向での中立位置であるホームポジションHと、ホームポジションHから操作ノブ5を逆転方向(矢印a2方向)に回転操作したときに選択される走行ポジションとしてのドライブポジションDと、ホームポジションHから操作ノブ5を正転方向(矢印a1方向)に回転操作したときに選択される走行ポジションとしてのリバースポジションRのほか、ホームポジションHとドライブポジションDとの間の位置に第1ニュートラルポジションとしてのドライブ側ニュートラルポジションNdが、ホームポジションHとリバースポジションRとの間の位置に第2ニュートラルポジションとしてのリバース側ニュートラルポジションNrがそれぞれに設定されている。
【0029】
そして、操作ノブ5のホームポジションHがシフトポジションインジケータ7の「N」の表示位置に一致していて、同様に操作ノブ5のドライブポジションDがシフトポジションインジケータ7の「D」の表示位置に、操作ノブ5のリバースポジションRがシフトポジションインジケータ7の「R」の表示位置に、それぞれ一致している。
【0030】
また、操作ノブ5のホームポジションHからドライブポジションD側およびリバースポジションR側へのそれぞれの回転角はそれぞれ最大でも10°程度であり、後述するように、操作ノブ5はそのシフト操作力(回転操作力)を解除した時には、ホームポジションH以外のいずれのポジションからもホームポジションHに直ちに自己復帰するように構成されている。言い換えるならば、操作ノブ5は、ホームポジションH以外のD、R、Nd、Nrの各シフトポジションではその位置に自己保持する機能を有していない。
【0031】
本実施の形態では、操作ノブ5の内部に図示を省略したロック機構が内蔵されていて、ホームポジションHからリバースポジションRへの操作ノブ5によるシフト操作に際しては、リバース側ニュートラルポジションNrにて一旦ロックされるようになっていて、ノブボタン8を径方向に押し込むことで初めてリバースポジションRへのシフト操作が可能となっている。
【0032】
図3は
図1のb−b線に沿った断面図を示していて、ケース本体2内には操作ノブ5と一体的に回動または揺動する回転体9が同軸一体に設けられていて、この回転体9の上部に細いバー状の永久磁石タイプの磁石10が埋設されている。他方、ケース本体2の上面側から装着されるアッパカバー4の内下面には基板11が固定されている。そして、基板11のうち回転体9側の磁石10と対向する内側面には、その磁石10の回動または揺動範囲に及ぶように、例えば
図4に示す配列で非接触式の検出素子としての例えばホール素子等の複数の磁気センサS1〜S9からなるセンサ群Sが並べて配置されている。これらのセンサ群Sの配列の詳細は後述するが、いずれの磁気センサS1〜S9も操作ノブ5のシフト操作に伴う磁石10の接近・離間によって二値信号的なON−OFF信号を出力し、もって、いずれかのシフトポジションを選択して操作ノブ5を切り替えた時には、操作ノブ5が該当するシフトポジションにあることを検出するようになっている。
【0033】
同時に、後述するように、各シフトポジションごとの検出に相互に独立した複数の磁気センサを割り当ててあるとともに、全体の磁気センサS1〜S9の配置を特定のものとすることで、先に述べた五つのシフトポジションに加えて、隣り合う二つのシフトポジション同士の間の中間位置をも検出することが可能な構造となっている。
【0034】
図4,5の(A)〜(E)は、回転体9側の磁石10と対向する基板11側での磁気センサS1〜S9の配列と、その磁気センサS1〜S9の配列に対して操作ノブ5が各シフトポジションにある時の磁石10の位置を示していて、操作ノブ5をシフト操作した時には、回転体9に埋設されている磁石10は、操作ノブ5に転動してそれと一体的にその操作ノブ5の移動方向と同方向(
図4の矢印a1方向または
図5の矢印a2)に回動または揺動動作することになる。
【0035】
より詳しくは、
図4の(A)は操作ノブ5がホームポジションHにある時の磁石10の位置を示し、同図(E)は操作ノブ5がドライブポジションDにある時の磁石10の位置を示している。また、同図(C)は操作ノブ5がホームポジションHとドライブポジションDとの間のドライブ側ニュートラルポジション(第1ニュートラルポジション)Ndにある時の磁石10の位置を示している。さらに、
図4の(B)は操作ノブ5がホームポジションHとドライブ側ニュートラルポジションNdとの間の中間位置H−Ndにある時の磁石10の位置を示し、同図(D)は操作ノブ5がドライブポジションDとドライブ側ニュートラルポジションNdとの間の中間位置Nd−Dにある時の磁石10の位置を示している。
【0036】
同様に、
図5の(A)は操作ノブ5がホームポジションHにある時の磁石10の位置を示し、同図(E)は操作ノブ5がリバースポジションRにある時の磁石10の位置を示している。また、同図(C)は操作ノブ5がホームポジションHとリバースポジションRとの間のリバース側ニュートラルポジションNrにある時の磁石10の位置を示している。さらに、
図5の(B)は操作ノブ5がホームポジションHとリバース側ニュートラルポジションNrとの間の中間位置H−Nrにある時の磁石10の位置を示し、同図(D)は操作ノブ5がリバースポジションRとリバース側ニュートラルポジションNrとの間の中間位置Nr−Rにある時の磁石10の位置を示している。
【0037】
なお、
図4,5の(A)〜(E)では、便宜上、斜線(ハッチング)を施した磁石10の大きさをもってその磁石10の磁束が及ぶ範囲を示しているが、着磁方法にもよるが、一般的には実際の磁石10の大きさに比較して磁束が及ぶ範囲は磁石の輪郭形状よりも一回り大きなものとなるので、
図4,5のような磁束範囲となるように磁石10の大きさを決定してあるものとする。また、
図4,5において、磁気センサS1〜S9のいずれかに磁石10が接近したとしても、該当する磁気センサの中心に磁束範囲が及ばないかぎりはON状態にはならないものとする。
【0038】
そして、
図4,5から明らかなように、基板11には、操作ノブ5のシフト操作に伴う磁石10の回動または揺動方向に沿って二列にわたって合計で9個の磁気センサS1〜S9を配置してあり、各磁気センサS1〜S9の位置はいずれも磁石10の移動軌跡内に収まるように設定されている。ただし、磁石10の移動方向における各磁気センサS1〜S9の配置に着目した場合、二つの磁気センサS4,S6同士の間隔は、他の磁気センサ同士の間隔よりも小さく設定されている。
【0039】
図4の例では、ホームポジションHには下側に二つで上側に一つの合計で三つの磁気センサS4,S5,S6が割り当ててあり、これらの三つの磁気センサS4〜S6のON作動によって操作ノブ5がホームポジションHにあることが検出される。また、中間位置H−Ndには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS4,S5を、ドライブ側ニュートラルポジションNdには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS3,S4をそれぞれ割り当ててある。これにより、ホームポジションHからドライブ側ニュートラルポジションNdへとシフト操作されたことが二つの磁気センサS3,S4のON作動で検出され、さらにはホームポジションHからドライブ側ニュートラルポジションNdへとシフト操作される直前の過渡状態(遷移状態)での中間位置H−Ndが二つの磁気センサS4,S5のON作動で検出される。
【0040】
さらに、中間位Nd−Dには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS2,S3を、ドライブポジションDには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS1,S2をそれぞれ割り当ててあり、ホームポジションHからドライブ側ニュートラルポジションNdを経由してドライブポジションDへとシフト操作されたことが二つの磁気センサS1,S2のON作動で検出され、さらにはホームポジションHからドライブポジションDへとシフト操作される直前の過渡状態(遷移状態)での中間位置Nd−Dが二つの磁気センサS2,S3のON作動で検出される。
【0041】
これらの関係は
図5においても同様であり、ホームポジションHには下側に二つで上側に一つの合計で三つの磁気センサS4,S5,S6を割り当ててあることは先に述べた通りであって、中間位置H−Nrには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS5,S6を、リバース側ニュートラルポジションNrには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS6,S7をそれぞれ割り当ててある。これにより、ホームポジションHからリバース側ニュートラルポジションNrへとシフト操作されたことが二つの磁気センサS6,S7のON作動で検出され、さらにはホームポジションHからリバース側ニュートラルポジションNrへとシフト操作される直前の過渡状態(遷移状態)での中間位置H−Nrが二つの磁気センサS5,S6のON作動で検出される。
【0042】
さらに、中間位Nr−Rには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS7,S8を、リバースポジションRには上下各一つずつの合計で二つの磁気センサS8,S9をそれぞれ割り当ててあり、ホームポジションHからリバース側ニュートラルポジションNrを経由してリバースポジションRへとシフト操作されたことが二つの磁気センサS8,S9のON作動で検出され、さらにはホームポジションHからリバースポジションDへとシフト操作される直前の過渡状態(遷移状態)での中間位置Nr−Dが二つの磁気センサS7,S8のON作動で検出される。
【0043】
図6は、上記五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rと、それらのシフトポジション同士の間の中間位置Nd−D、H−Nd、H−Hr、Hr−Rでの各磁気センサS1〜S9のON−OFF出力の組み合わせを示していて、各磁気センサS1〜S9のON状態をハイレベル「H」で、各磁気センサS1〜S9のOFF状態をローレベル「L」でそれぞれ示している。
【0044】
図6から明らかなように、磁気センサS1,S9を除き、磁気センサS2〜S8は少なくとも隣り合う二つのポジション(中間位置を含む)同士の間で共有または共通して使用されているとともに、磁気センサS4,S5,S6は隣り合う三つのポジション(中間位置を含む)同士の間で共有または共通して使用されている。これにより、下側4個で上側5個の合計9個の磁気センサS1〜S9で、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rに四つの中間位置Nd−D、H−Nd、H−Hr、Hr−Rを加えた9ポジションの検出が可能となっている。
【0045】
その一方、ホームポジションHには三つの磁気センサS4,S5,S6が割り当てられているとともに、走行ポジションであるドライブポジションDは二つの磁気センサS1,S2が、同じく走行ポジションであるリバースポジションRには同様に二つの磁気センサS8,S9がそれぞれ割り当てられてはいても、ホームポジションHと走行ポジションであるドライブポジションDおよびリバースポジションRでは、磁気センサが一つも重複しないように、実質的に各シフトポジション専用に複数の磁気センサが割り当てられていることになる。
【0046】
図7は上記四つの中間位置Nd−D、H−Nd、H−Hr、Hr−Rを除いた五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rでの各磁気センサS1〜S9のON−OFF出力の組み合わせを示していて、ホームポジションHと走行ポジションであるドライブポジションDおよびリバースポジションRの少なくとも三つのシフトポジションD、H、R同士の間では磁気センサが一つも重複していないことが容易に理解できる。
【0047】
その一方、先に説明した
図7は、磁気センサS1〜S9がいずれもが正常時のON−OFF出力の組み合わせを示しているのに対して、
図8〜16は、合計9個の磁気センサS1〜S9のうちいずれか一つの磁気センサに例えば常時ONとなる故障(以下、「ON故障」と言う。)が発生した場合、およびいずれか一つの磁気センサに例えば常時OFFとなる故障(以下、「OFF故障」と言う。)が発生した場合の各磁気センサS1〜S9の出力の組み合わせを示している。
【0048】
より詳しくは、
図8の(A)は、磁気センサS1がON故障した場合の各磁気センサの出力の組み合わせを、同図(B)は磁気センサS1がOFF故障した場合の各磁気センサの出力の組み合わせをそれぞれ示していて、同様に、磁気センサS2〜S9のいずれかがON故障した場合およびOFF故障した場合の各磁気センサの出力の組み合わせを
図9〜16の(A),(B)にそれぞれ示している。
【0049】
図7から明かなように、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、RのうちホームポジションH以外の各シフトポジションD、Nd、Nr、Rには、他のシフトポジションとは重複することなくそれぞれに独立した二つの専用の磁気センサが割り当てられていて、さらにホームポジションHには、隣りのドライブ側ニュートラルポジション(第1ニュートラルポジション)Ndおよびリバース側ニュートラルポジション(第2ニュートラルポジション)Nrと共有し合う各1個の磁気センサS4,S6と、他のシフトポジションとは重複することのない専用の一つの磁気センサS5と、が割り当てられている。
【0050】
そして、これにより、
図7から明かなように、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rのうちいずれのポジションにシフト操作(選択・切り替え)を行った場合にも、総数9個の磁気センサS1〜S9のセンサ出力の組み合わせにて各シフトポジションを正確に検出することができる。
【0051】
その一方、合計9個の磁気センサS1〜S9のうちいずれか一つの磁気センサがON故障またはOFF故障した場合、
図8〜16に示すように、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rのうちいずれのポジションにシフト操作(選択・切り替え)を行ったとしても、総数9個の磁気センサS1〜S9のセンサ出力の組み合わせにて各シフトポジションを正確に検出することができる。
【0052】
例えば、
図8の(A)は先にも述べたように磁気センサS1がON故障した場合を、同図(B)は磁気センサS1がOFF故障した場合をそれぞれ示していて、これらの図から明かなように、磁気センサS1が常時ON(出力レベルが常時「H」)または常時OFF(出力レベルが常時「L」)であっても、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、R同士のなかで該当する磁気センサの出力パターンの組み合わせが重複することがない。このことは、
図9〜16から明らかなように、他の磁気センサS2〜S9のいずれか一つがON故障またはOFF故障した場合にも全く同様である。
【0053】
したがって、合計9個の磁気センサS1〜S9のうちいずれか一つの磁気センサが故障した場合であって、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rのうちいずれのポジションにシフト操作(選択・切り替え)を行った場合にも、該当するポジションを正確に検出することができ、以降のシフト操作を支障なく継続することができる。
【0054】
また、
図4,5に基づいて先に述べたように、ホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4〜S6の配置としては、一つの磁気センサS5の両側に二つで一組の磁気センサS4,S6が対向配置されていて、その二つで一組の磁気センサS4,S6同士の間隔は他の磁気センサ同士の間隔よりも小さく設定されている。これにより、操作ノブ5の動きに連動して回動または揺動動作する磁石10の移動範囲を狭めることができ、操作ノブ5の操作量が小さい場合でも無理なく対応することができるほか、磁気センサS1〜S9を取り付ける基板11(
図3参照)の大きさを小さくしてシフト装置の小型化にも寄与することができるようになる。
【0055】
図17は合計9個の磁気センサS1〜S9を主要素とするシフト装置の電気的なシステムブロック図を示していて、各磁気センサS1〜S9の出力は制御手段としてのシフト・バイ・ワイヤ・コントロールユニット(以下、単に「コントロールユニット」と言う。)12に入力される。コントロールユニット12は例えばCPU、ROM及びRAM等を主要素とした上で、記憶部13、比較部14および出力部15等から構成されている。出力部15は、後述するように、コントロールユニット12にて最終的に判定されたシフトポジションに該当する信号を変速指令として車両変速機に出力する機能を有する。
【0056】
そして、
図6に示したように、五つのシフトポジションD、Nd、H、Nr、Rに四つの中間位置Nd−D、H−Nd、Nr−H、R−Nrを含めた合計9ポジションでの磁気センサS1〜S9の出力パターンのほか、
図8〜16に示したように、磁気センサS1〜S9のそれぞれがON故障およびOFF故障した場合の各磁気センサS1〜S9の出力パターンを全てコントロールユニット12の記憶部13にシフトパターンテーブルとして予め記憶させておくものとする。
【0057】
これにより、コントロールユニット12では、操作ノブ5のシフト操作に基づいて入力される各磁気センサS1〜S9の出力パターンを、先に述べように記憶部13に予め記憶されているシフトパターンテーブルと比較部14にて比較・照合することにより、該当するシフトポジションを判定(特定)し、そのシフトポジションへの変速指令(ポジション信号)を出力部15から車両変速機の制御部に対して出力することになる。
【0058】
この場合において、
図6に示すように、ホームポジションHに割り当てられた3個の磁気センサS4,S5,S6のうち二つの磁気センサS4,S5は、ドライブポジションD寄りの隣の中間位置H−Ndと共通していて、同じくホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6のうち二つの磁気センサS5,S6は、リバースポジションR寄りの隣の中間位置H−Nrと共通している。
【0059】
そのため、例えばドライブポジションDあるいは第1ニュートラルポジションNdからホームポジションHへの操作ノブ5の復帰動作に際しては、ホームポジションHへの復帰を待たずに、操作ノブ5が隣の中間位置H−Ndを通過して少なくとも二つの磁気センサS4,S5がON作動したタイミングで、操作ノブ5がホームポジションHへ復帰したと判定するものとする。
【0060】
同様に、例えばリバースポジションRあるいはリバース側ニュートラルポジション(第2ニュートラルポジション)NrからホームポジションHへの操作ノブ5の復帰動作に際しては、ホームポジションHへの復帰を待たずに、操作ノブ5が隣の中間位置H−Nrを通過して少なくとも二つの磁気センサS5,S6がON作動したタイミングで、操作ノブ5がホームポジションHへ復帰したと判定するものとする。
【0061】
このように、操作ノブ5のホームポジションHへの復帰に際して、両隣の中間位置H−NdおよびH−Nrと共通する二つの磁気センサS4,S5またはS5,S6のON作動のタイミングでいわゆる先読みして操作ノブ5のホームポジションHへの復帰を判定することにより、以降の処理を速やかに実行することができる。また、ホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6のうちいずれか一つがON故障またはOFF故障した場合にも、操作ノブ5のホームポジションへの復帰を正確に検出することができる。
【0062】
また、上記
図6に示したように、ホームポジションH以外のドライブポジションD、ドライブ側ニュートラルポジションNd、リバース側ニュートラルポジションNrおよびリバースポジションRにそれぞれに割り当てられている二つで一組の磁気センサは、それら四つのシフトポジションD,Nd、Nr、R間では一つも重複していないことは先に述べた通りである。
【0063】
また、ホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6のうち一部の磁気センサS4またはS6がシフトポジションポジションNdまたはNrと重複してはいても、磁気センサS5が実質的にホームポジションH専用のものとして割り当てられているため、ホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6のうち少なくとも二つの磁気センサS4,S5またはS5,S6の組み合わせは、他の四つのシフトポジションD,Nd、Nr、Rに割り当てられた二つで一組の各磁気センサの組み合わせと重複することがない。
【0064】
そこで、コントロールユニット12は、四つのシフトポジションD,Nd、Nr、Rの検出に際しては、それぞれに割り当てられた該当する二つの磁気センサがON状態となった場合はもちろんのこと、二つで一組の磁気センサのうちいずれか一つがON状態となったことを条件に該当するポジション信号を出力するものとする。
【0065】
同様に、ホームポジションHの検出に際しては、そのホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6の全てがON状態となった場合はもちろんのこと、それら三つの磁気センサS4,S5,S6のうちいずれか二つの磁気センサがON状態となったことを条件に該当するポジション信号を出力するものとする。
【0066】
こうすることにより、ドライブポジションD、ドライブ側ニュートラルポジションNd、リバース側ニュートラルポジションNrおよびリバースポジションRにそれぞれに二つ一組で割り当てられた磁気センサの一つが故障した場合でも、シフトポジションを正確に把握・検出することができるほか、ホームポジションHに割り当てられた三つの磁気センサS4,S5,S6のうち一つが故障した場合でも当該ホームポジションHを把握・正確に検出することができる。その結果として、五つのシフトポジションのうち一つのシフトポジションごとに一つの磁気センサが故障した場合であっても、残された各磁気センサによる検出結果のみから五つのシフトポジションを判別することが可能となって、通常のシフト操作を行うことができることになる。
【0067】
図18〜21は本発明に係るシフト装置を実施するための第2の形態を示していて、特に
図18の(A)はシフト操作のための操作部材がレバータイプのシフト装置の概略的な斜視図を、同図(B)は同図(A)のシフト装置でのシフトポジションパターンをそれぞれ示している。また、
図19は
図18の(A)に示したシフト装置の分解図を示している。
【0068】
図18の(A)に示すシフト装置では、縦型ボックス状のケース20の上面から球状の把手部21aを有する操作部材としてのシフトレバー21が突出していて、このシフトレバー21は例えば矢印a1,a2で示す車両前後方向に回動または揺動可能となっている。なお、矢印a1が車両前方側を示し、矢印a2が車両前方側を示している。
【0069】
そして、同図(B)に示すように、シフトレバー21の中立位置となるホームポジションHと、走行ポジションとしてのドライブポジションD、第1ニュートラルポジションとしてのドライブ側ニュートラルポジションNd、走行ポジションとしてのリバースポジションR、および第2ニュートラルポジションとしてのリバース側ニュートラルポジションNrがそれぞれ設定されている。
【0070】
なお、このようなシフトポジションの配置は
図2に示したものと同じである。また、シフトレバー21は先のノブタイプのものと同様にいわゆる自己復帰型のものであり、ホームポジションHからそれ以外の四つのシフトポジションD、Nd、Nr、Rのいずれかにシフト操作した上でその操作力を解除すれば、シフトレバー21は図示を省略したスプリング等の復帰手段により直ちにホームポジションHに復帰して、そのホームポジションHに自己保持される。
【0071】
図18の(A)に示したケース20は、偏平ホックス状のケース本体22と、ケース本体22の一方の側面に装着される矩形浅皿状のサイドカバー23と、同じくケース本体22の上面に装着されるアッパカバー24と、から構成されている。
【0072】
図19に示すように、アッパカバー24が外されたケース本体22の内部空間にシフトレバー21の下半部が収容される。ケース本体22の上面開口縁部に形成された軸受凹部22aに、シフトレバー21側の球状部25に突出形成された回転軸25aを軸受支持させるともに、
図18の(A)に示したアッパカバー24で覆うことで、シフトレバー21がケース本体22に対して例えば車両前後方向に回動または揺動可能に、すなわちシフト操作可能に支持されている。
【0073】
ケース本体22の一方の側面に形成された収容凹部26に、後述する基板27と略V字状の揺動レバー28とが互いに近接しつつ対向するかたちでセットで収容され、それらを覆うようにサイドカバー23が装着される。また、収容凹部26とケース本体22の内部空間とを隔離している隔壁部には窓部29が形成されている。
【0074】
揺動レバー28には軸穴29と長穴30とが形成されているとともに、長矩形状の永久磁石タイプの磁石31が埋設されていて、さらに基板27にも軸穴32が形成されている。基板27を覆うことになるサイドカバー23の内側面には揺動レバー28および基板27側の軸穴29,32にはめ合わされる支持軸部23aが突出形成されている。これにより、ケース本体22の受容凹部26にサイドカバー23が装着された時には、そのサイドカバー23側の支持軸部23aが揺動レバー28および基板27側の軸穴32にはめ合わされて、基板27が支持軸部23aによりセンタリグされて位置決めされるとともに、揺動レバー28が支持軸部23aにより回動または揺動可能に軸受支持されることになる。
【0075】
シフトレバー21には回転軸部25aよりも下方位置に連結ピン33が突出形成されていて、この連結ピン33が窓部29を通して揺動レバー28の長穴30に係合するようになっている。したがって、シフトレバー21を車両前後方向にシフト操作するならば、それに連動して所定のレバー比で揺動レバー28が支持軸部25aを回転中心として回動または揺動動作することになる。
【0076】
基板27のうち揺動レバー28側の磁石31と対向する内側面には、その磁石31の揺動範囲に及ぶように、例えば
図20に示す配列で検出素子としての例えばホール素子等の複数の磁気センサS1〜S9が並べて配置されている。これらの磁気センサS1〜S9の配列の詳細は後述するが、いずれの磁気センサS1〜S9もシフトレバー21のシフト操作に伴う磁石31の接近・離間によって二値信号的なON−OFF信号を出力し、もって、いずれかのシフトポジションを選択してシフトレバー21を切り替えた時には、シフトレバー21が該当するシフトポジションにあることを検出するようになっている。
【0077】
図20,21は揺動レバー28側の磁石31と対向する基板27での磁気センサS1〜S9の配列の詳細を示している。
図20,21に示すように、シフトレバー21をシフト操作した時には、揺動レバー28に埋設されている磁石31は揺動レバー21と一体的に支持軸部23aを回転中心として回動または揺動動作することになる。
【0078】
図20,21の(A)〜(E)は、揺動レバー28側の磁石31と対向する基板27側での合計9個の磁気センサS1〜S9の配列と、その磁気センサS1〜S9の配列に対してシフトレバー21が各シフトポジションにある時の磁石31の位置を示していて、シフトレバー21をシフト操作した時には、揺動レバー28に埋設されている磁石31は、シフトレバー21に連動してそのシフトレバー21の移動方向と反対方向(
図20の矢印a11方向または
図21の矢印a12)に回動または揺動動作することになる。
【0079】
ここで、合計9個の磁気センサS1〜S9が磁石31の移動方向に沿って複数列で配置されている点で、先の第1の実施の形態として
図4,5に示したものと基本的に同様であって、
図20は
図4に、
図21は
図5にそれぞれ対応している。
【0080】
また、本実施の形態のレバータイプのシフト装置では、
図18および
図20,21から明らかなように、シフトレバー21の回動または揺動方向に対して磁石31が装着された揺動レバー28の回動または揺動方向が逆向きとなるので、
図20,21では、シフトレバー21のa2方向へのシフト操作に伴う磁石31(揺動レバー28)の移動方向を矢印a12で、シフトレバー21のa1方向へのシフト操作に伴う磁石31の移動方向を矢印a11で示している。
【0081】
それ故に、
図6,7のほか
図8〜16に示した各磁気センサS1〜S9のON1−OFF出力の組み合わせは、
図20,21の示した磁気センサS1〜S9と磁石31との関係においてもそのまま当てはまることになる。その結果として、本実施の形態においても先の第1の実施の形態と同様の機能の下に、当該第1の実施の形態と全く同様の効果が得られることになる。