特許第6659419号(P6659419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6659419雨仕舞構造、雨押さえ材及び雨仕舞構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659419
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】雨仕舞構造、雨押さえ材及び雨仕舞構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/14 20060101AFI20200220BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   E04D13/14 D
   E04D3/40 P
   E04D3/40 R
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-57613(P2016-57613)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-172156(P2017-172156A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−339759(JP,A)
【文献】 実開昭57−172825(JP,U)
【文献】 実開平01−157822(JP,U)
【文献】 米国特許第04998389(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁面と屋根面との取合部が雨押さえ材で覆われた雨仕舞構造であって、
前記雨押さえ材は、
一端部が前記屋根面側に延びると共に他端部が前記外壁面に接するベース部材と、
前記ベース部材を覆い、一端部が前記屋根面の上方に配置されると共に他端部が前記外壁面に接するトップ部材と
を備え、
前記ベース部材の他端部には、前記外壁面との間でシーリング材を収容するベース側シーリング材収容部を形成するベース側シーリング材受け部が設けられ、
前記ベース側シーリング材受け部は、
下端が前記外壁面に当接すると共に上方に向かって反外壁面側に傾斜する傾斜片部を具備し、
前記トップ部材の他端部には、前記ベース側シーリング材収容部の上方において前記外壁面との間でシーリング材を収容するトップ側シーリング材収容部を形成するトップ側シーリング材受け部が設けられており、
前記ベース側シーリング材収容部および前記トップ側シーリング材収容部に前記シーリング材が充填されている、雨仕舞構造。
【請求項2】
前記ベース部材は前記屋根面に固着具によって固定されており、
前記トップ部材は前記固着具を覆う、
請求項1記載の雨仕舞構造。
【請求項3】
前記ベース側シーリング材受け部は、前記傾斜片部の上端から上方に突出する突出片部を更に具備する、
請求項1または請求項2記載の雨仕舞構造。
【請求項4】
前記トップ側シーリング材受け部は、
前記突出片部に上方から引っ掛かる引っ掛かり片部と、
該引っ掛かり片部の前記外壁面側から該外壁面側に延びてシーリング材を受ける受け片部と
を具備する
請求項3記載の雨仕舞構造。
【請求項5】
外壁面と屋根面との間の取合部を覆う雨押さえ材であって、
一端部が前記屋根面側に延びると共に他端部が前記外壁面側に接するベース部材と、
前記ベース部材を覆うように配置され、一端部が前記屋根面の上方に配置されると共に他端部が前記外壁面に接するように構成されたトップ部材と
を備え、
前記ベース部材の他端部には、前記外壁面との間でシーリング材を収容するベース側シーリング材収容部を形成するように構成されたベース側シーリング材受け部が設けられ
前記ベース側シーリング材受け部は、
下端が前記外壁面に当接すると共に上方に向かって反外壁面側に傾斜する傾斜片部を具備し、
前記トップ部材の他端部には、前記ベース側シーリング材収容部の上方において前記外壁面との間でトップ側シーリング材収容部を形成するように構成されたトップ側シーリング材受け部が設けられている、雨押さえ材。
【請求項6】
請求項5に記載の雨押さえ材で外壁面と屋根面との間の取合部を覆うことにより雨仕舞構造を施工する方法であって、
前記ベース部材の一端部を前記屋根面に固定すると共に、前記ベース部材の他端部を前記外壁面に当てた状態で、前記ベース部材を取り付け、
前記ベース部材の前記ベース側シーリング材受け部と前記外壁面とで形成された前記ベース側シーリング材収容部にシーリング材を充填し、
前記トップ部材の一端部を前記屋根面の上方に配置して固定すると共に、前記トップ部材の他端部を前記外壁面に当てた状態で、前記トップ部材を、前記ベース部材を覆うようにして取り付け、
前記トップ部材の前記トップ側シーリング材受け部と前記外壁面とで形成された前記トップ側シーリング材収容部にシーリング材を充填する、雨仕舞構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨仕舞構造、雨押さえ材及び雨仕舞構造の施工方法に関し、特に、外壁面と屋根面との取合部における雨仕舞構造この雨仕舞構造に用いられる雨押さえ材及び雨仕舞構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の外壁面と屋根面との取合部における雨仕舞構造が開示されている。この従来の雨仕舞構造は、既設の屋根材(旧屋根材)を覆うように、新設の屋根材が設置され、さらに、この新設の屋根材とそれに隣接する外壁パネルとの取合部に雨押さえ材が設置されており、この雨押さえ材によって当該取合部から水が浸入するのを防止する構造である。
【0003】
上記の雨押さえ材は、下端部が新設の屋根材の上端部を覆う一方、上端部が外壁パネルの下端部表面を覆うと共に外壁パネルに固定される固定部材に係止しており、この固定部材が外壁パネルに固定されることによって当該雨押さえ材が固定されている。この固定部材の外壁パネル側の上角部には、凹状のシール受部が設けられており、このシール受部と外壁面との間に、シーリング材が充填されることによって外壁面を伝って流下する雨水などが新設の屋根材と外壁パネルとの取合部から浸入するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−229568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の雨仕舞構造では、露出したシーリング材のみで止水を図ろうとするものであるため、シーリング材が劣化しやすいうえに、シーリング材が劣化した場合には、止水性を保つことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外壁面との間でシーリング材を充填する構造において、長期間にわたって止水性を保つことができる外壁面と屋根面との取合部の雨仕舞構造雨押さえ材及び雨仕舞構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の雨仕舞構造は、外壁面と屋根面との取合部が雨押さえ材で覆われた雨仕舞構造であって、前記雨押さえ材は、一端部が前記屋根面側に延びると共に他端部が前記外壁面に接するベース部材と、前記ベース部材を覆い、一端部が前記屋根面の上方に配置されると共に他端部が前記外壁面に接するトップ部材とを備え、前記ベース部材の他端部には、前記外壁面との間でシーリング材を収容するベース側シーリング材収容部を形成するベース側シーリング材受け部が設けられ、前記ベース側シーリング材受け部は、下端が前記外壁面に当接すると共に上方に向かって反外壁面側に傾斜する傾斜片部を具備し、前記トップ部材の他端部には、前記ベース側シーリング材収容部の上方において前記外壁面との間でシーリング材を収容するトップ側シーリング材収容部を形成するトップ側シーリング材受け部が設けられており、前記ベース側シーリング材収容部および前記トップ側シーリング材収容部に前記シーリング材が充填されていることを特徴とする。
【0008】
また、この雨仕舞構造において、前記ベース部材は前記屋根面に固着具によって固定されており、前記トップ部材は前記固着具を覆うことが好ましい。
【0009】
また、この雨仕舞構造において、前記ベース側シーリング材受け部は、前記傾斜片部の上端から上方に突出する突出片部を更に具備することが好ましい。
【0010】
また、この雨仕舞構造において、前記トップ側シーリング材受け部は、前記突出片部に上方から引っ掛かる引っ掛かり片部と、該引っ掛かり片部の前記外壁面側から該外壁面側に延びてシーリング材を受ける受け片部とを具備することが好ましい。
【0011】
また、本発明の雨押さえ材は、外壁面と屋根面との間の取合部を覆う雨押さえ材であって、一端部が前記屋根面側に延びると共に他端部が前記外壁面側に接するベース部材と、前記ベース部材を覆うように配置され、一端部が前記屋根面の上方に配置されると共に他端部が前記外壁面に接するように構成されたトップ部材とを備え、前記ベース部材の他端部には、前記外壁面との間でシーリング材を収容するベース側シーリング材収容部を形成するように構成されたベース側シーリング材受け部が設けられ、前記ベース側シーリング材受け部は、下端が前記外壁面に当接すると共に上方に向かって反外壁面側に傾斜する傾斜片部を具備し、前記トップ部材の他端部には、前記ベース側シーリング材収容部の上方において前記外壁面との間でトップ側シーリング材収容部を形成するように構成されたトップ側シーリング材受け部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の雨仕舞構造の施工方法は、前記雨押さえ材で外壁面と屋根面との間の取合部を覆うことにより雨仕舞構造を施工する方法であって、前記ベース部材の一端部を前記屋根面に固定すると共に、前記ベース部材の他端部を前記外壁面に当てた状態で、前記ベース部材を取り付け、前記ベース部材の前記ベース側シーリング材受け部と前記外壁面とで形成された前記ベース側シーリング材収容部にシーリング材を充填し、前記トップ部材の一端部を前記屋根面の上方に配置して固定すると共に、前記トップ部材の他端部を前記外壁面に当てた状態で、前記トップ部材を、前記ベース部材を覆うようにして取り付け、前記トップ部材の前記トップ側シーリング材受け部と前記外壁面とで形成された前記トップ側シーリング材収容部にシーリング材を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の雨仕舞構造および雨押さえ材によれば、外壁面との間でシーリング材を充填する構造において、長期間にわたって止水性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る雨仕舞構造の断面図である。
図2】同上の雨押さえ材のベース部材の拡大図である。
図3】同上の雨押さえ材のトップ部材の拡大図である。
図4図4Aは、同上の改修前の下屋の断面図である。図4Bは、同上の新設の屋根材を設置した状態を説明するための断面図である。
図5図5Aは、同上のベース部材を取り付けた状態の断面図である。図5Bは、同上のトップ部材を取り付けた状態の断面図である。
図6】本発明の実施形態2に係る雨仕舞構造の断面図である。
図7図7Aは、変形例のベース部材の拡大図である。図7Bは、さらなる変形例のベース部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態の雨仕舞構造は、2階建て住宅における下屋1と外壁との間の雨仕舞の構造である。本実施形態の下屋1は、図1に示すように、既設の屋根材14の上に新設の屋根材63を設置した構造である。雨仕舞構造は、新設の屋根材63の上面(屋根面)と外壁材51の屋外側の面(以下、「外壁面51a」という。)との取合部が雨押さえ材2で覆われて構成される。
【0016】
なお、以下においては、下屋1の上端部を棟とし、棟から軒に向かう方向を流れ方向として定義する。また、流れ方向に平行な方向を屋根勾配方向とし、屋根勾配方向に直交しかつ水平面に沿った方向を左右方向として定義する。
【0017】
雨押さえ材2は、外壁材51と屋根材63との間に雨水が浸入するのを防ぐ。本実施形態の雨押さえ材2は、屋根の改修用の雨押さえ材2であり、設置された状態では、外壁面51aに対して止水性を保って接続される。雨押さえ材2は、ベース部材3と、トップ部材4とを備えている。
【0018】
図2には、ベース部材3の拡大図を示す。ベース部材3は、軒側の端部が屋根面側に延びており、棟側の端部が外壁面51a側に延びている。具体的に、ベース部材3の軒側の端部は、下屋1の棟に固定された支持部材64に、固着具(例えば、釘)により固定される。ベース部材3は、平坦部31と、ベース側シーリング材受け部32とを備え、金属板を曲げ加工することで形成されている。ベース部材3は、左右方向に延びており、下屋1の左右方向の全長にわたって配置される。
【0019】
平坦部31は、支持部材64に固着具によって固定される部分である。本実施形態の平坦部31は、外壁面51aと支持部材64との間の隙間を覆う。平坦部31の外壁面51a側の端部には、ベース側シーリング材受け部32が形成されている。
【0020】
ベース側シーリング材受け部32は、外壁面51aとの間でシーリング材を収容するためのシーリング材収容部(以下、ベース側シーリング材収容部71)を形成する。ベース側シーリング材受け部32は、上方に向かって反外壁面51a側に傾斜する傾斜片部34と、傾斜片部34の上端部から上方に突出する突出片部35とで構成されている。
【0021】
傾斜片部34の下端部には当接部33が形成されている。当接部33は、平坦部31における外壁面51a側の先端部である。当接部33は、平坦部31が支持部材64に固定された状態において、外壁面51aに当たる。傾斜片部34と外壁面51aとの間にシーリング材が充填されるときに、当接部33が外壁面51aに当たった状態を保つことで、当該シーリング材が下方に流出するのを防ぐことができる。なお、当接部33の全体が外壁面51aに当接する必要は無く、シーリング材の下方への流出を防止可能な程度に当接していればよい。
【0022】
傾斜片部34は、当接部33から屋外側の斜め上方に向かって直線状に延びており、平坦部31が支持部材64に固定された状態において、外壁面51aから離間するように構成される。これにより、傾斜片部34は、外壁面51aとの間で、ベース側シーリング材収容部71を形成することができる。
【0023】
突出片部35は、傾斜片部34の上端部から上方に向かって直線状に延びている。突出片部35には、後述のトップ部材4の引っ掛かり片部49が上方から嵌まり、これにより、トップ部材4の外壁面51a側の端部にシーリング材を充填する作業を行うときにおいて、このトップ部材4の外壁面51a側の端部を位置決めすることができる。
【0024】
このような構成のベース部材3は、当接部33を外壁面51aに当てた状態で、平坦部31を支持部材64上に載置し、固着具を打ち込むことで固定される。この状態において、ベース部材3は、ベース側シーリング材受け部32と外壁面51aとの間にベース側シーリング材収容部71を形成する。施工者は、このベース側シーリング材収容部71にシーリング材を充填し、シーリング材を硬化させる。これにより、ベース部材3は、一端部が支持部材64に固定されると共に、他端部が外壁面51aに接続される。
【0025】
このようなベース部材3の上方には、トップ部材4が覆うようにして取り付けられる。
【0026】
図3には、トップ部材4の拡大図を示す。トップ部材4は、軒側の端部が屋根面の上方に位置すると共に、棟側の端部(外壁面51a側の端部)が外壁面51aに接する。トップ部材4は、本体部41と、トップ側シーリング材受け部46とを備え、金属板を曲げ加工することで形成されている。トップ部材4は、左右方向に延びており、下屋1の左右方向の全長にわたって配置される。
【0027】
本体部41は、ベース部材3の上方を覆うように構成される。本体部41は、屋根面の上方に配置される導水部42と、導水部42の棟側の端部から突出した固定部43と、固定部43の上端から外壁面51aに向かって延びた覆い部44とで構成される。
【0028】
導水部42は、軒側の先端が自由端となっており、この軒側の先端が屋根面上に配置される。これにより、導水部42は、覆い部44側から流下する雨水を屋根面上に案内することができる。
【0029】
固定部43は、支持部材64の軒側の端面に沿うように形成される。固定部43は、屋根面の法線方向に略平行に延びており、当該法線方向に幅を有している。本実施形態の固定部43の幅は、後述の立上部45の幅よりも短く形成されている。固定部43は、支持部材64の軒側の端面に当てた状態で、固着具が打ち込まれることで、当該支持部材64に固定される。
【0030】
覆い部44は、固定部43の上端から屋根面に略平行に延びている。覆い部44は、平坦面をなしており、支持部材64およびベース部材3の平坦部31を覆うように構成されている。なお、覆い部44には釘やビス等の固着具は打ち込まれない。この覆い部44の上端部には、トップ側シーリング材受け部46が形成されている。
【0031】
トップ側シーリング材受け部46は、外壁面51aとの間でシーリング材を収容するためのシーリング材収容部(以下、トップ側シーリング材収容部72)を形成する。トップ側シーリング材受け部46は、立上部45と、折り返し部47と、折り返し部47の下端部(引っ掛かり片部49の外壁面51a側端)から外壁面51a側に延出する受け片部48とで構成されている。
【0032】
立上部45は、覆い部44の外壁面51a側の端部から上方に突出している。立上部45は、ベース部材3のベース側シーリング材受け部32の屋外側に近接対向するように構成されており、当該ベース側シーリング材受け部32を屋外側から覆う。立上部45は、所定高さ以下に設定されており、本実施形態では、例えば30mm程度に設定される。
【0033】
折り返し部47は、立上部45の上端部から下方に向かって延びている。折り返し部47は、立上部45とは隙間を介して離間している。折り返し部47と立上部45との間には、ベース部材3の突出片部35が差し込まれるように構成されており、この折り返し部47と立上部45とで上述の引っ掛かり片部49を構成する。
【0034】
受け片部48は、引っ掛かり片部49の外壁面51a側端から外壁面51a側に向かって延出している。受け片部48の先端部は、トップ部材4が支持部材64に固定されると外壁面51aに当たるように構成される。
【0035】
また、受け片部48は、ベース側シーリング材収容部71に充填されたシーリング材の上面との間に隙間を形成するように構成されている。これにより、ベース側シーリング材収容部71に充填されたシーリング材が、ベース部材3と外壁面51aと受け片部48との3面で接着するのを防ぐことができる。この結果、ベース部材3、トップ部材4、および外壁材51のいずれかまたは全部が、温度などにより伸縮、または所定位置から僅かにズレた場合でも、シーリング材が拘束されにくく、伸縮または位置ズレに追従することができて、シーリング材に切れが生じにくくなる。
【0036】
トップ側シーリング材受け部46は、受け片部48が外壁面51aに当たった状態で、トップ側シーリング材収容部72にシーリング材が充填され、シーリング材が硬化することで、外壁面51aに接続される。
【0037】
このような構成の雨押さえ材2は、次のようにして、取り付けられる。
【0038】
図4Aに示すような既設の屋根材14に対し、リフォーム等の改修をする際に、本実施形態の雨押さえ材2が使用される。下屋1は、垂木11,野地板12,下葺き材13,および屋根材14を備えている。下屋1の棟の上方には、外壁材51が設置される。外壁材51は、縦胴縁52を介して建物躯体53に取り付けられている。下屋1の棟には、雨押さえ部材15が取り付けられている。
【0039】
施工者は、既設の屋根材14の上に、図4Bに示すように、ルーフィング61を敷き、ルーフィング61の上から屋根材63を固定するための複数の桟木62を固定する。桟木62は、例えば、左右方向に延びた角材により構成される。次いで、施工者は、固定した桟木62の上に、新設の屋根材63を固定する。
【0040】
次いで、施工者は、屋根材63と外壁材51との間に、支持部材64を固定する。支持部材64は、既設の雨押さえ部材15の上方に固定される第一部材64aと、第一部材64aと屋根材63との間に架設される第二部材64bとで構成される。
【0041】
次いで、施工者は、図5Aに示すように、ベース部材3を取り付ける。施工者は、ベース部材3の当接部33を外壁面51aに当てた状態で、平坦部31を固着具を介して第二部材64bに固定する。この後、施工者は、ベース部材3のベース側シーリング材受け部32と外壁面51aとで形成されたベース側シーリング材収容部71にシーリング材を充填する。このとき、施工者は、シーリング材の充填時に用いるヘラの一部を、傾斜片部34と突出片部35との境界にあてがい、この境界に沿ってヘラを移動させることで、過不足なく、シーリング材を適切に充填することができると共に、シーリング材の高さを一定に保つことが可能となる。
【0042】
次いで、施工者は、図5Bに示すように、トップ部材4を、ベース部材3を覆うようにして取り付ける。施工者は、トップ部材4を、突出片部35に引っ掛かり片部49が嵌まるようにして、ベース部材3の上方に配置し、この状態で、固定部43に固着具を打ち込み、これにより、支持部材64にトップ部材4を固定する。この後、施工者は、トップ側シーリング材受け部46と外壁面51aとで形成されたトップ側シーリング材収容部72にシーリング材を充填する。
【0043】
これにより、ベース側シーリング材収容部71に充填されたシーリング材(ベース側のシーリング材)と、トップ側シーリング材収容部72に充填されたシーリング材(トップ側のシーリング材)とが、上下方向に離間して配置される。このベース側のシーリング材は、トップ部材4により常時覆われているため、トップ側のシーリング材に比べて劣化しにくい。この結果、万が一、トップ側のシーリング材が劣化しても、ベース側のシーリング材で室内側への浸水を防ぐことができる。
【0044】
(効果)
以上、説明したように、本実施形態の雨仕舞構造は、外壁面51aと屋根面との取合部が雨押さえ材2で覆われた雨仕舞構造である。雨押さえ材2は、ベース部材3と、トップ部材4とを備える。ベース部材3は、一端部が屋根面側に延びると共に他端部が外壁面51aに接する。トップ部材4は、ベース部材3を覆い、一端部が屋根面の上方に配置されると共に他端部が外壁面51aに接する。ベース部材3は、外壁面51aとの間でベース側シーリング材収容部71を形成するベース側シーリング材受け部32を有する。トップ部材4は、ベース側シーリング材収容部71の上方において外壁面51aとの間でトップ側シーリング材収容部72を形成するトップ側シーリング材受け部46を有する。そして、ベース側シーリング材収容部71およびトップ側シーリング材収容部72にシーリング材が充填されている。この構成によれば、ベース側シーリング材収容部71がトップ部材4に覆われているため、ベース側シーリング材収容部71に充填されたシーリング材(ベース側のシーリング材)は劣化しにくい。この結果、万が一、トップ側シーリング材収容部72に充填されたシーリング材(トップ側のシーリング材)が劣化しても、ベース側のシーリング材により室内側への浸水を防ぐことができ、雨仕舞構造として、長期にわたって止水性を保つことができる。
【0045】
また、本実施形態の雨仕舞構造は、次の付加的な構成を有する。すなわち、本実施形態のベース部材3は、屋根面側に固着具によって固定されている。トップ部材4は固着具を覆う。この構成によれば、ベース部材3を固定する固着具に水が付着するのを防ぐことができ、当該固着具を伝って浸水するのを防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態の雨仕舞構造は、次の付加的な構成を有する。すなわち、本実施形態のベース側シーリング材受け部32は、傾斜片部34と突出片部35とを備える。傾斜片部34は、上方に向かって反外壁面51a側に傾斜する。傾斜片部34の下端は、外壁面51aに当接する。突出片部35は、傾斜片部34の上端から上方に突出する。この構成によれば、傾斜片部34と突出片部35との境界を、ヘラの移動をガイドするガイド部とすることができ、シーリング材の充填時において、簡単に過不足なく適切な量のシーリング材を充填することができると共に、シーリング材の高さを一定に保つことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態の雨仕舞構造は、次の付加的な構成を有する。すなわち、本実施形態のトップ側シーリング材受け部72は、引っ掛かり片部49と、受け片部48とを備える。引っ掛かり片部49は、突出片部35に上方から引っ掛かる。受け片部48は、引っ掛かり片部49の外壁面51a側端から該外壁面51a側に延びてシーリング材を受ける。この構成によれば、施工者はトップ部材4を設置する際に、突出片部35に引っ掛かり片部49を引っ掛けた状態でシーリング材の充填作業を行うことができ、施工性がよい。
【0048】
また、本実施形態の雨押さえ材2は、外壁面51aと屋根面との間の取合部を覆う雨押さえ材2である。雨押さえ材2は、ベース部材3と、トップ部材4とを備える。ベース部材3は、一端部が屋根面側に延びると共に他端部が外壁面51a側に接する。トップ部材4は、ベース部材3を覆うように配置され、一端部が屋根面の上方に配置されると共に他端部が外壁面51aに接続するように構成される。ベース部材3の他端部(外壁面51a側の端部)には、外壁面51aとの間でベース側シーリング材収容部71を形成するように構成されたベース側シーリング材受け部32を有する。トップ部材4は、ベース側シーリング材収容部71の上方において外壁面51aとの間でトップ側シーリング材収容部72を形成するように構成されたトップ側シーリング材受け部46を有する。この構成によれば、ベース側シーリング材収容部71がトップ部材4に覆われているため、ベース側のシーリング材は劣化しにくい。この結果、万が一、トップ側のシーリング材が劣化しても、ベース側のシーリング材により室内側への浸水を防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態のトップ部材4の立上部45は、ベース側のシーリング材とトップ側のシーリング材とが収まる高さに形成されている。このため、本実施形態の雨押さえ材2は、立上部45として、高さを抑えることができ、例えば、設置した状態で立上部45が目立ったり、立上部45が窓の開口部に干渉したりするのを防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態の雨押さえ材2は、外壁面51aに沿った立上部45に固着具が設けられていない。このため、固着具が目立たなく、建物の外観が損なわれるのを防ぐことができる。
【0051】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0052】
本実施形態の雨仕舞構造は、外壁と屋根との壁取合部の構造である。既設屋根は、図6に示すように、野地板12,壁際捨水切り16,屋根材14,雨押さえ部材15とを備えている。
【0053】
この既設屋根において、新設の屋根材63を上から設置し、改修が行われる。新設の屋根材63の上面と、外壁面51aとの間には、実施形態1の雨押さえ材2と同じ構造の雨押さえ材2が用いられる。
【0054】
施工者は、この既設屋根において、屋根材63の上方にルーフィング61を敷く。次いで、施工者は、雨押さえ部材15の上方に、第一部材64aを載せた状態で固定する。この後、施工者は、第一部材64aの外壁面51aとは反対側の側面、および第一部材64aの上面を覆うように水切り材を取り付ける。
【0055】
次いで、施工者は、新設の屋根材63を設置する。施工者は、新設の屋根材63の屋根面の外壁面51a側の端部と、水切り材の上端との間に、第二部材64bを架設する。この後、施工者は、雨押さえ材2を設置する。
【0056】
施工者は、ベース部材3の当接部33を外壁面51aに当てた状態で、平坦部31を固着具によって第二部材64bに固定する。この後、施工者は、ベース部材3のベース側シーリング材受け部32と外壁面51aとで形成されたベース側シーリング材収容部71にシーリング材を充填する。
【0057】
次いで、施工者は、トップ部材4を、ベース部材3を覆うようにして取り付ける。施工者は、トップ部材4を、引っ掛かり片部49と突出片部35とが嵌まるようにして、ベース部材3の上方に配置し、この状態で、固定部43に固着具を打ち込んで、トップ部材を支持部材64に固定する。また、施工者は、トップ側シーリング材受け部46と外壁面51aとで形成されたトップ側シーリング材収容部72にシーリング材を充填する。
【0058】
このように、本実施形態の雨仕舞構造によれば、壁取合部においても、作業性よく改修作業をすることができ、また、長期にわたって止水性を保つことができる。
【0059】
(変形例)
上記実施形態1,2のベース部材3は、例えば、図7A図7Bに示すような構造であってもよい。図7A図7Bに示すベース部材3は、ベース側シーリング材受け部32の形状が、実施形態1,2とは異なっている。
【0060】
図7Aに示すベース側シーリング材受け部32は、傾斜片部34に代えて、段片部36が設けられる。段片部36は、当接部33から反外壁面51a側において水平方向に延びた第一横片部361と、第一横片部361の反外壁面51a側の端部から上方に突出した縦片部362と、縦片部362の上端から反外壁面51a側において水平方向に延びた第二横片部363とを備えている。突出片部35は、第二横片部363の反外壁面51a側の端部から上方に突出する。
【0061】
シーリング材は、第一横片部361と縦片部362と外壁面51aとの間に充填される。
【0062】
また、上記実施形態1,2の傾斜片部34は、直線状に形成されていたが、図7Bに示すように、下方に凸となるように湾曲していてもよい。この構造においては、シーリング材は、傾斜片部34と外壁面51aとの間に充填されるが、突出片部35と外壁面51aとの間にまで充填されてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態1,2の構成は、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
2 雨押さえ材
3 ベース部材
32 ベース側シーリング材受け部
34 傾斜片部
35 突出片部
4 トップ部材
46 トップ側シーリング材受け部
48 受け片部
49 引っ掛かり片部
51a 外壁面
71 ベース側シーリング材収容部
72 トップ側シーリング材収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7