(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659450
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】圧電素子および圧電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 41/083 20060101AFI20200220BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20200220BHJP
H01L 41/273 20130101ALI20200220BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20200220BHJP
G01L 1/16 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
H01L41/083
H01L41/047
H01L41/273
H01L41/113
G01L1/16 C
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-93989(P2016-93989)
(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2017-204506(P2017-204506A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2018年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆哉
(72)【発明者】
【氏名】渡部 嘉之
【審査官】
宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−335664(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/031715(WO,A1)
【文献】
特開2004−002069(JP,A)
【文献】
特開昭62−208680(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/060132(WO,A1)
【文献】
国際公開第2004/026789(WO,A1)
【文献】
特開2006−324518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/083
G01L 1/16
H01L 41/047
H01L 41/113
H01L 41/273
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部と、を含み、
前記圧電体のうち、前記第1の領域および前記第2の領域は、分極され、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される、圧電素子。
【請求項2】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部と、を含み、
前記導電層の厚さが、1μm〜100μmの範囲に選ばれ、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される、圧電素子。
【請求項3】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部と、を含み、
前記圧電体のうち、前記第1の領域および前記第2の領域は、分極され、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層の厚さは、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層の厚さと実質的に等しい、圧電素子。
【請求項4】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部と、を含み、
前記導電層の厚さが、1μm〜100μmの範囲に選ばれ、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層の厚さは、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層の厚さと実質的に等しい、圧電素子。
【請求項5】
前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される、請求項3または4に記載の圧電素子。
【請求項6】
複数の前記第1の電極層と、
複数の前記第2の電極層とを含み、
前記複数の第1の電極層は、前記圧電体に埋め込まれ、
前記第1の電極層および前記第2の電極層は、前記第1の方向に間隔をあけて交互に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項7】
前記接続部は、前記第1の方向に延び、複数の前記第1の電極層を電気的に接続する、請求項6に記載の圧電素子。
【請求項8】
前記接続部は、前記第1の方向に延び、複数の前記第2の電極層を電気的に接続する、請求項6または7に記載の圧電素子。
【請求項9】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、を含み、
前記圧電体のうち、前記第1の領域および前記第2の領域は、分極され、
前記導電層は、自転車の一部または自転車部品の一部に取り付けることができるように構成され、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部をさらに含み、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される、圧電素子。
【請求項10】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、を含み、
前記圧電体のうち、前記第1の領域および前記第2の領域は、分極され、
前記導電層は、自転車の一部または自転車部品の一部に取り付けることができるように構成され、
前記圧電体内に形成される孔に設けられ、前記第1の電極層または前記第2の電極層に電気的に接続される接続部をさらに含み、
前記接続部は、前記第1の電極層に電気的に接続され、前記第2の電極層に電気的に接続されない第1の接続部と、前記第2の電極層に電気的に接続され、前記第1の電極層に電気的に接続されない第2の接続部と、を含み、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層と、をさらに含み、
前記導電層の厚さは、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層の厚さと実質的に等しい、圧電素子。
【請求項11】
前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される、請求項10に記載の圧電素子。
【請求項12】
前記複数の第2の電極層のうちの1つは、前記複数の第1の電極層よりも前記圧電体の前記第2の外表面に近い位置に配置され、
前記第1の外部電極層の少なくとも一部は、前記第1の方向において前記第2の電極層との間に前記圧電体の第3の領域を挟む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項13】
前記第1の外部電極層は、前記第2の外部電極層よりも面積が大きい、請求項1〜12のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項14】
前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層は、同じ材料によって形成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項15】
前記導電層、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層は、銀を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項16】
前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、同じ材料によって形成される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項17】
前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、銀およびパラジウムを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項18】
前記導電層は、前記第1の外表面の半分以上を覆う、請求項1〜17のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項19】
圧電体と、
前記圧電体に設けられる第1の電極層と、
第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで、前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層とを含む圧電素子の製造方法であって、
前記圧電体に第1の孔および第2の孔を形成し、前記第1の孔に第1の接続部を設け、前記第2の孔に第2の接続部を設ける工程と、
前記第1の接続部に電気的に接続され、前記第2の接続部に電気的に接続されない前記第1の電極層と、前記第2の接続部に電気的に接続され、前記第1の接続部に電気的に接続されない前記第2の電極層とを設ける工程と、
前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層とを設ける工程と、
前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層と前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成され、導電性を有する導電層を形成する工程と、
前記第1の領域および前記第2の領域に直流電圧を印加する工程とを含む
圧電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子および圧電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の圧電素子は、圧電体と、圧電体に埋め込まれる複数の電極とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記圧電素子において、複数の電極に電圧を印加して分極処理を行うと、圧電体のうち電極に挟まれている領域のみが分極されることによって、圧電素子に反りが生じるおそれがある。このため、圧電素子を装置等に設置すると、不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、反りが抑制された圧電素子およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に従う圧電素子の一形態は、圧電体と、前記圧電体に設けられる第1の電極層と、第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、を含み、前記圧電体のうち、前記第1の領域および前記第2の領域は、分極されている。
【0007】
(2)本発明に従う圧電素子の一形態は、圧電体と、前記圧電体に設けられる第1の電極層と、第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層と、前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層との間に前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層と、を含み、前記導電層の厚さが、1μm〜100μmの範囲に選ばれる。
【0008】
(3)前記圧電素子の一例では、複数の前記第1の電極層と、複数の前記第2の電極層とを含み、前記複数の第1の電極層は、前記圧電体に埋め込まれ、前記第1の電極層および前記第2の電極層は、前記第1の方向に間隔をあけて交互に配置されている。
【0009】
(4)前記圧電素子の一例では、第1の方向に延びて前記複数の第1の電極層を電気的に接続する第1の接続部と、第1の方向に延びて前記複数の第2の電極層を電気的に接続する第2の接続部とをさらに含む。
【0010】
(5)前記圧電素子の一例では、前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第1の接続部に接続される第1の外部電極層と、前記第1の方向において前記圧電体の第2の外表面に設けられ、前記第2の接続部に接続される第2の外部電極層とをさらに含む。
【0011】
(6)前記圧電素子の一例では、前記複数の第2の電極層のうちの1つは、前記複数の第1の電極層よりも前記圧電体の前記第2の外表面に近い位置に配置され、前記第1の外部電極層の少なくとも一部は、前記第1の方向において前記第2の電極層との間に前記圧電体の第3の領域を挟む。
【0012】
(7)前記圧電素子の一例では、前記第1の外部電極層は、前記第2の外部電極層よりも面積が大きい。
(8)前記圧電素子の一例では、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層は、同じ材料によって形成される。
【0013】
(9)前記圧電素子の一例では、前記導電層は、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層と同じ材料によって形成される。
(10)前記圧電素子の一例では、前記導電層、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層は、銀を含む。
【0014】
(11)前記圧電素子の一例では、前記導電層の厚さは、前記第1の外部電極層および前記第2の外部電極層の厚さと実質的に等しい。
(12)前記圧電素子の一例では、前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、同じ材料によって形成される。
【0015】
(13)前記圧電素子の一例では、前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第1の接続部および前記第2の接続部は、銀およびパラジウムを含む。
(14)前記圧電素子の一例では、前記導電層は、前記第1の外表面の半分以上を覆う。
【0016】
(15)本発明に従う圧電素子の製造方法の一形態は、圧電体と、前記圧電体に設けられる第1の電極層と、第1の方向において前記第1の電極層との間に前記圧電体の第1の領域を挟んで、前記圧電体に埋め込まれる第2の電極層とを含む圧電素子の製造方法であって、前記第1の方向において前記圧電体の第1の外表面に設けられ、少なくとも一部が前記第1の電極層または前記第2の電極層と前記圧電体の第2の領域を挟んで前記圧電体に設けられ、前記第1の電極層および前記第2の電極層には前記圧電体を介して接続され、導電性を有する導電層を形成する工程と、前記第1の領域および前記第2の領域に直流電圧を印加する工程とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の圧電素子および圧電素子の製造方法は、圧電素子の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の圧電素子を含む歪センサの模式図。
【
図5】
図1の圧電素子の製造方法を示すフローチャート。
【
図6】圧電素子の製造方法の接続部を形成する工程を示す断面図。
【
図7】圧電素子の製造方法の第1の電極層を形成する工程を示す断面図。
【
図8】圧電素子の製造方法の第2の電極層を形成する工程を示す断面図。
【
図9】圧電素子の製造方法の圧電層を積層する工程を示す断面図。
【
図10】圧電素子の製造方法の圧電層の焼成の工程を示す断面図。
【
図11】圧電素子の製造方法の第2の工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図4を参照して、実施形態の圧電素子20を含む歪センサ10について説明する。
図1に示されるとおり、歪センサ10は、回路部12および圧電素子20を含む。歪センサ10は、圧電素子20が取り付けられる検出体Xの歪を検出する。検出体Xは、自転車の一部または自転車部品の一部であり、例えば自転車のペダル軸、クランク軸、クランクアーム、および、フレーム等である(いずれも図示略)。
【0020】
回路部12は、圧電素子20と接続される。回路部12は、圧電素子20からの電流を増幅する増幅回路(図示略)、および、増幅回路によって増幅された信号を外部の装置に出力する通信部(図示略)等を含む。回路部12は、圧電素子20に生じる歪を圧電素子20から入力される電流に基づいて演算する演算部(図示略)をさらに含んでもよい。回路部12が演算部を含む場合、通信部は演算部によって演算された結果を外部の装置に出力する。通信部は、有線通信を行ってもよく、無線通信を行ってもよい。
【0021】
圧電素子20は、圧電体22、第1の電極層24(
図4参照)、第2の電極層26(
図4参照)、および、導電層28を含む。一例では、圧電素子20は、第1の接続部30(
図4参照)、第2の接続部32(
図4参照)、第1の外部電極層34、および、第2の外部電極層36をさらに含む。圧電素子20は、検出体Xの平らな面に貼り付けられることが好ましいが、検出体Xが円柱形状または円筒形状の軸等の曲面を有する形状の場合には曲面に張り付けられてもよい。圧電素子20は、略直方体形状を有する。圧電素子20は、いわゆる積層型圧電素子である。
【0022】
図2に示されるとおり、圧電素子20の頂面20B側には、圧電体22の第2の外表面22Bの一部、第1の外部電極層34、および、第2の外部電極層36が露出する。
図3に示されるとおり、圧電素子20の底面20A側には、圧電体22の第1の外表面22Aの一部、および、導電層28が露出する。圧電素子20の4つの側面20C側には、圧電体22が露出する。
【0023】
図4に示されるとおり、第1の電極層24は、複数設けられる。第1の電極層24は、圧電体22に設けられる。第1の電極層24は、圧電体22に埋め込まれる。第1の電極層24は、シート状に形成される。第1の電極層24は、圧電体22の第1の方向Aに交差する方向に延びており、好ましくは第1の方向Aに直交する第2の方向Bに延びている。第1の方向Aは、第1の電極層24および第2の電極層26の積層方向であり、圧電素子20の頂面20Bから底面20Aに向かう方向に平行する。第2の方向Bは、直方体形状の一辺に沿う方向である。
【0024】
第2の電極層26は、複数設けられる。第2の電極層26は、圧電体22に設けられる。第2の電極層26は、第1の方向Aにおいて第1の電極層24との間に圧電体22の第1の領域R1を挟んで圧電体22に埋め込まれる。第2の電極層26は、シート状に形成される。第2の電極層26は、圧電体22の第1の方向Aに交差する方向に延びており、好ましくは第1の方向Aに直交する第2の方向Bに延びている。第1の電極層24および第2の電極層26は、第1の方向Aに間隔をあけて交互に配置されている。複数の第2の電極層26のうちの1つである第2の電極層26Xは、複数の第1の電極層24よりも圧電体の第2の外表面22Bに近い位置に配置される。第1の電極層24および第2の電極層26は、合計で3〜20個が設けられることが好ましい。この場合第1の電極層24および第2の電極層26に挟まれる圧電体22の領域R1は、2〜19個が存在する。
【0025】
第1の電極層24の大きさおよび第2の電極層26の大きさは実質的に等しい。第1の電極層24は、第1の方向Aと直交する第2の方向Bにおいて、第2の電極層26よりも圧電体22の第1の側面22C側まで延びている。第2の電極層26は、第2の方向Bにおいて、第1の電極層24よりも圧電体22の第2の側面22D側まで延びている。
【0026】
導電層28は、第1の方向Aにおいて圧電体22の第1の外表面22Aに設けられる。導電層28は、第1の外表面22Aの半分以上を覆う。導電層28は、少なくとも一部が第2の電極層26との間に圧電体22の第2の領域R2を挟んで圧電体22に設けられる。導電層28は、導電性を有する。導電層28は、第1の電極層24および第2の電極層26に圧電体22を介して接続される。導電層28は、第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30、および、第2の接続部32とは直接的に接触しない。導電層28の圧電体22とは反対側の表面は、検出体X(
図1参照)に接触した状態で検出体Xに張り付けられる。導電層28の圧電体22とは反対側の表面は、接着剤を介して検出体Xに張り付けられてもよい。第1の方向Aの一方A1側の圧電体22の表面を第
2の外表面22
Bとし、第1の方向Aの他方A2側の圧電体22の表面を第
1の外表面22
Aとする。
【0027】
第1の接続部30は、第1の方向Aに延びて複数の第1の電極層24を電気的に接続する。第1の接続部30は、圧電体22に形成される孔27Aに設けられる。第1の接続部30は、複数の第1の電極層24とともに圧電素子20の正電極および負電極の一方を構成する。第2の接続部32は、第1の方向Aに延びて複数の第2の電極層26を電気的に接続する。第2の接続部32は、圧電体22に形成される孔27Bに設けられる。第2の接続部32は、複数の第2の電極層26とともに正電極および負電極の他方を構成する。
【0028】
第1の外部電極層34は、第1の方向Aにおいて圧電体22の第2の外表面22Bに設けられる。第1の外部電極層34は、第1の接続部30に接続される。第1の外部電極層34の少なくとも一部は、第1の方向Aにおいて第2の電極層26との間に圧電体22の第3の領域R3を挟む。
図1に示されるとおり、第1の外部電極層34には第1の電線C1が接続される。
【0029】
図4に示されるとおり、第2の外部電極層36は、第1の方向Aにおいて圧電体22の第2の外表面22Bに設けられる。第1の外部電極層34と第2の外部電極層36とは、圧電体22の第2の外表面22Bにおいて互いに接触しないように第2の外表面22Bに設けられる。
図2に示されるとおり、第1の外部電極層34と第2の外部電極層36とは、第2の方向Bに並んで、第2の方向Bに間隔をあけて配置される。第2の方向Bにおいて、第2の外部電極層36は、第1の外部電極層34よりも圧電体22の第2の側面22Dに設けられる。第2の外部電極層36は、第2の接続部32に接続される。第1の外部電極層34は、第2の外部電極層36よりも面積が大きい。具体的には、第1の外部電極層34が圧電体22の第2の外表面22Bに接触している面積が、第2の外部電極層36が圧電体22の第2の外表面22Bに接触している面積よりも大きい。第1の外部電極層34は、第2の外部電極層36の2倍以上の面積を有するのが好ましい。
図1に示されるとおり、第2の外部電極層36には第2の電線C2が接続される。
図4に示す圧電体22のうち、第1の領域R1および第2の領域R2は、分極されている。圧電体22のうち、第3の領域R3は分極されている。
【0030】
圧電素子20の各部材の厚さについて説明する。
第1の電極層24の厚さD1は、0.2μm〜2μmの範囲に選ばれる。第2の電極層26の厚さD2は、0.2μm〜2μmの範囲に選ばれる。第1の電極層24の厚さD1および第2の電極層26の厚さD2は、実質的に等しいことが好ましい。第1の電極層24の厚さD1および第2の電極層26の厚さD2の平均厚さは、例えば1.5μmである。
【0031】
導電層28の厚さD3は、1μm〜100μmの範囲に選ばれる。一例では、導電層28の厚さD3は、5μm〜20μmの範囲に選ばれる。第1の外部電極層34の厚さD4は、1μm〜100μmの範囲に選ばれる。一例では、第1の外部電極層34の厚さD4は、5μm〜20μmの範囲に選ばれる。第2の外部電極層36の厚さD5は、1μm〜100μmの範囲に選ばれる。一例では、第2の外部電極層36の厚さD5は、5μm〜20μmの範囲に選ばれる。導電層28の厚さD3は、第1の外部電極層34の厚さD4および第2の外部電極層36の厚さD5と実質的に等しいことが好ましい。
【0032】
第1の領域R1の厚さD6は、例えば10μm〜50μmの範囲に選ばれる。一例では、第1の領域R1の厚さD6は、30μmである。第2の領域R2の厚さD7は、例えば10μm〜50μmの範囲に選ばれる。一例では、第2の領域R2の厚さD7は、30μmである。第3の領域R3の厚さD8は、例えば10μm〜50μmの範囲に選ばれる。一例では、第3の領域R3の厚さD8は、30μmである。第1の領域R1の厚さD6、第2の領域R2の厚さD7、および、第3の領域R3の厚さD8は実質的に等しいことが好ましい。
【0033】
圧電素子20の各部材の材料について説明する。
圧電体22は、圧電特性を有する材料を含む。一例では、圧電体22は、チタン酸ジルコン酸鉛を含む。他の例では、圧電体22は、チタン酸バリウムまたはチタン酸鉛を含む。圧電体22は、圧電特性を有する材料に添加剤を加えて焼成されている。
【0034】
第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30および第2の接続部32は、同じ材料によって形成される。第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30および第2の接続部32は、導電性の高い金属材料によって形成される。第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30および第2の接続部32は、銀およびパラジウムを含む。一例では、銀とパラジウムとの金属合成比の一例は、銀:パラジウムが90:10、または、80:20である。
【0035】
第1の外部電極層34および第2の外部電極層36は、同じ材料によって形成される。導電層28は、第1の外部電極層34および第2の外部電極層36と同じ材料によって形成される。第1の外部電極層34、第2の外部電極層36、および、導電層28は、導電性の高い金属材料によって形成される。導電層28、第1の外部電極層34および第2の外部電極層36は、銀を含む。
【0036】
図5〜
図10を参照して、圧電素子20の製造方法について説明する。
圧電素子20の製造方法は、導電層28を形成する工程と、第1の領域R1および第2の領域R2に直流電圧を印加する(以下、「分極する」という)工程とを含む。一例では、圧電素子20の製造方法は、圧電層22Xを形成する第1の工程、接続部30,32を形成する第2の工程、第1および第2の電極層24,26を形成する第3の工程、圧電層22Xを積層する第4の工程、圧電層22Xを焼成する第5の工程、および、外部電極層34,36を形成する第6の工程をさらに含む。導電層28を形成する工程(以下、「第7の工程」)および分極する工程(以下、「第8の工程」)は、第6の工程の後に行われる。
【0037】
第1の工程は、圧電体22の材料を混合して攪拌しスラリー状にする工程、スラリー状の材料をシート体に成形する工程、成形したシート体を乾燥させる工程、および、乾燥したシート体を所定の大きさに切断して圧電層22Xに成形する工程を含む。圧電体22の材料は、チタン酸ジルコン酸鉛の粉体、有機溶剤、および、樹脂バインダーを含む。圧電層22Xを形成する工程においては、例えばリップコータが用いられる。圧電層22Xの厚さD9(
図6参照)は、圧電層22Xを焼成する工程によって小さくなるため、焼成後の所望の厚さの約120%にすることが好ましい。焼成後の第1〜3の領域の厚さD4〜D6(
図4参照)が30μmである場合、圧電層22Xの厚さD9は、36μmに設定される。
【0038】
図6に示す接続部30,32を形成する第2の工程は、圧電層22Xに貫通孔22Yを形成する工程、および、貫通孔22Yを接続部30,32の材料で埋める工程を含む。貫通孔22Yが形成された圧電層22Xを、圧電層22X1とし、貫通孔22Yが形成されていない圧電層22Xを、圧電層22X2(
図9参照)とする。
図6では1つの圧電素子20に対する部分の圧電層22Xのみを示しているが、実際には
図6に示す単位の圧電層22Xが複数マトリクス状に連なっている。
【0039】
図7および
図8に示す電極層24,26を形成する第3の工程は、圧電層22X1の厚み方向の一方の表面に第1の電極層24および第2の電極層26の一方のみを印刷する工程を含む。
図7に示す第1の電極層24は、第1の接続部30と接触し、かつ、第2の接続部32と接触しないように圧電層22X1の表面に印刷される。
図8に示す第2の電極層26は、第2の接続部32と接触し、かつ、第1の接続部30と接触しないように圧電層22X1の表面に印刷される。印刷方法としては、たとえばスクリーン印刷が用いられる。第1の電極層24が印刷された圧電層22X1を、第1の電極層付き圧電層23Xとする。第2の電極層26が印刷された圧電層22X1を、第2の電極層付き圧電層23Yとする。
【0040】
図9に示す圧電層22Xを積層する第4の工程は、複数の圧電層22Xを積層する工程、積層した圧電層22Xを圧着する工程、および、圧着した圧電層22Xを所定の寸法に切断する工程を含む。複数の圧電層22Xを積層する工程では、第1の電極層付き圧電層23Xと、第2の電極層付き圧電層23Yとが交互に積み重ねられる。
図9では、各第1の電極層24および第2の電極層26が第1の方向Aの他方A2に向くように、第1の電極層付き圧電層23Xと、第2の電極層付き圧電層23Yとが積層されている。また、第1の方向Aから見て、各第1の接続部30および各第2の接続部32がそれぞれ重なるように第1の電極層付き圧電層23Xと、第2の電極層付き圧電層23Yとが積み重ねられる。第1の方向Aの他方A2の端に配置される圧電層23Yには、第1の方向Aの他方A2に圧電層22X2が積層される。第4の工程によって第1の電極層付き圧電層23X、第2の電極層付き圧電層23Y、および、圧電層22Xが積み重ねられた積層体25が形成される。第4工程において積層される圧電層22Xの数は、少なくとも複数であり、例えば4〜12に選ばれ、
図9に示す例では6個に選ばれている。
【0041】
圧電層22Xを焼成する第5の工程では、第4の工程によって形成された積層体25が焼成される。焼成温度は、電極層24,26および接続部30,32の融点よりも高くなるように設定される。電極層24,26および接続部30,32が、銀およびパラジウムを含む場合、焼成温度は一例では950℃〜1030℃に設定される。各圧電層22Xは、焼成によって
図10に示すように一体化して圧電体22を形成し、第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30、および、第2の接続部32が圧電体22の内部に埋め込まれた状態になる。
図10において第2の方向Bの一方側の複数の貫通孔22Yは1つの孔27Aを形成し、孔27Aに設けられる各圧電層22Xの第
1の接続部
30が連続する。
図10において第2の方向Bの他方側の複数の貫通孔22Yは1つの孔27Bを形成し、孔27Bに設けられる各圧電層22Xの第2の接続部32が連続する。圧電体22の第1の外表面22Aには、第1の電極層24、第2の電極層26、第1の接続部30、および、第2の接続部32のいずれも露出しない。
【0042】
図11に示す外部電極層34,36を形成する第6の工程は、圧電体22の第2の外表面22Bに第1の外部電極層34および第2の外部電極層36を印刷して焼き付ける工程を含む。第1の外部電極層34は、第1の接続部30と接触し、かつ、第2の接続部32と接触しないように第2の外表面22Bに形成される。第2の外部電極層36は、第2の接続部32と接触し、かつ、第1の接続部30と接触しないように第2の外表面22Bに形成さる。外部電極層34,36を第1の外表面22Aに焼き付ける温度は、外部電極層34,36の材料の融点以上の温度である。外部電極層34,36が銀を含む場合、焼き付け温度は一例では550度に設定される。
【0043】
導電層28を形成する第7の工程は、圧電体22の第1の外表面22Aに導電層28を印刷して焼き付ける工程を含む。導電層28を第1の外表面22Aに焼き付ける温度は、外部電極層34,36の材料の融点以上の温度である。導電層28が銀を含む場合、焼き付け温度は一例では550度に設定される。導電層28は、第1の電極層24および第2の電極層26には圧電体22を介して接続される。なお、外部電極層34,36を形成する工程および導電層28を形成する工程の順序を入れ替えることもできる。また、各材料の融点および各工程に用いられる温度について、「焼成温度>導電層28および外部電極層34,36の材料の融点>電極層24,26および接続部30,32の材料の融点>導電層28および外部電極層34,36の焼き付け温度」または「導電層28および外部電極層34,36の材料の融点>焼成温度>電極層24,26および接続部30,32の材料の融点>導電層28および外部電極層34,36の焼き付け温度」の関係が成立することが好ましい。
【0044】
分極を行う第8の工程は、導電性を有する導電板Pと導電層28とが接触するように導電板P上に圧電体22を配置する工程と、第1の外部電極層34および導電板Pに第1の電線C1を接続し、第2の外部電極層36に第2の電線C2を接続する工程と、第1の電線C1および第2の電線C2に直流電圧を印加する工程を含む。第1の電線C1および第2の電線C2の一方は電源BTの負極に接続され、第1の電線C1および第2の電線C2の他方は電源BTの正極に接続される。
【0045】
直流電圧の印加によって第1の電極層24と第2の電極層26との間に挟まれる第1の領域R1、第
2の電極層
26と導電層28との間に挟まれる第2の領域R2、および、第1の外部電極層34と第2の電極層26との間に挟まれる第3の領域R3が分極される。
【0046】
導電層28が設けられていない圧電素子では、圧電体22のうちの最も第1の方向Aの他方A2側の第2の電極層26よりも他方A2側の領域には直流電圧が印加されないため、分極されない。直流電圧の印加によって圧電体22のうちの分極される第1の領域R1には残留変位が生じる。このため、分極されない領域と残留変位を有する第1の領域R1との間に発生する内部応力が、反りやたわみの原因となるおそれがある。圧電素子20では、第2の電極層26と第1の外表面22Aとの間に形成される第
2の領域R
2にも第1の領域R1と同様に均一な電圧が印加されて分極される。このため、直流電圧の印加による圧電体22の第2の方向Bの変位が均一になり、反りおよびたわみの発生を抑制することができる。
【0047】
圧電素子20では、第1の接続部30および第2の接続部32が圧電素子20の側面20Cに露出しないので、第1の接続部30および第2の接続部32が検出体X等との間で電気的な接続が生じ難い。このため、歪センサ10の出力に誤検出が生じ難い。
【0048】
第1の外部電極層34の少なくとも一部は、第1の方向Aにおいて第2の電極層26との間に圧電体22の第3の領域R3を挟む。このため、第3の領域R3も分極されるため、圧電体22の反りおよびたわみがより生じ難い。
【0049】
導電層28は、第1の外部電極層34および第2の外部電極層36と同じ材料によって形成される。このため、圧電体22を分極する工程において、第2の領域R2に適切に直流電圧を印加することができる。
【0050】
(変形例)
上記各実施の形態に関する説明は、本発明に従う圧電素子および圧電素子の製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う圧電素子および圧電素子の製造方法は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0051】
・第1の接続部30および第2の接続部32を
図12に示す第1の接続部38および第2の接続部40に変更してもよい。
図12の第1の接続部38および第2の接続部40は、それぞれ圧電体22の第1の側面22Cおよび第2の側面22Dに設けられる。第1の電極層24は、第1の側面22Cに露出する。第1の接続部38は、第1の側面22Cに露出した第1の電極層24、および、第1の外部電極層34と接触する。第2の電極層26は、第2の側面22Dに露出する。第2の接続部40は、第2の側面22Dに露出した第2の電極層26、および、第2の外部電極層36と接触する。この場合、第1の接続部38および第2の接続部40の材料は、第1の外部電極層34および第2の外部電極層36の材料と等しいことが好ましい。
【0052】
・第1の電極層24を第
2の外表面22
B上に配置することもできる。この場合、第1の電極層24が第1の外部電極層として機能する。
・第1の電極層24と第2の電極層26とを入れ替えることもできる。この場合、導電層28は最も第1の外表面22Aに近い第1の電極層24との間に圧電体22の第2の領域R2を挟んで圧電体22に設けられる。
【符号の説明】
【0053】
A…第1の方向、20…圧電素子、22…圧電体、22A…第1の外表面、22B…第2の外表面、R1…第1の領域、R2…第2の領域、R3…第3の領域、24…第1の電極層、26…第2の電極層、28…導電層、30…第1の接続部、32…第2の接続部、34…第1の外部電極層、36…第2の外部電極層。