(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電源及び前記第2電源が直列に接続された状態で動作する第1動作モード、及び前記第1動作モードとは異なる第2動作モードを相互に切替え可能な切換え手段と、
前記第1電源及び前記第2電源の充電率がいずれも所定範囲内であると判定された場合には、前記第2動作モードよりも前記第1動作モードに優先的に切替えるように前記切換え手段を制御する切換え制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の電源制御装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る電源制御装置について、
図1から
図10を参照して説明する。
【0014】
<車両の構成>
先ず、第1実施形態に係る電源制御装置が搭載される車両の構成について、
図1を参照して説明する。ここに
図1は、第1実施形態に係る車両の構成を示す概略構成図である。
【0015】
図1において、第1実施形態に係る車両100は、エンジン(ENG)20と、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2とを駆動力源として備えている。エンジン20、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、動力分割機構22を介して機械的に連結されている。動力分割機構22は、例えばプラネタリーキャリア、サンギヤ、リングギヤの三要素からなる遊星歯車機構からなり、それぞれの要素にエンジン20、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2が連結される。そして、車両100の走行状況に応じて、動力分割機構22を介して上記3者の間で駆動力の分配及び結合が行なわれ、その結果として駆動輪24Fが駆動される。
【0016】
車両100の走行時において、動力分割機構22は、エンジン20の作動によって発生する駆動力を二分割し、その一方を第1モータジェネレータMG1側へ配分するとともに、残部を第2モータジェネレータMG2側へ配分する。動力分割機構22から第1モータジェネレータMG1側へ配分された駆動力は発電動作に用いられる一方、第2モータジェネレータMG2側へ配分された駆動力は、第2モータジェネレータMG2で発生した駆動力と合成されて、駆動輪24Fの駆動に使用される。
【0017】
このとき、モータジェネレータMG1及びMG2にそれぞれ対応付けられた第1インバータ(INV1)10−1および第2インバータ(INV2)10−2は、直流電力と交流電力とを相互に変換する。主として、第1インバータ10−1は、HV−ECU2からのスイッチング指令PWM1に応じて、第1モータジェネレータMG1で発生する交流電力を直流電力に変換し、正母線MPLおよび負母線MNLへ供給する。一方、第2インバータ10−2は、HV−ECU2からのスイッチング指令PWM2に応じて、正母線MPLおよび負母線MNLを介して供給される直流電力を交流電力に変換して、第2モータジェネレータMG2へ供給する。即ち、車両100は、負荷装置として、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bからの電力を受けて駆動力を発生可能な第2モータジェネレータMG2を備えるとともに、エンジン20からの駆動力を受けて発電可能な発電部である第1モータジェネレータMG1を備える。
【0018】
第1蓄電部6は、充放電可能な電力貯蔵要素であって、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池として構成される。第1蓄電部6と第1インバータ10−1との間には、直流電圧を相互に電圧変換可能な第1コンバータ(CONV1)8が配置されており、第1蓄電部6の入出力電圧と、正母線MPLと負母線MNLとの間の線間電圧とを相互に昇圧または降圧する。第1コンバータ8における昇降圧動作は、HV−ECU2からのスイッチング指令PWC1に従って制御される。
【0019】
正線PL1に介挿された電流検出部12は、第1蓄電部6と第1コンバータ8との間で授受される電流値Iaを検出する。正線PL1と負線NL1との線間に接続された電圧検出部14は、第1蓄電部6の充電又は放電に係る電圧値Vaを検出する。第1蓄電部6を構成する電池セルに近接して配置された温度検出部16は、第1蓄電部6の温度Taを検出する。
【0020】
第2蓄電部6bは、上述した第1蓄電部6と同様の充放電可能な電力貯蔵要素であって、例えば電気二重層キャパシタとして構成される。第2蓄電部6bと第1インバータ10−1との間には、直流電圧を相互に電圧変換可能な第2コンバータ(CONV2)8bが配置されており、キャパシタ6の入出力電圧と、正母線MPLと負母線MNLとの間の線間電圧とを相互に昇圧または降圧する。第2コンバータ8bにおける昇降圧動作は、HV−ECU2からのスイッチング指令PWC2に従って制御される。
【0021】
正線PL2に介挿された電流検出部12bは、キャパシタ6bと第2コンバータ8bとの間で授受される電流値Ibを検出する。正線PL2と負線NL2との線間に接続された電圧検出部14bは、キャパシタ6bの充電又は放電に係る電圧値Vbを検出する。キャパシタ6bに近接して配置された温度検出部16bは、キャパシタ6bの温度Tbを検出する。
【0022】
なお、上述した第1蓄電部6及び第2蓄電部6bは、「第1電源」及び「第2電源」の一具体例である。
【0023】
車両100を構成する各部位は、HV−ECU2及び電池ECU4の連携制御によって実現される。HV−ECU2と電池ECU4とは、互いに通信線を介して接続され、各種情報や信号の授受が可能となっている。
【0024】
電池ECU4は、主として、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの充電状態の管理や異常検出を司る制御装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。具体的には、電池ECU4は、温度検出部16で検出される温度Ta、電圧検出部14で検出される電圧値Va、及び電流検出部12で検出される電流値Iaに基づいて、第1蓄電部6のSOCを算出する。また、電池ECU4は、温度検出部16bで検出される温度Tb、電圧検出部14bで検出される電圧値Vb、及び電流検出部12bで検出される電流値Ibに基づいて、第2蓄電部6bのSOCを算出する。
【0025】
SOCは、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの満充電状態を基準にしたときの充電量(残存電荷量)を示すものであり、例えば満充電容量に対する現在の充電量の比率(0〜100%)で表わされる。電池ECU4は、算出した第1蓄電部6及び第2蓄電部6bのSOCを、温度検出部16で検出された温度Ta及び温度検出部16bで検出された温度TbとともにHV−ECU2へ伝送する。
【0026】
HV−ECU2は、車両100の走行時において、運転者要求に応じた車両駆動力を発生させるために、エンジン20、コンバータ8及び8b、インバータ10−1及び10−2、並びにモータジェネレータMG1及びMG2を制御するための制御装置であり、例えばCPUと、ROMやRAMなどの記憶部とを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。この車両駆動力の制御に加えて、HV−ECU2は、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bで充放電される電力を制御する。
【0027】
<充放電管理の制御構造>
以下、上述した第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの充放電管理を行なうための制御構造について、
図2を参照して説明する。ここに
図2は、第1実施形態に係るHV−ECUの制御構造を示すブロック図である。なお、
図2では、HV−ECU2が有する構成のうち、本発明と関連の深い構成要素のみを示している。
【0028】
図2において、HV−ECU2は、「電源制御装置」の一具体例であり、SOC判定部201、出力比率設定部202、及び出力制御部203を備えて構成されている。
【0029】
SOC判定部201は、「判定手段」の一具体例であり、入力されるSOCa(即ち、第1蓄電部6のSOC)と、SOCb(即ち、第2蓄電部6bのSOC)とが、いずれも所定範囲内であるか否かを判定可能に構成されている。なお、ここでの「所定範囲」とは、SOCa及びSOCbに偏りが生じているか否かを判定するために設定される範囲であり、SOCa及びSOCbのいずれもが所定範囲内である場合には、SOCa及びSOCbに偏りが生じていないと判断できる。一方で、SOCa及びSOCbのいずれ所定範囲外となっている場合には、SOCa及びSOCbに偏りが生じていると判断できる。SOC判定部201による判定結果は、出力比率設定部202に出力される構成となっている。
【0030】
出力比率設定部202は、SOC判定部201による判定結果に応じて、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの出力比率を設定可能に構成されている。具体的には、出力比率設定部202は、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの電力分配比率kを設定可能に構成されている。出力比率設定部202は、効率優先で電力分配比率kを適宜設定することができる一方で、電力分配比率kを固定値として設定することができる。即ち、出力比率設定部202は、「固定手段」の一具体例として機能する。また、出力比率設定部202は、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの電力循環値Prを設定可能に構成されている。出力比率設定部202で設定された電力分配比率k及び電力循環値Prは、出力制御部203に出力される構成となっている。
【0031】
出力制御部203は、「制御手段」の一具体例であり、出力比率設定部202で設定された電力分配比率k及び電力循環値Prに基づいて、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bから電力Pa及びPbがそれぞれ出力されるように制御する。具体的には、出力すべき電力Pa及びPbに応じたスイッチング指令PWC1及びPWC2を、第1コンバータ8及び第2コンバータ8bにそれぞれ出力する。
【0032】
<SOCの偏り>
次に、上述した2つの電源を備えるシステムで発生し得るSOCの偏りが引き起こす問題点について、
図3から
図5を参照して詳細に説明する。ここに
図3は、比較例に係る車両の動作点を示すマップである。
図4は、比較例に係る第1蓄電部及び第2蓄電部のSOCの変動を示すグラフである。
図5は、比較例に係る電源制御装置による制御動作を示すタイムチャートである。
【0033】
図3に示すように、車両100における電源システム効率ηは、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの出力電力Pa及びPbに応じて変化する。なお、電源システム効率ηは、第1コンバータ8及び第2コンバータ8bでの損失Plcv、第1蓄電部6での損失Pla、第2蓄電部6bでの損失Plbから、下記数式(1)を用いて算出できる。
【0034】
1−η=(Plcv+Pla+Plb)/(Pa+Pb)・・・(1)
【0035】
電源システム効率ηを優先させる場合、動作点は、最適効率線上の点として決定される。しかしながら、仮に
図3中の動作点A及びBでの動作を実現させる場合、それぞれの動作点において、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの出力比率が互いに異なる状態となってしまう。この場合、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの動作が、充電又は放電の一方に偏ることになり、その結果SOCa及びSOCbにも偏りが生じてしまう。
【0036】
図4及び
図5に示すように、出力比率が異なる動作点A及びBでの動作を実行すると、1回の動作ごとにSOCaが増加する一方でSOCbは減少する。即ち、SOCaは上限側に偏り、SOCbは下限側に偏る。そして、n回の動作後には、SOCaが上限に到達している。SOCが上限値(又は下限値)に到達した場合、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bからの出力、あるいは第1蓄電部6及び第2蓄電部6bへの充電源が制限されるため、車両100の動作性能は低下してしまう。このため、SOCが上限値に達した場合には、SOCaを低下させるための制御が求められる。
【0037】
SOCの偏りを解消するためには、例えば第1蓄電部6及び第2蓄電部6b間で電力の授受を行えばよい。具体的には、第1蓄電部6から第2蓄電部6bに電力を分け与えるように制御すれば、SOCaが減少すると共にSOCbが増加し、偏りが解消される。しかし、第1蓄電部6及び第2蓄電部6b間で電力の授受を行うと、その制御に起因して損失が発生する。このため、仮に電源システム効率ηを優先した動作点で動作を行っていても、全体で見た場合の損失が大きくなってしまうおそれがある。即ち、燃費が悪化してしまうおそれがある。
【0038】
本実施形態に係る電源制御装置は、上述したSOCの偏りに起因する動作性能の低下及び燃費の悪化を抑制するために、以下で詳述する制御を実行する。
【0039】
<処理説明>
次に、第1実施形態に係る電源制御装置において実行される制御について、
図6を参照して詳細に説明する。ここに
図6は、実施形態に係る電源制御装置の制御動作を示すフローチャートである。なお、以下では、電源制御装置の一例であるHV−ECU2が実行する処理のうち、本実施形態に関連の深いもの(具体的には、2つの電源の出力比率を制御する処理)について詳細に説明し、他の一般的な処理については適宜説明を省略するものとする。
【0040】
図6において、第1実施形態に係る電源制御装置の動作時には、まずSOC判定部201においてSOCa及びSOCbが所定範囲内であるか否かが判定される(ステップS101)。
【0041】
SOCa及びSOCbが所定範囲内であると判定された場合(ステップS101:YES)、出力比率設定部202において、電力分配比率kが所定値に設定(固定)される(ステップS102)。「所定値」は、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bのSOCに偏りが生じない出力比率として予め設定されている値である。即ち、ここでの所定値は、「所定比率」の一具体例である。
【0042】
ここで、電力分配率kの設定について、
図7及び
図8を参照して具体的に説明する。ここに
図7は、第1実施形態に係る電源制御装置が利用する出力比率一定ラインの一例を示すマップである。また
図8は、損失に基づいて電力分配比率を算出する方法を示すグラフである。
【0043】
図7に示すように、SOCに偏りを生じさせないためには、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの出力比率を一定に保つように制御すればよい。具体的には、図中の出力比率一定ライン上の動作点を選択して動作すればよい。なお、出力比率一定ラインは、電源システム効率ηが最も高くなる動作点と減点とを結ぶ直線として求めることができる。出力比率一定ライン上の動作点に対応する電力分配比率kを利用すれば、電源システム効率ηを高めつつ、SOCの偏りを抑制できる。
【0044】
図8に示すように、代表的な出力値(例えば、電力Pa+Pbが10kW)において、トータルの損失を計算し、損失が最小となる出力比率を採用してもよい。図に示す例では、第1コンバータ8及び第2コンバータ8bでの損失Plcv、第1蓄電部6での損失Pla、第2蓄電部6bでの損失Plbの合計が最も小さくなるのは、電力分配比率kが25%の場合である。このため、電力分配比率kを25%で固定すれば、損失を最小に抑えつつ、SOCの偏りを抑制できる。
【0045】
その他、電源損失に相当する第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの内部抵抗Ra及びRbに基づいて、電力分配比率kを設定してもよい。具体的には、k=Rb/(Ra+Rb)となるように設定すれば、好適に損失を抑制することができる。
【0046】
図6に戻り、電力分配比率kを設定した後、出力比率設定部202では更に、電力循環値Prが“0(ゼロ)”となるように設定される(ステップS103)。即ち、第1蓄電部6及び第2蓄電部6b間での電力の授受がなくなるような設定が行われる。
【0047】
他方で、SOCa及びSOCbが所定範囲内でないと判定された場合(ステップS101:NO)、出力比率設定部202において、効率優先で電力分配比率kが設定される(ステップS104)。即ち、電力分配比率kは所定値に固定されることなく、状況に応じて効率が高くなるような値に設定される。
【0048】
また、SOCa及びSOCbが所定範囲内でないということは、SOCに偏りが生じていると判断できる。このため、出力比率設定部202では更に、SOCの偏りを補正するためのPrが設定される(ステップS105)。
【0049】
以上のように電力分配比率k及び電力循環値Prが設定されると、出力制御部203により、設定値に基づく出力電力Pa及びPbの制御が実行される(ステップS106)。この結果、本実施形態では、SOCa及びSOCbが所定範囲内であるか否かによって(言い換えれば、SOCに偏りが生じているか否かによって)、互いに異なる制御が実行されることになる。
【0050】
<実施形態の効果>
次に、第1実施形態に係る電源制御装置によって得られる技術的効果について、
図9及び
図10を参照して具体的に説明する。ここに
図9は、第1実施例に係る第1蓄電部及び第2蓄電部のSOCの変動を示すグラフである。また
図10は、第1実施例に係る電源制御装置による制御動作を示すタイムチャートである。
【0051】
図9及び
図10に示すように、第1実施形態では、SOCに偏りが生じていない状態では、電力分配率kが所定値に固定される。電力分配率kが固定されると、SOCa及びSOCbは動作の度にわずかに増加又は減少するが、充放電比率がゼロのため最終的には初期値に戻る。
【0052】
このため、本実施形態においては、
図4や
図5で説明したようなSOCの偏りは生じない。よって、SOCが上限値又は下限値に到達してしまうことを回避できる。従って、SOCに制限が課されることで、車両100の動作性能が低下してしまうことを防止できる。
【0053】
また、SOCの偏りを解消するための電力の授受が不要になるため、その際に発生する電力損失を低減することができる。よって、車両100の燃費を向上させることができる。
【0054】
なお、何らかの原因で、動作開始時点ですでにSOCに偏りが生じてしまっている場合であっても、電力の授受によりSOCの偏りが解消された後は、電力分配率kが固定され、再びSOCに偏りが生じてしまうことが防止される。よって、損失の発生を最小限に抑えることができる。
【0055】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電源制御装置について、
図11から
図14を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については概ね第1実施形態と同様である。このため、以下では、すでに説明した第1実施形態と異なる部分についてのみ詳細に説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0056】
<動作モード>
まず、第2実施形態に係る車両で実現される複数の動作モードについて、
図11及び
図12を参照して具体的に説明する。ここに
図11は、パラレルモード時の接続構成を示すブロック図である。また
図12は、シリーズモード時の接続構成を示すブロック図である。
【0057】
図11に示すように、第2実施形態に係る車両100では、その動作モードとしてパラレルモードを実現可能である。パラレルモードでは、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bが、コンバータ8に対して並列に接続される。パラレルモードは、「第2動作モード」の一具体例である。
【0058】
図12に示すように、第2実施形態に係る車両100では、その動作モードとしてシリーズモードを実現可能である。シリーズモードでは、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bが、コンバータ8に対して直列に接続される。シリーズモードは、「第1動作モード」の一具体例である。
【0059】
第2実施形態に係る電源制御装置は、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの接続構成を変化させることで、上述したパラレルモード及びシリーズモードを相互に切替えることが可能に構成されている。なお、パラレルモード及びシリーズモード以外の動作モード(例えば、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの一方のみから電力を供給するモード等)を実現可能に構成されていてもよい。
【0060】
<充放電管理の制御構造>
次に、第2実施例に係る第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの充放電管理を行なうための制御構造について、
図13を参照して説明する。ここに
図13は、第2実施形態に係るHV−ECUの制御構造を示すブロック図である。
【0061】
図13に示すように、第2実施形態に係るHV−ECU2は、第1実施形態に係るHV−ECU2が備えるSOC判定部201、出力比率設定部202、及び出力制御部203(
図2参照)に加えて、モード判定部204及びモード制御部205を備えて構成されている。
【0062】
モード判定部204は、SOC判定部201の判定結果に応じて、実現すべき動作モードを判定する。即ち、SOCa及びSOCbが所定範囲内であるか否かに応じて、パラレルモード及びシリーズモードのいずれの動作モードで動作すべきかを判定する。モード判定部204の判定結果は、モード制御部205に出力される構成となっている。
【0063】
モード制御部205は、モード判定部204の判定結果に応じて、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの接続構成を変化させるための指令信号を出力する。これにより、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bとコンバータ8との接続構成が変化し、パラレルモード又はシリーズモードが実現される。
【0064】
<処理説明>
次に、第2実施形態に係る電源制御装置において実行される制御について、
図14を参照して詳細に説明する。ここに
図14は、第2実施形態に係る電源制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
図14に示すように、第2実施形態に係る電源制御装置の動作時には、まずSOC判定部201においてSOCa及びSOCbが所定範囲内であるか否かが判定される(ステップS201)。
【0066】
SOCa及びSOCbが所定範囲内であると判定された場合(ステップS201:YES)、モード判定部204においてシリーズモードが優先的に選択され、モード制御部205によってシリーズモードが実現される(ステップS202)。
【0067】
シリーズモードが選択された場合、出力比率設定部202では、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bの電力費が1:1となる電力分配比率k(=Va/(Va+Vb))が設定される(ステップS202)。また、出力比率設定部202では更に、電力循環値Pr=0に設定される(ステップS203)。なお、ステップS203及びS204で設定される条件は、シリーズモードが選択されると必然的に実現される条件なので、敢えて設定する必要性はない。
【0068】
他方で、SOCa及びSOCbが所定範囲内でないと判定された場合(ステップS201:NO)、モード判定部204においてパラレルモードが優先的に選択され、モード制御部205によってパラレルモードが実現される(ステップS205)。
【0069】
パラレルモードが選択された場合、出力比率設定部202では、効率優先で電力分配比率kが設定される(ステップS206)。即ち、電力分配比率kは所定値に固定されることなく、状況に応じて効率が高くなるような値に設定される。また、出力比率設定部202では更に、SOCの偏りを補正するためのPrが設定される(ステップS207)。
【0070】
以上のように電力分配比率k及び電力循環値Prが設定されると、出力制御部203により、設定値に基づく出力電力Pa及びPbの制御が実行される(ステップS208)。この結果、本実施形態では、SOCa及びSOCbが所定範囲内である場合にシリーズモードでの動作が行われ、所定範囲内でない場合にパラレルモードでの動作が行われることになる。
【0071】
ここで特に、第1蓄電部6及び第2蓄電部6bが直列に接続された状態で動作するシリーズモードでは、電流比率が1:1となり、SOCa及びSOCbに偏りが生じなくなる。このため、第1実施形態と同様に、SOCの偏りによって生ずる動作性能の低下を抑制すると共に、燃費を向上させることが可能である。
【0072】
また、シリーズモードは、パラレルモードと比べて電力損失が少ないため、シリーズモードで広い動作電圧範囲をカバーすることにより、さらに燃費を向上させることができる。
【0073】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電源制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。