(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659596
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】特に自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F02N 11/08 20060101AFI20200220BHJP
F02N 11/00 20060101ALI20200220BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20200220BHJP
H02P 27/04 20160101ALI20200220BHJP
【FI】
F02N11/08 V
F02N11/00 N
F02N11/08 M
F02N11/04 C
H02P27/04
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-574050(P2016-574050)
(86)(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公表番号】特表2017-519936(P2017-519936A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】FR2015051542
(87)【国際公開番号】WO2015193586
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月26日
(31)【優先権主張番号】1455677
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ロマン、シュミッター
(72)【発明者】
【氏名】シリル、グラツィエラ
(72)【発明者】
【氏名】リュック、コビランスキ
(72)【発明者】
【氏名】リュドビック、ボダン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド、マルブランク
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0283243(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102012203374(DE,A1)
【文献】
特開2006−067718(JP,A)
【文献】
特開2010−239748(JP,A)
【文献】
特開2000−104650(JP,A)
【文献】
特表2010−531953(JP,A)
【文献】
特開2007−100705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 11/08
H02P 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(1)を用いて、特に自動車両の、熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法であって、前記回転電気機械(1)が、駆動ユニット(3)と、前記熱機関(2)の始動又は再始動を引き起こすために前記駆動ユニット(3)及び前記熱機関(2)と協働するベルト(4)タイプ又はチェーンタイプの伝動ユニット(4)とを備え、テンショナ(6)が前記回転電気機械(1)と前記熱機関(2)との間で延びる前記伝動ユニット(4)のストランド(7)に支持されるように設けられる方法において、
第1のステップにおいて、前記回転電気機械(1)は、前記伝動ユニット(4)に張力を付与するために所定の時間にわたって前記始動方向で所定の減少されたトルクを供給し、
第2のステップにおいて、前記回転電気機械(1)は、前記熱機関(2)を急速に駆動させてその始動を引き起こすために最適な所定のトルクを供給し、
前記所定の減少されたトルクは、前記回転電気機械(1)に給電するインバータ(12,13)の進角を制御することによって制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
始動段階において、前記所定の減少されたトルクは、前記熱機関(2)の圧縮ポイントの通過のために必要な公称トルクよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法。
【請求項3】
再開始段階において、前記所定の減少されたトルクは、前記回転電気機械(1)の回転速度によって決まることを特徴とする請求項1に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法。
【請求項4】
前記所定の減少されたトルクは、前記インバータ(12,13)の開放角度を制御することによっても制御されることを特徴とする請求項3に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法。
【請求項5】
前記所定の減少されたトルクは、前記回転電気機械(1)の励磁電流(EXC)を制御することによって制御されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法。
【請求項6】
前記第1のステップがプレフローステップによって先行されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実施するようになっている、特に自動車両の、熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための装置であって、前記装置が、
駆動ユニット(3)が設けられた回転電気機械(1)と、
前記熱機関(2)の始動又は再始動を引き起こすために前記回転電気機械(1)の前記駆動ユニット(3)及び前記熱機関(2)と協働するベルト(4)タイプ又はチェーンタイプの伝動ユニット(4)と、
前記回転電気機械(1)と前記熱機関(2)との間で延びる前記伝動ユニット(4)のストランド(7)に支持されるべきテンショナ(6)と、
前記回転電気機械(1)に給電するインバータ(12,13)と、
エンジントルクを制御する前記回転電気機械(1)のための制御システム(13)と、
を備えるタイプのものである、装置において、
前記回転電気機械(1)の回転速度、
前記インバータ(12,13)の進角、
前記インバータ(12,13)の開放角度、
前記回転電気機械(1)の励磁電流(EXC)、及び
前記回転電気機械(1)の温度、
のグループの中から少なくとも1つのパラメータを取得するための手段を更に備え、
前記制御システム(13)は、前記少なくとも1つのパラメータに応じた所定の減少されたトルクのカートグラフィー(17)を備え、それにより、前記エンジントルクが所定の時間にわたって前記所定の減少されたトルクに等しい場合に前記伝動ユニット(4)に張力を付与し、前記所定の減少されたトルクは、前記熱機関(2)を急速に駆動できるようにする最適なトルクよりも低いことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の熱機関(2)を始動させる或いは再始動させるための装置をもたらすようになっている回転電気機械(1)のための制御システム(13)。
【請求項9】
特に自動車両の、熱機関(2)に結合されるようになっているオルタネータ−スタータ(1)であって、請求項8に記載の一体型の制御システム(13)を備えることを特徴とするオルタネータ−スタータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法及び装置に関する。
【0002】
また、本発明は、方法を実施できるとともにこの装置に含まれるオルタネータ−スタータに関する。
【背景技術】
【0003】
省エネ及び特に都市環境における汚染の低減を考慮する結果、自動車両製造業者は、「ストップ・アンド・ゴー」として知られるシステムなどの自動停止/再始動システムを自分達のモデルに備え付けるようになる。
【0004】
VALEO EQUIPEMENTS ELECTRIQUES MOTEUR社がそのフランス国特許出願第2875549号明細書において想起するように、ストップ・アンド・ゴーモデルにしたがった車両の機能は、熱機関に結合されてスタータモードでインバータにより給電される可逆的な電気機械又はオルタネータ−スタータによって可能にされる。
【0005】
ストップ・アンド・ゴー機能モードにおけるオルタネータ−スタータの使用は、特定の条件下では、車両自体が停止しているときに熱機関の完全な停止を引き起こし、その後、引き続いて、例えば再始動の要求として解釈されるドライバーによる行為の結果として熱機関を再始動させることから成る。
【0006】
典型的なストップ・アンド・ゴー状況は、赤信号での停止の状況である。車両が交通信号で停止すると、熱機関が自動的に停止され、その後、信号が緑に変わると、ドライバーがクラッチペダルを押してしまったことをシステムにより検出する結果として、熱機関がオルタネータ−スタータによって再始動される。
【0007】
一般に、オルタネータ−スタータは、ドライバーが自分の車両を再始動又は再開したいことを示す刺激が起こると直ぐに適切なエンジントルクを生成しなければならない。
【0008】
オルタネータ−スタータシステムにより果たされるこの自動再始動機能は、車両のドライバーにとって可能な限り明確でなければならない機能であることが分かる。
【0009】
特に、始動コマンドとオルタネータ−スタータによる熱機関の実際の始動との間の時間は、可能な限り短くなければならない。
【0010】
この目的のため、プレフローステップが行われ、該プレフローステップ中には、スタータに電力が供給されることなくオルタネータ−スタータのロータに電気が供給される。
【0011】
プレフローステップの完了時、電力がスタータ及びオルタネータ−スタータに供給され、また、オルタネータ−スタータは、熱機関を始動させるために、圧縮通過ポイントを越えて熱機関を急速に駆動できるようにするのに十分大きいトルクを生成する。
【0012】
この可逆的なオルタネータは、大抵は、熱機関の前面に埋め込まれ、この前面には、熱機関のクランクシャフトプーリが存在する。
【0013】
第1に、熱機関が機能しているときに、オルタネータプーリを駆動させるために、また、適用できる場合には1又は複数の付属品を駆動させるために、また、第2に、再始動又は再開の段階中に可逆的なオルタネータにより供給されるトルクをクランクシャフトプーリに伝えるために、ベルトが設けられる。
【0014】
また、一般的には、オルタネータプーリとクランクシャフトプーリとの間でベルトのストランドに支持されるようにテンショナも設けられる。
【0015】
この形態では、プレフローステップの完了時のベルトによる実質的なエンジントルクの伝達がベルトを損傷させ得る。
【0016】
この不都合を排除するために、出願人の会社は、国際特許出願公開第2009/077687号明細書において、プレフローステップの持続時間を制限することを提案した。
【0017】
しかしながら、トルクの突然の変化がユーザにより有害と見なされる音響効果をテンショナを介して生成することが分かってきた。
【0018】
フランス国特許出願公開第2918127号明細書中において、出願人の会社は、始動の方向とは反対の方向でトルクを印加することによりベルトに張力を付与することを提案した。しかしながら、この解決策は、逆に、トルクの変化を減少させず、したがって、音響効果を排除しない。加えて、テンショナは互換性がなければならない。
【0019】
その結果、ユーザによって有害であると知覚される音響効果を制限しつつ、短い始動時間又は再始動時間を確保する、熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法及び装置の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】フランス国特許出願第2875549号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2009/077687号明細書
【特許文献3】フランス国特許出願公開第2918127号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的はこの必要性を満たすことであり、また、本発明の主題は、具体的には、回転電気機械を用いて特に自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この回転電気機械は、駆動ユニットを備えるとともに、この熱機関の始動又は再始動を引き起こすために駆動ユニット及び熱機関と協働するベルトタイプ又はチェーンタイプの伝動ユニットと関連付けられる。
【0023】
テンショナが回転電気機械と熱機関との間で延びる伝動ユニットのストランドに支持されるように設けられる。
【0024】
本発明によれば、本発明に係る方法は2つの以下のステップを含む。すなわち、
− 第1のステップにおいて、回転電気機械は、伝動ユニットに張力を付与するために所定の時間にわたって始動方向で所定の減少されたトルクを供給するが、圧縮ポイントを通過できるようにせず、及び、
− 第2のステップにおいて、回転電気機械は、熱機関を急速に駆動させるために最適な所定のトルクを供給し、及び、
所定の減少されたトルクは、回転電気機械に給電するインバータの進角を制御することによって制御される。
【0025】
始動段階において、所定の減少されたトルクは、非常に好適には、熱機関の圧縮ポイントの通過のために必要な公称トルクよりも低い。
【0026】
或いは、再開始段階において、所定の減少されたトルクは、好ましくは、回転電気機械の回転速度によって決まる。
【0027】
この場合、所定の減少されたトルクは、好ましくは、インバータの開放角度を制御することによっても制御される。
【0028】
本発明の方法によれば、回転電気機械の励磁電流を制御することによる所定の減少されたトルクの制御からも利点が得られる。
【0029】
特定の用途では、本発明に係る方法の第1のステップに先立ってプレフローステップを行うことができ、その後、第2のステップは、このプレフローステップを考慮に入れてその利点を損なわないようになっている。
【0030】
また、本発明は、前述した方法を実施するようになっている特に自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための装置に関する。
【0031】
この装置は、
− 駆動ユニットを備える回転電気機械と、
− この熱機関の始動又は再始動を引き起こすために回転電気機械の駆動ユニット及び熱機関と協働するベルトタイプ又はチェーンタイプの伝動ユニットと、
− 回転電気機械と熱機関との間で延びる伝動ユニットのストランドに支持されるべきテンショナと、
−回転電気機械に給電するインバータと、
− エンジントルクを制御する回転電気機械のための制御システムと、
を備えるタイプのものである。
【0032】
本発明に係る熱機関を始動させる或いは再始動させるための装置は、それが、
− 回転電気機械の回転速度、
− インバータの進角、
− インバータの開放角度、
− 回転電気機械の励磁電流、
− 回転電気機械の温度、
のグループの中から少なくとも1つのパラメータを取得するための手段を更に備えるという点において区別され、
制御システムは、少なくともこのパラメータに応じた所定の減少されたトルクのカートグラフィーを備え、それにより、エンジントルクが所定の時間にわたって所定の減少されたトルクに等しいときに伝動ユニットに張力を付与し、この所定の減少されたトルクは、熱機関を急速に駆動できるようにする最適なトルクよりも低い。
【0033】
また、本発明の主題は、前述の特徴を有する熱機関を始動させる或いは再始動させるための装置をもたらすようになっている回転電気機械のための制御システムである。
【0034】
本発明の文脈内で、特に自動車両の熱機関に結合されるようになっているオルタネータ−スタータも、非常に好適には、このタイプの一体型の制御システムを備える。
【0035】
これらの幾つかの本質的な仕様は、従来技術と比べた本発明により与えられる利点を当業者に明らかにする。
【0036】
本発明の詳細な仕様は、添付図面と関連する以下の説明で与えられる。これらの図面は、説明の文章を単に図示するという目的を果たすにすぎず、決して本発明の範囲の限定を成すものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】自動車両の熱機関の前面、及び、本発明に係るタイプの始動用又は再始動用の装置の機械的な配置を部分的に表す。
【
図2】本発明に係るタイプの自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための装置の概略的な電気図である。
【
図3a】始動段階における本発明に係る自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法及び装置の好ましい実施形態で実施される所定の減少されたトルクの、インバータの進角とオルタネータ−スタータの温度とに応じたカートグラフィーの表示である。
【
図3b】(100rpmでの)再始動段階における本発明に係る自動車両の熱機関を始動させる或いは再始動させるための方法及び装置の好ましい実施形態で実施される所定の減少されたトルクの、インバータの進角とオルタネータ−スタータの温度とに応じたカートグラフィーの表示である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に表されるように、本発明の好ましい実施形態は、熱機関2の前面に配置されるオルタネータ−スタータ1を備える車両に関する。
【0039】
図1に明確に示されるように、オルタネータ−スタータ1には、この場合には第1のプーリ3により形成される駆動ユニットが設けられ、ベルト4により構成される伝動ユニットが、熱機関2をこの熱機関2のクランクシャフトと一体の第2のプーリ5を用いて駆動させるために、駆動ユニットと協働する。
【0040】
ローラを備えるテンショナ6が、オルタネータ−スタータ1と熱機関2のクランクシャフトとの間で延びるベルト4のストランド7に支持される。
【0041】
また、ベルト4は、該ベルト4の他のストランドを介して、第3のプーリ8を用いて図示しない付属品、例えばエアコン用コンプレッサを駆動させるためにも使用される。
【0042】
それ自体が知られる態様で、オルタネータ−スタータ1は、インバータによりモータモードで給電されるとともに、エンジントルクを制御する制御システムによって制御される。
【0043】
これらの電気要素の概略図が
図2に示される。
【0044】
概略的に表されるオルタネータ−スタータ1は、三相ステータ9と励磁を伴うロータ10とを備える。
【0045】
ステータ9の三相巻線は、制御システム13により制御される電力回路12によって車載電力網11に接続されるバッテリによりB+,B−に給電される。
【0046】
また、制御システム13は、ロータ10のインダクタ内で循環する励磁電流EXCも制御する。
【0047】
電子制御システム13は、専用の有線接続を介して或いはLIN又はCANタイプの車載データ通信バスを介して、エンジン制御ユニット14から熱機関2の機能パラメータ及び他のコンテクスト情報を受ける。
【0048】
有害な振動効果を制限する目的で、熱機関2を始動させる或いは再始動させるための本発明に係る方法は、実質的に、オルタネータ−スタータ1が熱機関2を急速に駆動させるのに十分なエンジントルクを印加する前にベルト4に予張力を付与することから成る。
【0049】
したがって、第1のステップにおいて、制御システム13は、それがベルト4に張力を付与するために所定の減少されたトルクのみを供給するようにオルタネータ−スタータ1を制御する。
【0050】
この目的のため、本発明に係る始動装置又は再始動装置は、ステータ9と一体の3つのホール効果センサ15を備え、これらのホール効果センサ15は、ロータ10に固定される磁性ターゲット16を用いてステータ9に対するロータ10の角度位置決定できるようにする。
【0051】
この角度位置にしたがって、制御システム13は、相電流が必要とされる所定の減少されたトルクに対応する進角(機械の起電力との位相差)を有するように相電流を制御する。
【0052】
進角に応じた所定の減少されたトルクのカートグラフィーが制御システム13のメモリ17に記憶される。
【0053】
図3aは、一般的な容積を有する熱機関2の始動中に使用されるカートグラフィーの一例の表示である。
【0054】
この例では、インバータ12,13の開放角度(すなわち、相電流のデューティサイクル(度))が135°に設定されてしまっており、また、励磁電流EXCの強度が8Aに設定されてしまっている。
【0055】
この強度は、所定の減少されたトルクの印加の第1のステップに先行するプレフローステップの目標値に対応する。
【0056】
約60°の進角は、20N.mにほぼ等しい減少されたトルクを得ることができるようにする。
【0057】
オルタネータ−スタータ1により供給されるこの減少されたトルクは、熱機関2が第1の圧縮ポイントを通過できるようにせず、ベルト4の張力付与を可能にする。
【0058】
カートグラフィーは、オルタネータ−スタータ1の温度を考慮に入れる。
【0059】
しかしながら、
図3aに明確に示されるように、これは関与する機械に僅かしか影響を与えない(−28℃に関する実線、−10℃に関する細い点線、25℃に関する太い点線、50℃に関する破線、及び、120℃に関する一点鎖線における湾曲部)ことが分かってきた。
【0060】
熱機関2の再始動の段階では、カートグラフィーがオルタネータ−スタータ1の回転速度を考慮に入れる。
【0061】
図3bは、
図3aの場合と同じ条件、すなわち、135°の開放角度及び8Aの励磁電流EXCにおける100rpmの回転速度に関する一例である。
【0062】
この場合、ほぼ60°の進角は、約20N.mの減少されたトルクを得ることもできるようにする。
【0063】
本発明によれば、進角に応じた所定の減少されたトルクのカートグラフィーは、一般に、好ましくは0〜約200rpmの範囲内のオルタネータ−スタータ1の回転速度、並びに、励磁電流EXCの強度、インバータの開放角度、及び、温度などの他のパラメータを考慮に入れる。
【0064】
したがって、熱機関2を始動させる或いは再始動させるための本発明に係る装置は、必要に応じた数の対応するセンサ15を備え、例えば、励磁電流EXCの強度の測定のために励磁回路にシャントを備える。
【0065】
本発明が前述した好ましい実施形態のみに限定されないことが分かる。
【0066】
与えられるカートグラフィーは、単に、一例として選択されたオルタネータ−スタータ1及び熱機関2の特定の特性に対応する。
【0067】
前述の説明は、励磁を伴う三相オルタネータ−スタータ1以外の回転電気機械に当てはまる。
【0068】
これらの電気機械の相の数は、3つよりも多くなり得るとともに、例えば六相機械の場合には6に等しくなり得る。
【0069】
本発明に係る回転電気機械1を用いて熱機関2を始動させる或いは再始動させるための方法は、一般に、永久磁石を有する同期機械、クロウマシン、二重励磁を伴う巻線形ロータを有する機械、非同期機械、可変リラクタンスを有する機械、又は、直流電流機械にも同様に当てはまる。
【0070】
したがって、本発明は、それどころか、以下の特許請求項により規定される範囲内にとどまる全ての想定し得る変形実施形態を組み入れる。