特許第6659611号(P6659611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6659611多波長撮影カメラシステム、多波長撮影カメラの撮影方法、画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659611
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】多波長撮影カメラシステム、多波長撮影カメラの撮影方法、画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20200220BHJP
   G03B 17/00 20060101ALI20200220BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   H04N5/232 030
   H04N5/232 290
   G03B17/00 Q
   H04N7/18 U
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-69179(P2017-69179)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-170742(P2018-170742A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2017年3月30日
【審判番号】不服2018-10443(P2018-10443/J1)
【審判請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洞井 晋一
(72)【発明者】
【氏名】増田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】坂川 涼
【合議体】
【審判長】 清水 正一
【審判官】 千葉 輝久
【審判官】 渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−175723(JP,A)
【文献】 特開2004−172832(JP,A)
【文献】 特開2017−33252(JP,A)
【文献】 特開2013−110738(JP,A)
【文献】 特開2014−99719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N5/222-5/257
H04N5/30-5/378
H04N7/18
G03B17/00
G03B17/26-17/34
G03B17/38-17/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多波長撮影カメラに接続された画像処理装置と、ユーザにより操作される端末装置と、を有し、
前記端末装置は、前記ユーザによる操作に応じて、前記画像処理装置に命令を前記端末装置が備えるテザリング機能による無線により前記画像処理装置と通信接続して送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から送信された前記命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、
前記画像処理装置は、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記画像処理装置から送信された前記カラーの画像のデータを受信し、受信された前記カラーの画像のデータを画面に表示し、
前記端末装置と前記画像処理装置は、前記端末装置から前記命令を前記画像処理装置に送信するときに通信接続をし直し、前記画像処理装置から前記端末装置に前記カラーの画像のデータを送信した後に通信切断する、
多波長撮影カメラシステム。
【請求項2】
前記多波長撮影カメラは、4以上の所定数の異なる波長の情報を検出し、
前記カラーの画像のデータは、前記所定数よりも少ない数の異なる波長の情報を用いて構成される、
請求項1に記載の多波長撮影カメラシステム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、キーボードイベントを用いて、前記多波長撮影カメラを操作するためのソフトウェアに指示を与える、
請求項1又は請求項に記載の多波長撮影カメラシステム。
【請求項4】
ユーザにより操作される端末装置は、前記ユーザによる操作に応じて、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置に命令を前記端末装置が備えるテザリング機能による無線により前記画像処理装置と通信接続して送信し、
前記画像処理装置は、前記端末装置から送信された前記命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記画像処理装置から送信された前記カラーの画像のデータを受信し、受信された前記カラーの画像のデータを画面に表示し、
前記端末装置と前記画像処理装置は、前記端末装置から前記命令を前記画像処理装置に送信するときに通信接続をし直し、前記画像処理装置から前記端末装置に前記カラーの画像のデータを送信した後に通信切断する、
多波長撮影カメラの撮影方法。
【請求項5】
多波長撮影カメラに接続され、
ユーザにより操作される端末装置から前記端末装置が備えるテザリング機能による無線により前記端末装置と通信接続して送信された命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、
前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、
前記端末装置と、前記端末装置から前記命令を受信するときに通信接続をし直し、前記端末装置に前記カラーの画像のデータを送信した後に通信切断する、
画像処理装置。
【請求項6】
多波長撮影カメラに接続された画像処理装置が、
ユーザにより操作される端末装置から前記端末装置が備えるテザリング機能による無線により前記端末装置と通信接続して送信された命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、
前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、
前記端末装置と、前記端末装置から前記命令を受信するときに通信接続をし直し、前記端末装置に前記カラーの画像のデータを送信した後に通信切断する、
画像処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の多波長撮影カメラシステムにおける端末装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多波長撮影カメラの撮影技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なカメラは赤、緑および青の3つの色(3つの波長)のデータを記録する。これに対して、一般的なカメラよりも多くの波長のデータを記録することが可能なカメラ(以下、「多波長撮影カメラ」ともいう。)があり、このような多波長撮影カメラとしてスペクトルカメラ(例えば、マルチスペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ)あるいはマルチバンドカメラと呼ばれる製品がある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された画像処理装置では、複数のカラーチャンネル数の画像を撮像するマルチスペクトルカメラが備えられて使用されている(特許文献1の段落0043参照。)。
【0004】
多波長撮影カメラでは、1枚の画像を撮影する処理にかかる時間が一般的なカメラよりも非常に長く、例えば、数秒〜数十秒である場合がある。
また、多波長撮影カメラでは、ファイルサイズが非常に大きく、例えば、数百MB以上である場合がある。
多波長撮影カメラでは、ユーザが専用のソフトウェアを操作することで、設定、撮影、あるいは確認を行うことが一般的である。
【0005】
多波長撮影カメラでは、屋外での撮影においてパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」ともいう。)の設置場所を確保することが困難な場合があり、多波長撮影カメラを設置した三脚等にパソコンを付帯させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−39485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の多波長撮影カメラでは、撮影の際にユーザがパソコンを操作する必要があるが、操作時の振動が三脚等に伝わってしまうことで、撮影画像の劣化に繋がる場合があった。
また、従来の多波長撮影カメラでは、パソコンの画面が発する光が撮影画像のスペクトルに影響することから、撮影中は画面の点灯をオフ(OFF)にする必要があるが、撮影後はユーザが画面により確認する必要があるため、例えば、改めて点灯させること、あるいは、照度をあらかじめ下げることなどの処置が必要である。このため、確認作業の効率低下を招く場合があった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、多波長撮影カメラによる撮影画像の劣化を防ぐことができ、当該撮影画像をカラーでユーザにより確認することが可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置と、ユーザにより操作される端末装置と、を有し、前記端末装置は、前記ユーザによる操作に応じて、前記画像処理装置に命令を無線により送信し、前記画像処理装置は、前記端末装置から送信された前記命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、前記画像処理装置は、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記画像処理装置から送信された前記カラーの画像のデータを受信し、受信された前記カラーの画像のデータを画面に表示する、多波長撮影カメラシステムである。
【0010】
本発明の一態様は、多波長撮影カメラシステムにおいて、前記多波長撮影カメラは、4以上の所定数の異なる波長の情報を検出し、前記カラーの画像のデータは、前記所定数よりも少ない数の異なる波長の情報を用いて構成される。
本発明の一態様は、多波長撮影カメラシステムにおいて、前記端末装置と前記画像処理装置は、前記端末装置から前記命令を前記画像処理装置に送信するときに通信接続し、前記画像処理装置から前記端末装置に前記カラーの画像のデータを送信した後に通信切断する。
本発明の一態様は、多波長撮影カメラシステムにおいて、前記画像処理装置は、キーボードイベントを用いて、前記多波長撮影カメラを操作するためのソフトウェアに指示を与える。
【0011】
本発明の一態様は、ユーザにより操作される端末装置は、前記ユーザによる操作に応じて、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置に命令を無線により送信し、前記画像処理装置は、前記端末装置から送信された前記命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記画像処理装置から送信された前記カラーの画像のデータを受信し、受信された前記カラーの画像のデータを画面に表示する、多波長撮影カメラの撮影方法である。
【0012】
本発明の一態様は、多波長撮影カメラに接続され、ユーザにより操作される端末装置から無線により送信された命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信する、画像処理装置である。
【0013】
本発明の一態様は、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置が、ユーザにより操作される端末装置から無線により送信された命令を受信し、受信された前記命令に基づいて前記多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、前記多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを前記端末装置に送信する、画像処理方法である。
【0014】
本発明の一態様は、上記の多波長撮影カメラシステムにおける端末装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
本発明の一態様は、上記の画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、多波長撮影カメラによる撮影画像の劣化を防ぐことができ、当該撮影画像をカラーでユーザにより確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る多波長撮影カメラシステムの構成を表す図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作用のパソコンの機能構成を表す機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る遠隔操作用のタブレット端末の機能構成を表す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る遠隔操作タブレットにおける画面表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスペクトルカメラシステム11の構成を表す図である。
本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11は、多波長撮影カメラシステムの一例である。
スペクトルカメラシステム11は、多くの波長を撮影することが可能なカメラ(多波長撮影カメラ)の一例であるスペクトルカメラ1と、画像処理装置の一例である操作用のパソコン(以下、「操作用パソコン」ともいう。)2と、端末装置の一例である遠隔操作用のタブレット端末(以下、「遠隔操作タブレット」ともいう。)3を備える。
【0018】
ここで、本実施形態では、多波長撮影カメラの一例として、スペクトルカメラ1が用いられるが、例えば、マルチバンドカメラなど、他の任意のものが用いられてもよい。また、スペクトルカメラ1としては、例えば、マルチスペクトルカメラ、あるいはハイパースペクトルカメラなどが用いられてもよい。
また、本実施形態では、端末装置の一例として、タブレット端末が用いられるが、例えば、スマートホン端末、PDA(Personal Digital Assistant)端末など、他の任意のものが用いられてもよい。
【0019】
スペクトルカメラ1と操作用パソコン2とは、有線により、通信可能に接続される。本実施形態では、スペクトルカメラ1と操作用パソコン2とは、USB(Universal Serial Bus)を用いて、通信可能に接続されている。なお、スペクトルカメラ1と操作用パソコン2とは、任意の通信規格を用いて、通信してもよい。
操作用パソコン2と遠隔操作タブレット3とは、無線により、通信可能に接続される。本実施形態では、操作用パソコン2と遠隔操作タブレット3とは、無線LAN(Local Area Network)を用いて、通信可能に接続される。なお、操作用パソコン2と遠隔操作タブレット3とは、任意の無線の通信規格を用いて、通信してもよい。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る操作用のパソコン(操作用パソコン2)の機能構成を表す機能ブロック図である。
操作用パソコン2は、通信部21と、キーボードイベント生成部22と、カメラの操作を制御するソフトウェアにより実現される機能部(以下、「カメラ操作ソフト部」ともいう。)23と、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)24と、カラー化処理部25と、制御部26を備える。
【0021】
ここで、本実施形態では、カメラ操作ソフト部23は、制御部26がHDD24に記憶されたプログラムを実行することで実現されるが、説明の便宜上、1つの機能部として説明する。なお、他の構成例として、カメラ操作ソフト部23と同様な機能が、ハードウェアの回路を用いて実現されてもよい。
また、本実施形態では、キーボードイベント生成部22の機能およびカラー化処理部25の機能も、制御部26がHDD24に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
なお、それぞれの機能を実現するためのプログラムは、例えば、別々のプログラムであってもよく、あるいは、2以上の機能が共通のプログラムにより実現されてもよい。
また、本実施形態では、記憶装置としてHDD24を示したが、他の記憶装置が用いられてもよい。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る遠隔操作用のタブレット端末(遠隔操作タブレット3)の機能構成を表す機能ブロック図である。
遠隔操作タブレット3は、通信部31と、タッチパネル32と、イベント処理部33を備える。
遠隔操作タブレット3は、ユーザ(本実施形態では、撮影者)により携帯されて操作される。
タッチパネル32は、画面に対してユーザにより行われた操作を受け付ける機能と、画面に情報を表示する機能を有する。
【0023】
遠隔操作タブレット3および操作用パソコン2により行われる動作の例を示す。
遠隔操作タブレット3において、タッチパネル32は、ユーザにより操作され得る操作ボタンを表示し、ユーザにより行われた操作の内容に応じた指示をイベント処理部33に送る。すなわち、ユーザは、遠隔操作タブレット3のタッチパネル32を操作することで、イベント処理部33に指示を与える。
ここで、ユーザは、指示として、Preview(簡易撮影)の指示と、Scan(本番撮影)の指示を作成することが可能である。Scanの指示では、指示として、保存先のファイル名を引数として通知する。
なお、別途、Setting(撮影条件の変更)、あるいは、Stop(撮影の中断)などの指示が使用可能に用意されてもよい。
【0024】
遠隔操作タブレット3において、イベント処理部33は、与えられた指示に応じた命令識別子を生成し、生成した命令識別子を通信部31を介して操作用パソコン2に送信する。
遠隔操作タブレット3において、通信部31は、操作用パソコン2との通信を行う。
ここで、本実施形態では、遠隔操作タブレット3において、通信部31は、テザリング機能を利用して、操作用パソコン2との通信を行う。なお、遠隔操作タブレット3と操作用パソコン2との通信は、他の手法を用いて行われてもよく、例えば、Wi−Fi(登録商標)のアクセスポイントを使用する手法、あるいは、携帯網を使用する手法などが用いられて行われてもよい。
【0025】
操作用パソコン2では、制御部26は、所定のプログラム(以下で、「サーバプログラム」ともいう。)を動作させて、TCP(Transmission Control Protocol)の接続を待ち受ける。そして、遠隔操作タブレット3において、通信部31は、サーバプログラムに対してTCP接続を行い、命令識別子を操作用パソコン2に送信する。
この際、遠隔操作タブレット3では、ユーザによって続けて操作が行われないように、タッチパネル32に表示されている操作ボタンを無効化する。
なお、本実施形態では、操作ボタンの無効化は、操作ボタンの操作ができない状態にすることを表わしており、逆に、操作ボタンの有効化は、操作ボタンの操作ができる状態にすることを表わしている。
また、本実施形態では、プロトコルとして、TCPが用いられるが、他の構成例として、UDP(User Datagram Protocol)あるいは他のプロトコルが用いられてもよい。
【0026】
操作用パソコン2において、通信部21は、遠隔操作タブレット3から命令識別子を受信し、受信した命令識別子を制御部26に出力することで通知する。
操作用パソコン2において、制御部26は、通知された命令識別子に応じて、カメラ操作ソフト部23を操作するためのキーボードイベントをキーボードイベント生成部22に出力することで通知する。
【0027】
ここで、キーボードイベントとしては、任意のキーボードイベントが用いられてもよい。
例えば、使用されるソフトウェアにおいて「Pキー」を押下することでPreview(簡易撮影)の指示が受け付けられ、「Sキー」を押下することでScan(本番撮影)の指示が受け付けられる場合には、これらのキーが用いられてもよい。なお、この例に限られず、キーボードイベントとしては、使用されるソフトウェアに応じて、別のキーを割り当てることや、複数のキーあるいはShiftやCtrlといった修飾キーを付け加えることが行われてもよい。
【0028】
操作用パソコン2において、カメラ操作ソフト部23は、キーボードイベント生成部22から指示を受け取り、当該指示に応じて、例えば、スペクトルカメラ1により撮影された画像のデータをHDD24に格納(記憶)する。
ここで、スペクトルカメラ1により撮影された画像のデータ(撮影画像データ)は、操作用パソコン2に送られている。
なお、他の構成例として、使用されるソフトウェアに応じて、保存用のキーイベントを別途生成する構成とされてもよい。
【0029】
操作用パソコン2において、カラー化処理部25は、HDD24を監視し、スペクトルカメラ1による撮影画像データが生成されたことを確認した場合に、速やかに、当該撮影画像データからカラー画像のデータを生成して、制御部26に通知する。
ここで、スペクトルカメラ1による撮影画像データは、例えば、バイナリデータである。
また、HDD24の監視には、スペクトルカメラ1の撮影時間に対して十分に長いタイムアウトを設定しておき、このタイムアウトが発生した場合には、エラーが発生したことを通知する。この通知は、例えば、カラー化処理部25から制御部26に対して行われる。
【0030】
本実施形態では、カラー化処理部25において、カラー化には、赤、緑および青の3つの波長が用いられるが、それ以外の波長を用いて疑似的なカラー画像を生成することが行われてもよい。
また、カラー化処理部25において、例えば、すべての波長に適切な重みを付けて、より詳細なカラー画像を生成することが行われてもよい。
【0031】
操作用パソコン2において、制御部26は、通知されたカラー画像のデータを、通信部21を介して、遠隔操作タブレット3に送信(転送)する。
操作用パソコン2において、通信部21は、カラー画像のデータを遠隔操作タブレット3に転送した後に、遠隔操作タブレット3との接続(コネクション)を切断し、TCP接続を待ち受ける状態へ移行する。
【0032】
また、遠隔操作タブレット3においても、通信部31は、操作用パソコン2からカラー画像のデータを受信した後に、操作用パソコン2との接続(コネクション)を切断し、次の指示を送信する場合に再度接続を行う。
なお、他の例として、操作用パソコン2と遠隔操作タブレット3とが、接続(コネクション)を維持して、遠隔操作タブレット3から次の指示を操作用パソコン2に送信してもよい。
【0033】
遠隔操作タブレット3において、イベント処理部33は、通信部31により操作用パソコン2からカラー画像が受信された後、受信されたカラー画像をタッチパネル32の画像表示エリアに描画する処理を行う。
そして、遠隔操作タブレット3では、タッチパネル32に表示されている操作ボタンを有効化する。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係る遠隔操作タブレット3における画面表示の一例を示す図である。
本実施形態では、この画面表示は、タッチパネル32の画面に行われる。
図4の例では、1つの画面101に、画像表示エリア121と、ファイル名エリア122と、Previewボタン123と、Scanボタン124が表示される。
画像表示エリア121は、画像を表示するエリアである。
ファイル名エリア122は、ファイル名を表示するエリアである。
Previewボタン123は、ユーザにより操作された場合に、Previewの指示を受け付けるボタンである。
Scanボタン124は、ユーザにより操作された場合に、Scanの指示を受け付けるボタンである。
なお、遠隔操作タブレット3における画面表示としては、任意の態様が用いられてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、スペクトルカメラ1に接続された操作用パソコン2と、ユーザが保持する遠隔操作タブレット3との間を無線で接続し、遠隔操作タブレット3により操作用パソコン2を遠隔操作する。これにより、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、ユーザがスペクトルカメラ1に接触することなく、スペクトルカメラ1および操作用パソコン2から離れた場所において、スペクトルカメラ1により画像を撮影することが可能である。このため、ユーザによってスペクトルカメラ1および操作用パソコン2に振動を与えることがなく、この点で、撮影画像の劣化を防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、遠隔操作タブレット3から操作用パソコン2に対して命令を送って設定や撮影が行われた後に、特定の色のみ(例えば、赤、緑、青のみ)の波長を抽出することでカラー画像を生成し、当該カラー画像のデータを遠隔操作タブレット3に送信する。これにより、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、ユーザによって、速やかに、カラー画像に基づいて撮影状況を確認することが可能である。このため、例えば、ユーザは、設定や光源の不具合に迅速に気付き易くなる。
【0037】
ここで、撮影画像データがバイナリデータのままでは、ユーザにとって色情報を直感的に理解することが難しく、例えば、撮影パラメータの調整などが困難である。また、撮影画像データはHDD24に直接記憶されるため、画像を確認するためにはバイナリデータの読み込み手順が必要となると考えられる。そこで、本実施形態では、カラー化処理部25は、バイナリデータ(撮影画像データ)の生成を監視して、バイナリデータが生成されたタイミングでバイナリデータを色情報に変換することでカラー画像を生成(再生成)する。このカラー画像により、ユーザにとって直感的に理解し易くする。
【0038】
また、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、ユーザは遠隔操作タブレット3を操作することで一連の操作を実行させることができるため、ユーザはスペクトルカメラ1による撮影を容易に実行させることができ、また、短時間での連続撮影が可能である。
このように、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、操作用パソコン2からスペクトルカメラ1への振動が無い点で撮影画像の劣化を防ぐことができ、スペクトルカメラ1により撮影された画像をカラーでユーザにより確認することが可能である。これにより、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、スペクトルカメラ1による撮影画像の劣化を防ぐことができ、当該撮影画像をカラーでユーザにより確認することが可能である。
【0039】
また、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、遠隔操作の方法を採用するとともに、キーボード入力を模擬する方法を採用した。これにより、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、例えば、特定のソフトウェアに限定されずに、使用することが可能となる。
例えば、操作用パソコン2で動作するスペクトルカメラ1に専用のソフトウェアは、通常、スペクトルカメラ1のベンダが提供するため、APIや外部のソフトウェアとの連携が可能であるとは限らないが、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、様々なスペクトルカメラ1のソフトウェアに適用することが可能である。
【0040】
また、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、遠隔操作タブレット3から操作用パソコン2に命令を送る場合に、単一の命令ごとにコネクションを接続し直す。これにより、本実施形態に係るスペクトルカメラシステム11では、例えば、不安定な無線環境であっても、使用することを可能とした。
【0041】
一構成例として、多波長撮影カメラシステム(本実施形態では、スペクトルカメラシステム11)は、多波長撮影カメラ(本実施液体では、スペクトルカメラ1)に接続された画像処理装置(本実施形態では、操作用パソコン2)と、ユーザにより操作される端末装置(本実施形態では、遠隔操作タブレット3)と、を有する。また、端末装置は、ユーザによる操作に応じて、画像処理装置に命令を無線により送信する。画像処理装置は、端末装置から送信された命令を受信し、受信された命令に基づいて多波長撮影カメラによる撮影に関する制御(例えば、設定や撮影の指示など)を行う。画像処理装置は、多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像(本実施形態では、赤、緑および青を有する画像)のデータを生成し(本実施形態では、カラー化処理部25による監視により当該データを生成し)、生成されたカラーの画像のデータを端末装置に送信する。端末装置は、画像処理装置から送信されたカラーの画像のデータを受信し、受信されたカラーの画像のデータを画面(本実施形態では、タッチパネル32の画面)に表示する。
一構成例として、多波長撮影カメラは、4以上の所定数の異なる波長の情報を検出する。前記したカラーの画像のデータは、前記した所定数よりも少ない数の異なる波長の情報を用いて構成される。
一構成例として、端末装置と画像処理装置は、端末装置から命令を画像処理装置に送信するときに通信接続し、画像処理装置から端末装置にカラーの画像のデータを送信した後に通信切断する。
一構成例として、画像処理装置は、キーボードイベント(本実施形態では、キーボードイベント生成部22により生成されるキーボードイベント)を用いて、多波長撮影カメラを操作するためのソフトウェア(本実施形態では、カメラ操作ソフト部23の機能)に指示を与える。
【0042】
上記の構成例は、他のカテゴリの構成として実現することも可能である。
一構成例として、多波長撮影カメラの撮影方法(本実施形態では、スペクトルカメラシステム11において行われる撮影の方法)では、ユーザにより操作される端末装置は、当該ユーザによる操作に応じて、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置に命令を無線により送信する。また、画像処理装置は、端末装置から送信された命令を受信し、受信された命令に基づいて多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを端末装置に送信する。端末装置は、画像処理装置から送信されたカラーの画像のデータを受信し、受信されたカラーの画像のデータを画面に表示する。
一構成例として、画像処理装置(本実施形態では、操作用パソコン2)は、多波長撮影カメラに接続され、ユーザにより操作される端末装置から無線により送信された命令を受信し、受信された命令に基づいて多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを端末装置に送信する。
一構成例として、画像処理方法(本実施形態では、操作用パソコン2において行われる画像処理の方法)では、多波長撮影カメラに接続された画像処理装置が、ユーザにより操作される端末装置から無線により送信された命令を受信し、受信された命令に基づいて多波長撮影カメラによる撮影に関する制御を行い、多波長撮影カメラにより撮影された画像のデータに基づいてカラーの画像のデータを生成し、生成されたカラーの画像のデータを端末装置に送信する。
一構成例として、上記の多波長撮影カメラシステムにおける端末装置(本実施形態では、遠隔操作タブレット3)としてコンピュータを機能させるためのプログラムを実施することが可能である。
一構成例として、上記の画像処理装置(本実施形態では、操作用パソコン2)としてコンピュータを機能させるためのプログラムを実施することが可能である。
【0043】
なお、一例として、実施形態に係る装置(例えば、操作用パソコン2の装置、遠隔操作タブレット3の装置など)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録(記憶)して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行うことができる。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバあるいはクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
このように、各機能部は、ソフトウェア機能部であってもよく、または、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0044】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…スペクトルカメラ、2…操作用パソコン、3…遠隔操作タブレット、11…スペクトルカメラシステム、21、31…通信部、22…キーボードイベント生成部、23…カメラ操作ソフト部、24…HDD、25…カラー化処理部、26…制御部、32…タッチパネル、33…イベント処理部、101…画面、121…画像表示エリア、122…ファイル名エリア、123…Previewボタン、124…Scanボタン
図1
図2
図3
図4