特許第6659658号(P6659658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6659658炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有するネジ筒の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659658
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有するネジ筒の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/00 20060101AFI20200220BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20200220BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   F16B37/00 C
   C08J5/04CER
   C08J5/04CEZ
   F16B35/00 N
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-237462(P2017-237462)
(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公開番号】特開2019-105299(P2019-105299A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】391006636
【氏名又は名称】ハードロック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 克彦
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−177727(JP,A)
【文献】 特開昭59−147111(JP,A)
【文献】 特開2017−003091(JP,A)
【文献】 特開平03−096709(JP,A)
【文献】 特開平04−331811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/00, 35/00
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有するネジ筒の製造方法であって、
対向面に断面波形状の型面が形成された上型及び下型を備えるプレス機を用いて炭素繊維強化プラスチック製の波板部材を成形すること、及び、
前記波板部材を湾曲させることで、縦断面において少なくとも2つのネジ山にわたって軸方向に沿って延びる炭素繊維が、前記少なくとも2つのネジ山の縦断面における表面形状に沿うように前記少なくとも2つのネジ山にジグザグ状に埋め込まれている前記ネジ筒を得ること、
を有するネジ筒の製造方法
【請求項2】
前記波板部材の成形は、上型及び下型を開きし、上型及び下型の間にシート状の複数の炭素繊維一方向材とマトリクスとなる複数の熱可塑性プラスチック製シートとを上下方向に交互に配設した後、型締めして加熱及び加圧することを含む、請求項1に記載のネジ筒の製造方法。
【請求項3】
前記波板部材の成形は、樹脂を含浸させていない炭素繊維一方向材のみを複数積層し、これを上型及び下型によってプレス成形することで波板状に成形し、その後熱硬化性樹脂を金型内に注入することによって炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて加熱硬化することを含む、請求項1に記載のネジ筒の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維強化プラスチックや炭素繊維強化炭素複合材料などの炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有する部材、例えば炭素繊維強化プラスチック製ナット、に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ山が外周面に形成されたボルト、並びに、ネジ山が内周面に形成されたナットは、多種多様な構造物において締結用途に使用されている。強度及び耐久性が要求される用途においてはステンレス鋼などの金属製のボルト・ナットが用いられている。
【0003】
金属製のボルト・ナットは、比較的重量が大きいため、軽量化が要求される用途であって、強度及び耐久性については要求レベルの低い用途においては、プラスチック製のボルト・ナットが用いられている
【0004】
近年、軽量でありながらも金属と同等の強度を有する素材として炭素繊維強化複合材料が注目されており、ネジ山を有するボルトやナットなどの部材への応用研究もなされており、下記の特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−254266号公報
【特許文献2】特開2001−289226号公報
【特許文献3】特開2016−88073号公報
【特許文献4】特開2017−67129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の図1に例示されたボルトは、同文献の段落0025〜0027に記載されているように、多数の炭素長繊維が軸方向に引き揃えられた状態でマトリクス内に埋め込まれた軸部素材を加熱硬化させた後に、旋盤等を用いて軸部外周にネジ山を旋削加工してなるものである。したがって、軸方向に隣り合うネジ山内の炭素繊維は旋削によって分断されてしまい、ネジ山に軸方向応力が作用すると、ネジ山が容易に破壊されてしまう。
【0007】
また、特許文献1の段落0028には、ボルト軸部と同一長さの強化繊維にマトリクスを予め含浸させたものを用意し、これらを丸棒状に束ね、内面に雄ネジが形成された型枠の中で加熱圧縮することによりボルト軸部を形成する方法も開示されている。しかし、かかる製造方法によってボルト軸部を形成すると、図11に示すように、型枠によって径方向内方に圧縮された際に、マトリクスのみが外周側に染み出してくるため、ネジ山内には強化繊維が存在せず、ネジ山は補強されない。したがって、ネジ山に軸方向応力が作用すると、やはりネジ山が容易に破壊されてしまう。
【0008】
特許文献2は、炭素繊維の平織りクロスにフェノール樹脂を塗布してなるプリプレグを複数枚積層し、加熱圧縮工程並びに焼成工程を経て2DのC/C材を成形し、このC/C材にネジ加工を施すことにより全ネジボルトを製造する方法を開示している。この製造方法においても、C/C材の外周面に機械加工によりネジ山を成形するものであるから、機械加工により切除されることによって、軸方向に隣接するネジ山内部の炭素繊維が分断されてしまう。
【0009】
特許文献3は、炭素短繊維又は炭素長繊維を含むペレットを原材料として用いて丸棒を射出成形し、この丸棒の外周面又は内周面にネジ山を旋削加工することによりボルト又はナットを製造する方法が開示されている。この製造方法においても、軸方向に隣接するネジ山内部の炭素繊維は旋削により分断されると考えられる。
【0010】
特許文献4は、ネジ溝に沿って螺旋状に炭素繊維が巻き付けられた炭素繊維強化プラスチック製のボルト及びナットを開示している。かかるボルト及びナットでは、ネジ山に作用する大きな軸方向応力の方向が、炭素繊維の繊維方向と略直交するため、炭素繊維によってネジ山を補強できていない。
【0011】
本発明は、炭素繊維によってネジ山を補強できる新規な炭素繊維の埋め込み構造を提案し、これにより少なくともネジ山が炭素繊維強化複合材料からなるナット及びボルトの強度を飛躍的に改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0013】
すなわち、本発明は、炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有する部材であって、縦断面において少なくとも2つのネジ山にわたって軸方向に沿って延びる炭素繊維が、前記少なくとも2つのネジ山の縦断面における表面形状に沿うように前記少なくとも2つのネジ山にジグザグ状に埋め込まれていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明において、炭素繊維強化複合材料には、炭素繊維強化プラスチック、及び、炭素繊維強化炭素複合材料(以下、「C/Cコンボジット」という。)が含まれる。強化繊維としての炭素繊維は、部材のネジ山が形成された範囲の全長にわたる炭素連続繊維であることが好ましいが、ネジ山が形成された範囲の一部において軸方向に延びる炭素長繊維であってもよい。炭素繊維強化複合材料のマトリクスとしてのプラスチックは、熱硬化性プラスチックであることが好ましいが、熱可塑性プラスチックであってもよい。C/Cコンポジットからなるネジ山は、炭素繊維強化プラスチック製のネジ山を成形後、これを不活性雰囲気中で熱処理することによって、マトリクスのプラスチックを炭化させることによって製造でき、その他適宜の製法によって製造可能である。本発明の特徴はネジ山に対する炭素繊維の埋め込み構造であって、マトリクスについては現在公知の、並びに、将来開発されるであろう製法によって成形可能である。
【0015】
また、本発明は、少なくともネジ山が上記特徴を備えていればよく、部材の本体の材質や構造は適宜のものであってよい。例えば、部材の本体は、炭素短繊維により強化された炭素繊維強化プラスチックの射出成形品であってもよいし、強化繊維を含有しない一般的なプラスチックや金属により部材本体を成形することもできる。
【0016】
また、「前記少なくとも2つのネジ山の縦断面における表面形状に沿うように前記少なくとも2つのネジ山にジグザグ状に埋め込まれている」とは、炭素繊維自体も少なくとも2つの山を形成するようにジグザグ状に屈曲されていることを意味しており、かかる構成によって、縦断面において軸方向に隣り合うネジ山間が上記炭素繊維によって補強され、ネジ山の強度を大きく改善することができる。なお、本発明のネジ山は一条ネジであっても良いし、二条ネジであってもよいし、三条以上の多条ネジであってもよい。
【0017】
上記部材は、典型的にはナットである。本発明のナットは、前記ネジ山により形成される雌ネジを内周面に有するネジ孔を有し、前記炭素繊維は、好ましくは、前記雌ネジの軸方向略全長にわたって連続する連続繊維である。かかる炭素繊維強化複合材料からなるネジ山を有するナットによれば、軽量化を図りつつも強度に優れたものとなり、軽量化を図りつつも強度が必要な種々の分野、例えば航空機や宇宙開発分野、自動車やバイクや鉄道、並びに、各種固定構造物にも好適に用いることができる。
【0018】
上記ナットは、好ましくは、取付孔を有するナット本体と、該ナット本体の前記取付孔に一体的に嵌着されるネジ筒とを備え、前記雌ネジは前記ネジ筒に設けられている。かかる構成によれば、ナット本体は比較的安価に成形でき、ナット全体としてのコストを低減しつつもネジ山の強度を改善できる。
【0019】
上記部材は、ボルトであってもよい。本発明のボルトは、好ましくは、前記ネジ山により形成される雄ネジを外周面に有するネジ軸を有し、前記炭素繊維は前記雄ネジの軸方向略全長にわたって連続する連続繊維である。
【0020】
上記ボルトのネジ軸は、軸本体と、該軸本体の外周面に一体的に外嵌されるネジ筒とを備え、前記雄ネジは前記ネジ筒に設けられていてよい。
【0021】
なお、上記炭素繊維は、前記少なくとも2つのネジ山にジグザグ状に埋め込まれるために必要な繊維長を有する炭素長繊維であってもよい。
【0022】
また、多数の前記炭素繊維が前記ネジ山の全周にわたって分散配置されていることが好ましい。
【0023】
本発明の部材としては、典型的にはナット及びボルトを例示することができるが、ネジ孔又はネジ軸を有するどのような部材であってもよく、建築物その他固定構造物の構造材、自動車や飛行機のボディやフレームを構成する部品、
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るナットの一部断面斜視図である。
図2】同ナットの中間製造物の一部断面斜視図である。
図3】同ナットの中間製造物の一部断面斜視図である。
図4】一実施例に係るネジ筒を製造するプレス加工装置の簡略断面図である。
図5】同プレス加工装置によるプレス工程の簡略断面図である。
図6】同プレス加工装置により加工された波板材の斜視図である。
図7】波板材を湾曲させることによって得られるネジ筒の斜視図である。
図8】別の実施例に係るネジ筒をナット本体に圧入する工程を示す斜視図である。
図9】同ネジ筒の製造工程を示す断面図である。
図10】本発明を緩み止め特殊ダブルナットに適用した例を示す断面図である。
図11】従来の製造方法によって得られるボルト軸部の構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック製ナット1を示しており、該ナット1は、螺旋状のネジ山Thにより構成される雌ネジを内周面に有するネジ孔1aを有する。より詳細には、ナット1は、ナットの外周部を構成するナット本体10と、ナットの内周部を構成するネジ筒11とを備え、ネジ筒11の外周側にナット本体10が一体的に形成されており、上記雌ネジはネジ筒11に設けられている。ナット本体10の外周面は六角柱状に形成されている。
【0027】
ナット本体10及びネジ筒11はいずれも炭素繊維強化プラスチック製であることが好ましい。マトリクスとなるプラスチックは、耐熱性の観点から熱硬化性プラスチックが好ましいが、耐熱性が要求されない用途の場合は熱可塑性プラスチックを利用することもできる。熱硬化性プラスチックとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができる。熱可塑性プラスチックとしては、ポリアミド、ポリプロピレン及びポリカーボネートなどを利用することができる。強化材としての炭素繊維としては、PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維のいずれを採用してもよい。
【0028】
ナット本体10は、例えば、ネジ筒11の外周側に射出成形により一体的に成形することができるが、その他、ネジ筒11の外周にプリプレグテープを巻回して加熱硬化させることで図2に示すような中間製造物を成形した後、その外周面を切削等により成形するなど、適宜の製造方法で製造できる。また、ナット本体10の強化繊維は、炭素短繊維であってもよく、炭素長繊維であってもよく、また、図3に示すように繊維方向が周方向に引き揃えられた炭素連続繊維であってもよい。ナット本体10の好ましい炭素繊維含有率は、20〜30重量%、若しくは、20〜30体積%である。
【0029】
本実施形態のナット1では、ネジ孔1aの軸方向全長にわたって連続する多数の炭素連続繊維がネジ筒11に埋め込まれている。多数の炭素連続繊維は周方向に均一に分散配置されているとともに、ネジ筒11の厚さ方向にも均一に分散配置されており、好ましくはネジ筒3の炭素繊維含有率は、50〜90重量%、若しくは、50〜90体積%である。
【0030】
各炭素連続繊維は、縦断面において軸方向に配列するすべてのネジ山Thにわたって軸方向に沿って延びるとともに、すべてのネジ山Thの縦断面における表面形状(本実施形態においては内表面形状)に沿うようにすべてのネジ山Thにジグザグ状に埋め込まれている。なお、炭素連続繊維は、ネジ山Thの表面形状に完全に合致するよう屈曲されている必要はなく、実質的に各ネジ山Th内部に存在するよう屈曲されていればよい。なお、炭素短繊維若しくは炭素長繊維が炭素連続繊維とともに埋め込まれていてもよく、また、一部の炭素連続繊維が周方向又はネジ山Thの螺旋に沿って引き揃えられていてもよい。
【0031】
ネジ筒3の製造方法の一例を図4図7を参照しつつ以下説明する。
【0032】
まず、図4及び図5に示すプレス機を用いて、図6に示すような炭素繊維強化プラスチック製の波板部材6を成形する。プレス機は、上型2及び下型3とを備え、これら上下型2,3の対向面には断面波形状の型面が形成されている。図4に示すように、上下型2,3を型開きし、上下型2,3の間に、シート状の複数の炭素繊維一方向材4と、マトリクスとなる複数の熱可塑性プラスチック製シート5を上下方向に交互に配設した後、図5に示すように型締めして加熱及び加圧することで、図6に示す波板部材6が成形される。
【0033】
そして、波板部材を、必要であれば所定温度まで加熱して、湾曲させることで、図7に示すネジ筒11が得られる。
【0034】
なお、マトリクスとして熱硬化性樹脂を用いる場合は、RTF法(レジン・トランスファー・モールディング)により成形することができる。すなわち、樹脂を含浸させていない炭素繊維一方向材のみを複数積層し、これを上下型2,3によってプレス成形することで波板状に成形し、その後樹脂を金型内に注入することによって炭素繊維に樹脂を含浸させて、加熱硬化させることができる。図4及び図5に示す例では平板状の波板部材を成形するための金型として例示したが、図7に示すような円筒状部材を成形する金型構造とすることもできる。
【0035】
このネジ筒11の外周側にナット本体10を成形する方法はどのようなものであってもよい。また、図8に示すように、ナット本体10に取付孔10aを設けておき、この取付孔10a内に、図2又は図3に示す中間製造物7を圧入して、接触面において強固に接着させることもできる。この場合、接触面相互間の接着力向上のために、図8に示すように、取付孔10aの内周面、並びに、中間製造物7の外周面に、ローレット加工を施しておくこともできる。
【0036】
また、図8に示す中間製造物7は、図9に示す2段階プレス工程によって成形される一側面が平面で他側面が波板状の板材を筒状に湾曲させることによって成形することもできる。図9(b)の一次プレス工程は、主として炭素連続繊維をジグザグ状に埋め込むための工程である。かかる工程を経ることによって、炭素連続繊維を確実にジグザグ状に屈曲させることができる。図9(c)(d)の二次プレス工程は、主として一側面を平面とするための工程であり、別の上下型20,30に波板部材6を移して、その上にさらに炭素繊維シート4と樹脂シート5とを積層してプレスする。
【0037】
本発明は、図10に示すように、本願出願人が製造販売する緩み止め特殊ダブルナット、すなわちHARDLOCKナット(商標の国際登録第1224310号)、にも適用することができる。また、ナットのみならず、ボルトに適用することもできる。さらに、ネジ孔やネジ軸を有する種々の部材に本発明を適用することが可能である。
【0038】
また、上記製造方法において、炭素繊維シートに代えて、炭素連続繊維に予め樹脂を浸透させたプリプレグを用いることもできる。また、樹脂シートを積層させるのではなく、炭素繊維に樹脂パウダーを付着させたパウダー含浸ヤーンや、炭素繊維束に樹脂繊維を混織させたコミングルドヤーンを用いて成形することによって、炭素繊維への樹脂の含浸性を改善することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11