(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書で使用される場合の用語「ウェブ」は、一般的に不織布に作られる繊維の網状組織の層を意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合の用語「不織」は、全体的な繰り返し構造が、繊維の配置において裸眼により区別することができない、多数の本質的にランダムに配向された繊維のウェブを意味する。繊維は、互いに結合されることができるか、または結合されず、絡合されて、ウェブに強さおよび一体性を付与することができる。繊維はステープル繊維または連続繊維であることができ、単一の材料または多数の材料を、異なる繊維の組合せとして、またはそれぞれ異なる材料を含む同様の繊維の組合せとしてのいずれかで含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される場合の用語「ナノファイバウェブ」は、主としてナノファイバから構築されたウェブを意味する。「主として(predominantly)」は、ウェブ中の個数パーセントで繊維の50%超が、ナノファイバであることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合の用語「ナノファイバ」は、1000nm未満の直径を有する繊維を意味する。非円形断面繊維の場合、本明細書で使用される場合の用語「直径」は、最大断面寸法を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合の用語「溶融紡糸ナノファイバ」は、遠心溶融紡糸プロセス、例えば、米国特許第8,277,711号明細書により開示されたプロセスから作られたナノファイバを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合の用語「溶融紡糸ナノファイバウェブ」は、溶融紡糸ナノファイバから作られたナノファイバウェブを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合の用語「メルトブローンナノファイバ」は、メルトブロー法、例えば、米国特許出願公開第2008/0023888号明細書により開示された方法を使用して作られたナノファイバを意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合の用語「メルトブローンナノファイバウェブ」は、メルトブローンナノファイバから作られたナノファイバウェブを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合の用語「エレクトロブローンナノファイバ」は、エレクトロブロープロセス、例えば、国際公開第2003/080905号に開示されたプロセスから作られたナノファイバを意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合の用語「エレクトロブローンナノファイバウェブ」は、エレクトロブローンナノファイバから作られたナノファイバウェブを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合の用語「マイクロファイバ」は、1.0μm〜3.0μmの直径を有する繊維を意味する。平均または絶対限界であるとしても?
【0026】
本明細書で使用される場合の用語「粗繊維」は、3.0μm以上の直径を有する繊維を意味する。
【0027】
「スクリム」によって、繊維ウェブがその上に取り付けられ、および/または支持されてもよい織りまたは不織の基材が意味される。メルトブローンおよびスパンボンドウェブは、一般にスクリム材料として使用されている。
【0028】
「エレクトレット」によって、帯電した誘電性物品が意味される。エレクトレットは、偽永久電荷または双極子分極を有する誘電性材料である。エレクトレットは、内部および外部の電場を発生させ、永久磁石の静電的類似体である。
【0029】
繊維ウェブに関連して本明細書で使用される場合の用語「独立型(stand−alone)」は、自己充足型であり、それ自体、スクリムなどのなんらの支持基材なしに維持されるその構成について十分な機械的一体性を有することを示す。
【0030】
繊維ウェブに関連して本明細書で使用される場合の用語「単一供給源」は、ウェブの繊維が、すべて単一の紡糸プロセスで製造されており、その結果、ウェブ形成が別個供給源の繊維のブレンディングを伴わないことを示す。
【0031】
「遠心紡糸プロセス」によって、繊維が回転部材からの放出によって形成されるいずれのプロセスも意味される。
【0032】
「紡糸ディスク」によって、回転部材が、凹面、円錐台状または平坦開放内面を有するディスク形状を有することが意味される。
【0033】
「紡糸ボウル」によって、回転部材が、限定することなく、凹面、凸面、または円錐台状であってもよい表面を有するボウル形状を有することが意味される。
【0034】
「フィラメント」によって、フィラメントの微細化から生じる微細繊維への前駆体として形成されてもよい細長い構造が意味される。フィラメントは、流体がそれを通過する端部、鋸歯またはオリフィスであってもよい、回転部材の排出点で紡糸プロセスにおいて形成される。
【0035】
用語「ノズルをもたない」は、フィラメント、フィブリル、または繊維の生成が、出口側の流体の形状を規定するノズルまたは他の同様の狭窄を通っての紡糸流体または溶融物の通過を伴わないプロセス、および紡糸流体または溶融物がそれを通過するように指定されるノズルまたは他の同様の狭窄を有するいずれかの回転部材を含む紡糸装置が使用されないプロセスに関連して本明細書で使用される。
【0036】
「気流場」によって、本開示の方法における任意点または物理的位置における空気速度および方向を表すベクトル場が意味される。
【0037】
「帯電した」によって、本方法における物体が、非帯電物体、または正味の電荷をもたない物体と比較して、正味の電荷、正または負の極性を有することが意味される。
【0038】
「排出点」によって、フィブリルまたは繊維がそれから放出される紡糸部材上の位置が意味される。排出点は、例えば、端部、またはフィブリルがそれを通って押し出されるオリフィスであってもよい。
【0039】
繊維の集合体に関連して本明細書で使用される用語「比表面積」は、繊維の全質量で除した集合体中の繊維の全表面積を意味する。
【0040】
「電荷密度」によって、一次元、二次元、または三次元における空間の単位体積当たりの電荷の測定単位である。より具体的には、線、表面、または体積の電荷密度は、それぞれ、単位長さ、単位表面積、または単位体積当たりの電荷の量である。比較的に大きな電荷量が、典型的には最大曲率の位置に蓄積する。
【0041】
繊維ウェブに関連して本明細書で使用される用語「見掛け密度」は、質量密度、または単位体積当たり質量を意味し、体積は、ウェブ厚さを圧縮するいかなる外力も課すことなしに測定された自立ウェブのものである。例えば、厚さ決定は、ウェブの自立高さを測定する光学画像化技術によって行われてもよい。次いで、見掛け密度は、ウェブの測定された坪量(すなわち、単位面積当たり重量)をウェブの測定された自立高さで除すことによって計算されてもよい。
【0042】
「本質的に」によって、パラメータがある特定の値で「本質的に」保持される場合、本発明の機能性に影響を与えない値から離れてパラメータを記述する数値の変化は、パラメータの記述の範囲内とみなされるべきであることが意味される。
【0043】
説明
本開示のある態様は、遠心溶融紡糸プロセスなどの技術を使用して作ることができるナノファイバウェブに関する。実施において、繊維は、溶融ポリマー紡糸溶融物が、急速回転部材、例えば、紡糸ディスクまたは紡糸ボウル上に送出される方法で形成される。溶融物は、回転部材の内面上に広がって、相対的に薄いフィルムを形成する。フィブリル化は、回転部材の排出端部から放出される個別的な、依然として溶融したフィラメントの形成とともに生じる。これらの薄いフィラメントまたは糸(thread)は、直径で十分に1μm未満であってもよい減少した直径を有する繊維に遠心力によって伸張される。通常、それらはほとんど完全に円形のままである。必要に応じて、例えば、加熱空気の形態での、熱が伸張ゾーンに供給されて、この伸張性を維持する。伸張プロセスは、頻繁に「微細化」と称され、それは、本明細書で「伸張ゾーン」と称される紡糸装置の近くの容積(volume)で行われる。
【0044】
伸張ゾーンを出た後、微細化された繊維は、「成形ゾーン」と称される容積を通過し、収集されるか、または「レイドダウン(laid down)」されて、不織のナノファイバウェブ網状組織を形成する。紡糸およびレイダウンプロセス中に切断し、チョップし、破壊し(break)、またはそうでなければ、微細化繊維の長さを規定するいかなる行為も取られず、したがって、それらは、無限長さのものであってもよい。紡糸プロセスの直接画像化によって、繊維の少なくとも圧倒的多数が、放出点から少なくとも収集点まで損なわれていないままであり、したがって、繊維は、通常少なくとも30〜50cm、より一般的には何らかの自然発生破壊が起こる前に少なくとも1m長であることが見出される。一部の場合において、個別の繊維は、十分1m以上を超えて未破壊長さを有してもよい。したがって、繊維は、本明細書で「連続」と称される。
【0045】
本ナノファイバウェブは、いずれの溶融紡糸可能な、繊維形成性ポリマーであってもよい、少なくとも1種のポリマーの繊維を含む。適当なポリマーには、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンポリマーおよびコポリマー、ポリプロピレンポリマーおよびコポリマー;ポリエステルおよびコポリエステル、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、バイオポリエステル、サーモトロピック液晶ポリマーおよびPETコポリエステル;ポリアミド(ナイロン);ポリアラミド;ポリカーボネート;アクリルおよびメタクリル樹脂、例えば、ポリ(メタ)アクリレート;ポリスチレン系ポリマーおよびコポリマー;セルロースエステル;熱可塑性セルロース;セルロース樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂;アセタール;塩素化ポリエーテル;フルオロポリマー、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP);およびポリフッ化ビニリデン(PVDF);ビニル;生分解性ポリマー、バイオ系ポリマー、2成分(bi−composite)エンジニアリングポリマーおよびブレンド;埋込みナノ複合体;天然ポリマー;ならびにそれらの組合せを含む熱可塑性材料が含まれる。様々な実施形態において、ポリマーは、ポリプロピレン、または複数の異なるポリプロピレンのブレンドであってもよい。
【0046】
本濾過媒体で使用されるポリマーは、繊維に直接組み込まれた、またはそのコーティングとしてのいずれかで、機能性添加剤をさらに含むことができる。用語「機能性添加剤」は、本繊維またはそれによって製造される繊維ウェブの特性または加工性に実質的に影響を与える、本ナノファイバウェブの繊維を形成するために使用されるポリマー材料中に処方される任意の添加剤を総称的に意味する。このような添加剤には、限定することなく、1つ以上の静電荷を受容および保持する繊維の能力を増強する帯電促進剤;酸化防止剤;抗菌剤;活性炭;または他のポリマー加工増強剤が含まれる場合がある。溶融物中で、または繊維微細化の間にポリマーをコロナ帯電させるのに効力がある帯電促進剤には、限定することなく、脂肪酸アミドおよびオリゴマー性ヒンダードアミン光安定剤、例えば、それぞれ、オクタデカンアミド(CAS番号124−26−5)およびChimassorb944(CAS番号71878−19−8)が含まれる。
【0047】
本紡糸方法の操作は、温度、溶融物供給速度、および回転部材の速度を含む操作パラメータに依存する。これらのパラメータの調整は、製造される繊維直径の分布に影響を与えることがわかった。以下にさらに詳述されるとおり、回転部材の幾何形状およびポリマー材料の選択と一緒の、これらの操作パラメータのある特定の組合せが、回転部材上での紡糸溶融物における驚くべき、かつ予想外の不安定性をもたらすことがわかった。特定の条件下で、概して回転部材の中心部からその端部に外側に半径方向に延在する、起伏する厚さの交互の領域または帯の動的パターンによって特徴付けられる、波状の非一様性のフィルム厚さパターンが形成される。フィルムの厚さのこの変動は、そして次に、フィルム溶融物に由来する様々な直径の、個別的連続フィラメントの放出をもたらし、より大きい直径のフィラメントは、典型的にはより高い厚さの領域から生成され、より小さい直径のフィラメントは、より低い厚さの領域から生成される。直径の変動は、フィラメントが繊維に微細化された後に持続してもよい。
【0048】
ある実施形態において、繊維は水平ベルト収集装置上に堆積されて、ウェブ媒体を形成する。連続的に進むコンベヤベルトまたは同様のアセンブリが、不織ウェブが不確定長さのシートとして生成されるにつれて、不織ウェブを収集するために使用されてもよい。シートは、都合の良いさらなる加工または使用、輸送などのために巻き上げるように指定された装置に送出されてもよい。
【0049】
比較的小さい直径のナノファイバと緊密に共混合および絡合された比較的大きな直径の繊維の存在は、有益であることがわかる。特に、わずかな量のマイクロファイバおよびさらには粗繊維の存在は、比較的大きな繊維が良好なウェブ強度および他の望ましい機械的特性を与え、一方でナノファイバが配置される比較的に開放された網状組織を支持および維持する構造を生じさせると考えられる。それにより、細孔サイズは増加し、有利には濾過要素における圧力降下を減少させる。開放構造は、比較的多数のナノファイバを収容し、そして次に、これは、静電的に帯電させることができる大面積の表面を有するウェブを与え、これは、付随的な粒子状物を捕捉するウェブ構造の能力を増強すると考えられる。
【0050】
比較すると、以前の濾過構造は、ナノファイバと、比較的大きなマイクロファイバおよび/または粗繊維との両方を用いることがあったが、それらを、それぞれ、濾過層と支持層スクリムとに分離していた。このような構成は、通常、比較的開放された、およびふわふわした構成で比較的大きな繊維によりナノファイバが支えられる網状組織を与えない。その代わり、ナノファイバ濾過層は、よりぎっしり詰まっている傾向があり、有害にも平均細孔サイズを減少させ、気流抵抗を増加させる。
【0051】
本ナノファイバウェブの開放構造は、ウェブがかなりの静電荷を受けおよび保持することを許容するとさらに考えられる。大きな割合のナノファイバによって、帯電されることができる大きな表面積がある。繊維接点の比較的な不足のために表面積および帯電の最小限の損失があるので、開放構造はまた、有利である。本連続溶融紡糸ナノファイバの含有はまた、1cm以下程度に短くてもよいような溶融紡糸繊維または溶液紡糸繊維のような、比較的短いチョップド繊維を上回って有益と考えられる。さらに、上に記載されたとおりのその場帯電は、繊維が、それらが繊維ウェブに既に組み込まれた後に帯電されるだけである、帯電後プロセスよりも有効であることがわかる。
【0052】
本不織ウェブ中への繊維のウェブレイダウンは、一部の実施形態において、有利に構成された気流場および静電帯電配置の少なくとも一方により容易化される。気流場の賢明な使用は、繊維を放出から繊維ウェブ中の組込みへのその飛行経路において方向付けるのに役立つ。気流場を特徴付ける操作パラメータには、例えば、伸張ゾーンおよび成形ゾーンの範囲内の、気温ならびに気流速度および方向が含まれる。気流場は、中心ゾーンに気流をさらに含んでもよく、これは、回転装置の底部に位置する抗渦巻シールドを通して送出されてもよい。この中心部空気は、一部の実施形態において、望ましくないボルテックス様作用を阻止するように作用し、ここで、紡糸装置から下方に落ちる放出繊維は、下の狭いゾーンで絡合(entwined)および絡合(entangled)され、紡糸構造の回転軸の延長で、概して整列される。このようなボルテックスの形成は、滑らかで、一様なレイダウンを妨げる傾向がある。遠心溶融紡糸プロセスとともの中心部空気の使用は、国際公開第2013/096672号でより詳細に検討されている。本繊維の製造で利用可能な遠心溶融紡糸のある特定の態様も、Huangらの米国特許出願公開第2015/01114551号明細書で検討されている。これらの参考文献は両方とも、それらへの参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
ある実施形態において、本方法における気流場は、放出繊維の飛行経路を、最終的にそれらの収集点に方向づけするためだけに使用され、その結果、場を通しての空気速度は、比較的わずかな値で維持することができる。対照的に、メルトブロープロセスは、高速空気に依存して、それが依然として溶融している間に繊維を微細化する。したがって、はるかにより高い空気速度、例えば、100〜200m/秒が典型的には必要とされる一方で、本明細書での繊維方向付けは、5m/秒、またはさらには2m/秒、またはさらには1m/秒以下の最高速度を有する穏やかな流れで行うことができる。メルトブロープロセスで用いられる高い速度は、例えば、静電場により生じたイオンを、生成される繊維にそれらが結合し得る前に吹き飛ばすことによって、静電帯電を妨げるように思われる。
【0054】
一部の実施形態において、静電荷は、紡糸およびウェブ収集および集合プロセス中の1つ以上の段階で個別の繊維に与えられてもよい。ポリマーが、放出前の紡糸表面で、または放出された繊維でそれが微細化されるにつれて溶融している間に、電荷が負わせられもよい。繊維の帯電は、繊維が冷却され、既に微細化され、しかしその後にそれが繊維ウェブに集合された後に行われてもよい。他の実施形態において、帯電は、これらの段階のいずれか1つ以上で行われる。繊維は、それらが本開示の不織ウェブに組み込まれた後に静電荷を保持する。
【0055】
例えば、帯電は、電場を課すことによって行われてもよい。いずれの高電圧の直流(d.c.)またはさらには交流(a.c.)源も、電場を供給するために使用されてよい。紡糸溶融物、フィラメント、または繊維は、収集装置上またはその近くで保持された電荷からの誘導によって帯電されてもよい。
【0056】
ある実施において、帯電配置は、回転部材の近くに位置するコロナリングおよび収集装置ベルトの両方ともに電気を通すことを含んでもよい。通常、異なる符号および大きさの電圧が、これらの位置に印加され、電圧はすべて接地を基準とする。これらの電圧の存在は、有益にも、静電荷を保持する完成ウェブをもたらす。
【0057】
帯電プロセスで引かれる電流は、小さい(好ましくは10mA未満)であることが予想される。電源は、可変の電圧設定、例えば、コロナリングについて0kV〜80kV、好ましくは−5kV〜−15kVおよび収集プレートについて+50〜+70kV、ならびに好ましくは、静電場の確立の際の調整を可能にする(−)および(+)の極性設定を有するべきである。
【0058】
静電帯電は非常に有効に行われる一方で、繊維は、熱刺激電流(TSC)法により実証して、融点に比較的近いことがさらに見出される。ポリプロピレンの場合、ポリマー溶融物およびフィブリル糸が最も有効に帯電する温度状態は、ほぼ165℃〜195℃であり、その結果、コロナ帯電は、この範囲の温度で伸張ゾーンにおいて繊維に有利に適用され、約180℃が好ましい。非極性ポリマー(例えば、ポリオレフィン)の溶融物における適当な帯電剤の組込みは、融点の近くで帯電を増強する。
【0059】
いかなる理論によっても拘束されないが、それらの製造中のその場での繊維の帯電は、帯電後プロセスによって達成され得ない利益を与える。例えば、Angadjivandらに付与された米国特許第6,375,886号明細書には、高圧の水が完成ウェブに衝突するハイドロチャージプロセスが記載されている。ウェブ構造を破壊し得る比較的高い流量が必要とされ、かつ特にポリプロピレンの、帯電は、一般的にはポリマー融点で、またはその近くの温度でよりも、100℃未満の温度であまり有効でない。
【0060】
本繊維の製造で有用な紡糸装置の実施が、概して
図8中200で描写される。紡糸ボウル202は、高速回転中空シャフト209に取り付けられている。高速回転ボウル202の間に、フィラメント206は、紡糸ボウル202の端部で排出点において放出される。紡糸ボウル202とおよそ同じ直径を有する保護シールド201は、紡糸ボウル202の上部に取り付けられて、紡糸ボウルの内面からの熱損失を防ぐ。
【0061】
紡糸ボウル用の固定シールド204は、紡糸ボウルの底部で回転中空シャフトを通って固定シャフト上に取り付けられて、熱損失をさらに最小限にし、かつ一様なウェブレイダウンのための高速回転ボウル下でのボルテックス様作用による繊維ストリームの渦巻きまたは撚り合わせを阻止する。紡糸ボウル用固定シールド204は、望ましくない繊維ボルテックスの形成をさらに阻止するための、少量の穏やかに流れる、下方に向けられた空気211がそれを通って送出される、中心に位置するポート(示さず)を含んでもよい。
【0062】
回転ボウルの端部を取り囲む伸張ゾーン210は、破線長方形領域で示される。伸張ゾーンの温度は、3つの可能な加熱空気ストリームのうち1つ以上からくる穏やかな空気によって確立される。1つは、紡糸ボウルの上の穏やかな加熱空気207からであり;2つ目は、紡糸ボウルの底部と伸張ゾーンに達する固定シールドとの間の隙間を通って回転中空シャフト209内の固定高温空気管からくる穏やかな加熱空気205のストリームからであり;穏やかな加熱空気の3つ目の供給源は、下方に向う流れ208である。伸張ゾーンの温度は、遠心力による伸張または伸びを最大限にするようにフィラメントを溶融状態で保つように設計および実施される。可能な実施形態において、伸張ゾーンの直径は、紡糸ボウルの直径の約1.5倍に拡大する。ポリプロピレンナノファイバを紡糸するために、伸張ゾーンの温度は、良好なナノファイバ紡糸を達成し、および繊維が選択肢として静電帯電を取るように、好ましくはほぼ180℃で最適化される。伸張ゾーンの通過中に、初期のフィラメントは伸ばされ、または微細化されて、1μm未満の直径を有する十分にナノファイバであってもよい、比較的小さい直径を有する繊維を形成する。
【0063】
微細化された繊維は、水平ベルト収集装置(示さず)の表面上に堆積される。任意選択の帯電コロナリング212は、紡糸ボウル202から放出されるフィラメント206を静電的に帯電させるために使用される。
【0064】
本開示は、ナノファイバウェブおよびそれで構築された濾過媒体に対して部分的に向けられる。ウェブは、単層の、独立型網状組織で緊密に共混合および絡合されているポリマー繊維を含む。実施において、共混合および絡合は、1μm未満(ナノファイバ)から3μm(マイクロファイバ)までの範囲の直径を有する繊維を与える単紡糸操作で繊維を生成させることによって達成される。好ましくは、3μm超の直径を有する粗繊維も、網状組織で生成および共混合される。ウェブは、低い見掛け密度によって示される、開放された、ふわふわした構造を有し、静電的に帯電している。この構造および帯電の結果として、ウェブは、良好な濾過要素として機能するその能力を示す高い有効品質因子を与える。
【0065】
ある実施形態において、ウェブ繊維は、(数によって)(a)少なくとも約70%のナノファイバ、約5%〜25%のマイクロファイバ、および0〜約5%の粗繊維を含む。繊維すべての数平均直径は、約1000nm未満であり、および繊維すべてのメジアン直径は、約500nm未満である。
【0066】
別の実施形態において、ウェブ繊維は、(数によって)(a)200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、または700nmの下限から500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1000nmの上限の範囲の数平均繊維直径および200、250、300、350または400nmの下限から350、400、450、500、550、または600nmの上限の範囲のメジアン繊維直径を組み合わせて有する少なくとも70%のナノファイバ;(b)約5%〜25%のマイクロファイバ;および(c)0%〜5%の粗繊維を含み、但し、ナノファイバの数平均直径は、ナノファイバのメジアン直径よりも大きいことを条件とする。このような実施形態は、数平均繊維直径およびメジアン繊維直径の範囲が、非重複性であるものをさらに含む。
【0067】
なお別の実施形態において、ウェブ繊維は、ナノファイバ、マイクロファイバ、および任意選択で粗繊維を含み、ここで、(a)繊維すべての数平均直径は、550、600、650、700、または750nmの下限から800、850、900、950、または1000nmの上限の範囲であり、および(b)繊維すべてのメジアン直径は、150、200、250、300、または350nmの下限から400、450、または500nmの上限の範囲である。
【0068】
さらに別の実施形態において、ウェブ繊維繊維は、ナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維を含み、マイクロファイバの質量パーセントは、約15%〜約30%の範囲であり、および粗繊維の質量パーセントは、約50%〜約70%の範囲である。繊維ウェブ内の繊維表面積は、ナノファイバ上の面積で占められ、その結果、ナノファイバの比表面積のパーセントは、繊維ウェブ全体の比表面積の90%より大きいことがあり得る。したがって、ナノファイバ上の相対表面電荷密度は、マイクロファイバの相対表面電荷密度の約10倍、またはそれ超であり得る。
【0069】
本ナノファイバウェブの実施形態は、0.01、0.015、0.02、0.025、または0.03g/cm
3の下限から0.035、0.04、0.045、または0.05g/cm
3の上限の範囲の見掛け密度を示す。
【0070】
様々な実施形態において、ナノファイバウェブは、約10g/m
2〜約40g/m
2の坪量;少なくとも約94%、95%、96%、または97%の多孔率;約8、9、または10μmから約14、15、16、または18μmの範囲の平均流量細孔サイズ;少なくとも2、2.2、または2.4のバブルポイントと平均流量細孔サイズとの比;および125N/m
2の空気圧で測定された場合、約10、13、14、または16(m
3/分)/m
2超(および最大で約30、35、または40m
3/分)/m
2)のフレーザ空気透過率のいずれか1つ以上を有する。典型的には、少なくとも約3(m
3/分)/m
2、好ましくは10以上、最大で90(m
3/分)/m
2(およそ10〜300(フィート
3/分)/フィート
2のフレーザ空気透過率が、フェイスマスクまたはレスピレータにとって有用と見なされる。
【0071】
本ナノファイバウェブの実施形態は、25mmの距離で測定して少なくとも+12、+14、+16、または+18kVの静電荷、および恐らくは20または25kV程度の大きさの電荷を有してもよい。
【0072】
本ナノファイバウェブは、品質因子(QF)および有効品質因子(eQF)の望ましい値を示し、これは、以下にさらに詳細に記載される。本ナノファイバウェブの実施形態は、少なくとも2.6、2.8、または3.0(Pa×g/cm
3)
-1、最大で4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、または6(Pa×g/cm
3)
-1の有効品質因子(eQF)を有してもよい。
【0073】
前述の寸法的、物理的、または機能的特性のいずれか2つ以上の組合せを含む本ナノファイバウェブの実施形態も企図される。
【0074】
ある実施形態において、ナノファイバウェブは、遠心溶融紡糸プロセスによって作製される。
【0075】
別の態様において、本明細書で提供される繊維ウェブの実施形態のいずれも、限定することなく、フェイスマスクおよびレスピレータを含めて、多種多様な呼吸装置で濾過要素として組み込むことができる。用語「呼吸装置」は本明細書で、使用者によって吸入される空気が最初に濾過装置を通過するようにされている、使用者によって着用される任意の装置(device)または装置(apparatus)を指す。用語「フェイスマスク」は本明細書で、望ましくない微細な液体または固体の吸収または摂取を軽減するように概して着用者の鼻および口にわたって固定されるように指定されている、濾過能力を有する材料から作られている構造を意味する。このようなフェイスマスクの多くが、全体的に可撓性ファブリックまたは布様繊維ウェブ材料(しばしば、ひだ状の)から、それを着用者に固定されることを可能にする付属のバンドまたはストラップととともに、構築されている。代わりに、材料は、半固体であってもよく、着用者の顔の構造に概して適合する形状を有してもよい。
【0076】
本明細書で使用される用語「レスピレータ」は、対応した周辺材料、および付属のバンドまたはストラップと一体化されている濾過要素を含む構造であって、その構造が着用者の顔の皮膚に対して適合して着座および密封し、かつ少なくとも鼻および口、ならびに任意選択で眼を覆うような構造を意味する。レスピレータは、着用者によって吸入された空気が、少なくともかなりの部分、好ましくはすべて、最初に濾過要素を通過しなければならないように構造化される。濾過要素は、使い捨てにし、または清浄にし、再使用のいずれかができる取り外し可能に装着された濾過カートリッジに組み込まれてもよい。
【0077】
本繊維ウェブは、それを伴ったフェイスマスクまたはレスピレータまたは濾過カートリッジを構築する際に使用することができる。当然に、本ウェブを、使用者によって吸入された空気の濾過に依存する他の個人用保護具を構築する際に使用することができることも企図される。
【0078】
試験方法
以下に続く非限定的な実施例において、以下の試験を様々な報告される特性(characteristics)および特性(properties)を決定するために用いた。これらの一部は、ASTM International, West Conshohocken, PAにより公表されている、発行されたASTM規格試験法に従って決定した。本明細書で参照されるこのようなASTM規格のそれぞれは、それへの参照によりあらゆる目的のためにその全体が組み込まれる。
【0079】
3Dウェブ画像化:走査電子顕微鏡法(SEM)および他の2D画像化技術は、典型的には繊維が深さ(厚さ方向)に不織物品内で配向される仕方またはナノウェブの細孔構造の幾何学的なおよびトポロジカル特徴を忠実に示さない映像を与える。したがって、ナノウェブの3Dボリュームレンダリングは、実際のナノウェブで示される細孔構造および繊維配向の理解に不可欠である。
【0080】
光学顕微鏡法は、回折限界だけでなく、散乱によるノイズのために、これまでナノウェブの画像化に広くは使用されてこなかった。顕微鏡を使用してのサブ波長構造の特徴付けは、アッベ回折限界のために困難である。屈折率nを有する媒体で移動し、および角度θをもったスポットに収束する、波長λの光は、半径d=λ/(2nsinθのスポットを作る)。分母(nsinθ)は、開口数(NA)と呼ばれ、これは、現代の光学装置で約1.4に達することができる。したがって、アッベ限界は、おおよそd=λ/2である。500nmの波長を有する緑色光の場合、アッベ限界は250nmである。ポリマーナノウェブはナノファイバを含有し、その一部は、250nm以下程度に小さい直径を有してもよい。高口径カージオイド環状集光レンズおよび高い開口数を有する光学照明システムは、高メガピクセルデジタルカメラおよび垂直解像度の精密な制御でナノウェブの有用な画像スタックを得ることを可能にする(10nmまで下に)。
【0081】
画像のスタックを、10nm〜100nmの解像度で自動zレンジ制御を使用して取得した。個別的に、これらの画像は、繊維が構造的に関連している仕方に関して情報をあまり与えない。しかし、3Dボリューム画像再構成アルゴリズムによって、画像のスタックをナノファイバウェブの3Dボリュームレンダリングに変換することができ、得られた3D画像は、異なる視方向にレンダリングすることができる。精度を改善するために、本明細書で報告されるデータは、単一画像スタックで得られたものから拡大した領域にわたって得た。したがって、画像のスタックを、隣接個別画像フィールドの、および適当に組み合わされた3単位でのアレイによって形成された有効画像フィールドにわたって取得し、それにより、依然として管理可能なファイルサイズを維持しながら、おおよそ101μm×81μmに対して271μm×210μmに、約7の倍数だけサンプリング領域を増加させた。
図1は、強化された画像処理および形態学的操作後にこのような有効画像フィールドにわたって取得された、実施例1のナノウェブの再構成3D画像を示す。
【0082】
繊維サイズ測定は、SEMを使用して行なった。詳細の異なるレベルでの繊維形態学を明らかにするために、SEM画像をX25、X100、X250、X500、X1,000、X2,000、X2,500、X5,000およびX10,000の名目倍率で取得した。繊維直径を決定するために、X1,000またはX2,000の倍率で少なくとも2(最大で10)の画像から計数した。繊維は、少なくとも約100〜200の繊維が個別に印され、および計数されるまで各画像セットから計数した。
【0083】
特に断りのない限り、全平均繊維直径およびメジアン繊維直径は、計数した繊維すべてに基づいて計算した。さらに、ナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維のサイズ分布における繊維直径についての繊維直径の平均およびメジアンも、別個に計算した。
【0084】
全繊維計数内のナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維の個数パーセントは、全繊維計数に対して各繊維直径グループ化内に入る繊維すべての直径の合計を使用して計算した。
【0085】
全繊維計数内のナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維の質量パーセントは、計数された繊維すべての全質量に対して各繊維直径グループ化内に入る繊維直径すべての質量の合計を使用して計算した。各繊維の質量は、すべての繊維が長さで等しく、かつ同じポリマー嵩密度を有すると仮定して、単位長さ当たりの質量で計算した。
質量
単位長さ当たり繊維=V
単位長さ当たり繊維*ρ
ポリマー嵩密度
【0086】
各繊維の体積は、すべての繊維は長さで等しいと仮定して、単位長さ当たり体積で計算した。
V
単位長さ当たり繊維=πr
繊維2
【0087】
全繊維計数内のナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維の表面積パーセントは、計数された繊維すべての全表面積に対して各繊維直径グループ化に入る繊維直径すべての表面積の合計を使用して計算した。各繊維の表面積は、すべての繊維が長さで等しいと仮定して、単位長さ当たり表面積で計算した。
表面積
単位長さ当たり繊維=2πr
繊維
【0088】
各繊維の比表面積は、各繊維の単位長さ当たり表面積および単位長さ当たり質量を使用して計算した。
比表面積
繊維=表面積
単位長さ当たり繊維/質量
単位長さ当たり繊維
【0089】
全繊維計数内のナノファイバ、マイクロファイバ、および粗繊維の比表面積パーセントは、計数された繊維すべての全比表面積に対して各繊維直径グループ化内に入る繊維直径すべての比表面積の合計を使用して計算した。
【0090】
坪量(BW)は、ASTM D3776/D3776M−09a(2013)、「Standard Test Methods for Mass Per Unit Area (Weight) of Fabric」に従うことによって決定し、g/m
2またはグラムで報告した。ASTM法のオプションCを使用して、各ウェブについて約10cmに切断したハンドシートを特徴付けした。
【0091】
ウェブ厚さは、光学顕微鏡法を使用して測定した。選択されたウェブ実施例の代表厚さ測定値を得るために、非接触測定法を工夫して、各実施例のウェブ形態学を保存した。垂直および水平測定値を正確に得るために自動レベル化段階を用いる、Alicona無限焦点顕微鏡を、厚さの計算のために使用した。各実施例の3Dスキャンを、3D光学表面プロファイルをもたらすために行い、それから、Aliconaソフトウェアにより、画像化面積の数平均表面高さ(厚さ)がもたらされる。この方法により、各実施例についての厚さの非バイアスおよび非損傷測定値がもたらされる。
【0092】
ウェブ多孔率は、フィルタ材料の全体積で除したフィルタ材料中の流体空間の体積の比と定義され;材料の測定された細孔体積および嵩密度から演算され得る。試料の多孔率は、各試料からの坪量および厚さの測定値から計算した。実際、シートの坪量(BW)は、試料面積(A)で除した所与の試料サイズの重量(W)として計算した。試料シートの坪量は、シートの横方向にわたる固定面積の3つの試料を打ち抜き、標準的な天秤を使用してそれらを秤量することによって測定した。したがって、この試料サイズの体積は、A×δであり、ここで、δは、試料の厚さである。Wは、試料体積中の繊維の重量によってのみ決定されるので、固体分率φは、φ=BW/ρδによって与えられ、ここで、ρは、固体ポリマーの密度である。次いで、多孔率は、1−φとして計算することができる。
【0093】
フレーザ空気透過率(Frazier Air Permeability)は、ある特定の体積の空気が試験片を通過するのに必要とされる時間の量の尺度である。空気圧は、液体シールを使用してチャンバ内に空気体積を捕捉する重力負荷シリンダによって生じる。この加圧体積の空気は、締め付けガスケットリングに向けられており、これにより、試験片が保持される。試験片を通過する空気は、締め付けプレートの下流にある穴を通って大気に逃げる。フレーザ空気透過率は、Frazier Precision Instrument Co Inc.(Hagerstown,MD)により両方とも製造された、FAP−5390F3またはFX3300計器のいずれかを使用して行なった。
【0094】
FAP−5390F3計器の使用においては、試験片は試料スタンドに取り付ける。ポンプは、傾斜型空気圧力ゲージが、圧力調整使用のための抵抗器の使用によって水柱で12.7cmの圧力を示すように調整される。次いで、垂直型空気圧力ゲージの実測された目盛り指示および使用されたオリフィスの種類から、試験片を通過する空気量が得られる。ノズルのサイズは、材料の多孔率に応じて変えた。
【0095】
FX3300計器の使用においては、強力な消音型真空ポンプが、円形開口を有する取り換え可能な試験ヘッドを通して空気を引く。測定のために、選択試験標準として適切な試験ヘッドを計器に取り付ける。真空ポンプを自動的に起動させる締め付けアームを押し下げることによって、試験片を試験ヘッド開口部の上で締め付ける。予備選択された試験圧力を自動的に維持し、数秒後、試験片の空気透過率は、尺度の予備選択された単位でデジタル表示される。締め付けアームを2回目に押し下げることによって、試験片は、解除され、真空ポンプは止められる。試験片が試験ヘッド開口部の上の適所に締め付けられると、真空ポンプは自動的に起動されるので、試験圧力は、試験片が締め付けられた後だけ増大する。試験圧力は、試験標準に従ってデジタル的に予備選択される。それは、計器によって自動的に制御および維持される。真の示差測定のために、試験圧力は、高い空気流量であっても、正確に測定される。試験片を通っての気流は、可変オリフィスによって測定される。試験片の空気透過率は、このオリフィスの両端の圧力降下から決定され、直接読み取りのための選択尺度単位でデジタル表示される。高安定性精密圧力センサは、優れた測定精度および試験結果の再現性を与える。
【0096】
この測定では、124.5N/m
2の圧力差が、適当に締め付けられた媒体試料にかけられ、得られた空気流量が、フレーザ空気透過率として測定され、cm
3/分/cm
2の単位で報告される。フレーザ空気透過率は、フレーザ空気透過率に坪量を掛け、34で除すことによって、34g/m
2坪量に規格化され、cm
3/分/cm
2で報告される。高いフレーザ空気透過率は、高い空気流透過率に対応し、低いフレーザ空気透過率は、低い空気流透過率に対応する。
【0097】
静電荷(E.S.)は、SIMCO FMX−003 Electrostatic Fieldmeterを使用して測定される。FMX−003により、25mmの距離にて最大で+/−22kVの静電圧(接地を基準とする)が測定される。
【0098】
平均流量細孔サイズは、ASTM E1294−89(1999、現在は取り下げされている)、「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定した。異なるサイズ(8mm直径)の個別試料を上に記載されたとおりに低い表面張力流体で湿らせ、ホルダ内に入れ、空気の差圧をかけ、流体を試料から除去した。湿り流量が、乾き流量の半分(湿り溶媒無しの流量)に等しい差圧を使用して、供給されたソフトウェアを使用して平均流量細孔サイズを計算する。平均流量細孔サイズは、μmで報告した。
【0099】
バブルポイントは、ASTM F316−03(2011)、「Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test」に従って測定した。個別試料(8mm直径)を上に記載されたとおりに低い表面張力流体で湿らせた。試料をホルダ内に入れた後、差圧(空気)をかけ、流体を試料から除去する。バブルポイントは、圧縮空気を試料シートにかけた後の最初の開放細孔であり、ベンダ供給ソフトウェアを使用して計算する。
【0100】
濾過効率(FE)および圧力降下(ΔP):媒体およびマスク性能は、2つの主たる因子、透過パーセント(P)および圧力降下(ΔP)により特徴付けられる。透過パーセントは、指定試験条件下で除去されることがないフィルタを透過する入射粒子の割合である。同じ透過概念は、関係
FE=100−P
を使用してより容易にPの測定値から決定され得る濾過効率パーセント(FE)によって同様に定量化することができる。
【0101】
圧力降下(ΔP)は、気流に対するフィルタの抵抗を特徴付け、これは、DIN Standard EN 1822(1998)に記載された試験法を使用して都合よく測定され、ΔPは、圧力の単位、例えば、mmH
2O/cm
2またはPaで報告される。
【0102】
PとΔPの両方ともが、挑戦エアロゾルおよびその面速度の関数として変わり、その結果、異なる試料についてのデータの比較は、測定が同じ条件下で行われる場合のみ適当である。挑戦エアロゾルは、典型的には粒子(またはエアロゾル)ピークサイズおよび分布、エアロゾル(液体に対して固体)の化学および形態、ならびにエアロゾルの電荷分布(中和、中性、または帯電)を含む可変要素によって記述される。面速度は、試験フィクスチャ(fixture)中で使用される挑戦流量および媒体の表面積の関数である。
【0103】
TSI8130濾過テスター(Model 8130 Automated Filter Tester)を使用して、濾過効率、および透過対粒子サイズを測定した。公知の粒子サイズによるフィルタおよび/またはフィルタ媒体への挑戦は、アトマイザおよび粒子を発生するための静電分級器を使用することによって行った。上流および下流の粒子検出は、2つの凝縮粒子計数器を使用して行なった。微細粒子ダスト負荷試験は、11.3cm直径(面積=100cm
2)の円形開口を有するフラットシート媒体で行った。2重量%塩化ナトリウム水溶液を使用して、0.26μmの質量平均直径を有する微細エアロゾルを発生させ、これを負荷試験で使用した。空気流量は、32リットル/分であり、5.3cm/sの面速度に相当する。装置製造業者によって、エアロゾル濃度は、約16mg/m
3であった。濾過効率および初期圧力降下は、試験の始めに測定し、最終圧力降下は、試験の最後に測定する。圧力降下の増加は、最終圧力降下から初期圧力降下を引くことによって計算する。
【0104】
品質因子および有効品質因子:品質因子(QF)を頻繁に使用して、
QF=−ln(P/100)/ΔP
(式中、Pは、透過率であり、ΔPは、圧力降下である)と定義されるとおりの、異なる媒体タイプの性能を比較した。両方とも、上で記載されたTSI計器によって測定することができる。品質因子QFは、逆圧、例えば、(Pa)
-1であり、ここで、1パスカルは、(Pa)=1N/m
2である。ナノファイバ不織媒体の厚さ、多孔率、および繊維直径は、それらのPおよびΔPに対する作用により間接的に品質因子(QF)に入る。しかしながら、理想的濾過媒体はまた、低い坪量および低い見掛け密度を示して、最小の可能な量の媒体で濾過を行うことの望ましさを説明する。したがって、濾過媒体は、見掛け密度(ρ
見掛け)で除した品質因子として本明細書で定義される、有効品質因子(eQF)で更に特徴付けられ、またはすなわち、
eQF=QF/ρ
見掛け=(−ln(P/100)/ΔP)/ρ
見掛け
で特徴づけられる。有効品質因子は、(Pa×g/cm
3)
-1の単位で特定することができる。
【実施例】
【0105】
本発明のある特定の実施形態の操作および作用は、以下に記載される実施例からより十分に理解され得る。これらの実施例が基づく実施形態は、単に代表的なものであり、本発明の態様を例証する実施形態の選択は、実施例に記載されない材料、成分、反応物質、条件、技術および/または構成が、本明細書での使用に適さないこと、または実施例に記載されない主題が、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲から排除されることを示さない。実施例の意義は、それから得られた結果を、異なる構成および/または材料を有する繊維ウェブを与え、したがって、本開示の実施例1〜実施例8について実証されるのと同じ特性の組合せを与えない比較例1〜比較例8として役立つように設計されるある特定の試験実験から得られた結果と比較することによってより良く理解される。
【0106】
試料調製
様々な直径を有する連続繊維を含むいくつかの例示的なナノファイバウェブ媒体を、遠心溶融紡糸プロセスを使用して作製した。繊維直径分布は、とりわけ、各実施例について示されるとおりに、温度、溶融物供給速度およびボウル回転速度を含む操作パラメータの組合せを使用して得た。これらの条件は、異なる厚さを有するフィルム領域を生成する溶融フィルム不安定性をもたらし、そして次に、これは、回転部材から広範な直径を有するフィラメントの放出を生じさせた。広範な直径は、微細化繊維が形成された後でも存続することが見出された。
【0107】
微細化繊維は、ベルト収集装置の上に置かれて、ポリマーウェブ媒体を形成した。繊維のウェブレイダウンは、適当な気流場および帯電配置の組合せによって制御した。気流場は、伸張ゾーン、成形ゾーン、および中心ゾーン内の空気温度および気流速度によって特徴付けられる。帯電は、紡糸ボウルの周りのコロナリングと収集装置ベルトの両方に印加された高電圧から生じる静電場によって行った。ウェブを紡糸ボウルの下に、ある距離を置いてレイダウンした。
【0108】
本開示における実施例はすべて、以下の一般条件下で作製した。ギアポンプを備えたPRISM押出機を使用して、ポリマー溶融物を、溶融物移送ラインを通して回転紡糸ボウルに送出した。押出し温度は、200℃に設定した。溶融物移送ラインからの紡糸溶融物の温度は、200℃で設定し、溶融物供給速度は、10グラム/分/ボウルであった。回転紡糸ボウルは、直径で152.4mmであった。紡糸ボウルの回転速度は、一定の10,000rpmに設定した。誘導加熱を使用して、回転紡糸ボウルを加温した。伸張ゾーン気流は、150℃および8.0SCFMで設定した。成形気流は、80℃および7.0SCFMで設定した。中空回転シャフトおよび抗渦巻きハブを通っての中心気流は、50℃および2.5SCFMで設定した。ナノファイバウェブは、127mmのレイダウン距離でベルト収集装置上にレイダウンした。
【0109】
実施例1〜実施例8で使用したポリマーは、LyondellBasellから入手した、ポリプロピレン(PP)Metocene MF650Yであった。それは、Mw=75,381g/モル、メルトフローレート=1800g/10分(230℃/2.16kg)、および200℃で9.07Pa・Sのゼロ剪断粘度を有する。実施例5〜実施例8について、1.0重量%のオクタデカンアミドをポリプロピレンのための帯電促進添加剤として押出機にさらに添加した。オクタデカンアミド(CAS No.124−26−5)は、式C
18H
37NOおよびN−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)オクタデカンアミドの化学名、98〜102℃の融点、および297.34℃の引火点を有する脂肪酸アミドである。それは、代わりにステアラミドまたはAmide C
18として知られ、Sigma−Aldrichから入手した。
【0110】
紡糸ボウル温度、紡糸筐体温度および湿度、コロナ帯電電圧および電流、収集装置ベルト帯電電圧および電流、ならびに収集装置ベルト移動速度、ならびにウェブ巻き上げ速度を含めて、他の実験条件は、以下に列挙されるとおりに各実施例について選択した。所与の部材の回転速度および溶融物供給速度について、回転部材の温度は、生成される繊維直径の分布に影響を与える重要なパラメータである。ウェブレイダウン一様性およびウェブ上の静電帯電強度は、紡糸筐体温度および湿度、コロナ帯電電圧および電流、収集装置ベルト帯電電圧および電流、帯電添加剤が紡糸溶融物中に組み込まれているかどうかにより主として決定した。所与の繊維紡糸およびウェブレイダウン条件について、得られたウェブの坪量は、収集装置ベルト移動速度を変えることによって調整することができる。
【0111】
実施例1
実施例1のウェブを作製するための具体的な実験条件は、206℃の紡糸ボウル温度、57℃の紡糸筐体温度、および13%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−7.0kVであり、電流は0.50mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+57kVであり、電流は0.24mAであった。収集装置ベルト移動速度は、0.94m/分であった。実施例1は、30グラムの坪量および9.3μmの平均流量細孔サイズを有する、独立型の単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約85.40%、質量で9.26%、表面積で44.04%、および比表面積で97.78%含んだ。この単層媒体は、マイクロファイバを個数で約11.68%、質量で30.46%、表面積で32.22%、および比表面積で2.06%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、0.655μmであり、およびメジアンは、約0.331μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、0.338μmであり、およびメジアンは、約0.281μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.808μmであり、およびメジアンは、約1.667μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約5.330μmであり、およびメジアンは、約5.435μmであった。実施例1のウェブは、99.730%の濾過効率および39.2Paの抵抗を示した。有効品質因子は、4.07(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0112】
上に記載されたとおりに、実施例1のナノファイバウェブを、
図1に概略的に描写する。ランダム網状組織中の様々な繊維の緊密な共混合および絡合は、容易に視覚化される。
【0113】
実施例2
実施例2のウェブを作製するための具体的な実験条件は、210℃の紡糸ボウル温度、56℃の紡糸筐体温度、および13%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−7.0kVであり、電流は0.48mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+57kVであり、電流は0.24mAであった。収集装置ベルト移動速度は、0.94m/分であった。実施例2のウェブは、30グラムの坪量および10.1μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約89.61%、質量で9.30%、表面積で49.89%、および比表面積で98.63%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約7.14%、質量で16.98%、表面積で21.16%、および比表面積で1.19%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約3.25%、質量で73.72%、表面積で28.94%、および比表面積で0.18%含んだ。全繊維の平均繊維直径は、約0.598μmであり、およびメジアンは、約0.295μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.333μmであり、およびメジアンは、約0.262μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.771μmであり、およびメジアンは、約1.733μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約5.329μmであり、メジアンは、約4.331μmであった。実施例2のウェブは、97.700%の濾過効率および38.2Paの抵抗を示した。有効品質因子は、2.67(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0114】
実施例3
実施例3のウェブを作製するための具体的な実験条件は、196℃の紡糸ボウル温度、55.8℃の紡糸筐体温度、および14%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−7.5kVであり、および電流は0.30mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+51kVであり、および電流は0.15mAであった。収集装置ベルト移動速度は、0.99m/分であった。実施例3のウェブは、29グラムの坪量および13.2μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約69.91%、質量で7.83%、表面積で32.66%、および比表面積で91.85%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約24.78%、質量で27.53%、表面積で39.28%、および比表面積で7.67%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約5.31%、質量で64.64%、表面積で28.06%、および比表面積で0.49%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.953μmであり、およびメジアンは、約0.559μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.445μmであり、およびメジアンは、約0.421μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.511μmであり、およびメジアンは、約1.487μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約5.038μmであり、およびメジアンは、約4.763μmであった。実施例3のウェブは、97.860%の濾過効率および26.5Paの抵抗を示した。有効品質因子は、5.45(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0115】
実施例4
実施例4のウェブを作製するための具体的な実験的条件は、194℃の紡糸ボウル温度、54℃の紡糸筐体温度、および14%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−7.5kVであり、および電流は0.34mAであり、収集装置ベルト耐電圧は+60kVであり、および電流は0.28mAであった。収集装置ベルト移動速度は、1.17m/分であった。実施例4は、27グラムの坪量および14.1μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約73.50%、質量で8.89%、表面積で36.19%、および比表面積で92.99%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約21.37%、質量で28.86%、表面積で37.58%、および比表面積で6.45%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約5.13%、質量で62.24%、表面積で26.23%、および比表面積で0.56%含んだ。全繊維の平均繊維直径は、約0.929μmであり、およびメジアンは、約0.530μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.457μmであり、およびメジアンは、約0.387μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.634μmであり、およびメジアンは、約1.475μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約4.752μmであり、およびメジアンは、約4.051μmであった。実施例4のウェブは、97.030%の濾過効率および21.6Paの抵抗を示した。有効品質因子は、5.16(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0116】
実施例5
実施例5のウェブを作製するための具体的な実験条件は、200℃の紡糸ボウル温度、54.4℃の紡糸筐体温度、および13%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−9.0kVであり、および電流は0.66mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+60kVであり、および電流は0.05mAであった。収集ベルト移動速度は、0.93m/分であった。実施例5は、32グラムの坪量および9.0μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約86.24%、質量で11.24%、表面積で50.42%、および比表面積で97.51%含んだ。単層媒体は、マイクファイバを個数で約11.64%、質量で26.27%、表面積で30.73%、および比表面積で2.35%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約2.12%、質量で62.49%、表面積で18.85%、および比表面積で0.14%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.659μmであり、およびメジアンは、約0.364μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.385μmであり、およびメジアンは、約0.335μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.740μmであり、およびメジアンは、約1.479μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約5.870μmであり、およびメジアンは、約4.292μmであった。実施例5のウェブは、99.000%の濾過効率および37.3Paの抵抗を示した。有効品質因子は、3.11(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0117】
実施例6
実施例6のウェブを作製するための具体的な実験条件は、194℃の紡糸ボウル温度、57.4℃の紡糸筐体温度、および13%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−9.0kVであり、および電流は0.65mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+60kVであり、および電流は0.04mAであった。収集装置ベルト移動速度は、1.33m/分であった。実施例5は、22グラムの坪量および11.7μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約81.01%、質量で8.09%、表面積で38.40%、および比表面積で96.84%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約14.53%、質量で26.48%、表面積で32.94%、および比表面積で2.85%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約4.47%、質量で65.43%、表面積で28.67%、および比表面積で0.31%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.740μmであり、およびメジアンは、約0.360μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.351μmであり、およびメジアンは、約0.293μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.678μmであり、およびメジアンは、約1.719μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約4.747μmであり、およびメジアンは、約4.303μmであった。実施例6のウェブは、98.500%の濾過効率および31.4Paの抵抗を示した。有効品質因子は、3.27(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0118】
実施例7
実施例7のウェブを作製するための具体的な実験条件は、200℃の紡糸ボウル温度、56.2℃の紡糸筐体温度、および13%の湿度を含んだ。コロナ帯電電圧は−9.0kVであり、および電流は0.67mAであり、収集装置ベルト帯電電圧は+60kVであり、および電流は0.04mAであった。収集ベルト移動速度は、2.03m分であった。実施例7は、14グラムの坪量および13.2μmの平均流量細孔サイズを有する独立型単層として作製した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約82.98%、質量で13.05%、表面積で45.87%、および比表面積で96.75%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約11.17%、質量で24.56%、表面積で24.39%、および比表面積で2.71%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約5.85%、質量で62.39%、表面積で29.73%、および比表面積で0.54%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.774μmであり、およびメジアンは、約0.443μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.428μmであり、およびメジアンは、約0.393μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.691μmであり、およびメジアンは、約1.406μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約3.934μmであり、およびメジアンは、約3.814μmであった。実施例7のウェブは、92.200%の濾過効率および17.7Paの抵抗を示した。有効品質因子は、5.22(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0119】
実施例8
実施例8は、29グラムの坪量および9.9μmの平均流量細孔サイズを有して、実施例7の媒体の2つの同一層を積層することによって作製した。実施例8は、98.900%の濾過効率および36.3Paの抵抗を有した。有効品質因子は、4.49(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0120】
比較例C1
比較例C1のウェブは、メルトブロープロセスによって作製されたメルトブローンポリプロピレン繊維を含んだ。このようなプロセスは、例えば、米国特許第3,849,241号明細書に開示されている。メルトブローン繊維は、溶融熱可塑性材料を溶融された糸またはフィラメントとして複数の微細な、通常は円形の、ダイキャピラリに通して、溶融熱可塑性材料のフィラメントを微細化してそれらの直径減少させる、収束する高速度加熱ガス(例えば、空気)ストリーム中に押し出すことによって形成することができる。高いガス速度(典型的には100〜200m/秒)が、繊維上に十分な摩擦牽引力を課して、所望の微細化を生じさせるために必要とされる。その後、メルトブローン繊維は、高速ガスストリームにより運ばれて、収集表面上に堆積されて、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。
【0121】
比較例C1のウェブは、50グラムの坪量および12.1μmの平均流量細孔サイズを有した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約1.37%、質量で0.14%、表面積で0.50%、および比表面積で3.09%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約75.34%、質量で37.92%、表面積で58.71%、および比表面積で84.94%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約23.29%、質量で61.93%、表面積で40.79%、および比表面積で11.97%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約2.483μmであり、およびメジアンは、約2.072μmであった。非常に少ないナノファイバが画像化されたので、統計的に妥当な平均およびメジアン直径を得ることができなかった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.935μmであり、およびメジアンは、約1.853μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約4.348μmであり、およびメジアンは、約3.845μmであった。比較例C1は、99.851%の濾過効率および45.1Paの抵抗を有した。有効品質因子は、1.92(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0122】
比較例C2
比較例C2は、一緒に積層された2つの同一層を含む二重層状化メルトブローンポリプロピレン媒体を与えた。層のそれぞれは、24グラムの坪量および14.8μmの平均流量細孔サイズを有した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約11.03%、質量で1.18%、表面積で4.30%、および比表面積で21.87%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約73.10%、質量で36.35%、表面積で59.88%、および比表面積で72.29%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約15.89%、質量で62.47%、表面積で35.83%、および比表面積で5.84%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約2.131μmであり、およびメジアンは、約1.780μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.830μmであり、およびメジアンは、約0.877μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.745μmであり、およびメジアンは、約1.695μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約4.812μmであり、およびメジアンは、約3.934μmであった。単層媒体は、93.880%の濾過効率および19.6Paの抵抗を有する。2つの同一の層で作製された比較例C2は、47グラムの坪量を有し、平均流量細孔サイズは、11.6μmである。比較例C2は、99.630%の濾過効率および41.2Paの抵抗を有する。有効品質因子は、2.26(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0123】
比較例C3
比較例C3は、48グラムの合わせた坪量および15.5μmの平均流量細孔サイズを有する、メルトブローンポリプロピレン媒体の2つの異なる層を含んだ。第1の層媒体は、ナノファイバを個数で約7.29%、質量で0.25%、表面積で1.47%、および比表面積で29.87%含んだ。第1の層媒体は、マイクロファイバを個数で約55.21%、質量で16.73%、表面積で35.62%、および比表面積で55.18%含んだ。第1の層媒体は、粗繊維を個数で約37.50%、質量で83.02%、表面積で62.91%、および比表面積で14.95%含んだ。第1の層の全繊維の数平均繊維直径は、約2.949μmであり、メジアンは、約2.400μmであった。第1の層のナノファイバの数平均繊維直径は、約0.596μmであり、メジアンは、約0.622μmであった。第1の層のマイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.903μmであり、およびメジアンは、約1.845μmであった。第1の層の粗繊維の数平均繊維直径は、約4.948μmであり、およびメジアンは、約4.333μmであった。第2の層媒体は、ナノファイバを個数で約16.54%、質量で0.85%、表面積で4.66%、および比表面積で39.25%含んだ。第2の層媒体は、マイクロファイバを個数で約55.64%、質量で17.82%、表面積で38.78%、および比表面積で51.67%含んだ。第2の層媒体は、粗繊維を個数で約27.82%、質量で81.33%、表面積で56.56%、および比表面積で9.09%含んだ。第2の層の全繊維の数平均繊維直径は、約2.650μmであり、およびメジアンは、約2.006μmであった。第2の層のナノファイバの数平均繊維直径は、約0.746μmであり、およびメジアンは、約0.788μmであった。第2の層のマイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.847μmであり、およびメジアンは、約1.760μmであった。第2の層の粗繊維の数平均繊維直径は、約5.388μmであり、およびメジアンは、約4.704μmであった。比較例C3の媒体は、99.600%の濾過効率および36.3Paの抵抗を示した。有効品質因子は、1.78(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0124】
比較例C4
比較例C4は、88グラムの合わせた坪量および9.1μmの平均流量細孔サイズを有する、メルトブローンポリプロピレン媒体の3つの異なる層を含んだ。第1の層媒体は、ナノファイバを個数で約9.24%、質量で0.39%、表面積で2.29%、および比表面積で25.44%含んだ。第1の層媒体は、マイクロファイバを個数で約54.62%、質量で15.16%、表面積で34.53%、および比表面積で59.18%含んだ。第1の層媒体は、粗繊維を個数で約36.13%、質量で84.45%、表面積で,63.18%、および比表面積15.37%含んだ。第1の層の全繊維の数平均繊維直径は、約3.147μmであり、およびメジアンは、約2.225μmであった。第1の層のナノファイバの数平均繊維直径は、約0.779μmであり、およびメジアンは、約0.795μmであった。第1の層のマイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.989μmであり、およびメジアンは、約1.924μmであった。第1の層の粗繊維の数平均繊維直径は、約5.503μmであり、およびメジアンは、約4.970μmであった。第2の層媒体は、ナノファイバを個数で約2.54%、質量で0.19%、表面積で0.78%、および比表面積で6.56%含んだ。第2の層媒体は、マイクロファイバを個数で約55.08%、質量で19.79%、表面積で36.18%、および比表面積で69.50%含んだ。第2の層媒体は、粗繊維を個数で約42.37%、質量で80.06%、表面積で63.05%、および比表面積で23.94%含んだ。第2の層の全繊維の数平均繊維直径は、約3.092μmであり、およびメジアンは、約2.599μmであった。第2の層のナノファイバの数平均繊維直径は、約0.944μmであり、およびメジアンは、約0.986μmであった。第2の層のマイクロファイバの数平均繊維直径は、約2.030μmであり、およびメジアンは、約2.006μmであった。第2の層の粗繊維の数平均繊維直径は、約4.600μmであり、およびメジアンは、約4.257μmであった。第3の層媒体は、ナノファイバを個数で約24.42%、質量で3.54%、表面積で11.06%、および比表面積で41.34%含んだ。第3の層媒体は、マイクロファイバを個数で約60.47%、質量で35.08%、表面積で53.25%、および比表面積で53.78%含んだ。第3の層媒体は、粗繊維を個数で約15.12%、質量で61.38%、表面積で35.69%、および比表面積で4.88%含んだ。第3の層の全繊維の数平均繊維直径は、約1.836μmであり、およびメジアンは、約1.400μmであった。第3の層のナノファイバの数平均繊維直径は、約0.831μmであり、およびメジアンは、約0.887μmであった。第3の層のマイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.617μmであり、およびメジアンは、約1.447μmであった。第3の層の粗繊維の数平均繊維直径、約4.335μmであり、およびメジアンは、約4.379μmであった。比較例C4の媒体は、99.730%の濾過効率および42.2Paの抵抗を示した。有効品質因子は、1.81(Pa・g/cm
3)
-1であった。
【0125】
比較例C5
比較例C5は、一緒に積層された2つの同一の層からなる二重層状化複合媒体であった。その単層は、約8グラムのメルトブローンポリプロピレンナノファイバを12グラムのPPスパンボンドスクリム上にコーティングすることによって作製した。ナノファイバ材料は、米国特許出願公開第20080023888号明細書の方法によってHillsメルトブロー装置を使用して作製した。スパンボンドスクリムは、円形または他の構成を有する紡糸口金の複数の微細なキャピラリからフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出し、次いで、押し出されたフィラメントの直径は、例えば、米国特許第4,340,563号明細書に開示されたように急速に減少させることによって、スパンボンド繊維紡糸プロセスを使用して作製した。スパンボンド繊維は、一般に連続であり、しばしば、約10μmよりも大きい平均直径を有する。
【0126】
この単層媒体は、22グラムの坪量および6.4μmの平均流量細孔サイズを有した。単層媒体は、ナノファイバを個数で約72.28%、質量で7.14%、表面積で33.26%、および比表面積で92.10%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約18.81%、質量で18.72%、表面積で28.08%、および比表面積で6.81%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約8.91%、質量で74.14%、表面積で38.65%、および比表面積で1.09%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約1.181μmであり、およびメジアンは、約0.638μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.543μmであり、およびメジアンは、約0.503μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.762μmであり、およびメジアンは、約1.576μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約5.121μmであり、およびメジアンは、約4.963μmであった。43グラムの合わせた坪量および5.2μmの平均流量細孔サイズを有する、2つの同一の層で作られた比較例C5。この相対的に小さい平均流量細孔サイズにもかかわらず、比較例C5は、87%の相対的に低い濾過効率を有し、その理由は、それが静電荷をほとんど持たなかったからである。比較例C5はまた、小さい細孔サイズおよび0.19(Pa・g/cm
3)
-1の低い有効品質因子のために、113.8Paの比較的高い抵抗を有する。高い抵抗は、この材料をフェイスマスク濾過要素としての使用に望ましくなくさせる。
【0127】
比較例C6
比較例C6は、国際公開第03/080905号に記載されたとおりのエレクトロブローイングによって繊維に紡糸された、ギ酸中ポリアミド−6,6の24%溶液から得られた溶液エレクトロブローンナイロン媒体を与えた。比較例C6は、35グラムの坪量および2.9μmの平均流量細孔サイズを有した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約85.21%、質量で16.97%、表面積で55.51%、および比表面積で95.69%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約11.27%、質量で20.85%、表面積で22.58%、および比表面積で3.91%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約3.52%、質量で62.18%、表面積で21.91%、および比表面積で0.40%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.765μmであり、およびメジアンは、約0.506μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.499μmであり、およびメジアンは、約0.439μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.534μmであり、メジアンは約1.336μmであった。粗繊維の数平均繊維直径は、約4.763μmであり、およびメジアンは、約4.093μmであった。比較例C6の媒体は、99.726%の濾過効率および217.7Paの抵抗を示した。有効品質因子は、0.20(Pa・g/cm
3)
-1であった。比較例C6は、他の比較例と比較して+14.8kVの相対的により高い静電荷を持った。比較例C6の媒体は良好な濾過効率を有するけれども、その高い抵抗は、この材料をフェイスマスク濾過要素としての使用に望ましくなくさせる。
【0128】
比較例C7
比較例C7は、国際公開第03/080905号に記載されたとおりのエレクトロブローイングによって繊維に紡糸された、ギ酸中ポリアミド−6,6の24%溶液から得られた溶液エレクトロブローンナイロン媒体を与えた。比較例C7は、31グラムの坪量および1.8μmの平均流量細孔サイズを有した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約96.07%、質量で49.40%、表面積で81.60%、および比表面積で99.36%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約3.93%、質量で50.60%、表面積で18.40%、および比表面積で0.64%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.331μmであり、およびメジアンは、約0.254μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.281μmであり、およびメジアンは、約0.237μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.547μmであり、およびメジアンは、約1.444μmであった。この比較例では粗繊維はなかった。比較例C7は、99.997%の濾過効率および381.5Paの抵抗を有する。有効品質因子は、0.18(Pa・g/cm
3)
-1であった。比較例C7は、他の比較例と比べて+12.6kVの相対的により高い静電荷を持った。比較例C7の媒体は、良好な濾過効率を有するが、その高い抵抗は、この材料をフェイスマスク濾過要素としての使用に望ましくなくさせる。
【0129】
比較例C8
比較例C8は、国際公開第03/080905号に記載されたとおりのエレクトロブローイングによって繊維に紡糸された、ギ酸中ポリアミド−6,6の24%溶液から得られた溶液エレクトロブローンナイロン媒体を与えた。比較例C8は、23グラムの坪量および4.9μmの平均流量細孔サイズを有した。この単層媒体は、ナノファイバを個数で約78.57%、質量で8.70%、表面積で50.70%、および比表面積で90.24%含んだ。単層媒体は、マイクロファイバを個数で約19.84%、質量で11.30%、表面積で29.14%、および比表面積で9.64%含んだ。単層媒体は、粗繊維を個数で約1.59%、質量で80.00%、表面積で20.16%、および比表面積で0.12%含んだ。全繊維の数平均繊維直径は、約0.955μmであり、およびメジアンは、約0.680μmであった。ナノファイバの数平均繊維直径は、約0.616μmであり、およびメジアンは、約0.587μmであった。マイクロファイバの数平均繊維直径は、約1.402μmであり、およびメジアンは、約1.392μmであった。非常に少ない粗ファイバが画像化されたので、統計的に妥当な平均およびメジアン直径を得ることができなかった。比較例C8は、96.440%の濾過効率および86.3Paの抵抗を有する。有効品質因子は、0.39(Pa・g/cm
3)
-1であった。比較例C8は、他の比較例と比較して+8.5kVの相対的により高い静電荷を持った。比較例C8の媒体は良好な濾過効率を有するけれども、その高い抵抗は、この材料をフェイスマスク濾過要素としての使用に望ましくなくさせる。
【0130】
実施例1〜実施例8および比較例C1〜比較例C8の様々な繊維材料の測定および/または計算された特性は、以下の表1〜表4に対照させる。実施例1〜実施例8は、典型的には、比較例のものと比較して、多孔率、フレーザ透過率、および静電荷の高い値、ならびに見掛け密度の低い値を示したことが留意される。比較例の一部は、実施例1〜実施例8のものと同様の細孔サイズを有したとても、それらはまた、望ましくないより高い圧力降下を示し、これは、より少ない開放構造及びより高い坪量に起因すると考えらえる。実施例のすべて、特にポリマー中に帯電促進添加剤を有して調製された実施例5〜実施例8が、優れた静電帯電を与えた。実施例1〜実施例8はまた、さらなるロールツ−ロール加工および8カ月間以上の貯蔵後でさえも少なくとも+10.0kVの静電荷を保持した。
【0131】
本実施例はまた、比較例のものよりも一様により高い有効品質因子を与え、それらをフェイスマスクおよび他の呼吸装置における濾過要素としての使用に適したものにさせる。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
このように本発明をかなり完全に詳細に説明してきたが、この詳細は厳格に固執される必要はなく、しかし、さらなる変化および変更が、当業者に考えられ、すべて、付け加えられた特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の範囲に入ることが理解される。
【0137】
数値の範囲が本明細書で列挙または規定されるが、その範囲は、その端点およびその範囲内の個別の整数および分数のすべてを含み、ならびにまた、あたかもより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されるのと同じ程度に、記載された範囲内の値のより大きい群の下位群を形成する、端点ならびに内側の整数および分数の様々な可能な組合せのすべてによって形成されるその中のより狭い範囲のそれぞれを含む。数値の範囲が述べられた値よりも大きいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、有限であり、本明細書で記載されるとおりの本発明の文脈内で操作可能である値によってその上側端で拘束される。数値の範囲が、述べられた値よりも小さいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によってその下側端で拘束される。量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値および下側の好ましい値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上側範囲限界または好ましい値、ならびに任意の下側範囲限界または好ましい値の任意の対から形成された範囲のすべてを具体的に開示すると理解されるべきである。
【0138】
本明細書において、特に明示的に述べられないか、または使用の文脈により反対に示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、ある特定の特徴または要素を含む(comprising)、含む(including)、含む(containing)、有する(having)、それらから構成される(composed of)、またはそれらによってもしくはそれらから構成される(constituted by or of)と述べられまたは記載される場合、明示的に述べられたまたは記載されたものに加えて1つ以上の特徴または要素が、実施形態で存在してもよい。しかしながら、本明細書の主題の代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素から本質的になると述べられまたは記載されてもよく、この実施形態においては、操作の原理または実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴および要素は、そこには存在しない。本明細書の主題のさらなる代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素からなると述べられまたは記載されてもよく、この実施形態において、またはその実態のない変形においては、具体的に述べられまたは記載された特徴または要素のみが、存在する。さらに、用語「含む(comrising)」は、用語「から本質的になる(consising essentiallly of)」および「からなる(consisting of)」によって包含される例を含むことが意図される。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことが意図される。
【0139】
本明細書において、特に別に述べられないか、または使用の文脈により反対に示されない限り、本明細書で列挙される量、サイズ、範囲、処方、パラメータ、ならびに他の量および特性は、特に用語「約」によって修飾される場合、必要とはしないが正確であってもよく、または許容範囲、変換係数、四捨五入、測定誤差、および同様のもの、ならびに本発明の文脈内で、述べられた値に機能的および/または操作可能な等価を有する、その外側の値の述べられた値内の内包を反映して、述べられたものに近似していてもおよび/またはそれより大きくても、小さくてもよい(望まれる場合は)。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 単層の独立型網状組織で緊密に共混合および絡合されているポリマー繊維を含むナノファイバウェブであって、
(a)前記繊維は、個数パーセントで、少なくとも70%のナノファイバ、5%〜25%のマイクロファイバ、および0%〜5%の粗繊維を含み;
(b)繊維すべての数平均直径は、1000nm未満であり、および繊維すべてのメジアン直径は、500nm未満であり;ならびに
(c)前記ナノファイバウェブは、0.01〜0.05g/cm3の見掛け密度、25mmの距離で測定して少なくとも12kVの静電荷、および約2.5(Pa・g/cm3)-1超の有効品質因子(eQF)を有する、ナノファイバウェブ。
2. 前記繊維が、ポリオレフィンから構成される、上記1に記載のナノファイバウェブ。
3. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン、または複数の異なるポリプロピレンのブレンドを含む、上記1または2に記載のナノファイバウェブ。
4. 前記ポリオレフィンが、帯電促進剤を含む、上記2または3に記載のナノファイバウェブ。
5. 前記繊維すべての数平均直径が、600nm〜1000nmの範囲であり、および前記繊維すべてのメジアン直径が、300nm〜500nmの範囲である、上記1〜4のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
6. 前記ナノファイバが、330nm〜450nmの範囲の数平均繊維直径および260nm〜420nmの範囲のメジアン繊維直径を有する、上記1〜5のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
7. (a)前記マイクロファイバの質量パーセントが、15%〜30%の範囲であり;および(b)前記粗繊維の質量パーセントが、50%〜70%の範囲である、上記1〜6のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
8. 前記ナノファイバの比表面積のパーセントが、90%超である、上記1〜7のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
9. 前記ナノファイバの相対表面電荷密度が、前記マイクロファイバの相対表面電荷密度よりも約10倍大きい、上記1〜8のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
10. 前記ナノファイバウェブが、少なくとも約94%の多孔率を有する、上記1〜9のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
11. 平均流量細孔サイズが、9μm〜15μmの範囲である、上記1〜10のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
12. フレーザ空気透過率が、125N/m2の圧力で測定して約10(m3/min)/m2超である、上記1〜11のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
13. 前記ナノファイバウェブが、10g/m2〜40g/m2の坪量を有する、上記1〜12のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
14. 前記静電荷が、25mmの距離で測定して+14kV〜+20kVの範囲である、請求
項1〜13のいずれか一項に記載のナノファイバウェブ。
15. 前記ナノファイバウェブが、遠心溶融紡糸プロセスによって作製される、上記1〜14のいずれか一項の記載のナノファイバウェブ。
16. 上記1〜15のいずれか一項に記載のナノファイバウェブを含む、濾過要素。
17. 上記1〜15のいずれか一項に記載のナノファイバウェブを含む濾過要素を含む、呼吸装置。
18. 前記呼吸装置が、フィエスマスクである、上記17に記載の呼吸装置。
19. 前記呼吸装置が、レスピレータである、上記18に記載の呼吸装置。
20. 呼吸装置への取付けのために構成され、かつ上記1〜15のいずれか一項に記載のナノファイバウェブを含む、濾過カートリッジ。
21. ナノファイバウェブを製造するための方法であって、
(i)溶融ポリマー紡糸溶融物を、排出端部を有する回転部材の表面に供給する工程と;
(ii)前記回転部材を、前記部材上で溶融物のフィルムを形成するのに十分な回転速度で回転させる工程であって、前記フィルムは、前記回転部材の中心部からその端部に半径方向に外側に延在する、起伏する厚さの領域を有する波状の非一様フィルム厚さによって特徴付けられる不安定性を有する、工程と;
(iii)前記フィルム溶融物に由来する複数の個別的連続フィラメントを前記排出端部から伸張ゾーンに排出する工程と;
(iv)前記排出された個別的フィラメントを前記伸張ゾーンで遠心力によって微細化して、連続繊維を形成する工程と;
(v)前記フィラメントに前記伸縮ゾーンで静電荷をかける工程と;
(vi)前記微細化された連続繊維を収集表面上で収集して、単層の独立型網状組織としてナノファイバウェブを形成する工程と
を含み、
前記繊維は、個数パーセントで、少なくとも70%のナノファイバ、5%〜25%のマイクロファイバ、および0%〜5%の粗繊維を含み、かつ前記繊維すべての数平均直径は、1000nm未満であり、および前記繊維すべてのメジアン直径は、500nm未満である、方法。