(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、少なくともある程度、「ミッドレンジ」の粘度(例えば、約20センチポイズから約700センチポイズ)を有しているとして特徴付けられるアルファ化デンプンを石膏スラリー内に含めることを前提としている。粘度特性は、デンプンが本明細書に述べるVMA方法論に従うある種の条件下に置かれる時に決定されるが、これらの条件下でアルファ化デンプンをスラリーに加える必要は無いことが理解されるであろう。ミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンの包含は、驚くほどかつ予想外に、(例えば、より少ないデンプンが用いられ得るように)デンプン効率、製品強度向上および水要求量に関してなど、例えば、一部の実施形態においては一斉に、重要な利益の組み合わせをもたらすことが分かった。本発明の実施形態に従って、デンプン効率、水要求量および/または強度に関する物を含めた利益は、VMA法に従って測定されるような、20センチポイズ未満、または700センチポイズを超える粘度を有する非糊化デンプン(未煮沸)またはアルファ化デンプン(煮沸済み)などの、石膏スラリーにおいて用いられることが知られているデンプンに関して相当な改善および増進を表す。これらの発見は、これに限らないが、原材料のコスト削減、製造効率の向上および例えば、十分な強度特性を備えるより軽量の製品を可能にする、製品強度の向上を含めた、相当の利点を与える。
【0016】
デンプンは、炭水化物に分類され、2種類の多糖類、すなわち直鎖アミロースおよび分岐鎖アミロペクチンを含有する。デンプン粒は、例えば、偏光下で見られるように半結晶性であり、室温で不溶性である。糊化は、デンプン粒の結晶質構造が融解するようにデンプンが水中に置かれて加熱され(「煮沸され」)、良好な分散系が生じるようにデンプン分子が水に溶解するプロセスである。デンプン粒は水不溶性であるので、デンプン粒が糊化した形態に変化する場合、デンプン粒は、初めは水中でわずかな粘度を提供することが分かっている。温度が上昇するにつれて、デンプン粒が膨張して、糊化温度において結晶質構造が融解する。ピーク粘度は、デンプン粒が最大膨張の時である。さらなる加熱は、デンプン粒を壊して、粘度の急激な減少と共に、デンプン分子を水に溶解させるであろう。冷却後、デンプン分子は、再会合して、ゲル構造に起因して粘度が増加した状態で、3−Dゲル構造を形成するであろう。例えば、本明細書中以下において論じる、
図1を参照されたい。一部の市販のデンプンはアルファ化形態で販売される一方、他は粒状形態で販売される。本発明の一部の実施形態に従って、市販の粒状形態は、(典型的にはミキサー内、例えば、ピンミキサー内の)石膏スラリーへの追加の前にアルファ化されるように少なくともある程度の糊化を受ける。
【0017】
本発明の実施形態による所望のミッドレンジの粘度を達成するために、デンプン分子を修飾して、例えば、グルコース単位間のグリコシド結合を加水分解して所望の分子量を達成してもよい。例えば、こうした修飾には、酸修飾、酵素修飾および/または他の方法が含まれ得る。例えば、低粘度を達成するための他の手法には、例えば、より多くの直鎖のアミロース単位を含むための機械的エネルギー押出しまたはデンプン分子の修飾が含まれる。一例として、Tackidex K720の場合、低粘度は、機械的エネルギー押出し、より多くのアミロース単位(〜35%)およびヒドロキシプロピル化によって達成される。修飾は、糊化が起きる前または後に起こり得る。酵素修飾の場合は、修飾は糊化ステップの後に起こることが一般に好ましい。最も一般的に用いられるデンプン変換酵素は、α−アミラーゼ(アルファ−アミラーゼ)である。酵素加水分解反応は、pHを調整することまたは加熱することのいずれかにより停止され得る。酸修飾の場合は、修飾は、より効果的であり、よりコスト集中的ではない傾向があるので、糊化の前に起きることが一般に好ましい。酸修飾デンプンを調製するために、未修飾デンプンの水性懸濁液は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸などの少量の強酸で処理してよいことを理解されたい。反応時間を調整することにより、解重合の程度は、変更され得る。例えば、工程内実験室管理によって決定されるように、例えば、適した流動性が達成される時に、酸を中和して加水分解を停止するために温和なアルカリが導入される。したがって、酸修飾デンプンは、様々な流動性で調製され得る。さらに、酸修飾デンプンは、中和後にさらなる精製無しで直接用いてもよくまたは精製して塩を除去してもよい。酸修飾デンプンの最終用途は、精製の望ましさを決定し得る。例えば、硫酸によって修飾されて、水酸化カルシウムによって中和されたデンプンの組成物は、硫酸イオンおよびカルシウムイオンを含有している場合があり、これはスタッコおよび水スラリーに加えられ得る。スタッコは、硫酸イオンおよびカルシウムイオンを既に有するので、スラリーへの追加の前に硫酸修飾デンプンを精製する必要は無い場合がある。したがって、精製の望ましさを決定するための検討事項には、例えば、酸およびアルカリ塩基の同定ならびに硫酸イオンまたはカルシウムイオン以外に他のイオンをスラリーに加えることが望ましいかどうかが含まれる。
【0018】
ミッドレンジの粘度特性を示している本発明によるアルファ化デンプンは、製品(例えば、ウォールボード)の強度に著しい利益を提供する。デンプンは、3つのヒドロキシ基を含有するグルコースモノマーを含有するので、デンプンは、石膏結晶に結合している水素のために多数の部位を提供する。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ミッドレンジの粘度特性を示すアルファ化デンプンの分子サイズは、デンプン分子の最適な移動性を可能にしてデンプン分子を石膏結晶と一直線に並ばせてデンプンの石膏結晶への良好な結合を容易にして、例えば、水素結合によって、得られる結晶質の石膏マトリックスを強固にすると考えられている。それぞれより長い鎖長および高分子量(高すぎる粘度)ならびにより短い鎖長および低分子量(低すぎる粘度)のどちらかを有するであろう、ミッドレンジの外の粘度を有するアルファ化デンプンは、利益の同じ組み合わせを提供しない。デンプン効率に関して、デンプン分子が十分に石膏結晶に結合している場合、デンプンが付着または結合するためのさらなる石膏結晶部位が無いように結晶が既に結合しているので、追加のデンプンは著しい利益を加えないことも考えられている。その結果、石膏結晶とミッドレンジの粘度のアルファ化デンプン分子との間の最適な結合が理由で、結晶質の石膏マトリックスの強度が実質的に向上し、かつこの強度を増進するには従来型のデンプンと比較してより少ないデンプンが必要とされる。
【0019】
ミッドレンジの粘度特性を示すアルファ化デンプンは、水要求量に関する利点も提供する。デンプンを石膏スラリーへ追加することは、所望のスラリー流動性の程度を維持するためにさらなる水を石膏スラリーに加えることを必要とする。これは、デンプンが石膏スラリーの粘度を増加して、流動性を減少するためである。したがって、従来型の系においてデンプンの使用は、さらに多くの過剰な水が石膏スラリーにおいて必要になるような水要求量の増加をもたらした。驚くほどかつ予想外に、本発明によるミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、特に従来型のデンプンと比較して、石膏スラリーにおける水要求量への影響を減少できるようにより少ない水を要求する。さらには、より少ないデンプンが用いられ得るような、本発明のミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンの効率性のために、一部の本発明の実施形態による水要求量へのプラスの影響はさらに一層顕著であり得る。このより低い水要求量は、製造時にかなりの効率性を提供する。例えば、過剰な水は、乾燥のためにエネルギー入力を必要とする。ラインのスピードは、乾燥に対応するために遅くしなければならない。したがって、石膏スラリーにおける水投入量を減少することにより、生産速度を速めるだけでなく、より少ないエネルギー資源およびコストが考えられる。一部の実施形態において、石膏スラリーにおける水要求量の増加は、700センチポイズを超える粘度(例えば、約773センチポイズ)を有するアルファ化デンプンなど他のデンプンによって必要とされる水要求量の増加よりも少ない。
【0020】
任意の適したデンプンは、例えば、修飾または別の方法によって、本発明のミッドレンジの粘度特性に適合し得る限り、選択してよい。本明細書で使用する場合、「デンプン」は、デンプン成分を含む組成物を指す。デンプンは、それ自体は、100%純粋なデンプンであってよくまたはデンプン成分がデンプン組成物の少なくとも約75重量%を構成する限り、タンパク質および繊維などの粉において一般に見られる物などの他の成分を有していてよい。デンプンは、粉の少なくとも約75重量%、例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%などのデンプンを有する粉など、デンプンを含有する粉(例えば、トウモロコシ粉)の形態であってよい。例を目的として、いかなる制限も無いが、デンプンは、例えば、Clinton(登録商標) 260(ADM)、Supercore(登録商標) S23F(GPC)、Amidon M−B 065R(Roquette)などのトウモロコシデンプン;例えば、Clearam LG 7015(Roquette)などの酸修飾アセチル化デンプンなどのエンドウマメデンプン、;例えば、Clineo(登録商標) 714(ADM)、Coatmaster(登録商標) K57F(GPC)などのヒドロキシエチル化デンプンまたは例えばTackidex(登録商標) K720(Roquette)などのヒドロキシプロピル化デンプンなどのアルキル化デンプン;ならびにClinton(登録商標) 444(ADM)などの酸化デンプン;あるいはそれらの任意の組み合わせである、デンプンを含有するトウモロコシ粉の形態であってよい。
【0021】
石膏スラリーは、通常はピンミキサー内で形成される。しかしながら、ミキサー内への原料の導入の方式は、多様であり得る。例えば、成分の様々な組み合わせは、ミキサーに入る前に予備混合してよく、例えば、1種または複数の乾燥原料および/または1種または複数の湿性原料を予備混合してもよい。「スラリーに追加される」については、本明細書で使用する場合、本明細書に記載のようにスラリーが形成されるミキサーに入る前に任意の適した手法で原料を予備混合してよいことが理解されるであろう。
【0022】
本発明のミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、湿性または乾燥形態で石膏スラリーに含まれていてよい。湿性形態の場合、デンプンは、任意の適した濃度で含まれていてよく、かつ他の湿性原料と予備混合してもよい。粘度は、デンプンおよび水の総重量の15重量%の量のデンプンが水中にある間に実施例1に記述されているVMA法に従って測定されるが、これは、スラリーに加えられるデンプンが完全に糊化されていることまたはそうでなければVMA法において概説される条件下であること、あるいは本発明の実施形態による15%溶液でなければならないことは必ずしも意味しない。むしろ、デンプンの粘度特質は、これらの特定の条件下で特徴付けられてデンプンが本発明の実施形態の粘度基準に適合するかどうかを決定し、正規化された状況下での異なるデンプンの粘度特性の比較を可能にする。
【0023】
したがって、本明細書で使用する場合、「アルファ化」は、石膏スラリーに含められる前にデンプンが任意の程度の糊化を有することを意味する。一部の実施形態において、アルファ化デンプンは、スラリーに含められる場合に部分的に糊化されていてよいが、例えば、過剰な水を除去する乾燥ステップのための炉内で、上昇した温度に晒された場合に完全に糊化される。一部の実施形態において、アルファ化デンプンは、VMA法に従う条件下の場合にデンプンがミッドレンジの粘度特性に適合する限り、炉を出る時にさえも完全に糊化されない。
【0024】
ビスコグラフおよび示差走査熱量測定(DSC)は、デンプン糊化を説明する2つの異なる方法である。デンプン糊化の程度は、例えば、DSCからのサーモグラムにより、例えば、計算のためにピーク面積(結晶の融解)を用いて決定され得る。ビスコグラム(ビスコグラフからの)は、部分的糊化の程度を決定するために望ましさは劣るが、デンプンの粘度変化、糊化最大値、糊化温度、ゲル化、保持時の粘度、冷却の終わりの粘度などのデータを取得するために優れたツールである。糊化の程度に関して、DSC測定は、具体的には67重量%以上の過剰な水の存在下でなされる。デンプン/水混合物の含水率が67%未満の場合、糊化温度は含水率が低下するにつれて上昇するであろう。利用可能な水が限られる場合は、デンプン結晶を融解することは困難である。デンプン/水混合物の含水率が67%に達する場合、糊化温度は、デンプン/水混合物により多くの水がどれだけ追加されようと一定を維持するであろう。糊化開始温度は、糊化の始まる温度を意味する。糊化終了温度は、糊化の終わる温度を意味する。糊化のエンタルピーは、糊化時に融解した結晶質構造の量を表す。デンプンDSCサーモグラムからのエンタルピーを用いることにより、糊化の程度が示され得る。
【0025】
異なるデンプンは、異なる糊化開始温度、終了温度および糊化エンタルピーを有する。したがって、異なるデンプンは、異なる温度で完全に糊化になり得る。デンプンは、デンプンが過剰な水中で糊化の終了温度を超えて加熱される場合に完全に糊化されることが理解されるであろう。加えて、任意の特定のデンプンに関して、デンプンが糊化の終了温度より低く加熱される場合は、デンプンは部分的に糊化されるであろう。したがって、例えば、DSCによって測定されるように、部分的糊化および不完全糊化は、過剰な水の存在下でデンプンが糊化終了温度を下回って加熱される場合に発生するであろう。完全糊化は、例えば、DSCによって測定されるように、過剰な水の存在下でデンプンが糊化終了温度を超えて加熱される場合に発生するであろう。糊化の程度は、例えば、デンプンを糊化終了温度より低く加熱して部分的糊化を形成することによってなど、異なる方法で調整され得る。例えば、デンプンを完全に糊化するためのエンタルピーが4J/gの場合に、DSCはデンプンの糊化エンタルピーが2J/gだけであるとして示す場合、これはデンプンの50%が糊化されていることを意味する。完全に糊化されたデンプンは、DSCによって測定される場合にDSCサーモグラムの糊化ピーク(エンタルピー=0J/g)を有さないであろう。
【0026】
述べたように、糊化の程度は、例えば約50%以上など、任意の適した量であってよい。しかしながら、より低い糊化の程度は、粒状デンプンにより近似することになり、本発明の一部の実施形態の強度向上、より優れた(より完全な)分散系および/または水要求量の減少を最大限に利用できない可能性がある。したがって、一部の実施形態において、より高い糊化の程度、例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%または完全(100%)の糊化があることが好ましい。より低い糊化の程度を有するデンプンは、炉内でさらなる糊化(例えば、100%まで)を行ってスラリーに追加してもよい。スラリーへの追加の目的のために、「完全に糊化される」ことによって、デンプンは、その糊化温度以上でまたはさもなければDSC技術から分かるように完全糊化を達成するために十分に煮沸されることが理解されるであろう。冷却すると一部のわずかな老化が予想され得るが、それでもデンプンは、当業者が認めるであろうように一部の実施形態において石膏スラリーへの追加のために「完全に糊化される」ものとして理解されるであろう。対照的に、本明細書で論じるVMA法の目的のためには、こうした老化は、粘度測定を行うことにおいて許容されない。
【0027】
一部の実施形態において、アルファ化デンプンのミッドレンジの粘度は、約20センチポイズから約500センチポイズまたは約30センチポイズから約200センチポイズなど、約20センチポイズから約700センチポイズであってよい。本発明の実施形態において、VMA法の下で試験される場合にアルファ化デンプンの粘度は、例えば、下表1A、1Bおよび1Cに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、センチポイズでのアルファ化デンプンの粘度を表す。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表1Aにおける最初の「X」は、範囲「約20センチポイズから約25センチポイズ」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0031】
したがって、アルファ化デンプンの粘度は、表1A、1Bまたは1Cに記述されている前述の端点の間およびそのいずれかを含む範囲を有し得る。
【0032】
本発明の実施形態によるミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、驚くほどかつ予想外に、スラリーに比較的少量で(固体/固体基準)含まれていてよくかつそれでもボードにおける著しい強度向上を達成する。したがって、本発明の好ましい実施形態において、ミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、スタッコの約5重量%以下(例えば、約0.1%から約5%)またはさらに少ないスタッコの約3重量%以下などの量で石膏スラリーに含まれる。例えば、アルファ化デンプンは、約0.1%から約3%、約0.1%から約2%、約0.1%から約1.5%など、スタッコの約0.1重量%から約4重量%の量で含まれていてよい。一部の実施形態においてさらにより多くのデンプンを追加すると強度レベルは幾分水平状態になり得るので、スラリーにおけるミッドレンジの粘度のデンプンの量をこれらの範囲を超えて増加することは、強度を効率的には改善しないことがわかっている。しかしながら、必要に応じて特に強度の収穫逓減が許容される場合にはより多いデンプン量を使用してもよい。例えば、好ましくはないが、一部の実施形態において、例えば、スタッコの約0.1重量%から約10重量%の、約5重量%より多いデンプンの量を用いてもよい。
【0033】
本発明の実施形態において、アルファ化デンプンの量は、例えば、下表2Aおよび2Bに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、スタッコの重量パーセントとしてのデンプンの量を表す。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、最初の「X」は、「スタッコの約0.1重量%のデンプンからスタッコの約0.25重量%のデンプン」の範囲である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0036】
したがって、アルファ化デンプンの量は、表2Aまたは2Bに記述されている前述の端点の間およびそのいずれかを含む範囲を有し得る。
【0037】
所望のミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、本発明の実施形態に従って他のデンプンと組み合わせてもよい。例えば、所望のミッドレンジの粘度特性を示すアルファ化デンプンは、特に水要求量の多少の増加が許容される場合に、芯強度および紙−芯結合の両方を強化するために他のデンプンと組み合わせてもよい。したがって、本発明の一部の実施形態において、石膏スラリーは、ミッドレンジの粘度特性を有する1種または複数のアルファ化デンプンならびに1種または複数の他の種類のデンプンを含んでいてよい。他のデンプンには、例えば、20センチポイズ未満のおよび/または700センチポイズを超える粘度を有するアルファ化デンプンが含まれ得る。1つの例は、(例えば、約773センチポイズなどの700センチポイズを超える粘度を有する)アルファ化トウモロコシデンプンである。他のデンプンは、例えば、酸修飾デンプンなどの非アルファ化デンプン、ならびに例えばエチル化デンプンなどの、糊化されていないアルキル化デンプンなどの形態であってもよい。デンプンの組み合わせは、石膏スラリーへの追加の前に(例えば、乾燥混合において、場合によってはスタッコなどの他の成分と、または湿性混合において他の湿性原料と)予備混合してもよく、またはそれらを石膏スラリーに一つずつ含めてもよく、あるいはそれらの任意の変形形態であってもよい。任意の適した割合のミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンおよび他のデンプンが含まれていてよい。例えば、石膏スラリーに加えられる総デンプン含有量の百分率としてのミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンのデンプン含有量は、例えば、少なくとも約10重量%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約100%、または中間の任意の範囲であってよい。例示的な実施形態において、他のデンプンに対するミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンの比率は、約25:75、約30:70、約35:65、約50:50、約65:35、約70:30、約75:25などであってよい。
【0038】
一部の実施形態において、本発明には、冷水溶解度を有するアルファ化デンプンが含まれる。デンプンを冷水可溶性にするプロセスである、アルファ化は、一般には過剰量の水中でデンプンを煮沸することを必要とする。ある種の実例においては、この方法によってアルファ化デンプンを調製することは望ましくない。加熱および機械的せん断の組み合わせである、押出しは、低含水量のアルファ化デンプンを生成するために用いられ得るエネルギー効率の良い方法である。デンプンの押出しは、冷水可溶性である押出しアルファ化デンプンを生じ得る。冷水溶解度は、室温(約25℃)における水への任意の量の溶解度を有することとして定義される。冷水における溶解度を示すデンプンは、石膏製品(例えば、ウォールボード)の強度への著しい利益を提供し得ることが発見された。本発明の冷水可溶性デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有しかつ、硬化石膏芯に加えられる場合に、石膏芯の強度を増加し得る。アルファ化デンプンの水への溶解度は、室温の水に溶解するデンプンの量をデンプンの総量で割ったものとして定義されかつ実施例14の方法を用いて測定され得る。
【0039】
一部の実施形態において、アルファ化デンプンの冷水溶解度は、約30%から約75%である。他の実施形態において、押出しアルファ化デンプンの冷水溶解度は、約50%から約75%である。本発明の実施形態において、押出しアルファ化デンプンの冷水溶解度は、例えば、表2Cに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、押出しアルファ化デンプンの冷水溶解度を表す(表2C)。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2Cにおける最初の「X」は、範囲「約30%から約35%」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0041】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、押出し時の機械的エネルギーと熱エネルギーとの組み合わせが、デンプンの冷水溶解度の原因であると考えられる。デンプンが押出しを受ける時に、デンプン分子間の水素結合が壊れると考えられる。押出しされたデンプンが水に溶解する時に、デンプンが、水分子と水素結合を形成する。アルファ化プロセスの後、押出しアルファ化デンプン分子は、石膏結晶と自由に水素結合でき、したがって石膏製品により高い強度を与える。結果的に、冷水における溶解性を示すデンプンは石膏ウォールボードの強度を改善するので、従来型のデンプンと比較してより少ないデンプンが必要とされる。
【0042】
本発明の水溶性押出しアルファ化デンプンは、冷水粘度アッセイ(CWVA)法に従って任意の適した冷水粘度を有し得る(実施例16を参照されたい)。一部の実施形態において、冷水可溶性デンプンは、約20センチポイズから約300センチポイズの粘度を有する。本発明の粘度範囲を有するアルファ化デンプンは、石膏スラリーにおける水要求量への影響が減少するようにより少ない水を必要とする。本発明の実施形態において、アルファ化デンプンの粘度は、例えば、表2Dに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、アルファ化デンプンの粘度を表す(表2D)。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2Dにおける最初の「X」は、範囲「約20センチポイズから約40センチポイズ」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0044】
別の態様において、本発明は、冷水溶解度を有する押出しアルファ化デンプンを調製する方法を提供する。押出しアルファ化デンプンは、少なくとも水およびデンプンを混合して湿性デンプンを作成すること、押出機を通して湿性デンプンを押出成形すること、およびデンプンを乾燥することにより調製される。押出機は、一般にポリマーを融解して加工するために用いられる機械である。本発明のデンプンは、Wenger TX 52二軸スクリュー押出機などの押出機においてアルファ化される。一般には、押出機は、供給材料を送達するための供給ホッパー、ポリマーを可塑剤(例えば、水)と共にコンディショニングするための加熱ジャケットを備えるプレコンディショナ、加熱帯を備える押出機モジュール式ヘッドおよびダイアセンブリを備える。ダイアセンブリは、一般にはプレート、スペーサーおよびダイヘッドを備える。本発明のために、デンプンおよび水は、予備混合されて、押出機内へ供給される。一部の実施形態において、追加の水を押出機に加えてもよい。押出し時、加熱要素および機械的せん断の組み合わせが、デンプンを融解して、アルファ化する。押出し後、アルファ化デンプンは十分な含水量まで乾燥され、次いで粉末にすり潰される。押出機のダイは任意の十分な温度であってよいが、ダイ温度は一般にはデンプン結晶の融解温度を超える。本発明の実施形態において、押出機の温度は、例えば、表2Eに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、押出機温度を表す(表2E)。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2Eにおける最初の「X」は、範囲「約90℃から約100℃」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0046】
押出し時の湿性デンプンの含水量も、冷水溶解度のために重要なパラメータである。湿性デンプンは、任意の含水量を有していてよいが、一般には約25%未満の含水量を有する。一部の実施形態において、湿性デンプンは、約12%から約25%の含水量を有する。デンプンがより低い含水量を有する場合、押出しプロセスが、より大きい冷水溶解度を有するアルファ化デンプンを生成することが発見された。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、より少ない水の存在が、押出し時のより大きい摩擦に繋がると考えられる。増大した摩擦は、デンプン中の自己水素結合の破壊を増加し得る。約25%未満の含水量を有するデンプンを用いて押出しから生成したアルファ化デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有し得る。本発明の実施形態において、湿性デンプンの含水量は、例えば、表2Fに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、スタッコの重量での湿性デンプンの含水量(%)を表す(表2F)。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2Fにおける最初の「X」は、範囲「約12%から約13%」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0048】
さらに別の態様において、本発明は、冷水溶解度を有するアルファ化デンプンを含む芯を備えるウォールボードを調製する方法を提供する。水、スタッコおよび約30%より大きい冷水溶解度を有する少なくとも1種のアルファ化デンプンは、混合されてスラリーを形成する。デンプンは、本明細書に述べるものなどの任意の適した手法で調製してよい。冷水溶解度を有するデンプンは、本明細書に述べる量でスタッコスラリーに含まれていてよい。一部の実施形態において、冷水可溶性デンプンは、スタッコの約0.1重量%から約5重量%の量でスタッコスラリーに含まれる。本発明のアルファ化デンプンは、湿性または乾燥形態で加えてよいが、好ましくは乾燥粉末として加えられる。冷水可溶性デンプンの粒径は、任意のサイズであってよい。一部の実施形態において、粒径は、約100ミクロンから約400ミクロンである。本発明の実施形態において、アルファ化デンプンの粒径は、例えば、表2Gに記載する通りであってよい。表において、「X」は、「約[一番上の行の対応する値]から約[一番左の列の対応する値]」の範囲を表す。示される値は、アルファ化デンプンの粒径を表す(表2G)。表現を容易にするために、それぞれの値は「約」でその値を表すことが理解されるであろう。例えば、表2Gにおける最初の「X」は、範囲「約100ミクロンから約125ミクロン」である。表の範囲は、始点および終点を含めたその間である。
【0050】
アルファ化デンプン粉末は、スタッコスラリーの製造時に乾燥原料に加えてよい。スラリーは、第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に配置されてパネルの前身である湿性アセンブリを形成する。スラリーは、水、スタッコおよび約30%より大きい冷水溶解度を有するデンプンである、少なくとも1種のアルファ化デンプンを含む。パネルは、ボードを形成するために裁断される。ボードは、乾燥される。乾燥後、必要に応じて最終寸法取り(例えば、裁断)および加工を行ってよい。デンプンは、スラリーにおける含有より前に一部の実施形態に従って(アルファ化ステップに関連して任意の順序で)化学的に修飾してよい。本発明のウォールボードは、デンプン無しで作成された硬化石膏芯より大きい圧縮強度を有する硬化石膏芯を備える。
【0051】
デンプン成分に加えて、スラリーは、水、スタッコ、発泡剤(時には単に「泡」と呼ばれる)および所望に応じて他の添加剤を含むように配合される。スタッコは、硫酸カルシウムアルファ型半水和物、硫酸カルシウムベータ型半水和物および/または無水石膏の形態であってよい。スタッコは、繊維質または非繊維質であってよい。発泡剤は、硬化石膏の連続的な結晶質のマトリックス内部の空隙分布を形成するために含まれていてよい。一部の実施形態において、発泡剤は、重量の大きい部分の不安定成分および重量の小さい部分の安定成分を含む(例えば、不安定および安定/不安定のブレンドが組み合わされている場合)。安定成分に対する不安定成分の重量比は、硬化石膏芯内部の空隙分布を形成するために有効である。例えば、米国特許第5,643,510号、第6,342,284号および第6,632,550号を参照されたい。適した間隙分布および壁厚は(独立に)、特により低密度のボード(例えば、約35pcf(561kg/m
3)未満)において、強度を向上するために有効であり得ることが分かっている。例えば、米国特許出願公開第2007/0048490号および米国特許出願公開第2008/0090068号を参照されたい。蒸発水間隙は、一般には直径約5μm以下の間隙を有し、前述の空隙(泡)と共に総間隙分布にも寄与する。一部の実施形態において、約5ミクロン以下の孔径を有する間隙に対する約5ミクロンより大きい孔径を有する間隙の体積比は、例えば、約0.7:1から約9:1、約0.8:1から約9:1、約1.4:1から約9:1、約1.8:1から約9:1、約2.3:1から約9:1、約0.7:1から約6:1、約1.4:1から約6:1、約1.8:1から約6:1、約0.7:1から約4:1、約1.4:1から約4:1、約1.8:1から約4:1、約0.5:1から約2.3:1、約0.7:1から約2.3:1、約0.8:1から約2.3:1、約1.4:1から約2.3:1、約1.8:1から約2.3:1など、約0.5:1から約9:1である。一部の実施形態において、発泡剤は、例えば約0.01%から約0.5%、約0.01%から約0.4%、約0.01%から約0.3%、約0.01%から約0.2%、約0.01%から約0.1%、約0.02%から約0.4%、約0.02%から約0.3%、約0.02%から約0.2%など、例えばスタッコの約0.5重量%未満の量でスラリー中に存在する。
【0052】
促進剤(例えば、湿式石膏促進剤(wet gypsum accelerator)、耐熱性促進剤(heat resistant accelerator)、気候安定性促進剤(climate stabilized accelerator))および遅延剤などの添加剤は、良く知られており、含まれていてよい。例えば、米国特許第3,573,947号および第6,409,825号を参照されたい。一部の実施形態において、促進剤および/または遅延剤が含まれる場合、促進剤および/または遅延剤はそれぞれ、固体基準で例えば、スタッコの約0重量%から約5重量%(例えば、約0.1%から約5%)など、例えば、スタッコの約0重量%から約10重量%(例えば、約0.1%から約10%)の量で石膏スラリー内にあってよい。例えば、強度を与えて十分な強度を有する低重量製品を可能にするため、永久歪みを防ぐため、例えば、製造ラインを下って行くコンベア上に製品を置く時の、生強度を増進するため、耐火性を増進するため、耐水性を増進するためなど、所望に応じて他の添加剤が含まれていてよい。
【0053】
例えば、スラリーは、一部の実施形態において流動性を向上するために場合によっては少なくとも1種の分散剤を含んでいてよい。デンプンおよび他の原料のように、分散剤は、他の乾燥原料と共に乾燥形態でおよび/または他の液状原料と共に液状形態で芯スラリー内に含まれていてよい。分散剤の例には、ナフタレンスルホン酸塩、例えばポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホン酸塩)ならびにナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物である、誘導体;ならびにポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボン酸塩分散剤、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641FまたはPCE 2641型分散剤、例えば、MELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)およびCoatex,Inc.から入手可能なCOATEX Ethacryl M;ならびに/あるいはリグノスルホン酸塩またはスルホン化リグニンが含まれる。リグノスルホン酸塩は、亜硫酸蒸解を用いる木材パルプの生産からの副生成物である、水溶性のアニオン性高分子電解質ポリマーである。本発明の実施形態の原理の実践において有用なリグニンの1つの例は、Reed Lignin Inc.から入手可能なMarasperse C−21である。
【0054】
より低分子量の分散剤は、一般に好ましい。より低分子量のナフタレンスルホン酸塩分散剤は、それらが、より高粘度、高分子量の分散剤よりも少ない水要求量である傾向があるので、好ましい。したがって、分子量は、約3,000から約10,000(例えば、約8,000から約10,000)が好ましい。PCE211型分散剤のための、別の例示として、一部の実施形態において、分子量は、60,000を超える分子量を有する分散剤よりも少ない遅延を示す、約20,000から約60,000であってよい。
【0055】
ナフタレンスルホン酸塩の1つの例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDILOFLOである。DILOFLOは、45%のナフタレンスルホン酸塩水溶液であるが、例えば、固形分約35重量%から約55重量%の範囲の、他の水溶液も容易に利用可能である。ナフタレンスルホン酸塩は、例えば、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なLOMAR Dなど、乾燥固体または粉末形態で用いてよい。別の例示的なナフタレンスルホン酸塩は、Hampshire Chemical Corp.から入手可能なDAXADである。
【0056】
含まれる場合、分散剤は、例えば、約0.1%から約4%、約0.1%から約3%、約0.2%から約3%、約0.5%から約3%、約0.5%から約2.5%、約0.5%から約2%、約0.5%から約1.5%など、例えば、スタッコの約0.1重量%から約5重量%などの任意の適した(固体/固体)量で含まれていてよい。
【0057】
必要に応じて、1種または複数のリン酸含有化合物も、場合によってはスラリーに含まれていてよい。例えば、一部の実施形態において有用なリン酸含有成分には、水溶性の成分が含まれ、かつイオン、塩または酸の形態、すなわち、そのそれぞれが2つ以上のリン酸単位を含む、縮合リン酸;そのそれぞれが2つ以上のリン酸塩単位を含む、縮合リン酸塩の塩またはイオン;およびオルトリン酸の一塩基酸塩または一価イオンならびに水溶性の非環式のポリリン酸塩であってよい。例えば、米国特許第6,342,284号、第6,632,550号、第6,815,049号および第6,822,033号を参照されたい。
【0058】
本発明の一部の実施形態によるリン酸塩組成物は、生強度、永久歪み(例えば、たるみ)に対する耐性、寸法安定性などを強化し得る。例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウムおよびトリメタリン酸アンモニウムを含めた、トリメタリン酸塩化合物を用いてよい。例えばテトラメタリン酸ナトリウム、約6から約27の繰返しリン酸塩単位を有しかつ分子式Na
n+2P
nO3
n+1(式中、n=6〜27)を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式K
4P
2O
7を有するピロリン酸四カリウム、分子式Na
3K
2P
3O
10を有するトリポリリン酸二カリウム三ナトリウム、分子式Na
5P
3O
10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Na
4P
2O
7を有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(PO
3)
3を有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Na
2H
2P
2O
7を有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1000〜3000個の繰返しリン酸塩単位を有しかつ分子式(NH
4)
n+2P
nO
3n+1(式中、n=1000〜3000)を有するポリリン酸アンモニウムまたは2つ以上の繰返しリン酸単位を有しかつ分子式H
n+2P
nO
3n+1(式中、nは2以上)を有するポリリン酸を含めた他のリン酸塩は適し得るが、トリメタリン酸ナトリウム(STMP)は好ましい。
【0059】
リン酸塩は、乾燥形態でまたは水中(例えば、約10%溶液など約5%から約20%のリン酸塩溶液)の形態で含まれていてよい。含まれる場合、リン酸塩は、任意の適した量(固体/固体基準)、例えば、スタッコの約0.03重量%から約0.4重量%、約0.1重量%から約0.3重量%または約0.12重量%から約0.4重量%など、例えばスタッコの約0.01重量%から約0.5重量%であってよい。
【0060】
例えば、シロキサン(耐水性);繊維;アルミニウム三水和物(ATH)、水酸化マグネシウムまたは同類の物などの吸熱添加剤;および/あるいは高膨張性粒子(例えば、1560°F(849℃)で約1時間加熱した場合に元の体積の約300%以上に膨張可能)を含めた、耐火評価された(fire−rated)および/または耐水性の製品のために適した添加剤も、場合によっては含まれていてよい。これらおよび他の原料の記述のために例えば、同時係属中の、本発明の譲受人に譲渡された米国出願第13/400,010号(2012年2月17日出願)を参照されたい。一部の実施形態において、高膨張バーミキュライトが含まれるが、他の耐火性材料が含まれていてもよい。本発明による一部の耐火評価された製品のボードは、約17分以上、例えば、約20分以上、約30分以上、約45分以上、約60分以上などの断熱インデックス(Thermal Insulation Index(TI));ならびに/またはx−y方向における(約1560°F(849℃)の温度で)約10%未満の高温収縮(High Temperature Shrinkage)およびz方向における約20%より大きい膨張を有し得る。耐火または耐水性添加剤は、例えば、耐火評価に応じてなど、所望に応じて任意の適した量で含まれていてよい。例えば、含まれる場合、耐火または耐水性添加剤は、例えばスタッコの約1重量%から約10重量%、約1重量%から約8重量%、約2重量%から約10重量%、約2重量%から約8重量%など、スタッコの約0.5重量%から約10重量%の量であってよい。
【0061】
含まれる場合、シロキサンは、好ましくはエマルションの形態で加えられる。スラリーは、次いでシロキサンの重合を促進して高度に架橋したシリコーン樹脂を形成する条件下で成形されて乾燥される。シロキサンの重合を促進して高度に架橋したシリコーン樹脂を形成する触媒を、石膏スラリーに加えてもよい。一部の実施形態において、Wacker−Chemie GmbH(独国、ミュンヘン)によってSILRES BS 94という名で販売されている無溶剤メチル水素シロキサン液を、シロキサンとして用いてもよい。この製品は、水または溶媒を含有しないシロキサン液である。一部の実施形態において、乾燥原料の重量に基づいて約0.3%から約1.0%のBS 94シロキサンが用いられ得ることが企図される。例えば、一部の実施形態において、乾燥スタッコ重量に基づいて約0.4%から約0.8%のシロキサンを用いることが好ましい。
【0062】
スラリー配合物は、任意の適した水/スタッコ比、例えば、約0.4から約1.3で作成してよい。しかしながら、本発明のミッドレンジの粘度特性を有するアルファ化デンプンは、それらに適応するためにスラリーに加える必要がある水の量を減少するので、他のデンプンと比較して、本スラリーは、特に低重量/密度で、他のデンプン含有石膏スラリーのための従来型の物よりも一部の実施形態において低い水/スタッコ比投入量で配合してよい。例えば、一部の実施形態において、水/スタッコ比は、約0.4から約1.1、約0.4から約0.9、約0.4から約0.85、約0.45から約0.85、約0.55から約0.85、約0.55から約0.8、約0.6から約0.9、約0.6から約0.85、約0.6から約0.8などであってよい。
【0063】
カバーシートは、任意の適した材料および基本重量で形成してよい。有利には、ミッドレンジの粘度によって特徴付けられるアルファ化デンプンを含むスラリーから形成されるボード芯は、例えば、一部の実施形態におけるより低重量のボード(例えば、約35pcf(561kg/m
3)以下の密度を有する)についてでも45lbs/MSF(219.7g/m
2)未満(例えば、約33lbs/MSF(161g/m
2)から45lbs/MSF(219.7g/m
2))などの、より低い基本重量のカバーシートを備えるボードにおいてでさえ十分な強度を提供する。しかしながら、必要に応じて、一部の実施形態において、例えば、釘引抜き耐性(nail pull resistance)をさらに強化するためまたは取り扱い性を向上するため、例えば、最終使用者のために望ましい「感触」特性を促進するためにより重い基本重量が用いられ得る。一部の実施形態において、特により低密度のボードについて、強度(例えば、釘引抜き強度)を向上するために、片方または両方のカバーシートは、紙から形成してよくかつ例えば、少なくとも約45lbs/MSF(220g/m
2)(例えば、約45lbs/MSF(220g/m
2)から約65lbs/MSF(317g/m
2)、約45lbs/MSF(220g/m
2)から約60lbs/MSF(293g/m
2)、約45lbs/MSF(220g/m
2)から約55lbs/MSF(268g/m
2)、約50lbs/MSF(224g/m
2)から約65lbs/MSF(317g/m
2)、約50lbs/MSF(224g/m
2)から約60lbs/MSF(293g/m
2)など)の基本重量を有していてよい。必要に応じて、一部の実施形態において、1つのカバーシート(例えば、設置される時の「表」紙側)は、例えば、釘引抜き耐性および取扱い性を向上するために、前述のより高い基本重量を有していてもよい一方で、他のカバーシート(例えば、ボードが設置される時の「裏」シート)は、必要に応じて幾分低い基本重量を有していてよい(例えば、45lbs/MSF(220g/m
2)未満の基本重量、例えば、約33lbs/MSF(161g/m
2)から45lbs/MSF(220g/m
2)、例えば、約33lbs/MSF(161g/m
2)から約40lbs/MSF(195g/m
2))。
【0064】
ボード重量は、厚さの関数である。ボードは一般に様々な厚さで作成されるので、ボード密度は、本明細書でボード重量の尺度として用いられる。本発明の実施形態によるミッドレンジの粘度のデンプンの利点は、例えば、約20pcf(320kg/m
3)から約40pcf(641kg/m
3)、約24pcf(384kg/m
3)から約37pcf(593kg/m
3)など、例えば、約40pcf(641kg/m
3)以下の様々なボード密度にわたって見られる。しかしながら、好ましい本発明の実施形態は、本発明のミッドレンジの粘度のデンプンによって提供される向上した強度が、他のデンプンから作成されたボードより優れた強度および少ない水要求量を有するより低重量のボードの使用を有利に可能にする場合に、低密度における特定の有用性を有する。例えば、一部の実施形態において、ボード密度は、約20pcf(320kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)、例えば、約24pcf(384kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)、約24pcf(384kg/m
3)から約34pcf(545kg/m
3)、約27pcf(432kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)、約27pcf(432kg/m
3)から約34pcf(545kg/m
3)、約30pcf(481kg/m
3)から約34pcf(545kg/m
3)、約27pcf(432kg/m
3)から約30pcf(481kg/m
3)などであってよい。
【0065】
本発明の明細書のデンプンは、より低重量/密度において特に有益であり得る、強度向上を本発明による製品に提供する。例えば、一部の実施形態において、本明細書に述べる2インチ立方体試験(泡なし)によるボード芯または他のスラリー鋳型は、好ましくは少なくとも約1650psi(11.38MPa)、例えば、少なくとも約1700psi(11.72MPa)、少なくとも約1750psi(12.07MPa)、少なくとも約1800psi(12.41MPa)、少なくとも約1850psi(12.76MPa)、少なくとも約1900psi(13.1MPa)、少なくとも約1950psi(13.44MPa)、少なくとも約2000psi(13.79MPa)、少なくとも約2050psi(14.13MPa)、少なくとも約2100psi(14.48MPa)、少なくとも約2150psi(14.82MPa)、少なくとも約2200psi(15.17MPa)、少なくとも約2250psi(15.51MPa)、少なくとも約2300psi(15.86MPa)、少なくとも約2350psi(16.2MPa)などの圧縮強度を示す。
【0066】
一部の実施形態において、本発明によるボードは、ASTM標準C473−10(例えば、方法B)による試験手順に適合する。例えば、一部の実施形態において、ボードが1/2インチ(1.27cm)の厚さに鋳造される場合、ボードは、ASTM C473に従って決定されるような少なくとも約65ポンド(29.5kg)(例えば、少なくとも約68ポンド(30.8kg)、少なくとも約70ポンド(31.8kg)、少なくとも約72ポンド(32.7kg)、少なくとも約75ポンド(34kg)、少なくとも約77ポンド(35kg)など)の釘引抜き耐性を有する。曲げ強度に関して、一部の実施形態において、厚さ1/2インチ(1.27cm)のボードに鋳造される場合、ボードは、縦方向における少なくとも約36ポンド(16.3kg)(例えば、少なくとも約38ポンド(17.2kg)、少なくとも約40ポンド(18.1kg)など)および/または縦方向に交差する方向における少なくとも約107ポンド(48.5kg)(例えば、少なくとも約110ポンド(49.9kg)、少なくとも約112ポンド(50.8kg)など)のASTM標準C473に従って測定されるような曲げ強度を有する。さらに、一部の実施形態において、ボードは、少なくとも約11ポンド(5kg)のASTM C473に従って測定されるような平均芯硬度を有し得る。少なくともある程度本発明の実施形態のミッドレンジの粘度特性に起因して、これらの標準は、本明細書に述べるようなより低密度のボード(例えば、約35pcf(561kg/m
3)以下)に関してさえ適合し得る。
【0067】
本発明の実施形態による製品は、典型的な製造ライン上で作成してよい。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に記載されている。簡単に言えば、石膏ボードの場合は、プロセスは、典型的にはカバーシートを移動しているコンベア上に排出することを含む。石膏ボードは、通常は「裏返し」で形成されるので、こうした実施形態においてこのカバーシートは「表」カバーシートである。
【0068】
石膏スラリーの乾燥および/または湿性成分は、それらが撹拌されて石膏スラリーを形成するミキサー(例えば、ピンミキサー)に供給される。ミキサーは、本体および排出導管(例えば、当技術分野において知られているようなゲート−キャニスター−ブート(gate−canister−boot)配置または米国特許第6,494,609号および第6,874,930号に記載のような配置)を備える。一部の実施形態において、排出導管は、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527号A1(出願第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403号A1(出願第13/341,209号)に記載されている物などの単一供給注入口または複数供給注入口のいずれかを備えるスラリー分配器を含み得る。複数供給注入口を備えるスラリー分配器を用いる、これらの実施形態において、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403号A1に記載されている物などの適したフロースプリッターを含み得る。発泡剤は、ミキサーの排出導管内(例えば、米国特許第5,683,635号および第6,494,609号などで述べられるようなゲートにおいて)または必要に応じて本体内に加えてよい。発泡剤を含めた全ての原料が加えられた後に排出導管から排出されたスラリーは、一次的な石膏スラリーでありボード芯を形成するであろう。このボード芯スラリーは、移動している表カバーシート上に排出される。
【0069】
表カバーシートは、スラリーの比較的高密度の層の形態の薄いスキムコートを保持していてよい。さらに、当技術分野において知られているような、ハードエッジは、例えば、表スキムコートを形成する同一スラリー流から形成され得る。排出導管に泡が挿入される実施形態において、二次的な石膏スラリーの流れは、高密度のスキムコートスラリーを形成するためにミキサー本体から取り出してよく、これを次いで表スキムコートおよび当技術分野において知られているようなハードエッジを形成するために用いてよい。通常は表スキムコートおよびハードエッジは、含まれる場合、通常はミキサーの上流において、移動している表カバーシート上に芯スラリーが堆積される前に堆積される。芯スラリーは、排出導管から排出された後、必要に応じて、(場合によってはスキムコートを保持する)表カバーシート上に広げられ、第2のカバーシート(典型的には「裏」カバーシート)で覆われて最終生成物への前身であるサンドイッチ構造の形態の湿性アセンブリを形成する。存在する場合、第2のカバーシートは、表スキムコートのための物と同一または異なる第2の(高密度)石膏スラリーから形成され得る、第2のスキムコートを場合によっては保持していてよい。カバーシートは、紙、繊維状マットまたは他の種類の材料(例えば、金属箔、プラスチック、ガラスマット、セルロース充填剤および無機充填剤のブレンドなどの不織材料など)から形成され得る。
【0070】
それによって提供される湿性アセンブリは、製品が(例えば、成形プレートによって)所望の厚さにされる成形ステーション、および所望の長さに裁断される1つまたは複数のナイフセクションへ運ばれる。湿性アセンブリは、固まって硬化石膏のインターロックしている結晶質のマトリックスを形成し、過剰な水は乾燥プロセスを用いて(例えば、炉を通してアセンブリを運ぶことにより)除去される。堆積したスラリーから大きい間隙または空気溜りを除去するために振動を使用することも、石膏ボードの製造において一般的である。上記のステップのそれぞれ、ならびにこうしたステップを実行するためのプロセスおよび設備は、当技術分野において既知である。
【0071】
本発明のミッドレンジの粘度によって特徴付けられるデンプンは、例えば、石膏ウォールボード、吸音(例えば、天井)タイル、ジョイントコンパウンド、石膏−セルロース系繊維製品、例えば石膏−木材繊維ウォールボード、および同類のものなど、種々の製品を配合することにおいて用いられ得る。一部の実施形態において、こうした製品は、本発明の実施形態によるスラリーから形成され得る。
【0072】
したがって、ミッドレンジの粘度によって特徴付けられるアルファ化デンプンは、本発明の実施形態における紙表面の石膏ボード以外の製品において、本明細書に述べるような、有益な効果を有し得る。例えば、ミッドレンジの粘度を有するとして特徴付けられるアルファ化デンプンは、ボードカバーシートが繊維状マットの形態である艶消し表面製品(例えば、織物)において用いられ得る。マットは、場合によっては透水性を減少するための仕上げを保持していてもよい。こうしたマット表面製品を作成することにおいて含まれ得る他の原料、ならびに繊維状マットのための材料および製造の方法は、例えば、米国特許第8,070,895号、ならびに米国特許出願公開第2009/0247937号において論じられている。
【0073】
さらに、石膏−セルロース系製品は、所望に応じてセルロース系ホスト粒子(例えば、木材繊維)、石膏、ミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンおよび他の原料(例えば、シロキサンなどの耐水性添加剤)の形態であってよい。他の原料および製造の方法は、例えば、米国特許第4,328,178号、第4,239,716号、第4,392,896号、第4,645,548号、第5,320,677号、第5,817,262号および第7,413,603号において論じられている。
【0074】
本明細書のアルファ化デンプンは、乾燥および調合済みの実施形態の両方を含めたジョイントコンパウンド配合物にも含まれていてよい。一部の実施形態によるミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンは優れた結合を有する場合がありかつ他の成分、例えば、炭酸カルシウムおよび同類のものなどの非硬化成分と共に強度を向上し得るので、本発明の利益は、焼石膏を含めた実施形態に限定されない。一部の調合済みの実施形態における早すぎる硬化を抑制するために、当業者なら理解するであろうように一部の実施形態において望ましくは硬化遅延剤も含まれる。例えば、米国特許第4,661,161号、第5,746,822号および米国特許出願公開第2011/0100844号は、本発明に従って有用でありうる硬化遅延剤(例えば、ピロリン酸四ナトリウム(TSPP)などのリン酸塩、ポリアクリル酸および/またはそれらの塩あるいは同類の物など)および他の原料(例えば、ラテックスエマルション結合剤、増粘剤、本明細書に述べるようなリン酸塩および同類のものまたはそれらの組み合わせなど)を記述している。他の原料ならびにジョイントコンパウンドを作成および使用する方法は、例えば、米国特許第6,406,537号および第6,805,741号、ならびに米国特許出願公開第2008/0305252号において論じられている。
【0075】
本明細書のアルファ化デンプンは、様々な種類の吸音パネル(例えば、天井タイル)で用いてよい。デンプンは、一部の実施形態において所望に応じて焼石膏、水および他の原料と混合してよい。しかしながら、一部の実施形態によるミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンは、焼石膏と共に使用することに限定されない。一部の実施形態によるミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンは、デンプンと繊維(例えば、ミネラルウールおよび同類のもの)などの非硬化成分との間の優れた結合を提供し得る。一部の実施形態においてパネルは、ASTM C423−02に従って少なくとも約0.5(例えば、少なくとも約0.7または少なくとも約1)の騒音減少率を有する。吸音タイルを作成するための原料および方法の考察のために例えば、米国特許第1,769,519号、第6,443,258号、第7,364,015号、第7,851,057号および第7,862,687号を参照されたい。
【0076】
本発明の一部の実施形態は、実質的に押出しアルファ化デンプンまたはミッドレンジの粘度のアルファ化デンプンを含んでいなくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」は、(i)組成物の重量に基づいて0wt%、あるいは(ii)無効または(iii)こうしたデンプンの取るに足りない量のいずれかを意味し得る。無効量の例は、当業者なら理解するであろうように、こうしたデンプンを用いて意図される目的を達成する閾値量未満の量である。取るに足りない量は、当業者なら理解するであろうように、約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%未満または約0.01wt%未満など、例えば、約5wt%未満であってよい。しかしながら、別の実施形態において必要に応じて、こうした原料が、スラリー、方法または製品に含まれていてもよい。
【0077】
したがって、一実施形態において、ボードは、スタッコ、水、および粘度がVMA法(実施例1を参照)に従う条件下のデンプンを用いて測定される場合にデンプンが約20センチポイズから約700センチポイズの粘度の特性を有する、少なくとも1種のアルファ化デンプンを含むスラリーから形成される芯である、2つのカバーシートの間に配置される硬化石膏芯を備える。特性を有することは、デンプンがVMA試験の条件下にある間に加えられることを意味しないが、むしろデンプンがVMA試験を受ける時に、その特性が満たされることを意味する。
【0078】
別の実施形態において、デンプンの粘度特性は、VMA法に従う条件下で約25センチポイズから約500センチポイズである。
【0079】
別の実施形態において、デンプンの粘度特性は、VMA法に従う条件下で約30センチポイズから約300センチポイズである。
【0080】
別の実施形態において、デンプンの粘度特性は、VMA法に従う条件下で約30センチポイズから約200センチポイズである。
【0081】
別の実施形態において、デンプンは、デンプンを含まない硬化石膏芯と比べて硬化石膏芯の芯硬度を増加させるために効果的である。
【0082】
別の実施形態において、デンプンは、VMA法に従って、700センチポイズより大きい粘度(例えば、773センチポイズ)を有するデンプンによって必要とされる過剰な水の量の増加よりも少ない、デンプン無しであるレベルと同レベルにスラリー流動性を維持するためにスラリーに加えることが必要とされる過剰な水の量の増加を必要とする。
【0083】
別の実施形態において、デンプンは、スタッコの約0.1重量%から約10重量%の量である。
【0084】
別の実施形態において、デンプンは、スタッコの約0.3重量%から約4重量%の量である。
【0085】
別の実施形態において、デンプンは、スタッコの約0.5重量%から約3重量%の量である。
【0086】
別の実施形態において、デンプンは、酸修飾デンプンである。
【0087】
別の実施形態において、酸修飾デンプンは、硫酸によって酸修飾される。
【0088】
別の実施形態において、ボード芯は、スラリーが2インチ立方体試験に従って(いかなる泡も無しで)鋳造される場合に少なくとも約1900psi(13.1MPa)(例えば、少なくとも約1950psi(13.45MPa)、少なくとも約2000psi(13.79MPa)、少なくとも約2050psi(14.13MPa)、少なくとも約2100psi(14.48MPa)、少なくとも約2150psi(14.82MPa)、少なくとも約2200psi(15.17MPa)など)の圧縮強度を有するとして特徴付けられる。
【0089】
別の実施形態において、スラリーは、約0.4から約1.3の水/スタッコ比を有する。
【0090】
別の実施形態において、水/スタッコ比は、約0.45から約0.85である。
【0091】
別の実施形態において、水/スタッコ比は、約0.55から約0.8である。
【0092】
別の実施形態において、ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約40pcf(641kg/m
3)の密度を有する。
【0093】
別の実施形態において、ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約37pcf(593kg/m
3)の密度を有する。
【0094】
別の実施形態において、ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)の密度を有する。
【0095】
別の実施形態において、ボードは、約27pcf(432kg/m
3)から約34pcf(545kg/m
3)の密度を有する。
【0096】
別の実施形態において、ボードは、約30pcf(481kg/m
3)から約34pcf(545kg/m
3)の密度を有する。
【0097】
別の実施形態において、スラリーは、(a)糊化されていない、(b)VMA法に従って20センチポイズ未満の粘度の特性を有するアルファ化デンプンである、または(c)VMA法に従って700センチポイズを超える粘度を有するアルファ化デンプンである、第2の種類のデンプンを含む。
【0098】
別の実施形態において、ボードは、アルキル化デンプンを含む第2の種類のデンプンを有する。
【0099】
別の実施形態において、ボードは、エチル化デンプンを含む第2の種類のデンプンを有する。
【0100】
別の実施形態において、スラリーは、発泡剤の量および安定成分に対する不安定な成分の重量比が硬化石膏芯内部に間隙分布を形成するために効果的である、重量の大きい部分の不安定成分および重量の小さい部分の安定成分を含む少なくとも発泡剤をさらに含む。
【0101】
別の実施形態において、発泡剤は、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%以下の量である。
【0102】
別の実施形態において、スラリーは、少なくとも1種の分散剤をさらに含む。
【0103】
別の実施形態において、分散剤は、ナフタレンスルホン酸塩である。
【0104】
別の実施形態において、分散剤は、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%から約3重量%の量である。
【0105】
別の実施形態において、ナフタレンスルホン酸塩分散剤は、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%から約3重量%の量である。
【0106】
別の実施形態において、スラリーは、ポリリン酸塩をさらに含む。
【0107】
別の実施形態において、リン酸塩は、トリメタリン酸ナトリウムである。
【0108】
別の実施形態において、リン酸塩は、スタッコの約0.5重量%から約5重量%の量である。
【0109】
別の実施形態において、トリメタリン酸ナトリウムは、スタッコの約0.12重量%から約0.4重量%の量である。
【0110】
別の実施形態において、リン酸塩は、水溶性でありかつスタッコの約0.12重量%から約0.4重量%の量で存在する。
【0111】
別の実施形態において、少なくとも1つのカバーシートは、少なくとも約45lbs/MSF(219.7g/m
2)の基本重量を有する。
【0112】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、デンプンを含有する粉である。
【0113】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、少なくとも粉の約75重量%のデンプンを含有する粉などの、デンプン(例えば、トウモロコシ粉)を含有する粉である。
【0114】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、部分的にアルファ化される。
【0115】
別の実施形態において、ボードが約1/2インチ(1.27センチメートル)の厚さで鋳造される場合、ボードは、ASTM標準C473−10に従って測定されるような少なくとも約65ポンド(29.5kg)の釘引抜き耐性を有する。
【0116】
別の実施形態において、ボードが約1/2インチ(1.27センチメートル)の厚さで鋳造される場合、ボードは、ASTM標準C473−10に従って測定されるような少なくとも約65ポンド(29.5kg)の釘引抜き耐性および少なくとも11ポンド(5kg)の芯硬度を有する。
【0117】
別の実施形態において、ボードが約1/2インチ(1.27センチメートル)の厚さで鋳造される場合、ボードは、ASTM標準C473−10に従って測定されるような少なくとも約72ポンド(32.7kg)の釘引抜き耐性を有する。
【0118】
別の実施形態において、ボードが約1/2インチ(1.27センチメートル)の厚さで鋳造される場合、ボードは、ASTM標準C473−10に従って測定されるような少なくとも約77ポンド(34.9kg)の釘引抜き耐性を有する。
【0119】
別の実施形態において、ボードは、ASTM標準C473−10に従って測定されるような少なくとも約11ポンド(5kg)の芯硬度を有する。
【0120】
別の実施形態において、スラリーは、水、スタッコおよび少なくとも1種のアルファ化デンプンであって、デンプンがVMA法に従う条件を受ける時に粘度が測定される場合に約20センチポイズから約700センチポイズの粘度の特性を有するデンプンを含む。
【0121】
別の実施形態において、製品は、スラリーから作成される。
【0122】
別の実施形態において、製品は、石膏ウォールボード、吸音(例えば、天井)タイル、ジョイントコンパウンド、石膏−木材繊維ウォールボードなどの石膏−セルロース系繊維製品、および同類のものからなる群から選択される。
【0123】
別の実施形態において、ジョイントコンパウンドは、炭酸カルシウムおよびデンプンが約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有しかつ粘度はVMA法に従って測定される、少なくとも1種のアルファ化デンプンを含む。
【0124】
一部の実施形態において、ジョイントコンパウンドは、焼石膏、水および/または硬化遅延剤をさらに含む。
【0125】
別の実施形態において、吸音パネルはデンプンが約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有し、粘度はVMA法に従って測定されかつパネルはASTM C423−02に従って少なくとも約0.5の騒音減少率を有する、繊維および少なくとも1種のアルファ化デンプンを含む吸音成分を含む。
【0126】
一部の実施形態において、繊維は、ミネラルウールを含む。
【0127】
別の実施形態において、ボードを作成する方法は、(a)少なくとも水、スタッコおよび粘度がVMA法に従う条件下でデンプンを用いて測定される場合にデンプンが約20センチポイズから約700センチポイズの粘度の特性を有する少なくとも1種のアルファ化デンプンを混合してスラリーを形成するステップ、(b)第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間にスラリーを配置して湿性アセンブリを形成するステップ、(c)湿性アセンブリをボードに裁断するステップおよび(d)ボードを乾燥するステップを含む。
【0128】
一部の実施形態において、方法は、加えられる水の量が他の同一スラリーにおいて700センチポイズを超える粘度を有するアルファ化デンプンを用いる場合に必要とされる水の量より少ない場合に、デンプン無しであるレベルと同レベルにスラリー流動性を維持するための水の量を加えるステップを含む。
【0129】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、スラリーに加えられる時に部分的に糊化され、乾燥するステップにおいて追加の糊化が起こる。
【0130】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、乾燥するステップにおいて完全に糊化される。
【0131】
別の実施形態において、アルファ化デンプンは、スラリーに加えられる時にまたは配合製品中で完全に糊化される。
【0132】
別の実施形態において、ボードを作成する方法は、デンプンをスラリーまたは配合製品に加える前にデンプンをデンプンの糊化温度(約95℃など少なくとも約90℃)以上の温度で少なくとも10分間糊化するステップをさらに含む。
【0133】
別の実施形態において、デンプンは、石膏スラリーまたは配合製品への包含の前に加圧煮沸して(例えば、約100℃を超える温度で過熱することにより)デンプンの糊化を生じさせる。
【0134】
別の実施形態において、蒸発させる必要がある加えられる水の量は、他の同一スラリーまたは配合製品のための他の媒質において700センチポイズを超える粘度を有するアルファ化デンプンを用いる場合に蒸発させる水の量よりも少ない。
【0135】
一部の実施形態において、ボードは、スタッコ、水および約30%より大きい冷水溶解度を有するデンプンである、少なくとも1種のアルファ化デンプンを含むスラリーから形成される芯であって、約30%未満の冷水溶解度を有するデンプンで作成された硬化石膏芯より大きい圧縮強度を有する硬化石膏芯である、2つのカバーシートの間に配置される硬化石膏芯を含む。
【0136】
別の実施形態において、芯は、デンプン無しで作成された芯より大きい圧縮強度を有する。
【0137】
別の実施形態において、デンプンは、約30%から約75%の冷水溶解度を有する。
【0138】
別の実施形態において、デンプンは、約50%から約75%の冷水溶解度を有する。
【0139】
別の実施形態において、デンプンは、約20センチポイズから約300センチポイズの粘度を有する。
【0140】
別の実施形態において、デンプンは、約100ミクロンから400ミクロンの粒径を有する。
【0141】
別の実施形態において、デンプンは、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の量である。
【0142】
別の実施形態において、デンプンは、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%から約3重量%の量である。
【0143】
別の実施形態において、スラリーは、トリメタリン酸ナトリウムをさらに含む。
【0144】
別の実施形態において、スラリーは、ナフタレンスルホン酸塩分散剤をさらに含む。
【0145】
別の実施形態において、ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)の密度を有する。
【0146】
一部の実施形態において、ボードを作成する方法は、デンプンが約30%より大きい冷水溶解度を有し、硬化石膏芯が約30%未満の冷水溶解度を有するデンプンで作成された硬化石膏芯より大きい圧縮強度を有する、(a)少なくとも水、スタッコおよび少なくとも1種のアルファ化デンプンを混合してスラリーを形成するステップ、(b)スラリーを第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に配置して湿性アセンブリを形成するステップ、(c)湿性アセンブリをボードに裁断するステップならびに(d)ボードを乾燥するステップを含む。
【0147】
一部の実施形態において、アルファ化デンプンを作成する方法は、アルファ化デンプンが約30%より大きい冷水溶解度を有する、(a)少なくとも水および非アルファ化デンプンを混合して湿性デンプンを作成するステップ、(b)約90℃以上の温度のダイを有する押出機内に湿性デンプンを配置するステップならびに(c)デンプンを乾燥するステップを含む。
【0148】
別の実施形態において、押出機ダイは、約150℃以上の温度である。
【0149】
別の実施形態において、湿性デンプンは、デンプンの約25重量%未満の含水量を有する。
【0150】
一部の実施形態において、スラリーは、水、スタッコおよび約30%より大きい冷水溶解度を有するデンプンである、少なくとも1種のアルファ化デンプンを含む。
【0151】
別の実施形態において、スラリーは、約6インチ(15.24cm)より大きいスランプを有する。
【0152】
先行の物は単なる実施形態の例であることに留意すべきである。他の例示的な実施形態は、本明細書の記述の全体から明らかである。これらの実施形態のそれぞれは、本明細書に提供される他の実施形態との種々の組み合わせにおいて用いてもよいことも当業者によって理解されるであろう。
【0153】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する物であるが、当然ながら、いかなる方法においてもその範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0154】
実施例1−粘度測定方法
本実施例は、本明細書で「VMA法」と呼ぶ、粘度測定アッセイ法を説明する。本明細書で粘度と呼ぶ場合、別段の指示が無い限り、それはVMA法に従うものである。粘度は、同心性のシリンダーを備えるDiscovery HR−2ハイブリッドレオメーター(TA Instruments Ltd)、羽形形状(直径28および長さ42.05mm)を有する標準カップ(直径30mm)を用いて測定する。
【0155】
デンプンが得られる場合、デンプンが完全に糊化されているかどうかを判定するために示差走査熱量測定(DSC)技術を用いる。たとえデンプン製造業者が、デンプンを「完全に糊化された」として認定している場合でも、デンプンが完全に糊化されていることを確実にするため、例えば、老化が発生していないことを確認するためにDSCステップが利用されるべきであることに留意すべきである。デンプンを完全に糊化するために必要な温度によって、2つの手順のうちの1つが適用され、これも当業者なら理解するであろうようにDSCによって決定され得る。
【0156】
手順1は、デンプンが完全に糊化されているまたは90℃以下の糊化温度を有することをDSCが明らかにする場合に利用する。手順2は、糊化温度が90℃を超える場合に利用する。粘度は、デンプンが水中にある間に測定されるので、手順2は、密閉された容器内で加圧煮沸を使用して水を感知できるほどに蒸発させることなく100℃を超える温度に過熱させる。下記で論じるように、糊化は、開放系であり糊化のために加圧された条件を作り出すことが出来ないレオメーター内で起こるので、手順1は、既に完全に糊化されたデンプンまたは90℃までの糊化温度を有するデンプンに確保されているものである。したがって、手順2は、より高い糊化温度を有するデンプンのために採用される。どちらの方法でも、粘度を測定する時に、50gの総重量に対してデンプン(7.5g、乾燥基準)を水に加える。
【0157】
手順1において、デンプンを水中に分散させ(デンプンおよび水の総重量の15%のデンプン)、試料を直ちにシリンダーセルに移す。セルを、アルミニウム箔で覆う。試料を、5℃/分およびせん断速度200s
−1で25℃から90℃に加熱する。試料を、せん断速度200s
−1で90℃に10分間保持する。試料を、5℃/分およびせん断速度200s
−1で90℃から80℃に冷却する。試料を、せん断速度0s
−1で80℃に10分間保持する。試料の粘度を、80℃およびせん断速度100s
−1で2分間測定する。粘度は、30秒から60秒の測定の平均である。
【0158】
手順2は、90℃より高い糊化温度を有するデンプンのために用いる。デンプンは、デンプン産業においてよく知られる方法(例えば、加圧煮沸による)に従って糊化する。糊化デンプン水溶液(総重量の15%)を、直ちにレオメーター計量カップ内に移して80℃で10分間平衡にする。試料の粘度を、80℃およびせん断速度100s
−1で2分間
測定する。粘度は、30秒から60秒の測定の平均である。
【0159】
実施例2−異なる状態におけるデンプンの粘度
本実施例は、異なる状態における(15%の水溶液中の)デンプンの粘度を例示する。試験した代表的なデンプンは、ヒドロキシエチルトウモロコシデンプン(ADMから入手可能なClineo 706)であった。
図1を参照すると、X軸は時間を示し、一方Y軸はトルクおよび温度を重ねたものである。グラフは、デンプンが煮沸されて最終的に糊化されるにつれて粘度がどのように変化するかを実証する。トルクは、ローターを回転する力を測定し、したがって粘度の測定である。トルクは、ブラベンダー単位である。
【0160】
当業者は、容易にブラベンダー単位を認識するであろう。例えば、簡単には、C.W.ブラベンダービスコグラフ、例えば動的測定のために反作用トルクを使用するビスコグラフ−Eを用いてよい。ビスコグラフ−Eは、ニュージャージー州ハッケンサックのC.W.Brabender Instruments,Inc.から市販されている。本明細書で述べるように、ブラベンダー単位は、75のRPMで700cmgカートリッジを備える16液量オンス(≒500cc)サイズの試料カップを用いて測定されることに留意すべきである。ブラベンダー単位は、その中で記述されるように、センチポイズ(例えば、測定カートリッジが700cmgの場合は、cP=BU×2.1)またはクレブス単位などの他の粘度測定値に変換してもよいことも当業者は容易に認識するであろう。
【0161】
トルク(粘度)および温度曲線は、それぞれ、
図1においてラベルを付ける。温度に関して、ターゲット温度および実温度は、相互に重ねられるが、認め得るほどの差は無い。
【0162】
図1のビスコグラムから分かるように、顆粒、すなわち、天然のデンプンの物理的構造は、低温における「冷(cold)」およびにおける80℃を超える「熱(hot)」として特定される。低温において、糊化の前に、粘度は認め得るほどに変化しない。顆粒は、加熱されるにつれて、水を吸収して膨張するであろう。トルク曲線のピークに始まり、顆粒は、粒状構造が壊れ始めて疎な分子に分離するのに十分に熱くかつ膨張している。粒状構造が壊れるにつれて、粘度は、曲線の谷において示されるようにデンプンが完全に糊化されるまで減少する。曲線が谷において横ばい状態になるにつれて、溶液は冷却される。結果として、糊化された分子が再会合し始めて、粘度が再び上昇し始めるにつれて、老化が発生する。
【0163】
実施例3−立方体配合物および圧縮強度試験
本実施例は、2インチ(5.08センチメートル)の立方体を用いる立方体圧縮試験を記述する。一部の実施形態において、立方体圧縮試験は、デンプンおよびその量が本明細書に述べるように多様でありうる場合の石膏配合物を測定する。配合物は、別段の指示が無い限りスタッコの2重量%に設定されたデンプンの量で、水/スタッコ比1.0のための投入量に設定された石膏スラリーから形成される。
【0164】
実験室において糊化を必要とするデンプン(例えば、下記に特定される全てのClintonシリーズ、Clineoシリーズ、S23F、LC211)については、デンプンを水中に分散させて、沸騰まで連続的な撹拌と共に10分間加熱した。次いでデンプン溶液を、78°F(25.6℃)に冷却して、Waringブレンダーの混合カップ内に移した。トリメタリン酸ナトリウム(「STMP」)10%溶液、分散剤および遅延剤を、デンプン溶液へ量り入れて、混合した。スタッコおよびHRAを、乾燥混合物として秤量して混合した。スタッコおよびHRA乾燥混合物を、デンプン溶液に注ぎいれ、10秒間浸して、高速で10秒間混合した。2インチ(5.08センチメートル)立方体の型を、型の上部をわずかに超える点まで満たした。漆喰が硬化するとすぐに余分をこすり取った。立方体を、それらが固まった後に型から取り出した。立方体を、110°F(43.3℃)で48時間乾燥した。
【0165】
水溶性のデンプン(例えば、下記に特定される押出しされたヒドロキシプロピルエンドウマメデンプン、Maltrin M040、Maltrin M100)については、デンプンを室温の水に溶解した。加熱および冷却ステップを飛ばすことを除いて実験室で糊化を必要とするデンプンのために同一の手順に従う。別の方法として、可溶性デンプンは、スタッコおよび耐熱性促進剤との乾燥混合物において調製し、次いで液体原料(水、STMP、分散剤および遅延剤)と混合してもよい。
【0166】
粒状デンプンについては、デンプンを乾燥混合物(スタッコおよびHRA)へ量り入れた。水、トリメタリン酸ナトリウム10%溶液、分散剤および遅延剤を、混合カップへ量り入れた。乾燥混合物を、水に注ぎ入れ、10秒間浸し、高速で10秒間混合して、スラリーを直ちに型に注ぎ入れた。湿性立方体を、それが固まるとすぐにアルミニウム箔で包装した。包装した立方体を、190°F(87.8℃)で90分加熱した。立方体を解包して、110°F(43.3℃)で48時間乾燥した。
【0167】
立方体を形成するための石膏スラリーの配合を、下表3に記載する。
【0168】
【表3】
【0169】
乾燥した立方体を、オーブンから取り出して室温で1時間冷却した。圧縮強度を、MTSシステム(型番SATEC)を用いて測定した。負荷は、連続的かつ衝撃無しで0.04インチ/分(1.02mm/分)のスピードで(15から40psi/s(103.4から275.8kPa/s)の間の一定速度で)適用した。
【0170】
立方体が2106psi(14.52MPa)の強度を有する場合、立方体は、デンプンを室温の水に溶解することにより押出しされたヒドロキシプロピルエンドウマメデンプン(Tackidex(登録商標)K720(Roquette))を用いて生成した。立方体が2084psi(14.37MPa)の強度を有する場合、立方体は、スタッコおよび耐火性促進剤と共に乾燥混合物内でデンプンを調製し、これを次いで液体原料(水、STMP、分散剤および遅延剤)と混合することによって押出しされたヒドロキシプロピルエンドウマメデンプン(Tackidex(登録商標)K720(Roquette))を用いて生成した。
【0171】
実施例4−糊化されたデンプンをスタッコスラリーに加えることの強度への影響
本実施例は、粒状デンプン(すなわち、非糊化)をスタッコスラリーに加えることと糊化されたデンプンをスタッコスラリーに加えることとの石膏配合物の圧縮強度へのそれぞれの影響を比較する。それぞれのデンプンを、実施例3に記載の通りの立方体試験のための石膏スラリー内に入れた。
【0172】
表4に追加のデンプンを示す。デンプンの1つは、酸修飾ではなかったが、他は下表4に示す通りであった。
【0173】
【表4】
【0174】
本実施例は、本発明の実施形態による粒状デンプンの代わりに石膏スラリーへのアルファ化デンプンの投入で達成される向上した強度を例示する。粒状形態は、粒状デンプンの非常に低い粘度が原因でスタッコスラリーに優れた流動性を提供する。しかしながら、粒状形態は、強度の効用としては与えない。したがって、アルファ化形態は、望ましい。
【0175】
実施例5−糊化されたデンプンに関する粘度および圧縮強度
本実施例は、VMA法に従って測定される粘度の範囲を示す、種々の糊化されたデンプンを例示する。実施例3に記述されている配合物および立方体試験に従って、デンプンのそれぞれの石膏配合物における圧縮強度への影響を評価した。糊化されたデンプンの粘度およびデンプンを含むスラリーから形成された石膏立方体の圧縮強度を示す結果を、下表5に記述する。
【0176】
【表5】
【0177】
デンプンの幾つかは、既に糊化した形態で市販され、それらのデンプンは、表5において「製造時」糊化としてマークする。他のデンプンは、糊化無しで供給されたが、次いで実験室において糊化され、表5において「実験室において」としてマークした。さらに、デンプンの幾つかは、化学的に修飾されて記載される通りに示した粘度を達成した。押出しされたヒドロキシプロピルエンドウマメデンプンに関して、いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、低粘度は、ヒドロキシプロピル化および高いアミロース含有量(35%)と組み合わされた高圧高せん断押出しによるデンプン加水分解に起因し得る。それぞれの示された粘度は、デンプンの糊化後である。
【0178】
本実施例は、本明細書に記載のミッドレンジの粘度を有する糊化されたデンプンを、本発明の実施形態に従って、セメント質の(例えば、石膏)スラリーに含めることの望ましさを実証する。ミッドレンジの粘度のデンプンは、望ましい強度特性も達成しながら、デンプン粘度によって反映されるような優れた流動性を提供する。優れた流動性は、石膏スラリーにおけるより少ない水要求量をもたらす。より少ない水を石膏スラリーに含めることによって、製造時に蒸発させる必要がある過剰な水はより少なく、プロセス効率を向上して、製造コストを下げる結果をもたらす。
【0179】
実施例6−エチル化デンプンの糊化および粘度
本実施例は、糊化後の粘度の範囲を示すエチル化デンプンを比較する。粒状(未糊化デンプン)および糊化されたデンプンを、それぞれ、スタッコスラリーに加えることを考慮して、石膏配合物の強度への影響も、実施例3に記述されている配合物および立方体試験に従って評価した。糊化されたデンプンの粘度およびデンプンを含むスラリーから形成された石膏立方体の圧縮強度を示す結果を、下表6に記述する。それぞれ示した粘度は、デンプンの糊化後であるが、粒状デンプン(未糊化デンプン)をスタッコスラリーに加えることを考慮して強度もデータに含められる。
【0180】
【表6】
【0181】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、エチル化は、デンプンの糊化温度を下げる。これらのエチル化デンプンは、適切な粘度まで部分的に加水分解されていてよい。
【0182】
本実施例は、本明細書に述べるような糊化後にミッドレンジの粘度を有するこれらのエチル化デンプンが、本発明の実施形態に従って、石膏配合物に含まれる場合に望ましい流動性および強度を提供することを示す。
【0183】
実施例7−強度へのデンプン量の変化
本実施例は、石膏スラリーに入れられるデンプンの量の範囲にわたって、石膏配合物の強度への糊化されたデンプンの影響を比較する。デンプンの量が多様であることを除いて、実施例3に記述されている配合物および立方体試験を用いた。表7に結果を記述する。
【0184】
【表7】
【0185】
本実施例は、比較的少量の糊化されたデンプンでさえ、本発明の実施形態に従って、石膏配合物において望ましい強度特性を提供することを実証する。
【0186】
実施例8−石膏スラリーの流動性
本実施例は、種々の糊化されたデンプンによる石膏スラリーの流動性への影響を例示する。それぞれのデンプンを、水/スタッコ比およびデンプンの量が多様であることを除いて、実施例3による石膏配合物に入れる。スランプ試験を用いて以下のように流動性を測定した。スランプを、高さ4インチ(10.2cm)である(それぞれの端部において開放でありかつ平坦な滑面上に直立して置かれた)2インチ(5.08cm)直径のシリンダー内にスラリーを注いで、スラリーの上部を均すことにより測定した。これは、全ての試験のためのスラリーの硬化体積を提供する。次いで、直ちにシリンダーを持ち上げて、スラリーをシリンダーの開放底端部から勢いよく出した。このパテの直径を、センチメートルで測定して、記録する。より流動性のスラリーは、典型的にはより大きい直径のパテを生じるであろう。表8に結果を記述する。
【0187】
【表8】
【0188】
本実施例は、本発明の実施形態に従って、向上した流動性および石膏配合物のより低い水要求量を実証する。
【0189】
実施例9−乾燥形態のアルファ化トウモロコシ粉の酸修飾
本実施例は、乾燥状態酸修飾によるアルファ化トウモロコシ粉の粘度減少を実証する。アルファ化トウモロコシ粉(125g、Bunge Milling)を、ホバートミキサーの混合ボウルへ量り入れた。スピード2で混合しながらトウモロコシ粉の上部に1M 硫酸(6.2から18g)を噴霧した。試料を、さらに10分間混合した。試料を、蓋を備えたプラスチック瓶に移し、次いで80℃で3時間加熱した。等モルの水酸化カルシウムを加えて、試料を2分間混合した。試料を、室温で一晩乾燥した。
【0190】
酸修飾アルファ化トウモロコシ粉の粘度を、実施例1に記載のようにVMA法に従って測定した。データを表9に示す。
【0191】
【表9】
【0192】
実施例10−石膏スラリー配合物、立方体圧縮強度およびスラリースランプ試験
本実施例は、様々な量の酸を用いて酸修飾したデンプンを用いる立方体圧縮強度およびスランプを記述する。使用した石膏スラリー配合物を表3に示す。水スタッコ比(WSR)は、1.0であった。石膏立方体試料は、実施例3の方法に従って調製した。実施例8に記載のようにスランプ試験を後に続けた。圧縮強度試験およびスランプ試験の結果を、表10に示す。
【0193】
【表10】
【0194】
本実施例は、アルファ化トウモロコシ粉の粘度をミッドレンジに減少することが、石膏スラリーの流動性を全体的に増加するだけではなく、圧縮強度を全体的に増加することを実証する。実施例9および10の組み合わせは、デンプン粘度とスラリー流動性との逆相関を実証する。
【0195】
実施例11−0.25Nの硫酸溶液におけるアルファ化トウモロコシ粉の酸修飾
本実施例は、酸への様々な暴露時間を用いて酸修飾したデンプンを用いる立方体圧縮強度およびスランプを記述する。アルファ化トウモロコシ粉(31g)を、混合しながら水(200g)を含むWarrenブレンダーへ量り入れた。デンプン溶液を、フラスコ内へ移した。ブレンダーを水(77g)ですすいで、水をフラスコへ移した。濃硫酸(1.94ml、95〜98%)を、撹拌しながらデンプン溶液に加えた。溶液を、70℃で60から100分間保温した。次いで等モルの水酸化カルシウム(2.58g)を、デンプン溶液に加えて10分間撹拌した。使用した石膏スラリー配合物を表3に示す。石膏立方体試料は、実施例3の方法に従って調製した。実施例8に記載のようにスランプ試験を後に続けた。圧縮強度試験およびスランプ試験の結果を、表11に示す。
【0196】
【表11】
【0197】
本実施例は、硫酸溶液におけるアルファ化トウモロコシ粉の酸修飾が流動性および強度を改善し得ることを示す。
【0198】
実施例12−異なる水スタッコ比(WSR)における石膏スラリーの流動性
本実施例は、アルファ化トウモロコシ粉の酸修飾による石膏スラリーの流動性への影響を例示する。スランプ試験を、実施例8に記載のように流動性測定するために用いた。WSRに従って水量を調整したことを除いて、使用した石膏スラリー配合物は表3に示すものである。表12にスランプ試験の結果を示す。
【0199】
【表12】
【0200】
本実施例は、酸修飾アルファ化トウモロコシ粉は、水を15%減少した後でも石膏スラリーの流動性を維持し得ることを実証する。
【0201】
実施例13−立方体配合物および圧縮強度試験
本実施例は、実験室で煮沸した酸修飾デンプンを含む立方体の立方体圧縮強度試験を記述する。配合物は、デンプンの量をスタッコの2重量%に設定して、対照アルファ化トウモロコシデンプンについては1.0の水/スタッコ比を有する石膏スラリーおよび実験室で煮沸した酸修飾トウモロコシデンプン(Clinton 277)については0.9を有する石膏スラリーから形成する。対照および実験室で煮沸した酸修飾トウモロコシデンプンのために使用した配合物を、表13に開示する。立方体の密度は、様々な速度で泡を加えることにより25から45ポンド立方フィート(400kg/m
3から721kg/m
3)の間に設定した。
【0202】
対照実験のために、アルファ化トウモロコシデンプンを、スタッコおよびHRAを含む乾燥混合物へ量り入れた。水、トリメタリン酸ナトリウム10%溶液、分散剤および遅延剤を、ホバートミキサーの混合ボウルへ量り入れた。乾燥混合物を、ホバートミキサーの混合ボウル内へ注ぎ入れ、15秒間浸して、スピードIIで30秒間混合した。泡調製のために、PFM33石けん剤の0.5%溶液を形成し、次いで空気と混合して気泡を作成した。気泡を、泡発生器を用いてスラリーに加えた。泡発生器は、所望のボード密度を得るために十分な速度で運転した。泡追加後、スラリーを直ちに型の上部をわずかに超える点まで注いだ。漆喰が硬化するとすぐに余分をこすり取った。型は、離型剤(DW40)が噴霧されていた。
【0203】
実験室煮沸した酸修飾トウモロコシデンプン(Clinton 277)を作成するために、酸修飾トウモロコシデンプンを水中に分散して、連続的な撹拌と共に沸騰まで10分間加熱した。次いでデンプン溶液を、78°F(25℃)に冷却して、ホバートミキサーの混合ボウル内に移した。トリメタリン酸ナトリウム10%溶液、分散剤および遅延剤を、ホバートミキサーの混合ボウルへ加えて、混合した。スタッコおよびHRAの乾燥混合物を、デンプン溶液に注ぎ入れ、15秒間浸して、スピードIIで30秒間混合した。泡調製のために、PFM33石けん剤の0.5%溶液を形成し、次いで空気と混合して気泡を作成した。気泡を、泡発生器を用いてスラリーに加えた。泡発生器は、所望のボード密度を得るために十分な速度で運転した。泡追加後、スラリーを直ちに型の上部をわずかに超える点まで注いだ。漆喰が硬化するとすぐに余分をこすり取った。型は、離型剤(DW40)が噴霧されていた。
【0204】
立方体が固まった後、立方体を型から取り出し、次いで110°F(43℃)で48時間乾燥した。オーブンから取り出した後、立方体を室温で1時間冷却した。圧縮強度を、MTSシステム(型番SATEC)を用いて測定した。負荷は、連続的かつ衝撃無しで0.04インチ/分(1.02mm/分)のスピードで(15から40psi/s(103.4から275.8kPa/s)の間の一定速度で)適用した。
【0205】
【表13】
【0206】
2種類のデンプンについてのトレースを、密度が横軸に沿ってプロットされ、強度が縦軸に沿ってプロットされる、
図2に示す。
図2は、実験室で茹でた0.9のWSRを有する酸修飾トウモロコシデンプン(Clinton 277)が、1.0のWSRを有するアルファ化トウモロコシデンプンより高い圧縮強度の立方体を提供することを示す。この増加した強度は、密度25lb/ft
3から40lb/ft
3(400kg/m
3から721kg/m
3)の立方体について観察した。本実施例は、実験室で茹でた酸修飾トウモロコシデンプン(Clinton 277)を含む組成物が低密度でより高い圧縮強度を有しかつより少ない水を必要とすることを示唆する。
【0207】
実施例14−冷水可溶性アルファ化デンプンおよび圧縮強度
本実施例は、パイロット規模の押出しを用いて冷水可溶性アルファ化デンプン(Clinton 277)を形成する方法、および押出しされたアルファ化デンプンを含む立方体の圧縮強度を記述する。
【0208】
したがって、Clinton 277酸修飾デンプン(含水量9%、100kg)および水(4.4kg)を、シリンダー内で混合した。酸修飾デンプン混合物を、Wenger TX 52二軸スクリュー押出機に加えた。追加の水(8.1kg)を、押出機に加えた。押出機バレル内の合計含水量は、20%であった。押出し条件を、下表15に記述する。アルファ化デンプンを、比較的乾燥している、膨張した材料として押出機から取り出した。デンプンを、約10%の含水量を有するまで乾燥し、次いで粉末に挽いた。石膏製品を作成するために用いる場合は、乾燥粉末を、製造時に乾燥原料に加えてもよい。
【0209】
【表14】
【0210】
アルファ化デンプンの冷水溶解度を、以下の方法によって測定する。湿性デンプンを、水(80mL、室温(25℃))および乾燥デンプン(4.000g)を撹拌しながらビーカーに加えることにより形成した。湿性デンプンを、20分間撹拌し、次いで100mLのメスシリンダー内に移した。水を100mLの線まで加え、次いでシリンダーを3回逆さにしてスラリーを混合した。湿性デンプンを、室温に30分間置いた。上澄み(10g)をスラリーの上部から自重を量った鍋に移した。鍋を一晩加熱(43℃)した後、残っている固体を秤量した。デンプンの溶解度(%)を、下式に記述する。
【0211】
溶解度(%)=可溶性固体の重量/(0.4x100)
【0212】
冷水可溶性の押出しされたアルファ化デンプンを、実施例13の手順に従って立方体を調製するために使用した。立方体は、54lb/ft
3(865kg/m
3)の密度を有した。押出しされたデンプン(Clinton 277)の冷水溶解度は、立方体強度への重大な影響を示した(表15)。粒状デンプンは、水に不溶性であり、1561psi(10.76MPa)の圧縮強度を有する立方体を生じる。しかしながら、押出しによって調製されるアルファ化デンプンは、水溶性であり、より大きい強度を有する立方体を生じた。立方体の圧縮強度は、デンプンの冷水溶解度が増加するにつれて増加した。さらに、より低い含水量(約10%)を有するデンプンで開始することは、より大きい水への溶解度(最大71%)をもたらして、より大きい圧縮強度(1844psi(12.71MPa))を有する立方体を生じた。
【0213】
【表15】
【0214】
冷水可溶性酸修飾アルファ化デンプンおよびアルファ化トウモロコシデンプンを、実施例13の手順に従って立方体を調製するために使用した。立方体は、29lb/ft
3(465kg/m
3)の密度を有した。押出しされたデンプンは、従来型のデンプンより大きい立方体強度を与えた(表16)。押出しされたClinton 277を含有する石膏泡スラリーの流動性は26%増加して、押出しされたデンプンを含有する発泡した立方体の圧縮強度は19%増加した。
【0215】
【表16】
【0216】
実施例15−冷水可溶性アルファ化デンプンのベンチトップ調製
本実施例は、種々の条件下でベンチ規模の押出しによって作成されたアルファ化酸修飾デンプン(Clinton 277)の冷水溶解度を例示する。
【0217】
したがって、酸修飾デンプンを、ベンチ規模の押出機(Micro 18、Leistritz MIC)を用いて押出しにかけた。デンプンおよび指定される含水量のために必要な水を混合し、ビニール袋内に密封して、一晩平衡化した。一晩の平衡後、湿性デンプンを、押出機内に供給した。押出機温度、デンプン(糊化前)の含水量、ダイ開口径およびリン酸三カルシウムの量の25℃における溶解度への影響を検査した(表17を参照)。小規模において、添加剤(リン酸三カルシウム)は、デンプン溶解度に影響しなかった。材料流動性を増加している因子(高含水量および大きいダイ開口など)は、デンプン溶解度にマイナスに関係した。大規模試験は、より低い含水量およびより高い押出し温度を必要とし得ることが分かった(例えば、実施例14)。
【0218】
【表17】
【0219】
実施例16−冷水粘度アッセイ法
本実施例は、本明細書で「CWVA法」と呼ぶ、冷水粘度測定アッセイ法を説明する。本明細書で冷水粘度と呼ぶ場合、別段の指示が無い限り、それはCWVA法に従う。
【0220】
乾燥デンプン(40g)を、500RPMで10分間撹拌しながら水(25℃)へ量り入れて400gの総重量を得る。粘度は、同心性のシリンダーを有するDiscovery HR−2ハイブリッドレオメーター(TA Instruments Ltd)、および羽形形状(直径28および長さ42.05mm)を有する標準カップ(直径30mm)を用いて測定する。50gの溶液を、シリンダーセル内に移す。試料の粘度を、25℃およびせん断速度100s
−1で1分間測定する。
【0221】
本発明を記述する文脈における(特に下記の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a)」および「1つの(an)」および「前記(the)」および「少なくとも1つの(at least one)」ならびに類似の指示語の使用は、本明細書に別段の指示が無い限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈される。1つまたは複数の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」と言う語の使用(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)は、本明細書に別段の指示が無い限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、記載された項目から選択される1つの項目(AまたはB)あるいは2つ以上の記載された項目の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈される。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という語は、特に記載の無い限り、無制限の語(すなわち、「含むが、これに限定されない」ことを意味する)と解釈される。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示が無い限り、単に範囲内にあるそれぞれの別個の範囲を個々に参照する簡単な方法として役立つことが意図され、かつそれぞれの別個の範囲はあたかも個々に本明細書に列挙されるように本明細書に組み込まれる。本明細書に述べる全ての方法は、本明細書に別段の指示が無い限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、任意の適した順序で実行してよい。本明細書に提供される任意および全ての例の使用または例示的な言葉(例えば、「など(such as)」)は、単に本発明をより良く例示することが意図されるものであり別段の請求が無い限り本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における言葉は、任意の非請求要素を本発明の実践に不可欠な物として示すと解釈されるべきではない。
【0222】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に述べられ、本発明を実施するための発明者に知られている最良の形態を含む。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記述を読むことで当業者に明らかになり得る。発明者は当業者が必要に応じてかかる変形形態を採用することを予期し、かつ発明者は本発明が本明細書に具体的に述べられる以外の方法で実践されることを意図する。したがって、本発明には、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙される準拠法によって許可されるような主題の全ての修正および同等の方法が含まれる。さらに、それらの全ての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示が無い限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0223】
[付記]
[付記1]
2つのカバーシートの間に配置される硬化石膏芯を備えるボードであって、前記芯が、スタッコ、水および少なくとも1種のアルファ化デンプンを含むスラリーから形成され、前記デンプンは、前記デンプンがVMA法に従う条件を受ける間に粘度が測定される場合に約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度の特性を有する、ボード。
【0224】
[付記2]
前記デンプンの前記粘度の特性は、VMA法に従って約30センチポイズから約200センチポイズである、付記1に記載のボード。
【0225】
[付記3]
前記デンプンは、前記デンプンを含まない前記硬化石膏芯と比較して前記硬化石膏芯の前記芯硬度を増加するために効果的である、付記1または2に記載のボード。
【0226】
[付記4]
前記デンプンが、VMA法に従って700センチポイズより大きい粘度特性(例えば、773センチポイズ)を有するデンプンによって必要とされる過剰な水の量の増加よりも少ない、前記デンプン無しであるレベルと同レベルに前記スラリー流動性を維持するために前記スラリーに加えることが必要とされる過剰な水の量の増加を必要とする、付記1〜3のいずれか一つに記載のボード。
【0227】
[付記5]
前記デンプンは、前記スタッコの約0.5重量%から約3重量%の量である、付記1〜4のいずれか一つに記載のボード。
【0228】
[付記6]
前記デンプンは、酸修飾デンプンである、付記1〜5のいずれか一つに記載のボード。
【0229】
[付記7]
前記水/スタッコ比は、約0.55から約0.8である、付記1〜6のいずれか一つに記載のボード。
【0230】
[付記8]
前記ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約35pcf(561kg/m
3)の密度を有する、付記1〜7のいずれか一つに記載のボード。
【0231】
[付記9]
前記スラリーは、(a)糊化されていない、(b)VMA法に従って20センチポイズ未満の前記粘度の特性を有するアルファ化デンプンである、または(c)VMA法に従って700センチポイズを超える前記粘度の特性を有するアルファ化デンプンである、第2の種類のデンプンを含む、付記1〜8のいずれか一つに記載のボード。
【0232】
[付記10]
前記第2の種類のデンプンは、アルキル化デンプンを含む、付記9に記載のボード。
【0233】
[付記11]
前記スラリーは、重量の大きい部分の不安定成分および重量の小さい部分の安定成分を含む少なくとも発泡剤をさらに含み、発泡剤の量および前記不安定な成分の安定成分に対する重量比が、前記硬化石膏芯の内部に間隙分布を形成するために効果的である、付記1〜10のいずれか一つに記載のボード。
【0234】
[付記12]
前記スラリーは、ナフタレンスルホン酸塩分散剤をさらに含む、付記1〜11のいずれか一つに記載のボード。
【0235】
[付記13]
前記スラリーは、トリメタリン酸ナトリウムをさらに含む、付記1〜12のいずれか一つに記載のボード。
【0236】
[付記14]
前記ボードが約1/2インチ(1.3cm)の厚さで鋳造される場合、前記ボードは、ASTM標準C473に従って測定されるような、少なくとも約65ポンド(29.5kg)の釘引抜き耐性を有しかつ少なくとも約11ポンド(5kg)の芯硬度を有する、付記1〜13のいずれか一つに記載のボード。
【0237】
[付記15]
水、スタッコおよび少なくとも1種のアルファ化デンプンを含むスラリーであって、前記デンプンがVMA法に従う条件を受ける時に粘度が測定される場合に前記デンプンは約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度の特性を有する、スラリー。
【0238】
[付記16]
(a)少なくとも水、スタッコおよび少なくとも1種のアルファ化デンプンを混合してスラリーを形成するステップであって、前記デンプンは、粘度がVMA法に従って測定される場合に約20センチポイズから約700センチポイズの前記粘度の特性を有するステップと、
(b)前記スラリーを第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に配置して湿性アセンブリを形成するステップと、
(c)前記湿性アセンブリをボードに裁断するステップと、
(d)前記ボードを乾燥するステップと
を含むボードを作成する方法。
【0239】
[付記17]
(a)炭酸カルシウムと、
(b)少なくとも1種のアルファ化デンプンであって、前記デンプンは約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有し、かつ前記粘度はVMA法に従って測定される、デンプンと
を含むジョイントコンパウンド。
【0240】
[付記18]
繊維および少なくとも1種のアルファ化デンプンを含む吸音成分を含む吸音パネルであって、前記デンプンは、約20センチポイズから約700センチポイズの粘度を有し、前記粘度はVMA法に従って測定され、かつ前記パネルは、ASTM C 423−02に従って少なくとも約0.5の騒音減少率を有する、吸音パネル。
【0241】
[付記19]
デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有し、
硬化石膏芯は、約30%未満の冷水溶解度を有するデンプンで作成された硬化石膏芯より大きい圧縮強度を有する、
2つのカバーシートの間に配置される前記硬化石膏芯を備えるボードであって、前記芯が、スタッコ、水および少なくとも1種のアルファ化デンプンを含むスラリーから形成される、ボード。
【0242】
[付記20]
前記デンプンは、約30%から約75%の冷水溶解度を有する、付記19に記載のボード。
【0243】
[付記21]
前記デンプンは、スタッコの重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の量である、付記19または20に記載のボード。
【0244】
[付記22]
前記ボードは、約24pcf(384kg/m
3)から約35pcf.(561kg/m
3)の密度を有する、付記19〜21のいずれか一つに記載のボード。
【0245】
[付記23]
デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有し、
硬化石膏芯は、約30%未満の冷水溶解度を有するデンプンで作成された硬化石膏芯より大きい圧縮強度を有する、
(a)少なくとも水、スタッコおよび少なくとも1種のアルファ化デンプンを混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーを第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に配置して湿性アセンブリを形成するステップと、
(c)前記湿性アセンブリをボードに裁断するステップと、
(d)前記ボードを乾燥するステップと
を含むボードを作成する方法。
【0246】
[付記24]
アルファ化デンプンは、約30%より大きい冷水溶解度を有する、
(a)少なくとも水および非アルファ化デンプンを混合して湿性デンプンを作成するステップと、
(b)前記湿性デンプンを約90℃以上の温度のダイを有する押出機内に配置するステップと、
(c)前記デンプンを乾燥するステップと
を含むアルファ化デンプンを作成する方法。
【0247】
[付記25]
前記アルファ化デンプンは、約30%から約75%の冷水溶解度を有する、付記24に記載の方法。
【0248】
[付記26]
前記押出機ダイは、温度が約150℃以上である、付記24または25に記載の方法。
【0249】
[付記27]
前記湿性デンプンは、デンプンの約25重量%未満の含水量を有する、付記24〜26のいずれか一つに記載の方法。