特許第6659791号(P6659791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659791
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】パネルポートの数を増やす設計
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   G06F1/16 312N
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-172627(P2018-172627)
(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公開番号】特開2019-133625(P2019-133625A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】62/623,718
(32)【優先日】2018年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/960,939
(32)【優先日】2018年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蘇錦龍
(72)【発明者】
【氏名】陳志忠
【審査官】 豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−208952(JP,A)
【文献】 特開2008−130005(JP,A)
【文献】 特開2008−299873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータデバイスであって、
第一位置にあり第一方向を向いた第一セットの電気接続ポートと、第二位置にあり第二方向を向いた第二セットの電気接続ポートとを有し、前記第一位置と前記第二位置は異なり、前記第一方向と前記第二方向は異なる、第一筐体と、
当該コンピュータデバイス内に固定された第二筐体と、を備え、
当該コンピュータデバイス内において、前記第一筐体は前記第二筐体に対してスライド可能であり、それによって第二セットの電気接続ポートへのアクセスを可能にし、
前記第二セットの電気接続ポートは、前記第一筐体内部の第一側部通路に向いており、当該第一側部通路は空気流およびケーブル用に構成されている、コンピュータデバイス。
【請求項2】
延長可能な電気接続線をさらに備え、当該延長可能な電気接続線は、前記第二筐体上に格納された電気部品を前記第一セットの電気接続ポートおよび前記第二セットの電気接続ポートに接続するよう構成されている、請求項1に記載のコンピュータデバイス。
【請求項3】
第三位置にあり第三方向を向いた第三セットの電気接続ポートをさらに備え、前記第三セットの電気接続ポートは、前記第二セットの電気接続ポートに対して、当該コンピュータデバイスの反対側に位置している、請求項1に記載のコンピュータデバイス。
【請求項4】
第一筐体に位置するチップセットをさらに備え、前記第二セットの電気接続ポートおよび前記第三セットの電気接続ポートは前記チップセットの両側に位置し、前記第一セットの電気接続ポートは前記第二セットの電気接続ポートおよび前記第三セットの電気接続ポートに隣接して位置している、請求項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項5】
前記第三セットの電気接続ポートは、前記第一筐体内部の第二側部通路に向いており、当該第二側部通路は空気流およびケーブル用に構成されている、請求項に記載のコンピュータデバイス。
【請求項6】
サーバラックであって、
複数のサーバデバイスと、
コンピュータデバイスと、を備え、
当該コンピュータデバイスは、
第一位置にあり第一方向を向いた第一セットの電気接続ポートと、第二位置にあり第二方向を向いた第二セットの電気接続ポートとを有し、前記第一位置と前記第二位置は異なり、前記第一方向と前記第二方向は異なる、第一筐体と、
当該コンピュータデバイス内に固定された第二筐体と、を備え、
当該コンピュータデバイス内において、前記第一筐体は前記第二筐体に対してスライド可能であり、それによって第二セットの電気接続ポートへのアクセスを可能にし、
前記第二セットの電気接続ポートは、前記第一筐体内部の第一側部通路に向いており、当該第一側部通路は空気流およびケーブル用に構成されている、コンピュータデバイスである、サーバラック。
【請求項7】
第三位置にあり第三方向を向いた第三セットの電気接続ポートをさらに備え、前記第三セットの電気接続ポートは、前記第二セットの電気接続ポートに対して、前記コンピュータデバイスの反対側に位置している、請求項に記載のサーバラック。
【請求項8】
第一筐体に位置するチップセットをさらに備え、前記第二セットの電気接続ポートおよび前記第三セットの電気接続ポートは前記チップセットの両側に位置し、前記第一セットの電気接続ポートは前記第二セットの電気接続ポートおよび前記第三セットの電気接続ポートに隣接して位置している、請求項に記載のサーバラック。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本願は、I/Oポート用の場所を多数有して機能性を高めたサーバデバイスに関する。
(背景技術)
コンピュータアプリケーション用のクラウドの登場により、オフサイトの設備(データセンターとして知られる)の需要が高まってきた。こうしたデータセンターは、データを保存しアプリケーションを走らせ、当該データやアプリケーションは遠隔接続されたコンピュータデバイスのユーザによってアクセスされる。そのようなデータセンターは、通常、データを保存し管理するために、膨大な数のサーバやスイッチやストレージデバイスを備え、それによって、遠隔のコンピュータのユーザが当該データに便利にアクセスすることができる。通常、データセンターは、付随する電源と通信接続とを有する物理的なラック構造を備えている。上記ラックは、データセンターの一部屋または複数の部屋中に、列を成して配置されている。各ラックは、垂直方向に向けられた複数のスロットまたはシャーシを備え、当該スロットまたはシャーシが、サーバや、スイッチや、ストレージデバイスなど多数のデバイスを収容する。現代のデータセンターでは、そのようなデバイスが多数、そのようなラック構造内で積み重ねられている。例えば、データセンターの中には、何万台ものサーバや付随するストレージデバイスやネットワークスイッチを備えるものがある。このように、通常のデータセンターは、数百または数千のラックに、数万のあるいは数十万ものデバイスを備えうる。
【0002】
典型的なラック10を図1に示す。ラック10は、定まった数(この例では20個)のスロットを有するフレーム12を含む。フレーム12の上から2個のスロットは、管理スイッチ20およびデータスイッチ22を有する。上記スロットのそれぞれが、対応する回路基板(図示せず)を有し、それが当該スロット内で異なるデバイス間の接続を可能にする。図1から見て取れるように、管理スイッチ20およびデータスイッチ22はそれぞれ多数のポートを有し、それによって、フレーム12に保持される他のデバイスとの接続を可能にしている。この例では、フレーム12の残りの18個のスロットは同機種のサーバ24をそれぞれ保持する。各サーバ24は管理ポート26を有し、当該管理ポート26はケーブル28によって、管理スイッチ20上の複数のポートの1つに接続されている。他のポートはデータスイッチ22に接続されていてよい(わかりやすくするために、そのようなケーブルは図1では省略している)。
【0003】
図1から見て取れるように、各サーバ24によって示される、ネットワーク中の各ノードは、物理的なスロットの数に対応する。性能に対する要求が高まるにつれて、フレーム12内部に設置されたサーバ24の数も増えるであろう。その結果、管理スイッチ20およびデータスイッチ22は、こうした高まる要求を受け入れるために再構成する必要が生じるであろう。
【0004】
さらに、台湾特許公報番号201534198では、サーバデバイスが、前面開口部を有するシャーシと、前記シャーシ内に配置された少なくとも1つのネットワークスイッチと、前記シャーシ内に積み重ねられた複数のサーバコンピュータと、前記シャーシの前記前面開口部に位置する複数の信号送受信ケーブルと、を備える。前記ネットワークスイッチは、前記シャーシの前記前面開口部に位置する複数の第一I/Oポートを有する。前記サーバコンピュータのそれぞれは、前記シャーシの前記前面開口部に位置する複数の第二I/Oポートを有する。前記信号送受信ケーブルはすべて、前記第一I/Oポートおよび前記第二I/Oポートの双方と電気的かつ器具を介さずに接続され、前記シャーシの内側表面に固定されている。
(発明の概要)
本技術の基本的な理解のため、以下に一つまたは複数の実施形態の簡単な要約を提示する。この要約は本技術で検討されたすべての実施形態の包括的な概観ではなく、すべての例の主要な要素または重要な要素を特定する意図はなく、本技術のいずれかまたはすべての態様の範囲を定める意図もない。この要約の唯一の目的は、一つまたは複数の例のいくつかの概念を単純なかたちで提示し、以下に提示するより詳細な説明の前置きとすることである。
【0005】
コンピュータデバイスを提供する。前記コンピュータデバイスは、第一筐体と第二筐体を備える。第一筐体は一セットのみの電気接続ポートを有しうる。いくつかの実施形態では、第一筐体は二セットの電気接続ポートを有することができ、第一セットは前側に位置し、第二セットは第一筐体の内部に位置して側部通路を形成する。側部通路は空気流およびケーブルを受け入れるよう構成可能である。第一セットおよび第二セットの接続ポートの成す角度は、90度から180度のあいだでありうる。さらに、いくつかの実施形態において、第一筐体は、第一セット、第二セット、および第三セットの電気接続ポートを有しうる。第二セットおよび第三セットの電気接続ポートは、第一筐体の内部に位置して側部通路を形成しうる。側部通路は空気流およびケーブルを受け入れるよう構成可能である。側部通路はまた、第二セットおよび第三セットの電気接続ポートへのアクセス場所ともなりうる。
【0006】
いくつかの実施形態において、第二セットおよび第三セットの電気接続ポートは、第一セットの電気接続ポートに対して垂直に位置している。要するに、第一電気接続ポートと第二電気接続ポートが成す角度は90度でありうる。代替的な実施形態では、第一セットの電気接続ポートと第二セットの電気接続ポートが成す角度は90度から180度のあいだでありうる。同様に、第一電気接続ポートと第三電気接続ポートが成す角度は90度でありうる。さらに、第一セットの電気接続ポートと第二セットの電気接続ポートが成す角度は90度から180度のあいだでありうる。いくつかの実施形態では、第一セットの電気接続ポートは直線でなくてよい。例えば、曲線として方向付けられてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、電気接続ポートはI/Oコネクタを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータデバイスは、第一セット、第二セット、および第三セットの電気接続ポートに位置する通気口を有する。通気口は、コンピュータデバイスを冷却する空気流を受け入れるよう構成しうる。
【0008】
第一筐体は、チップセットも備えることができる。いくつかの実施形態では、二セットの電気接続ポートが、チップセットの両側に位置している。マイクロプロセッサをチップセットに接続できる。第二筐体は、電源ユニットも有しうる。さらに、第二筐体はファンモジュールも有しうる。いくつかの実施形態では、コンピュータデバイスは延長可能な電気接続線も備える。延長可能な電気接続線は、第二筐体上の電気部品を第一筐体上のマイクロプロセッサに接続するよう構成しうる。また、延長可能な電気接続線は、第一筐体上の部品に電力を供給するために、第二筐体上のPSUを第一筐体のPCBに接続できる。
【0009】
サーバラックを本明細書で開示する。サーバラックは、上記コンピュータデバイスに接続された複数のサーバデバイスを備える。上述したように、上記コンピュータデバイスは第一筐体と第二筐体を備える。第一筐体は一セットのみの電気接続ポートを有しうる。いくつかの実施形態では、第一筐体は、両側に位置する二セットの電気接続ポートを有しうる。さらに、いくつかの実施形態において、第一筐体は、第一セット、第二セット、および第三セットの電気接続ポートを有しうる。第二セットおよび第三セットの電気接続ポートは、第一筐体の内部に位置して側部通路を形成しうる。側部通路は空気流およびケーブルを受け入れるよう構成可能である。側部通路はまた、第二セットおよび第三セットの電気接続ポートへのアクセス場所ともなりうる。
(図面の簡単な説明)
本開示の上述および他の利点および上述および他の特徴がどのように得られるのかを説明するために、上述した本発明の本質について、添付の図面に示した特定の例を参照しつつ、さらに詳しく述べる。これらの図面は、本開示の例示の各態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではない。本発明の本質を、以下の図面を用いて、さらなる特質および詳細とともに説明する。本開示およびその利点は、例示的な実施形態についての以下の説明を、添付の図面を参照しつつ読むことで、よりよく理解されるであろう。これらの図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、さまざまな実施形態または請求項の範囲に対する限定と見なすべきではない。
【0010】
(従来技術)図1はデータセンターにある従来技術の設備のラックを示し、複数のサーバデバイスに接続された管理スイッチおよびデータスイッチを例示する。
【0011】
図2Aは内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、従来技術のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
【0012】
図2Bは、カバー付きで例示された、従来技術のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
【0013】
図3は本開示の一つ以上の実施形態に係る、カバー付きで例示された、複数の側部通路を与えるコンピュータデバイスの斜視図を示す。
【0014】
図4は本開示の一つ以上の実施形態に係る、内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、図3のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
【0015】
図5は本開示の一つ以上の実施形態に係る、側部通路へのアクセスを示すために設置形態で例示された、図3のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
【0016】
図6は本開示の一つ以上の実施形態に係る、内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、図5のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
(詳細な説明)
添付の図面を参照しつつ、本発明について説明する。すべての図面において、類似または同一の要素を示すには同じ参照番号を用いる。図面は原寸に比例して描かれてはおらず、本発明を例示するためにのみ提示される。本発明のいくつかの態様について、例示用の適用例を参照しつつ以下に説明する。数値に関する特定の詳細や、関係や、方法は、本発明を完全に理解するために提示されることを理解されたい。しかしながら、当業者ならば、特定の詳細の一つまたは複数を用いることなく、または他の方法を用いて、本発明を実施することができると容易にわかるであろう。他の例では、本発明が曖昧になるのを避けるため、周知の構造または操作は示さない。本発明は、行為または出来事の例示された順序に限定されるものではない。行為の中には、異なる順序で生じてよいものもあるし、かつ/または、他の行為または出来事と同時に生じてよいものもある。さらに、例示された行為または出来事すべてが、本発明に係るやり方を実施する必要があるわけではない。
【0017】
本明細書に開示された構成の一つの実施は、総体的には、I/Oポート用の場所を多数有して機能性を高めたコンピュータデバイスに関する。一つまたは複数の実施形態において、コンピュータデバイスは、第一筐体および第二筐体を有する。第一筐体は、第一セット、第二セット、および第三セットの電気接続ポートを有する。第二および第三セットの電気接続ポートは、第一セットの電気接続ポートに対して垂直に位置している。第二筐体はコンピュータデバイス内に固定されている。第一筐体は、コンピュータデバイス内の第二筐体に対してスライド可能であり、それによって第二セットおよび第三セットの電気接続ポートへのアクセスを可能にする。
【0018】
図2Aは、従来技術のスイッチ100の斜視図を示す。スイッチ100は、シャーシ(図示せず)内に積み重ねられシャーシによって支持される複数のスイッチの一つでよい。例えば、スイッチ100は、図1のフレーム12内で管理スイッチ20またはデータスイッチ22として機能しうる。スイッチ100は、前部102、後部104、上部106、底部108、第一側部110、および第二側部112を有する。スイッチ100はカバーを有さないが、これは、スイッチ100がシャーシ内に設置される場合、当該シャーシがカバーとして機能しうるからである。図2Bに示す他の実施形態では、スイッチ100は、前部102、後部104、上部106、底部108、第一側部110、および第二側部112の任意の組み合わせを囲むカバーを有する。
【0019】
図2Aを参照すると、スイッチ100の前部102は、複数の開口114(例えば、通気口)を有し、当該複数の開口114を通って空気流Aが流れ、スイッチ100を冷却することができる。前部102はまた、例えば、対応するI/Oコネクタ118用の複数の開口116を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、スイッチ100は任意の数の部品を含む。当該部品としては、例えば、I/Oコネクタ118、複数の発熱電気ハードウェア部品120、複数のファン(図示せず)、当該複数のファンに対応する複数のバッフル(図示せず)、および他の熱管理部品(例えば、ヒートパイプ)が挙げられる。I/Oコネクタ118、複数の発熱電気ハードウェア部品、複数のファン、複数のバッフル、他の熱管理部品、またはそれらの組み合わせは、スイッチ100の底部108に支持および取り付けの少なくともいずれかがなされてよい。さまざまな部品またはそれらの組み合わせを、底部108に、接着剤、ネジ、ナット/ボルトの組み合わせ、留め金、嵌合圧入(mated press fittings)、他の取り付けデバイス、またはそれらの組み合わせを用いて取り付けることができる。スイッチ100は、別の部品を有してもよく、さらに部品を有してもよく、より少ない部品を有してもよい。例えば、スイッチ100は、当該スイッチ100をシャーシ内にロック可能な一つまたは複数の回転可能レバー121を有しうる。
【0021】
I/Oコネクタ118は任意の数のI/Oを有するコネクタ118であってもよく、例えば、RJ45コネクタ、SFPコネクタ、QSFPコネクタ、またはOSFPコネクタであってもよい。I/Oコネクタ118は入力のみ、出力のみ、または入力接続および出力接続双方に用いてよい。
【0022】
複数の発熱電気ハードウェア部品120は、当該複数の発熱電気ハードウェア部品120から周囲の空気への熱の移動を助けるヒートシンク122を有してよい。複数の発熱電気ハードウェア部品120としては、例えば、プロセッサ、回路、トランジスタ、メモリデバイス、電源、変圧器、チップ、集積回路、または他の電子部品が挙げられる。
【0023】
ファンは、複数の開口114の中へ、または複数の開口114の中から、空気を吸い込むまたは押し出す(例えば、スイッチ100内で複数のファンが位置している方向によって決まる)。一つの実施形態では、空気がスイッチ100の中へ、複数の開口114を通って、矢印Aの方向に吸い込まれる。空気の少なくとも一部が、後部104においてスイッチ100の中から、矢印Bで示されるように押し出される。他の実施形態では、空気の流れが逆になる。空気が後部104においてスイッチ100の中へ吸い込まれ、前部102の複数の開口114を通ってスイッチ100から押し出されるからである。
【0024】
スイッチ100の前部102は、フェースプレート124によって形成されてよい。フェースプレート124は、空気流A用の複数の開口114と、I/Oコネクタ118用の複数の開口116を有する。
【0025】
複数の開口114は、熱管理のために設けられる。I/Oコネクタ118の数によっては、したがってスイッチ100のI/Oコネクタ118用に設けられた開口116のサイズによっては、複数の開口114を設置する空間がほとんど残っていないことがある。このように、複数の開口114の数とI/Oコネクタ118の数とは、トレードオフの関係にある。例えば、フェースプレート124内にあるI/Oコネクタ118の数が多いほど、フェースプレート124内で通気口に使いうる空間は減る。逆に、図2Aに示すように、より多くの通気口を設けることもできるが、しかしI/Oコネクタ118用の空間がなくなる。さらに、表面積が増大すると、部品間により広い間隔を取ることができ、それによって冷却が容易になる。
【0026】
電力消費が大きいスイッチまたはラインカードの場合、当該スイッチ稼働中の一つ以上の発熱電気ハードウェア部品の温度が、当該スイッチまたはラインカードを通る十分な空気流がない状態では高くなりすぎて、当該発熱電気ハードウェア部品を冷却できなくなることがある。そのような高温だと、スイッチまたはラインカードは適切に稼働しない、かつ/またはシャットダウンすることがある。開口114が大きすぎ、かつ/または互いに近づきすぎている場合、開口114は電磁干渉および/または構造の健全性の問題を生じさせることがある。
【0027】
図3は、スイッチ200の一実施形態の斜視図を示す。スイッチ200は、前部202、後部204、上部206、第一側部210、および第二側部212を有する。スイッチ200の前部202は、複数の開口216(例えば、通気口)を有することができ、当該複数の開口216を通って、スイッチ200を冷却する空気が流れる。前部202はまた、対応するI/Oコネクタ218用の複数の開口220を有する。複数の開口216および対応するI/Oコネクタ218用の複数の開口220は、スイッチ200の前部202に集めることができる。I/Oコネクタ218は任意の数のI/Oを有するコネクタ218であってもよく、例えば、RJ45コネクタ、SFPコネクタ、QSFPコネクタ、またはOSFPコネクタであってもよい。I/Oコネクタ218は入力のみ、出力のみ、または入力接続および出力接続双方に用いてよい。
【0028】
スイッチ200の前部202はまた、複数の開口216および220の左側に位置する第一側部通路214を有しうる。さらに、スイッチ200の前部202は、複数の開口216および220の右側に位置する第二側部通路208を有しうる。第一側部通路214および第二側部通路208は、対応するI/Oコネクタ(図示せず)用の第二セットおよび第三セットの複数の開口に通じるアクセス通路である。第一側部通路214および第二側部通路208は、I/Oコネクタに通じるケーブルを収めることができる。さらに、第一側部通路214および第二側部通路208は、さらなる空気流がさらなるI/Oコネクタに達するようにできる。この点について、図4を参照しつつ、以下でさらに詳細に検討する。
【0029】
図4は、内部の部品を示すためにカバーをなくしたスイッチ200の一実施形態の斜視図を示す。スイッチ200は、第一部分450と第二部分460を有する。第一部分450は複数の開口216を有し、当該複数の開口216を通って空気流Aが前部202に入り、スイッチ200を冷却する。第一部分450はまた、対応するI/Oコネクタ218用の複数の開口220を有する。いくつかの実施形態では、スイッチ200は32個の開口220と32個の対応するI/Oコネクタ218を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、第一部分450は、一セットのI/Oコネクタ218のみを有しうる。代替的な実施形態では、第一部分450は、コンピュータデバイスの両側に位置する二セットの電気接続ポートを有しうる。例えば、第一部分450は、I/Oコネクタ218のセットと、第一セットのコネクタ270を有しうる。第一コネクタ270は、対応するI/Oコネクタ(図示せず)用の複数の開口を有しうる。あるいは、第一部分450は、I/Oコネクタ218のセットと、第二セットのコネクタ275を有しうる。第二セットのコネクタ275は、I/Oコネクタ228用の複数の開口230を有しうる。
【0031】
さらに、いくつかの実施形態では、第一部分450は、第一セット、第二セット、および第三セットの電気接続ポートを有しうる。例えば、第一部分450は、I/Oコネクタ218、第一セットのコネクタ270、および第二セットのコネクタ275を有しうる。第一セットのコネクタ270および第二セットのコネクタ275は、I/Oコネクタ228を有しうる。
【0032】
第一セットのコネクタ270および第二セットのコネクタ275は第一部分450内に位置して、側部通路を形成しうる。第一部分450は、第一セットのコネクタ270に通じる第一側部通路214を有しうる。第一部分450は、第二セットのコネクタ275に通じる第二側部通路208を有しうる。
【0033】
いくつかの実施形態では、I/Oコネクタ218と第一セットのコネクタ270の成す角度は90度でありうる。代替的な実施形態では、I/Oコネクタ218と第一セットのコネクタ270の成す角度は、90度から180度のあいだでありうる。同様に、I/Oコネクタ218と第二セットのコネクタ275との成す角度は90度でありうる。さらに、I/Oコネクタ218と第二セットのコネクタ275の成す角度は、90度から180度のあいだでありうる。いくつかの実施形態では、I/Oコネクタ218は直線でなくてもよい。例えば、曲線として方向付けられてもよい。
【0034】
いくつかの例では、第一セットのI/Oコネクタ228は、8個のI/Oコネクタを含みうる。したがって、第二セットのI/Oコネクタ228も、8個のI/Oコネクタを含みうる。I/Oコネクタ218と同様、I/Oコネクタ228は任意の数でよく、例えば、RJ45コネクタ、SFPコネクタ、QSFPコネクタ、またはOSFPコネクタが挙げられる。I/Oコネクタ228は入力のみ、出力のみ、または入力接続および出力接続双方に用いてよい。
【0035】
第一コネクタ270および第二コネクタ275はまた、複数の開口274(例えば、通気口)を有することができ、当該複数の開口274を通って、スイッチ200を冷却する空気が流れる。複数の開口274および216は、熱管理のために設けられる。複数の開口274および216の配置には、従来の設計に比べて設計上の利点がある。図2Aおよび2Bの従来のスイッチでは、I/Oコネクタ118の数、および、I/Oコネクタ118用に設けられた開口116のサイズのため、複数の開口114を設置する空間がわずかしか残っていない。例えば、I/Oコネクタ118の数が多いほど、スイッチ100内部で通気口用に利用しうる空間は減る。しかし、本実施形態は、複数の開口274および216をスイッチ200のフェースプレートに限定していないため、スイッチ200は表面積が大きくなる。この大きくなった表面積により、部品間により広い間隔を取ることができ、それによって冷却が容易にもなる。
【0036】
スイッチ200の第一部分450は、チップセット600も有しうる。チップセット600は、スイッチ(図示せず)、マイクロプロセッサ、およびコンパニオンチップ(図示せず)を有しうる。図示するように、チップセット600は、ポートと連結したI/Oコネクタ218および228を支持するよう配置されている。I/Oコネクタ218はチップセット600の一方の側に位置し、I/Oコネクタ228はI/Oコネクタ218に隣接して位置する。具体的には、第一セットのI/Oコネクタ228は、スイッチ200の側部212に位置し、第二セットのI/Oコネクタ228は、スイッチ200の側部210に位置する。図2Aおよび2Bに示す従来のスイッチに比べ、I/Oコネクタ218および228がチップセット600に近いので、これにより、信号の保全性が改善される。
【0037】
スイッチ200の第二部分460は、電源ユニット245、複数のファンモジュール250、および複数のI/Oインターフェース265を有する。複数のファンモジュール250は、複数の開口216および274の中へ、または複数の開口216および274の中から、空気を吸い込むまたは押し出す(例えば、スイッチ200内で複数のファンが位置している方向によって決まる)。一つの実施形態では、空気がスイッチ200の中へ、複数の開口216および274を通って、矢印Aの方向に吸い込まれる。空気の少なくとも一部が、後部204においてスイッチ200の中から、矢印Bで示されるように押し出される。他の実施形態では、空気の流れが逆になる。空気が後部204においてスイッチ200の中へ吸い込まれ、複数の開口216および274を通ってスイッチ200から押し出されるからである。複数のI/Oインターフェース265により、外部の周辺機器(図示せず)との接続が可能になる。
【0038】
ケーブル255および260は、チップセット600、I/Oコネクタ218および228、電源ユニット245、複数のI/Oインターフェース265、および複数のファンモジュール250間の電気接続を可能にするために設けられている。具体的には、第一部分450上に収められている部品は、ケーブルコネクタ260によって電源ユニット245に接続しうる。さらに、I/Oコネクタ218および228は、ケーブルコネクタ255によってI/Oインターフェース265に接続しうる。ファンモジュール250のファン速度および制御信号も、ケーブル255によってチップセット600に接続している。ケーブル255および260は延伸して、チップセット600、I/Oコネクタ218および228、電源ユニット245、および複数のI/Oインターフェース265間の拡大した接続を可能にするよう構成されている。この点について、図5および6を参照しつつ、以下でさらに詳細に検討する。なお、スイッチ200は別の部品を有してもよく、さらに部品を有してもよく、より少ない部品を有してもよい。
【0039】
図5は、(図4の)側部通路214および208へのアクセスを示すために、設置形態で示された、スイッチ200の斜視図を示す。図6は、設置形態で示された、カバーのないスイッチ200の斜視図を示す。スイッチの第一部分450は、スイッチ200の中へ外へとスライドして、第一コネクタ270および第二コネクタ275、次いでI/Oコネクタ228とのアクセスを可能にする。第二部分460は、スイッチ200内の所定の場所に固定しうる。例えば、第二部分460およびその部品のすべては、スイッチ200の内側底部に支持および取り付けの少なくともいずれかがなされてよい。さまざまな部品またはそれらの組み合わせを、内側底部に、接着剤、ネジ、ナット/ボルトの組み合わせ、留め金、嵌合圧入(mated press fittings)、他の取り付けデバイス、またはそれらの組み合わせを用いて取り付けることができる。
【0040】
逆に、第一部分450は、スイッチ200の底部とは別の底部分を有しうる。この別の底部分は、スイッチ200の各内壁上にある一組の軌道を通って、スイッチ200の中へ外へとスライドするよう構成することができる。例えば、第一側部210は内壁を有し、当該内壁が、第一部分450の対応する軌道に結合するよう構成された軌道(図示せず)を有してよい。第二側部212も同様の特徴を有しうる。これにより、管理者が、第一部分450を、スイッチ200の中へ引き込んだりスイッチ200から引き出したりして、第一コネクタ270および第二コネクタ275に、次いでI/Oコネクタ228にアクセスさせることができる。図3図4は、通常稼働形態のスイッチ200を示す。通常稼働形態では、第一部分450と第二部分460は互いに近くに位置している。通常稼働形態では、第一部分450がスイッチ200の筐体内部にあるため、ケーブル255および260は伸びていない。図6図5は、設置形態にあるスイッチ200を示す。設置形態では、第一部分450がスイッチ200の筐体から外へ伸びている。これにより、ケーブル255と260が伸び、チップセット600、I/Oコネクタ218および228、電源ユニット245、複数のI/Oインターフェース265、および、ファンモジュール250のファン速度および制御信号間の接続を維持する。
【0041】
本発明のさまざまな実施形態を説明したが、これらは例示としてのみ提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。本開示に従いつつ、また本発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示された各実施形態に対して多数の変更を加えることができる。したがって、本発明の範囲は上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項およびその同等物に従って定められるべきである。
【0042】
本発明を一つまたは複数の実施形態を参照しつつ例示し説明したが、当業者ならば、本明細書および添付の図面を読み、理解することで、同等の変更や変形を思い付くであろう。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの実施形態の一つのみに関して開示したものであるが、そのような特徴を、任意のまたは特定の用途に望ましく好都合であるように、他の実施形態の一つまたは複数の他の特徴と組み合わせてよい。
【0043】
本明細書で用いた用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定する意図はない。本明細書において、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、「前記(the)」は、文脈によって明確に否定されない限り、複数形も含むことを意図している。また、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「備えている(having)」、「備える(has)」、「有する(with)」またはそれらの変形が発明の詳細な説明および/または請求項で用いられる限りにおいて、それらは用語「含んでいる(comprising)」と同じように包含的であることを意図している。
【0044】
特段の断りのない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。さらに、例えば通常用いられている辞書で定義された用語は、関連する技術の文脈での意味に一致する意味を有するよう解釈すべきであり、本明細書において明瞭に定められない限り、理想化されたまたは極度に形式的な意味に解釈するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本開示の上述および他の利点および上述および他の特徴がどのように得られるのかを説明するために、上述した本発明の本質について、添付の図面に示した特定の例を参照しつつ、さらに詳しく述べる。これらの図面は、本開示の例示の各態様のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではない。本発明の本質を、以下の図面を用いて、さらなる特質および詳細とともに説明する。本開示およびその利点は、例示的な実施形態についての以下の説明を、添付の図面を参照しつつ読むことで、よりよく理解されるであろう。これらの図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、さまざまな実施形態または請求項の範囲に対する限定と見なすべきではない。
図1】(従来技術)データセンターにある従来技術の設備のラックを示し、複数のサーバデバイスに接続された管理スイッチおよびデータスイッチを例示する。
図2A】内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、従来技術のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図2B】カバー付きで例示された、従来技術のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図3】本開示の一つ以上の実施形態に係る、カバー付きで例示された、複数の側部通路を与えるコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図4】本開示の一つ以上の実施形態に係る、内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、図3のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図5】本開示の一つ以上の実施形態に係る、側部通路へのアクセスを示すために設置形態で例示された、図3のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図6】本開示の一つ以上の実施形態に係る、内部の各部品を示すためにカバーなしで例示された、図5のコンピュータデバイスの斜視図を示す。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6