特許第6659903号(P6659903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6659903
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】サービス高判定装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 67/18 20160101AFI20200220BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   A63B67/18
   A63B71/06 M
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-167910(P2019-167910)
(22)【出願日】2019年9月17日
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2019-121243(P2019-121243)
(32)【優先日】2019年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519236675
【氏名又は名称】杉山 敏充
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敏充
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平02−500651(JP,A)
【文献】 実開昭50−037679(JP,U)
【文献】 中国実用新案第209005167(CN,U)
【文献】 中国実用新案第205964921(CN,U)
【文献】 バドミントンのサービスの高さ。(アバブザウエスト→115cmへ),p_princeブログ[online],2019年 3月16日,主に図面を参照。,[2019年11月29日検索],URL,https://p-prince.at.webry.info/201808/article_1.html
【文献】 バドミントン115センチ器具を作ってみた!,YouTube[online][video],2019年 6月 8日,主に動画時間1:05、1:10、1:20、1:45を参照。,[2019年11月28日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=Mx8fNzO98_A
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B 67/18
A63B 69/00
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンドに支持された支持体と、前記支持体から両側に延びる一対の視準部と、を有し、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線を有し、
平行配置された一対の前記基準線は、互いに異なる色彩で表示されることを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項2】
スタンドに支持された支持体と、前記支持体から両側に延びる一対の視準部と、を有し、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線を有し、
一対の前記視準部は、各々の両端側が前記支持体側より手前にある所定の判定姿勢で保持可能であることを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、共通する一連の部材で形成されていることを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項4】
スタンドに支持された支持体と、前記支持体から両側に延びる一対の視準部と、を有し、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線を有し、
一対の前記視準部は、少なくとも一方が他方に対して回動可能、または、少なくとも一方が他方に対してスライド可能、であることを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された2枚の透明板を有し、前記基準線は、前記透明板の各々に表示されていることを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のサービス高判定装置において、一対の前記視準部にそれぞれ吊り下げられた高さゲージを有することを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のサービス高判定装置において、前記支持体または前記視準部に設置された傾き検出器を有することを特徴とするサービス高判定装置。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のサービス高判定装置において、前記支持体は、前記スタンドとしてカメラ用三脚を装着可能であることを特徴とするサービス高判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバドミントン競技のサービス高さを判定するサービス高判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バドミントン競技では、サービス時のシャトル高さがルールで規定されている。2018年に国際ルールの改訂があり、新たに「サーバーのラケットで打たれる瞬間に、シャトル全体が必ずコート面から1.15m以下でなければならない」と規定され、日本国内においても2019年4月1日から運用されている。
国際バドミントン連盟(BWF)やアジアバドミントン連盟(BA)が主催する大会では、BWF公認の判定装置が使用され、サービスジャッジによるサービス高の目視判定が実施されている(非特許文献1参照)。
BWF公認の判定装置は、所定間隔を隔てて支持された2枚の透明板を有し、透明板の各々には水平な基準線が形成される。一対の基準線は、それぞれ床面上1.15mに調整され、審判員が一対の基準線を通る水平な視準線で目視することで、離れた場所からシャトルの高さを判定可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「日本バドミントン協会「本年度実施の主な事業(競技審判部)」より抜粋」、[online]、[令和元年(2019年)6月3日検索]、インターネット(URL:http://www.kkb.undo.jp/Yama/2019kyougisinnpannbuhoukoku.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したBWF公認の判定装置は、2枚の透明板がポールの一方向に延び、1基の判定装置ではコートの片側しか判定できない。このため、ネット際の狭い範囲に、2基の判定装置を設置する必要があった。そして、ポールおよびスタンドが2本分になるため、設置スペースがかさむという問題があった。
さらに、設置および片付けの際には、2基分のポール、スタンド、透明板のセットを組立て分解する必要があり、取り扱いの煩雑さが避けられなかった。
【0005】
本発明の目的は、取り扱いが容易で設置スペースを削減できるサービス高判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサービス高判定装置は、スタンドに支持された支持体と、前記支持体から両側に延びる一対の視準部と、を有し、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線を有することを特徴とする。
このような本発明では、両側一対の視準部により、それぞれサービス高判定を行うことができる。これらの一対の視準部は、共通の支持体ないしスタンドで支持され、取り扱いが容易かつ設置スペースを削減できる。
【0007】
本発明のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、それぞれ所定間隔で平行配置された2枚の透明板を有し、前記基準線は、前記透明板の各々に表示されている、とすることができる。
このような本発明では、細い基準線であっても、透明板により所定高さ位置に確実に配置しておくことができる。
【0008】
本発明のサービス高判定装置において、平行配置された一対の前記基準線は、互いに異なる色彩で表示される、とすることができる。
このような本発明では、各側の視準部において、互いに異なる配色の基準線どうしを見比べることで視準線を見出すことができ、判定動作を容易かつ正確にできる。
【0009】
本発明のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、共通する一連の部材で形成されている、とすることができる。
このような本発明では、同じ部材で一対の視準部を形成でき、装置構成をきわめて簡素にできる。
【0010】
本発明のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、少なくとも一方が他方に対して回動可能、または、少なくとも一方が他方に対してスライド可能、とすることができる。
このような本発明では、運搬時ないし収納時にコンパクト化できる。
【0011】
本発明のサービス高判定装置において、一対の前記視準部は、各々の両端側が前記支持体側より手前にある所定の判定姿勢で保持可能、とすることができる。
このような本発明では、判定員から一対の視準部を通ってサービス位置に至る視準線が、それぞれ視準部と直角または直角により近い角度で交差するため、サービス高判定を容易かつより正確にできる。
【0012】
本発明のサービス高判定装置において、一対の前記視準部にそれぞれ吊り下げられた一対の高さゲージを有する、とすることができる。
このような本発明では、サービス高判定装置をコート脇に設置し、スタンドで視準部の高さおよび姿勢を調整する際に、両側の高さゲージがちょうどコート面に接触する高さとすることで、両側の視準部の基準線をコート面から所定高さに水平に配置でき、サービス高さの判定を適切に行うことができる。
【0013】
本発明のサービス高判定装置において、前記支持体または前記視準部に設置された傾き検出器を有することが好ましい。
このような本発明では、支持体および視準部を所定の傾きに調整することで、視準線を水平に維持することができ、サービス高さの判定精度を確保できる。
このような傾き検出器としては、市販の気泡式水準器などが利用できる。また、支持体あるいは視準部から奥行き方向に伸びるアームを設置し、その先端に高さゲージを吊り下げた構成などを利用することもできる。
【0014】
本発明のサービス高判定装置において、前記支持体は、前記スタンドとしてカメラ用三脚を装着可能、とすることができる。
このような本発明では、市販の三脚を利用して構成でき、安定した支持が可能である。また、支持体自体に折り畳み式の脚部がある場合に比べ、支持体をコンパクトにできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取り扱いが容易で設置スペースを削減できるサービス高判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の全体を示す斜視図。
図2】前記第1実施形態の判定動作を示す模式図。
図3】前記第1実施形態の進展姿勢、判定姿勢、および格納姿勢を示す模式図。
図4】本発明の第2実施形態の進展姿勢および格納姿勢を示す模式図。
図5】本発明の第3実施形態の全体を示す斜視図。
図6】本発明の第4実施形態の全体を示す斜視図。
図7】本発明の第5実施形態の全体を示す斜視図。
図8】本発明の第6実施形態の判定姿勢の全体を示す斜視図。
図9】前記第6実施形態の進展姿勢の支持体を示す拡大平面図。
図10】前記第6実施形態の格納姿勢の支持体を示す拡大平面図。
図11】本発明の第7実施形態の高さゲージを示す側面図。
図12】前記第7実施形態の高さゲージを示す拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1図3には本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、サービス高判定装置1は、スタンド2に支持された支持体3と、支持体3から両側に延びる一対の視準部4と、を有し、一対の視準部4は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線5,6を有する。
【0018】
スタンド2は、市販のカメラ用三脚で構成されている。
支持体3は、直方体状の箱状部材であり、底面にはスタンド2を接続するためのねじ孔が設置されている。支持体3は、スタンド2に装着した状態では、スタンド2であるカメラ用三脚の首振り機能を利用して水平方向の向きや上下の迎角を任意に変更可能である。
支持体3の両側面には、それぞれ視準部4が接続されている。
【0019】
視準部4は、一対の透明板41を有する。一対の透明板41は、両端の連結部材42で連結され、互いに所定間隔で平行配置されている。
透明板41は、透明アクリル板で形成され、熱等による変形や湾曲を防止しつつ軽量化できるように、厚さ3〜3.5mmとされている。
透明板41の水平方向の長さは約400mmとされている。これは、選手によってサービス時の立ち位置が前後左右様々であることから、サービスコート全域を見通すことができる長さを考慮した数値である。
透明板41の高さ(垂直方向)は40〜45mmとされている。これは、視準性よび強度を考慮しつつ、収納性や携帯性を考慮した数値である。
【0020】
一対の透明板41の間隔は40〜100mmとされている。間隔が小さいと視準線8(図2参照)の水平が確保しにくく、判定に誤差が生じる可能性がある。一方、間隔が大きいと、視認性は向上するが設置や収納に好適でない。従って、前述の間隔が好ましい。
なお、透明板41としては、アクリルなどの透明な合成樹脂パネルのほか、ガラスなどを用いてもよい。連結部材42としては、市販のボルトナットを用いることができ、透明板41の端部に貫通孔を形成し、ボルトを通してダブルナットで締結することができる。あるいは、透明板41と同種のブロック材を用い、透明板41と接着剤で接着するようにしてもよい。
【0021】
一対の透明板41のうち、手前側の透明板41には基準線5が表示され、奥側の透明板41には基準線6が表示されている。
基準線5,6は、それぞれ透明板41の表面に溝状の刻印を形成し、塗料を塗布したものであり、透明板41の中間高さを水平に延びるように描かれている。基準線5,6としては、透明板41の表面に粘着テープを貼ったものなどでもよい。
手前側の基準線5は赤色とされ、奥側の基準線6は青色とされている。これらの配色は任意であり、他の色であってもよい。この際、基準線5,6を異なる色にすることで、視認性を高めることができる。
基準線5,6の幅は、それぞれ2〜4mm程度とされている。
【0022】
視準部4の各先端には、それぞれ高さゲージ7が設置されている。
高さゲージ7は、例えば連結部材42に接続された樹脂製チェンやワイヤなどの可撓性の線材71と、その先端に装着された重錐72で構成される。金属製チェンなど、それ自体の重量が大きい場合、重錐72は省略してもよい。
高さゲージ7は、長さが1.15m(国際ルールのサービス高さ上限)とされている。
【0023】
従って、サービス高判定装置1をコート脇に設置し、スタンド2で視準部4の高さおよび姿勢を調整する際に、両側の高さゲージ7がちょうどコート面に接触するか、あるいは高さゲージ7がやや撓む高さとなるようにすることで、両側の基準線5,6がコート面から1.15mの高さに水平に配置される。
【0024】
図2に示すように、基準線5,6がコート面から1.15mの高さに水平に配置された
状態では、サービス高さの審判員が、基準線5,6が重なるように視準することで、視準線8の延長上にあるシャトル9のサービス高さを判定することができる。
視準部4は、視準線8が水平に維持されることで、シャトル9のサービス高さの判定精度を確保できる。この判定精度を確保するために、支持体3の上面には、傾き検出器として、気泡式の水準器32が設置されている。サービス高判定装置1を設置する際に、水準器32で水平を確認することで、視準部4の傾き、つまり視準線8の傾きを解消できる。
傾き検出器としては、視準部4あるいは支持体3から奥行き方向(視準線8の方向)に伸びるアーム33を設置し、その先端に視準部4の先端と同様な高さゲージ7を吊り下げてもよい。視準部4の先端の高さゲージ7で視準部4の基本的な高さを設定したうえで、アーム33に吊り下げられた高さゲージ7でアーム33の先端の高さを設定することで、視準線8を水平に維持し、視準線8の傾きを防止できる。
【0025】
視準部4は、それぞれ支持体3に対して回動可能に接続されている。
図3において、支持体3には垂直な回動軸31が設けられ、視準部4はブラケットなどを介して回動軸31に接続され、水平な面に沿って回動可能である。
視準部4を最大限に拡げることで、図3の(A)部分に示す進展姿勢となる。進展姿勢では、一対の視準部4が支持体3を挟んで一直線上に配置される。
【0026】
進展姿勢から、視準部4をそれぞれ僅かに内側へ回動させることで、図3の(B)部分に示す判定姿勢となる。
判定姿勢では、基準線5,6を通る視準線8が、それぞれ視準部4に直交するように配置できる。この状態では、それぞれの視準部4で、コートの両側のサービス位置におけるシャトル9(図2参照)を正面から視準することができる。
視準部4を所望の判定姿勢で保持するために、支持体3の回動軸31に、視準部4の回動に抵抗するような所定の摩擦力などを付与してもよい。視準部4を判定姿勢で保持するストッパや、判定姿勢で凹凸係合するガイドなど、視準部4を所望の判定姿勢で保持するための構造を支持体3に設けてもよい。
【0027】
判定姿勢から、視準部4をさらに内側へ回動させることで、図3の(C)部分に示す格納姿勢となる。
格納姿勢では、一対の視準部4が平行に並び、長さが進展姿勢の約半分となる。従って、サービス高判定装置1は、視準部4を格納姿勢とするとともに、高さゲージ7を巻き取るか束ねるかしたうえで、支持体3からスタンド2を取り外すことで、運搬時あるいは収納時にコンパクトにすることができる。
なお、支持体3における回動軸31の水平位置は、一対の視準部4が平行に並んだ際に互いの隙間が小さくなるように、支持体3の両面から奥まった位置に設定されている。
【0028】
上述した第1実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、両側一対の視準部4により、それぞれサービス高判定を行うことができる。これらの一対の視準部4は、共通の支持体3ないしスタンド2で支持され、取り扱いが容易かつ設置スペースを削減できる。
【0029】
本実施形態では、一対の視準部4は、所定間隔で平行配置された2枚の透明板41を有し、基準線5,6を透明板41の各々に表示した。このため、細い基準線5,6であっても、透明板41により所定高さ位置に確実に配置することができる。
本実施形態では、平行配置された一対の基準線5,6を、互いに異なる色彩(赤および青)で表示した。このため、各側の視準部4において、互いに異なる配色の基準線どうしを見比べることで視準線8を見出すことができ、判定動作を容易かつ正確にできる。
【0030】
本実施形態では、一対の視準部4が、それぞれ支持体3に対して回動可能に接続した。このため、一対の視準部4を、進展姿勢から格納姿勢まで折り畳むことができ、運搬時ないし収納時にコンパクト化できる。
さらに、一対の視準部4を、各々の両端側が支持体3側より手前にある判定姿勢で保持可能とした。このため、判定員から一対の視準部4(基準線5,6)を通ってサービス位置に至る視準線8が、それぞれ視準部4と直角または直角により近い角度で交差するため、サービス高判定を容易かつより正確にできる。
【0031】
本実施形態では、一対の視準部4にそれぞれ吊り下げられた一対の高さゲージ7を設けた。このため、サービス高判定装置1をコート脇に設置し、スタンド2で視準部の高さおよび姿勢を調整する際に、両側の視準部4の基準線5,6をコート面から所定高さに水平に配置でき、サービス高さの判定を適切に行うことができる。
とくに、本実施形態では、高さゲージ7を可撓性の線材71と重錐72で構成したため、吊り下げて先端がコート床面に接触するように配置すればよく、設置時の調整が容易であるとともに、格納も容易である。
【0032】
本実施形態では、傾き検出器として、支持体3に気泡式の水準器32、または、高さゲージ7を有するアーム33を設置した。このため、支持体3および視準部4を所定の傾きに調整することで、視準線8を水平に維持することができ、サービス高さの判定精度を確保できる。
本実施形態では、支持体3はカメラ用三脚を装着可能とした。このため、スタンド2として市販の三脚を利用でき、安定した支持が可能である。また、支持体3自体に折り畳み式の脚部がある場合に比べ、支持体をコンパクトにできる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図4には本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態のサービス高判定装置1Aは、前述した第1実施形態のサービス高判定装置1と同様な構成を有するが、一対の視準部4を格納するための構成が相違する。
前述した第1実施形態のサービス高判定装置1では、一対の視準部4が支持体3に回動可能に接続され、進展姿勢から2つ折りに畳むことで格納姿勢になった。
これに対し、本実施形態のサービス高判定装置1Aでは、一対の視準部4の一方が支持体3に固定されるとともに、他方が図示しないスライド機構を介して支持体3にスライド可能に接続されている。スライド機構としては、ガイドレールとこれを摺動自在に支持するホルダとの組み合わせなどが適宜利用できる。
【0034】
図4の(A)部分に示すように、スライド可能な視準部4を最大限に引き出すことで、一対の視準部4は進展姿勢となる。一方、スライド可能な視準部4をスライドさせ、支持体3に固定された視準部4と平行に並べることで、一対の視準部4を格納姿勢とすることができる。
なお、支持体3とスライド可能な視準部4との間のスライド機構を、垂直な軸まわりに回動可能に支持することで、第1実施形態と同様な一対の視準部4がやや手前になる判定姿勢とすることができる。
【0035】
〔第3実施形態〕
図5には本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態のサービス高判定装置1Bは、前述した第1実施形態のサービス高判定装置1と同様な構成を有するが、視準部4Bが一連の部材で形成されている。
すなわち、本実施形態においては、一対の透明板41Bが前述した第1実施形態の2倍の長さを有する。支持体3BはC字形の金具とされ、一対の透明板41Bの間に固定されている。
このような第3実施形態によれば、第1実施形態のような格納姿勢および判定姿勢が得られないが、一対の視準部4Bが一連の部材で形成されるため、装置構成をきわめて簡素にできる。
なお、第3実施形態においても、スタンド2である三脚を支持体3Bから取り外すことで、一連の視準部4Bが直線状になり、運搬および収納が容易である。
【0036】
〔第4実施形態〕
図6には本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態のサービス高判定装置1Cは、前述した第1実施形態のサービス高判定装置1と同様な構成を有するが、一対の視準部4Cが第1実施形態とは異なる。
すなわち、第1実施形態では、視準部4は、それぞれ基準線5,6が表示された2枚の透明板41を連結部材42で連結して平行に配置していた。
これに対し、第4実施形態では、視準部4Cは、長尺矩形のフレーム43の中間に、長手方向に沿って線材44を張って形成されている。
フレーム43は、金属製の枠体などで構成され、線材44は例えばピアノ線などで形成される。線材44には、第1実施形態と同様な赤青の着色が施され、これにより基準線5,6が形成されている。一対の視準部4Cは、第1実施形態と同様な連結部材42で連結されて平行に配置されている。
このような第4実施形態の視準部4Cでも、第1実施形態の視準部4と同様な機能が得られ、サービス高判定装置1Cとして第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0037】
〔第5実施形態〕
図7には本発明の第5実施形態が示されている。
本実施形態のサービス高判定装置1Dは、前述した第1実施形態のサービス高判定装置1と同様な構成を有するが、一対の視準部4Dが第1実施形態とは異なる。
すなわち、第1実施形態では、視準部4は、それぞれ基準線5,6が表示された2枚の透明板41を、表面が垂直になる状態で平行に配置していた。
これに対し、第5実施形態では、視準部4Dは、それぞれ1枚の水平な板材45で形成される。板材45の両側縁に沿った領域46,47は、上面から端縁を経て下面まで塗料あるいはフィルム貼付などにより着色されている。このうち、手前側の領域46は赤色とされ、赤色とされた手前側の端縁により基準線5が形成される。また、奥側の領域47は青色とされ、青色とされた奥側の端縁により基準線6が形成される。
【0038】
このような視準部4Dは、それぞれ水平な板材である支持体3Dの両側縁に接続されている。視準部4Dと支持体3Dとは、水平な回動軸を有するヒンジなどを介して接続されている。視準部4Dと支持体3Dとの間には、視準部4Dが水平な状態よりも下方へ回動することを規制する図示しないストッパが設置されている。
従って、視準部4Dは、支持体3Dに対して両側へ水平に延びる進展姿勢から、先端を上方へ跳ね上げ、これにより一対の視準部4Dが平行に並ぶ格納姿勢まで変化させることができる。
なお、視準部4Dと支持体3Dとの間のヒンジを、垂直な軸まわりに回動可能に支持することで、第1実施形態と同様な一対の視準部4がやや手前になる判定姿勢とすることができる。
このような第5実施形態の視準部4Dでも、第1実施形態の視準部4と同様な機能が得られ、サービス高判定装置1Cとして第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0039】
〔第6実施形態〕
図8ないし図10には本発明の第6実施形態が示されている。
本実施形態のサービス高判定装置1Eは、前述した第1実施形態のサービス高判定装置1と同様な構成を有するが、支持体3Eが第1実施形態とは異なる。
すなわち、第1実施形態では、視準部4は、2本の回動軸31によりそれぞれ支持体3に対して水平な面に沿って回動可能に接続されていた。
これに対し、第6実施形態では、一方の視準部4(図8で左側)がスタンド2に固定されるとともに、他方の視準部4(図8で右側)が一方の視準部4に対して水平な面に沿って回動可能に接続されている。本実施形態において、スタンド2、視準部4および高さゲージ7など支持体3以外の構成は、前述した第1実施形態と同じである。
【0040】
図8において、支持体3Eは一対の支持部材34,35およびヒンジ36で構成されている。
図9および図10に示すように、支持部材34,35は、それぞれ鋼板などをU字状に折り曲げて形成された部材であり、視準部4の透明板41に沿って配置可能な一対の側面部341,342,351,352および底面部343、353を有する。
【0041】
支持部材34は、側面部341,342が一方の視準部4(図9で左側、図10で上側)に固定される。固定にあたっては、視準部4の透明板41に側面部341,342を沿わせ、連結部材42のボルトで共締めされる。
支持部材34は、底面部343に挿通されたボルト340でスタンド2に固定される。底面部343には、支持部材35側へ突出する舌状部344が形成され、固定用のボルト340は舌状部344の根元部分に挿通されている。
【0042】
支持部材35は、側面部351,352で他方の視準部4(図9で右側、図10で下側)に固定される。固定にあたっては、視準部4の透明板41に側面部341,342を沿わせ、連結部材42のボルトで共締めされる。
支持部材35の底面部353には、支持部材34の舌状部344を収容可能な凹状部354が形成されている。
支持部材35は、ヒンジ36を介して支持部材34に接続される。
【0043】
ヒンジ36は、一対のプレート361,362が回動軸となるピン363で連結された汎用の部品であり、回動軸が垂直方向になる状態で配置されている。プレート361は、透明板41を介して支持部材34の側面部342に沿わされ、連結部材42のボルトで共締めされている。プレート362は、透明板41を介して支持部材35の側面部352に沿わされ、連結部材42のボルトで共締めされている。
【0044】
このような支持部材34,35およびヒンジ36により、支持部材35に支持された視準部4は、支持部材34に支持された視準部4およびスタンド2に対して水平な面に沿って回動可能である。すなわち、図9に示す状態では、一対の視準部4が一直線に配置される進展姿勢となる。一方、図10に示す状態では、一対の視準部4が平行に並んで折り畳まれた格納姿勢となる。さらに、図8に示す状態では、一対の視準部4が所定の角度をなす判定姿勢となる。
【0045】
なお、支持部材34の舌状部344の外周縁、および支持部材35の凹状部354の内周縁は、他方の視準部4を回動させた際に相互に干渉しないように、先端を丸めるなどの加工がされている。
また、ヒンジ36は、回動の際に所定の抵抗が生じるトルクヒンジとされ、一方の視準部4に対して他方の視準部4を回動させた際には、回動を止めた角度位置が保持される。
【0046】
本実施形態において、支持部材34の底面には、前述した第1実施形態と同様な円盤上の水準器32が設置されている。これとは別に、支持部材35の手前側の側面部には、円筒状の気泡式の水準器32Eが設置され、支持部材35に接続された視準部4の長手方向の傾きを検出可能である。
支持体3Eをスタンド2に固定した際には、先ず水準器32で支持部材34に支持された一方の視準部4の水平度を確認し、次に水準器32Eで支持部材35に支持された他方の視準部4の水平度を確認し、必要によりスタンド2の傾き調整を行う。この際、支持部材35に支持された他方の視準部4を、支持部材34に支持された一方の視準部4に対して回動させ、例えば両方の視準部4が一直線になる状態と、両方の視準部4が直角になる状態とで水平を確認することで、サービス高判定装置1Eとしての全体の水平度を確保することができる。
【0047】
〔第7実施形態〕
前述した各実施形態では、視準部4の各先端に、それぞれ連結部材42に樹脂製チェンやワイヤなどの可撓性の線材71を介して重錐72を吊り下げて、高さ1.15mを計測する高さゲージ7を設置していた。これに対し、本実施形態では、線材71に代えて市販の巻尺を用いる。
図11において、視準部4の先端には、高さゲージ7Fが設置されている。高さゲージ7F以外の構成は、前述した各実施形態のサービス高判定装置1〜1Eのいずれかと同じである。
図12に示すように、巻尺73は目盛付きのテープ74を巻いてケースに収容した市販の巻尺である。巻尺73から引き出されるテープ74の先端には重錐72が装着され、テープ74の目盛の「115cm」部分には基準線5,6の幅に対応したマーカ75が着色されている。
【0048】
使用時には、巻尺73からテープ74を引き出し、重錐72をテープ74で吊り下げるとともに、テープ74のマーカ75周辺部分を視準部4の先端の透明板41の表面に沿わせる。そして、マーカ75が基準線5,6に重なった状態で、テープ74を視準部4に粘着テープなどで固定する。巻尺73自体は、視準部4に吊り下げておけばよい。
これにより、視準部4の先端に、長さが1.15m(国際ルールのサービス高さ上限)の高さゲージ7Fが形成される。
使用が済んだら、テープ74を視準部4から外して巻尺73に巻き取り、サービス高判定装置1とともに搬送ないし保管する。
【0049】
〔第8実施形態〕
前述した各実施形態では、視準部4の基準線5,6が赤色および青色で表示されていたが、本実施形態では、手前側の基準線5が緑色の蛍光色、奥側の基準線6がピンク色の蛍光色で表示されている。本実施形態において、基準線5,6の色以外の構成は、前述した各実施形態と同じである。
本実施形態において、基準線5の緑色と基準線6のピンク色とは、互いに補色関係となる色、つまり汎用されるマンセル色相環で反対側にある2色とされる。これらの2色は、基準線5,6を形成する塗料またはテープに、有機蛍光顔料を添加することで、蛍光色とすることができる。
さらに、本実施形態では、手前側の基準線5の緑色よりも、奥側の基準線6のピンク色の明度が高くされている。
【0050】
このような本実施形態では、基準線5,6が補色関係であることで、互いの色を引き立て合う「補色調和」といわれる相乗効果が得られ、視準部4としての視認性を高めることができる。
また、基準線5,6が蛍光色であるため、入射光に対して蛍光を生じて明瞭な表示とすることができ、視準部4としての視認性を高めることができる。
さらに、手前側の基準線5の緑色よりも、奥側の基準線6のピンク色の明度が高くされているため、視準部4としての視認性を高めることができる。
【0051】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記第1ないし第7の実施形態では、それぞれ基準線5,6を赤色および青色に着色し、前記第8実施形態では互いに補色となる緑色とピンク色に着色したが、これらは別の色、例えば黄色と緑色などとしてもよい。さらに、基準線5,6を互いに異なる色彩とすることは本発明に必須ではなく、同じ色としてもよい。
【0052】
前記実施形態では、それぞれ視準部4,4B,4C,4Dに高さゲージ7を設置したが、高さゲージ7は本発明に必須ではなく、省略してもよい。ただし、高さゲージ7を省略した場合、基準線5,6の高さを別途巻き尺などで測定する必要がある。このため、高さゲージ7を設置することが望ましい。
前記実施形態において、傾き検出器としての水準器32および高さゲージ7を有するアーム33は、いずれか一方でも視準線8の傾きを検出できるが、これらの両方を設置してもよい。
前記実施形態では、それぞれスタンド2として市販のカメラ用三脚を用いたが、支持体3に専用の脚部を形成してスタンド2としてもよい。ただし、市販のカメラ用三脚を用いることで、安定した支持が可能であり、支持体3自体に折り畳み式の脚部を形成する場合に比べ、支持体3をコンパクトにできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、バドミントン競技のサービス高さを判定するサービス高判定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B,1C,1D,1E…サービス高判定装置、2…スタンド、3,3B,3D,3E…支持体、31…回動軸、32,32E…傾き検出器である水準器、33…傾き検出器であるアーム、34,35…支持部材、340…ボルト、341,342,351,352…側面部、343,353…底面部、344…舌状部、354…凹状部、36…ヒンジ、361,362…プレート、363…ピン、4,4B,4C,4D…視準部、41,41B…透明板、42…連結部材、43…フレーム、44…線材、45…板材、46,47…基準線となる領域、5,6…基準線、7,7F…高さゲージ、71…線材、72…重錐、73…巻尺、74…テープ、75…マーカ、8…視準線、9…シャトル。
【要約】
【課題】取り扱いが容易で設置スペースを削減できるサービス高判定装置を提供する。
【解決手段】サービス高判定装置1は、スタンド2に支持された支持体3と、支持体3から両側に延びる一対の視準部4と、を有し、一対の視準部4は、それぞれ所定間隔で平行配置された一対の基準線5,6を有する。視準部4は、一対の透明板41を平行配置したものであり、その中間に表示された基準線5,6は異なる色彩とされている。視準部4には、それぞれ高さゲージ7が吊り下げられている。支持体3は、スタンド2として市販のカメラ用三脚を用いている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12