特許第6659912号(P6659912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659912
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両用作動許可装置
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/00 20060101AFI20200220BHJP
   B62H 5/02 20060101ALI20200220BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20200220BHJP
   B60R 25/0215 20130101ALI20200220BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20200220BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20200220BHJP
【FI】
   B62H5/00 Z
   B62H5/02
   B60R25/24
   B60R25/0215
   E05B49/00 J
   E05B83/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-507369(P2019-507369)
(86)(22)【出願日】2018年7月25日
(86)【国際出願番号】JP2018027900
(87)【国際公開番号】WO2019031247
(87)【国際公開日】20190214
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-152586(P2017-152586)
(32)【優先日】2017年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】栗山 和幸
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−20280(JP,A)
【文献】 特開2006−306136(JP,A)
【文献】 特開2000−17913(JP,A)
【文献】 特開2010−24632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/00
B60R 25/0215
B60R 25/24
B62H 5/02
E05B 49/00
E05B 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両に搭載される車載機と、携帯機とを備え、
前記車載機は、
第1制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第1操作部と、
前記第1操作部とは異なる位置に配置され、第2制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第2操作部と、
前記第1操作部または前記第2操作部が操作を受け付けた場合にリクエスト信号を送信する車載機側送信部と、
車載機側受信部と、
制御部とを備え、
前記車載機側送信部は、送信アンテナを備え、
前記送信アンテナと前記第2操作部との距離は、前記送信アンテナと前記第1操作部との距離以上であり、
前記携帯機は、
前記リクエスト信号を受信する携帯機側受信部と、
前記リクエスト信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、
前記リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する携帯機側送信部とを備え、
前記携帯機は、前記リクエスト信号の前記受信強度を示す情報を前記アンサー信号に含め、
前記制御部は、前記第1操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が第1閾値以上の場合に、前記第1制御対象の作動を許可し、
前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合に、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が前記第1閾値未満であっても、前記第2制御対象の作動を許可する、
鞍乗型車両用作動許可装置。
【請求項2】
鞍乗型車両に搭載される車載機と、携帯機とを備え、
前記車載機は、
第1制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第1操作部と、
前記第1操作部とは異なる位置に配置され、第2制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第2操作部と、
前記第1操作部または前記第2操作部が操作を受け付けた場合にリクエスト信号を送信する車載機側送信部と、
車載機側受信部と、
制御部とを備え、
前記車載機側受信部は、受信アンテナを備え、
前記受信アンテナと前記第2操作部との距離は、前記受信アンテナと前記第1操作部との距離以上であり、
前記携帯機は、
前記リクエスト信号を受信する携帯機側受信部と、
前記リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する携帯機側送信部とを備え、
前記車載機は、前記アンサー信号の受信強度を検出する受信強度検出部を更に備え、
前記制御部は、前記第1操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が第2閾値以上の場合に、前記第1制御対象の作動を許可し、
前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合に、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が前記第2閾値未満であっても、前記第2制御対象の作動を許可する、
鞍乗型車両用作動許可装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が前記第1閾値よりも小さい第3閾値以上の場合に、前記第2制御対象の作動を許可する、
請求項1に記載の鞍乗型車両用作動許可装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が前記第2閾値よりも小さい第4閾値以上の場合に、前記第2制御対象の作動を許可する、
請求項2に記載の鞍乗型車両用作動許可装置。
【請求項5】
前記第1制御対象は、ハンドルのロックを解除するソレノイドであり、
前記第2制御対象は、収納ボックスの施錠を解除するアクチュエータであり、
前記第2操作部は、前記鞍乗型車両の後端に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用作動許可装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両用作動許可装置に関する。
本願は、2017年08月07日に出願された日本国特願2017−152586号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが携帯する電子キーと、スクーターなどの自動二輪車に搭載された制御装置(車載機)とを備える電子キーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、携帯機と、車両に搭載された制御装置とを備える車両用ドアロック制御システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載された車両用ドアロック制御システムでは、車両の送信アンテナの指向性と受信アンテナの指向性とが異なるように、送信アンテナおよび受信アンテナが構成される。車両から送信されたリクエスト信号が携帯機に受信されると、リクエスト信号の受信強度が携帯機側受信強度として付加されたアンサーバック信号が、携帯機から送信される。そのアンサーバック信号が車両により受信されると、受信されたアンサーバック信号の受信強度が、車両側受信強度として判定される。車両側受信強度が第1の所定レベル以上である場合には、ドアがアンロック状態に制御される。一方、車両側受信強度が第1の所定レベル未満である場合には、アンサーバック信号に付加された携帯機側受信強度が判定される。携帯機側受信強度が第2の所定レベル以上である場合にも、ドアがアンロック状態に制御される。すなわち、アンサーバック信号の受信強度が小さくても、携帯機が測定したリクエスト信号の受信強度が所定以上の場合には、ドアがアンロック状態に制御される(つまり、ドアのアンロックが許可される)。
【0004】
また、携帯端末と、車両に搭載された車載制御装置とを備える車両遠隔操作装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載された車両遠隔操作装置では、車載制御装置が、受信強度検出部と、受信強度比較部と、機器制御部とを備える。受信強度検出部は、操作信号の受信強度を検出する。受信強度比較部は、受信強度と所定値とを比較する。機器制御部は、受信強度比較部による比較結果において受信強度がその所定値以下である場合に車両の所定機器の動作(例えば、スライドドアの閉動作)を禁止する。
【0005】
また、電子キーと、車載機とを備える電子キーシステムが知られている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4に記載された電子キーシステムでは、セキュリティ上の重要度が高い車両ドアの解錠またはスライドドアの開動作が、第1の遠隔制御可能エリアにおいて遠隔制御可能である。セキュリティ上の重要度が低い車両ドアの施錠またはエンジンの始動は、第1の遠隔制御可能エリアよりも大きい第2の遠隔制御可能エリアにおいて遠隔制御可能である。電子キーから送信され、車載機が受信した要求信号の受信強度が閾値以下の場合、車両ドアの施錠またはエンジンの始動が遠隔制御可能であり、車両ドアの解錠またはスライドドアの開動作は遠隔制御できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特開2004−114980号
【特許文献2】日本国特開2000−017913号
【特許文献3】日本国特開2010−024632号
【特許文献4】日本国特開2011−228781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述したように、特許文献1から特許文献4に記載の発明では、車両における操作部と通信機の位置関係について考慮がなされておらず、適切に作動を許可することができない場合があった。
【0008】
本発明に係る態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、複数の制御対象の作動を適切に許可することができる鞍乗型車両用作動許可装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明の一態様に係る鞍乗型車両用作動許可装置は、鞍乗型車両に搭載される車載機と、携帯機とを備え、前記車載機は、第1制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第1操作部と、前記第1操作部とは異なる位置に配置され、第2制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第2操作部と、前記第1操作部または前記第2操作部が操作を受け付けた場合にリクエスト信号を送信する車載機側送信部と、車載機側受信部と、制御部とを備え、前記車載機側送信部は、送信アンテナを備え、前記送信アンテナと前記第2操作部との距離は、前記送信アンテナと前記第1操作部との距離以上であり、前記携帯機は、前記リクエスト信号を受信する携帯機側受信部と、前記リクエスト信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、前記リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する携帯機側送信部とを備え、前記携帯機は、前記リクエスト信号の前記受信強度を示す情報を前記アンサー信号に含め、前記制御部は、前記第1操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が第1閾値以上の場合に、前記第1制御対象の作動を許可し、前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合に、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が前記第1閾値未満であっても、前記第2制御対象の作動を許可する。
【0010】
上記(1)の態様によれば、送信アンテナと第2操作部との距離は、送信アンテナと第1操作部との距離以上であり、制御部は、リクエスト信号の受信強度が第1閾値以上の場合に、第1制御対象の作動を許可し、リクエスト信号の受信強度が第1閾値未満であっても、第2制御対象の作動を許可する。そのため、送信アンテナが第1制御対象の作動の許可に必要な信号を送信する場合の送信出力と、送信アンテナが第2制御対象の作動の許可に必要な信号を送信する場合の送信出力とを異ならせる必要がない。その結果、第1制御対象の作動の許可に必要な信号の送信時の送信出力と第2制御対象の作動の許可に必要な信号の送信時の送信出力とを異ならせる場合よりも、車載機側送信部の構成を簡略化することができる。つまり、第1制御対象の作動および第2制御対象の作動を適切に許可することができる。
【0011】
(2)本発明の一態様に係る鞍乗型車両用作動許可装置は、鞍乗型車両に搭載される車載機と、携帯機とを備え、前記車載機は、第1制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第1操作部と、前記第1操作部とは異なる位置に配置され、第2制御対象の作動を要求する操作を受け付ける第2操作部と、前記第1操作部または前記第2操作部が操作を受け付けた場合にリクエスト信号を送信する車載機側送信部と、車載機側受信部と、制御部とを備え、前記車載機側受信部は、受信アンテナを備え、前記受信アンテナと前記第2操作部との距離は、前記受信アンテナと前記第1操作部との距離以上であり、前記携帯機は、前記リクエスト信号を受信する携帯機側受信部と、前記リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する携帯機側送信部とを備え、前記車載機は、前記アンサー信号の受信強度を検出する受信強度検出部を更に備え、前記制御部は、前記第1操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が第2閾値以上の場合に、前記第1制御対象の作動を許可し、前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合に、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が前記第2閾値未満であっても、前記第2制御対象の作動を許可する。
【0012】
上記(2)の態様によれば、受信アンテナと前記第2操作部との距離は、前記受信アンテナと前記第1操作部との距離以上であり、制御部は、アンサー信号の受信強度が第2閾値以上の場合に、第1制御対象の作動を許可し、アンサー信号の受信強度が第2閾値未満であっても、第2制御対象の作動を許可する。そのため、携帯機側送信部が第1制御対象の作動の許可に必要な信号を送信する場合の送信出力と、携帯機側送信部が第2制御対象の作動の許可に必要な信号を送信する場合の送信出力とを異ならせる必要がない。その結果、第1制御対象の作動の許可に必要な信号の送信時の送信出力と第2制御対象の作動の許可に必要な信号の送信時の送信出力とを異ならせる場合よりも、携帯機側送信部の構成を簡略化することができる。つまり、第1制御対象の作動および第2制御対象の作動を適切に許可することができる。
【0013】
(3)上記(1)の態様において、前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記リクエスト信号の前記受信強度が前記第1閾値よりも小さい第3閾値以上の場合に、前記第2制御対象の作動を許可してもよい。
【0014】
上記(3)の場合、受信強度検出部が検出したリクエスト信号の受信強度が小さい場合に第2制御対象の作動を禁止することができる。
【0015】
(4)上記(2)の態様において、前記制御部は、前記第2操作部が操作を受け付けた場合、かつ、前記車載機側受信部が前記アンサー信号を受信した場合、かつ、前記受信強度検出部が検出した前記アンサー信号の前記受信強度が前記第2閾値よりも小さい第4閾値以上の場合に、前記第2制御対象の作動を許可してもよい。
【0016】
上記(4)の場合、受信強度検出部が検出したアンサー信号の受信強度が小さい場合に第2制御対象の作動を禁止することができる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの態様において、前記第1制御対象は、ハンドルのロックを解除するソレノイドであり、前記第2制御対象は、収納ボックスの施錠を解除するアクチュエータであり、前記第2操作部は、前記鞍乗型車両の後端に配置されてもよい。
【0018】
上記(5)の場合、ハンドルロック解除用ソレノイドの作動および収納ボックス施錠解除用アクチュエータの作動を適切に許可することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る態様によれば、複数の制御対象の作動を適切に許可することができる鞍乗型車両用作動許可装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置の一例を示す構成図である。
図2】リクエスト信号の受信強度を説明するための図である。
図3】車載機が鞍乗型車両に搭載される要件を説明するための図である。
図4】仮に車載機の送信アンテナが第1操作部の位置に配置された場合におけるスマート通信可能エリアを説明するための図である。
図5】仮に車載機の送信アンテナが鞍乗型車両の概略中心位置(シートの横の位置)に配置された場合におけるスマート通信可能エリアを説明するための図である。
図6】第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置における車載機の送信アンテナと第1操作部と第2操作部との位置関係などを示す図である。
図7】ハンドルのロック解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】収納ボックスの施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図9】第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置の収納ボックスの施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図10】第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置におけるリクエスト信号の受信強度が第3閾値以上のエリアを説明するための図である。
図11】第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置の一例を示す構成図である。
図12】第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置のハンドルのロック解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図13】第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置の収納ボックスの施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1の一例を示す構成図である。鞍乗型車両用作動許可装置1は、車載機100と、携帯機200とを備える。車載機100は、例えばスクーターなどのような鞍乗型車両に搭載される。携帯機200は、ユーザが鞍乗型車両を使用する場合にユーザによって携帯される。車載機100は、ハンドルロック部110と、収納ボックス施錠部120と、制御ユニット130と、バッテリ140と、リレー150とを備える。
【0023】
ハンドルロック部110は、例えば特開2015−68131号公報に記載されたロック機構と同様に構成されている。ハンドルロック部110は、鞍乗型車両のハンドル(図示せず)のロック状態とロック解除状態とを切り替える。ハンドルロック部110は、第1制御対象としてのソレノイド111と、第1操作部112とを備える。ソレノイド111は、例えば特開2015−68131号公報に記載されたソレノイドと同様に構成されている。ハンドルのロック状態では、ソレノイド111に対する通電が行われず、ハンドルのロック解除状態では、ソレノイド111に対する通電が行われる。第1操作部112は、例えば特開2015−68131号公報に記載されたイグニッションノブと同様に構成されており、少なくともON位置とOFF位置とを有する。第1操作部112は、ソレノイド111に対する通電(つまり、ハンドルのロックを解除するためにイグニッションノブが回動可能になるようなロックピンの解除)を要求するユーザ操作を受け付ける。ユーザが第1操作部112をON位置に配置すると、後述する条件を満足する場合に、ソレノイド111に対する通電が行われ、ハンドルのロック状態が解除可能になる。
【0024】
収納ボックス施錠部120は、鞍乗型車両の後端(シートの後ろ側)に配置された収納ボックスB1(図4参照)の施錠状態と施錠解除状態とを切り替える。収納ボックス施錠部120は、第2制御対象としてのアクチュエータ121と、第2操作部122とを備える。アクチュエータ121は、モータと減衰機構(いずれも図示せず)とを有し、収納ボックスB1が備える錠と、駆動力伝達用のロッド又はワイヤ等で接続されており、上記錠のロック状態とアンロック状態とを切り替え可能とする。第2操作部122は、プッシュスイッチで構成され、収納ボックスB1の車両後端側の面に配置されている(図4参照)。第2操作部122は、アクチュエータ121の作動(つまり、収納ボックスB1の施錠解除)を要求するユーザ操作を受け付ける。ユーザが第2操作部122を操作すると、後述する条件を満足する場合に、アクチュエータ121が作動し、収納ボックスB1の施錠状態が解除される。
【0025】
制御ユニット130は、車両の略中心、具体的にはシート下方の内部に配置され、第1操作部112、第2操作部122、バッテリ140及びアクチュエータ121と電気的に接続されており、ソレノイド111の制御、アクチュエータ121の制御などを行う。制御ユニット130は、電源回路131と、ソレノイド駆動回路132とアクチュエータ駆動回路133と、入力回路134と、制御部135と、送信部136と、受信部137とを備える。電源回路131は、バッテリ140からリレー150を介して入力される入力電力から、制御部135などにおいて必要とされる出力電力を生成する。ソレノイド駆動回路132は、制御部135からの制御信号に基づいて、ソレノイド111に駆動電流を供給する。アクチュエータ駆動回路133は、制御部135からの制御信号に基づいて、アクチュエータ121に駆動電流を供給する。入力回路134は、第1操作部112が、ソレノイド111に対する通電(つまり、ハンドルのロック解除)を要求するユーザ操作を受け付けた場合、その旨を示す信号を制御部135に入力する。また、入力回路134は、第2操作部122が、アクチュエータ121の作動(つまり、収納ボックスB1の施錠解除)を要求するユーザ操作を受け付けた場合、その旨を示す信号を制御部135に入力する。
【0026】
制御部135は、暗号処理部135Aと、受信強度判定部135Bとを備える。暗号処理部135Aと、受信強度判定部135Bとのうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0027】
暗号処理部135Aは、受信部137が受信した信号を復号する処理を行い、受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号であるか否かの照合を行う。受信強度判定部135Bは、車載機100から送信され、携帯機200が受信した信号(詳細には、後述するリクエスト信号)の受信強度が第1閾値以上であるか否かの判定などを行う。
【0028】
送信部136は、リクエスト信号の送信を行う。リクエスト信号とは、第1操作部112が、ソレノイド111に対する通電(つまり、ハンドルのロック解除)を要求するユーザ操作を受け付けた場合、あるいは、第2操作部122が、アクチュエータ121の作動(つまり、収納ボックスB1の施錠解除)を要求するユーザ操作を受け付けた場合に、送信部136が送信する信号である。送信部136は、駆動回路136Aと、送信アンテナ136Bとを備える。駆動回路136Aは、制御部135からの制御信号に基づき、リクエスト信号を送信するための駆動電流を送信アンテナ136Bに供給する。送信アンテナ136Bは、電波を放射することによって、リクエスト信号を送信する。
【0029】
受信部137は、アンサー信号の受信を行う。アンサー信号とは、携帯機200がリクエスト信号を受信し、かつ、後述する条件を満足する場合に、携帯機200が送信する信号である。受信部137は、受信アンテナ137Bと、受信回路137Aとを備える。受信アンテナ137Bは、携帯機200が送信した電波を捕捉する。受信回路137Aは、受信アンテナ137Bが捕捉した電波から、アンサー信号を得る。
【0030】
また、制御ユニット130内の各回路と制御ユニット130外の各部品との接続について説明すると、まずバッテリ140のリレー150は電源回路131に接続されている。
電源回路131は、ソレノイド111の一端に接続されている。ソレノイド111の他端は、ソレノイド駆動回路132に接続されている。入力回路134は、第1操作部112の一端に接続されている。第1操作部112の他端は接地されている。また、入力回路134は、第2操作部122の一端に接続されている。第2操作部122の他端は接地されている。アクチュエータ駆動回路133は、アクチュエータ121に接続されている。制御ユニット130は接地されている。
【0031】
携帯機200は、例えば、電源部210と、受信部220と、制御部230と、送信部240とを備える。電源部210は、必要とされる電力を制御部230などに対して供給する。受信部220は、車載機100が送信したリクエスト信号の受信を行う。受信部220は、受信アンテナ221を備える。受信アンテナ221は、車載機100が送信した電波を捕捉する。
【0032】
制御部230は、暗号処理部231と、受信強度検出部232とを備える。暗号処理部231と、受信強度検出部232とのうち一部または全部は、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。
【0033】
暗号処理部231は、受信部220が受信した信号を復号する処理を行い、受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号であるか否かの照合を行う。受信強度検出部232は、車載機100から送信され、受信部220が受信したリクエスト信号の受信強度を検出(計測)する。
【0034】
送信部240は、リクエスト信号に対するアンサー信号の送信を行う。送信部240は、送信アンテナ241と、送信用IC(Integrated Circuit)242とを備える。送信用IC242は、制御部230からの制御信号に基づき、アンサー信号を送信するための駆動電流を送信アンテナ241に供給する。送信アンテナ241は、電波を放射することによって、アンサー信号を送信する。送信部240がアンサー信号を送信する場合、制御部230は、リクエスト信号の受信強度を示す情報をアンサー信号に含める。
【0035】
図2は、リクエスト信号の受信強度を説明するための図である。詳細には、図2は、仮に、車載機100の送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの中心位置に配置された場合に送信アンテナ136Bから送信される信号(例えば、リクエスト信号)の受信電界強度RSSI(Received Signal Strength Indicator)の分布を示す図である。図2に示すように、送信アンテナ136Bから送信される信号の受信電界強度RSSIは、送信アンテナ136Bから離れるほど低下する。従って、リクエスト信号を送信する車載機100の送信アンテナ136Bと携帯機200との距離が大きくなるほど、携帯機200の受信部220が受信するリクエスト信号の受信強度は低下する。
【0036】
図3は、車載機100が鞍乗型車両Bに搭載される要件を説明するための図である。図3において、AR1は鞍乗型車両Bからの距離が2m未満のエリアを示し、AR2は鞍乗型車両Bからの距離が2m以上のエリアを示す。ここで、携帯機200を携帯するユーザが鞍乗型車両Bから2m以上離れている場合であっても、第1操作部112を操作してハンドルのロック状態を解除できる状態に鞍乗型車両Bが設定されていると、第三者による鞍乗型車両Bの盗難のおそれが生じてしまう。従って、鞍乗型車両Bの盗難を防止するためには、携帯機200がエリアAR1外に位置する場合に、車載機100と携帯機200とが通信できないように設定し、さらに、携帯機200がエリアAR1内であってリクエスト信号の受信強度が第1閾値未満になるエリアに位置する場合に、第1閾値を設定する必要がある。このように、携帯機200が受信するリクエスト信号の受信強度が第1閾値以上になるエリアをスマート通信可能エリアとして設定する。
【0037】
図4は、仮に車載機100の送信アンテナ136Bが第1操作部112の位置に配置された場合におけるスマート通信可能エリアAR3を説明するための図である。図4の鞍乗型車両Bでは、収納ボックスB1の施錠解除操作はスマート通信を介さずに行われる。仮に送信アンテナ136Bが第1操作部112の位置(図4中の位置P1)に配置された場合、送信アンテナ136Bから送信され、スマート通信可能エリアAR3内に位置する携帯機200が受信するリクエスト信号の受信強度は、第1閾値以上になる。図4において、AR4は、第1操作部112からの距離が0.8m以下のエリアを示す。車載機100が搭載される鞍乗型車両Bでは、携帯機200を携帯するユーザが、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧内(つまり、エリアAR4の円弧内)に位置する場合に、ハンドルのロック解除操作を実行できること(ハンドルロック解除の実車要件)が要求される。図4に示すように、仮に送信アンテナ136Bが第1操作部112の位置に配置された場合には、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧が、スマート通信可能エリアAR3に含まれる。そのため、仮に送信アンテナ136Bが第1操作部112の位置に配置された場合には、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧内に位置する携帯機200を携帯するユーザが、ハンドルのロック解除操作を実行することができる。つまり、仮に送信アンテナ136Bが第1操作部112の位置に配置された場合には、ハンドルロック解除の実車要件を満足させることができる。
【0038】
図5は、仮に車載機100の送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置(シートの横の位置)に配置された場合におけるスマート通信可能エリアAR5を説明するための図である。図5の鞍乗型車両Bでは、収納ボックスB1の施錠解除操作もスマート通信を介して行われる。仮に送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置(図5中の位置P2)に配置された場合、送信アンテナ136Bから送信され、スマート通信可能エリアAR5内に位置する携帯機200が受信するリクエスト信号の受信強度は、第1閾値以上になる。図5において、AR6は、第1操作部112からの距離が0.8m以下のエリアを示す。AR7は、第2操作部122からの距離が0.8m以下のエリアを示す。上述したように、車載機100が搭載される鞍乗型車両Bでは、携帯機200を携帯するユーザが、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧内(つまり、エリアAR6の円弧内)に位置する場合に、ハンドルのロック解除操作を実行できること(ハンドルロック解除の実車要件)が要求される。図5に示すように、仮に送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置に配置された場合には、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧が、スマート通信可能エリアAR5に含まれる。そのため、仮に送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置に配置された場合には、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧内に位置する携帯機200を携帯するユーザが、ハンドルのロック解除操作を実行することができる。つまり、仮に送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置に配置された場合には、ハンドルロック解除の実車要件を満足させることができる。
【0039】
一方、図5に示すように、仮に送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置に配置された場合には、第2操作部122からの距離が0.8mの円弧(つまり、エリアAR7の円弧)の一部が、スマート通信可能エリアAR5の外側に位置してしまう。そのため、仮にリクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)の受信強度の閾値(つまり、第1閾値)と等しい閾値が、リクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)の受信強度に設定される場合には、第2操作部122からの距離が0.8mの円弧内のうち、スマート通信可能エリアAR5の外側に位置する携帯機200を携帯するユーザは、収納ボックスB1の施錠解除操作を実行することができない。つまり、送信アンテナ136Bが鞍乗型車両Bの概略中心位置に配置された場合、かつ、リクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)の受信強度の閾値(第1閾値)とリクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)の受信強度の閾値とが等しい場合には、収納ボックス施錠解除の実車要件を満足させることができない場合がある。
【0040】
図6は、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1における車載機100の送信アンテナ136Bと第1操作部112と第2操作部122との位置関係などを示す図である。
図5を参照して説明した問題点に鑑み、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、第1操作部112と第2操作部122とが異なる位置に配置される。また、送信アンテナ136Bと第2操作部122との距離が、送信アンテナ136Bと第1操作部112との距離以上になるように、送信アンテナ136Bが配置される。図6の鞍乗型車両Bでは、収納ボックスB1の施錠解除操作もスマート通信を介して行われる。
【0041】
一方、送信アンテナ136Bと第1操作部112と第2操作部122とが図6に示すように配置されるだけでは、図5を参照して説明したすべての問題を解決できない。つまり、第2操作部122からの距離が0.8mの円弧内(つまり、エリアAR7の円弧内)のうち、スマート通信可能エリアAR5’の外側に位置する携帯機200を携帯するユーザが収納ボックスB1の施錠解除操作を実行できない問題が依然として残る。そこで、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、リクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)の受信強度の閾値として、第1閾値が設定される。つまり、リクエスト信号の受信強度が第1閾値以上の場合にハンドルのロック解除が許可され、リクエスト信号の受信強度が第1閾値未満の場合には、ハンドルのロック解除が許可されない。また、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、リクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)の受信強度の閾値が設定されない。つまり、リクエスト信号が携帯機200によって受信される場合に収納ボックスB1の施錠解除が許可され、リクエスト信号が携帯機200によって受信されない場合には、収納ボックスB1の施錠解除が許可されない。すなわち、リクエスト信号の受信強度がゼロ以上の場合には、収納ボックスB1の施錠解除が許可される。
【0042】
詳細には、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図6に示すように、エリアAR5’内におけるリクエスト信号の受信強度が第1閾値以上になる。そのため、第1操作部112からの距離が0.8mの円弧内(つまり、エリアAR6の円弧内)に位置する携帯機200を携帯するユーザは、ハンドルのロック解除操作を実行することができる。
また、エリアAR5’よりも大きいエリアAR8内におけるリクエスト信号の受信強度は、ゼロ以上になる。そのため、第2操作部122からの距離が0.8mの円弧内(つまり、エリアAR7の円弧内)に位置する携帯機200を携帯するユーザは、収納ボックスB1の施錠解除操作を実行することができる。すなわち、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、ハンドルロック解除の実車要件と、収納ボックス施錠解除の実車要件とを満足させることができる。
【0043】
図7は、ハンドルのロック解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図7において、ステップS10、S11、S30〜S34は、車載機100によって実行される処理を示し、ステップS20〜S23は、携帯機200によって実行される処理を示す。
【0044】
まず、車載機100の制御部135は、第1操作部112がハンドルのロック解除(つまり、ソレノイド111に対する通電)を要求するユーザ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、制御部135は、第1操作部112がON位置に配置されたか否かを判定する。第1操作部112がハンドルのロック解除を要求するユーザ操作を受け付けていない場合には、図7に示すルーチンを終了する。第1操作部112がハンドルのロック解除を要求するユーザ操作を受け付けた場合には、ステップS11に進む。車載機100の送信部136は、リクエスト信号を送信する(ステップS11)。
【0045】
携帯機200の受信部220は、車載機100の送信部136が送信したリクエスト信号を受信する(ステップS20)。携帯機200の暗号処理部231は、受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号であるか否かの照合を行う(ステップS21)。受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号ではない場合には、ステップS10に戻る。受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号である場合には、ステップS22に進む。受信強度検出部232は、リクエスト信号の受信強度を検出(計測)する(ステップS22)。携帯機200の送信部240は、リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する(ステップS23)。制御部230は、リクエスト信号の受信強度を示す情報をアンサー信号に含める。
【0046】
車載機100の受信部137は、携帯機200の送信部240が送信したアンサー信号を受信する(ステップS30)。車載機100の暗号処理部135Aは、受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号であるか否かの照合を行う(ステップS31)。受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号ではない場合には、ステップS10に戻る。受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号である場合には、ステップS32に進む。車載機100の制御部135は、アンサー信号からリクエスト信号の受信強度を取得する(ステップS32)。
【0047】
車載機100の受信強度判定部135Bは、リクエスト信号の受信強度RSSI1が第1閾値th1以上であるか否かの判定を行う(ステップS33)。リクエスト信号の受信強度RSSI1が第1閾値th1未満である場合には、ステップS10に戻る。リクエスト信号の受信強度RSSI1が第1閾値th1以上である場合には、ステップS34に進む。車載機100のソレノイド駆動回路132は、制御部135からの制御信号に基づいて、ソレノイド111に駆動電流を供給する(ステップS34)。その結果、鞍乗型車両のハンドルのロック状態が解除される。
【0048】
図8は、収納ボックスB1の施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図8において、ステップS100、S101、S300〜S302は、車載機100によって実行される処理を示し、ステップS200〜S203は、携帯機200によって実行される処理を示す。
【0049】
まず、車載機100の制御部135は、第2操作部122が収納ボックスB1の施錠解除(つまり、アクチュエータ121の作動)を要求するユーザ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部135は、第2操作部122がON位置に配置されたか否かを判定する。第2操作部122が収納ボックスB1の施錠解除を要求するユーザ操作を受け付けていない場合には、図8に示すルーチンを終了する。第2操作部122が収納ボックスB1の施錠解除を要求するユーザ操作を受け付けた場合には、ステップS101に進む。車載機100の送信部136は、リクエスト信号を送信する(ステップS101)。
【0050】
携帯機200の受信部220は、車載機100の送信部136が送信したリクエスト信号を受信する(ステップS200)。携帯機200の暗号処理部231は、受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号であるか否かの照合を行う(ステップS201)。受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号ではない場合には、ステップS100に戻る。受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号である場合には、ステップS202に進む。受信強度検出部232は、リクエスト信号の受信強度を検出(計測)する(ステップS202)。携帯機200の送信部240は、リクエスト信号に対するアンサー信号を送信する(ステップS203)。
制御部230は、リクエスト信号の受信強度を示す情報をアンサー信号に含める。
【0051】
車載機100の受信部137は、携帯機200の送信部240が送信したアンサー信号を受信する(ステップS300)。車載機100の暗号処理部135Aは、受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号であるか否かの照合を行う(ステップS301)。受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号ではない場合には、ステップS100に戻る。受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号である場合には、ステップS302に進む。
【0052】
車載機100のアクチュエータ駆動回路133は、制御部135からの制御信号に基づいて、アクチュエータ121に駆動電流を供給する(ステップS302)。その結果、収納ボックスB1の施錠状態が解除される。
【0053】
第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図6に示すように、送信アンテナ136Bと第2操作部122との距離が、送信アンテナ136Bと第1操作部112との距離以上である。また、上述したように、リクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)の受信強度の閾値が設定されない。そのため、送信アンテナ136Bがリクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力と、送信アンテナ136Bがリクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力とを異ならせる必要がない。その結果、送信アンテナ136Bがハンドルロック解除に必要な信号を送信する場合の送信出力と、送信アンテナ136Bが収納ボックス施錠解除に必要な信号を送信する場合の送信出力とを異ならせる場合よりも、送信部136の構成を簡略化することができる。つまり、送信アンテナ136Bがリクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力と、送信アンテナ136Bがリクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力とを異ならせる必要なく、制御部135は、ソレノイド111の作動およびアクチュエータ121の作動を適切に許可することができる。第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1によれば、スマート通信可能エリアの限定的な拡大を行うことができるため、スマート通信可能エリアの単純な拡大による第三者の操作のおそれを抑制しつつ、操作部の増加によるスマート通信可能エリアの拡大の要求を満たすことができる。
【0054】
上述したように、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、車載機100と携帯機200との双方向通信によってソレノイド111の作動およびアクチュエータ121の作動を許可することができ、防盗性と通信範囲の広域性とを両立することができる。また、第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、リクエスト信号(詳細には、ハンドルロック解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力と、リクエスト信号(詳細には、収納ボックス施錠解除に必要な信号)を送信する場合の送信出力とを異ならせる必要なく、ハンドルロック解除の実車要件と収納ボックス施錠解除の実車要件とを満足させる通信エリアを確保することができる。
【0055】
<第2実施形態>
第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様に構成される。従って、第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様の効果を奏することができる。
【0056】
第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、受信強度判定部135Bは、リクエスト信号の受信強度が第1閾値以上であるか否かの判定を行う。一方、第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、受信強度判定部135Bは、リクエスト信号の受信強度が第1閾値以上であるか否かの判定を行うと共に、リクエスト信号の受信強度が、第1閾値よりも小さい第3閾値以上であるか否かの判定を行う。
【0057】
図9は、第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1の収納ボックスB1の施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図9において、ステップS100、S101、S300〜S302、S450、S451は、車載機100によって実行される処理を示し、ステップS200〜S203は、携帯機200によって実行される処理を示す。図9のステップS100、S101、S300〜S302では、図8のステップS100、S101、S300〜S302と同様の処理が実行される。図9のステップS200〜S203では、図8のステップS200〜S203と同様の処理が実行される。
【0058】
ステップS450では、車載機100の制御部135が、アンサー信号からリクエスト信号の受信強度を取得する。次いで、ステップS451において、車載機100の受信強度判定部135Bは、リクエスト信号の受信強度RSSI2が第3閾値th3以上であるか否かの判定を行う。第3閾値th3は、ゼロよりも大きく、第1閾値th1よりも小さい。リクエスト信号の受信強度RSSI2が第3閾値th3未満である場合には、ステップS100に戻る。リクエスト信号の受信強度RSSI2が第3閾値th3以上である場合には、ステップS302に進む。上述したように、ステップS302では、車載機100のアクチュエータ駆動回路133が、制御部135からの制御信号に基づいて、アクチュエータ121に駆動電流を供給する。その結果、収納ボックスB1の施錠状態が解除される。
【0059】
図10は、第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1におけるリクエスト信号の受信強度RSSI2が第3閾値th3以上のエリアAR9を説明するための図である。図10に示すように、リクエスト信号の受信強度RSSI2が第3閾値th3以上のエリアAR9は、エリアAR8よりも小さい。エリアAR8とは、上述したように、リクエスト信号の受信強度がゼロ以上のエリアである。第2操作部122からの距離が0.8mの円弧(つまり、エリアAR7の円弧)は、エリアAR9に含まれる。
【0060】
第2実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、第3閾値th3を設定することによって、受信強度検出部232が検出したリクエスト信号の受信強度が小さく、信頼性が低い場合に収納ボックスB1の施錠解除を禁止することができる。
【0061】
<第3実施形態>
第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様に構成される。従って、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様の効果を奏することができる。
【0062】
図11は、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1の一例を示す構成図である。第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図1に示すように、制御部135が、暗号処理部135Aと、受信強度判定部135Bとを備える。一方、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図11に示すように、制御部135が、暗号処理部135Aと、受信強度判定部135Bと、受信強度検出部135Cとを備える。
【0063】
第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、上述したように、受信強度判定部135Bは、車載機100から送信され、携帯機200が受信したリクエスト信号の受信強度が第1閾値以上であるか否かの判定を行う。一方、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、受信強度検出部135Cは、携帯機200から送信され、受信部137が受信したアンサー信号の受信強度を検出(計測)する。また、受信強度判定部135Bは、アンサー信号の受信強度が第2閾値以上であるか否かの判定を行う。
【0064】
第1実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図1に示すように、携帯機200の制御部230が、暗号処理部231と、受信強度検出部232とを備える。一方、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、図11に示すように、携帯機200の制御部230が、暗号処理部231を備え、受信強度検出部232を備えない。
【0065】
図12は、第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1のハンドルのロック解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図12において、ステップS10、S11、S30、S31、S40、S41、S34は、車載機100によって実行される処理を示し、ステップS20、S21、S23は、携帯機200によって実行される処理を示す。図12のステップS10、S11、S30、S31、S34では、図7のステップS10、S11、S30、S31、S34と同様の処理が実行される。図12のステップS20、S21、S23では、図7のステップS20、S21、S23と同様の処理が実行される。
【0066】
第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、ステップS21において、受信部220が受信した信号が、車載機100から送信された信号であると判定された場合に、ステップS22が実行されることなく、ステップS23に進む。
【0067】
第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、ステップS31において、受信部137が受信した信号が、携帯機200から送信された信号であると判定された場合に、ステップS40に進む。ステップS40では、車載機100の受信強度検出部135Cは、アンサー信号の受信強度を検出(計測)する。次いで、ステップS41において、車載機100の受信強度判定部135Bは、アンサー信号の受信強度RSSI3が第2閾値th2以上であるか否かの判定を行う。アンサー信号の受信強度RSSI3が第2閾値th2未満である場合には、ステップS10に戻る。アンサー信号の受信強度RSSI3が第2閾値th2以上である場合には、ステップS34に進む。ステップS34では、上述したように、車載機100のソレノイド駆動回路132が、制御部135からの制御信号に基づいて、ソレノイド111に駆動電流を供給する。その結果、鞍乗型車両のハンドルのロック状態が解除される。
【0068】
<第4実施形態>
第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様に構成される。従って、第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1と同様の効果を奏することができる。
【0069】
第3実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、受信強度判定部135Bは、アンサー信号の受信強度が第2閾値以上であるか否かの判定を行う。一方、第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、受信強度判定部135Bは、アンサー信号の受信強度が第2閾値以上であるか否かの判定を行うと共に、アンサー信号の受信強度が、第2閾値よりも小さい第4閾値以上であるか否かの判定を行う。
【0070】
図13は、第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1の収納ボックスB1の施錠解除操作時に実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図13において、ステップS100、S101、S300〜S302、S500、S501は、車載機100によって実行される処理を示し、ステップS200、S201、S203は、携帯機200によって実行される処理を示す。図13のステップS100、S101、S300〜S302では、図8のステップS100、S101、S300〜S302と同様の処理が実行される。図13のステップS200、S201、S203では、図8のステップS200、S201、S203と同様の処理が実行される。
【0071】
ステップS500では、車載機100の受信強度検出部135Cが、アンサー信号の受信強度を検出(計測)する。
【0072】
次いで、ステップS501において、車載機100の受信強度判定部135Bは、アンサー信号の受信強度RSSI4が第4閾値th4以上であるか否かの判定を行う。第4閾値th4は、ゼロよりも大きく、第2閾値th2よりも小さい。アンサー信号の受信強度RSSI4が第4閾値th4未満である場合には、ステップS10に戻る。アンサー信号の受信強度RSSI4が第4閾値th4以上である場合には、ステップS302に進む。
上述したように、ステップS302では、車載機100のアクチュエータ駆動回路133が、制御部135からの制御信号に基づいて、アクチュエータ121に駆動電流を供給する。その結果、収納ボックスB1の施錠状態が解除される。
【0073】
第4実施形態の鞍乗型車両用作動許可装置1では、第4閾値th4を設定することによって、受信強度検出部135Cが検出したアンサー信号の受信強度が小さく、信頼性が低い場合に収納ボックスB1の施錠解除を禁止することができる。
【0074】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、車載機100と携帯機200とが通信可能な境界の鞍乗型車両Bからの距離は2mに限られず、1.8m、1.9m、2.1m2.2m等に設定してもよい。例えば、実車要件の操作部からの距離は0.8mに限られず、0.6m、0.7m、0.9m、1.0m等に設定してもよく、また、その形状は、扇型・半円型に限られず、多角形や楕円等に設定してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…鞍乗型車両用作動許可装置、100…車載機、110…ハンドルロック部、111…ソレノイド、112…第1操作部、120…収納ボックス施錠部、121…アクチュエータ、122…第2操作部、130…制御ユニット、131…電源回路、132…ソレノイド駆動回路、133…アクチュエータ駆動回路、134…入力回路、135…制御部、135A…暗号処理部、135B…受信強度判定部、135C…受信強度検出部、136…送信部、136A…駆動回路、136B…送信アンテナ、137…受信部、137A…受信回路、137B…受信アンテナ、140…バッテリ、150…リレー、200…携帯機、210…電源部、220…受信部、221…受信アンテナ、230…制御部、231…暗号処理部、232…受信強度検出部、240…送信部、241…送信アンテナ、242…送信用IC
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