(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るアクチュエータ100の外観斜視図である。
図2は、アクチュエータ100の分解斜視図である。
図3は、アクチュエータ100の軸方向における縦断面図である。
図4は、固定部のコアを示すコイル部の斜視図であり、
図5は、可動部のマグネット部の斜視図である。
【0014】
このアクチュエータ100は、例えば、電気かみそり等の電動理美容器具に適用されるインナーロータ型のアクチュエータである。
【0015】
図1〜3に示すように、アクチュエータ100は、固定部110、第1可動部130、第2可動部140を備える。第1可動部130及び第2可動部140は、固定部110の筒状のコイル部111と同軸上(より具体的には同一軸上)に固定部110を中心に対称配置され、それぞれ軸方向に往復運動を行う。本実施の形態では、第1可動部130及び第2可動部140は、コイル部111の一つのコイル112によって軸方向に互いに逆方向に移動する。つまり、第1可動部130と第2可動部140が軸方向に互いに近づく方向、或いは、互いに離れる方向に移動する。
【0016】
固定部110は、コイル部111、ブラケット124、126、ケース128、支軸122、及び環状磁性体160等を備える。
【0017】
ケース128は、磁性材料により形成された筒状(図では円筒状)体であり、内部にコイル部111、第1可動部130及び第2可動部140が収納されている。これらコイル部111、第1可動部130及び第2可動部140は、それぞれケース128の軸方向に沿って配置されており、本実施の形態では、ケース128、コイル部111、第1可動部130及び第2可動部140は同軸AL上に配置される。ケース128の両端部の開口は、ブラケット124、126によりそれぞれ閉塞されており、ケース128は、ブラケット124、126とともに中空の円柱状の筐体を構成する。
【0018】
コイル部111は、ステータとして機能し、コイル112に通電することで両端部が異なる極性で磁化されている。
【0019】
コイル部111は、ケース128の内周面において、長手方向の中央部分に、周方向に沿って配置されている。コイル部111は、例えば接着により、ケース128の内周面に固定されている。コイル部111は、コイル112、ボビン113、コア114、116を有する。
【0020】
ボビン113は、筒状(図では円筒状)部の両端にフランジが形成された絶縁材料からなる部材であり、外周面には、全長にわたって同一方向にコイル112が巻回される。コイル112から引き出されたリード部1121は、ボビン113の一方のフランジに設けられ、このリード部1121には、交流電源165が接続される。
【0021】
ボビン113の両端のフランジには、それぞれ磁性材料からなり、コイル112に電流を流した際に磁化される環状のコア114、116が配置される。コア114、116はコイル112とともに電磁石を構成する。
【0022】
コア114、116は、
図4に示すように、ここでは、環状体の一部にスリット(切欠部)172を設けた断面C字状に形成されている。スリット(切欠部)172は、可動部130、140側の内ヨーク133、143の凹部(切欠部)174(
図5参照)と同じ幅(周方向の長さ)で、且つ、周方向で重なる位置に形成され、スリット(切欠部)172以外の部位と、凹部(切欠部)174以外の部位とが引き合うことで、回転方向への位置トルク(ディテントトルク)を発生させ、コア114、116と内ヨーク133、143との相対的な周方向の回転を抑止する。
【0023】
環状磁性体160は、アクチュエータ100において第1可動部130及び第2可動部140を駆動するための磁気回路(後述する)において、コイル112側で発生する磁気抵抗を緩和して低減する。環状磁性体160は、環状(ここでは筒状)の磁性材料であり、コイル部111の内周面に沿って配置される。
【0024】
支軸122は、第1可動部130及び第2可動部140を移動自在に支持する。支軸122は、コイル部111及び環状磁性体160内を挿通して配置され、その両端部でブラケット124、126に固定支持されている。支軸122の軸心は、コイル112、コア114、116及びケース128の軸心ALと同一となっている。
【0025】
第1可動部130は、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、第1出力接続部135(以下、単に「出力接続部135」とも称する)、及び第1軸受部137を有する。
【0026】
第1マグネット132は、筒状(図では平板環状)の永久磁石であり、第1マグネット132の軸方向(ここでは、軸心AL方向と同じ)に磁化される。つまり、着磁方向は、第1可動部130の移動方向である。
【0027】
ここでは、第1マグネット132は、第1内ヨーク133に対向する側の面をN極、第1外ヨーク134に対向する側の面をS極に着磁されているものとする。また、第1マグネット132は、等方性マグネットに比較して強い磁力が得られる異方性マグネットであることが望ましい。
【0028】
第1外ヨーク134は、磁性材料からなる筒状(図では平板環状)の部材であり、第1マグネット132の一端側に接続される。第1マグネット132は、第1外ヨーク134に、例えば、接着により固定される。第1外ヨーク134には、電動理美容器具の可動部材(例えば電気かみそりの内刃等)を取り付けるための出力接続部135が取り付けられる。なお、出力接続部135は、ここでは樹脂により形成され、第1外ヨーク134に、例えば接着により固定される。出力接続部135は、筐体内から、ケース128の一端側から軸方向に沿って形成されたスリット128a(
図1参照)を介して、筐体外にアームを突出させている。
【0029】
第1内ヨーク133は、磁性材料からなる筒状(図では平板環状)の部材であり、第1マグネット132の他端側に、例えば、接着により固定される。
【0030】
第1外ヨーク134と第1内ヨーク133は、上述したように凹部(切欠部)174が形成されている。凹部(切欠部)174は、
図5に示すように、外周面の一部を、軸AL方向に開口するように切り欠いた形状を有し、その幅(周方向の長さ)をコイル部111のコア114、116の幅と同幅にされている。
【0031】
第1外ヨーク134と第1内ヨーク133のそれぞれの凹部(切欠部)174は、軸方向に並ぶように配置され、第1内ヨーク133は、コア114のスリット(切欠部)172にラジアル方向で対向する位置に配置される。
【0032】
これら第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134は、軸方向の両端部が磁化された第1マグネット部131を構成する。第1マグネット部131は、コイル部111の一端側の内部にエアギャップを空けて配置される。
【0033】
第1マグネット部131は、コイル部111の一端部を構成する磁性材料からなるコア114との間の吸引力によって、当該コア114の内周面に対向する位置に位置決めされる。ここでは、第1マグネット132における軸方向の中心が、コア114の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0034】
第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135は、第1軸受部137を介して支軸122に、支軸122の一端側で軸方向に移動自在に取り付けられている。第1軸受部137は、第1可動部130を支軸122上で軸方向に円滑に移動可能とするものであれば、転がり軸受、滑り軸受のどの種類の軸受でもよい。また、第1軸受部137は、焼結軸受、樹脂製或いは金属製のオイルレス軸受等のどのような軸受を適用しても良い。本実施の形態では、第1軸受部137は、滑り軸受であり、多孔質材料からなる筒状の軸受本体137aを、筒状の軸受ホルダ137bに圧入してなる含油軸受である。なお、軸受本体137aと軸受ホルダ137bとの間には、図示しないオイルポケットが形成される。
【0035】
第1軸受部137は、外周で第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135が接合されており、支軸122に沿って摺動可能となっている。第1可動部130は、第1軸受部137を介して、支軸122によりラジアル方向(軸心から放射方向)への移動が規制される。また、第1可動部130は、第1マグネット部とコア114と間で発生する磁気吸引力を磁気ばね力として、軸方向で移動可能に弾性保持される。
【0036】
第2可動部140は、第1可動部130と対称に配置される。第2可動部140は、第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、第2出力接続部145(以下、「出力接続部145」とも称する)、及び第2軸受147等を備える。
【0037】
第2マグネット142は、筒状(図では平板環状)の永久磁石であり、第1マグネット132の着磁方向と同方向で磁化される。ここでは、第2マグネット142は、第1マグネット132の着磁方向と同方向であるので、第2内ヨーク143と対向する側の面をS極、第2外ヨーク144と対向する面をN極に着磁されている。
【0038】
第2外ヨーク144は、磁性材料からなる筒状(図では平板環状)の部材であり、第2マグネット142の他端側に接続される。第2マグネット142は、第2外ヨーク144に、例えば、接着により固定される。
【0039】
また、第2外ヨーク144には、電動理美容器具の可動部材(例えば電気かみそりの内刃等)を取り付けるための出力接続部145が取り付けられる。なお、出力接続部145は、ここでは樹脂により形成され、第1外ヨーク134に、例えば接着により固定される。出力接続部145は、筐体内から、ケース128の他端側から軸方向に沿って形成されたスリット128b(
図1参照)を介して、筐体外にアームを突出させている。
【0040】
第2内ヨーク143は、磁性材料からなる筒状(図では平板環状)の部材であり、第2マグネット142の他端側に、例えば、接着により固定される。
【0041】
これら第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144は、軸方向の両端部が磁化された第2マグネット部141を構成する。第2マグネット部141は、コイル部111の他端側の内部にエアギャップを空けて配置される。
【0042】
第2マグネット部141は、コイル部111の他端部を構成する磁性材料からなるコア116との間の吸引力によって、当該コア116の内周面に対向する位置に位置決めされる。ここでは、第2マグネット142における軸方向の中心が、コア116の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0043】
第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び第2出力接続部145は、第2軸受部147を介して支軸122に、支軸122の他端側で軸方向に移動自在に取り付けられている。第2軸受147は、第1軸受137と同様の滑り軸受であり、焼結軸受、樹脂製或いは金属製のオイルレス軸受等が適用される。本実施の形態では、第2軸受部147は、多孔質材料からなる筒状の軸受本体147aを、筒状の軸受ホルダ147bに圧入してなる含油軸受である。なお、軸受本体147aと軸受ホルダ147bとの間には、図示しないオイルポケットが形成される。
【0044】
第2軸受部147は、外周で第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び第2出力接続部145が接合されており、支軸122に沿って摺動可能となっている。
【0045】
第2可動部140は、第2軸受部147を介して、支軸122によりラジアル方向(軸心から放射方向)への移動が規制される。また、第2可動部140は、第2マグネット部とコア116と間で発生する磁気吸引力を磁気ばね力として、軸方向で移動可能に弾性保持される。本実施の形態では、第2軸部147は、第2可動部140の一部としたが、支軸122に対して第2マグネット部が移動自在であれば、支軸122側に設けても良い。
【0046】
図6は、コイル112に電流を流したときに第1可動部130及び第2可動部140に生じる推力を示す図である。なお、
図6は、
図3の縦断面図を模式的に示したものである。また、
図6で示すコア114、116における極性は、コイル112にA矢視でコイル112に時計回りに電流を流した場合の一例である。
【0047】
図7は、実施の形態1に係るアクチュエータ100の可動部の往復運動を示す図であり、
図7AはコイルにA矢視で時計回りに電流を流したときの第1可動部130及び第2可動部140の移動状態を示す模式図であり、
図7Bは、コイルにA矢視で反時計回りに電流を流したときの第1可動部130及び第2可動部140の移動状態を示す模式図である。
【0048】
アクチュエータ100では、上述したコイル112、コア114、116、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び環状磁性体160は、磁気回路を構成する。
【0049】
ケース128の内周に沿って巻回されているコイル112に電流を流した際に、コイル112の軸方向に磁束の流れが発生する。発生する磁束は、コイル112の軸AL方向の一方側から出て、第1可動部130の第1マグネット部131に作用し、コア114、筒状のケース128、コア116、第2可動部140の第2マグネット部に作用し、コイル112をそれぞれ通るように流れる。
【0050】
また、コイル112に逆方向に電流を流せば、コイル112の軸AL方向の他方側から出て、第2可動部140の第2マグネット部に作用し、コア116,ケース128、コア114、第1可動部130の第1マグネット部131に作用して、コイル112の一端側に戻るように流れる。
【0051】
磁気回路において第1可動部130及び第2可動部140間の経路をコア114,116のみで構成する場合、磁気回路におけるコイル112側の磁気抵抗は、コイル112により発生する磁束の周回の透磁率が低い空気部で決定され、その距離に比例して大きくなるが、その中でもコイル112内周側の距離がエアギャップに比べて長いため、環状磁性体160を設けることにより、磁気抵抗を減少させる。なお、環状磁性体160の厚みは、ここでは、コイル112を内外で挟むケースの厚みと同様の厚み以上にすることが好ましい。
【0052】
本実施の形態では、アクチュエータ100において、第1マグネット132及び第2マグネット142は、それぞれ、第1可動部130側をS極、第2可動部140側をN極に着磁されている。よって、
図6に示すように、第1可動部130の第1マグネット部131では、第1内ヨーク133がN極、第1外ヨーク134がS極に磁化され、第2可動部140の第2マグネット部141では、第2内ヨーク143がS極、第2外ヨーク144がN極に磁化される。なお、コイル112の内側には、コイル112の内周面に周方向に沿って環状磁性体160が配置されている。これにより、環状磁性体160には、第2可動部140側から第1可動部130側に向かう磁束が通る。
【0053】
すなわち、コイル112に、A矢視で時計回りの電流を流すと、アンペールの右ねじの法則により、コイル112内には、第2可動部140側をS極、第1可動部130側をN極とする向きの磁束が発生する。これにより、矢印Bで示す磁束の流れが発生するとともに、コア114はその全周でS極に、コア116はその全周でN極に励磁される。
【0054】
第1可動部130では第1内ヨーク133がN極であるので、磁気吸引力により推力が発生し、第1可動部130は、コイル112において第1可動部130側に発生するN極に対して離間するように移動する(
図7A参照)。
【0055】
第2可動部140では、第2内ヨーク143がS極であるので、磁気吸引力により推力が発生し、第2可動部140は、コイル112において第2可動部140側に発生するS極に対して離間するように移動する(
図7A参照)。
【0056】
このように、コイル112に電流を流すことにより、第1可動部130及び第2可動部140の2つの可動部が同時に、同一軸上を互いに離間する方向に移動する。
【0057】
また、
図6のA矢視で反時計回りの電流をコイル112に流すと、アンペールの右ねじの法則により、コイル112内には、第1可動部130側をS極、第2可動部140側をN極とする時計回りの電流を流したときとは逆向きの磁束が発生する。
【0058】
これにより、コア114はその全周でN極に、コア116はその全周でS極に励磁され、第1可動部130及び第2可動部140は、軸方向でコイル112の内側に移動する。
【0059】
第1可動部130では第1内ヨーク133がN極であるので、磁気吸引力によりコイル112側に向かう推力が発生し、第1可動部130は、軸方向でコイル112内側に向かって移動する(
図7B参照)。
【0060】
第2可動部140では、第2内ヨーク143がS極であるので、磁気吸引力によりコイル112側に向かう推力が発生し、第2可動部140は、軸方向でコイル112内側に向かって移動する(
図7B参照)。
【0061】
このように、コイル112に逆電流を流すことにより、第1可動部130及び第2可動部140の2つの可動部が同時に、同一軸上を互いに接近する方向に移動する。
【0062】
したがって、コイル112に交流を流すと、第1可動部130及び第2可動部140は、互いに逆方向に往復運動する。
【0063】
なお、アクチュエータ100における動作原理を示す運動方程式は下式(1)で表され、回路方程式は下式(2)で表される。すなわち、第1可動部130及び第2可動部140は、それぞれ式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。
【0064】
【数1】
m:質量[kg]
x(t):変位[m]
K
f:推力定数[N/A]
i(t):電流[A]
K
sp:ばね定数[N/m]
D:減衰係数[N/(m/s)]
F
loss:摩擦成分による負荷[N]
【0065】
【数2】
e(t):電圧[V]
R:抵抗[Ω]
L:インダクタンス[H]
Ke:逆起電力定数[V/(m/s)]
【0066】
また、アクチュエータ100の共振周波数は、下式(3)に示すように、第1可動部130及び第2可動部140の質量とばね定数(ここでは、磁気ばねのばね定数であるが、圧縮コイルばねがあるときはそれも含むばね定数)により決まる。共振周波数f
rと略等しい周波数の交流でアクチュエータ100を駆動することにより、効率的に大きな出力を得ることが可能となる。すなわち、定常状態において低消費電力での駆動が可能となるので、アクチュエータ100のエネルギー効率が向上する。
【0068】
このように、第2実施の形態に係るアクチュエータ100は、コイル112を有する固定部110と、コイル112の軸方向(AL)に磁化され、コイル112の軸方向の一端部側に配置される第1マグネット132を有し、弾性保持された状態でコイル112の一端部の内側でコイル112の軸方向に移動可能に配置される第1可動部130と、コイル112の軸方向に磁化され、コイル112の軸方向の他端部側に配置される第2マグネット142を有し、弾性保持された状態でコイル112の内側でコイル112の軸方向に移動可能に配置される第2可動部140と、を備える。
【0069】
第1マグネット132及び第2マグネット142は、軸方向で同磁極が同一方向となるように配置され、互いに向き合う磁極が異なる磁極である。そして、コイル112に電流を流したときに、アンペールの右ねじの法則に従ってコイル112で発生する磁束の向きによって、第1可動部130の第1マグネット132と第2可動部140の第2マグネット142は、同軸上で逆方向の推力を得て、それぞれ略同時に逆方向に移動する。ここでは、第1マグネット132を有する第1可動部130と第2マグネット142を有する第2可動部140は、同一軸上を略同時に、それぞれ逆方向に移動する。
【0070】
アクチュエータ100によれば、第1可動部130と第2可動部140が、同軸上でそれぞれ逆方向に往復運動することにより振動が相殺されるので、利用者に振動が伝達されるのを効果的に防止できる。また、同一軸で支持する支軸機構を用いているため、第2可動部140と第1可動部130の重心を同一軸上に容易に設計でき、振動発生方向(特に、軸心からの放射方向)にずれをなくし、各可動部を支持する軸にずれのある構造と比較して効果的に振動を抑制できる。
【0071】
また、支軸122により放射方向への移動が規制された第1マグネット部(第1マグネット132、第1内外ヨーク133、134)及び第2マグネット部(第1マグネット142、第1内外ヨーク143、144)と、コア114、116とで発生する磁気吸引力を軸方向での移動を規制しデフォルト位置での位置に位置決めされる。
【0072】
これにより、第1可動部130及び第2可動部140を弾性保持する際に、圧縮コイルばね等の機械バネを用いることなく、軸方向に移動自在に弾性保持できるので、その組立を容易に行うことができる。
【0073】
また、内外周方向(ラジアル方向)で向かい合う固定部110のコア114、116と第1可動部130及び第2可動部140の各ヨーク133,134、143、144には、スリット(切欠部)172と凹部(切欠部)174が設けられている。これにより、コア114と第1内ヨーク133及び第1外ヨーク134の間で回転方向(周方向)に対して位置トルクが発生し、第1可動部130及び第2可動部140の周方向への移動が規制される。
【0074】
よって、第1可動部130及び第2可動部140の位置が、外部に回転規制を設けることなく安定させることができ、アクチュエータ100単体での動作が可能となる。また、組立時において各可動部の位置も安定させることができ、組み立て性の向上を図ることができる。
【0075】
また、動吸振器や動力変換機構を設ける必要がないので、省スペース化、小型化を図ることができ、実装される製品の設計自由度、デザイン性が向上する。
【0076】
したがって、アクチュエータ100を適用することにより、デザイン性に優れるとともに、低振動、低騒音で、利用者にとって使い心地のよい電動理美容器具が実現される。
【0077】
また、アクチュエータ100において、コイル112は固定部110の全長にわたって同一方向に巻回され、第1マグネット132の着磁方向と、第2マグネット142の着磁方向が逆となっている。これにより、簡単な構成で、第2可動部140と第1可動部130を、それぞれ逆方向に往復運動させることができる。
【0078】
さらに、アクチュエータ100はインナーロータ型であるので、実装する際に、可動部の接触の可能性が無いため、固定部の外側で移動する可動部を有する構造のアウターロータ型と異なり、可動部の可動領域となるスペースを確保する必要がない。
【0079】
インナーロータ型のアクチュエータ100では、筐体の外表面が固定部110となるため、固定対象に対してアクチュエータ100を固定できる部分が広く、アクチュエータ100の実装が容易になる。また、アクチュエータ100を実装する際に、インナーロータ型であるので、アウターロータ型と比較して、第1可動部130及び第2可動部140のそれぞれと固定部110との隙間(エアギャップ)に異物が混入して動作不良・破損が生じにくい。
【0080】
また、中空の筐体の内部で固定部に対して可動部を往復移動させるアクチュエータ構造で小型化を図る場合、中央部分に磁束が集まり飽和する構造となり易い。これに対して、アクチュエータ100はその中央部分にマグネットを配置可能なインナーロータ型であるので、マグネットにより磁束を緩和でき、その特性を減少させることなく小型化を図ることができる。
【0081】
また、コイル112の内側、つまり、中空筐体の中央部分に磁性材料からなる環状磁性体160が位置するので、中央部分の磁束を緩和でき、アクチュエータ100における磁気回路効率を向上させることができる。また、電磁変換効率が上がり、第1可動部130及び第2可動部140の推力が大きくなる。コイル112側の磁気抵抗は、コイル112により発生する磁束の周回の透磁率が低い空気部で決定され、その距離に比例して大きくなる。
【0082】
また、環状磁性体160は、コイル112の内側に配置されているので、コイル112幅を大きくしても、磁路における磁気抵抗を大きくさせることがなく、磁気飽和が起こりにくい効率の良い磁路にできる。これにより、出力特性の向上(電磁変換効率となる推力定数を環状磁性体160が無い構成と比較して1.4倍にする)させることができる。
【0083】
また、支軸122上の第1可動部130及び第2可動部140は、磁気ばね機構により軸方向で往復動自在に弾性保持され、共振駆動により駆動する。これにより、第1可動部130及び第2可動部140は、振幅が最大となり、より効率良く駆動する。
【0084】
また、アクチュエータ100では、第1可動部130及び第2可動部140を磁気ばねのみにより弾性保持するため、機械ばねを用いる場合と異なり、金属疲労が無く高信頼性のアクチュエータとなる。なお、機械ばね及びばねに付随する部品となる(スプリングホルダー,可動部ばね受部等)が不要となり、部品削減による低コスト化、組立工数の削減も図ることができる。
【0085】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2に係るアクチュエータ100Aの分解斜視図である。
図9は、実施の形態2に係るアクチュエータ100Aの軸方向に沿う縦断面図である。
図10は、コイルに電流を流したときに第1可動部130A及び第2可動部140Aに生じる推力を示す図である。なお、
図10は、
図9の縦断面図を模式的に示したものである。また、また、
図10で示すコア114、116における極性は、コイル112にA矢視でコイル112に時計回りに電流を流した場合の一例である。このアクチュエータ100Aは、例えば電気かみそり等の電動理美容器具に適用される。
【0086】
なお、アクチュエータ100Aは、第1実施の形態のアクチュエータ100と同様の基本的構成を有する。アクチュエータ100と同一又は対応する構成要素については同様の構成要素の参照符号または、同様の構成要素の機能を含む構成要素には参照符号に記号「A」を付し、重複する説明は省略する。
【0087】
図8及び
図9に示すように、アクチュエータ100Aは、固定部110A、第1可動部130A、第2可動部140Aを備える。第1可動部130A及び第2可動部140Aは、固定部110Aのコイル112と同軸上(ここでは同一支軸122上)に固定部110Aを中心に対称配置され、それぞれ軸方向に往復運動を行う。第1可動部130A及び第2可動部140Aは、コイル部111の一つのコイル112によって軸方向に互いに逆方向に移動する。つまり、第1可動部130Aと第2可動部140Aが軸方向に互いに近づく方向、或いは、互いに離れる方向に移動する。
【0088】
固定部110Aは、コイル部111、ブラケット124、126、ケース128、及び支軸122、磁性体部材192等を備える。
【0089】
筒状のケース128は、ブラケット124、126とともにアクチュエータ100Aの中空の筐体を構成し、その筐体内には、コイル部111、第1可動部130A及び第2可動部140Aが収納されている。
【0090】
これらコイル部111、第1可動部130A及び第2可動部140Aは、それぞれケース128の軸方向に沿って配置されており、本実施の形態では、ケース128、コイル部111、第1可動部130A及び第2可動部140Aは同軸AL上に配置される。
【0091】
なお、コイル部111は、コイル112、ボビン113(
図9参照)、コア114、116を有し、コイル112からリード部1121が引き出され、交流電源165が接続される。
【0092】
支軸122は、第1可動部130A及び第2可動部140Aを移動自在に支持する。支軸122は、コイル部111内を挿通して配置され、その両端部でブラケット124、126に固定支持される。支軸122の中央部には、コイル部111内に配置され、付勢部材である機械ばね(圧縮コイルばね)182、183を受ける中央ばね受け部(非磁性部材)192が取り付けられている。
【0093】
第1可動部130Aは、第1マグネット132の両側に第1内ヨーク133と第1外ヨーク134とを接続した第1マグネット部131、第1出力接続部135A、第1軸受部137の他、ばね受け部191等を備える。
【0094】
第1可動部130Aにおける第1マグネット部131の第1外ヨーク134には、実施の形態1の出力接続部135と同様の機能を有する出力接続部135Aが取り付けられる。この出力接続部135Aにおいて支軸122を囲み、且つ、第1外ヨーク134に取り付けられる部位の外面には、機械ばね181を受けるばね受け部1351が形成される。
【0095】
このばね受け部1351には、一端部がブラケット126に当接する機械ばね181の他端部が接続されている。機械ばね181は、支軸122を挿通させた状態で、ブラケット124と、第1可動部130A(具体的には、出力接続部135A)との間に配置され、第1可動部130Aをブラケット126から離間する方向(ブラケット126側)に付勢する。
【0096】
また、第1マグネット部131の第1内ヨーク133には、ばね受け部191が接着等により固定されている。ばね受け部191は、中央ばね受け部192と対向配置され、これらばね受け部191と中央ばね受け部192との間に機械ばね182が、支軸122を挿通させた状態で配置されている。なお、ばね受け部191は、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135Aとともに第1軸受部137に外嵌される。ばね受け部191は、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135Aとともに、第1軸受部137を介して支軸122に、支軸122の一端側で軸方向に移動自在に取り付けられる。
【0097】
これら第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135Aに、第1軸受部137を含む第1可動部130Aは、機械ばね181、182により軸AL方向で両側から挟まれて弾性保持されている。
【0098】
なお、第1マグネット部131は、実施の形態1と同様に、コイル部111の一端部側の内周面、つまり、コア114の内周面とエアギャップを空けて配置され、このコア114との間の吸引力によって、当該コア114の内周面に対向する位置に位置決めされる。第1マグネット132における軸方向の中心は、コア114の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0099】
このように、第1可動部130Aは、コア114にラジアル方向で対向配置される第1マグネット部131の吸引力による磁気ばねと、機械ばね181、182とにより支軸122上で軸方向に移動可能に弾性保持される。
【0100】
第2可動部140Aは、第1可動部130Aと対称に配置される。第2可動部140Aは、第2可動部140と比較して、その両側から機械ばね183、184により弾性支持されている点が異なる。第2可動部140Aは、第2マグネット142の両側に第2内ヨーク143と第2外ヨーク144とを接続した第2マグネット部141、第2出力接続部145A、及び第2軸受147の他、ばね受け部194等を備える。
【0101】
図8及び
図9に示すように、第2可動部140Aにおいて、第2マグネット部141の第2マグネット142に接続される第2外ヨーク144には、実施の形態1の出力接続部145と同様の機能を有する出力接続部145Aが取り付けられる。
【0102】
この出力接続部145Aにおいて、支軸122の外周を囲み、且つ、第2外ヨーク144に取り付けられる部位の外面には、機械ばね184を受けるばね受け部1451が形成されている。
【0103】
このばね受け部1451には、一端部がブラケット126に当接する機械ばね184の他端部が接続されている。機械ばね184は、支軸122を挿通させた状態でブラケット124と第2可動部140A(具体的には出力接続部145)との間に配置され、第2可動部140Aをブラケット126から離間する方向(ブラケット124側)に付勢する。
【0104】
また、第2マグネット部141では、第2内ヨーク143に、ばね受け部194が接着等により固定される。ばね受け部194は、中央ばね受け部に対向配置され、これらばね受け部194と中央ばね受け部との間に機械ばね183が支軸122を挿通させた状態で配置されている。
【0105】
ばね受け部194は、第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び第2出力接続部145Aとともに第2軸受部147に外嵌される。ばね受け部194は、第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び第2出力接続部145Aとともに、第2軸受部147を介して支軸122に、支軸122の一端側で軸方向に移動自在に取り付けられる。
【0106】
これら第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、第2出力接続部145A、ばね受け部194、及び第2軸受部147を含めた第2可動部140Aは、機械ばね183,184により軸AL方向で両側から挟まれて弾性保持されている。
【0107】
なお、第2マグネット部141は、実施の形態1と同様に、コイル部111の一端部側の内周面、つまり、コア116の内周面とエアギャップを空けて配置され、このコア116との間の吸引力によって、当該コア116の内周面に対向する位置に位置決めされる。第2マグネット142における軸方向の中心は、コア116の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0108】
このように、第2可動部140Aは、コア116にラジアル方向で対向配置される第2マグネット部141の吸引力による磁気ばねと、機械バネ183、184とにより支軸122上で軸方向に移動可能に弾性保持される。
【0109】
アクチュエータ100Aは、アクチュエータ100の構成において、第1可動部130A及び第2可動部140Aを機械ばねにより弾性保持する構成を加え、環状磁性体160を外した構成を有する。
【0110】
すなわち、アクチュエータ100Aでは、第1可動部130A及び第2可動部140Aは、磁気ばね(第1マグネット部131とコア114と間で発生する磁気吸引力、第2マグネット部141とコア116と間で発生する磁気吸引力)とともに、機械ばね181〜184で弾性保持されている。
【0111】
図10は、コイル112に電流を流したときに第1可動部130A及び第2可動部140Aに生じる推力を示す図である。なお、
図10で示すコア114、116における極性は、コイル112にA矢視でコイル112に時計回りに電流を流した場合の一例である。
【0112】
アクチュエータ100Aでは、上述したコイル112、コア114、116、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、第2マグネット142、第2内ヨーク143、及び第2外ヨーク144が、磁気回路を構成する。
【0113】
ケース128の内周に沿って巻回されているコイル112に電流を流した際に、コイル112の軸方向に磁束の流れが発生する。発生する磁束は、コイル112の軸AL方向の一方側から出て、第1可動部130Aの第1マグネット部131に作用し、コア114、筒状のケース128、コア116、第2可動部140Aの第2マグネット部141に作用し、コイル112をそれぞれ通るように流れる。
【0114】
また、コイル112に逆方向に電流を流せば、コイル112の軸AL方向の他方側から出て、第2可動部140Aの第2マグネット部に作用し、コア116,ケース128、コア114、第1可動部140Aの第1マグネット部に作用して、コイル112の一端側に戻るように流れる。
【0115】
本実施の形態では、第1マグネット132及び第2マグネット142は、それぞれ、アクチュエータ100Aにおいて第1可動部130A側をS極、第2可動部140A側をN極に着磁されている。
【0116】
よって、第1可動部130Aの第1マグネット部では、第1内ヨーク133がN極、第1外ヨーク134がS極に磁化され、第2可動部140Aの第2マグネット部では、第内ヨーク143がS極、第2外ヨーク144がN極に磁化される。すなわち、コイル112に、A矢視で時計回りの電流を流すと、アンペールの右ねじの法則により、コイル112内には、第2可動部140A側をS極、第1可動部130A側をN極とする向きの磁束が発生する。これにより、矢印Bで示す磁束の流れが発生するとともに、コア114はその全周でS極に、コア116はその全周でN極に励磁される。
【0117】
第1可動部130Aでは第1内ヨーク133がN極であるので、磁気吸引力により推力が発生し、第1可動部130Aは、コイル112において第1可動部130A側に発生するN極に対して離間するように移動する。この移動は、
図7Aの第1可動部130Aと同様である。
【0118】
第2可動部140Aでは、第2内ヨーク143がS極であるので、磁気吸引力により推力が発生し、第2可動部140Aは、コイル112において第2可動部140A側に発生するS極に対して離間するように移動する。この移動は、
図7Aの第2可動部140Aと同様である。
【0119】
このように、コイル112に電流を流すことにより、第1可動部130A及び第2可動部140Aの2つの可動部が同時に、同一軸上を互いに離間する方向に移動する。
【0120】
また、
図10のA矢視で反時計回りの電流をコイル112に流すと、アンペールの右ねじの法則により、コイル112内には、第1可動部130A側をS極、第2可動部140A側をN極とする時計回りの電流を流したときとは逆向きの磁束が発生する。
【0121】
これにより、コア114はその全周でN極に、コア116はその全周でS極に励磁され、第1可動部130A及び第2可動部140Aは、軸方向でコイル112の内側に移動する。
【0122】
第1可動部130Aでは第1内ヨーク133がN極であるので、磁気吸引力によりコイル112側に向かう推力が発生し、第1可動部130Aは、軸方向でコイル112内側に向かって移動する。この移動は、
図7Bに示す第1可動部130の移動と同様である。
【0123】
第2可動部140Aでは、第2内ヨーク143がS極であるので、磁気吸引力によりコイル112側に向かう推力が発生し、第2可動部140Aは、軸方向でコイル112内側に向かって移動する。この移動は、
図7Bに示す第2可動部140の移動と同様である。このように、コイル112に逆電流を流すことにより、第1可動部130A及び第2可動部140Aの2つの可動部が同時に、同一軸上を互いに接近する方向に移動する。
【0124】
よって、実施の形態1と同様に、コイル112に交流を流すと、第1可動部130A及び第2可動部140Aは、互いに逆方向に往復運動する。なお、アクチュエータ100Aにおける動作原理を示す運動方程式は上記式(1)で表され、回路方程式は上記式(2)で表される。すなわち、第1可動部130A及び第2可動部140Aは、それぞれ式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。また、アクチュエータ100Aの共振周波数は、上記式(3)に示すように、第1可動部130A及び第2可動部140Aの質量とばね定数(ここでは、磁気ばねのばね定数及び機械ばね(圧縮コイルばね)のばね定数)により決まる。共振周波数f
rと略等しい周波数の交流でアクチュエータ100Aを駆動することにより、実施の形態1のアクチュエータ100と同様に、効率的に大きな出力を得ることが可能となる。すなわち、定常状態において低消費電力での駆動が可能となるので、アクチュエータ100Aのエネルギー効率が向上する。
【0125】
このように、第2実施の形態に係るアクチュエータ100Aでは、アクチュエータ100と同様に、第1マグネット132及び第2マグネット142は、コイル112に電流を流したときに、アンペールの右ねじの法則に従ってコイル112で発生する磁束の向きによって、同軸上で逆方向の推力を得て、それぞれ逆方向に移動する。ここでは、第1マグネット132を有する第1可動部130Aと第2マグネット142を有する第2可動部140Aは、同一軸上を略同時に、それぞれ逆方向に移動する。
【0126】
アクチュエータ100Aによれば、アクチュエータ100と基本的に同様の効果を得ることができる。特に、第1可動部130Aと第2可動部140Aが、それぞれ同軸上で逆方向に往復運動することにより振動が相殺されるので、利用者に振動が伝達されるのを効果的に防止できる。また、同一軸で支持する支軸機構を用いているため、第2可動部140Aと第1可動部130Aの重心を同一軸上に容易に設計でき、振動発生方向(特に、軸心からの放射方向)にずれをなくし、各可動部を支持する軸にずれのある構造と比較して効果的に振動を抑制できる。
【0127】
また、支軸122により放射方向への移動が規制された第1マグネット部(第1マグネット132、第1内外ヨーク133、134)及び第2マグネット部(第2マグネット142、第2内外ヨーク143、144)と、コア114、116とで発生する磁気吸引力を軸方向での移動を規制しデフォルト位置での位置に位置決めされる。
【0128】
また、内外周方向(ラジアル方向)で向かい合う固定部110Aのコア114、116と第1可動部130A及び第2可動部140Aの各ヨーク133、134、143、144には、スリット(切欠部)172と凹部(切欠部)174が設けられている。これにより、コア114と第1内ヨーク133及び第1外ヨーク134の間で回転方向(周方向)に対して位置トルクが発生し、第1可動部130A及び第2可動部140Aの周方向への移動が規制される。
【0129】
よって、第1可動部130A及び第2可動部140Aの位置が、外部に回転規制を設けることなく安定させることができ、アクチュエータ100A単体での動作が可能となる。また、組立時において各可動部の位置も安定させることができ、組み立て性の向上を図ることができる。
【0130】
また、動吸振器や動力変換機構を設ける必要がないので、省スペース化、小型化を図ることができ、実装される製品の設計自由度、デザイン性が向上する。
【0131】
したがって、アクチュエータ100Aを適用することにより、デザイン性に優れるとともに、低振動、低騒音で、利用者にとって使い心地のよい電動理美容器具が実現される。
【0132】
また、アクチュエータ100Aにおいて、コイル112は固定部110Aの全長にわたって同一方向に巻回され、第1マグネット132の着磁方向と、第2マグネット142の着磁方向が逆となっている。これにより、簡単な構成で、第2可動部140Aと第1可動部130Aを、それぞれ逆方向に往復運動させることができる。
【0133】
さらに、アクチュエータ100Aはインナーロータ型であるので、実装する際に、可動部の接触の可能性が無いため、固定部の外側で移動する可動部を有する構造のアウターロータ型と異なり、可動部の可動領域となるスペースを確保する必要がない。
【0134】
インナーロータ型のアクチュエータ100Aでは、筐体の外表面が固定部110Aとなるため、固定対象に対してアクチュエータ100Aを固定できる部分が広く、アクチュエータ100Aの実装が容易になる。また、第1可動部130A及び第2可動部140Aを筐体内に収容している。これにより、アクチュエータ100Aを実装する際に、アウターロータ型と比較して、第1可動部130A及び第2可動部140Aのそれぞれと固定部110Aとの隙間に異物が混入して動作不良・破損が生じにくい。
【0135】
ところで、実施の形態1のアクチュエータ100の構成では、第1可動部130及び第2可動部140を弾性保持する弾性保持部のばね定数を設定する際に、磁気ばねのみでは不足し、駆動周波数の設定可能範囲が狭くなる場合がある。第1可動部130A及び第2可動部140Aを所定の周波数において駆動させる場合、ばね定数が小さくなると、第1可動部A及び第2可動部140Aの質量も伴って小さくする必要があり、結果として出力が低下することになる。
【0136】
これに対して、本実施の形態のアクチュエータ100Aは、第1可動部130A及び第2可動部140Aを弾性保持する弾性保持部として、第1マグネット部とコア114、第2マグネット部とコア116(通電されたコイル112も含んでも良い)の磁気ばねに加え、機械ばね(コイルばね)181、182、183、184を有する。
【0137】
これにより、弾性保持部におけるばね定数の設計自由度が向上し、駆動周波数の設定が容易となる。
【0138】
また、所望の周波数で駆動する場合でも、双方のばね定数に合わせて、駆動対象である第1及び第2可動部の質量も大きくすることができ、出力の増加を図ることができる。
【0139】
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3に係るアクチュエータ100Bの分解斜視図であり、
図12は、実施の形態3に係るアクチュエータ100Bの軸方向に沿う縦断面図である。このアクチュエータ100Bは、例えば電気かみそり等の電動理美容器具に適用される。
【0140】
なお、アクチュエータ100Bは、第1実施の形態のアクチュエータ100と同様の基本的構成を有する。アクチュエータ100と同一又は対応する構成要素については同様の構成要素の参照符号または、同様の構成要素の機能を含む構成要素には参照符号に記号「B」を付し、重複する説明は省略する。
【0141】
図11及び
図12に示すように、アクチュエータ100Bは、固定部110B、第1可動部130B、第2可動部140Bを備える。第1可動部130B及び第2可動部140Bは、固定部110Bのコイル112と同軸上(ここでは同一支軸122上)に固定部110Bを中心に対称配置され、それぞれ軸方向に往復運動を行う。第1可動部130B及び第2可動部140Bは、コイル部111の一つのコイル112によって軸方向に互いに逆方向に移動する。つまり、第1可動部130Bと第2可動部140Bが軸方向に互いに近づく方向、或いは、互いに離れる方向に移動する。
【0142】
固定部110Bは、コイル部111、ブラケット124、126、ケース128、及び支軸122、環状磁性体160、中央ばね受け部192等を備える。
【0143】
筒状のケース128は、ブラケット124、126とともにアクチュエータ100Bの中空の筐体を構成し、その筐体内には、コイル部111、第1可動部130B及び第2可動部140Bが収納されている。
【0144】
これらコイル部111、第1可動部130B及び第2可動部140Bは、それぞれケース128の軸方向に沿って配置されており、本実施の形態では、ケース128、コイル部111、第1可動部130B及び第2可動部140Bは同軸ALに配置される。
【0145】
なお、コイル部111は、コイル112、ボビン113(
図9参照)、コア114、116を有し、コイル112からリード部1121が引き出され、交流電源165が接続される。なお、コイル部111の内周面に沿って、環状磁性体160が配置される。環状磁性体160は、環状(ここでは筒状)の磁性材料でありコイル112側で発生する磁気抵抗を緩和して低減する。
【0146】
支軸122は、第1可動部130B及び第2可動部140Bを移動自在に支持する。支軸122は、コイル部111及び環状磁性体160内を挿通して配置され、その両端部でブラケット124、126に固定支持される。支軸122の中央部には、コイル部111内に配置され、付勢部材である機械ばね(圧縮コイルばね)182、183を受ける中央ばね受け部192が取り付けられている。
【0147】
第1可動部130Bは、第1マグネット132の両側に第1内ヨーク133と第1外ヨーク134とを接続した第1マグネット部131、第1出力接続部135B、第1軸受部137の他、ばね受け部191等を備える。
【0148】
第1可動部130Bにおける第1マグネット部131の第1外ヨーク134には、実施の形態1の出力接続部135と同様の機能を有する出力接続部135Bが取り付けられる。この出力接続部135Bにおいて支軸122を囲み、且つ、第1外ヨーク134に取り付けられる部位の外面には、機械ばね181を受けるばね受け部1351が形成される。このばね受け部1351には、一端部がブラケット126に当接する機械ばね181の他端部が接続されている。機械ばね181は、支軸122を挿通させた状態で、ブラケット124と、第1可動部130B(具体的には、出力接続部135B)との間に配置され、第1可動部130Bをブラケット126から離間する方向(ブラケット126側)に付勢する。
【0149】
また、第1マグネット部131の第1内ヨーク133には、ばね受け部191が接着等により固定されている。ばね受け部191は、中央ばね受け部192と対向配置され、これらばね受け部191と中央ばね受け部192との間に機械ばね182が、支軸122を挿通させた状態で配置されている。なお、ばね受け部191は、第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135Bとともに第1軸受部137に外嵌され、この第1軸受部137を介して支軸122に、支軸122の一端側で軸方向に移動自在に取り付けられる。
【0150】
これら第1マグネット132、第1内ヨーク133、第1外ヨーク134、及び第1出力接続部135Bに、第1軸受部137を含めた第1可動部130Bは、機械ばね181、182により軸AL方向で両側から挟まれて弾性保持されている。
【0151】
なお、第1マグネット部131は、実施の形態1と同様に、コイル部111の一端部側の内周面、つまり、コア114の内周面とエアギャップを空けて配置され、このコア114との間の吸引力によって、当該コア114の内周面に対向する位置に位置決めされる。第1マグネット132における軸方向の中心は、コア114の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0152】
このように、第1可動部130Bは、コア114にラジアル方向で対向配置される第1マグネット部131の吸引力による磁気ばねと、機械バネ181、182とにより支軸122上で軸方向に移動可能に弾性保持される。
【0153】
第2可動部140Bは、第1可動部130Bと対称に配置される。第2可動部140Bは、第2可動部140と比較して、その両側から機械ばね183、184により弾性支持されている点が異なる。第2可動部140Bは、第2マグネット142の両側に第2内ヨーク143と第2外ヨーク144とを接続した第2マグネット部141、第2出力接続部145B(「出力接続部145B」とも称する)、及び第2軸受147の他、ばね受け部194等を備える。
【0154】
図11及び
図12に示すように、第2可動部140Bにおいて、第2マグネット部141の第2マグネット142に接続される第2外ヨーク144には、実施の形態1の出力接続部145と同様の機能を有する出力接続部145Bが取り付けられる。
【0155】
この出力接続部145Bにおいて、支軸122の外周を囲み、且つ、第2外ヨーク144に取り付けられる部位の外面には、機械ばね184を受けるばね受け部1451が形成されている。
【0156】
このばね受け部1451には、一端部がブラケット126に当接する機械ばね184の他端部が接続されている。機械ばね184は、支軸122を挿通させた状態でブラケット124と第2可動部140B(具体的には出力接続部145B)との間に配置され、第2可動部140Bをブラケット126から離間する方向(ブラケット124側)に付勢する。
【0157】
また、第2マグネット部141では、第2内ヨーク143に、ばね受け部194が接着等により固定される。ばね受け部194は、中央ばね受け部192に対向配置され、これらばね受け部194と中央ばね受け部192との間に機械ばね183が支軸122を挿通させた状態で配置されている。
【0158】
ばね受け部194は、第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、及び出力接続部145Bとともに第2軸受部147に外嵌され、この第2軸部147を介して支軸122に、支軸122の一端側で軸方向に移動自在に取り付けられる。
【0159】
これら第2マグネット142、第2内ヨーク143、第2外ヨーク144、出力接続部145B、ばね受け部194、及び第2軸受部147を含めた第2可動部140Bは、機械ばね183,184により軸AL方向で両側から挟まれて弾性保持されている。
【0160】
なお、第2マグネット部141は、実施の形態1と同様に、コイル部111の一端部側の内周面、つまり、コア116の内周面とエアギャップを空けて配置され、このコア116との間の吸引力によって、当該コア116の内周面に対向する位置に位置決めされる。第2マグネット142における軸方向の中心は、コア116の軸方向の中心と重なる位置に位置する。
【0161】
このように、第2可動部140Bは、コア116にラジアル方向で対向配置される第2マグネット部141の吸引力による磁気ばねと、機械ばね183、184とにより支軸122上で軸方向に移動可能に弾性保持される。
【0162】
アクチュエータ100Bは、アクチュエータ100の構成において、第1可動部130B及び第2可動部140Bを機械ばねにより弾性保持する構成を加え、環状磁性体160を外した構成を有する。
【0163】
すなわち、アクチュエータ100Bでは、第1可動部130B及び第2可動部140Bは、磁気ばね(第1マグネット部131とコア114と間で発生する磁気吸引力、第2マグネット部141とコア116と間で発生する磁気吸引力)とともに、機械ばね181〜184で弾性保持されている。
【0164】
なお、実施の形態3のアクチュエータ100Bの磁気回路構成及び、コイルに電流を流した際の動作の様子は、実施の形態1のアクチュエータ100と同様であるので、説明は省略する。よって、実施の形態1と同様に、コイル112に交流を流すと、第1可動部130B及び第2可動部140Bは、互いに逆方向に往復運動する。なお、アクチュエータ100Bにおける動作原理を示す運動方程式は上記式(1)で表され、回路方程式は上記式(2)で表される。すなわち、第1可動部130B及び第2可動部140Bは、それぞれ式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。また、アクチュエータ100Bの共振周波数は、上記式(3)に示すように、第1可動部130B及び第2可動部140Bの質量とばね定数(ここでは、磁気ばねのばね定数及び機械ばね(圧縮コイルばね)のばね定数)により決まる。共振周波数f
rと略等しい周波数の交流でアクチュエータ100Bを駆動することにより、実施の形態1のアクチュエータ100と同様に、効率的に大きな出力を得ることが可能となる。すなわち、定常状態において低消費電力での駆動が可能となるので、アクチュエータ100Bのエネルギー効率が向上する。
【0165】
このように、実施の形態3に係るアクチュエータ100Bでは、アクチュエータ100と同様に、第1マグネット132及び第2マグネット142は、コイル112に電流を流したときに、アンペールの右ねじの法則に従ってコイル112で発生する磁束の向きによって、同軸上で逆方向の推力を得て、それぞれ逆方向に移動する。ここでは、第1マグネット132を有する第1可動部130Bと第2マグネット142を有する第2可動部140Bは、同一軸上を略同時に、それぞれ逆方向に移動する。
【0166】
アクチュエータ100Bによれば、アクチュエータ100と基本的に同様の効果を得ることができる。
【0167】
また、実施の形態1のアクチュエータ100の構成において、第1可動部130及び第2可動部140を弾性保持する磁気ばねによる弾性保持部のばね定数を設定する際に、駆動周波数の設定可能範囲を広くすることが考えられる。第1可動部130A及び第2可動部140Aを所定の周波数において駆動させる場合、ばね定数が小さくなると、これに伴い第1可動部130A及び第2可動部140Aの質量も小さくする必要があり、結果として出力が低下することになる。
【0168】
これに対して、実施の形態3のアクチュエータ100Bは、第1可動部130B及び第2可動部140Bを弾性保持する弾性保持部として、第1マグネット部とコア114、第2マグネット部とコア116(通電されたコイル112も含んでも良い)の磁気ばねに加え、機械ばね(コイルばね)181、182、183、184を有する。
【0169】
これにより、弾性保持部におけるばね定数の設計自由度が向上し、駆動周波数の設定が容易となる。
【0170】
また、所望の周波数で駆動する場合でも、双方のばね定数に合わせて、駆動対象である第1及び第2可動部の質量も大きくすることができ、出力の増加を図ることができる。
【0171】
[実施の形態4]
図13は、本発明に係るアクチュエータを備える電動理美容器具200の一例を示す模式図である。
【0172】
図13に示す電動理美容器具200は、複数の振動体を有し、これら複数の振動体をそれぞれ異なる方向に同時にリニアで往復移動する構成を有する。例えば、電動理美容器具200は、電気カミソリ、歯ブラシ、研磨装置(爪研ぎ)等として用いることができる。
【0173】
図13に示す電動理美容器具200は、アクチュエータ100と、刃やブラシ等の振動体212、214と、制御部230と、駆動回路部240、と電源部250とを有する。ここでは、アクチュエータ100、振動体212、214、制御部230、駆動回路部240、及び電源部250は、筐体220内に配置される。
【0174】
電動理美容器具200では、アクチュエータ100の第1出力接続部135及び第2出力接続部145に、それぞれ振動体212、214が固定される。アクチュエータ100の駆動により、振動体212、214は、互いに異なる方向に同一方向で往復振動する出力接続部135、145の動作に伴い、それぞれ可動する。
【0175】
アクチュエータ100は、アクチュエータ100を駆動する駆動回路を有する駆動回路部240に接続される。駆動回路部240は、Hブリッジ回路であり、制御部230により一つの電源から供給され、アクチュエータのコイル112に流す電流の向きを切り替える。制御部230は、マイコン等により構成され、電動理美容器具の各部を制御する。特に制御部230は、駆動回路部240を介して、電源部250からアクチュエータ100へ供給される電力を制御して、アクチュエータ100の駆動を制御する。具体的には、アクチュエータ100で磁気ばねにより弾性保持される第1可動部130、第2可動部140の共振周波数に等しくなるような周波数の交流を、アクチュエータ100のコイル112に供給するように制御する。電源部250は、制御部230及び駆動回路部240に電力を供給する。電源部250は、交流電源であり、駆動回路部240を介してアクチュエータ100に交流電圧を供給する。
【0176】
電動理美容器具200では、アクチュエータ100の第1出力接続部135、第2出力接続部145にブラシや刃等の振動体212、214を固定し、駆動回路部240、制御部230及び電源部250を介して駆動制御される。振動する可動部同士が同一軸上を異なる方向で往復移動(ここでは振動)して振動の少なく小型化可能なアクチュエータ100を有することにより、低振動・省スペースの理美容機器の実現できる。
【0177】
なお、電動理美容器具200では、アクチュエータ100に代えてアクチュエータ100A或いはアクチュエータ100Bを適用してもよい。アクチュエータ100A、100Bのいずれを備える電動理美容器具200としても、アクチュエータ100を実装した構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0178】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0179】
また、例えば、実施の形態2及び実施の形態3において、圧縮コイルばね183、184、182、152に代えて、板ばね等の弾性部材を適用することができる。
【0180】
また、各実施の形態において、第1可動部130、130A、130B及び第2可動部140、140A、140Bを軸方向で移動可能に弾性保持する構成であれば、支軸122は無くても良く、また、支軸122以外の部材で各可動部を軸方向に案内してもよい。例えば、リニアレールを固定部に設け、このリニアレールに沿って可動部を一方向にのみ移動自在となる構成としてもよい。
【0181】
また、各実施の形態では、一本の支軸122を適用したが、これに限らず、第1可動部130、130A、130B及び第2可動部140、140A、140Bをそれぞれ同軸上に移動自在に保持するものであれば、複数本の軸部を用いた構成としても良い。
【0182】
また、実施の形態1〜3において、第1マグネット132及び第2マグネット142に代えて、複数の角型マグネットを組み合わせて全体として角筒状にしたマグネットを適用
することもできる。
【0183】
また、固定部110、110A、110B及びブラケット124、126を金属材料で構成することにより、アクチュエータ内で発生する磁束や電磁ノイズのアクチュエータ外への漏洩を低減することができる。
【0184】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。