(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659969
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20200220BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20200220BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
H04M1/02 C
F16C11/04 V
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-76554(P2017-76554)
(22)【出願日】2017年4月7日
(65)【公開番号】特開2018-180757(P2018-180757A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 遥
【審査官】
佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−075865(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/045132(WO,A1)
【文献】
特開2007−328529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16− 1/18
F16C 11/04
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が本体部にスイベル軸で接続された端末装置であって、
前記表示部の、前記本体部側の側面の長手方向の両端部に設けられ、前記表示部のグランドに接続すると共に、前記側面から露出する導電性部品と、
前記本体部のアッパカバーに設けられ、前記本体部のグランドに接続すると共に、前記表示部の前記導電性部品に導通した状態で前記表示部を前記本体部側から支える導電性の支持部品とを備え、
前記スイベル軸は、前記本体部に固定される基部と、前記表示部に固定され、前記基部に対して回動可能な回転軸とを備え、
前記回転軸の、軸線に対して直交する方向の両側には、前記表示部の前記側面の長手方向に沿ったヒンジ軸が設けられ、
前記ヒンジ軸の両端には、前記本体部に対して前記表示部を開閉するヒンジ機構が設けられ、
前記導電性部品は、前記ヒンジ機構を前記表示部に取り付けるブラケットに設けられた突出部である、
端末装置。
【請求項2】
前記アッパカバーが非導電性部材で形成され、
前記支持部品が、前記アッパカバーの表面に設けられた金属部品である請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記表示部の前記本体部側の側面が円周面に形成され、
前記突出部は、前記円周面と面一の円周面と、前記円周面に連続する延長部を備え、
前記表示部が前記ヒンジ機構によって前記本体部に対して開閉する際に、前記金属部品は、前記突出部を連続して支持する請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記支持部品の、前記本体部の内部側には、磁石が設けられている請求項1から3の何れか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記回転軸の外周面は円周面であり、
前記回転軸は、前記スイベル軸の前記基部に対して自由に回転できる請求項4に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、スイベル軸を備える端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型のパーソナルコンピュータの市場において、従来のノート型のパーソナルコンピュータとしての使用のみならず、タブレットとしても使用できる2イン1型の端末装置が増加している。2イン1型の端末装置とは、ノート型のパーソナルコンピュータと、タブレットの2つの機能を備える端末装置である。ここでは、ノート型のパーソナルコンピュータは、本体部及び本体部に対して開閉される表示部を備え、本体部にあるキーボードでデータ入力を行うものとする。また、タブレットは、キーボードがない表示画面を備え、表示画面へのタッチでデータ入力を行うものとする。
【0003】
このような2イン1型の端末装置の一つの形態として、ノート型のパーソナルコンピュータの開閉動作に加え、表示部の裏側の面を本体部のキーボード面に重ね合わせることによってタブレットの形態にする端末装置(コンバーチブル型と呼ばれる)がある。
図1(a)は、コンバーチブル型の2イン1型の端末装置10の比較技術における一例を示すものである。コンバーチブル型の2イン1型の端末装置10には、本体部2のキーボード23がある面に、本体部2に対して垂直な軸3(以後スイベル軸3と記す)があり、表示部1の下端部中央がこのスイベル軸3に取り付けられている。
【0004】
このようなコンバーチブル型の2イン1型の端末装置10では、本体部2に対して開いた状態の表示部1が、スイベル軸3の軸線3Aを中心にして、水平方向に360度回転できるようになっている。また、スイベル軸3は、
図2(a)、(b)に示すように、表示部本1を本体部1に連結する2軸トルクヒンジ装置30の中に組み込まれているものである。
【0005】
2軸トルクヒンジ装置30には、スイベル軸3の左右に延びるアーム7があり、このアーム7の先端部にヒンジ軸4を備えるヒンジ機構40が設けられている。アーム7とヒンジ機構40は、端末装置10の表示部1の下端部に組み込まれ、ヒンジ機構40のブラケット41が表示部1に固定される。そして、スイベル軸3は、
図2(c)に示すように、本体部2側にある基部32と、基部32に挿入される回転軸31とを備える。基部32は本体部2に固定され、回転軸31は基部32の左右に延びるアーム7の中央部に固定されている。本図には回転軸31のみの構造を、基部32から取り出した状態で示してある。従って、回転軸31が回転すると、
図2(a)に示すように、アーム7及びヒンジ機構40が回転し、表示部1が矢印方向に回転する。
【0006】
本比較技術の回転軸31には、その外周面にスイベル軸の軸線を挟んで平行な平行面3Pが直交する方向に2組設けられており、基部32の上には、平行面3Pを両側から押圧する押圧機構6が設けられている。押圧機構6には公知のものを使用できるのでその構造の説明は省略する。回転軸31に平行面3Pが2組設けられているので、本比較技術のスイベル軸3では、回転軸31は押圧機構6により基部32に対して90度毎に回転が制止される。押圧機構6は、クリックストップ機構とも呼ばれ、この機構により、開いた状態の表示部1が、本体部に対して90度毎の位置で回転が停止する。
【0007】
また、
図2(a)、(b)に示すように、アーム7の先端部に設けられたヒンジ軸4にヒンジ機構40が形成されており、ヒンジ軸4にはブラケット41が回動自在に取り付けられている。前述のように、ヒンジ機構40のブラケット41が表示部1に固定されるので、ヒンジ機構40により、表示部1はアーム7に対して回転できるようになっている。この構造のコンバーチブル型の2イン1型の端末装置10は、
図1(a)に示すように、表示部1をヒンジ機構40で本体部2に対して開閉できると共に、開いた表示部1をスイベル軸3の軸線3Aの回りに360度回転させることができる。なお、ヒンジ機構40のヒンジ軸4には、ブラケット41をヒンジ軸4に対してスムーズに回転させることができるように、押え板、皿バネ及び摩擦板等を備えるが、2軸トルクヒンジ装置30におけるヒンジ機構40の構造は公知であるので、その説明を省略する。
【0008】
以上のようなスイベル軸3を備える比較技術の2イン1型の端末装置10では、表示部1がスイベル軸3のみにより本体部2に保持されている。このため、ヒンジ機構で開閉可能な一般的な構造のノート型のパーソナルコンピュータと比較して、表示部1の保持が不安定であり、表示部1の両下端部にある角部が本体部2に衝突する場合がある。そこで、
図1(b)に示すように、スイベル軸3の軸線3Aの回りに表示部1を回転させた時に、表示部1の下端部にある角部を保持する支持部品24が本体部2のアッパカバー22の上面に設けられることがある。
【0009】
この場合、表示部1の下端部1Lに、支持部品24で支持される突起部13が設けられる。突起部13は、
図1(c)に示すように、表示部1の下端部1Lの内部に固定されたベース部材13Bに取り付けられている。すなわち、コンバーチブル型の2イン1型の端末装置10は、表示部1を本体部2に対して開いたノート型のパーソナルコンピュータ状態において、表示部1がスイベル軸3と2つの支持部品24によって保持されている。そして、支持部品24には衝撃など大きな力がかかるため、支持部品24には、高強度な樹脂、例えばポリエチレン等の樹脂部品が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−085734号公報
【0011】
【特許文献2】特開平5−165546号公報
【0012】
【特許文献3】特開平1−130180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、比較技術のスイベル軸を備える2イン1型の端末装置には、以下のような課題がある。
(1)本体部と表示部内にある電気回路のグランド(アース)の接続がスイベル軸だけで行われるので、表示部の液晶パネル等から発生するノイズを本体部のアースに良好に落とせず、電波対策として表示部内にアース線やアルミシート等を多数設ける必要がある。
(2)ノート型のパーソナルコンピュータ状態で、本体部に対して表示部を開閉する際に、表示部がスイベル軸の回りに回転しないようにするクリックストップ機構が必要であり、スイベル軸の構造の複雑化による生産難易度と部品コストが高くなる。
【0014】
図3は、(1)で説明した比較技術の端末装置10における、電磁シールテープ9を用いた電磁対策を説明するものである。2イン1型の端末装置10の表示部1に内蔵される液晶パネル8の周縁部には、ノイズ対策用の電磁シールテープ9(図では符号9A)が貼り付けられる。電磁シールテープ9Aにはアルミテープを使用できる。また、液晶パネル8の駆動基板と液晶パネル8を接続するフレキシブルケーブルやタッチパネル用のフレキシブルケーブルには、電磁シールテープ9(図では符号9B)が、ノイズ対策、ショート対策で貼付される。更に、ヒンジ機構が収容される表示部1の筐体の内側にも、ノイズ対策として電磁シールテープ9(図では符号9C)が貼付される。
【0015】
1つの側面では、本出願は、スイベル軸を備える2イン1型の端末装置において、本体部内と表示部内の電気回路のグランド接続が良好であると共に、スイベル軸の構造を簡素化できる端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
1つの形態によれば、表示部が本体部にスイベル軸で接続された端末装置であって、表示部の、本体部側の側面の長手方向の両端部に設けられ、表示部のグランドに接続すると共に、側面から露出する導電性部品と、本体部のアッパカバーに設けられ、本体部のグランドに接続すると共に、表示部の導電性部品に導通した状態で表示部を本体部側から支える導電性の支持部品とを備え
、スイベル軸は、本体部に固定される基部と、表示部に固定され、基部に対して回動可能な回転軸とを備え、回転軸の、軸線に対して直交する方向の両側には、表示部の側面の長手方向に沿ったヒンジ軸が設けられ、ヒンジ軸の両端には、本体部に対して表示部を開閉するヒンジ機構が設けられ、導電性部品は、ヒンジ機構を表示部に取り付けるブラケットに設けられた突出部である端末装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
開示のスイベル軸を備える端末装置では、本体部内と表示部内の電気回路のグランド接続がスイベル軸とスイベル軸の両側に設けられた導電性部品によって常時行われるので、本体部と表示部のグランドの間に生じる電位差を低減できる効果がある。また、本体部側に導電性部品を吸引する磁石を配置した場合には、スイベル軸の構造を簡素化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は端末装置の外観を示す斜視図、(b)は(a)に示したA部の部分拡大斜視図、(c)は端末装置の表示部の下端部の構造を示す部分拡大斜視図である。
【
図2】(a)は
図1(a)に示した端末装置の本体部と表示部とを連結する比較技術におけるスイベル軸とヒンジ機構を備えた2軸トルクヒンジ装置の斜視図、(b)は(a)に示した2軸トルクヒンジ装置を裏面側から見た斜視図、(c)は(b)に示した2軸トルクヒンジ装置の要部を拡大した状態で、スイベル軸の回転軸を取り出して示す部分拡大斜視図である。
【
図3】
図2(a)に示した2軸トルクヒンジ装置により、端末装置の本体部と表示部とが連結された時に、表示部に設けられるノイズ対策部品の位置を示す斜視図である。
【
図4】(a)は開示する端末装置の2軸トルクヒンジ装置におけるヒンジ機構を、表示部のカバーを取り外して示す部分拡大斜視図、(b)は(a)に示した表示部にカバーが取り付けられた状態を示す部分拡大斜視図、(c)は(b)に示した表示部の裏面側の状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図5】(a)は開示する端末装置の本体部に設けられた表示部の支持部品の第1の実施例の部分拡大斜視図、(b)は開示する端末装置の本体部に設けられた表示部の支持部品の第2の実施例の部分拡大斜視図である。
【
図6】(a)は開示する端末装置において表示部が本体部に2軸トルクヒンジ装置を用いて連結され、本体部に対して表示部がスイベル軸を中心にして僅かに回転した状態を示す部分拡大斜視図、(b)は(a)に示した表示部にある導電性部品が、本体部にある支持部品の裏面側に内蔵された磁石に引き寄せられて、導電性部品が支持部品に導通した状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図7】
図6(b)に示した表示部にある導電性部品と本体部にある支持部品が、本体部にある支持部品の裏面側に設けられた磁石によって吸引されて導通している状態を示す部分拡大断面図である。
【
図8】(a)は開示する端末装置の本体部に対して表示部が折り畳まれてタブレットになった状態の部分拡大斜視図、(b)は(a)に示した表示部にある導電性部品と本体部にある支持部品が導通している状態を示す部分拡大断面図である。
【
図9】(a)は開示する端末装置における本体部のグランドと表示部のグランドとが3箇所で接続された状態を説明する説明図、(b)は第2の実施例におけるスイベル軸の回転軸の構造を示す拡大斜視図である。
【
図10】(a)は開示する端末装置の第3の実施例における表示部に設けられた導電性部品と本体部に設けられた支持部品の構造を示す部分拡大斜視図、(b)は第3の実施例における表示部の導電性部品の構造の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態においては、比較技術の端末装置と同一または類似の要素には共通の参照符号を付し、理解を容易にするために、図面の縮尺を適宜変更している。また、以下に説明する実施の形態においては、端末装置として、コンバーチブル型の2イン1型の端末装置を説明するが、端末装置はコンバーチブル型の2イン1型の端末装置に限定されるものではない。そして、本体部と表示部とがスイベル軸を用いて接続される端末装置であれば、本出願は適用可能である。
【0020】
図4(a)は、開示する端末装置10の2軸トルクヒンジ装置30におけるヒンジ機構40を、表示部1のカバーを取り外して示す部分拡大斜視図である。開示する端末装置10には、
図2(a)に示した2軸トルクヒンジ装置30と同様の2軸トルクヒンジ装置30が、表示部1の下端部1Lに内蔵されている。従って、2軸トルクヒンジ装置30にあるアーム7の先端部にはヒンジ軸4があり、ヒンジ軸4にヒンジ機構40が形成されている。ヒンジ機構40のヒンジ軸4には、前述のように、ブラケット41と、ブラケット41をヒンジ軸に対してスムーズに回転させることができるように、押さえ板、板バネ、及び摩擦板等がある。ブラケット41は、その取付部41Bが、ネジ16によって、表示部1のバックカバー14に固定されており、バックカバー14は、表示部1のグランド1G(例えば表示部1にある回路基板15のグランド1G)に接続されている。
【0021】
開示する端末装置10では、ブラケット41の取付部41Bの、ヒンジ機構40から外れた部分に、ヒンジ機構40のヒンジ軸4の方向に突出する突出部42がブラケット41と一体的に設けられている。ブラケット41に設けられた突出部42の先端部は、表示部1の筐体の下端部1L側の側面12にまで達している。そして、側面12が、
図4(b)に示すように、ヒンジ軸4の軸線を中心とする円周面12Cである場合、突出部42の先端部も円周面42Cになっている。更に、突出部42の先端部に形成された円周面42Cに続く部分には、円周面42Cに滑らかに接続する延長部42Eが形成されている。ブラケット41は導電性のある磁性体金属(例えばSUS430)で形成されているので、突出部42も同じ材料で形成されている。
【0022】
このため、表示部1にカバーが取り付けられた状態では、突出部42の先端部の円周面42Cと、側面12の円周面12Cとが同一面となり、延長部42Eがカバー17と同一面になる。
図4(c)は、
図4(b)に示した表示部1の裏面側の状態を示す部分拡大斜視図である。表示部1の裏面側でも、延長部42Eはカバー17と同一面になっている。なお、突出部42の先端部の円周面42Cと側面12の円周面12Cとを同一面とせず、突出部42の先端部の円周面42Cが側面12の円周面12Cから突出するように形成することも可能である。
【0023】
図5(a)は、開示する端末装置10の第1の実施例における本体部2に設けられた表示部の支持部品21の構造を示す部分拡大斜視図である。第1の実施例では、本体部2のアッパカバー22が、非導電性部材、例えば合成樹脂で形成されている。このため、アッパカバー22の表面には、
図4(b)に示した表示部1の側面12を支持するとともに、突出部42の円周面12Cに接触する導電性の支持部材21として、金属部品21Mがアッパカバー22とは別部品で設けられている。金属部品21Mは、例えば、マグネシウム合金やアルミ合金で形成できる。金属部品21Mは、本体部2の表示部側の側面25に回り込むように形成されており、アルマイト処理や塗装は行なわれておらず、突出部42が接触した時、突出部42と導通がとれるようになっている。このように、アッパカバー22の上に金属部品21Mを設けることにより、本体部2の強度アップが図れる。
【0024】
図5(b)は、開示する端末装置10の第2の実施例における本体部2に設けられた表示部の支持部品21の構造を示す部分拡大斜視図である。第2の実施例でも、本体部2のアッパカバー22が、非導電性部材、例えば合成樹脂で形成されている。このため、アッパカバー22の表面には、
図4(b)に示した表示部1の側面12を支持するとともに、突出部42の円周面12Cに接触する導電性の支持部材21として、金属部品21Mが設けられている。金属部品21Mは、本体部2の表示部側の側面25に回り込むように形成されている。第2の実施例が第1の実施例と相違する点は、金属部品21Mの裏面側の筐体の内部に永久磁石5が取り付けられている点だけである。
【0025】
ここで、
図6(a)に示すように、開示する端末装置10の第2の実施例において、表示部1が本体部2に2軸トルクヒンジ装置30を用いて連結され、本体部2に対して表示部1がスイベル軸3を中心にして僅かに回転した状態を考える。この場合、第2の実施例では、金属部品21Mの下方に内蔵された永久磁石5に、表示部1の側面12に露出するブラケット41が引き寄せられる。すると、表示部1がスイベル軸3を中心にして本体部1側に回転し、表示部1の側面12に露出するブラケットの突出部42が、
図6(b)に示すように、本体部2のアッパカバー22に取り付けられた金属部品21Mに接続する。
【0026】
図7は、
図6(b)に示した表示部1にあるブラケットの突出部42が、本体部2側に設けられた永久磁石5によって吸引され、突出部42と金属部品21Mとが導通している状態を示す部分拡大断面図である。突出部42の先端部が円周面42Cに形成されており、金属部品21Mが本体部2の表示部側の側面25に回り込むように形成されているので、突出部42と金属部品21Mとの
接触はスムーズに行なわれる。
【0027】
図8(a)は、開示する端末装置10の第2の実施例の本体部2に対して、表示部1が折り畳まれてタブレットになった状態の部分拡大斜視図である。また、
図8(b)は、
図8(a)に示した部分の、表示部1のブラケットの突出部42と本体部2側の金属部品21Mが、本体部2側に設けられた永久磁石5によって吸引されて導通している状態を示す部分拡大断面図である。本体部2に対して、表示部1が折り畳まれてタブレットになった状態でも、表示部1の突出部42には円周面42Cに続く延長部42Eが形成されているので、延長部42Eと金属部品21Mが確実に導通する。
【0028】
図9(a)は、開示する端末装置10における表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gが、3箇所で接続された状態を説明する説明図である。ここでは、表示部1のグランド1Gは、例えば回路基板18にあり、本体部2のグランド2Gは、例えば回路基板28の上にあって良い。開示する端末装置10では、もともと2軸トルクヒンジ装置30のスイベル軸3によって、表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gとが接続されていた。
【0029】
一方、開示する端末装置10
では、2軸トルクヒンジ装置30のスイベル軸3の両側において、ヒンジ機構40によって、表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gとが接続されている。このため、表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gは、スイベル軸3とスイベル軸3の両側に配置されたヒンジ機構40の3カ所で接続されることになるので、表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gの電位差が低減される。そして、表示部1のグランド1Gと本体部2のグランド2Gの電位差が低減されると、端末装置10がノイズに対して強くなる。また、比較技術では必要であった電磁波対策部品(アース線や多数の電波吸収シート、アルミテープ類)を削減することができる。
【0030】
また、前述の第2の実施例では、アッパカバー22の上にある導電性の支持部品21の裏面側に磁石が内蔵されているので、スイベル軸3に
図2(c)で説明した押圧機構6が不要であり、スイベル軸3の構造が簡素になってコスト低減を図ることができる。更に、第2の実施例では、スイベル軸3に押圧機構6が不要であるので、回転軸31の外周面に平行面を設ける必要がなく、回転軸31の構造が
図9(b)に示すように簡素になる。そして、ヒンジ機構40の製造性向上とコストダウン、部品がなくなった分のスペースの有効利用(例えば薄型化や、ケーブルルートの制約減少など)が可能となる。
【0031】
図10(a)は、開示する端末装置10の第3の実施例における本体部2の導電性の支持部品21と表示部1の導電性部品
44との接続における、導電性部品
44の構造を示す部分拡大斜視図である。第1及び第2の実施例では、表示部1の導電性
部品は、ヒンジ機構40のブラケット41に設けられた突出部42であり、突出部42の先端部の円周面42C或いは延長部42Eが本体部2の導電性の支持部品21(金属製部品21M)に接触していた。一方、第3の実施例では、表示部1の導電性部品
44が本体部2の導電性の支持部品21
の表面に対して
垂直方向に移動可能に形成されている。
【0032】
表示部1の導電性部品
44を本体部2の導電性の支持部品21に対して移動可能にする構造としては、例えば、
図10(b)に示すような構造が考えられる。この構造では、突出部42の先端部にスプリング43を介して移動
可能な導電性部材44が取り付けられており、
導電性部材44の先端部が側面12から突出して
いて、
導電性部材44が表示部1のグランド1Gに接続している。なお、
導電性部材44は突出部42の先端部に設けなくても良く、表示部1のグランド1Gに接続する状態で、本体部2の導電性の支持部品21を付勢する構造であれば良い。
【0033】
以上説明した実施例は、本体部2のアッパカバー22が、非導電性部材、例えば合成樹脂で形成されているものであるが、本体部2のアッパカバー22は導電性部材で形成されていても良い。この場合は、表示部1の側面12に露出する突出部42に対向するアッパカバー22の部分を、第1から第3の実施例で説明した金属部品21Mと同様の形状に膨出させておけば良い。アッパカバー22を膨出させる形状は特に限定されるものではない。また、本体部2のアッパカバー22は導電性部材で形成される場合も、第2の実施例で説明した永久磁石5をアッパカバー22の膨出させた部分の裏面に設けることが可能である。
【0034】
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
【0035】
(付記1) 表示部が本体部にスイベル軸で接続された端末装置であって、
前記表示部の、前記本体部側の側面の長手方向の両端部に設けられ、前記表示部のグランドに接続すると共に、前記側面から露出する導電性部品と、
前記本体部のアッパカバーに設けられ、前記本体部のグランドに接続すると共に、表示部の前記導電性部品に導通した状態で前記表示部を前記本体部側から支える導電性の支持部品とを備える端末装置。
(付記2) 前記スイベル軸は、前記本体部に固定される基部と、前記表示部に固定され、前記基部に対して回動可能な回転軸とを備え、
前記回転軸の、軸線に対して直交する方向の両側には、前記表示部の前記側面の長手方向に沿ったヒンジ軸が設けられ、
前記ヒンジ軸の両端には、前記本体部に対して前記表示部を開閉するヒンジ機構が設けられ、
前記導電性部品は、前記ヒンジ機構を前記表示部に取り付けるブラケットに設けられた突出部である付記1に記載の端末装置。
(付記3) 前記アッパカバーが非導電性部材で形成され、
前記支持部品が、前記アッパカバーの表面に設けられた金属部品である付記2に記載の端末装置。
(付記4) 前記金属部品の表面は、前記アッパカバーの表面より所定高さ高い位置にある付記3に記載の端末装置。
(付記5) 前記表示部の前記本体部側の側面が円周面に形成され、
前記突出部は、前記円周面と面一の円周面と、前記円周面に連続する延長部を備え、
前記表示部が前記ヒンジ機構によって前記本体部に対して開閉する際に、前記金属部品は、前記突出部を連続して支持する付記3に記載の端末装置。
【0036】
(付記6) 前記表示部の前記本体部側の側面が円周面に形成され、
前記突出部は、前記円周面より僅かに突出する円周面と、前記円周面に連続する延長部を備えて前記側面より所定高さ高い位置にあり、
前記表示部が前記ヒンジ機構によって前記本体部に対して開閉する際に、前記金属部品は、前記突出部を連続して支持する付記3に記載の端末装置。
(付記7) 前記突出部の先端部は、前記金属部品との接続時に前記金属部品の表面を付勢するように形成されている付記5または6に記載の端末装置。
(付記8) 前記支持部品の、前記本体部の内部側には、磁石が設けられている付記2から7の何れかに記載の端末装置。
(付記9) 前記アッパカバーが導電性金属製であり、
前記支持部品が、前記アッパカバーである付記2に記載の端末装置。
(付記10) 前記アッパカバーの前記導電性部品に対する対向部は、前記アッパカバーのその他の部分に対して所定高さだけ盛り上げられた膨出部になっている付記9に記載の端末装置。
【0037】
(付記11) 前記膨出部の、前記本体部の内部側には、磁石が設けられている付記10に記載の端末装置。
(付記12) 前記回転軸の外周面には、前記スイベル軸の軸線を挟んで前記軸線に平行な平行面が少なくとも1組形成されており、
前記スイベル軸の前記基部の外側には、前記平行面を両側から押圧して、前記回転軸の前記基部に対する角度を固定する押圧機構が設けられている付記1から7または付記9から11の何れかに記載の端末装置。
(付記13) 前記回転軸の外周面は円周面であり、
前記回転軸は、前記スイベル軸の基部に対して自由に回転できる付記8または11に記載の端末装置。
【符号の説明】
【0038】
1 表示部
1G、2G グランド
2 本体部
3 スイベル軸
4 ヒンジ軸
5 永久磁石
10 端末装置
11 導電性部品
21 導電性の支持部品
21M 金属部品
22 アッパカバー
30 2軸トルクヒンジ装置
31 回転軸
32 基部
40 ヒンジ機構
41 ブラケット
42 突出部
42C 円周面
42E 延長部