特許第6659987号(P6659987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659987
(24)【登録日】2020年2月12日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/075 20060101AFI20200220BHJP
【FI】
   B60N2/075
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-20234(P2019-20234)
(22)【出願日】2019年2月7日
(62)【分割の表示】特願2017-147659(P2017-147659)の分割
【原出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-69777(P2019-69777A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年2月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-283912(P2012-283912)
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正人
(72)【発明者】
【氏名】目黒 司
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−262721(JP,A)
【文献】 特開2012−076546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体を前後方向にスライド自在に支持する左右のスライド部と、
前記スライド部の前端部に固定された前方支持脚と、
前記スライド部の後端部に固定された後方支持脚と、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚に架け渡された補強部とを備え、
前記補強部は、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚の一側部に取り付けられた第一壁部と、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚の他側部に取り付けられ、前記第一壁部に対向する第二壁部と、
前記第一壁部及び前記第二壁部を連結する連結部とを有し、
前記スライド部と前記補強部との間の空間には、シート装置の駆動装置が配置されており、前記駆動装置は上下方向について前記連結部を避けて配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート装置において、
前記補強部には、他の部材取り付け用の他部材取付部が設けられており、
前記他部材取付部は、側面視で、前記補強部の前記駆動装置側に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート装置において、
前記補強部には、二つの前記他部材取付部が設けられており、
前後方向について、二つの前記他部材取付部よりも広い範囲で、ビードが前記補強部に形成されていることを特徴とするシート装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のシート装置において、
前記補強部には、二つの前記他部材取付部が設けられており、
前記駆動装置は、前後方向について、二つの前記他部材取付部の間に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート装置において、
前記駆動装置の上端は、前記後方支持脚の上端よりも上側に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシート装置において、
前記第一壁部及び前記第二壁部のそれぞれの上縁部及び下縁部には、前記第一壁部から前記第二壁部側又は前記第二壁部から前記第一壁部側に向かって延在するリブが設けられていることを特徴とするシート装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシート装置において、
床面に固定される延出用固定部と、
前記延出用固定部の前面部を押えるように前記スライド部の下面に固定される規制部とを備え、
前記駆動装置は、前方支持脚と前記規制部との間に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項8】
請求項7に記載のシート装置において、
前記駆動装置は、前後方向について、クッションサイドフレームの前面と前記規制部との間に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のシート装置において、
前記駆動装置の下端は、前記前方支持脚の下端部と前記延出用固定部の下端部とを結ぶ直線よりも上側に配置されていることを特徴とするシート装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシート装置において、
前記駆動装置が、前後方向について二つの前記補強部の間に配置されていることを特徴とするシート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート装置に係り、特に車両に搭載されるシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等のシート装置においては、シート本体をスライドさせるためのスライドレールの前後のそれぞれの端部に支持脚(前方脚部71、後方脚部72)が設けられているものが知られている(例えば特許文献1参照)。前方の支持脚と後方の支持脚との間には、板材からなる補強部(側板73,74)が設けられていて、この補強部によって前方の支持脚と後方の支持脚とが連結されている。そして、補強部自身の剛性を高めるべく、補強部には前後方向に沿うビード(ライザー補強部73a)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−76546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シート装置各部の強度向上は常に求められている課題であり、特にシート本体を支持する支持脚に対してはその要求は大きい。
そこで、本発明の課題は、前方の支持脚と後方の支持脚との連結状態をより強固なものにすることで、支持脚の強度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明に係るシート装置は、
シート本体を前後方向にスライド自在に支持する左右のスライド部と、
前記スライド部の前端部に固定された前方支持脚と、
前記スライド部の後端部に固定された後方支持脚と、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚に架け渡された補強部とを備え、
前記補強部は、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚の一側部に取り付けられた第一壁部と、
前記前方支持脚及び前記後方支持脚の他側部に取り付けられ、前記第一壁部に対向する第二壁部と、
前記第一壁部及び前記第二壁部を連結する連結部とを有し、
前記スライド部と前記補強部との間の空間には、シート装置の駆動装置が配置されており、前記駆動装置は上下方向について前記連結部を避けて配置されていることを特徴としている。
【0006】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記補強部は、前記第一壁部及び前記第二壁部の上部間を連結しても良い。
【0007】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記補強部の前後の両端部は、当該補強部の中央部よりも上下方向の幅が長い拡幅部となっている構成としても良い。
【0008】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記連結部は、前記補強部の前後の前記拡幅部よりも中央側に配置されている構成としても良い。
【0009】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記第一壁部及び前記第二壁部のそれぞれの上縁部及び下縁部には、内側に向かって延在するリブが設けられている構成としても良い。
【0010】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記補強部は、
前記前方支持脚における前記スライド部との固定部分と、前記後方支持脚における前記スライド部との固定部分とに対して間隔を空けて配置されている構成としても良い。
【0011】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記補強部には、他の部材取り付け用の他部材取付部が設けられている構成としても良い。
【0012】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記スライド部と前記補強部との間の空間には、駆動装置が配置されている構成としても良い。
【0013】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記第一壁部と前記第二壁部とが同一形状である構成としても良い。
【0014】
また、本発明は、上記シート装置において、
前記左右のスライド部のうち、一方のスライド部の前記前方支持脚及び前記後方支持脚にのみ前記補強部が設けられ、
他方のスライド部の前記後方支持脚は、
前記他方のスライド部に重なって固定される基部と、
水平面から下方に延出する延出床面に対向するように前記基部から垂下して、当該延出床面に固定される延出用固定部と、
前記延出用固定部の前面部を押さえるように前記スライド部に固定される規制部とを備える構成としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補強部の互いに対向する第一壁部及び第二壁部には、それらを連結する連結部が設けられているので、この第一連結部によって第一壁部及び第二壁部の強度が高められることになる。これにより、前方支持脚及び後方支持脚の連結状態も高められることになり、前方支持脚及び後方支持脚の強度を高めることができる。
【0016】
また、他の構成では、第一壁部及び第二壁部の上部間を連結するので、第一壁部及び第二壁部の強度をより一層強くすることができる。
【0017】
また、他の構成では、補強部の前後の両端部が、当該補強部の中央部よりも上下方向の幅が長い拡幅部となっているので、前方支持脚及び後方支持脚に対する接合面積を広くすることができ、前方支持脚及び後方支持脚に取り付けた際の取付剛性を高めることができる。
【0018】
また、他の構成では、補強部の前後の拡幅部よりも中央側に連結部が配置されているので、拡幅部よりも強度の劣る部分が連結部によって補強されることになり、補強部全体の強度を高めることができる。
【0019】
また、他の構成では、第一壁部及び第二壁部のそれぞれの上縁部及び下縁部に、内側に向かって延在するリブが設けられているので、このリブによって補強部の剛性が高められることになる。
【0020】
また、他の構成では、前方支持脚におけるスライド部との固定部分と、後方支持脚におけるスライド部との固定部分に対して補強部は間隔を空けて配置されているので、その間隔を用いてスライド部に各支持脚を組み付けることができる。したがって、間隔がない場合と比べてもスライド部と各支持脚とを容易に組み付けることが可能となる。
【0021】
また、他の構成では、他の部材取り付け用の他部材取付部が補強部に設けられているので、補強部と他部材取付部とが一体化されて補強部の強度を高めつつも、他部材の取付剛性を向上させることができる。
【0022】
また、他の構成では、スライド部と補強部との間の空間に駆動装置が配置されているので、デットスペースに駆動装置を配置することができ、シート装置の大型化を抑制することができる。
【0023】
また、他の構成では、第一壁部と前記第二壁部とが同一形状であるので、部品を共通化することができる。
【0024】
また、他の構成では、補強部が設けられていない他方のスライド部の後方支持脚に、延出用固定部の前面部を押さえるようにスライド部に固定される規制部が設けられているので、後方支持脚におけるスライド部の支持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係るシート装置の要部構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る左脚部の概略構成を示す側面図である。
図3図2の左脚部の概略構成を示す斜視図である。
図4図2の左脚部の一部分を上から見た上面視図である。
図5図2の左脚部の一部分を下から見た下面視図である。
図6】本実施形態に係るカバー部材の概略構成を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る左脚部に取り付けられたカバー部材を示す斜視図である。
図8】本実施形態に係る右脚部の概略構成を示す側面図である。
図9】本実施形態に係る後方支持脚を斜め上方から見た斜視図である。
図10図9の後方支持脚を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0027】
図1は本実施形態に係るシート装置の要部構成を示す斜視図である。図1に示すようにシート装置1には、シート本体90と、シート本体90を前後方向にスライド自在に支持する左右一対のスライド部60と、左右一対のスライド部60を車両の床面に固定するための脚部7とが備えられている。
シート本体90には、シートバックフレーム2と、シートバックフレーム2の下部の左右にそれぞれ配置された左右一対のクッションサイドフレーム3と、クッションサイドフレーム3に対してシートバックフレーム2を傾動させるリクライニング機構4とが備えられている。
スライド部60には、左右のクッションサイドフレーム3をそれぞれ支持するアッパーレール5と、アッパーレール5をスライド自在に支持し、脚部7が取り付けられたロアレール6とが備えられている。
【0028】
脚部7は、左側のスライド部60を支持する左脚部8と、右側のスライド部60を支持する右脚部9とを備えている。ここで、車両の床面においては、左右で段差がある場合もある。本実施形態では、左脚部8が設置される床面の方が低く、右脚部9が設置される床面の方が高い場合を例示して説明する。
【0029】
まず、左脚部8について詳細に説明する。図2は左脚部8の概略構成を示す側面図である。図3は左脚部8の概略構成を示す斜視図である。図4は左脚部8の一部分を上から見た上面視図である。図5は、図2の左脚部の一部分を下から見た下面視図である。
図2図5に示すように、左脚部8には、ロアレール6の前端部に固定された前方支持脚81と、ロアレール6の後端部に固定された後方支持脚82と、前方支持脚81及び後方支持脚82に架け渡された補強部83とが備えられている。
【0030】
前方支持脚81の下端部には、前方に向けて延在し、車両の床面に固定される床固定部811が設けられている。また、前方支持脚81の上端部には、ロアレール6の前端部の下面に重なるように後方に向かって延在し、当該ロアレール6に固定されるレール固定部812が設けられている。また、前方支持脚81の左右の側部のそれぞれには、床固定部811からレール固定部812まで連続して床面側に立設するリブ813,814が形成されている。
【0031】
後方支持脚82の下端部には、後方に向けて延在し、車両の床面に固定される床固定部821が設けられている。また、後方支持脚82の上端部には、ロアレール6の後端部の下面に重なるように前方に向かって延在し、当該ロアレール6に固定されるレール固定部822が設けられている。また、後方支持脚82の左右の側部のそれぞれには、床固定部821からレール固定部822まで連続して床面側に立設するリブ823,824が形成されている。
前方支持脚81のレール固定部812はネジ等の固定具40によってロアレール6に固定されている(図5参照)。なお、図示は省略するが後方支持脚82のレール固定部822においても同様である。
【0032】
補強部83は、前方支持脚81及び後方支持脚82の両者の床固定部811,821にあるリブ813,814、823,824に対して上下方向に間隔を空けて配置されている。そして、補強部83は、前方支持脚81及び後方支持脚82の左側部に取り付けられた第一壁部84と、前方支持脚81及び後方支持脚82の右側部に取り付けられ、第一壁部84に対向する第二壁部85とを備えている。
【0033】
第一壁部84は、その前端部が前方支持脚81の左側のリブ813の内側(右側)に配置され、当該リブ813の外側面に溶接によって固定されている。他方、第一壁部84の後端部は、後方支持脚82の左側のリブ823の内側に配置され、当該リブ823の外側面に溶接によって固定されている。溶接箇所は図2図3においてB1,B2の符号で示している。
第二壁部85は、その前端部が前方支持脚81の右側のリブ814の内側(左側)に配置され、当該リブ814の外側面に溶接によって固定されている。他方、第二壁部85の後端部は、後方支持脚82の右側のリブ824の内側に配置され、当該リブ824の外側面に溶接によって固定されている。
このように第一壁部84及び第二壁部85が、前方支持脚81の左右のリブ813,814の内側に配置されるとともに、後方支持脚82の左右のリブ823,824の内側に配置されているので、補強部83をコンパクトに設置することが可能となる。
【0034】
なお、第一壁部84と第二壁部85とはほぼ同じ形状であるので以下の説明においては第一壁部84について説明し、第二壁部85については、第一壁部84の各部に対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0035】
第一壁部84は、中央部841と、中央部841の前側に連続し、当該中央部841よりも上下方向の幅が長い前方拡幅部842と、中央部841の後側に連続し、当該中央部841よりも上下方向の幅が長い後方拡幅部843とを備えている。前方拡幅部842は、前方支持脚81のレール固定部812よりも中央部841側まで延在している。また、後方拡幅部843は、後方支持脚82のレール固定部822よりも中央部841側まで延在している。
第一壁部84の上縁部には、内側に向かって延在するリブ844が前端部から後端部まで連続して形成されている。他方、第一壁部84の下縁部には、内側に向かって延在するリブ845が前端部から後端部まで連続して形成されている。
第二壁部85の上縁部及び下縁部にも内側に向かって延在するリブ844,845が設けられているので、第一壁部84のリブ844,845と第二壁部85のリブ844,845とが向かい合うことになり、補強部83全体の剛性を高めることができる。
【0036】
また、中央部841の上縁部は、前方拡幅部842及び後方拡幅部843の上縁部よりも下がった位置に設けられている。中央部841の下縁部は、前方拡幅部842及び後方拡幅部843の下縁部よりも上がった位置に設けられている。これらの境界はテーパー状に形成されている。
そして、中央部841の上縁部の外側面には、他部材取り付け用の他部材取付部846が2つ前後方向に所定の間隔を空けて溶接により取り付けられている。他部材取付部846の溶接箇所は図2図3においてB3,B4の符号で示している。他部材取付部846は、前方支持脚81のレール固定部812及び後方支持脚82のレール固定部822に対向しない位置に配置されているので、前方支持脚81及び後方支持脚82と、他部材取付部846及び当該他部材取付部846に取り付けられた他部材とが干渉することを抑制することができる。
【0037】
ここで他部材としては、例えば、左脚部8に取り付けられるカバー部材45が挙げられる。
図6はカバー部材45の概略構成を示す斜視図であり、図7は左脚部8に取り付けられたカバー部材45を示す斜視図である。
図6に示すように、カバー部材45には、前後方向に延在して前方支持脚81及び後方支持脚82の上部と補強部83とを覆う第一カバー部451と、第一カバー部451の前端部及び後端部から下方へと延在して前方支持脚81及び後方支持脚82の下部を覆う前後一対の第二カバー部452と、前後一対の第二カバー部452の下端から前方又は後方に延在して床固定部811,821を覆う前後一対の第三カバー部453とが設けられている。第一カバー部451、第二カバー部452及び第三カバー部453はそれぞれ別体であり、これらを一体的に組み立てることによりカバー部材45が形成されている。
第一カバー部451の内側には、前後2つの他部材取付部846にそれぞれ係合する爪部46が設けられている。この爪部46と他部材取付部846とを係合させることによって、図7に示すようにカバー部材45が、補強部83と、当該補強部83及び支持脚81,82の取付部と、ロアレール6とを覆うことになる。
なお、図6及び図7に示すカバー部材45においては、第三カバー部453が床固定部811,821の上方のみを覆う場合を例示しているが、第三カバー部453が床固定部811,821の全周を覆うようにしてもよい。これによって、前方支持脚81及び後方支持脚82の全体がカバー部材45に覆われることになる。
【0038】
さらに、図2及び図3に示すように、ロアレール6と補強部83との間の空間内であって、複数の他部材取付部846の間には、ロアレール6の下端面に固定された例えばモータ等の駆動装置100が配置されている。
【0039】
また、第一壁部84には、複数の他部材取付部846に対向するように、前後方向に延在するビード847が形成されている。このビード847は、複数の他部材取付部846間よりも前後方向に延在しており、その両端部が前方拡幅部842及び後方拡幅部843内にまで進入している。これにより、ビード847の前端部は、前方支持脚81のレール固定部812に対向する位置に配置され、ビード847の後端部は、後方支持脚82のレール固定部822に対向する位置に配置される。
【0040】
そして、第一壁部84と第二壁部85とには、これらの下端部間を連結する一対の第一連結部848と、上端部間を連結する第二連結部849とが設けられている。
一対の第一連結部848は、第一壁部84及び第二壁部85の中央部841,841の下端部間に左右方向に架け渡されて設けられている。この一対の第一連結部848は、複数の他部材取付部846の外側近傍に配置されている。これにより、各他部材取付部846にかかる力を一対の第一連結部848にも分散させることができ、他部材取付部846の強度を高めることができる。
第二連結部849は、第一壁部84及び第二壁部85の中央部841,841の上端部間に左右方向に架け渡されて設けられている。この第二連結部849は、一対の第一連結部848の間に配置されている。
そして、また、補強部83においては、レール固定部812の固定具40を下面から露出させるように開口41が設けられている(図5参照)。つまり、補強部83における固定部分に対向する部分は開口している。
【0041】
次に、右脚部9について詳細に説明する。図8は右脚部9の概略構成を示す側面図である。
右脚部9には、ロアレール6の前端部に固定された前方支持脚91と、ロアレール6の後端部に固定された後方支持脚92とが備えられている。そして、前方支持脚91、後方支持脚92の間であって、床面Fとロアレール6とがなす空間内に駆動装置100が配置されている。
【0042】
前方支持脚91の下端部には、前方に向けて延在し、車両の床面Fに固定される床固定部911が設けられている。また、前方支持脚91の上端部には、ロアレール6の前端部の下面に重なるように後方に向かって延在し、当該ロアレール6に固定されるレール固定部912が設けられている。また、前方支持脚91の左右の側部のそれぞれには、床固定部911からレール固定部912まで連続して床面側に立設するリブ913が形成されている。
【0043】
図9は後方支持脚92を斜め上方から見た斜視図であり、図10は後方支持脚92を斜め下方から見た斜視図である。
図9及び図10に示すように、後方支持脚92には、右側のロアレール6に重なって固定される基部93と、水平面に略直交する延出床面f1に対向するように基部から垂下して、当該延出床面f1に固定される延出用固定部94と、延出用固定部94の前面部941を押さえるようにロアレール6に固定される規制部95とが備えられている。
なお、延出床面f1は水平面に対して略直交する以外の角度で水平面から下方に延出している場合もある。この場合は、延出用固定部94は、延出床面f1の傾斜に対応するように延出させることが好ましい。
【0044】
基部93には、ロアレール6の下面に重なる上面部931と、上面部931の左右から垂下する一対の壁部932と、壁部932の下端部から外側へと延在し、床面F上に重なる延在部933とを備えている。上面部931には、貫通孔934が2つ前後方向に所定の間隔を空けて形成されていて、この貫通孔934にネジ等の固定具を挿入し、ロアレール6に係止させることで、基部93をロアレール6に固定できるようになっている。
【0045】
延出用固定部94には、上面部931から連続して垂下し延出床面f1に対向する前面部941と、基部93の壁部932に連続するように前面部941から後方に延在する壁部942と、基部93の延在部933に連続するように壁部942に後端部から外側へと延在し、延出床面f1に重なる延在部943とが備えられている。
前面部941には、貫通孔944が形成されていて、この貫通孔944にネジ等の固定具を挿入し、延出床面f1に係止させることで、基部93及び延出用固定部94を床面Fに固定できるようになっている。
【0046】
規制部95は、ロアレール6の下面に重なる上面部951と、上面部951の左右から垂下する一対の壁部952と、壁部952の下端部から外側へと延在し、床面F上に重なる延在部953と、延在部953の後端部から連続して垂下し、延出用固定部94の延在部943に対向して溶接された垂下部954とを備えている。垂下部954と延在部943との溶接箇所は図9図10においてB5の符号で示している。
上面部951には、貫通孔955が形成されていて、この貫通孔955にネジ等の固定具を挿入し、ロアレール6に係止させることで、規制部95をロアレール6に固定できるようになっている。また、上面部951の後端部には、後方に向かって徐々に下がるような凹部956が形成されている。凹部956の後端部は、延出用固定部94の前面部941に対向しており、この凹部956と前面部941とが溶接によって固定されている。この溶接箇所は図9図10においてB6の符号で示している。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、補強部83の互いに対向する第一壁部84及び第二壁部85には、それらの下端部間を連結する第一連結部848が設けられているので、この第一連結部848によって第一壁部84及び第二壁部85の強度が高められることになる。これにより、前方支持脚81及び後方支持脚82の連結状態も高められることになり、前方支持脚81及び後方支持脚82の強度を高めることができる。
【0048】
また、第一壁部84及び第二壁部85の上部間を連結する第二連結部849が設けられているので、この第二連結部849によって第一壁部84及び第二壁部85の強度をより一層強くすることができる。
また、複数の第一連結部848の間に第二連結部849が配置されているので、この第二連結部849によって補強部83の剛性を高めることができる。
【0049】
また、補強部83の前後の両端部が、中央部841よりも上下方向の幅が長い拡幅部(前方拡幅部842及び後方拡幅部843)となっているので、前方支持脚81及び後方支持脚82に対する接合面積を広くすることができ、前方支持脚81及び後方支持脚82に取り付けた際の取付剛性を高めることができる。
【0050】
補強部83の前方拡幅部842及び後方拡幅部843よりも中央側に第一連結部848が配置されているので、前方拡幅部842及び後方拡幅部843よりも強度の劣る中央部841が第一連結部848によって補強されることになり、補強部83全体の強度を高めることができる。
【0051】
また、第一壁部84及び第二壁部85のそれぞれの上縁部及び下縁部に、内側に向かって延在するリブ844,845が設けられているので、このリブ844,845によって補強部83の剛性が高められることになる。
また、第一壁部84及び第二壁部85の下縁部のリブ845が第一連結部848に連続しているので、リブ845と第一連結部848とが一体化され、補強部83の剛性をより高めることができる。
【0052】
また、前方支持脚81におけるロアレール6との固定部分(レール固定部812)と、後方支持脚82におけるロアレール6との固定部分(レール固定部822)に対して補強部83は間隔を空けて配置されているので、その間隔を用いてロアレール6に各支持脚81,82を組み付けることができる。図3に示すように、レール固定部812,822とロアレール6とは、レール固定部812,822の下面側からナット10を締結することになるため、前述の間隔があることで工具をナット10に係合させることが容易に行うことができる。したがって、間隔がない場合と比べてもロアレール6と各支持脚81,82とを容易に組み付けることが可能となる。
また、補強部83における固定部分に対向する部分が開口しているので、開口41を介することで固定部分に工具を係合しやすくなり、取付性を高めることができる。
【0053】
また、他部材取付部846が溶接により補強部83に取り付けられているので、補強部83と他部材取付部846とが一体化されて補強部83の強度を高めつつも、他部材の取付剛性を向上させることができる。
そして、他の部材が、補強部83と、補強部83及び前記支持脚81,82の取付部とを覆うカバー部材45であるので、これらがカバー部材45に覆われることになり、見た目をよくすることができる。
【0054】
また、複数の他部材取付部846に対向するように前後方向に延在するビード847が補強部83に設けられているので、ビード847によって他部材取付部846近傍の強度を高めることができる。他部材取付部846には他部材を介して荷重が集中するが、前述したようにビード847によって他部材取付部846近傍の強度が高められていれば、他部材取付部846の安定性を高めることができる。
【0055】
また、ビード847が、複数の他部材取付部846間よりも前後方向に延在しているので、他部材取付部846近傍だけでなくそれ以外の領域の強度も高められることになる。したがって、一層他部材取付部846の安定性を高めることができる。
【0056】
また、第一連結部848と対応する位置にビード847が設けられているので、ビード847によって補強部83の剛性をより高めることができる。
また、スライド部60と補強部83との間の空間に駆動装置100が配置されているので、デットスペースに駆動装置100を配置することができ、シート装置1の大型化を抑制することができる。
【0057】
そして、補強部83が設けられていない右側のロアレール6の後方支持脚92に、延出用固定部94の前面部941を押さえるようにロアレール6に固定される規制部95が設けられているので、後方支持脚92におけるロアレール6の支持力を高めることができる。
【0058】
また、規制部95の上面部931に備わる凹部956内に溶接部分の少なくとも一部が入り込むので、後方支持脚92の大型化を抑制しつつ、規制部95と延出用固定部94とを一体化することができる。
また、規制部95が、上面部931から垂下する壁部932と、壁部932の下端部から外側へと延在する延在部933とを備えているので、これらによって規制部95の剛性を高めることができる。
また、規制部95の垂下部954と、延出用固定部94の前面部941とが溶接されているので、規制部95と延出用固定部94がより広範囲にわたって一体化され、これらの取付剛性をより高めることができる。
【0059】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では駆動装置100を備えたシート装置1を例示して説明したが、駆動装置100が不要なシート装置であっても本発明の構成を適用することが可能である。その場合は、駆動装置100が不要のシート装置に対して本実施形態の脚部7を取り付けるだけでよい。
また、第一壁部84と第二壁部85とが同一形状であることが好ましい。これにより、部品を共通化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るシート装置は、例えば車両等に搭載されるシート装置に対して利用可能性がある。
【符号の説明】
【0061】
1 シート装置
2 シートバックフレーム
3 クッションサイドフレーム
4 リクライニング機構
5 アッパーレール
6 ロアレール
7 脚部
8 左脚部
9 右脚部
41 開口
60 スライド部
81 前方支持脚
82 後方支持脚
83 補強部
84 第一壁部
85 第二壁部
90 シート本体
91 前方支持脚
92 後方支持脚
93 基部
94 延出用固定部
95 規制部
100 駆動装置
812 レール固定部
822 レール固定部
841 中央部
842 前方拡幅部(拡幅部)
843 後方拡幅部(拡幅部)
846 他部材取付部
847 ビード
848 第一連結部
849 第二連結部
941 前面部
F 床面
f1 延出床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10